JP6949755B2 - 銀ナノ粒子複合体の製造方法及び銀ナノ粒子複合体、並びに、導電性インク及び導電膜の形成方法 - Google Patents

銀ナノ粒子複合体の製造方法及び銀ナノ粒子複合体、並びに、導電性インク及び導電膜の形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、銀ナノ粒子複合体の製造方法及び銀ナノ粒子、並びに銀ナノ粒子が分散溶液に分散された導電性インク及びこれを用いた導電膜の形成方法に関する。
電子部品やプリント配線基板等の配線の形成に、銀ナノ粒子を分散させた導電性インクを用いる方法が知られている。
銀ナノ粒子は、例えば、硝酸銀を還元剤で還元することによって製造することができるが、この方法で製造された銀ナノ粒子は凝集性が強い。そのため、分散性に優れた銀ナノ粒子が求められている。
特許文献1には、粉末状の酸化銀を、脂肪酸とアミン化合物とを含む液相中で還元することによって銀ナノ粒子を製造する方法が記載されている。
特開2006−45655号公報
しかしながら、特許文献1に記載された方法では、分散性に優れた銀ナノ粒子を得るには、多量の有機溶媒を必要とする。そのため、銀ナノ粒子を分散させた導電性インクを用いて導電膜を形成する際、高い温度で焼成を行う必要がある。
また、銀ナノ粒子が分散した導電性インクを用いて形成した導電膜は、柔軟性に欠けるため、フレキシブルフィルム等に導電膜を形成した場合、導電膜が脆くなるという問題がある。
本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、その主な目的は、分散性に優れ、かつ、柔軟性に優れた導電膜を形成することができる銀ナノ粒子複合体の製造方法を提供することにある。
本発明に係る銀ナノ粒子複合体の製造方法は、(A)表面に官能基が導入されたカーボンナノチューブを含む水溶液を用意する工程と、(B)水溶液に、硝酸銀と、硝酸銀を還元する還元剤とを混合する工程とを含み、還元剤は、水酸基を1以上有する芳香族カルボン酸もしくはその塩、または、水酸基を1以上有する芳香族カルボン酸エステルからなり、工程(B)において、還元剤で還元された銀ナノ粒子が、カーボンナノチューブの表面に分散された構造を有する銀ナノ粒子複合体が形成されることを特徴とする。
本発明に係る銀ナノ粒子複合体は、銀ナノ粒子が、カーボンナノチューブの表面に分散された構造を有する銀ナノ粒子複合体であって、銀ナノ粒子は、水酸基を1以上有する芳香族カルボン酸もしくはその塩、または、水酸基を1以上有する芳香族カルボン酸エステルからなる膜で被覆された状態で、カーボンナノチューブの表面に結合していることを特徴とする。
本発明によれば、分散性に優れ、かつ、柔軟性に優れた導電膜を形成することができる銀ナノ粒子複合体の製造方法を提供することができる。
(a)、(b)は、本発明の一実施形態の方法を用いて形成した銀ナノ粒子複合体のTEM(透過型電子顕微鏡)写真である。 実施例1及び実施例2で得られた銀ナノ粒子複合体の試料のXPS分析結果を示した分光スペクトルである。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。また、本発明の効果を奏する範囲を逸脱しない範囲で、適宜変更は可能である。
上述したように、硝酸銀を還元することによって製造した銀ナノ粒子は、凝集性が強いため、分散性に優れた銀ナノ粒子を得るには、分散剤が必要となる。
本願発明者は、分散剤として、カーボンナノチューブに注目した。カーボンナノチューブは、それ自体、凝集性が強いため、分散剤としては使用できない。しかしながら、カーボンナノチューブの表面に官能基を導入することによって、銀ナノ粒子をカーボンナノチューブの表面に分散させて結合させることができれば、官能基化されたカーボンナノチューブを、銀ナノ粒子の分散剤として機能させることができる。
本願発明者は、このような知見の下、硝酸銀を、官能基化されたカーボンナノチューブを含む水溶液中で、還元剤により還元させることによって、分散性に優れた銀ナノ粒子を製造することができると考え、本発明を想到するに至った。
また、本願発明者は、硝酸銀の還元剤として、水酸基を1以上有する芳香族カルボン酸もしくはその塩、または、水酸基を1以上有する芳香族カルボン酸エステルを用いることによって、分散性のよい銀ナノ粒子が得られるという知見を得ている(特開2013−11014号公報)。
上記の還元剤によって還元された銀ナノ粒子は、還元剤の中に錯体の形で取り込まれるため、銀ナノ粒子は、還元剤からなる膜で被覆された状態になっている。すなわち、上記の還元剤は低分子からなるため、銀ナノ粒子は、低分子からなる膜で被覆されていることになる。
また、上記の還元剤は、水酸基(−OH)やカルボキシル基(−COOH)の官能基を有しており、この官能基が、カーボンナノチューブの表面にある官能基(たとえば、カルボキシル基)と水素結合(分子間力結合)すると考えられる。そのため、上記の還元剤によって還元された銀ナノ粒子は、低分子の還元剤からなる薄い膜を介して、カーボンナノチューブの表面に導入された官能基と、強く結合することができる。
このように、上記の還元剤によって還元された銀ナノ粒子が、カーボンナノチューブの表面に分散された構造を有する銀ナノ粒子(以下、「銀ナノ粒子複合体」という)は、分散性に優れているとともに、安定性も優れている。
また、本実施形態における銀ナノ粒子複合体を分散させた導電性インクを用いて、導電膜を形成した場合、カーボンナノチューブが3次元ネットワークを形成する。そのため、銀ナノ粒子だけの導電性ペーストを用いて導電膜を形成した場合に比べて、柔軟性に優れ、かつ高導電性の導電膜を得ることができる。
本実施形態における銀ナノ粒子複合体の製造方法は、
(A)表面に官能基が導入されたカーボンナノチューブを含む水溶液を用意する工程と、
(B)上記水溶液に、硝酸銀と、該硝酸銀を還元する還元剤とを混合する工程と
を含む。
ここで、還元剤は、水酸基を1以上有する芳香族カルボン酸もしくはその塩、または、水酸基を1以上有する芳香族カルボン酸エステルからなることが好ましい。そして、工程(B)において、還元剤で還元された銀ナノ粒子が、カーボンナノチューブの表面に分散された構造を有する銀ナノ粒子複合体が形成される。
本実施形態において、工程(B)では、銀ナノ粒子が、還元剤からなる膜で被覆された状態で、カーボンナノチューブの表面に導入された官能基と結合している。
また、本実施形態において、硝酸銀が還元剤で還元されると同時に、還元生成された銀ナノ粒子が、カーボンナノチューブの表面に導入された官能基と結合するため、分散性の高い銀ナノ粒子複合体を、ワンステップの処理工程で製造することができる。
ここで、「ワンステップ」とは、表面に官能基が導入されたカーボンナノチューブを含む水溶液に、硝酸銀と、硝酸銀を還元する還元剤とを混合する一回の処理工程で、硝酸銀の還元反応と、還元生成された銀ナノ粒子とカーボンナノチューブ表面の官能基との結合反応が行われることをいう。すなわち、還元生成された銀ナノ粒子を改質する工程を加えることなく、ワンステップの処理工程で、本実施形態における銀ナノ粒子複合体が形成される。
本実施形態において、水酸基とカルボキシル基をもつ還元剤として、水酸基を1以上有する芳香族カルボン酸もしくはその塩、または、水酸基を1以上有する芳香族カルボン酸エステルを用いることができる。このような還元剤として、以下の化学式(1)で示される化合物が挙げられる。
Figure 0006949755
ここで、2≦m+n≦6、1≦m≦5、1≦n≦5であり、Rは、水素、アルカリ金属、または1価の炭化水素基を示す。
また、このような還元剤としては、没食子酸、没食子酸塩、没食子酸エステル、ジヒドロキシ安息香酸、ジヒドロキシ安息香酸塩、ジヒドロキシ安息香酸エステルなどを用いることができる。かかる還元剤は、分散剤としての機能も有するため、より分散性に優れた銀ナノ粒子複合体を得ることができる。
また、上述したように、水酸基を1以上有する芳香族カルボン酸等として、ベンゼン環の水素が2個以上の水酸基と置換した芳香族カルボン酸、その塩、そのエステルを用いることができるが、2つの水酸基がお互いにパラ位、あるいは、オルト位にある化合物が好ましい。
このような化合物としては、没食子酸、没食子酸塩、没食子酸エステル、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸塩、3,4−ジヒドロキシ安息香酸エステル、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸塩、2,5−ジヒドロキシ安息香酸エステル、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸塩、2,3−ジヒドロキシ安息香酸エステル等が挙げられる。
本実施形態において、カーボンナノチューブの表面に導入する官能基は、水酸基またはカルボキシル基と水素結合(分子間力結合)するものであれば、特に制限されないが、少なくともカルボキシル基、アミノ基の何れか一つを含むことが好ましい。このような官能基は、水酸基またはカルボキシル基と水素結合が形成しやすいため、安定した銀ナノ粒子複合体を得ることができる。
表面に官能基が導入されたカーボンナノチューブは、例えば、カーボンナノチューブと、親水性アミノ酸とを水溶液中で混合することにより得ることができる。
親水性アミノ酸として、リシン、グルタミン、リシン、セリン、トレオニン、チロシン、シスチン、アルギニン、プロリン、グルタミン酸、アスパラギン酸等を用いることができる。
また、カーボンナノチューブを、硝酸水溶液中で熱還流処理することによっても、カーボンナノチューブの表面に、官能基を導入することができる。
また、硝酸銀を還元剤で還元する工程において、カーボンナノチューブを含む水溶液に、アミン化合物を含ませてもよい。アミン化合物は、還元反応において触媒として機能するため、硝酸銀の還元反応をより均一に進行させることができる。これにより、還元生成された銀ナノ粒子の粒径がより均一になる。
ここで、アミン化合物としては、硝酸銀が溶解した前記溶媒に溶解するものであればよいが、溶媒を水とする場合には、水溶性のアミン化合物を使用する。たとえば、リシン、エチルアミン、エタノールアミン等の1級アミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン等の2級アミン、トリエチルアミン、ジメチルアミノエタノール等の3級アミン、イミダゾール、トリアゾール等があげられる。また、反応速度を適度にするために、硝酸銀が溶解した溶媒に対して、還元剤の溶液とアミン化合物を滴下することが好ましい。
図1(a)は、本実施形態の製造方法を用いて製造した銀ナノ粒子複合体の試料のTEM(透過型電子顕微鏡)写真で、図1(b)は、その拡大写真である。
図1(a)に示すように、カーボンナノチューブ2に表面に、銀ナノ粒子1が分散して結合しているのが分かる。また、図1(b)に示すように、銀ナノ粒子1は、直径が5〜20nm程度の球形をなし、その表面が、還元剤からなる薄い膜3で被覆されているのが分かる。
また、上記の銀ナノ粒子複合体の試料に、1時間、超音波振動を加えても、銀ナノ粒子がカーボンナノチューブから剥がれ落ちることはなかった。これは、銀ナノ粒子を被覆している膜(還元剤で構成)が薄く、その膜表面にある官能基(−OH、−COOH)が、カーボンナノチューブの表面にある官能基(例えば、−COOH)と、水素結合(分子間力結合)で強く結合しているためと考えられる。
本実施形態における銀ナノ粒子複合体は、銀ナノ粒子が、カーボンナノチューブの表面に分散された構造を有し、銀ナノ粒子は、水酸基を1以上有する芳香族カルボン酸もしくはその塩、または、水酸基を1以上有する芳香族カルボン酸エステルからなる膜で被覆された状態で、カーボンナノチューブの表面に結合している。
ここで、水酸基を1以上有する芳香族カルボン酸もしくはその塩、または、水酸基を1以上有する芳香族カルボン酸エステルは、硝酸銀の還元剤であり、銀ナノ粒子は、還元剤からなる膜を介して、カーボンナノチューブの表面に導入された官能基と結合している。
また、カーボンナノチューブの表面に導入された官能基は、少なくともカルボキシル基、アミノ基の何れか一つを含む。
本実施形態における銀ナノ粒子複合体は、分散性に優れているため、この銀ナノ粒子複合体を分散溶液に分散させて導電性インクを作製し、作製した導電性インクを用いて導電膜を形成することができる。
ここで、分散溶液として、イソプロピルアルコール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、またはその異性体等の低分子材料を用いることができる。なお、本実施形態における銀ナノ粒子複合体は、カーボンナノチューブに結合した銀ナノ粒子が、低分子の還元剤からなる膜で覆われているだけなので、上記の低分子材料からなる分散溶液に容易に溶けることができる。また、これらの分散溶液を用いて作製した導電性インクを、基板上に塗布して導電膜を形成する場合、導電性インクに含まれる分散溶液を焼成せずに、比較的低温で蒸発させることができる。
また、分散溶液として、PMA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、NMP(N-メチルピロリドン)、γブチロラクトン、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)、トリエチレングリコールモノブチルーエーテル、ポリエチレングリコールモノブチルエーテル、またはその異性体等を用いてもよい。これらの分散溶液は、導電性インクをインクジェット方式で塗布するのに適した材料として用いることができる。なお、これらの分散溶液を用いて作製した導電性インクを、インクジェット方式で基板上に塗布して導電膜を形成する場合は、導電性インクに含まれる分散溶液を焼成して蒸発させる必要がある。焼成温度は、例えば、100℃〜150℃の温度で行うことができる。
また、分散溶液として、アルコール類、エーテル類、エステル類、脂肪族炭化水素類を用いてもよい。アルコール類として、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、シク ロヘキサノール、ベンジルアルコール、ターピネオール等を用いることができる。また、 エーテル類として、ジエチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジブチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、メチルシクロヘキシルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン等を用いることができる。また、エステル類として、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトン等を用いることができる。また、脂肪族炭化水素類として、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、シクロヘキ サン、デカリン等を用いることができる。これらの中でも、コストや安全性の観点から、ヘキサノール、ターピネオール、メチル−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、n−ヘキサン、及びγ−ブチロラクトンからなる群より選ばれる一種又は二種以上を用いることが好ましい。
本実施形態における導電膜の形成方法は、上記の銀ナノ粒子複合体を分散溶液に分散させた導電性インクを、基材上に塗布する工程と、基材上に塗布された導電性インクの分散溶液を蒸発させる工程とを含む。
本実施形態において、カーボンナノチューブに結合した銀ナノ粒子は、低分子の還元剤からなる膜で覆われているだけでなく、分散溶液が低分子の材料からなるため、基材上に塗布された導電性インクの分散溶液を、焼成せずに、室温または比較的低温(典型的には60℃以下)で蒸発させることができる。そのため、高温での処理が不要となり、安定した導電膜を得ることができる。
導電性インクの塗布後の処理温度は、還元剤の中で、水酸基の位置によって変わるが、上述した没食子酸、没食子酸塩、没食子酸エステル、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸塩、3,4−ジヒドロキシ安息香酸エステル、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸塩、2,5−ジヒドロキシ安息香酸エステル、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸塩、2,3−ジヒドロキシ安息香酸エステル等の還元剤を用いた場合には、室温で溶媒を飛ばすことができる。一方、3,5−ジヒドロキシ安息香酸塩、3,5−ジヒドロキシ安息香酸エステル等の還元剤を用いた場合には、100℃以上の温度で処理する必要がある。
また、本実施形態により形成された導電膜は、カーボンナノチューブが3次元ネットワークを形成するため、柔軟性に優れるとともに、高い導電性を有する。そのため、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等のフレキシブル基板上に、本実施形態における導電膜を形成しても、導電膜が剥がれ落ちるのを防止することができる。
また、本実施形態における銀ナノ粒子複合体は、分散性に優れているため、過剰の分散剤を必要としない。そのため、銀ナノ粒子の含有量を調整することによって、透明性の導電膜を形成することができる。
以下、本発明の実施例を挙げて本発明の構成及び効果をさらに説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
カーボンナノチューブを、硝酸水溶液中で熱還流処理して、官能基化されたカーボンナノチューブを作製した。作製したカーボンナノチューブ0.02gを、蒸留水20mlに入れ、室温で10分間攪拌した。この溶液に、硝酸銀0.5gを添加、攪拌した後、ジメチルアミノエタノール0.262gをさらに添加した。この溶液に、没食子酸一水和物0.276gを蒸留水30mlに溶解した溶液を、室温で30分間滴下した。その後、さらに、1時間攪拌した。
上記の方法により得られた反応液を、5000rpm、1分間遠心分離した後、上澄み液を捨てた。得られた沈殿物を蒸留水に加えて、再度、5000rpm、2分間遠心分離した後、上澄み液を捨てる作業を2回繰り返した。最後に、得られた沈殿物を蒸留水に分散させることで、銀ナノ粒子複合体の水分散液を得た。なお、以上の工程は、すべて室温で実施した。
このようにして得られた銀ナノ粒子複合体の水分散液において、銀ナノ粒子複合体は、凝集しておらず、分散性に優れていることが確認できた。
(実施例2)
カーボンナノチューブとリシンとを水溶液中で混合することによって、官能基化されたカーボンナノチューブを作製した。作製したカーボンナノチューブ0.04gを、蒸留水20mlに入れ、室温で10分間攪拌した。この溶液に、硝酸銀0.5gを添加、攪拌した後、ジメチルアミノエタノール0.262gをさらに添加した。この溶液に、没食子酸一水和物0.276gを蒸留水30mlに溶解した溶液を、室温で30分間滴下した。その後、さらに、1時間攪拌した。
上記の方法により得られた反応液を、5000rpm、1分間遠心分離した後、上澄み液を捨てた。得られた沈殿物を蒸留水に加えて、再度、5000rpm、2分間遠心分離した後、上澄み液を捨てる作業を2回繰り返した。最後に、得られた沈殿物を蒸留水に分散させることで、銀ナノ粒子複合体の水分散液を得た。なお、以上の工程は、すべて室温で実施した。
このようにして得られた銀ナノ粒子複合体の水分散液において、銀ナノ粒子複合体は、凝集しておらず、分散性に優れていることが確認できた。
上記の実施例1及び実施例2において、作製した銀ナノ粒子複合体の分散性が優れているのは、還元生成された銀ナノ粒子が、カーボンナノチューブの表面に導入された官能基に結合することによって、カーボンナノチューブが分散剤として機能しているためと考えられる。加えて、銀ナノ粒子が、カーボンナノチューブの表面に分散して結合することによって、カーボンナノチューブの表面同士の接触が、銀ナノ粒子によって妨げられるため、カーボンナノチューブ自身の分散性もよいためと考えられる。
図2は、実施例1及び実施例2で得られた銀ナノ粒子複合体の試料をXPS(X線光電子分光)で分析した結果を示した分光スペクトルである。矢印Aで示した分光スペクトルが実施例1の試料、矢印Bで示した分光スペクトルが実施例2の試料の結果を示している。なお、比較として、実施例1及び実施例2で用いたカーボンナノチューブ(官能基化されていない)の試料の結果を、矢印Cで示した分光スペクトルで示す。
図2に示すように、実施例1及び実施例2の試料において、銀(Ag)、炭素(C)、及び酸素(O)のピークが観察された。
また、表1は、EDX(エネルギー分散型X線分析装置)で、実施例1及び実施例2の試料の元素分析をした結果を示した表である。
Figure 0006949755
表1に示すように、実施例1及び実施例2の試料において、Ag、C、O以外の元素は観察されなかった。このことから、実施例1及び実施例2で得られた銀ナノ粒子複合体は、不純物が残っていないことが分かる。
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、もちろん、種々の改変が可能である。例えば、上記の実施形態において、還元剤として、水酸基を1以上有する芳香族カルボン酸等の材料を用いたが、水酸基とカルボキシル基をもつ還元剤として、クエン酸塩(例えば、クエン酸ナトリム、クエン酸リチウム等)を用いてもよい。
また、上記の実施形態において、還元剤によって還元された銀ナノ粒子は、還元剤からなる膜で被覆された状態になっていると説明したが、必ずしも銀ナノ粒子の表面全体が還元剤からなる膜で被覆されていなくてもよい。
また、上記実施形態において、銀ナノ粒子を被覆している膜(還元剤で構成)の表面にある官能基(−OH、−COOH)が、カーボンナノチューブの表面にある官能基(例えば、−COOH)と、水素結合(分子間力結合)していると説明したが、部分的に共有結合していてもよい。

Claims (8)

  1. (A)表面に官能基が導入されたカーボンナノチューブを含む水溶液を用意する工程と、
    (B)前記水溶液に、硝酸銀と、該硝酸銀を還元する還元剤とを混合する工程と
    を含み、
    前記官能基は、少なくともカルボキシル基、アミノ基の何れか一つを含み、
    前記還元剤は、没食子酸、没食子酸塩、没食子酸エステル、ジヒドロキシ安息香酸、ジヒドロキシ安息香酸塩、及びジヒドロキシ安息香酸エステルからなる群から選択された化合物からなり、
    前記工程(B)において、前記硝酸銀が前記還元剤で還元されると同時に、還元生成された銀ナノ粒子が、前記カーボンナノチューブの表面に導入された官能基と結合することにより、前記還元剤で還元された銀ナノ粒子が、前記カーボンナノチューブの表面に分散された構造を有する銀ナノ粒子複合体が形成される、銀ナノ粒子複合体の製造方法。
  2. 前記工程(B)において、前記銀ナノ粒子は、前記還元剤からなる膜で被覆された状態で、前記カーボンナノチューブの表面に導入された官能基と結合している、請求項1に記載の銀ナノ粒子複合体の製造方法。
  3. 前記工程(A)は、前記カーボンナノチューブと、親水性アミノ酸とを水溶液中で混合することにより、表面に官能基が導入されたカーボンナノチューブの水溶液が用意される、請求項1に記載の銀ナノ粒子複合体の製造方法。
  4. 前記工程(B)において、前記水溶液に、アミン化合物がさらに含まれている、請求項1に記載の銀ナノ粒子複合体の製造方法。
  5. 銀ナノ粒子が、カーボンナノチューブの表面に分散された構造を有する銀ナノ粒子複合体であって、
    前記カーボンナノチューブの表面に、少なくともカルボキシル基、アミノ基の何れか一つを含む官能基が導入されており、
    前記銀ナノ粒子は、没食子酸、没食子酸塩、没食子酸エステル、ジヒドロキシ安息香酸、ジヒドロキシ安息香酸塩、及びジヒドロキシ安息香酸エステルからなる群から選択された化合物からなる膜で被覆された状態で、前記カーボンナノチューブの表面に導入された官能基と結合している、銀ナノ粒子複合体。
  6. 請求項に記載の銀ナノ粒子複合体が、分散溶液に分散された導電性インク。
  7. 前記分散溶液は、イソプロピルアルコール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、PMA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、NMP(N-メチルピロリドン)、γブチロラクトン、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)、トリエチレングリコールモノブチルーエーテル、ポリエチレングリコールモノブチルエーテル、及びその異性体からなる群から選択される、請求項に記載の導電性インク。
  8. 請求項またはに記載の導電性インクを、基材上に塗布する工程と、
    前記基材上に塗布された前記導電性インクの分散溶液を蒸発させる工程と
    を含む、導電膜の形成方法。
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