以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
[第一の実施形態]
<全体構成>
まず、本実施形態に係る地図表示システム1の全体構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、第一の実施形態に係る地図表示システム1の全体構成の一例を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係る地図表示システム1には、1以上のクライアント端末10と、ナビゲーションサーバ装置20と、住宅地図サーバ装置30とが含まれる。また、クライアント端末10と、ナビゲーションサーバ装置20と、住宅地図サーバ装置30とは、例えばインターネット等の広域的なネットワークNを介して通信可能に接続されている。
クライアント端末10は、ユーザに対して目的地までの経路案内を提供する情報処理端末である。クライアント端末10としては、例えば、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、ウェアラブルデバイス、ノート型PC(パーソナルコンピュータ)、ゲーム機器、カーナビ等を用いることができる。
クライアント端末10には、クライアントプログラム100がインストールされている。クライアント端末10は、クライアントプログラム100により、出発地から目的地までの経路を地図上に表示することで、当該ユーザに対して経路案内を提供する。また、このとき、クライアント端末10は、クライアントプログラム100により、後述するナビゲーション用地図と住宅地図との表示を相互に切り替え可能に制御する。
なお、経路案内には、例えば、更に、目的地までの音声による誘導(すなわち、いわゆる音声案内)等が含まれていても良い。
ナビゲーションサーバ装置20は、ナビゲーション用地図情報と、経路情報とをクライアント端末10に提供するコンピュータ又はコンピュータシステムである。ナビゲーション用地図情報とは、主に、出発地から目的地までの経路案内時にクライアント端末10上に表示される地図に関する情報である。また、経路情報とは、当該地図上に表示される経路の座標点列(緯度及び経度の座標点列)を示す情報である。
ナビゲーションサーバ装置20には、ナビゲーションサーバプログラム200がインストールされている。また、ナビゲーションサーバ装置20は、記憶部210と、経路情報記憶部220とを有する。
ナビゲーションサーバ装置20は、クライアント端末10からの要求に応じて、ナビゲーションサーバプログラム200により、出発地から目的地までの経路を探索して、経路情報を返信する。また、ナビゲーションサーバ装置20は、クライアント端末10からの要求に応じて、ナビゲーションサーバプログラム200により、ナビゲーション用地図情報を返信する。
記憶部210には、ナビゲーション用地図情報と、ネットワーク情報とが記憶されている。ナビゲーション用地図情報は、各種データを含むレイヤーを重ねることで作成される。例えば、都道府県等の区画を表した面に、緑地や河川、道路や鉄道、記号(アイコン)や注釈等のそれぞれのデータを含むレイヤーを重ねて1つの背景を構成し、更にその上に店舗や家形枠等のデータを含むレイヤーを重ねることで作成される。
ネットワーク情報とは、道路ネットワークを表す情報であり、経路探索等に用いられる。ネットワーク情報には、例えば、交差点や分岐点、道路属性が変化する箇所、道路幅が変化する箇所等の各種地点を示すノードに関する情報(以降、「ノード情報」と表す。)と、ノード間を繋ぐリンクに関する情報(以降、「リンク情報」と表す。)とが含まれる。ノード情報には、例えば、ノード番号、緯度及び経度、交差点の名称(監視及び読み)や信号機の有無等の情報が含まれている。また、リンク情報には、例えば、リンク長や座標点列、リンクのコスト、リンクの両端にあるノードのノード番号、道路属性、進行方向、高度(標高)等の情報が含まれている。ナビゲーションサーバプログラム200は、例えば、ダイクストラ法等の既知のアルゴリズムを用いて、出発地から目的地までのリンクのコストが最小になるような経路を探索する。なお、ネットワーク情報は、同一の緯度及び経度でナビゲーション用地図情報と対応付けられている。
経路情報記憶部220は、経路探索の結果を示す経路情報を記憶する。経路情報とは、上述したように、地図上に表示される経路の座標点列を示す情報であり、例えば、出発地から目的地までの座標点列で表される。
住宅地図サーバ装置30は、住宅地図情報を提供するコンピュータ又はコンピュータシステムである。住宅地図情報とは、主に、詳細な住宅情報(例えば、居住者名や番地等)をユーザが知りたいときにクライアント端末10上に表示される地図に関する情報である。
住宅地図サーバ装置30には、地図サーバプログラム300がインストールされている。また、住宅地図サーバ装置30は、記憶部310を有する。
住宅地図サーバ装置30は、クライアント端末10からの要求に応じて、地図サーバプログラム300により、住宅地図情報を返信する。
記憶部310には、住宅地図情報が記憶されている。住宅地図情報は、ナビゲーション用地図情報と同様に、例えば、各種データを含むレイヤーを重ねることで作成される。例えば、都道府県等の区画を表した面に、緑地や河川、道路や鉄道、記号(アイコン)や注釈等のそれぞれのデータを含むレイヤーを重ねて1つの背景を構成し、更にその上に店舗や家形枠(居住者名や番地等も含む)等のデータを含むレイヤーを重ねることで作成される。なお、ナビゲーションサーバ装置20と異なり、住宅地図サーバ装置30の記憶部310には、ネットワーク情報は記憶されていない。
<ナビゲーション用地図情報と住宅地図情報との表示タイプ及び縮尺>
ここで、ナビゲーション用地図情報及び住宅地図情報は、表示タイプ(例えば、「カラー版」、「モノクロ版」等)毎に、1以上の縮尺が存在する。ナビゲーション用地図情報と住宅地図情報との表示タイプ(「カラー版」、「モノクロ版」)及び縮尺の一例を図2に示す。図2は、ナビゲーション用地図情報と住宅地図情報との表示タイプ及び縮尺の一例を説明する図である。
図2に示す例では、ナビゲーション用地図情報には、「カラー版」と「モノクロ版」との2つの表示タイプがあり、かつ、それぞれの表示タイプについて「1/100000」、「1/50000」、「1/20000」、「1/10000」、「1/5000」「1/2500」及び「1/1500」の縮尺が存在することを示している。
また、図2に示す例では、住宅地図情報には、「カラー版」と「モノクロ版」との2つの表示タイプがあり、かつ、それぞれの表示タイプについて「1/5000」「1/2500」及び「1/1500」の縮尺が存在することを示している。
このように、ナビゲーション用地図情報及び住宅地図情報は、表示タイプ毎に、1以上の縮尺が存在する。また、ナビゲーション用地図情報の表示タイプ及び縮尺と、住宅地図情報の表示タイプ及び縮尺とは、少なくとも一部が重複しているものとする(図2に示す例では、表示タイプ「カラー版」及び「モノクロ版」の両方で、縮尺「1/5000」「1/2500」及び「1/1500」が重複している。)。特に、ナビゲーション用地図情報は広域的な縮尺範囲(例えば、「1/100000」〜「1/10000」)から詳細な縮尺範囲(例えば、「1/5000」〜「1/1500」)まで存在するのに対して、住宅地図情報は詳細な縮尺範囲のみ存在する。このように、ナビゲーション用地図情報と住宅地図情報とは、詳細な縮尺範囲で重複している。
これにより、後述するように、本実施形態に係るクライアント端末10は、共通する表示タイプ及び縮尺間(特に、詳細な縮尺範囲内)で、ナビゲーション用地図と住宅地図との表示を切り替えることができる。
なお、図2に示す例では、ナビゲーション用地図情報及び住宅地図情報の表示タイプが「カラー版」及び「モノクロ版」である場合を示したが、これに限られない。地図情報の表示タイプとしては、例えば、地図上のアイコン等が動く「動画版」及び地図上のアイコン等が動かない「静止版」、地図上の建物やアイコン等が2次元で表示される「2D版」及び地図上の建物やアイコン等が3次元で表示される「3D版」等が挙げられる。
<ナビゲーション用地図と住宅地図との表示切替>
ここで、クライアント端末10上におけるナビゲーション用地図と住宅地図との表示切替について、図3を参照しながら説明する。図3は、ナビゲーション用地図と住宅地図との表示切替の一例を説明する図である。
図3(a)に示すような地図の表示タイプが「カラー版」で、縮尺が「1/1500」であるナビゲーション用地図1000がクライアント端末10上に表示されているものとする。また、このとき、図3(a)に示すナビゲーション用地図1000上には、目的地Gと、出発地から目的地Gまでの経路Lと、ユーザの現在地を示す自己位置Pとが重畳表示されているものとする。
ここで、地図の表示切替が行われると、図3(b)に示すような地図の表示タイプが「カラー」で、縮尺が「1/1500」である住宅地図2000がクライアント端末10上に表示される。このとき、図3(b)に示す住宅地図2000上には、ナビゲーション用地図1000と同様に、目的地Gと、経路Lと、自己位置Pとが重畳表示される。
このように、本実施形態に係るクライアント端末10は、ナビゲーション用地図1000から住宅地図2000に表示を切り替える際、同一表示タイプ、かつ、同一縮尺の住宅地図2000に表示を切り替える。
同様に、図3(b)に示す住宅地図2000がクライアント端末10上に表示されている場合に、地図の表示切替が行われると、同一表示タイプ、かつ、同一縮尺の図3(a)に示すナビゲーション用地図1000がクライアント端末10上に表示される。
このように、本実施形態に係るクライアント端末10では、ナビゲーション用地図1000と住宅地図2000との表示を切り替える際に、同一表示タイプ、かつ、同一縮尺の地図に表示を切り替える。言い換えれば、本実施形態に係るクライアント端末10は、地図の表示を他の地図に切り替える際に、地図の表示態様を維持したままで、他の地図に表示を切り替える。なお、地図の表示態様とは、地図の表示タイプ及び縮尺で決定される地図の見た目である。
これにより、地図の表示が切り替わった際におけるユーザの違和感を軽減することができる。
また、本実施形態に係るクライアント端末10では、ナビゲーション用地図1000上に重畳表示されていた目的地Gや経路L、自己位置P等を住宅地図2000上にも重畳表示させる。これにより、本実施形態に係るクライアント端末10では、住宅地図2000が表示されている状態でも、ナビゲーション用地図1000が表示されていた場合と同様の経路案内を行うことができる。これは、後述するように、例えば、経路Lを示す経路情報を用いて、経路Lに対して自己位置Pをルートマッチングさせることができるためである。
なお、地図の表示切替は、例えば、ユーザによる表示切替操作を検知することで行われても良いし、自己位置Pが目的地Gから所定の範囲内に入ったことを検知することで行われても良い。又は、例えば、ユーザの車両(すなわち、クライアント端末10が搭載された車両)が駐車場等に停車したことを検知することで行われても良い。
<ハードウェア構成>
次に、本実施形態に係る地図表示システム1に含まれるクライアント端末10、ナビゲーションサーバ装置20及び住宅地図サーバ装置30のハードウェア構成について説明する。
≪クライアント端末10≫
まず、本実施形態に係るクライアント端末10のハードウェア構成について、図4を参照しながら説明する。図4は、第一の実施形態に係るクライアント端末10のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4に示すように、本実施形態に係るクライアント端末10は、入力装置11と、表示装置12と、外部I/F13と、RAM(Random Access Memory)14と、ROM(Read Only Memory)15と、CPU(Central Processing Unit)16と、通信I/F17と、記憶装置18と、GPS(Global Positioning System)受信機19とを有する。これら各ハードウェアは、バスB1で互いに接続されている。
入力装置11は、例えばタッチパネルや各種ボタン等であり、ユーザがクライアント端末10に各種入力を行うのに用いられる。表示装置12は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)等であり、クライアント端末10による処理結果を表示する。
外部I/F13は、外部装置とのインタフェースである。外部装置には、記録媒体13a等がある。クライアント端末10は、外部I/F13を介して、記録媒体13aの読み取りや書き込みを行うことができる。記録媒体13aには、例えば、CD、DVD、SDメモリカード、USBメモリ等がある。
RAM14は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリである。ROM15は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することができる不揮発性の半導体メモリである。ROM15には、例えば、OS(Operating System)設定やネットワーク設定等のデータが格納されている。
CPU16は、ROM15や記憶装置18等からプログラムやデータをRAM14上に読み出し、当該プログラムやデータに基づく処理を実行することで、クライアント端末10全体の制御や各種機能を実現する演算装置である。
通信I/F17は、クライアント端末10をネットワークNに接続するためのインタフェースである。クライアント端末10は、通信I/F17を介して、ナビゲーションサーバ装置20や住宅地図サーバ装置30等との間でデータ通信を行うことができる。
記憶装置18は、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等であり、プログラムやデータを格納している不揮発性のメモリである。記憶装置18に格納されているプログラムやデータには、例えば、OS、当該OS上で動作するアプリケーションソフトウェア、クライアントプログラム100等がある。
GPS受信機19は、GPSから所定の電波を受信して、クライアント端末10の現在位置を示す緯度及び経度の測定を行う。なお、GPS受信機19は、クライアント端末10の高度を測定することができても良い。
本実施形態に係るクライアント端末10は、図4に示すハードウェア構成を有することにより、後述するような各種処理を実現できる。
≪ナビゲーションサーバ装置20、住宅地図サーバ装置30≫
次に、本実施形態に係るナビゲーションサーバ装置20及び住宅地図サーバ装置30のハードウェア構成について、図5を参照しながら説明する。図5は、第一の実施形態に係るナビゲーションサーバ装置20及び住宅地図サーバ装置30のハードウェア構成の一例を示す図である。ナビゲーションサーバ装置20及び住宅地図サーバ装置30は、同様のハードウェア構成を有しているため、以降では、主に、ナビゲーションサーバ装置20のハードウェア構成について説明する。
図5に示すように、本実施形態に係るナビゲーションサーバ装置20は、外部I/F21と、RAM22と、ROM23と、CPU24と、通信I/F25と、記憶装置26とを有する。これら各ハードウェアは、バスB2で互いに接続されている。
外部I/F21は、外部装置とのインタフェースである。外部装置には、記録媒体21a等がある。ナビゲーションサーバ装置20は、外部I/F21を介して、記録媒体21aの読み取りや書き込みを行うことができる。記録媒体21aには、例えば、CD、DVD、SDメモリカード、USBメモリ等がある。
RAM22は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリである。ROM23は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することができる不揮発性の半導体メモリである。ROM23には、例えば、OS設定やネットワーク設定等のデータが格納されている。
CPU24は、ROM23や記憶装置26等からプログラムやデータをRAM22上に読み出し、当該プログラムやデータに基づく処理を実行することで、ナビゲーションサーバ装置20全体の制御や各種機能を実現する演算装置である。
通信I/F25は、ナビゲーションサーバ装置20をネットワークNに接続するためのインタフェースである。ナビゲーションサーバ装置20は、通信I/F25を介して、クライアント端末10や住宅地図サーバ装置30等との間でデータ通信を行うことができる。
記憶装置26は、例えばHDDやSSD等であり、プログラムやデータを格納している不揮発性のメモリである。記憶装置26に格納されているプログラムやデータには、例えば、OS、当該OS上で動作するアプリケーションソフトウェア、ナビゲーションサーバプログラム200等がある。なお、住宅地図サーバ装置30の記憶装置26には、地図サーバプログラム300等が格納されている。
本実施形態に係るナビゲーションサーバ装置20及び住宅地図サーバ装置30は、図5に示すハードウェア構成を有することにより、後述するような各種処理を実現できる。なお、ナビゲーションサーバ装置20及び住宅地図サーバ装置30は、上記のハードウェアに加えて、例えば、キーボードやマウス、タッチパネル等の入力装置と、LCDやCRT(Cathode Ray Tube)等の表示装置との少なくとも一方を有していても良い。
<機能構成>
次に、本実施形態に係る地図表示システム1の機能構成について、図6を参照しながら説明する。図6は、第一の実施形態に係る地図表示システム1の機能構成の一例を示す図である。
≪クライアント端末10≫
本実施形態に係るクライアント端末10は、通信部101と、切替検知部102と、判定部103と、位置取得部104と、マッチング部105と、表示制御部106とを有する。これら各機能部は、クライアントプログラム100が、クライアント端末10のCPU16に実行させる処理により実現される。
通信部101は、ナビゲーションサーバ装置20や住宅地図サーバ装置30等との間で通信を行う。例えば、通信部101は、ナビゲーションサーバ装置20に対して、ナビゲーション用地図情報の取得要求や経路情報の取得要求等を送信する。また、例えば、通信部101は、住宅地図サーバ装置30に対して、住宅地図情報の取得要求等を送信する。
切替検知部102は、地図の表示切替要求を検知する。すなわち、切替検知部102は、例えば、ユーザの自己位置Pが目的地Gから所定の範囲内に入ったこと又は自己位置Pが当該範囲から出たことに基づく表示切替要求を検知する。なお、表示切替要求は、これに限られず、例えば、ユーザによる表示切替操作に基づく表示切替要求やユーザの車両が駐車場等に停車したことに基づく表示切替要求等であっても良い。
判定部103は、切替検知部102により表示切替要求が検知された場合に、表示制御部106により現在表示されている地図並びにその表示タイプ及び縮尺を判定する。また、判定部103は、切替先の地図(すなわち、表示切替後に表示される地図)がナビゲーション用地図又は住宅地図のいずれであるか、切替先の地図の表示タイプ及び縮尺、切替先の地図の取得範囲等を判定(決定)する。
位置取得部104は、GPS受信機19により測定された位置情報(すなわち、クライアント端末10のユーザの現在位置を示す位置情報)を取得する。
マッチング部105は、位置取得部104により位置情報が取得された場合に、ルートマッチング(又はマップマッチング)処理を行う。ルートマッチング(又はマップマッチング)処理とは、位置取得部104により取得された位置情報が示す位置が経路(又は道路ネットワーク)上となるように、当該位置情報を補正する処理である。これは、GPS受信機19により測定される位置情報には、誤差が存在するためである。マッチング部105により補正された位置情報が示す位置が「自己位置P」である。
表示制御部106は、ナビゲーション用地図情報に基づく地図や住宅地図情報に基づく地図等を表示する。また、表示制御部106は、自己位置Pや目的地G、経路情報に基づく経路等を地図上に重畳表示する。
≪ナビゲーションサーバ装置20≫
本実施形態に係るナビゲーションサーバ装置20は、通信部201と、経路探索部202と、情報管理部203とを有する。これら各機能部は、ナビゲーションサーバプログラム200が、ナビゲーションサーバ装置20のCPU24に実行させる処理により実現される。
また、本実施形態に係るナビゲーションサーバ装置20は、上述したように、記憶部210と、経路情報記憶部220とを有する。これら各記憶部は、例えば、ナビゲーションサーバ装置20の記憶装置26を用いて実現可能である。なお、これら各記憶部のうちの少なくとも1つの記憶部が、ナビゲーションサーバ装置20とネットワークNを介して接続される記憶装置等を用いて実現されていても良い。
通信部201は、クライアント端末10や住宅地図サーバ装置30等との間で通信を行う。例えば、通信部201は、クライアント端末10からの各種要求(例えば、経路の探索要求やナビゲーション用地図情報の取得要求、経路情報の取得要求等)を受信する。
経路探索部202は、クライアント端末10からの要求に応じて、当該クライアント端末10のユーザにより指定された出発地から目的地までの経路を探索する。経路探索部202により探索された経路を示す経路情報は、情報管理部203により、経路情報記憶部220に格納される。経路情報は、上述したように、経路探索部202により探索された経路の座標点列を示す情報である。
なお、情報管理部203は、経路探索部202により探索された経路を示す経路情報を経路情報記憶部220に格納させずに、通信部201によりクライアント端末10に送信しても良い。これは、クライアント端末10は、例えば、ナビゲーションサーバ装置20から受信した経路を、少なくとも地図が描画されるレイヤーよりも上位にあるレイヤー上に描画することで、(出発地から目的地までの経路が変更にならない限り)地図の表示が切り替わった場合でも、ナビゲーションサーバ装置20から経路情報を取得する必要がないためである。
情報管理部203は、各種情報の記憶部への格納や各種情報の記憶部からの読み出しを行う。
記憶部210は、ナビゲーション用地図情報と、ネットワーク情報とが記憶されている。経路情報記憶部220は、経路探索部202により探索された経路を示す経路情報(当該経路の座標点列を示す情報)が記憶されている。
なお、ナビゲーション用地図情報やネットワーク情報は、例えば、新たに道路が敷設された場合や地図の内容が変更になった場合等に、ナビゲーションサーバ装置20の管理者等により適宜更新される。
≪住宅地図サーバ装置30≫
本実施形態に係る住宅地図サーバ装置30は、通信部301と、情報管理部302とを有する。これら各機能部は、地図サーバプログラム300が、住宅地図サーバ装置30のCPU24に実行させる処理により実現される。
また、本実施形態に係る住宅地図サーバ装置30は、上述したように、記憶部310を有する。当該記憶部は、例えば、住宅地図サーバ装置30の記憶装置26を用いて実現可能である。なお、当該記憶部は、住宅地図サーバ装置30とネットワークNを介して接続される記憶装置等を用いて実現されていても良い。
通信部301は、クライアント端末10やナビゲーションサーバ装置20等との間で通信を行う。例えば、通信部301は、クライアント端末10からの各種要求(例えば、住宅地図情報の取得要求等)を受信する。
情報管理部302は、各種情報の記憶部への格納や各種情報の記憶部からの読み出しを行う。
記憶部310は、住宅地図情報が記憶されている。なお、住宅地図情報は、例えば、新たに住宅が建設された場合や居住者が変更になった場合等に、住宅地図サーバ装置30の管理者等により適宜更新される。
<処理の詳細>
次に、本実施形態に係る地図表示システム1の処理の詳細について説明する。以降では、クライアント端末10のユーザに対して、ナビゲーションサーバ装置20の経路探索部202により探索された経路を用いた経路案内が提供されているものとする。したがって、ナビゲーションサーバ装置20の経路情報記憶部220には、当該経路を示す経路情報が記憶されている。
≪地図の表示切替処理≫
まず、クライアント端末10上に表示されている地図(ナビゲーション用地図又は住宅地図)を切り替える処理について、図7を参照しながら説明する。図7は、第一の実施形態に係る地図の表示切替処理の一例を示すシーケンス図である。
まず、クライアント端末10の切替検知部102は、地図の表示切替要求を検知する(ステップS701)。すなわち、切替検知部102は、例えば、ユーザの自己位置Pが目的地Gから所定の範囲内(より具体的には、例えば、自己位置Pが目的地Gから半径200m以内等)に入ったこと又は自己位置Pが当該範囲から出たことに基づく表示切替要求を検知する。
なお、表示切替要求は、これに限られず、例えば、ユーザによる表示切替操作に基づく表示切替要求やユーザの車両が駐車場等に停車したことに基づく表示切替要求等であっても良い。
次に、クライアント端末10の判定部103は、表示制御部106により現在表示されている地図並びにその表示タイプ及び縮尺を判定する(ステップS702)。すなわち、判定部103は、例えば、現在表示される地図がナビゲーション用地図又は住宅地図のいずれであるか、表示タイプは「カラー版」、「モノクロ版」のいずれであるか、縮尺はいずれであるか等を判定する。
次に、クライアント端末10の判定部103は、切替先の地図がナビゲーション用地図又は住宅地図のいずれであるかを判定(決定)する(ステップS703)。
切替先の地図がナビゲーション用地図又は住宅地図のいずれであるか、切替先の地図の表示タイプ及び縮尺、並びに切替先の地図の取得範囲は、上記のステップS702における判定結果により決定される。
例えば、上記のステップS702で現在表示されている地図がナビゲーション用地図であると判定された場合、判定部103は、切替先の地図が住宅地図であると判定する。同様に、現在表示されている地図が住宅地図であると判定された場合、判定部103は、切替先の地図がナビゲーション用地図であると判定する。又は、上記のステップS701でユーザによる表示切替操作に基づく表示切替要求が検知された場合、判定部103は、例えば、当該ユーザにより押下等されたボタンに対応付けられている情報(例えば、ナビゲーション用地図や住宅地図等を識別する地図ID等)に応じて切替先の地図を判定しても良い。
また、切替先の地図の表示タイプ及び縮尺は、上記のステップS702で現在表示されていると判定された地図と同一の表示タイプ及び縮尺と判定する。更に、切替先の地図の取得範囲は、当該縮尺に応じて判定される。例えば、現在表示されている地図と同一の範囲と、その周囲8画面分の範囲とを取得範囲と判定する(すなわち、現在表示されている地図を中心とする9画面分の範囲を取得範囲と判定する。)。ただし、これに限られず、例えば、取得範囲は任意に決定することができる。例えば、現在表示されている地図を中心とする25画面分の範囲を取得範囲と判定しても良いし、目的地G(又は自己位置P)を中心として縮尺に応じた所定の範囲内を取得範囲と判定しても良い。
上記のステップS703において、切替先の地図が住宅地図であると判定された場合、以降のステップS704〜ステップS705が実行される。一方で、上記のステップS703において、切替先の地図がナビゲーション用地図であると判定された場合、以降のステップS706〜ステップS707が実行される。
切替先の地図が住宅地図であると判定された場合、クライアント端末10の通信部101は、住宅地図サーバ装置30に対して、住宅地図情報の取得要求を送信する(ステップS704)。住宅地図情報の取得要求には、例えば、上記のステップS703で判定された表示タイプ及び縮尺と、取得範囲とが含まれる。
住宅地図サーバ装置30の情報管理部302は、住宅地図情報の取得要求を受信すると、当該取得要求に含まれる表示タイプ及び縮尺(すなわち、現在表示されているナビゲーション用地図の表示タイプ及び縮尺)と同一表示タイプ及び同一縮尺であって、かつ、当該取得要求に含まれる取得範囲の住宅地図情報を記憶部310から取得する(ステップS705)。そして、住宅地図サーバ装置30の通信部301は、情報管理部302により取得された住宅地図情報をクライアント端末10に返信する。
なお、情報管理部302は、住宅地図情報の取得要求に含まれる表示タイプ及び縮尺(すなわち、現在表示されているナビゲーション用地図の表示タイプ様及び縮尺)と同一表示タイプ及び同一縮尺の住宅地図情報が記憶部310に存在しない場合、似た表示タイプや近い縮尺であって、かつ、該当の取得範囲の住宅地図情報を記憶部310から取得すれば良い。ある表示タイプが他の表示タイプと似たものであるか否かは、予め設定される。また、近い縮尺とは、例えば、所定の範囲内にある他の縮尺のことである。現在表示されているナビゲーション用地図の表示タイプ及び縮尺と少なくとも似た表示タイプ又は少なくとも近い縮尺の住宅地図に切り替えることで、ナビゲーション用地図の表示態様と類似する表示態様の住宅地図に表示を切り替えることができる。
例えば、現在表示されているナビゲーション用地図の表示タイプが「カラー版」、縮尺が「1/2500」であったものとする。このとき、例えば、表示タイプ「カラー版」、縮尺「1/2500」の住宅地図情報が存在しないものの、表示タイプ「カラー版」、縮尺「1/1500」の住宅地図情報が存在する場合、情報管理部302は、この表示タイプ「カラー版」、縮尺「1/1500」の住宅地図情報を取得すれば良い。
同様に、例えば、表示タイプ「カラー版」、縮尺「1/2500」の住宅地図情報が存在しないものの、表示タイプ「モノクロ版」、縮尺「1/2500」の住宅地図情報が存在する場合、情報管理部302は、この表示タイプ「モノクロ版」、縮尺「1/2500」の住宅地図情報を取得すれば良い。
切替先の地図がナビゲーション用地図であると判定された場合、クライアント端末10の通信部101は、ナビゲーションサーバ装置20に対して、ナビゲーション用地図情報の取得要求を送信する(ステップS706)。ナビゲーション用地図情報の取得要求には、例えば、上記のステップS703で判定された表示タイプ及び縮尺と、取得範囲とが含まれる。
ナビゲーションサーバ装置20の情報管理部203は、ナビゲーション用地図情報の取得要求を受信すると、当該取得要求に含まれる表示タイプ及び縮尺(すなわち、現在表示されている住宅地図の表示タイプ及び縮尺)と同一の表示タイプ及び縮尺であって、かつ、当該取得要求に含まれる取得範囲のナビゲーション用地図情報を記憶部210から取得する(ステップS707)。そして、ナビゲーションサーバ装置20の通信部201は、情報管理部203により取得されたナビゲーション用地図情報をクライアント端末10に返信する。
なお、上記のステップS705で説明したのと同様に、情報管理部203は、ナビゲーション用地図情報の取得要求に含まれる表示タイプ及び縮尺(すなわち、現在表示されている住宅地図の表示タイプ及び縮尺)と同一表示タイプ及び同一縮尺のナビゲーション用地図情報が記憶部210に存在しない場合、似た表示タイプや近い縮尺であって、かつ、該当の取得範囲のナビゲーション用地図情報を記憶部210から取得すれば良い。現在表示されている住宅地図の表示タイプ及び縮尺と少なくとも似た表示タイプ又は少なくとも近い縮尺のナビゲーション用地図に切り替えることで、住宅地図の表示態様と類似する表示態様のナビゲーション用地図に表示を切り替えることができる。
ステップS705又はステップS707に続いて、クライアント端末10の通信部101は、ナビゲーションサーバ装置20に対して、経路情報の取得要求を送信する(ステップS708)。
ナビゲーションサーバ装置20の情報管理部203は、経路情報の取得要求を受信すると、経路情報を経路情報記憶部220から取得する(ステップS709)。そして、ナビゲーションサーバ装置20の通信部201は、情報管理部203により取得された経路情報をクライアント端末10に返信する。
なお、例えば、クライアント端末10が経路情報を保持している場合には、上記のステップS708及びステップS709は行われなくても良い。この場合、後述するステップS710では、クライアント端末10の表示制御部106は、保持している経路情報を用いて、ナビゲーション用地図又は住宅地図上に経路を重畳表示させれば良い。また、切替先の地図がナビゲーション用地図である場合には、上記のステップS707の返信として、ナビゲーション用地図情報に加えて、経路情報が返信されても良い。
次に、クライアント端末10の表示制御部106は、受信した住宅地図情報又はナビゲーション用地図情報に基づいて、切替先の地図(住宅地図又はナビゲーション用地図)を表示すると共に、受信した経路情報に基づく経路を当該地図上に重畳表示させる(ステップS710)。
なお、このとき、表示制御部106は、切替前の地図と切替後の地図とで同一の向きとなるように、当該切替後の地図を表示することが好ましい。これにより、例えば、切替前の地図が回転して表示されているような場合に、切替の前後で向きが異なってしまうことによるユーザの違和感を防止することができる。
また、表示制御部106は、切替後の地図において、切替前の地図の地図情報に含まれる1以上のレイヤーを重ねて表示しても良い。例えば、ナビゲーション用地図から住宅地図に表示切替を行った場合において、ナビゲーション用地図で表示されるアイコンを含むレイヤーを、住宅地図上に重ねて表示しても良い。これにより、例えば、ナビゲーション用地図に表示される種々のアイコンや注記等を、住宅地図でも表示することができるようになる。
以上のように、本実施形態に係る地図表示システム1では、クライアント端末10上に表示される異なる地図(例えば、ナビゲーション用地図及び住宅地図)同士を相互に切り替えることができる。しかも、本実施形態に係る地図表示システム1では、現在表示されている地図と同一表示タイプ(又は似た表示タイプ)、かつ、同一縮尺(又は近い縮尺)となるように異なる地図に表示を切り替える。
より具体的には、本実施形態に係る地図表示システム1では、例えば、クライアント端末10上にナビゲーション用地図が表示されている場合に、当該クライアント端末10のユーザが目的地Gから所定の範囲内に入ると、表示態様を維持したまま(又は類似する表示態様となるように)、ナビゲーション用地図から住宅地図に表示を切り替えることができる。同様に、例えば、クライアント端末10上に住宅地図が表示されている場合に、当該クライアント端末10のユーザが目的地Gから所定の範囲外に出ると、表示態様を維持したまま(又は類似する表示態様となるように)、住宅地図からナビゲーション用地図に表示を切り替えることができる。
これにより、本実施形態に係る地図表示システム1では、切替前後の地図を同一の表示態様で表示することができ、クライアント端末10上に表示される地図の表示切替に伴うユーザの違和感(すなわち、切替前後で地図の表示態様が異なるために生ずる違和感)を軽減することができる。
なお、図7では、現在表示中の地図が住宅地図で、切替先の地図がナビゲーション用地図である場合に、クライアント端末10がナビゲーションサーバ装置20からナビゲーション用地図情報を取得する場合について説明した(上記のステップS706〜ステップS707)が、当該クライアント端末10がナビゲーション用地図情報を保持している場合(ナビゲーション用地図情報をナビゲーションサーバ装置20から既に取得している場合)は、これらステップS706〜ステップS707の処理を行わなくても良い。これは、例えば、クライアント端末10で通常表示する地図がナビゲーション用地図であり、目的地G付近で一時的に住宅地図に切替表示するような場合は、クライアント端末10には、住宅地図に切替表示される前に表示されていたナビゲーション用地図のナビゲーション用地図情報が保持されているためである。
なお、図7における各処理の実行主体は、一例であって、これら各処理の一部又は全部の実行主体が異なっていても良い。例えば、図7では、ステップS702やステップS703をクライアント端末10が実行しているが、これらの処理は、例えば、ナビゲーションサーバ装置20又は住宅地図サーバ装置30で実行されても良い。また、例えば、クライアント端末10がナビゲーション用地図情報やネットワーク情報、住宅地図情報等を保持し、図7における全ての処理をクライアント端末10単独で実行しても良い。更に、例えば、図7における全ての処理をクライアント端末10単独で実行する場合に、クライアント端末10は、一部の情報(例えば、住宅地図情報等)を外部サーバから取得しても良い。
このように、図7における各処理は、1台の装置が行っても良いし、複数の装置で行っても良い。また、図7における各処理に用いられる各種情報(例えば、ナビゲーション用地図情報やネットワーク情報、住宅地図情報等)も、1台の装置に保持されていても良いし、複数台の装置で分散して保持されていても良い。
≪自己位置の更新処理≫
次に、クライアント端末10上に地図(ナビゲーション用地図又は住宅地図)が表示されている場合に、当該地図上に重畳表示される自己位置Pを更新する処理について、図8を参照しながら説明する。図8は、第一の実施形態に係る自己位置Pの更新処理の一例を示すフローチャートである。なお、図8に示す自己位置Pの更新処理は、住宅地図が表示されている場合はバックグラウンドで実行される。
まず、クライアント端末10の位置取得部104は、GPS受信機19により測定された位置情報を取得する(ステップS801)。
次に、クライアント端末10のマッチング部105は、ルートマッチング(又はマップマッチング)処理を行って、位置取得部104により取得された位置情報が示す位置が経路(又は道路ネットワーク)上となるように、当該位置情報を補正する(ステップS802)。
なお、ルートマッチング処理による位置情報の補正は、クライアント端末10が保持する経路情報(経路の座標点列を示す情報)に基づいて、当該クライアント端末10で行われる。ただし、これに限られず、ナビゲーションサーバ装置20でルートマッチングが行われも良い。
また、マップマッチング処理よる位置情報の補正は、ナビゲーションサーバ装置20の記憶部210に記憶されているネットワーク情報に基づいて、当該ナビゲーションサーバ装置20で行われる。ただし、これに限られず、ナビゲーションサーバ装置20から取得したネットワーク情報を用いて、クライアント端末10で行われても良い。
次に、クライアント端末10の表示制御部106は、マッチング部105により補正された位置情報が示す位置に自己位置Pを更新する(ステップS803)。これにより、地図(ナビゲーション用地図又は住宅地図)上の自己位置Pが更新される。
以上のように、本実施形態に係る地図表示システム1では、クライアント端末10上に表示された地図上の自己位置Pを更新することができる。特に、本実施形態に係る地図表示システム1では、例えば、住宅地図のような経路案内を目的としない地図(言い換えれば、ネットワーク情報が整備されていない地図)がクライアント端末10上に表示されている場合であっても、ルートマッチング(又はマップマッチング)処理により補正された自己位置Pを表示することができるようになる。
[第二の実施形態]
次に、第二の実施形態について説明する。第一の実施形態では、例えば、自己位置Pが目的地Gから所定の範囲内(半径200m以内等)に入った場合にナビゲーション用地図から住宅地図に表示切替を行う一方で、自己位置Pが当該範囲外に出た場合に住宅地図からナビゲーション用地図に表示切替を行う場合について説明した。
ところで、例えば、ナビゲーション用地図から住宅地図に表示が切り替わった後に、ユーザが迷ってしまい、目的地Gを探して移動しているうちに自己位置Pが当該範囲外となってしまうことがある。この場合、第一の実施形態に係る地図表示システム1では、ユーザがまだ目的地Gを探しているにも関わらず、住宅地図からナビゲーション用地図に表示が切り替わってしまい、ユーザの意図に反することがある。
そこで、第二の実施形態では、例えば、ユーザが目的地Gから所定の範囲内に入ったことで住宅地図に表示切替が行われた場合、その後ユーザが当該範囲から出たとしても、住宅地図サーバ装置30から取得された住宅地図の範囲内であるときは表示切替を行わない場合について説明する。
例えば、図9に示すように、目的地Gから所定の範囲R1(以降では、この範囲を「第1の切替範囲R1」とも表す。)内に自己位置Pが入ったことで、目的地Gを中心として9画面分の住宅地図情報(すなわち、住宅地図1〜住宅地図9の9つ住宅地図を示す住宅地図情報)が住宅地図サーバ装置30から取得されたものとする。このとき、例えばユーザが迷ってしまい、破線L上を移動して自己位置Pが第1の切替範囲R1外となってしまった場合でも、本実施形態では地図の表示切替は行わない。すなわち、第1の切替範囲R1とは、ナビゲーション用地図が表示されている場合において、住宅地図へ表示切替を行う範囲のことである。
一方で、ユーザが更に破線L上を移動して自己位置Pが第2の切替範囲R2外となってしまった場合、本実施形態では地図の表示切替を行う。すなわち、第2の切替範囲R2とは、住宅地図が表示されている場合において、ナビゲーション用地図へ表示切替を行う範囲のことである。この第2の切替範囲R2は、ナビゲーション用地図から住宅地図に表示切替が行われた際に住宅地図サーバ装置30から取得された住宅地図情報の取得範囲である。
このように、本実施形態に係る地図表示システム1では、現在表示中の地図が住宅地図であり、かつ、現在位置Pが第2の切替範囲R2内である場合(言い換えれば、スクロール等によって住宅地図が表示可能である場合)には、住宅地図からナビゲーション用地図への表示切替を行わない。これにより、例えばユーザが迷ってしまったことで、まだ目的地Gを探しているにも関わらず、一時的に経路から外れ、自己位置Pが第1の切替範囲R1外となってしまった場合に、ユーザの意図に反する表示切替を防止することができる。なお、第1の切替範囲R1は、第2の切替範囲R2に含まれる。
なお、第二の実施形態では、主に、第一の実施形態との相違点について説明し、第一の実施形態と同一の構成要素については、その説明を省略するものとする。
<処理の詳細>
以降では、クライアント端末10上に表示されている地図(ナビゲーション用地図又は住宅地図)を切り替える処理について、図10を参照しながら説明する。図10は、第二の実施形態に係る地図の表示切替処理の一例を示すシーケンス図である。なお、図10におけるステップS701〜ステップS710の処理は、図7と同様であるため、その説明を省略する。
ステップS702に続いて、クライアント端末10の判定部103は、地図の切替要否を判定する(ステップS1001)。
地図の切替要否は、例えば、現在表示されている地図(ナビゲーション用地図又は住宅地図のいずれか)と、自己位置Pと、第1の切替範囲R1と、第2の切替範囲R2とに基づいて、以下の(1)〜(3)のように判定される。
(1)現在表示されている地図がナビゲーション用地図で、自己位置Pが第1の切替範囲R1に入ってきた場合、判定部103は、地図の表示切替が必要であると判定する。
(2)現在表示されている地図が住宅地図で、自己位置Pが第1の切替範囲R1から出たものの、自己位置Pが第2の切替範囲R2内(すなわち、住宅地図情報の取得範囲内)である場合、判定部103は、地図の表示切替が不要であると判定する。この場合、クライアント端末10上には引き続き住宅地図が表示されるのが好ましいためである。なお、このとき、ユーザは、住宅地図情報の取得範囲内において、住宅地図をスクロールして表示することができる。
(3)現在表示されている地図が住宅地図で、自己位置Pが第2の切替範囲R2外となった場合、判定部103は、地図の表示切替が必要であると判定する。この場合、クライアント端末10上の地図を住宅地図からナビゲーション用地図に切り替えて表示することが好ましいためである。
これにより、本実施形態に係る地図表示システム1では、住宅地図に表示が切り替わった後に、ユーザが迷ったこと等で自己位置Pが第1の切替範囲R1外に出てしまった場合でも、ユーザの意図しないナビゲーション用地図への表示切替を防止することができる。
<まとめ>
以上のように、第一の実施形態に係る地図表示システム1は、地図の表示タイプ及び縮尺を維持したまま(又は似た表示タイプや近い縮尺となるように)、ナビゲーション用地図と住宅地図との表示を相互に切り替えることができる。これにより、第一の実施形態に係る地図表示システム1では、地図の表示が切り替わった際に生じるユーザに対する違和感(例えば、地図の表示態様が異なることにより生じる違和感)を軽減することができる。
また、第二の実施形態に係る地図表示システム1は、ユーザの自己位置Pが第1の切替範囲R1に入った場合に第1の地図(例えばナビゲーション用地図)から第2の地図(例えば住宅地図)に表示を切り替える一方で、自己位置Pが第1の切替範囲R1から出た場合であっても、自己位置Pが第2の切替範囲R2内である場合(すなわち、第2の地図が表示可能である場合)には、第2の地図から第1の地図への表示切替を行わないようにすることができる。これにより、第二の実施形態に係る地図表示システム1では、ユーザの意図しない表示切替が行われることを防止することができる。
また、第一の実施形態及び第二の実施形態に係る地図表示システム1では、ナビゲーション用地図と住宅地図との表示を相互に切り替える場合について説明したが、切替可能な地図は、これらに限られない。例えば、ナビゲーション用地図と、種々の地図とを相互に切り替えても良い。このような種々の地図には、例えば、登山マップ、観光に特化した地図、防災地図(浸水危険マップ、避難所マップ、津波マップ、火災危険マップ等)、統計地図(年収マップ、貯蓄ランクマップ、消費支出推定マップ、商業集積マップ、建物統計マップ等)、飲食店マップ等が挙げられる。
第一の実施形態及び第二の実施形態に係る地図表示システム1により、主に経路案内を行うためのナビゲーション用地図と、種々の地図との相互に切り替えて表示することで、ネットワーク情報が整備されてないこれら種々の地図の表示中であっても、ナビゲーション用地図の表示中と同様の経路案内をユーザに対して提供することができるようになる。
本発明は、具体的に開示された上記の各実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。