以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。図面中の同一部分には、同一番号を付してその詳しい説明は適宜省略し、異なる部分について説明する。なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
図1(a)および図1(b)は、実施形態にかかる照明器具を表す模式的斜視図である。
図2は、実施形態にかかる照明器具を表す模式的分解図である。
図3(a)および図3(b)は、実施形態にかかる照明器具を表す模式的平面図である。
図1(a)は、実施形態にかかる照明器具の発光面側を表す模式的斜視図である。図1(b)は、実施形態にかかる照明器具の発光面とは反対側を表す模式的斜視図である。図3(a)は、実施形態にかかる照明器具の発光面側を表す模式的平面図である。図3(b)は、図3(a)に表した領域A1を拡大して眺めた模式的拡大図である。
実施形態にかかる照明器具は、器具取付面に設置された配線器具としての引掛けシーリングボディに取付けられて使用される一般家庭用のものである。実施形態にかかる照明器具は、基板に実装された複数の発光素子を有する光源部から放射される光によって室内の照明を行うものである。
図1(a)〜図3(b)に表したように、実施形態にかかる照明器具100は、電源部110と、器具本体120と、光源部130と、配光制御部140と、カバー150と、を備える。
カバー150は、例えば、乳白色のアクリル樹脂成形体であり、光透過性を有する。カバー150の下面150aは、発光面を形成する。
図1(a)〜図3(b)に表した照明器具100の外形は円形であるが、これに限定されるわけではない。例えば、照明器具100の外形は、楕円または方形であってもよい。
電源部110は、冷間圧延鋼板等の金属材料の平板から成形されたシャーシを有する。電源部110のシャーシは、環状に組み合せられている。電源部110のシャーシの内部には、制御部115を含む回路部品116が設けられている(図2参照)。図1(b)に表したように、電源部110は、上面110aの中央に嵌合部111を有する。嵌合部111は、例えば、住宅の天井に設けられた接続器具(配線器具)としての引掛けシーリングボディに嵌合し、器具本体120を天井に固定する。嵌合部111には、引掛けシーリングボディを案内するアダプタガイド113が取り付けられている。
本願明細書においては、説明の便宜上、電源部110からみてカバー150の側を「下方」とし、カバー150からみて電源部110の側を「上方」とする。これは、他の構成要素においても同様である。
器具本体120は、例えば、冷間圧延鋼板等の金属材料の平板を成形したシャーシである。器具本体120の略中央部には、アダプタガイド113を通す穴121が形成されている。
光源部130は、基板131と、複数の発光素子133と、を有し、接続部を介して電源部110と分離可能に設けられる。発光素子133は、基板131の下面131aに設けられる。基板131は、所定の幅寸法を有した略円弧状の2枚の基板が繋ぎ合わされた構造を有し、全体として略環状に形成されている。つまり、全体として略環状に形成された基板131は、2枚の分割された基板を有する。複数の分割された基板131は、基板131の内側において電線135などを介してコネクタ(電気接続部)CNにより電気的に接続されている。基板131は、器具本体120の下面120aに固定される。なお、基板131は、4枚の分割された基板を有していてもよい。
分割された基板を用いることにより、基板131の分割部で熱的収縮を吸収して基板131の変形を抑制することができる。なお、複数に分割された基板を用いることが好ましいが、略環状状に一体的に形成された一枚の基板が用いられてもよい。さらに、特定の基板131の内周側には、電源供給部137が設けられている。電源供給部137は、具体的にはコネクタCNである。点灯装置と電気接続される出力線Wが電源供給部137に接続され、基板131の配線パターンを介して複数の発光素子133に電力が供給される。
基板131の下面131aには、発光素子133の放射光を反射する部材が塗布される。例えば、基板131の下面131aには、酸化チタン等を分散した樹脂が塗布される。
基板131の下面131aに反射部材が塗布されることにより、器具本体120の中央部における輝度の低下を防ぐことができる。
基板131は、例えば、ガラスエポキシ樹脂などの絶縁性基板と、銅箔を用いて形成された配線と、を有する。反射部材は、発光素子133が配設された部分を除いた基板131の下面131aに塗布される。すなわち、基板131は、反射部材により隠された配線を有し、複数の発光素子133を電気的に接続する。
発光素子133は、LED(Light Emitting Diode)である。発光素子133は、表面実装型のLEDパッケージである。図3(a)および図3(b)に表したように、LEDパッケージは、複数(図3(a)の例では2枚)のサークル状の基板131の周方向に沿って実装されている。また、LEDパッケージは、半径の異なる略同心円の周上に複数列(図3(a)の例では3列)に亘って実装されている。つまり、LEDパッケージは、内周側の列(第1の列)、外周側の列(第2の列)、および内周側の列と外周側の列との間の中間の列(第3の列)に亘って実装されている。
LEDパッケージは、概略的にはセラミックスや合成樹脂で形成されたキャビティに配設されたLEDチップと、LEDチップを封止するエポキシ系樹脂やシリコーン樹脂等のモールド用の透光性樹脂と、を有する。
内周側の列に実装されているLEDパッケージ(第1の白色光源)には、発光色が電球色(L)の発光素子133L(第1の発光素子)と、発光色が昼光色(D)の発光素子133D(第2の発光素子)と、が用いられている。昼光色(D)の光の色温度は、電球色(L)の光の色温度よりも高い。つまり、発光素子133Dは、電球色(L)の光の色温度よりも高い色温度の光を放射する。発光素子133Lおよび発光素子133Dは、円周上に略等間隔を空けて交互に並べられて配設されている。LEDチップは、青色光を放射するLEDチップである。透光性樹脂には、蛍光体が混入されている。電球色(L)およ
び昼光色(D)の昼光色系の光を放射できるようにするために、蛍光体として、主として青色の光とは補色の関係にある黄色系の光を放射する黄色蛍光体や赤み成分を補うため赤色蛍光体が用いられている。外周側の列のLEDパッケージ(第2の白色光源)の実装形態は、内周側の列のLEDパッケージの実装形態と同様である。
本願明細書においては、説明の便宜上、発光色が電球色(L)の発光素子133Lおよび発光色が昼光色(D)の発光素子133Dの少なくともいずれかを「白色光源」あるいは「主光源」と称する。言い換えれば、「白色光源」および「主光源」とは、相関色温度の定義域内に色度座標を有する光源をいう。
中間の列に実装されているLEDパッケージには、発光色が赤色(R)の発光素子133R(第3の発光素子)と、発光色が緑色(G)の発光素子133G(第4の発光素子)と、発光色が青色(B)の発光素子133B(第5の発光素子)と、が用いられている。
発光素子133RのLEDチップは、赤色光を放射するLEDチップである。発光素子133GのLEDチップは、緑色光を放射するLEDチップである。発光素子133BのLEDチップは、青色光を放射するLEDチップである。これらのLEDチップが、モールド用の透光性樹脂によって封止されている。
本願明細書においては、説明の便宜上、発光色が赤色(R)の発光素子133R、発光色が緑色(G)の発光素子133G、および発光色が青色(B)の発光素子133Bの少なくともいずれかを「有彩色光源」あるいは「副光源」と称する。言い換えれば、「有彩色光源」および「副光源」とは、単一波長の光または単一波長の光で代表される程度に狭い波長範囲に含まれる光を放射する光源をいう。
発光素子133R、発光素子133G、および発光素子133Bは、略円周上に順次、発光素子133R、発光素子133G、および発光素子133Bと連続的に略等間隔を空けて配置されている。
各発光素子が放射する光の波長の詳細、および各発光素子が放射する光の相関色温度の詳細については、後述する。
なお、発光素子133R、発光素子133G、および発光素子133Bの配列は、特定されず順不同でもよく、例えば、発光素子133G、発光素子133R、発光素子133Bの順に配列してもよい。また、隣り合う発光素子は、互いに異なる色の光を放射することが好ましいが、格別限定されるものではない。一例としては、発光素子133R、発光素子133R、発光素子133G、発光素子133G、発光素子133B、および発光素子133Bのように同色の光を放射する発光素子を2個ずつ連続的に配置することも可能である。
実施形態によれば、発光色が互いに異なる複数の発光素子133、すなわち、電球色(L)の光を放射する発光素子133L、昼光色(D)の光を放射する発光素子133D、赤色(R)の光を放射する発光素子133R、緑色(G)の光を放射する発光素子133G、および青色(B)の光を放射する発光素子133Bが配置されている。これにより、各色の光を混合することで表現可能な光色の範囲を広くすることができる。また、各発光素子から放射される光の出力を個別に制御することで光色を適切に調色することができる。本願明細書においては、説明の便宜上、各色の光が所定の比率で混合された光を「混光」と称する。
配光制御部140は、発光素子133の配光を制御する。配光制御部140について、図面を参照しつつさらに説明する。
図4(a)および図4(b)は、実施形態にかかる照明器具を表す模式的断面図である。
図5(a)および図5(b)は、実施形態にかかる照明器具を表す模式的断面図である。
図4(a)は、図3(a)に表した切断面A−Aにおける模式的断面図である。図4(b)は、図3(a)に表した切断面B−Bにおける模式的断面図である。図5(a)は、図3(a)に表した切断面C−Cにおける模式的断面図である。図5(b)は、図3(a)に表した切断面D−Dにおける模式的断面図である。
図4(a)に表したように、配光制御部140は、器具本体120に固定され、発光素子133、並びに、分割された複数の基板131の間の電気接続部および電源供給部を覆う。配光制御部140の材料は、例えば樹脂を含む。配光制御部140は、光源部(充電部)130の全体を覆う。そのため、配光制御部140は、光源部130を保護する機能を有する。なお、配光制御部140の内周側には基板131の電気接続部および電源供給部に対応した凸部145が形成されている。凸部145は、環状方向である周方向にコネクタ寸法よりも長い寸法に形成されている。すなわち、配光制御部140は、回動させることによって器具本体120に着脱する構造であるため、配光制御部140の回動の際に電気接続部CNおよび電線135と干渉しないように周方向にコネクタ寸法よりも長い凸部145を有する。
配光制御部140は、レンズ部141を有する。レンズ部141は、第1の部分141aと、第2の部分141bと、第3の部分141cと、を有する。また、第1の部分141aと第3の部分141cとの間、第2の部分141bと第3の部分141cとの間、第1の部分141aの内周側、および第2の部分141bの外周側の基板131に対応する平坦部141eの領域には、光拡散部141fが形成されている。光拡散部141fは、例えば凹凸パターンを施すことによって形成されている。光拡散部141fは、拡散シートなどを貼り付けるなど別の手段により形成されても構わない。第1の部分141aは、内周側の列の発光素子133(図4(b)の例では発光素子133Lおよび発光素子133D)を覆い、内周側の列の発光素子133の配光を制御する。第3の部分141cは、中間の列の発光素子133(図4(b)の例では発光素子133R、発光素子133G、および発光素子133B)を覆い、中間の列の発光素子133の配光を制御する。第2の部分141bは、外周側の列の発光素子133(図4(b)の例では発光素子133Lおよび発光素子133D)を覆い、外周側の列の発光素子133の配光を制御する。つまり、実施形態の配光制御部140は、各列に配設された発光素子133の配光を、列ごとに独立に制御する。
これにより、カバー150の下面(発光面)150aにおける色むらおよび輝度むらを軽減し、色度および輝度の均一化を図ることができる。
ここで、外周側の列の発光素子133および内周側の列の発光素子133を非点灯とし、中間の列の発光素子133だけを点灯させた場合に、レンズ部141の形状によってはカバー150の下面150aにおいて輝線が生ずることがある。より具体的には、例えば図4(b)に表した矢印A11および矢印A12のように、中間の列の発光素子133から放射された光が第3の部分141cを透過し、第1の部分141aおよび第2の部分141bの少なくともいずれかに入射すると、カバー150の下面150aにおいて輝線が生ずることがある。
これに対して、実施形態のレンズ部141の第3の部分141cの表面には、拡散処理部141dが設けられている。例えば、レンズ部141の第3の部分141cの表面には、ドット状の散乱体、いわゆるシボパターンが形成されている。また、発光素子133からレンズ部141に入射した光のうちの一部の光であって、出射面で反射してレンズ部141の背面側の平坦部に向かう光は、配光制御部140の平坦部141eの領域に向かう。仮に光拡散部141fが形成されていない場合には、配光制御部140の平坦部141eで光が反射し、反射した光がレンズ部141から出射される。これにより、輝線が発生し、この輝線がカバー150に映り込むことでカバー150の輝度ムラが生じる。これに対して、配光制御部140の平坦部141eに光拡散部141fが形成されることにより、平坦部141eに向かった光が光拡散部141fで拡散される。そのため、レンズ部141からの光度の強い輝線は発生せず、カバー150の輝度ムラの発生を抑制することができる。
これにより、図4(b)に表した矢印A13および矢印A14のように、第3の部分141cを透過した光は、第3の部分141cの表面の拡散処理部141dにより拡散する。すると、第1の部分141aおよび第2の部分141bに入射する光の量が軽減される。そのため、カバー150の下面150aにおいて輝線が生ずることを抑えることができる。一方で、第1の部分141aの表面および第2の部分141bの表面には、拡散処理部は設けられていない。そのため、照明器具100の光束量が低下することを抑えることができる。なお、薄型化などのためにカバー150とレンズ部141との間の距離を小さくした場合には、光拡散部141fを形成したとしても輝度の発生を抑制できない場合がある。この場合には、レンズ部141の入射面にも拡散処理を施していても構わない。
図2に関して前述したように、基板131は、器具本体120の下面120aに固定される。図5(a)に表したように、基板131は、穴131bを有する。一方、器具本体120の下面120aには、下方(発光面側)へ突出した突起部123が設けられている。基板131を器具本体120の下面120aに取り付ける際には、まず、基板131の穴131bと器具本体120の突起部123との位置を合わせ、器具本体120の突起部123を基板131の穴131bに挿入する。これにより、基板131を器具本体120の下面120aに仮固定あるいは仮置きすることができる。
前述したように、配光制御部140は、器具本体120に固定される。図5(b)に表したように、配光制御部140は、爪部143を有する。爪部143は、鉤形の形状を有する。爪部143の先端部は、器具本体120の下面120aと略平行方向に延在する。
一方、器具本体120は、穴125を有する。穴125の長さD1は、爪部143の先端部の長さD2よりも長い。配光制御部140を器具本体120に取り付ける際には、まず、器具本体120の穴125と爪部143との位置を合わせ、爪部143を器具本体120の穴125に挿入する。続いて、図4(a)に表した矢印A16の方向へ配光制御部140を回転させる。これにより、配光制御部140が器具本体120に固定される。より具体的には、各爪部143が器具本体120の背面側に引っ掛かり、配光制御部140を器具本体120に向け引き寄せる。これにより、器具本体120と配光制御部140との間に基板131を挟持した状態で器具本体120と配光制御部140とが嵌合される。
図6(a)〜図6(c)は、実施形態の発光素子が放射する光の相対分光分布を表すグラフ図である。
図6(a)は、電球色(L)の光を放射する発光素子133Lの相対分光分布を例示するグラフ図である。図6(b)は、緑色(G)の光を放射する発光素子133Gの相対分光分布を例示するグラフ図である。図6(c)は、赤色(R)の光を放射する発光素子133Rの相対分光分布を例示するグラフ図である。
図6(a)〜図6(b)に表したグラフ図の横軸は、波長(ナノメートル:nm)を表す。図6(a)〜図6(b)に表したグラフ図の縦軸は、相対エネルギーを表す。
図6(a)に表したように、電球色(L)の光を放射する発光素子133Lは、550nm以上、650nm以下の範囲にピーク波長を有する。発光素子133Lが放射する電球色(L)の光の相関色温度は、2000ケルビン(K)以上、3500K以下である。
図6(b)に表したように、緑色(G)の光を放射する発光素子133Gは、500nm以上、560nm以下の範囲にピーク波長を有する。
図6(c)に表したように、赤色(R)の光を放射する発光素子133Rは、600nm以上においてピーク波長を有する。より具体的には、赤色(R)の光を放射する発光素子133Rは、620nm以上、640nm以下の範囲にピーク波長を有する。
また、昼光色(D)の光を放射する発光素子133Dは、440nm以上、480nm以下の範囲にピーク波長を有する。
青色(B)の光を放射する発光素子133Bは、440nm以上、480nm以下の範囲にピーク波長を有する。
図7は、実施形態にかかる照明器具の要部構成を表すブロック図である。
図8(a)および図8(b)は、実施形態のリモコン送信器を表す模式的平面図である。
図7に表した照明器具100は、電源部110と、光源部130と、間接光光源部160と、制御部115と、を備える。電源部110は、商用交流電源ACに接続される。光源部130は、電源部110に接続される。
電源部110は、直流電源として機能し、商用交流電源ACを受けて直流出力を生成する。光源部130は、図1(a)〜図6(c)に関して前述した通りである。
間接光光源部160は、図1(b)に表したように、器具本体120の背面側(上側)に配設され、主として天井面を照らす機能を有する。間接光光源部160は、嵌合部111の周囲に複数設けられ、基板161と、複数の発光素子163と、を有する。基板161は、例えば略長方形状の平板に形成されている。発光素子163は、基板161の長手方向に沿って略直線状に並べられ基板161に実装されている。発光素子163は、電球色(L)の光を放射する。
間接光光源部160は、電源部110の上部の側壁の4箇所に取り付けられている。より具体的には、図1(b)に表したように、電源部110の上部は、略四角形の形成されている。間接光光源部160は、略四角形の形状を呈する電源部110の上部の側壁に取り付けられている。4箇所に取り付けられた間接光光源部160のそれぞれは、カバー165に覆われている。
制御部115は、設定情報入出力部115aと、調光制御手段115bと、記憶手段115cと、を有する。調光制御手段115bは、設定情報入出力部115aに接続されている。記憶手段115cは、設定情報入出力部115aに接続されている。設定情報入出力部115aには、リモコン信号受信部127が接続されている。記憶手段115cには、モード記憶部118aが設けられている。
調光制御手段115bには、PWM制御回路117aと、スイッチング制御回路117bと、が設けられている。スイッチング制御回路117bは、PWM制御回路117aに接続されている。図7に表したように、PWM制御回路117aおよびスイッチング制御回路117bは、電球色(L)の光を放射する発光素子133Lと、昼光色(D)の光を放射する発光素子133Dと、赤色(R)の光を放射する発光素子133Rと、緑色(G)の光を放射する発光素子133Gと、青色(B)の光を放射する発光素子133Bと、間接光光源部160の発光素子163と、のそれぞれに対して設けられている。つまり、6個のPWM制御回路117aおよび6個のスイッチング制御回路117bが設けられている。
これにより、光源部130と、間接光光源部160と、を独立して制御可能である。また、発光色ごとの調光制御(個別制御)が可能となっている。したがって、光源部130については、発光色ごとの調光比を調整して発光色ごとの光出力を可変し、電球色(L)と、昼光色(D)と、赤色(R)と、緑色(G)と、青色(B)と、の発光色を混色して所望の発光色を表現することができる(個別制御モード)。例えば、使用者は、リモコン送信器180の「R」ボタン185、「G」ボタン186、および「B」ボタン187の少なくともいずれかを操作することにより、発光色ごとの調光比を調整して発光色ごとの光出力を変更することができる。図8(a)および図8(b)に表したリモコン送信器180では、「R」ボタン185、「G」ボタン186、および「B」ボタン187は、通常状態ではカバー部180aより隠蔽されている一方で、使用者がカバー部180aをスライドさせると外部に現れる。
実施形態にかかる照明器具100では、生活シーンに合わせた光空間を演出するため、複数の点灯モードのうちから所望のモードを選択して切替えることができる。より具体的には、発光素子133および発光素子163において、発光色ごとの光出力が調整された複数のモード設定情報(点灯パターン情報)がモード記憶部118aに格納されている。使用者は、モード記憶部118aに格納された点灯モードをリモコン送信器180によって選択し、点灯パターンを再現することができる。
例えば、「キレイ」モードと、「くつろぎ」モードと、「シアター」モードと、「おやすみアシスト」モード(第1の点灯モード)と、が設定されている。
「キレイ」モードは、電球色(L)と、昼光色(D)と、赤色(R)と、緑色(G)と、青色(B)と、の発光色を混色し、色の再現性の高い演色性に優れた昼光色系の光を表現して、食卓や色彩を鮮やかにきれいに見せる。「キレイ」モードにおける混光の平均演色評価数(Ra)は、例えば「95」である。例えば、使用者は、リモコン送信器180の「キレイ」ボタン181を押すことにより、「キレイ」モードを選択し実行させることができる。
「くつろぎ」モードは、光源部130による電球色(L)の下向きの光と、間接光光源部160による電球色(L)の上向きの光と、の組み合わせにより、空間全体を電球色(L)のやわらかい光で照らし、落ち着きのあるくつろぎ空間を演出する。例えば、使用者は、リモコン送信器180の「くつろぎ」ボタン182を押すことにより、「くつろぎ」モードを選択し実行させることができる。
「シアター」モードは、間接光光源部160による電球色(L)の上向きの光のみによる照明である。「シアター」モードは、天井面を照らすことができ、映画館の臨場感を演出し、ホームシアターを楽しむ光空間を創出する。例えば、使用者は、リモコン送信器180の「シアター」ボタン183を押すことにより、「シアター」モードを選択し実行させることができる。
「おやすみアシスト」モードは、昼光色(D)の光を放射する発光素子133Dおよび青色(B)の光を放射する発光素子133Bを不点とし、電球色(L)と、赤色(R)と、緑色(G)と、の発光色を混色する。「おやすみアシスト」モードは、メラトニン抑制度が比較的低い光を実現することができ、夜間の照明による睡眠への悪影響を低減して使用者に対して快眠を促す。「おやすみアシスト」モードにおける混光の平均演色評価数(Ra)は、比較的高く、電球色(L)の光、赤色(R)の光、および緑色(G)の光のそれぞれの平均演色評価数(Ra)よりも高い。「おやすみアシスト」モードにおいて電球色(L)と、赤色(R)と、緑色(G)と、の発光色が混色された光(混光)の相関色温度は、電球色(L)の光の相関色温度よりも低い。例えば、使用者は、リモコン送信器180の「おやすみアシスト」ボタン184を押すことにより、「おやすみアシスト」モードを選択し実行させることができる。
このように設定された点灯モードを再現する場合には、使用者は、リモコン送信器180を操作して、特定のモードを選択する。モード選択信号がリモコン信号受信部127で受信されると、受信された信号が設定情報入出力部115aに送信される。設定情報入出力部115aは、選択されたモード設定情報(点灯パターン情報)をモード記憶部118aから読み出し、調光制御手段115bに送信する。
調光制御手段115bにおけるPWM制御回路117aは、モード設定情報に基づいてPWM制御信号を生成してスイッチング制御回路117bへ送出する。スイッチング制御回路117bは、PWM制御信号に基づいてPWM制御し、光源部130の各発光素子133および間接光光源部160の発光素子163に電源部110からの直流出力を供給する。これにより、モード設定情報に従った調光比で各色の発光素子133、163が発光色ごとに制御され、所定の混光比で発光され、全体として混色した発光色が表現される。
「おやすみアシスト」モードについて、図面を参照しつつさらに説明する。
図9は、「おやすみアシスト」モードにおいて発光素子が放射する光の相対分光分布を表すグラフ図である。
図9に表したグラフ図の横軸は、波長(ナノメートル:nm)を表す。図9に表したグラフ図の縦軸は、相対エネルギーを表す。図9に表した相対分光分布は、電球色(L)の光を放射する発光素子133Lと、赤色(R)の光を放射する発光素子133Rと、緑色(G)の光を放射する発光素子133Gと、を「0.83:0.12:0.05」の比率で混光した例を表す。
「おやすみアシスト」モードにおいて放射される混光の分光分布は、600nm以上、650nm以下の波長範囲においてエネルギーのピークを有する。図9に表した相対分光分布では、波長が635nmの場合にエネルギーのピークが存在する。
分光分布のエネルギーの最大値を「1」とすると、「おやすみアシスト」モードにおいて放射される混光の380nm以上、500nm以下の波長範囲におけるエネルギーのピーク値は、0.25以下である。図9に表した相対分光分布では、380nm以上、500nm以下の波長範囲におけるピークの相対エネルギーは、「0.2」である。分光分布のエネルギーの最大値を「1」とすると、「おやすみアシスト」モードにおいて放射される混光の530nm以上、600nm以下の波長範囲におけるエネルギーのピーク値は、0.25以上、0.6以下である。図9に表した相対分光分布では、530nm以上、600nm以下の波長範囲におけるピークの相対エネルギーは、「0.48」である。
発光素子133Lが放射する電球色(L)の光の平均演色評価数(Ra)は、「84」である。前述した比率(0.83:0.12:0.05)の混光の平均演色評価数(Ra)は、「93」である。つまり、電球色(L)の光を放射する発光素子133Lと、赤色(R)の光を放射する発光素子133Rと、緑色(G)の光を放射する発光素子133Gと、の混光により、電球色(L)の光が放射される場合と比較して、平均演色評価数(Ra)が高まっている。
図10は、混光比とメラトニン抑制度との間の関係を例示する表である。
図11は、電球色の光を放射する発光素子の調光比と、メラトニン抑制度相対値と、の間の関係を例示するグラフ図である。
本発明者は、電球色(L)の光を放射する発光素子133Lと、赤色(R)の光を放射する発光素子133Rと、緑色(G)の光を放射する発光素子133Gと、の混光比(調光比)と、メラトニン抑制度と、の間の関係について検討を行った。メラトニン抑制度については、Brainardのメラトニン作用感度曲線をBrainard(λ)とし、次の式により算出した。
Brainard(λ)×相対分光分布/V(λ)×相対分光分布 ・・・式(1)式(1)の中の「V(λ)」は、明所視標準比視感度である。また、電球色(L)の光を放射する発光素子133Lのみを点灯させたときのメラトニン抑制度を「1」とし、各混光比におけるメラトニン抑制度を相対値で表した。検討の結果の例は、図10に表した通りである。
また、本発明者は、赤色(R)の光を放射する発光素子133Rと、緑色(G)の光を放射する発光素子133Gと、の出力を一定とし、電球色(L)の光を放射する発光素子133Lを減光した場合において、発光素子133Lの混光比と、メラトニン抑制度相対値と、の間の関係について検討を行った。電球色(L)の光を放射する発光素子133Lのみを点灯させたときのメラトニン抑制度を「1」とし、発光素子133Lの各混光比におけるメラトニン抑制度を相対値で表した。検討の結果の例は、図11に表した通りである。
図10に表した表および図11に表したグラフ図によれば、電球色(L)の光を放射する発光素子133Lの混光比を低下させると、メラトニン抑制度が低下する。ここで混光比とは、混合する光の光束の比を表す。
そこで、実施形態の制御部115は、「おやすみアシスト」モードでは、電球色(L)と、赤色(R)と、緑色(G)と、の発光色を混色した後、電球色(L)の光を放射する発光素子133Lのみを減光する制御を実行する。続いて、制御部115は、発光素子133Lの出力が所定値以下になると、発光素子133Gおよび発光素子133Rを減光する制御を実行する。
電球色(L)の光を放射する発光素子133Lの調光率(混光比)が「0.4」になると、混光が相関色温度の定義領域から外れる。混光が相関色温度の定義領域から外れると、見た目の光色が不自然になる可能性がある。そのため、制御部115は、発光素子133Lの混光比を「0.5」に低下させると、発光素子133Lの混光比と、発光素子133Gの混光比と、発光素子133Rの混光比と、を保ったままで、すなわち光色を保ったままで減光し、就寝時に消灯する制御を実行することがより好ましい。
実施形態によれば、生活シーンに合わせた適切な光空間を演出することができる。つまり、「おやすみアシスト」モードにおける混光に含まれる青色光の成分を相対的に低減し、在室者のメラトニン抑制度を低減することで快眠を促すことができる。また、発光素子133Lの出力が所定値以下になると、発光素子133Gおよび発光素子133Rを減光することで、青色光の成分を所定値以下に低減させた後において違和感を抑えた光色を保つことができる。さらに、「おやすみアシスト」モードにおける混光により、平均演色評価数が比較的高い光を提供することができ、室内の光色を自然な光色に保つことができる。
図3(a)および図3(b)に関して前述したように、内周側の列に実装されているLEDパッケージには、発光色が電球色(L)の発光素子133Lと、発光色が昼光色(D)の発光素子133Dと、が用いられている。外周側の列のLEDパッケージの実装形態は、内周側の列のLEDパッケージの実装形態と同様である。中間の列に実装されているLEDパッケージには、発光色が赤色(R)の発光素子133Rと、発光色が緑色(G)の発光素子133Gと、発光色が青色(B)の発光素子133Bと、が用いられている。
これにより、「おやすみアシスト」モードにおいて、昼光色(D)の光を放射する発光素子133Dと、青色(B)の光を放射する発光素子133Bと、を消灯しても、就寝時の消灯の前に色味が低下することを配光制御部140が抑えることができる。そのため、内周側の列の電球色(L)と、中間の列の赤色(R)および緑色(G)と、外周側の列の電球色(L)と、の発光色を、輝度ムラを発生させずに混色することができる。
次に、実施形態の制御部115が実行する制御の例について、図面を参照しつつ説明する。
図12は、実施形態の制御部が「おやすみアシスト」モードにおいて実行する制御の例を説明するxy色度図である。
「おやすみアシスト」モードが設定されると、実施形態の制御部115は、図12に表した色度点Aの混光を放射する制御を実行する。色度点Aの混光の相関色温度は、例えば2200Kである。色度点Aの黒体放射軌跡からの偏差Δuvは、例えば「0」である。
続いて、制御部115は、時間の経過とともに、色度点Aの混光が図12に表した色度点Bの混光へ変化する制御を実行する。色度点Bの座標(x,y)は、例えば(0.62,0.36)である。色度点Bの混光の色は、オレンジ色である。
このように、実施形態の制御部115は、「おやすみアシスト」モードが設定されると、xy色度図上において黒体放射軌跡からの偏差Δuvが±0.02以内の第1の色度点であって、相関色温度で表現可能な第1の色度点の混光(第1の光)を放射する制御を実行する。続いて、制御部115は、第1の色度点の混光が、xy色度図上において、y座標が0.32以上、0.45以下であり、x座標が0.51以上の領域A2であって、スペクトル軌跡に囲まれる領域A2の内部の第2の色度点の混光(第2の光)へ時間経過とともに変化する制御を実行する。
この例によれば、制御部115は、第1の色度点の混光を第2の色度点の混光へ変化させることで、睡眠を比較的妨げにくい低色温度の光を、青色光の成分が相対的にさらに低い光へ変化させる。例えば、制御部115は、就寝の1時間前に第1の色度点の混光を放射させ、就寝の10分前から徐々に第1の色度点の混光を第2の色度点の混光へ変化させつつ明るさを低下させ、就寝時刻に消灯する制御を実行する。これによれば、「おやすみアシスト」モードの初期では、相関色温度の定義領域内の色度を有する光が放射されることで、見た目の違和感を抑えることができる。また、「おやすみアシスト」モードの初期から睡眠時刻(就寝時刻)にかけて、第1の色度点の混光が徐々に赤色の濃くなる色度の領域A2内の第2の色度点の混光に変化することで、睡眠を促すホルモンとしてのメラトニンの分泌を抑制せず、自然な眠りを促すことができる。
図13(a)および図13(b)は、実施形態の制御部が「おやすみアシスト」モードにおいて実行する制御の他の例を説明する相対分光分布である。
図13(a)は、制御部115が光色を変化させる前の光の相対分光分布の例である。図13(b)は、制御部115が光色を変化させた後の光の相対分光分布の例である。図13(a)および図13(b)に表したグラフ図の横軸は、波長(ナノメートル:nm)を表す。図13(a)および図13(b)に表したグラフ図の縦軸は、相対エネルギーを表す。
「おやすみアシスト」モードが設定されると、実施形態の制御部115は、図13(a)の相対分光分布で表される第1の混光(第1の光)を放射する制御を実行する。分光分布のエネルギーの最大値を「1」とすると、第1の混光の500nm以下の波長域におけるエネルギーの最大値は、0.25以下である。図13(a)に表した相対分光分布の例では、第1の混光の500nm以下の波長域におけるエネルギーの最大値は、「0.14」である。
続いて、制御部115は、時間の経過とともに、第1の混光が図13(b)の相対分光分布で表される第2の混光(第2の光)へ変化する制御を実行する。分光分布のエネルギーの最大値を「1」とすると、第2の混光の500nm以下の波長域におけるエネルギーの最大値は、0.1以下である。図13(b)に表した相対分光分布の例では、第2の混光の500nm以下の波長域におけるエネルギーの最大値は、「0.002」である。
この例によれば、制御部115は、第1の混光を第2の混光へ変化させることで、睡眠を比較的妨げにくい低色温度の光を、青色光の成分が相対的にさらに低い光へ変化させる。例えば、制御部115は、就寝の1時間前に第1の混光を放射させ、就寝の10分前から徐々に第1の混光を第2の混光へ変化させつつ明るさを低下させ、就寝時刻に消灯する制御を実行する。これによれば、第1の混光の分光分布に含まれる青色光の成分が所定値以下であるため、メラトニンの分泌を比較的抑制しにくい。また、「おやすみアシスト」モードの初期から睡眠時刻(就寝時刻)にかけて、第1の混光を第2の混光へ変化させることで、メラトニン抑制への悪影響がより一層少ない光を実現することができる。
図14(a)および図14(b)は、実施形態の制御部が実行する制御の例を説明するxy色度図である。
xy色度図上において、電球色(L)の光を放射する発光素子133Lの色度座標、昼光色(D)の光を放射する発光素子133Dの色度座標、赤色(R)の光を放射する発光素子133Rの色度座標、緑色(G)の光を放射する発光素子133Gの色度座標、および青色(B)の光を放射する発光素子133Bの色度座標は、例えば図14(a)に表した通りである。
ここで、任意の混光比の点灯状態から他の混光比の点灯状態に変化させる制御が実行される過程において、各発光素子の混光比によっては不自然な色の光が放射されることがある。例えば、図14(b)に表したように、第1の点灯状態から第2の点灯状態に変化させる場合について説明する。第1の点灯状態では、青色(B)の光を放射する発光素子133Bだけが点灯している。第2の点灯状態では、赤色(R)の光を放射する発光素子133Rと、電球色(L)の光を放射する発光素子133Lと、が点灯している。つまり、第2の点灯状態では、発光素子133Rと発光素子133Lとの混光が放射されている。
第1の点灯状態から第2の点灯状態に変化させるときに、発光素子133L、発光素子133R、および発光素子133Bのすべての調光が同時に変化すると、光色が例えば図14(b)に表した領域A3のような高彩度の赤紫色の領域を通過する可能性がある。すると、使用者の意図しない不自然な色の光が放射される可能性がある。
これに対して、実施形態では、まず、第1の点灯状態から発光素子133Lが点灯する(第1の制御過程)。続いて、発光素子133Bが消灯する(第2の制御過程)。つまり、制御部115は、第1の点灯状態から第2の点灯状態に変化させるときに、発光素子の種類に応じて各発光素子を時間差をもって調光する制御を実行する。
これにより、任意の混光比の点灯状態から他の混光比の点灯状態に変化させる制御が実行される過程において、不自然な色の光が放射されることを抑えることができる。
例えば、制御部115は、有彩色光源のみが点灯した状態から白色光源のみが点灯する状態、あるいは有彩色光源のみが点灯した状態から白色光源および有彩色光源が点灯する状態に変化させるときには、有彩色光源の制御よりも白色光源の制御を先に実行開始する。
例えば、制御部115は、有彩色光源のみが点灯した状態から有彩色光源のみが点灯する他の状態に変化させるときには、白色光源を点灯させた後に有彩色光源の制御を実行し、その後に、白色光源を消灯させる制御を実行する。
これによれば、有彩色光源の制御よりも白色光源の制御が先に実行開始されるため、その後に有彩色光源の混光状態が変化しても高彩度の領域で色相が変化することを抑えることができる。そのため、不自然な色の光が放射されることを抑えることができる。
例えば、制御部115は、白色光源および有彩色光源が点灯した状態から白色光源および有彩色光源の少なくともいずれかが点灯する他の状態に変化させるときには、白色光源の制御よりも有彩色光源の制御を先に実行開始する。
例えば、制御部115は、白色光源のみが点灯した状態から有彩色光源のみが点灯する状態に変化させるときには、白色光源の制御よりも有彩色光源の制御を先に実行開始する。
これによれば、白色光源が点灯した状態から、白色光源の制御よりも有彩色光源の制御が先に実行開始されるため、高彩度の領域で色相が変化することを抑えることができる。
そのため、不自然な色の光が放射されることを抑えることができる。
図15は、実施形態の制御部が実行する制御の他の例を説明するL*a*b*表色系である。
L*a*b*表色系において、赤色(R)の光を放射する発光素子133Rの色度座標、緑色(G)の光を放射する発光素子133Gの色度座標、および青色(B)の光を放射する発光素子133Bの色度座標は、例えば図15に表した通りである。
図14(a)および図14(b)に関して前述したように、任意の混光比の点灯状態から他の混光比の点灯状態に変化させる制御が実行される過程において、各発光素子の混光比によっては不自然な色の光が放射されることがある。例えば、図15に表したように、赤色(R)の光を放射する発光素子133Rが点灯した状態から青色(B)の光を放射する発光素子133Bが点灯する状態に変化させる場合について説明する。
発光素子133Rのみが点灯した状態から発光素子133Bのみが点灯する状態に変化させるときに、発光素子133Rの出力を徐々に低くし、発光素子133Bの出力を徐々に高くすると、図15に表した第1の制御過程のように、光色は、L*a*b*表色系において発光素子133Rの色度座標と発光素子133Bの色度座標とを結ぶ直線よりもやや円周側を変化する。すると、第1の制御過程において、光色が鮮やかな赤紫色を経由し、利用者に不自然な印象を与える可能性がある。
これに対して、実施形態では、発光素子133Rのみが点灯した状態から発光素子133Bのみが点灯する状態に変化させる過程において、第1の制御過程よりもL*a*b*表色系の原点に近い領域を経由する第2の制御過程を通るように、緑色(G)を加えた制御が実行される。つまり、制御部115は、第1の点灯状態から第2の点灯状態に変化させるときに、変化の過程で呈する光色のL*a*b*表色系の色度が第1の点灯状態の色度座標と第2の点灯状態の色度座標とを結ぶ直線よりも原点に近い領域に位置する制御を実行する。
これによれば、点灯状態が変化する過程において、光色が彩度の比較的低い領域を経由するため、見た目の不自然さを緩和することができる。図15に表した例では、第2の制御過程において、光色が赤色(R)から赤みの白色および青みの白色を経由し青色(B)に変化する。そのため、不自然な印象を与えることを抑えることができる。
図16は、実施形態の制御部が実行する制御のさらに他の例を説明するフローチャート図である。
この例では、「キレイ」モード、「くつろぎ」モード、または「シアター」モードが選択された場合について説明する。
使用者は、例えばリモコン送信器180の「キレイ」ボタン181を操作して、「キレイ」モードを選択する(ステップS101)。または、使用者は、例えばリモコン送信器180の「くつろぎ」ボタン182を操作して、「くつろぎ」モードを選択する(ステップS103)。または、使用者は、例えばリモコン送信器180の「シアター」ボタン183を操作して、「シアター」モードを選択する(ステップS105)。
続いて、制御部115は、タイマ機能が設定されたか否かを判断する(ステップS107)。この例におけるタイマ機能は、いわゆる睡眠用の「切タイマ機能」であり、所定時間後に発光素子133を消灯させる機能をいう。タイマ機能が設定されていない場合には(ステップS107:No)、制御部115は、タイマ機能が設定されたか否かを引き続き判断する(ステップS107)。
一方で、タイマ機能が設定された場合には(ステップS107:Yes)、制御部115は、「おやすみアシスト」モードを実行する。「おやすみアシスト」モードにおいて実行される制御は、例えば図9〜図13(b)に関して前述した通りである。続いて、制御部115は、すべての発光素子133を消灯する(ステップS111)。このように、図16に表した例では、「おやすみアシスト」モード以外の点灯モードであって発光色ごとの光出力が予め調整された点灯モード(第2の点灯モード)が選択された場合において、タイマ機能が設定されると、制御部115は、「おやすみアシスト」モードを経由してすべての発光素子133を消灯する制御を実行する。言い換えれば、「おやすみアシスト」モード以外の点灯モードであって発光色ごとの光出力が予め調整された点灯モードが選択された場合において、タイマ機能が設定されると、制御部115は、選択されていた点灯モードから「おやすみアシスト」モードへ移行する制御を実行する。この制御は、「キレイ」モード、「くつろぎ」モード、または「シアター」モードの点灯を単に減光し消灯する制御とは異なる。
これによれば、入眠を阻害しない「おやすみアシスト」モードを経由してタイマ機能が作動することで、例えば覚醒作用を有する点灯モード(例えば「キレイ」モードなど)が設定されていた場合でも、入眠を促すことができる。そのため、睡眠への悪影響を抑制する明かりを提供することができる。
図17は、実施形態の制御部が実行する制御のさらに他の例を説明するフローチャート図である。
この例では、「キレイ」モード、「くつろぎ」モード、または「シアター」モードが選択された場合について説明する。
使用者は、例えばリモコン送信器180の「キレイ」ボタン181を操作して、「キレイ」モードを選択する(ステップS121)。または、使用者は、例えばリモコン送信器180の「くつろぎ」ボタン182を操作して、「くつろぎ」モードを選択する(ステップS123)。または、使用者は、例えばリモコン送信器180の「シアター」ボタン183を操作して、「シアター」モードを選択する(ステップS125)。
すると、制御部115は、個別制御を不能とする(ステップS127)。つまり、発光色ごとの光出力が予め調整された点灯モードが選択された場合には、制御部115は、発光色ごとの調光比を調整して発光色ごとの光出力を可変させる機能を禁止する。これにより、特定の調色比による効果が得られなくなることを抑えることができる。言い換えれば、発光色ごとの光出力が予め調整された各点灯モードの設定情報を保持することができる。
なお、「おやすみアシスト」モードが選択された場合には、「おやすみアシスト」モードにおいて点灯する電球色(L)と、赤色(R)と、緑色(G)と、の範囲内において、発光色ごとの調光比を調整して発光色ごとの光出力を可変としてもよい。つまり、「おやすみアシスト」モードでは、電球色(L)と、赤色(R)と、緑色(G)と、の範囲内において、調光および調色が可能とされてもよい。
続いて、制御部115は、「全光」モードが設定されたか否かを判断する(ステップS129)。「全光」モードとは、光源部130のうちの電球色(L)および昼光色(D)のすべての発光素子133の光出力を最大にして発光色を混色するモードをいう。「全光」モードは、色の再現性の高い演色性に優れた昼光色系の光を表現する。「全光」モードが設定されていない場合には(ステップS129:No)、制御部115は、「全光」モードが設定されたか否かを引き続き判断する(ステップS129)。
一方で、例えば使用者がリモコン送信器180の「全光」ボタン189(図8(a)および図8(b)参照)を操作することにより「全光」モードが設定された場合には(ステップS129:Yes)、制御部115は、個別制御不能を解除し、個別制御可能とする。なお、制御部115は、「全光」モードが設定された場合に個別制御不能を解除するだけではなく、選択されていた点灯モード(「キレイ」モード、「くつろぎ」モード、または「シアター」モード)が解除されたときに個別制御不能を解除してもよい。これにより、使用者は、例えばリモコン送信器180の「R」ボタン185、「G」ボタン186、および「B」ボタン187を操作して、発光色ごとの調光比を調整して発光色ごとの光出力を可変させることができる。
なお、この例に限定されず、「キレイ」モード、「くつろぎ」モード、または「シアタ整理
ー」モードが選択された場合には、それぞれの点灯モードの範囲内において、赤色(R)と、緑色(G)と、青色(B)と、の個別制御が可能とされてもよい。これにより、それぞれの点灯モードの範囲内において、赤色(R)、緑色(G)、および青色(B)の微調整を行うことができる。
あるいは、「キレイ」モード、「くつろぎ」モード、または「シアター」モードが選択された場合には、それぞれの点灯モードにおいて使用されていない発光色の個別制御が可能とされてもよい。これにより、それぞれの点灯モードにおいて使用されていない発光色の微調整を行うことができる。
図18は、実施形態の制御部が実行する制御のさらに他の例を説明するフローチャート図である。
使用者が例えばリモコン送信器180の「30分切」ボタン188(図8(a)および図8(b)参照)を操作してタイマ機能を選択すると(ステップS141)、制御部115は、主光源および副光源のうちの主光源を先に消灯する制御を実行する(ステップS143)。例えば、制御部115は、発光素子133Lおよび発光素子133Dを消灯する。続いて、制御部115は、副光源を消灯する制御を実行する(ステップS145)。例えば、制御部115は、発光素子133R、発光素子133G、および発光素子133Bを消灯する。
なお、タイマ機能は、図16に関して前述した通りである。
例えば、電球色(L)の光と、赤色(R)の光と、緑色(G)の光と、の混光が放射されている場合において、使用者が例えばリモコン送信器180の「30分切」ボタン188を操作してタイマ機能を選択すると、制御部115は、電球色(L)の光を放射する発光素子133Lと、赤色(R)の光を放射する発光素子133Rと、緑色(G)の光を放射する発光素子133Gと、のうちの発光素子133Lを先に消灯する。続いて、制御部115は、発光素子133Rおよび発光素子133Gを消灯する。
これによれば、一般的に主光源の照度は副光源の照度よりも高いため、主光源の照度を先に低下させることで、消灯前には相対的に低い照度の副光源を点灯し、相対的に低い照度により消灯動作を行うことができる。そのため、睡眠への悪影響を抑制する明かりを提供することができる。
図19は、実施形態の制御部が実行する制御のさらに他の例を説明するフローチャート図である。
使用者が例えばリモコン送信器180の「30分切」ボタン188を操作してタイマ機能を選択すると(ステップS151)、制御部115は、主光源および副光源のうちの副光源を先に消灯する制御を実行する(ステップS153)。例えば、制御部115は、発光素子133R、発光素子133G、および発光素子133Bを消灯する。続いて、制御部115は、主光源を消灯する制御を実行する(ステップS155)。例えば、制御部115は、発光素子133Lおよび発光素子133Dを消灯する。
なお、タイマ機能は、図16に関して前述した通りである。
例えば、電球色(L)の光と、赤色(R)の光と、緑色(G)の光と、の混光が放射されている場合において、使用者が例えばリモコン送信器180の「30分切」ボタン188を操作してタイマ機能を選択すると、制御部115は、電球色(L)の光を放射する発光素子133Lと、赤色(R)の光を放射する発光素子133Rと、緑色(G)の光を放射する発光素子133Gと、のうちの発光素子133Rおよび発光素子133Gを先に消灯する。続いて、制御部115は、発光素子133Lを消灯する。
これによれば、例えば、赤色(R)の光と、緑色(G)の光と、の混光の相関色温度が消灯前に違和感を与える場合には、発光素子133Rおよび発光素子133Gを先に消灯することで消灯前の違和感を解消することができる。この場合には、消灯前に電球色(L)の光を提供することができる。
図20は、実施形態の制御部が実行する制御のさらに他の例を説明するフローチャート図である。
この例では、電球色(L)の光を放射する発光素子133Lと、赤色(R)の光を放射する発光素子133Rと、緑色(G)の光を放射する発光素子133Gと、が消灯状態にある場合について説明する。
電源部110のシャーシの内部に設けられた回路部品116は、図示しないセンサを含む。センサとしては、例えば人間の存在を検知する人感センサなどが挙げられる。人感センサとしては、例えば、赤外線を用いたセンサや、超音波を用いたセンサや、マイクロ波を用いたセンサなどが挙げられる。なお、センサは、器具本体120に取り付けられていてもよい。
本発明者が得た知見によれば、色温度または相関色温度が比較的低い光色は、眠気を妨げにくい。そのため、就寝前や夜間の比較的短い時間の照明には、色温度または相関色温度が比較的低い光色がより適当である。しかし、色温度または相関色温度が比較的低い光色を実現するためには、色温度または相関色温度が比較的低い発光素子を用いる必要がある。
これに対して、図20に表した例では、電球色(L)の光を放射する発光素子133Lと、赤色(R)の光を放射する発光素子133Rと、緑色(G)の光を放射する発光素子133Gと、が消灯状態にあるときに(ステップS161)、制御部115は、人感センサが人間を検知したか否かを判断する(ステップS163)。人感センサが人間を検知しない場合には(ステップS163:No)、制御部115は、人感センサが人間を検知したか否かを引き続き判断する(ステップS163)。
一方、人感センサが人間を検知した場合には(ステップS163:Yes)、制御部115は、電球色(L)の光を放射する発光素子133Lと、赤色(R)の光を放射する発光素子133Rと、緑色(G)の光を放射する発光素子133Gと、を点灯させ、発光素子133Lのみが点灯した状態の相関色温度よりも低い相関色温度の点灯状態とする。例えば、人感センサが人間を検知した場合には(ステップS163:Yes)、制御部115は、「おやすみアシスト」モードを実行する。
これによれば、就寝前や夜間の比較的短い時間の作業時において、実施形態にかかる照明器具100は、人間を検知し自動で点灯する。点灯する光色の相関色温度は、電球色(L)の光を放射する発光素子133Lの相関色温度よりも低い。そのため、就寝前や夜間の比較的短い時間の作業時において、眠気を妨げにくい光色を実現することができる。例えば、使用者が夜間にトイレ等に行く場合において、覚醒を促すのではなく、再度の就寝を阻害することを抑えることができる。
次に、実施形態にかかる照明器具100と、検知手段と、を備えた照明システムについて説明する。
照明システムは、図1(a)〜図20に関して前述した照明器具100と、検知手段と、を備える。検知手段としては、例えば、人感センサや、生体センサや、画像センサ、荷重センサなどが挙げられる。人感センサとしては、例えば、赤外線を用いたセンサや、超音波を用いたセンサや、マイクロ波を用いたセンサなどが挙げられる。生体センサとしては、脈波や、心電や、体温や、体動や、血圧などの生体情報を測定するセンサが挙げられる。画像センサとしては、例えばカメラなどを有する画像センサであって、人間の動きや、目の動きなどを検知するセンサが挙げられる。
実施形態にかかる照明システムは、居住者の寝室における就寝前の行動をセンサが検知し、センサの検知結果に基づいて所定時間後に照明器具100を自動消灯する。例えば、センサが居住者の就寝前の行動を検知すると、照明システムは、5分後に照明器具100の消灯を開始し、居住者が気にならない程度の例えば約10分間の時間をかけて照明器具100を減光し自動で消灯する。「就寝前の行動」としては、例えば、居住者が寝室に入る行動や、居住者がベッドに座る行動や、眠りにつく行動や、眠たさを感ずる目の動きや、パジャマを着る行動や、風呂から上がる行動などが挙げられる。
これによれば、センサが居住者の就寝前の行動を検知することで、居住者が特定の操作を行うことなく、照明器具100を所定時間後に自動的に消灯することができる。
実施形態にかかる他の照明システムは、図1(a)〜図20に関して前述した複数の照明器具100を備える。複数の照明器具100のそれぞれには、個別制御アドレスが設けられている。制御部115は、複数の照明器具100の調光および調色の少なくともいずれかを時間差をもって制御する。
例えば、複数の照明器具100は、天井から床にかけて配置されている。例えば、複数の照明器具100が「おやすみアシスト」モードを実行している場合において、制御部115は、電球色(L)の光を放射する発光素子133Lの消灯を天井から床にかけて20分、21分、22分で行う制御を実行する。続いて、制御部115は、照明器具100の完全消灯を28分、29分、30分で行う制御を実行する。つまり、制御部115は、天井に配置された照明器具100から床に設置された照明器具100にかけて順に消灯する。これによれば、日の入りのように消灯していく時間差調光を実現することができる。
あるいは、例えば、制御部115は、昼光色(D)と、青色(B)と、の発光色を混色する制御を実行する。例えば、制御部115は、照明器具100の消灯状態から電球色(L)の光を放射する発光素子133Lを点灯し、その後に、昼光色(D)の光を放射する発光素子133Dと青色(B)の光を放射する発光素子133Bとを点灯し調光および調色の少なくともいずれかを実行する。これにより、使用者に対して覚醒を促すことができる。
あるいは、例えば、複数の照明器具100は、天井から床にかけて配置されている。例えば、照明器具100が消灯状態にある場合において、制御部115は、床に設置された照明器具100から天井に配置された照明器具100にかけて0分、1分、2分と時間をずらして点灯開始を行う制御を実行する。続いて、制御部115は、発光素子133Lを点灯し、調光および調色の少なくともいずれかを床から天井にかけて8分、9分、10分後に実行する。続いて、制御部115は、発光素子133Dと発光素子133Bとを点灯し、調光および調色の少なくともいずれかを床から天井にかけて28分、29分、30分後に実行する。これにより、日の出のように点灯していく時間差調光を実現することができる。
なお、照明システムに関して前述した時間は、一例であり、これだけに限定されるわけではない。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。