JP6945428B2 - 樹脂組成物、その製造方法及びその用途 - Google Patents
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Description
本発明における変性PVA(A)は、エチレン性二重結合を2つ有する多官能モノマー(a)で変性されたポリビニルアルコールである。変性PVA(A)は、ビニルエステルモノマーと多官能モノマー(a)とを共重合させて、多官能モノマー(a)で変性されたポリビニルエステル(A’)を得てから、当該ポリビニルエステル(A’)をけん化することにより得ることができる。多官能モノマー(a)を用いることにより、多官能モノマー(a)に由来するエチレン性二重結合を側鎖に含む変性PVA(A)を得ることができる。変性PVA(A)には、エチレン性二重結合を側鎖に含有するPVAのみならず、側鎖のエチレン性二重結合が消失したPVAも含まれる。
P=([η]×104/8.29)(1/0.62)
本発明におけるPVA(B)は、多官能モノマー(a)で変性されていないポリビニルアルコールである。PVA(B)は、ビニルエステルモノマーを重合させて多官能モノマー(a)で変性されていないポリビニルエステル(B’)を得てから、当該ポリビニルエステル(B’)をけん化することによって得ることができる。PVA(B)において、変性PVA(A)と異なる点は、エチレン性二重結合を2つ有する多官能モノマー(a)で変性されていない点であり、それ以外の構成については、変性PVA(A)について前述したものと同様である。
本発明の樹脂組成物(C)は、変性PVA(A)及びPVA(B)を含む。本発明の樹脂組成物(C)は、変性PVA(A)とPVA(B)の合計量に対してPVA(B)を
25〜85質量%含有することが重要である。PVA(B)の含有量が上記範囲から外れる場合、樹脂組成物(C)の水溶性が低下する。PVA(B)の含有量は、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましい。一方、PVA(B)の含有量は、83質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましい。樹脂組成物(C)において、変性PVA(A)及びPVA(B)以外の他の成分が含まれていてもよい。当該他の成分としては、変性PVA(A)やPVA(B)にも該当しないPVAや、PVA以外のポリマー、さらには各種添加剤等が挙げられる。樹脂組成物(C)における他の成分の含有量は、通常、10質量%以下であり、5質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明の樹脂組成物(C)の製造方法は特に限定されないが、好適な製造方法は、ビニルエステルモノマーを重合させて、多官能モノマー(a)で変性されていないポリビニルエステル(B’)を得る第1重合工程と、ビニルエステルモノマーの重合率が15〜40%になった時点で多官能モノマー(a)を添加して、ビニルエステルモノマーと多官能モノマー(a)とを共重合させて、多官能モノマー(a)で変性されたポリビニルエステル(A’)を得る第2重合工程と、ポリビニルエステル(A’)及びポリビニルエステル(B’)をけん化するけん化工程とを備える方法である。
本発明の樹脂組成物(C)は種々の用途に使用される。以下にその例を挙げるがこれに限定されない。
(1)塩化ビニル分散剤用途:塩化ビニル、塩化ビニリデンの懸濁重合用分散安定剤および分散助剤
(2)被覆剤用途:サイズ剤、繊維加工剤、皮革仕上剤、塗料、防曇剤、金属腐食防止剤、亜鉛メッキ用光沢剤、帯電防止剤
(3)接着剤・バインダー用途:接着剤、粘着剤、再湿接着剤、各種バインダー、セメントやモルタル用添加剤
(4)分散安定剤用途:塗料や接着剤等の有機・無機顔料の分散安定剤、各種ビニル化合物の乳化重合用分散安定剤、ビチュメン等の後乳化剤
(5)紙加工用途:紙力増強剤、耐油・耐溶剤付与剤、平滑性向上剤、表面光沢改良助剤、目止剤、バリア剤、耐光性付与剤、耐水化剤、染料・顕色剤分散剤、接着力改良剤、バインダー
(6)農業用途:農薬用バインダー、農薬用展着剤、農業用被覆剤、土壌改良剤、エロージョン防止剤、農薬用分散剤
(7)医療・化粧品用途:造粒バインダー、コーティング剤、乳化剤、貼付剤、結合剤、フィルム製剤基材、皮膜形成剤
(8)粘度調整剤用途:増粘剤、レオロジー調整剤
(9)凝集剤用途:水中懸濁物および溶存物の凝集剤、金属凝集剤
(10)フィルム用途:水溶性フィルム、偏光フィルム、バリアフィルム、繊維製品包装用フィルム、種子養生シート、植生シート、シードテープ、吸湿性フィルム
(11)成形物用途:繊維、フィルム、シート、パイプ、チューブ、防漏膜、ケミカルレース用水溶性繊維、スポンジ
(12)樹脂原料用途:ポリビニルブチラール用原料、感光性樹脂原料、グラフト重合体原料、各種ゲル原料
(13)後反応用途:低分子有機化合物、高分子有機化合物、無機化合物との後反応用途
中でも本発明の樹脂組成物(C)の好適な用途は、当該樹脂組成物(C)を含有するビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤である。本発明の樹脂組成物(C)は、水に溶解させた場合に不溶解物の生成が低減され水溶性に優れる。したがって、このような樹脂組成物(C)を、ビニル化合物の懸濁重合における分散安定剤として用いると、重合反応が安定し粗大粒子の形成が少なくなる。また、得られるビニル系重合体のフィッシュアイを抑制することができる。
本発明の好適な実施態様は、本発明の樹脂組成物(C)の存在下で、ビニル化合物を懸濁重合するビニル系重合体の製造方法である。
PVAの粘度平均重合度はJIS K 6726(1994)に準じて測定した。具体的には、けん化度が99.5モル%未満の場合には、けん化度99.5モル%以上になるまでけん化したPVAについて、水中、30℃で測定した極限粘度[η](リットル/g)を用いて下記式により粘度平均重合度(P)を求めた。
P=([η]×104/8.29)(1/0.62)
PVAのけん化度は、JIS K 6726(1994)に準じて求めた。
含有量(X)及び(Y)は、1H−NMRを用いて多官能モノマー(a)を示す特徴的なピークを解析することにより求めた。例えば、多官能モノマー(a)が、トリメチロールプロパンジアリルエーテル(TMPDE)の場合、含有量(X)は0.8ppm〜1.0ppm付近に出現するピークを解析することにより求め、含有量(Y)は5.0ppm〜6.0ppm付近に出現するエチレン性二重結合に対応するピークを解析することにより求めた。
1000000×(M)/((L)×(N)/100)
樹脂組成物(C)の5質量%水溶液を調製して沈殿物の有無を目視で観察することにより、樹脂組成物(C)の水溶性を評価した。沈殿物が確認された場合を「あり」とし、確認されなかった場合を「なし」として表1に示した。
樹脂組成物(C)の製造設備を洗浄せずに、樹脂組成物(C)の製造を繰り返し行った。そして、5回目の製造で得られた樹脂組成物(C)の5質量%水溶液を調製して沈殿物の有無を目視で観察した。沈殿物が確認された場合を「あり」とし、確認されなかった場合を「なし」として表1に示した。
(樹脂組成物(C1)の製造)
酢酸ビニル(以下「VAc」と略す)1000部、メタノール1325部を重合槽に仕込み、窒素置換後加熱して60℃まで昇温させ、開始剤の存在下で重合を開始した。重合率が25%となった時点でトリメチロールプロパンジアリルエーテル(TMPDE)4.2部を添加した。このときの重合率を添加開始重合率(p)と称す。そして、重合を継続し、重合率が50%となったところで重合を完了した。このときの重合率を最終重合率(q)と称す。その後、減圧下残存するVAcをメタノールとともに系外に追い出す操作を、メタノールを添加しながら行い、ビニルエステル系重合体(以下「PVAc」と略す)のメタノール溶液(濃度50質量%)を得た。
(樹脂組成物(C2)〜(C7)の製造)
酢酸ビニル及びメタノールの使用量、使用する多官能モノマー(a)の種類及び使用量、添加開始重合率(p)、及び最終重合率(q)、けん化条件を表1に記載のとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物(C2)〜(C7)を製造した。製造条件及び得られた樹脂組成物(C)の評価結果を表1に示す。
(樹脂組成物(C8)の製造)
酢酸ビニル及びメタノールの使用量、使用する多官能モノマー(a)の種類及び使用量、添加開始重合率(p)、及び最終重合率(q)を表1に記載のとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物(C8)の製造を試みた。しかしながら、重合完了時、ゲルが大量に発生しており、けん化工程に進むことができなかった。
樹脂組成物(C1)を塩化ビニルの懸濁重合用分散安定剤として用いた。具体的には樹脂組成物(C1)を脱イオン水に溶解させて水溶液としてオートクレーブに100部仕込んだ。仕込んだ樹脂組成物(C1)の量は、塩化ビニルモノマーの仕込み量に対して800ppmである。次いで、脱イオン水の合計が1200部となるように脱イオン水を添加した。
得られた塩化ビニル重合体粒子について、(1)平均粒子径、(2)粒度分布、及び(3)フィッシュアイの数を以下の方法で評価した。結果を表2に示す。
タイラー(Tyler)メッシュ基準の篩を使用して、JIS Z 8815:1994に記載の乾式篩法により粒度分布を測定した。その結果をロジン・ラムラー(Rosin-Rammler)分布式にプロットして平均粒子径(dp50)を算出した。
目開き355μmの篩(JIS標準篩のメッシュ換算では、42メッシュ)を通過しなかった塩化ビニル重合体粒子の含有量(質量%)を下記評価基準で評価した。前記含有量は、篩上累積(%)を意味する。また、前記篩の目開きは、JIS Z 8801−1−2006の公称目開きWに準拠する。
A:0.5%未満
B:0.5%以上1%未満
C:1%以上
A:5%未満
B:5%以上10%未満
C:10%以上
得られた塩化ビニル重合体粒子100部、ジオクチルフタレート50部、三塩基性硫酸鉛5部及びステアリン酸亜鉛1部を150℃で7分間ロール練りして0.1mm厚のシートを作製し1000cm2当たりのフィッシュアイの数を測定した。
樹脂組成物(C)の種類を表2に示すように変更した以外は、実施例5と同様にして、塩化ビニルの懸濁重合を行い、塩化ビニル重合体粒子を得た。そして、実施例5と同様にして塩化ビニル重合体粒子を評価した。結果を表2に示す。
Claims (5)
- エチレン性二重結合を2つ有する多官能モノマー(a)で変性されたポリビニルアルコール(A)及び多官能モノマー(a)で変性されていないポリビニルアルコール(B)を含む樹脂組成物(C)であって;
ポリビニルアルコール(A)及びポリビニルアルコール(B)のけん化度がいずれも67〜99.9モル%であり、
ポリビニルアルコール(A)及びポリビニルアルコール(B)の合計量に対してポリビニルアルコール(B)を25〜85質量%含有し、
ポリビニルアルコール(A)及びポリビニルアルコール(B)を構成する全単量体単位に対する、多官能モノマー(a)に由来する構造単位の含有量(X)が0.02〜1モル%であり、
ポリビニルアルコール(A)及びポリビニルアルコール(B)を構成する全単量体単位に対する、ポリビニルアルコール(A)の側鎖に含まれるエチレン性二重結合の含有量(Y)が0.01〜0.9モル%であり、かつ
含有量(X)に対する含有量(Y)の比(Y/X)が0.6〜0.9である樹脂組成物(C)。 - 前記側鎖が、アリルエーテル基又はビニルエーテル基を含有する請求項1に記載の樹脂組成物(C)。
- ポリビニルアルコール(A)及びポリビニルアルコール(B)の粘度平均重合度がいずれも200〜4000である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物(C)。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物(C)の製造方法であって;
ビニルエステルモノマーを重合させ、多官能モノマー(a)で変性されていないポリビニルエステル(B’)を得る第1重合工程と、
ビニルエステルモノマーの重合率が15〜40%になった時点で多官能モノマー(a)を添加して、ビニルエステルモノマーと多官能モノマー(a)とを共重合させて、多官能モノマー(a)で変性されたポリビニルエステル(A’)を得る第2重合工程と、
ポリビニルエステル(A’)及びポリビニルエステル(B’)をけん化するけん化工程とを備える樹脂組成物(C)の製造方法。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物(C)を含有する、ビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤。
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