JP6945423B2 - 放水型消火設備 - Google Patents
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Description
本発明は、放水型消火設備に於いて、
撮像部により撮像された警戒区域の監視画像を多層式ニューラルネットワークに入力して、多層式ニューラルネットワークの出力結果に基づき火源を検出する火源検出装置と、
火源検出装置により検出された前記火源に向けて消火用水を放水する放水銃装置と、
が設けられたことを特徴とする。
火源検出装置は、撮像部により撮像された警戒区域の監視画像を複数のブロック画像に分割し、ブロック画像を多層式ニューラルネットワークに入力する。
更に、ブロック画像を第2の多層式ニューラルネットワークに入力して、第2の多層式ニューラルネットワークから出力されるブロック画像の内容を示す画像説明文に基づき警戒区域の状況を識別し、放水銃装置を制御する画像解析装置が設けられる。
画像解析装置は、
火源までの放水軌道上に位置するブロック画像の画像説明文から障害物がないこと又は放水が貫通する障害物を識別した場合に、放水銃装置に火源に向けた直射軌道での放水を指示し、
火源までの放水軌道上に位置するブロック画像の画像説明文から放水が貫通できない障害物を識別した場合に、放水銃装置に障害物を迂回する曲射軌道での放水を指示する。
画像解析装置は、
火源の近傍に位置するブロック画像の画像説明文から可燃物を識別した場合に、放水銃装置に放水量の増加を指示し、
火源の近傍に位置するブロック画像の画像説明文から不燃物を識別した場合に、放水銃装置に放水量の減少を指示する。
画像解析装置は、火源までの放水軌道上に位置するブロック画像の画像説明文から人を識別した場合に、放水銃装置に放水開始の禁止又は放水中の放水停止を指示する。
画像解析装置は、
火源までの放水軌道上に位置するブロック画像の画像説明文から人の消火活動を識別した場合に、放水銃装置に放水開始の禁止を指示し、
火源までの放水軌道上に位置するブロック画像の画像説明文から人が倒れていることを識別した場合に、放水銃装置に放水開始を指示する。
放水銃装置は、操作部の操作を検出して放水を開始するものであり、
画像解析装置は、ブロック画像の画像説明文から、放水軌道上の障害物、火源近傍の可燃物、火源近傍の不燃物、放水軌道上の人の存在、放水軌道上の人の消火活動、又は放水軌道上の倒れている人を識別した場合に、当該識別結果を放水銃装置の操作部に設けられた表示部に画面表示させる。
本発明は、放水型消火設備に於いて、撮像部により撮像された警戒区域の監視画像を多層式ニューラルネットワークに入力して、多層式ニューラルネットワークの出力結果に基づき火源を検出する火源検出装置と、火源検出装置により検出された前記火源に向けて消火用水を放水する放水銃装置とが設けられたため、撮像部により撮像された警戒区域の監視画像を多層式ニューラルネットワークに入力した場合に、高い精度で火源を示す画像を検出して放水銃からの放水により火災を確実に抑制消火可能とする。
また、火源検出装置は、撮像部により撮像された警戒区域の監視画像を複数のブロック画像に分割し、ブロック画像を多層式ニューラルネットワークに入力して火源を検出するようにしたため、監視領域の画像全体に占める火災による炎や煙等の特徴的な部分が狭い範囲に限られても、監視画像を複数のブロック画像に分割することで、ブロック画像の画像全体に占める火災による特徴部分が広い範囲となり、ブロック画像を多層式ニューラルネットワークに入力した場合に、ブロック画像から高い精度で火源を示すブロック画像を検出して放水銃からの放水により火災を確実に抑制消火可能とする。
また、放水型消火設備は、更に、入力画像を学習画像として複数のブロック画像に分割すると共に、炎学習ブロック画像、煙学習ブロック画像、放水学習ブロック画像、又は正常学習ブロック画像に分類して学習画像記憶部に記憶させる学習画像生成部と、学習画像記憶部に記憶された炎学習ブロック画像、煙学習ブロック画像、放水学習ブロック画像及び正常学習ブロック画像を火源検出装置の多層式のニューラルネットワークを学習させる学習制御部とが設けられ、学習制御部により学習された火源検出装置の多層式ニューラルネットワークは、ブロック画像を入力して、炎ブロック、煙ブロック、放水ブロック又は正常ブロックかを検出して出力するようにしたため、例えば火災実験等により監視カメラで撮像された火災時の画像及び放水試験により監視カメラで撮像された放水時の画像を学習画像として複数のブロック画像に分割し、分割したブロック画像を炎ブロック画像、煙ブロック画像、放水ブロック画像及び正常ブロック画像(炎、煙、放水のないブロック画像)に分類して記憶し、記憶された炎ブロック画像、煙ブロック画像、放水ブロック画像及び正常ブロック画像を火源検出装置の多層式ニューラルネットワークに入力して学習させることで、学習ブロック画像の全体に占める火災や放水による特徴部分を広い範囲とすることができ、監視領域の画像をブロック画像に分割して入力した場合に、炎ブロック、煙ブロック、放水ブロック又は正常ブロックかを高い精度で検出可能とする。
また、放水銃装置は、火源検出装置により検出された1又は複数の炎ブロックに基づいて推定した火源に向けて放水するようにしたため、監視画像を分割した分割ブロックには例えば放水銃の位置を原点とした三次元座標位置が予め設定されており、単一の炎ブロックが検出された場合には、その炎ブロックの三次元座標位置を火源位置とした放水銃による放水軌道の設定が行われ、検出した火源位置に放水銃から消火用水を放水して確実に命中させることができる。
また、放水銃装置は、火源検出装置により炎ブロックが検出されずに1又は複数の煙ブロックが検出された場合は、煙ブロックに基づいて推定した火源に向けて放水するようにしたため、例えば、火源が物陰で監視カメラからは見えない位置であった場合、煙ブロックの分布から例えば分布する煙ブロックの最下点の下に隣接した分割ブロックを火源と推定し、遮蔽物を超えた位置に放水銃から消火用水を放水して火災を抑制消火する。
また、放水銃装置は、火源位置に向けて放水を開始した場合、火源検出装置により検出された煙ブロックと放水ブロックの時間的な変化から火源に放水が命中しているか否か判定して報知するようにしたため、火源に放水銃からの消火用水が命中した場合の煙の時間的な変化、例えば、炎に消火用水が当たった場合に白煙が大きく広がることから、このような煙ブロックの時間的な変化から消火用水が火源に命中したことを判断して操作者に報知できる。また、放水を開始しても白煙が広がるような煙ブロックの時間的な変化が検出されない場合は、放水が命中していないことを操作者に報知でき、これを受けて操作者は放水銃の放水方向や放水距離を調整して放水を命中させる操作を行うことができる。
また別の実施形態として、放水銃装置の多層式ニューラルネットワークは、放水が火源に当たった場合の放水命中画像と放水が火源に当たっていない場合の放水非命中画像により学習されており、火源位置に向けて放水を開始した場合、監視領域の画像を前記多層式ニューラルネットワークに入力して、火源に放水が命中しているか否か判定して報知するようにしたため、例えば、火源に放水が命中したときに煙が広がることから放水が無い状態または放水非命中時における煙の広がりと放水が命中したときの煙の広がりをそれぞれ学習させることにより、煙の広がり方を特徴として捉えて放水が命中しているかどうか判定可能となる。
また、放水銃装置は、火源に放水が命中していないことを判定した場合、火源に放水が命中している判定結果が得られるように放水方向及び放水圧力の少なくとも何れかを制御するようにしたため、放水を開始した場合に消火用水が火源に命中して白煙が広がるような煙ブロックの時間的な変化が検出されない場合には、例えば、初期設定した放水圧力と放水方向を起点に、放水圧力を所定値だけ増加して放水距離を伸ばした状態で放水方向を所定角度範囲で変化させ、白煙が広がるような煙ブロックの時間的な変化が検出されるまで放水圧力を段階的に増加させ、これにより放水開始時に火源に放水が命中しなくとも、放水銃からの放水距離と放水方向の変更による実質的なフィードバック制御により確実に火源に放水を命中させることができる。
多層式ニューラルネットワークは、特徴抽出部と認識部で構成され、特徴抽出部は、入力情報を入力して入力情報の特徴が抽出された特徴情報を生成する複数の畳み込み層を備えた畳み込みニューラルネットワークとし、認識部は、畳み込みニューラルネットワークから出力される特徴情報を入力し、炎ブロック、煙ブロック、放水ブロック及び正常ブロックの各クラスに所属する確率を示す推定値を出力するようにしたため、畳み込みニューラルネットワークによりブロック画像の特徴が自動的に抽出されることで、監視領域の入力情報から前処理により炎、煙、放水等のブロック画像の特徴、例えば、画像に於いては輪郭等を抽出するような前処理を必要とすることなくブロック画像の特徴が抽出され、引き続いて行う認識部により高い精度で炎ブロック、煙ブロック、放水ブロック及び正常ブロックの各クラスに所属する確率が出力され、ブロックの種別を確実に判別可能とする。
更に、ブロック画像を第2の多層式ニューラルネットワークに入力して、第2の多層式ニューラルネットワークから出力されるブロック画像の内容を示す画像説明文に基づき警戒区域の状況を識別し、放水銃装置を制御する画像解析装置が設けられたため、例えば炎ブロック画像であれば「炎が出ている」といった画像説明文が生成され、煙ブロック画像であれば「煙が出ている」といった画像説明文が生成され、放水ブロック画像であれば「水がかけられている」といった画像説明文が生成され、この画像説明文を解析することで、ブロック画像の内容を人為的に把握可能とする。また当該生成された画像説明文から警戒区域の状況、例えば放水軌道上の障害物が存在する、火源近傍の可燃物がある、放水軌道上の人が存在する等の状況等を認識し、状況に応じた放水を可能とする。
また、画像解析装置は、火源までの放水軌道上に位置するブロック画像の画像説明文から障害物がないこと又は放水が貫通する障害物を識別した場合に、放水銃装置に火源に向けた直射軌道での放水を指示し、火源までの放水軌道上に位置するブロック画像の画像説明文から放水が貫通できない障害物を識別した場合に、放水銃装置に障害物を迂回する曲射軌道での放水を指示するようにしたため、例えば、火源を検出して放水銃から放水を開始する前に、火源までの放水軌道上に位置するブロック画像を画像解析装置に入力して画像説明文を生成し、例えば「高い構築物が立っている」といった画像説明文が生成された場合は、直射軌道による放水は構築物に当たって火源に届かないことから曲射軌道による放水を行うことで、障害物が存在しても確実に火源に放水可能とする。また、「カーテンが張られている」といった画像説明文が生成された場合は、カーテンは放水を貫通できることから、直射軌道による放水により障害物を貫通して火源に放水可能とする。
また、画像解析装置は、火源の近傍に位置するブロック画像の画像説明文から可燃物を識別した場合に、放水銃装置に放水量の増加を指示し、火源の近傍に位置するブロック画像の画像説明文から不燃物を識別した場合に、放水銃装置に放水量の減少を指示するようにしたため、火源の近くに燃え易い可燃物がある場合は放水量を増して火災の拡大を防ぎ、火源の近くに不燃物がある場合は放水量を減らして水損被害を抑制する。
また、画像解析装置は、火源までの放水軌道上に位置するブロック画像の画像説明文から人の消火活動を識別した場合に、放水銃装置に放水開始の禁止を指示し、画像説明文から人が倒れていることを識別した場合は、放水銃装置に放水開始を指示するようにしたため、例えば避難する人を放水により妨害することなく安全に避難させることを可能とする。
また、画像解析装置は、火源までの放水軌道上に位置するブロック画像の画像説明文から人の消火活動を識別した場合に、放水銃装置に放水開始の禁止を指示し、火源までの放水軌道上に位置するブロック画像の画像説明文から人が倒れていることを識別した場合に、放水銃装置に放水開始を指示するようにしたため、例えば「男性が消火器を使用している」といった画像説明文が生成された場合は初期消火を識別して放水を開始しないことで消火活動を妨害しないようにし、一方、「人が倒れている」といった画像説明文が生成された場合は放水を開始して火災から防護するようにし、放水軌道上にいる人物の状況に応じて適切な放水開始や放水停止といった制御を可能とする。
また、放水銃装置は、操作部の操作を検出して放水を開始するものであり、画像解析装置は、ブロック画像の画像説明文から、放水軌道上の障害物、火源近傍の可燃物、火源近傍の不燃物、放水軌道上の人の存在、放水軌道上の人の消火活動、又は放水軌道上の倒れている人を識別した場合に、当該識別結果を放水銃装置の操作部に設けられた表示部に画面表示させるようにしたため、放水開始を操作者が判断して操作するように構成された放水型消火設備にあっては、放水軌道上の障害物、火源近傍の可燃物、火源近傍の不燃物、放水軌道上の人の存在、放水軌道上の人の消火活動、又は放水軌道上の人の状況等の情報を操作者に提供することで支援し、操作者は放水銃の判断操作を迅速且つ適切に行って火災を抑制消火可能とする。
また、画像解析装置の第2の多層式のニューラルネットワークは、入力した監視区域の画像から特徴量を抽出して所定の中間層から出力する畳み込みニューラルネットワークと、畳み込みニューラルネットワークから出力された特徴量を入力し、監視区域の画像の画像説明文を生成して出力する再帰型ニューラルネットワークとにより構成されたため、ブロック画像から前処理を必要とすることなく炎、煙、放水といったブロック画像の特徴量が自動的に抽出され、続いて、抽出された特徴量を再帰型ニューラルネットワークに入力することで、ブロック画像の内容を示す画像説明文が生成され、人がブロック画像を見て判断していると同等な放水銃装置の制御を可能とする。
(火災監視システムの概要)
図1は監視カメラにより火源を検出して放水する放水型消火設備の概略を示した説明図である。
図3は放水銃の直射軌道による放水を示した説明図、図4は放水銃の曲射軌道による放水を示した説明図である。
図5は図1の中央制御盤の機能構成を示したブロック図であり、図1に示した放水銃10と監視カメラ12の一系統を例にとって示している。
火源検出装置34は、画像入力部38、多層式ニューラルネットワーク40、判定制御部42及びブロック分類画像記憶部44で構成され、また、多層式ニューラルネットワーク40に対し学習制御部46が設けられ、学習制御部46には学習画像記憶部48、キーボードやマウス等の操作部50、モニタ画面を備えた表示部52が接続され、これらの機能は、ニューラルネットワークの処理に対応したコンピュータ回路のCPUによるプログラムの実行により実現される。
炎ブロックの場合は (y1,y2,y3,y4)=(1,0,0,0)
煙ブロックの場合は (y1,y2,y3,y4)=(0,1,0,0)
放水ブロックの場合は(y1,y2,y3,y4)=(0,0,1,0)
正常ブロックの場合は(y1,y2,y3,y4)=(0,0,0,1)
となる。
図6は図5に示した多層式ニューラルネットワークの機能構成を示した説明図であり、図6(A)に概略を示し、図6(B)に詳細を模式的に示している。
図6(B)は特徴抽出部として機能する畳み込みニューラルネットワーク60の構造を模式的に示している。
(バックプロパゲーション)
入力層、複数の中間層及び出力層で構成されるニューラルネットワークは、各層に複数のユニットを設けて他の層の複数のユニットと結合し、各ユニットにはウェイト(重み)とバイアス値が設定され、複数の入力値とウェイトとのベクトル積を求めてバイアス値を加算して総和を求め、これを所定の活性化関数に通して次の層のユニットに出力するようにしており、最終層に到達するまで値が伝播するフォワードプロパゲーションが行われる。
(1) 入力値xをニューラルネットワークに入力して、フォワードプロパゲーションを行い推定値y*を求める。
(2) 推定値y*と期待値yに基づき誤差関数で誤差を計算する。
(3) ウェイトとバイアスを更新しながら、ネットワークにて、バックプロパゲーションを行う。
図5に示す学習制御部46は、操作部50による所定の学習画像生成操作が行われると、監視カメラ12により撮像された火災実験又は放水実験の動画からフレーム単位に画像を学習画像として画像入力部38に読み込み、例えば4K画像の場合、縦横16×16の256ブロックのブロック画像に分割して表示部52のモニタ画面に表示させる。なお、学習画像は、監視カメラ12により撮像された火災実験又は放水実験の動画を図示しない録画装置に録画し、録画装置から画像入力部38に読み込んでも良い。
図9は図5の学習制御部による学習画像生成制御を示したフローチャートである。図9に示すように、所定の操作により学習画像生成制御が開始されると、学習制御部46は、ステップS1で監視カメラ12により撮像されて例えば録画装置に録画されている火災動画をフレーム単位に火災画像(学習画像)として読み込み、ステップS2で所定サイズのブロック画像に分割し、ステップS3で例えば図7(A)に示すように表示部52のモニタ画面に表示 させる。
図10は図5の火源検出装置による火源検出制御を示したフローチャートである。図10に示すように、火源検出装置34はステップS11で監視カメラ12からの監視画像を画像入力部38に読み込み、ステップS12で所定サイズのブロック画像に分割して、ステップS13で先頭のブロック画像から順番に多層式ニューラルネットワーク40に入力し、多層式ニューラルネットワーク40から出力された炎、煙、放水及び正常の4クラスの推定値に対し判定制御部42で所定の閾値との比較で煙、放水及び正常の何れのクラスに属するかを判定し、ステップS14で判定結果をブロック分類画像記憶部44に記憶させる。
図5に示した火源検出装置34は、火源座標を放水制御部36に出力して放水銃10から火源に向けて放水を開始した場合、監視カメラ12により撮像された消火対象区域の画像を画像入力部38でブロック画像に分割して多層式ニューラルネットワーク40に入力し、判定制御部42で炎、煙、放水のブロック種別を判別してブロック分類画像記憶部44に記憶し、煙ブロックと放水ブロックの時間的な変化から火源に放水が命中しているか否か判定し、判定結果を現場操作盤16に送って報知させる制御を行う。
また、火源検出装置34は、煙ブロックと放水ブロックの時間的な変化から火源に放水が命中していないことを判定した場合に放水制御部36に通知し、火源に放水が命中している判定結果が得られるように放水制御部36が放水方向及び放水圧力の少なくとも何れかを変更する制御を行う。
(中央制御盤の概要)
図11は図1の中央制御盤の他の実施形態を示したブロック図である。図11に示すように、中央制御盤18には火源検出装置34と放水制御部36に加え、新たに画像解析装置90が設けられる。
画像解析装置90は、画像入力部92、第2の多層式ニューラルネットワーク94、判定制御部96及びシソーラス辞書98で構成され、また、第2の多層式ニューラルネットワーク94に対し学習制御部100が設けられ、学習制御部100には学習データセット記憶部102、キーボードやマウス等の操作部104、モニタ画面を備えた表示部106が接続され、これらの機能は、ニューラルネットワークの処理に対応したコンピュータ回路のCPUによるプログラムの実行により実現される。
画像解析装置90の判定制御部96は、第2の多層式ニューラルネットワーク94により生成された火源までの放水軌道上に位置するブロック画像の画像説明文から例えば「高い構築物が立っている」といった画像説明文が生成された場合、放水制御部36に図4に示した曲射軌道56の設定による放水を指示し、直射軌道による放水は構築物に当たって火源に届かないことから曲射軌道による放水を行うことで、障害物が存在しても確実に火源に放水可能とする。
画像解析装置90の判定制御部96は、第2の多層式ニューラルネットワーク94により生成された火源までの放水軌道上に位置するブロック画像の画像説明文から例えば「段ボール箱が積み上げられている」といった可燃物を示す画像説明文が生成された場合、放水制御部36に放水量を増加させる指示を行い、確実な消火を可能とする。
画像解析装置90の判定制御部96は、第2の多層式ニューラルネットワーク94により生成された火源までの放水軌道上に位置するブロック画像の画像説明文から例えば「大勢の人が移動している」といった画像説明文が生成された場合、これは消火対象区域から利用者が避難している状況であることから、判定制御部96は放水制御部36に放水開始を禁止する指示を行い、放水により避難行動を妨害することなく安全に避難させることを可能とする。
画像解析装置90の判定制御部96は、第2の多層式ニューラルネットワーク94により生成された放水軌道上にあるブロック画像の画像説明文から放水軌道上の障害物、火源近傍の可燃物、放水軌道上の人の存在、放水軌道上の人の消火活動又は放水軌道上の倒れている人を識別した場合、これらの識別結果を例えば現場操作盤16に設けられた表示部の画面に表示する制御を行う。
図12は図11の画像解析装置に設けられた第2の多層式ニューラルネットワークの機能構成を示した説明図である。図12に示すように、第2の多層式ニューラルネットワーク94は、畳み込みニューラルネットワーク108と再帰型ニューラルネットワーク110で構成される。
図12に示すように、畳み込みニューラルネットワーク108は入力層112、複数の中間層114で構成されている。
図11に示した学習制御部100により第2の多層式ニューラルネットワーク94を学習するためには、火源までの放水軌道上に位置するブロック画像とその画像説明文のペアからなる学習データセットを準備して学習データセット記憶部102に記憶させる。
図12に示す再帰型ニューラルネットワーク110は、畳み込みニューラルネットワーク108を用いて抽出したブロック画像の特徴量を、単語ベクトルと共に入力して画像説明文を推定する。
再帰型ニューラルネットワーク110の学習対象は、ベクトル変換部122とLSTM隠れ層118であり、畳み込みニューラルネットワーク108からの特徴量の抽出には、学習済みのパラメータ(ウェイトとバイアス)をそのまま使用する。
(1) 画像Iを畳み込みニューラルネットワーク108に入力し、特定の中間層114 の出力を特徴ベクトルとして取り出す。
(2) 特徴ベクトルをLSTM入力層116からLSTM隠れ層118に入力する。
(3) 単語列Stをt=0からt=N−1まで順に入力し、それぞれのステップで確率pt+1を得る。
(4) 単語St+1を出力する確率pt+1(St+1)から求まるコストを最小化す る 。
学習済みの畳み込みニューラルネットワーク108と再帰型ニューラルネットワーク110を使用して入力ブロック画像の画像説明文を推定する場合には、畳み込みニューラルネットワーク108にブロック画像を入力して生成した特徴量のベクトルを再帰型ニューラルネットワーク110に入力し、単語の出現確率の積が高い順に単語列を並べて画像説明文を生成させる。この手順は次のようになる。
(2) 特徴ベクトルをLSTM入力層116からLSTM隠れ層118に入力する。
(3) 文の開始記号<S>を、ベクトル変換部122を使用してベクトルに変換し、LSTM隠れ層118に入力する。
(4) LSTM隠れ層118の出力から単語の出現確率が分かるので、上位M個(例えばM=20個)の単語を選ぶ。
(5) 1つ前のステップで出力した単語を、ベクトル変換部122を使用してベクトルに変換し、LSTM隠れ層118に入力する。
(6) LSTM隠れ層118の出力から、これまでに出力した単語の確率の積を求め、上位M個の単語列を選択する。
(7) 前記(5)と前記(6)の処理を、単語の出力が終端記号になるまで繰り返す。
図13は図11の画像解析装置による画像解析制御を示したフローチャートである。図13に示すように、画像解析装置90はステップS21で放水制御部36からの放水軌道設定情報に基づき、画像入力部92により監視カメラ12で撮像された監視画像を分割したブロック画像の中の火源までの放水軌道に基づくブロック画像、例えば放水軌道上及びその周辺のブロック画像を読み込み、ステップS22で第2の多層式ニューラルネットワーク94に入力して画像説明文を生成し、ステップS23で生成した画像説明文を判定制御部96で保持する。
(放水銃)
上記の実施形態は、水平旋回と垂直旋回を行う放水銃を例にとっているが、水平旋回は行うが、垂直旋回は行わずに垂直走査角を固定した曲射放水専用の放水銃を設置としても良い。
上記の実施形態は、監視画像を分割したブロック画像を多層式ニューラルネットワークに入力しているが、監視画像を分割せずに多層式ニューラルネットワークに入力して火源を検出し、検出された火源に向けて消火用水を放水するようにしても良い。
上記の実施形態は、畳み込みニューラルネットワークにブロック画像を入力して火災による特徴を抽出しているが、畳み込みニューラルネットワークを使用せず、入力したブロック画像から輪郭、濃淡等の特徴を抽出する前処理を行って所定の特徴を抽出し、特徴が抽出された画像を認識部として機能する全結合ニューラルネットワークに入力して火災を推定させるようにしても良い。これによりブロック画像の特徴抽出の処理負担を低減可能とする。また、畳み込みニューラルネットワークは全結合のニューラルネットワークより学習が高速となるため好適であるが、全結合のニューラルネットワークを用いるようにしても良い。
上記の実施形態は、バックプロパゲーションによる学習を行っているが、多層ニューラルネットワークの学習方法はこれに限らない。
また、本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
12:監視カメラ
14:制御盤
16:現場操作盤
18:中央制御盤
20:中央操作卓
22:ポンプ
24:ポンプ制御盤
26:配水管
28:エアーコンプレッサ
30:空気配管
32:消火対象区域
34:火源検出装置
36:放水制御部
38,92:画像入力部
40:多層式ニューラルネットワーク
42,96:判定制御部
44:ブロック分類画像記憶部
46,100:学習制御部
48:学習画像記憶部
50,104:操作部
52,106:表示部
54:直射軌道
56:曲射軌道
60,108:畳み込みニューラルネットワーク
61:全結合ニューラルネットワーク
62:入力画像
63,65a,65b:重みフィルタ
64a,64b,64c:特徴マップ
66,112:入力層
68:全結合
70,114:中間層
72:出力層
74−1,74−2:火災画像
76:燃焼物
78:炎
80:煙
82−1,82−2:ブロック分類画像
84:放水
90:画像解析装置
94:第2の多層式ニューラルネットワーク
98:シソーラス辞書
102:学習データセット記憶部
110:再帰型ニューラルネットワーク
116:LSTM入力層
118:LSTM隠れ層
120:レジスタ
122:ベクトル変換部
124:確率変換部
126:コスト算出部
Claims (7)
- 撮像部により撮像された警戒区域の監視画像を多層式ニューラルネットワークに入力して、前記多層式ニューラルネットワークの出力結果に基づき火源を検出する火源検出装置と、
前記火源検出装置により検出された前記火源に向けて消火用水を放水する放水銃装置と、
前記監視画像を第2の多層式ニューラルネットワークに入力して、前記第2の多層式ニューラルネットワークから出力される前記監視画像の内容を示す画像説明文に基づき前記警戒区域の状況を識別し、前記放水銃装置を制御する画像解析装置と、
が設けられたことを特徴とする放水型消火設備。
- 請求項1記載の放水型消火設備に於いて、
前記火源検出装置は、前記撮像部により撮像された警戒区域の監視画像を複数のブロック画像に分割し、前記ブロック画像を前記多層式ニューラルネットワークに入力して、前記多層式ニューラルネットワークの出力結果に基づき火源を検出し、
前記画像解析装置は、前記撮像部により撮像された警戒区域の監視画像を複数のブロック画像に分割し、前記ブロック画像を前記第2の多層式ニューラルネットワークに入力して、前記第2の多層式ニューラルネットワークから出力される前記ブロック画像の内容を示す画像説明文に基づき前記警戒区域の状況を識別し、前記放水銃装置を制御することを特徴とする放水型消火設備。
- 請求項2記載の放水型消火設備に於いて、
前記画像解析装置は、
前記火源までの放水軌道上に位置する前記ブロック画像の画像説明文から障害物がないこと又は放水が貫通する障害物を識別した場合に、前記放水銃装置に前記火源に向けた直射軌道での放水を指示し、
前記火源までの放水軌道上に位置する前記ブロック画像の画像説明文から放水が貫通できない障害物を識別した場合に、前記放水銃装置に前記障害物を迂回する曲射軌道での放水を指示することを特徴とする放水型消火設備。
- 請求項2記載の放水型消火設備に於いて、
前記画像解析装置は、
前記火源の近傍に位置する前記ブロック画像の画像説明文から可燃物を識別した場合に、前記放水銃装置に放水量の増加を指示し、
前記火源の近傍に位置する前記ブロック画像の画像説明文から不燃物を識別した場合に、前記放水銃装置に放水量の減少を指示することを特徴とする放水型消火設備。
- 請求項2記載の放水型消火設備に於いて、
前記画像解析装置は、前記火源までの放水軌道上に位置する前記ブロック画像の画像説明文から人を識別した場合に、前記放水銃装置に放水開始の禁止又は放水中の放水停止を指示することを特徴とする放水型消火設備。
- 請求項2記載の放水型消火設備に於いて、
前記画像解析装置は、
前記火源までの放水軌道上に位置する前記ブロック画像の画像説明文から人の消火活動を識別した場合に、前記放水銃装置に放水開始の禁止を指示し、
前記火源までの放水軌道上に位置する前記ブロック画像の画像説明文から人が倒れていることを識別した場合に、前記放水銃装置に放水開始を指示することを特徴とする放水型消火設備。
- 請求項2記載の放水型消火設備に於いて、
前記放水銃装置は、操作部の操作を検出して放水を開始するものであり、
前記画像解析装置は、前記ブロック画像の画像説明文から、放水軌道上の障害物、火源近傍の可燃物、火源近傍の不燃物、放水軌道上の人の存在、放水軌道上の人の消火活動、又は放水軌道上の倒れている人を識別した場合に、当該識別結果を前記放水銃装置の操作部に設けられた表示部に画面表示させることを特徴とする放水型消火設備。
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