JP6945321B2 - 固体試料中の酸素、窒素又は水素の定量方法 - Google Patents

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本発明は、硫黄を含有する固体試料中の酸素、窒素又は水素の定量方法に関する。
金属中の酸素や窒素、水素の定量分析法には、JIS Z2613やJIS G1228、JIS Z2614に規定されているように幾つかの方法がある。その中でも、分析作業の簡便性や分析精度から、酸素の定量には不活性ガス融解−赤外線吸収法が一般的に用いられている。窒素の定量には不活性ガス融解−熱伝導度法が一般的に用いられている。水素の定量には不活性ガス融解−赤外線吸収法を用いることができる。これらの分析法は、例えば以下のように行われる。まず、不活性雰囲気下に黒鉛るつぼ内で固体試料を加熱融解し、試料中のOとるつぼ中のCとを反応させてCOを含むガスを発生させる。発生したガス中の粉塵をダストフィルターで除去した後、CO分析計(NDIR)でCOを分析することによりO成分の量を求める。
次に、CO分析計を通過したガスを約600℃に加熱したCuOからなる酸化剤で酸化してCOとし、次いでアルカリ試薬によってCO成分や他の酸性ガスを除去する。更に、脱水剤によって水分を除去した後、N分析計でN成分を求める。
別の方法では、抽出炉から発生したCOを約600℃に加熱したCuOからなる酸化剤で酸化してCOとし、CO分析計でCO成分を分析することによりO成分を求める。その後、前記と同様にアルカリ試薬でCOと酸性ガスを除去し、脱水剤で水分を除去した後、N分析計でN成分を求める。
水素を定量分析する方法としては、抽出炉から発生した水素含有成分を約600℃に加熱したCuOからなる酸化剤で加熱してHOとし、HO分析計でHO成分を分析することによりH成分を求める。
硫黄含有試料中の酸素や窒素を分析する方法としては、金属酸化物や金属線を脱硫剤として使用した分析方法が知られている。例えば特許文献1には、ガスクロマトグラフィーによる酸素分析法において、金属銅線を脱硫剤として使用することが記載されている。同文献には、ガスクロマトグラフィーに代えて赤外線吸収法にも適用できると記載されている。しかし同文献には、赤外線吸収分析時に妨害となる物質であるCSガスを除去するための具体的な手段について言及されていない。更に特許文献1では、水分を揮散させる目的で分析前に試料を130℃で予備加熱しているので、その際にCS(沸点46℃)の一部が揮散していると推察される。そのことに起因して、金属銅線によるCSガス除去効果や、どの程度の硫黄量が除去できるのかについては不明である。また、不活性ガス融解−赤外線吸収法では、水分中のO成分も酸素として検出するので、予備加熱を行わずに試料中の硫黄分を除去する必要がある。更に特許文献1では最大5質量%の硫黄を含有する試料中の酸素を分析しているものの、10質量%を超える高濃度に硫黄を含有した試料中の酸素を分析した結果については記載されていない。
特許文献2では、MnOを脱硫剤として使用し、不活性融解−赤外線吸収法による酸素分析を行っている。しかしMnOを使用した場合、MnOがCOガスによって還元されMnOによる脱硫機能が損なわれる可能性がある。またMnOがCOガスによって還元されることに伴いCOが発生し酸素分析値に影響を与える可能性がある。更に、同文献中には実験に使用した試料の物質名が記載されておらず、試料中の硫黄含有量も記載されていない。このため、特許文献2に記載の方法では、具体的にどの程度の量の硫黄が除去できるのかが不明である。
特許文献3では、MnOを脱硫剤として使用し、不活性融解−熱伝導度法による窒素分析を行っている。しかしMnOを使用した場合、上述の特許文献2と同様にMnOの安定性に問題が生じると考えられる。また、特許文献3では最大0.56質量%の硫黄を含有する試料中の窒素を分析しているものの、10質量%を超える高濃度に硫黄を含有した試料中の酸素及び窒素を分析した結果については記載されていない。
以上のとおり、上述の各特許文献では、数質量%以下の低濃度の硫黄を含有する試料を分析対象としているに過ぎず、10質量%以上の高濃度の硫黄を含有した試料を分析対象とできるか否かは不明である。
特開昭56−122957号公報 特開平9−184833号公報 特開2000−310606号公報
硫黄含有試料を黒鉛るつぼで加熱融解すると、試料中のSと黒鉛るつぼ中のCとが反応してCSガスやCOSガスが発生する。このCSの赤外線吸収ピークのうち、副吸収ピーク(2200cm−1付近)が、COの赤外線吸収ピークとほぼ一致することに起因して、CO測定時に正の干渉を与えることとなる。また、COSガスのうち、主吸収ピーク(2100cm-1付近)が、COの赤外線吸収ピークとほぼ一致することに起因して、CO測定時に正の干渉を与えることとなる。
また、CSやCOS成分はCuO等の酸化剤と反応し、CuSやCuSを生成してCuOを劣化させる。このことに起因して、CuOの酸化剤としての機能が失われ、COやその他の酸性ガスが酸化されなくなり、CO分析計による酸素分析や、HO分析計による水素分析や、N分析計による窒素分析に支障を来す。
したがって本発明の課題は、試料中に含まれる硫黄に起因する種々の不都合を解消して、信頼性の高い分析値を得ることのできる酸素、窒素又は水素の分析方法を提供することにある。
本発明は、硫黄を含有する固体試料中の酸素、窒素又は水素を定量する方法において、
硫化物の生成が可能な金属からなる第1の脱硫剤の共存下に前記固体試料を加熱して、該固体試料中の硫黄を硫化物として除去するとともにガスを発生させる工程と、
発生した前記ガスを、硫化物の生成が可能な金属からなる第2の脱硫剤が充填され且つ600℃以上750℃以下に加熱された充填管に通して、該ガス中に含まれる残余の硫黄を硫化物として除去する工程と、
前記充填管を通過したガス中に含まれる酸素、窒素又は水素を定量する工程と、を含む固体試料中の酸素、窒素又は水素の定量方法を提供することにより前記の課題を解決したものである。
本発明によれば、硫黄を含有する試料中の酸素、窒素及び水素の定量を、高信頼性をもって行うことができる。
図1は、本発明の定量方法の一実施形態における定量手順を示すフローチャートである。 図2は、比較例1における酸素の定量のための赤外線吸収スペクトルを示す図である。 図3は、実施例1ないし4における酸素の定量のための赤外線吸収スペクトルを示す図である。 図4は、図2及び図3に示す赤外線吸収スペクトルの要部拡大図である。 図5は、実施例1並びに比較例2及び3における酸素の定量のための赤外線吸収スペクトルを示す図である。 図6は、実施例5及び比較例4における酸素の定量のための赤外線吸収スペクトルを示す図である。 図7は、実施例6及び比較例5における酸素の定量のための赤外線吸収スペクトルを示す図である。 図8は、比較例6における酸素の定量のための赤外線吸収スペクトルを示す図である。
以下に、本発明の固体試料中の酸素、窒素又は水素の定量方法を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。なお以下の説明において「酸素」、「窒素」及び「水素」というときには、文脈に応じ元素としての酸素(すなわちO)、窒素(すなわちN)及び水素(すなわちH)を指す場合と、分子としての酸素(すなわちO)、窒素(すなわちN)及び水素(すなわちH)を指す場合とがある。本発明の定量方法で定量される対象は、元素としての酸素(すなわちO)、窒素(すなわちN)及び/又は水素(すなわちH)である。
図1には、本発明の定量方法の一実施形態における定量手順が示されている。同図に示すとおり、本発明の定量方法においては、抽出炉1、流路2、ダストフィルター3、流量調整弁4、充填管5、CO分析計6、酸化剤7、CO分析計8、水素分析計9、アルカリ試薬10、脱水剤11、及び窒素分析計12がこの順で設置された装置を用いる。
まず、ヘリウムやアルゴンなどの希ガスを用いて、これらのガスをキャリアガスとして図1に示す抽出炉1内に供給して、抽出炉1内を含む装置内の雰囲気をキャリアガスに置換するとともに、装置内に存在する大気由来の酸素、窒素及び水素を排除する工程を予め行う。次に、抽出炉1内の容器に固体試料及び第1の脱硫剤を入れ、該容器にこれらが入った状態で加熱を行う。固体試料としては硫黄を含有するものであれば特に制限はない。「固体試料」とは、常温常圧下において固体状態を呈する試料のことである。また「硫黄を含有する」とは、単体の硫黄を含有する場合と、硫黄化合物を含有する場合との双方を包含する。硫黄を含有する固体試料としては、例えば石炭、硫化物や複合硫化物を初めとする各種の硫黄化合物、及び単体の硫黄又は硫黄化合物を含む固体組成物などが挙げられるが、これらに限られない。
固体試料に含まれる硫黄の割合は広範な範囲とすることができる。例えば1質量%以上の硫黄を含有する固体試料中の酸素、窒素又は水素の定量に本発明の方法を適用することができる。特に本発明の分析方法は、10質量%以上という高濃度の硫黄を含有する固体試料中の酸素、窒素又は水素を定量するときに、その利点が顕著なものとなる。固体試料に含まれる硫黄の割合の上限値に特に制限はないが、例えば60質量%以下という極めて高濃度の硫黄を含有する固体試料中の酸素、窒素又は水素も本発明によれば定量が可能である。
特に、固体試料中の硫黄の量が40mg以下になるように固体試料の量を調整することで、硫黄を例えば50質量%以上含有する硫化物のような高濃度硫黄含有固体試料を対象とした場合であっても、酸素、窒素及び水素を分析することができる。
固体試料が粉末である場合には、該粉末をカプセルに封入した状態で、抽出炉1内の容器に入れることもできる。カプセルは、抽出炉1の加熱温度において溶融する材料から構成されている。例えばカプセルの材料としてニッケルを用いることができる。
固体試料とともに容器内に入れられる第1の脱硫剤は、硫化物の生成が可能な金属からなるものである。ここで言う「金属」とは、金属単体、2種以上の金属の合金、及び2種以上の金属単体の混合物、並びにこれらの任意の組み合わせを包含する(これ以降の説明においても同じ意味で用いられる。)。第1の脱硫剤としては、硫化物が容易に生成する観点から、銅及び銀からなる群より選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。特に、高温(例えば2000℃以上3000℃以下)で硫化物の生成を一層容易にする観点から、第1の脱硫剤として銅を用いることが好ましい。
第1の脱硫剤の形状に特に制限はない。例えば粒状物、繊維状物、及び塊状物、並びにそれらの組み合わせを用いることができる。
第1の脱硫剤を構成する金属は、酸素を含まない高純度品、例えば純度が99.9質量%以上のものであることが望ましい。また該金属を、その使用前に希硝酸や酢酸などで予め処理して表面の酸化物を取り除いておくことで、高純度品以外のものも使用できる。あるいは該金属を高温で加熱して内包酸素を除去することでも、高純度品以外のものを使用できる。この場合、加熱温度は1800℃以上であることが好ましく、2000℃以上であることが更に好ましい。
第1の脱硫剤の使用量は、固体試料に含まれる硫黄の量との関係で決定されることが硫化物の生成による硫黄の効率的な除去の観点から好ましい。詳細には、第1の脱硫剤を構成する金属を、固体試料中の硫黄のモル数に対して好ましくは4倍以上、更に好ましくは8倍以上、一層好ましくは10倍以上のモル数で使用することで、固体試料に含まれる硫黄を確実に除去することができる。第1の脱硫剤の使用量の上限値は、突沸の防止の観点や、工業的・経済的観点から、固体試料中の硫黄のモル数に対して好ましくは30倍以下のモル数とすることが好ましい。
固体試料及び第1の脱硫剤が入れられる抽出炉1内の容器としては、炭素製の容器を用い、該容器内に固体試料及び第1の脱硫剤が入った状態で加熱を行うことが好ましい。炭素製の容器を用いることで、加熱時に固体試料に含まれている酸素が炭素と反応して一酸化炭素が生成しやすくなるからである。一酸化炭素の生成は、その赤外線吸収スペクトルの測定による酸素の定量に有利に作用する。炭素製の容器としては、耐熱性等を考慮すると、例えば黒鉛るつぼを用いることが簡便である。
固体試料及び第1の脱硫剤が抽出炉1内の容器に入れられた状態下に加熱を行う。加熱の雰囲気は例えばヘリウムやアルゴンなどの希ガスを用いることが好ましい。これらのガスをキャリアガスとして抽出炉1内に供給しつつ加熱を行う。加熱は、固体試料中の硫黄と第1の脱硫剤とが反応して硫化物を生成し、且つ固体試料中の酸素と抽出炉1内の容器を構成する炭素とが反応して一酸化炭素を生成する温度で行うことが好ましい。この観点から加熱温度は1500℃以上2500℃以下に設定することが好ましく、1800℃以上2400℃以下に設定することが更に好ましく、2000℃以上2300℃以下に設定することが一層好ましい。なお前記の硫化物とは、例えば第1の脱硫剤が銅である場合にはCuS及び/又はCuSのことである。
以上の条件で加熱を行うことで固体試料から一酸化炭素が生成し、且つ硫化物が生成する。また、硫化物の生成に起因して、二硫化炭素(CS)や硫化カルボニル(COS)の生成が阻害される。二硫化炭素や硫化カルボニルは、一酸化炭素を対象とした赤外線吸収スペクトルの測定を阻害する物質であることから、その生成を阻害することは、一酸化炭素を対象とした赤外線吸収スペクトルの測定に基づく酸素の定量に有利に作用する。
金属からなる第1の脱硫剤は、上述の二硫化炭素や硫化カルボニルの生成を阻害させ、また二硫化炭素や硫化カルボニルが生成した場合にそれを除去する作用を有する。また第1の脱硫剤は、共存物、すなわち固体試料の沸点を上昇させる。その結果、沸点の低い物質である二硫化炭素(沸点46℃)の生成を抑制しながら、固体試料中の硫黄と第1の脱硫剤を構成する金属との反応を進行させて、効率的に硫黄を除去する。また、金属からなる第1の脱硫剤を使用することで、後述する充填管5の前段の段階で大部分の硫黄が除去されるので、充填管5に充填されている第2の脱硫剤(これについても後述する)の劣化を遅延させることができる。充填管5に充填されている第2の脱硫剤の劣化が進行すると、二硫化炭素や硫化カルボニルの除去効率が低下する場合があったり、充填管5の目詰まりによってガスの流速が低下する場合があったりするので、分析に支障が生じることがある。そのような場合には、充填管5内の第2の脱硫剤を交換する必要がある。しかし、充填管5は加熱されていることから、充填管5内の第2の脱硫剤の交換のために数時間の冷却時間を要してしまう。また充填管5の内壁に固着した第2の脱硫剤の除去や充填管5の洗浄などにも時間を要する。その結果、分析作業の効率低下が生じることがある。これに対して本発明の分析方法によれば、第1の脱硫剤と、後述する第2の脱硫剤とを併用することで、二硫化炭素や硫化カルボニルを完全除去でき、分析作業の効率が向上する。
抽出炉1における加熱は固体試料中の測定対象成分のすべてがガス化されるまで行う。このように、抽出炉1においては、第1の脱硫剤の共存下に固体試料を加熱して、該固体試料中の硫黄を第1の脱硫剤の硫化物として除去するとともに、該固体試料中の酸素、窒素又は水素を含むガスを発生させる工程が行われる。この工程によって発生したガスは、キャリアガスとともに流路2を通り、ダストフィルター3及び流量調整弁4を経て充填管5に供給される。ダストフィルター3は、ガス中の粉塵除去の目的で設置されるものである。ダストフィルター3としては、例えば石英ウールが用いられる。流量調整弁4は、検出器に導入されるガス流量を一定に保つための目的で設置されるものである。
流量調整弁4の下流に設置されている充填管5には第2の脱硫剤が充填されている。第2の脱硫剤は、硫化物の生成が可能な金属からなるものである。第2の脱硫剤としては、硫化物が容易に生成し、且つ高温においても脱硫を行う観点から、銅及び銀からなる群より選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。特に、硫化物の生成が一層容易であり、且つ高温(例えば600℃以上750℃以下)で効率的に脱硫を行う観点から、第2の脱硫剤として銅を用いることが好ましい。
本発明の定量方法においては、第1の脱硫剤を構成する金属と第2の脱硫剤を構成する金属とは、同種のものであってもよく、あるいは異種のものであってもよい。工業的な観点からは、第1の脱硫剤と第2の脱硫剤とがいずれも同種の金属からなることが有利である。特に第1の脱硫剤と第2の脱硫剤とがいずれも銅からなることが、硫化物の生成が容易であり、且つ生成した硫化物が高温で安定に存在する観点、安全性や取り扱い性が良好である観点、及び経済的観点から好ましい。
第2の脱硫剤の形状に特に制限はない。例えば粒状物、繊維状物、及び塊状物、並びにそれらの組み合わせを用いることができる。特に第2の脱硫剤が、金属の粒状体からなり、該粒状体の平均粒径が0.5mm以上3mm以下、特に0.6mm以上1.6mm以下であることが、充填管5内におけるガスの円滑な流通の観点、充填管5の交換頻度の減少の観点、及び第2の脱硫剤として使用する金属の表面の酸化物を酸により取り除く際の取り扱いの利便性の観点から好ましい。粒状体の平均粒径は、光学顕微鏡下での観察によって測定される。具体的には、粒状体から任意の25個を取り出し、顕微鏡の接眼レンズに付属している接眼ミクロメーターによって、各粒状体の長さを計測し平均粒径を算出した。顕微鏡の倍率は、接眼レンズが10倍、対物レンズが5倍である。
充填管5内にガスを供給するときには、該充填管5内の雰囲気をキャリアガスに置換しておくとともに、該充填管5を加熱した状態にしておくことが好ましい。これによって、ガス中に含まれる残余の硫黄成分が、充填管5に充填されている第2の脱硫剤と確実に反応して硫化物が生成し、ガス中から硫黄成分を確実に除去することができる。この観点から、充填管5の加熱温度は600℃以上750℃以下に設定することが好ましく、700℃以上750℃以下に設定することが更に好ましい。また、充填管5の加熱により、該充填管5内の第2の脱硫剤も上述の加熱温度範囲となっていることが好ましい。
充填管5に充填されている第2の脱硫剤によってガスに含まれる残余の硫黄成分、例えば二硫化炭素を除去できることから、充填管5の下流に設置されている酸化剤7(これについては後述する)が硫黄成分によって劣化することを効果的に抑制できる。その結果、酸化剤7の交換頻度が減り、分析作業の効率が向上する。
充填管5内にガスを供給するときの供給流量は、第2の脱硫剤の硫化物の生成による硫黄成分の確実な除去の観点から、400mL/min以上500mL/min以下であることが一層好ましい。
以上のとおり、本発明の定量方法においては、第1の脱硫剤と第2の脱硫剤とを併用することで、固体試料から発生したガスに含まれる二硫化炭素を初めとする硫黄成分を完全に除去でき、分析作業の効率が向上する。これに対して第1の脱硫剤のみを多量に用いて硫黄成分を除去しようとすると、抽出炉1内で固体試料を加熱しているときに突沸が生じる懸念がある。一方、第2の脱硫剤のみを多量に用いて硫黄成分を除去しようとすると、充填管5内を通過するガスの流速が低下して分析効率が低下する懸念がある。このように、固体試料から発生したガスに含まれる硫黄成分を完全に除去するためには、第1の脱硫剤と第2の脱硫剤との併用が非常に有利である。
充填管5を通過したガスからは硫黄がほぼ除去されており、硫黄フリーのガスになっている。このガスを対象として、ガス中に含まれる酸素、窒素又は水素を定量する工程を行う。酸素の定量は、充填管5の下流に設置されているCO分析計6を用いて行う。CO分析計6においては、充填管5を通過したガス中に含まれる一酸化炭素を、赤外線吸収スペクトルで定量して、その定量値に基づき酸素の量を算出する工程が行われる。先に背景技術の項で述べたとおり、一酸化炭素の赤外線吸収のピークは、二硫化炭素の赤外線吸収ピークのうち、副吸収ピーク(2200cm−1付近)とほぼ一致し、更に硫化カルボニルの主吸収ピーク(2100cm-1付近)ともほぼ一致することに起因して、一酸化炭素の赤外線吸収スペクトルを測定するときに正の干渉を与えるという不都合が生じるところ、充填管5を通過したガスには二硫化炭素や硫化カルボニルが含まれていないので、そのような不都合が生じることはない。
酸素の定量に一酸化炭素を用いることに代えて、又は一酸化炭素に加えて二酸化炭素を用いることもできる。二酸化炭素を用いる場合には、充填管5を通過したガス中に含まれる一酸化炭素を酸化して二酸化炭素を生成させ、生成した二酸化炭素を、後述するCO分析計8によって赤外線吸収スペクトルで定量して、その定量値に基づき酸素の量を算出する工程を行えばよい。一酸化炭素を二酸化炭素に酸化するためには、一酸化炭素を、例えば充填管5の下流に設置されている酸化剤7に通して二酸化炭素に酸化させればよい。酸化剤7の詳細については後述する。二酸化炭素は一酸化炭素よりも高感度分析が可能であることから、低濃度の酸素分析時に一酸化炭素よりも有利である。
一酸化炭素を含むガスを酸化剤7に通すときに、該ガス中に二硫化炭素や硫化カルボニルなどの硫黄成分が含まれていると、該硫黄成分によって酸化剤7が劣化してしまい、一酸化炭素を確実に二酸化炭素に酸化できないおそれがある。しかし本発明の定量方法によれば、第1の脱硫剤及び第2の脱硫剤の併用によってガス中から硫黄成分を完全に除去できるので、酸化剤7の劣化が抑制されて、一酸化炭素を確実に二酸化炭素に酸化させることができる。したがって本発明の定量方法によれば、二酸化炭素に基づく酸素の定量の信頼性が高まる。なお、これまでの説明や、後述する実施例では、不活性ガス融解による赤外線吸収法や熱伝導度法を用いて定量を行っているが、ガスクロマトグラフィー(GC)など他のガス分析方法にも本発明は適用できる。例えば、GCでは硫黄分による極性カラムへの悪影響が知られているが、本発明に従い予め硫黄分を除去したガスをGCカラムへ導入することで、カラムへの悪影響を防止することができる。
窒素を定量する場合には、充填管5を通過したガス中に含まれる一酸化炭素を酸化して二酸化炭素を生成させ、次いで該ガス中から酸性物質及び二酸化炭素をアルカリ試薬10によって除去し、更に該ガス中から水分を脱水剤11によって除去した後、該ガス中に含まれる窒素を熱伝導度検出器等の窒素分析計12によって定量する。詳細には以下の操作が行われる。
上述したCO分析計6による酸素の定量が完了しCO分析計6を通過したガスを、CO分析計6の下流に設置されている酸化剤7中を通過させ、ガスに含まれている一酸化炭素を二酸化炭素に酸化させる。酸化剤7としては、一酸化炭素を二酸化炭素に酸化させ得る作用を有する物質を特に制限なく用いることができる。そのような酸化剤としては例えば酸化銅(CuO)などが挙げられるが、これに限られない。一酸化炭素を二酸化炭素に確実に酸化させる観点から、ガスが酸化剤7中を通過するときに該酸化剤7を加熱しておくことが有利である。この観点から、酸化剤7の加熱温度は600℃以上650℃以下に設定することが更に好ましい。
酸化剤7を通過してきたガス中には、もはや一酸化炭素は含まれておらず、その代わりに二酸化炭素が含まれている。これに加えてガス中には酸性物質、例えば塩化水素が含まれていることがある。これら二酸化炭素や酸性物質は窒素の定量に不都合を生じさせる物質であることから、窒素の定量の先立ち二酸化炭素や酸性物質をガスから除去することが望ましい。この観点から、酸化剤7の下流にアルカリ試薬10を設置しておき、酸化剤7を通過してきたガスをアルカリ試薬10に通すことで、二酸化炭素や酸性物質をガスから除去する。
酸素の定量に一酸化炭素を用いることに代えて二酸化炭素を用いる場合は、酸化剤7を通過してきたガスを対象として、ガスに含まれている二酸化炭素を定量する工程を行うことができる。二酸化炭素の定量は、酸化剤7の下流に設置されているCO分析計8を用いて行う。CO分析計8においては、酸化剤7を通過したガス中に含まれる二酸化炭素を、赤外線吸収スペクトルで定量して、その定量値に基づき酸素の量を算出する工程を行われる。
CO分析計8を通過したガス中には、依然として二酸化炭素や酸性物質が含まれていることがある。上述のとおり、窒素の定量の先立ち二酸化炭素や酸性物質をガスから除去する観点から、CO分析計8の下流にアルカリ試薬10を設置しておき、CO分析計8を通過してきたガスをアルカリ試薬10に通すことで、二酸化炭素や酸性物質をガスから除去する。
前記のアルカリ試薬10としては、例えば水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物などが挙げられる。またアルカリ試薬10として市販品を用いることもできる。そのような市販品としては例えばアスカライト(和光純薬工業株式会社)などが挙げられる。
アルカリ試薬10を通過したガスは、図1に示すとおり脱水剤11を通過する。ガスが脱水剤11を通過することで、ガスに含まれている水分が脱水剤11によって除去される。脱水剤11としては、この種の脱水に用いられている物質を特に制限なく用いることができる。そのような脱水剤11としては、例えばMg(ClOなどが挙げられる。
脱水剤11を通過してきたガスは窒素分析計12に導入され、窒素の定量が行われる。窒素分析計12としては、これまでに知られている分析計を特に制限なく用いることができる。例えば窒素分析計12として熱伝導度検出器(TCD)を用いることができる。
水素を定量する場合には、充填管5を通過したガス中に含まれる水素含有成分を酸化剤7によって酸化して水を生成させ、生成した水を赤外線吸収スペクトル測定装置からなる水素分析計9で定量して、その定量値に基づき水素の量を算出する。
詳細には、充填管5を通過したガスを上述のCO分析計6に導入して一酸化炭素の赤外線吸収スペクトルを測定した後、ガスを酸化剤7に導入し、ガス中に含まれる水素含有成分を酸化剤7によって酸化して水を生成させる。生成した水を含むガスを水素分析計9に導入し、ガス中に含まれる水を、赤外線吸収スペクトルで定量して、その定量値に基づき水素の量を算出する。
ガスを酸化剤7に導入するに際し、該ガス中に二硫化炭素や硫化カルボニルなどの硫黄成分が含まれている場合には、酸化剤7が硫黄成分によって劣化してしまい、酸化剤7の酸化の機能が損なわれることがある。そのような場合には、ガス中に含まれる水素含有成分を酸化剤7によって酸化して水を生成させることに不都合が生じてしまい、水素の正確な定量に支障を来す。これに対して本発明の定量方法によれば、第1の脱硫剤と第2の脱硫剤との併用によってガス中の硫黄成分が完全に除去されているので、酸化剤7の劣化が抑制され、ガス中に含まれる水素含有成分を酸化剤7によって酸化して水を確実に生成させることができる。
以上の定量方法によれば、固体試料中の測定対象成分をガス化するときに硫黄成分を除去できるとともに、酸化剤7の前段の時点でガス中に含まれる硫黄成分も除去できるので、硫黄成分に起因する酸化剤7の劣化が効果的に抑制でき、信頼性の高い分析値が得られる。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば本発明において、酸素、窒素及び水素の定量を行う場合には、これら三種を一連の処理フローにおいて定量してもよく、あるいは酸素、窒素及び水素のうちの任意の二種を一連の処理フローにおいて定量してもよく、あるいは酸素、窒素及び水素のうちのいずれか一種のみを定量してもよい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかし本発明の範囲はかかる実施例に制限されない。特に断らない限り「%」は「質量%」を意味する。
[分析の準備]
図1に示す構成を有する装置として、酸素窒素水素分析装置(株式会社堀場製作所製のEMGA930)を使用した。固体試料として粉末試料を分析する場合には、Niカプセル(LECO社製、XX−502−822)に粉末試料を入れ、それを黒鉛るつぼ(堀場製作所製、IG−11)に入れて加熱を行った。第1の脱硫剤として金属銅であるCopper Metal Accelerator(ALPHA社製、AR263)を0.3g秤量したものを使用した。金属銅はEMGA930の脱ガス機構によって2000℃程度に加熱し、内包酸素を予め除去しておいた。充填管5には、希硝酸で表面酸化物を除去した金属銅を50g充填し、キャリアガスとしてアルゴンを充填管5内に流通させ、充填管5内の雰囲気をアルゴンで置換した後、加熱ユニット(堀場製作所製、コンバーターユニットC−550)で700℃に加熱した。ガスの成分分析には、フーリエ変換型赤外分光光度計(FT−IR)装置(BRUKER社製、VERTEX 70v)を使用した。ガスは、CO分析計6の後段から赤外線吸収分析用のガスセル(PIKE Technologies社製、Short−Path Gas Cell(KBr))に直接採取し、透過法によってガス成分を分析した。また、ガスセルにはガスの一部のみを採集したため、吸光度に定量性はない。
〔実施例1ないし4及び比較例1〕
固体試料として、硫黄結晶(和光純薬製、純度99.99%)を粉砕し粉末状にして10〜40mg秤量したものを使用した。第1の脱硫剤及び第2の脱硫剤を用いず、且つ硫黄10mgを分析した場合を比較例1とする。一方、第1の脱硫剤(金属銅0.3g)及び第2の脱硫剤(金属銅50g)を用い且つ硫黄10mgを分析した場合を実施例1、20mgを分析した場合を実施例2、30mgを分析した場合を実施例3、及び40mgを分析した場合を実施例4とし、ガスの成分分析(FT−IR)を行った。実施例1ないし4の場合は、試料と第1の脱硫剤とが接触するようにこれらをNiカプセルに入れ、分析装置に導入した。硫黄と銅のモル比は、実施例1の場合は1:15とし、実施例2の場合は1:8とし、実施例3の場合は1:5とし、実施例4の場合は1:4とした。
第1の脱硫剤及び第2の脱硫剤を用いない比較例1では、図2に示す赤外線吸収スペクトルが得られた。第1の脱硫剤及び第2の脱硫剤を用いた実施例1ないし4では、図3に示す赤外線吸収スペクトルが得られた。
図2と図3の赤外線吸収スペクトルを比較すると、図2では1500cm−1付近にCSに起因する主吸収ピークが観察される。これとは対照的に、図3では測定波数領域にCSの主吸収ピークは観察されない。なお、検出されているCOの吸収ピークは、Niカプセルに含有する酸素から生成したCOに由来するものである。
図4は、図2の比較例1と図3の実施例1の赤外線吸収スペクトルにおいて、1900〜2300cm−1の領域を拡大したものである。ガス中からCS成分を除去している実施例1では、2100〜2200cm−1付近にほぼ左右対称なCOの赤外線吸収ピークが2つ確認できる。ガス中にCS成分を含む比較例1では、COの赤外線吸収ピークとともに2200cm−1付近にCS由来の鋭利な赤外線吸収ピークが確認できる。CO分析計では、この2100〜2200cm−1付近の赤外線吸収を測定することから、比較例1ではCSの赤外線吸収ピークとCOの赤外線吸収ピークが干渉することで、酸素分析値に正の誤差を与える原因となる。
〔比較例2及び3〕
固体試料として、実施例1と同じ硫黄結晶を粉砕し粉末状にして10mg秤量したものを使用した。硫黄10mgの分析において、第1の脱硫剤は用いず、第2の脱硫剤のみを用いた以外は実施例1と同様の操作を行ったものを比較例2とした。また、硫黄10mgの分析において、第1の脱硫剤のみを用い、第2の脱硫剤は用いなかった以外は実施例1と同様の操作を行ったものを比較例3とした。比較例3においては硫黄と銅のモル比は1:15とした。これらの比較例について、ガスの成分分析(FT−IR)を実施例1と同様に行った。その結果を図5に示す。図5には、比較のために実施例1の結果も併せて記載した。
図5に示す結果から明らかなとおり、第1の脱硫剤及び第2の脱硫剤のいずれか一方のみを用いた比較例2及び3では、1500cm−1付近にCS由来の赤外線吸収ピークが観察された。また、比較例2では2100cm−1付近にCOS由来の赤外線吸収ピークも観察された。この結果から、第1の脱硫剤及び第2の脱硫剤を併用しないとガス中からCSやCOSを完全に除去できないことが判る。
〔実施例5及び6並びに比較例4及び5〕
固体試料として、硫化鉄(硫黄の含有割合:27質量%)及び硫化ニッケル(硫黄の含有割合:35質量%)をそれぞれ10mg秤量したものを用いた。第1の脱硫剤及び第2の脱硫剤を併用して実施例1と同様の操作を行ったものを実施例5(硫化鉄)及び実施例6(硫化ニッケル)とした。第1の脱硫剤及び第2の脱硫剤のいずれも用いない以外は実施例1と同様の操作を行ったものを比較例4(硫化鉄)及び比較例5(硫化ニッケル)とした。これらの実施例及び比較例について、ガスの成分分析(FT−IR)を実施例1と同様に行った。酸素の分析にはCO分析計(NDIR)を用いた。窒素の分析にはN分析計(TCD)を用いた。それらの結果を図6及び図7並びに以下の表1に示す。
Figure 0006945321
表1に示す結果から明らかなとおり、酸素の分析結果に関し、比較例4及び5は、実施例5及び6よりも数値が大きくなっていることが判る。この理由は、比較例4及び5では、試料に含まれる硫黄に由来して発生するCSの赤外線吸収ピークとCOの赤外線吸収ピークが干渉することに起因して、酸素の定量値に正の誤差を与えたためであると考えられる。
窒素の分析結果に関しても、比較例4及び5は、実施例5及び6よりも数値が大きくなっていることが判る。この理由は、比較例4及び5では、試料に含まれる硫黄に由来して発生するCSが酸化剤7であるCuOを劣化させることに起因して、CS、CO及び酸性物質等がガス中から除去されない状態で窒素分析計12に導入されることによって、窒素の定量値に正の誤差を与えたためであると考えられる。
図6及び7に示す結果から明らかなとおり、比較例4及び比較例5では1500cm−1付近にCSに由来する赤外線吸収ピークが観察されるのに対し、実施例5及び実施例6ではそのようなピークは観察されない。このことから、実施例5及び6ではガス中からCSが完全に除去されたことが判る。
〔比較例6〕
本比較例は、特許文献2(特開平9−184833号公報)の追試実験である。本比較例においては、実施例1において第1の脱硫剤を用いず、且つ第2の脱硫剤に代えてMnOを用いた。MnOとしては純正化学株式会社製の粉状MnOを用いた。35gのMnOを石英管に入れ、これを充填管5として用いた。充填管5は加熱せず室温(25℃)で用いた。これら以外は実施例1と同様にしてガスの成分分析(FT−IR)を行った。赤外線吸収スペクトルの結果を図8に示す。同図に示す結果から明らかなとおり、本比較例では1500cm−1付近にCS由来の強い赤外線吸収ピークが観察された。また2200cm−1付近に、CO由来の赤外線吸収ピークと重なるようにCS由来の赤外線吸収ピークが観察された。この結果から、特許文献2に記載の方法に従いMnOのみを用いても、CSを完全に除去できないことが判る。

Claims (11)

  1. 硫黄を含有する固体試料中の酸素、窒素又は水素を定量する方法において、
    硫化物の生成が可能な金属からなる第1の脱硫剤及び前記固体試料を黒鉛るつぼに入れた状態で加熱して、該固体試料中の硫黄を硫化物として除去するとともに、該固体試料中の酸素、窒素又は水素を含むガスを発生させる工程と、
    発生した前記ガスを、硫化物の生成が可能な金属からなる第2の脱硫剤が充填され且つ600℃以上750℃以下に加熱された充填管に通して、該ガス中に含まれる残余の硫黄を硫化物として除去する工程と、
    前記充填管を通過したガス中に含まれる酸素、窒素又は水素を定量する工程と、を含む固体試料中の酸素、窒素又は水素の定量方法。
  2. 前記充填管に充填されている第2の脱硫剤が金属の粒状体からなり、該粒状体の平均粒径が0.5mm以上3mm以下である請求項1記載の定量方法。
  3. 10質量%以上の硫黄を含有する前記固体試料中の酸素、窒素又は水素を定量する請求項1又は2に記載の定量方法。
  4. 硫黄を含有する固体試料中の酸素、窒素又は水素を定量する方法において、
    硫化物の生成が可能な金属からなる第1の脱硫剤の共存下に前記固体試料を加熱して、該固体試料中の硫黄を硫化物として除去するとともに、該固体試料中の酸素、窒素又は水素を含むガスを発生させる工程と、
    発生した前記ガスを、硫化物の生成が可能な金属からなる第2の脱硫剤が充填され且つ600℃以上750℃以下に加熱された充填管に通して、該ガス中に含まれる残余の硫黄を硫化物として除去する工程と、
    前記充填管を通過したガス中に含まれる酸素、窒素又は水素を定量する工程と、を含み、
    第1の脱硫剤を構成する前記金属を、前記固体試料中の硫黄のモル数に対して4倍以上のモル数で使用する固体試料中の酸素、窒素又は水素の定量方法。
  5. 第1の脱硫剤が銅及び銀からなる群より選択される少なくとも1種であり、
    第2の脱硫剤が銅及び銀からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1ないしのいずれか一項に記載の定量方法。
  6. 第1の脱硫剤と第2の脱硫剤とがいずれも同種の金属からなる請求項1ないしのいずれか一項に記載の定量方法。
  7. 第1の脱硫剤と第2の脱硫剤とがいずれも銅からなる請求項に記載の定量方法。
  8. 前記充填管を通過したガス中に含まれる一酸化炭素及び/又は二酸化炭素を、赤外線吸収スペクトルで定量して、その定量値に基づき酸素の量を算出する請求項1ないしのいずれか一項に記載の定量方法。
  9. 前記充填管を通過したガス中に含まれる一酸化炭素を酸化して二酸化炭素を生成させ、該ガス中に含まれる二酸化炭素を赤外線吸収スペクトルで定量してその定量値に基づき酸素の量を算出する請求項に記載の定量方法。
  10. 前記充填管を通過したガス中に含まれる一酸化炭素を酸化して二酸化炭素を生成させ、次いで該ガス中から酸性物質及び二酸化炭素をアルカリ試薬によって除去し、更に該ガス中から水分を脱水剤によって除去した後、該ガス中に含まれる窒素を熱伝導度検出器によって定量する請求項1ないしのいずれか一項に記載の定量方法。
  11. 前記充填管を通過したガス中に含まれる水素含有成分をCuOによって酸化して水を生成させ、生成した水を赤外線吸収スペクトルで定量して、その定量値に基づき水素の量を算出する請求項1ないしのいずれか一項に記載の定量方法。
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