JP6943780B2 - 食用塩の製造方法 - Google Patents
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Description
そこで世界保健機関(WHO)の推奨により、数十mg/kgのヨウ素が添加された食用塩が販売されている。
(1) イオン交換膜法による食用塩の製造方法であって、
工程(a−1)母液にヨウ素を添加する工程、及び
工程(b)前記母液を晶析する工程、をこの順に含む食用塩の製造方法。
(2) 溶解再製法による食用塩の製造方法であって、
工程(a−2)母液にヨウ素及び臭素を添加する工程、及び
工程(b)前記母液を晶析する工程、をこの順に含む食用塩の製造方法。
本発明に係る食用塩の製造方法の一つの態様は、イオン交換膜法による食用塩の製造方法であって、
工程(a−1)母液にヨウ素を添加する工程、及び
工程(b)前記母液を晶析する工程、をこの順に含むことを特徴とする。
また、本発明に係る食用塩の製造方法の別の態様は、溶解再製法による食用塩の製造方法であって、
工程(a−2)母液にヨウ素及び臭素を添加する工程、及び
工程(b)前記母液を晶析する工程、をこの順に含むことを特徴とする。
なお、イオン交換膜法における母液は海水その他の塩水を原料とすることから、臭素が含まれている海水その他の塩水を用いて母液としてもよいし、母液に臭素を意図的に添加してもよい。
工程(a−2)後の母液1kgに対して、臭素を0.1g以上含むことが好ましく、1.0g以上含むことがより好ましい。また、上限は特に限定されないが、例えば、150g以下が好ましい。
カリウム源として、カリウムが含まれている海水その他の塩水を用いて母液としてもよいし、母液にカリウムを意図的に添加してもよい。
母液に添加する臭素の形態は特に限定されないが、例えばNaBr(粉)、KBr(粉)等が挙げられる。
母液に添加するカリウムの形態は特に限定されないが、例えばKBr(粉)、KCl(粉)等が挙げられる。
Na+:60〜80g、K+:3〜20g、Mg2+:1〜15g、Ca2+:1〜7g、Cl−:115〜170g、Br−:0.6〜5g、I−:0.1〜3g。
ただし、イオン交換膜法における母液は海水その他の塩水由来であることから、構成元素の種類及び割合は、海水その他の塩水を取水する場所や時期等によって大幅に変化することが考えられる。そのため、ナトリウム、塩素及びヨウ素を含むものであれば、工程(a−1)後の母液組成は上記組成範囲に限定されるものではない。
Na+:60〜90g、K+:0〜10g、Mg2+:0〜11g、Cl−:115〜170g、Br−:0.6〜6g、I−:0.1〜3g。
ただし、溶解再製法における母液は岩塩や天日塩に由来することから、構成元素の種類及び割合は、岩塩を採掘する場所や時期、天日塩の元となる海水等を摂取する場所や時期等によって大幅に変化することが考えられる。そのため、ナトリウム、塩素、ヨウ素及び臭素を含むものであれば、工程(a−2)後の母液組成は上記組成範囲に限定されるものではない。
工程(a−)は、イオン交換膜法においては、海水その他の塩水をイオン交換膜による濃縮によりかん水を得るものであり、溶解再製法においては、採掘した岩塩又は天日乾燥させた天日塩を水等の溶液に溶解させ、濃縮によりかん水を得るものである。工程(a−)で得られたかん水が母液の基本組成となる。
工程(a−)で得られた母液に工程(a−1)又は工程(a−2)においてヨウ素や、所望により臭素、カリウム等を添加するが、本発明の効果を妨げない範囲であれば、その際に他の元素を共に添加してもよい。
工程(a+)において、種晶は従来用いられる物を従来と同様の方法で用いることができる。種晶となるNaClには、ヨウ素、マグネシウム、カルシウム、カリウム、臭素等の他の元素を含んでいてもよい。
図1は10Lの逆円錐型晶析装置を用いた食用塩の製造方法の例を示すものである。
母液にヨウ素又はヨウ素及び臭素を添加し(工程a−1又は工程a−2)、タンク(図示せず)に前記母液を満たして、循環ポンプ4で前記母液を加熱管5、蒸発器1、晶析器3へ循環させる。なお、前記母液には後述する結晶洗浄の効果を確認するためのトレーサーとしてマグネシウムイオンを添加してもよい。
次に、晶析器3に種晶を添加し(工程a+)、回分晶析を行う(工程b)。蒸発器1で沸騰した母液は過飽和状態となり、晶析器3に懸濁させた結晶群を成長させる。また、製造装置が逆円錐型晶析装置である場合、晶析器の中で結晶が分級され、母液だけが系内を循環することとなる。また、蒸発速度が一定になるように加熱管5に流す熱媒6の温度を所定の温度に保持してもよい。また、蒸発量と同量の水溶液(例えば20%食塩水等)を原料タンク11から供給することで装置内の液面を一定に保つことができる。さらに、真空ポンプ10を用いて系内の真空度を制御することで、液面の温度を一定(例えば70℃)に保つことができる。
上記操作の後、母液と得られた結晶を晶析器3の底部から抜き出すことで、食用塩の結晶を得ることができる。
WL=(CMg−CW−CMg−0W0)/CMg−L 式(2)
上記式中、Ri−C:ヨウ素取込率[g/kg]、Ci−0:種晶のI−濃度[g/kg]、Ci−C:得られた食用塩中のI−濃度[g/kg]、Ci−L:母液中のI−濃度[g/kg]、CMg−0:種晶のMg2+濃度[g/kg]、CMg−C:得られた食用塩中のMg2+濃度[g/kg]、CMg−L:母液中のMg2+濃度[g/kg]、W:得られた食用塩の結晶重量[kg]、W0:種晶重量[kg]、WL:得られた食用塩に残存した母液量[kg]をそれぞれ表す。
(製塩方法)
図1に示す10Lの逆円錐型晶析装置を用いて食用塩の製造を行った。
母液にNaI又は、NaI及びNaBrを添加した(工程a−1又は工程a−2)。添加後の母液組成は表1に示すとおりであり、実施例1は海水を原料としてイオン交換膜法により得たかん水を母液の基本組成とするものであり、実施例2及び比較例1は岩塩を原料として溶解再製法により得たかん水を母液の基本組成とするものである(工程a−)。また、実施例2の母液は比較例1の母液に臭化ナトリウム(NaBr)を添加したものである。なお、各母液には結晶洗浄の効果を確認するためのトレーサーとしてマグネシウムイオンを添加した。
次に、晶析器3に、平均粒径85μm、標準偏差55μmの種晶を530g添加し(工程a+)、1時間の回分晶析を行った(工程b)。種晶は、ヨウ素を含まないものを用いた。
蒸発器1で沸騰した母液は過飽和状態となり、晶析器3に懸濁させた結晶群を成長させた。また、晶析器3の中では結晶が分級され、母液だけ系内を循環させた。また、蒸発速度が一定になるように加熱管5に流す熱媒6の温度を75〜80℃の範囲で保持した。そして、蒸発量と同量の20%食塩水を原料タンク11から供給することで装置内の液面を一定に保った。また、液面の温度が70℃となるように、真空ポンプ10を用いて系内の真空度を制御した。
上記操作の後、母液と得られた食用塩の結晶を晶析器3の底部から抜き出した。採取した結晶は飽和食塩水約250mLで10回繰り返して洗浄した後に成分分析を実施した。
得られた食用塩の結晶の成分分析は塩試験方法(塩事業センター、“塩試験方法(第4版)”(2013))に従い分析した。また、ヨウ素濃度はイオンクロマトグラフを用いて分析した。また、洗浄3回以上ではトレーサーとして添加したマグネシウムイオンが一定であったことから、得られた食用塩に対する洗浄が十分であることを確認した。
Ri−C=(Ci−CW−Ci−0W0−Ci−LWL)/(W−W0−WL) 式(1)
WL=(CMg−CW−CMg−0W0)/CMg−L 式(2)
上記式中、Ri−C:ヨウ素取込率[g/kg]、Ci−0:種晶のI−濃度[g/kg]、Ci−C:得られた食用塩中のI−濃度[g/kg]、Ci−L:母液中のI−濃度[g/kg]、CMg−0:種晶のMg2+濃度[g/kg]、CMg−C:得られた食用塩中のMg2+濃度[g/kg]、CMg−L:母液中のMg2+濃度[g/kg]、W:得られた食用塩の結晶重量[kg]、W0:種晶重量[kg]、WL:得られた食用塩に残存した母液量[kg]をそれぞれ表す。
一般に、Brは塩化ナトリウム結晶内のClと置き換わる格子欠陥により取り込まれることが知られている。同様にKはNaと置き換わることが知られている。実施例1では、母液の基本組成にKやBrが含まれていることから、カリウムや臭素を工程(a−1)において添加せずとも、KやBrにより結晶内に格子欠陥が生じやすく、IがBr又はClと置き換わる格子欠陥がより多く生じてヨウ素取込率が増加したものと考えられる。
以上より、ヨウ素を添加したイオン交換膜法製塩の母液、又はヨウ素と臭素を添加した溶解再製法の母液を結晶化することで結晶内にヨウ素を取り込んだ食用塩が製造できると考えられ、ヨウ素は前記食用塩の結晶内に取り込まれることから、長期にわたり十分量維持可能であることが示唆された。
2 降水管
3 晶析器
4 循環ポンプ
5 加熱管
6 熱媒
7 コンデンサ
8 冷媒
9 排水タンク
10 真空ポンプ
11 原料タンク
12 吸水ポンプ
Claims (2)
- イオン交換膜法による食用塩の製造方法であって、
工程(a−1)母液にヨウ素を添加する工程、及び
工程(b)前記母液を晶析する工程、をこの順に含む食用塩の製造方法。 - 溶解再製法による食用塩の製造方法であって、
工程(a−2)母液にヨウ素及び臭素を添加する工程、及び
工程(b)前記母液を晶析する工程、をこの順に含む食用塩の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018010417A JP6943780B2 (ja) | 2018-01-25 | 2018-01-25 | 食用塩の製造方法 |
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JP2018010417A JP6943780B2 (ja) | 2018-01-25 | 2018-01-25 | 食用塩の製造方法 |
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JP2019127418A JP2019127418A (ja) | 2019-08-01 |
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