JP6943349B1 - 吸音化粧ボード - Google Patents
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Abstract
Description
会議もテレビ会議に変わり、オフィスでもテレワークブースの導入が増えている。
テレワークブースは各社から販売されているが、テレワークブース内の音環境を重視したものはほとんどない。
従来、音環境対策として、音を吸音・散乱させる音響放射構造体(特許文献1)や音響構造体(特許文献2)が知られている。
また、上記の従来の音響構造体は、一方向に延在する角筒状の化粧ボード本体が、それらの両端部の位置が一致するようにして、延在方向と垂直な方向に複数、10個配列された構成となっている(特許文献2の段落[0011]及び図1参照)。
また、従来のものは、テレワークブース内の使用を目的にしたものではなく、音のバランスを考え特定の周波数域ではなく、全周波数域をバランスよく吸音しているため、テレワークブース内で問題になる人の声の周波数域の吸音率が高いものではなかったという第二の問題点がある。
吸音材のみで使用(フェルト単体)している例はあるが、意匠感は良いといえるものではなかった。
なお、テレワークブースは、不特定多数の使用を考慮し、新型コロナウィルス(COVID−19)の感染予防の必要性も考慮する必要がある。
そこで、本発明は、上記した第一、第二の問題点に鑑み、構造の簡便化、意匠性の向上、並びに自分の出した声の反響の抑制を目的とする。
また、本発明の一態様に係る吸音化粧ボードは、前記表面部材の表面側に、抗ウィルス添加剤が添加された表面保護層が形成され、前記抗ウィルス添加剤の添加量が、前記表面保護層の固形分に対して0.2質量%以上10質量%以下であることを特徴とする。
本発明の一態様に係る吸音化粧ボードは、前記中芯材が、壁部と、前記壁部によって区画され、前記化粧ボード本体の前後方向に貫通する複数の孔とを備え、前記孔の断面がハニカム形状であることを特徴とする。
本発明の一態様に係る吸音化粧ボードは、前記壁部に、その厚み方向に貫通し、前記孔に開口する穴を設けていることを特徴とする。
本発明の実施形態について、以下に主として図1を参照して説明する。
ここで、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内であって、種々の変更を加えることができる。
図1中、10は、吸音化粧ボードであり、吸音化粧ボード10は、例えばテレワークブース等の密閉空間に設置され、雑音を吸音及び音を散乱させて低減し、密閉空間内の音環境の改善するために使用される。
吸音化粧ボード10は、図1〜3に示すように、大別すると、(1)化粧ボード本体20、(2)表面部材30、(3)裏面部材40、(4)中芯材50を備える。
なお、吸音化粧ボード10は、上記(1)〜(4)に限定されず、例えば裏面部材40に換えて、図示しないが、背面用ボードを使用し、中空部21の背面を塞いでも良い。また、上記(1)〜(4)については後述する。
化粧ボード本体20は、図1、図2及び図5に示すように、内部に中空部21を有し、中空部21の前面が開口されたものである。
化粧ボード本体20は、例えば木製で、大別すると、(1)上下の上枠22、下枠23、(2)左右の側枠24、25、(3)枠内に前面に位置する前板26を備える。
なお、化粧ボード本体20として、木製を例示したが、これに限定されず、図示しないが、例えば樹脂製や金属製でも良い。
化粧ボード本体20は、上下の上枠22、下枠23、左右の側枠24、25を枠組みして形成されている。枠の前後面が開放されている。化粧ボード本体20の前後面は、表面部材30、裏面部材40により塞がれ、フラッシュ構造が採用させている。
中空部21は、上下の上枠22、下枠23、左右の側枠24、25で四方が囲まれ、前後面が表面部材30、裏面部材40により塞がれ、密閉されている。
化粧ボード本体20の大きさは、テレワークブース内の想定を考慮し、例えば幅3尺(900mm)以下としている。
高さに関しても、椅子に座って仕事を行う事を考慮し、机の上に載せて使用するため、人の声を吸収する範囲、例えば高さ900mm以下に設定している。
実用例として、大きさ、例えば約高さ850mm×約幅550、約厚みは25mmに設定している。
図5(a)〜(c)中、例えば、a(850mm)、b(35mm)、d(550mm)、i(40mm)、j(215mm)、k(470mm)、l(20mm)の各寸法をそれぞれ示すものである。
中空部21内には、図3に示す中芯材50が収納されている。
中芯材50は、中空筒形のセル51を相互に連続させて連結して構成され、ハニカム構造を成している。
セル51の材質は、例えば紙製であるが、このほか金属、プラスチック、発泡材等の材質が使用できる。
中芯材50は、例えば段ボールシートを展開した際に異なるサイズのセル51が、バイアス状の構造になるように連続成型積層した芯材から構成されている。
孔53の断面形状は、四角を例示したが、これに限らず、丸、三角、六角のほか、多角形であっても良い。
壁部52には、その厚み方向に貫通し、孔53に開口する穴54を設けている。
穴54は、例えが5mm程度の円形に形成している。穴54により、中芯材50の接触面積を拡大できる。
なお、穴54を、壁部52に1個開けたが、数に限定され、複数個でも良い。
中芯材50としては、例えば新日本フエザーコア社製の「ダンコア」を使用している。
中芯材50は、吸音したい音の周波数域によって入れる量、種類を変えても良い。
中芯材50の大きさは、図3中、例えば中芯材50の長さL、幅W、厚さC、セル51の横幅A、奥行きBをそれぞれ示すものである。
表面部材30、40は、例えば厚さ2.5mm程度の木質製の基材30a、40aの片側表面に、接着剤等を用いて、オレフィンシート等の化粧シートを貼り合わせたものである(図1、図4、図6参照)。
なお、化粧シートは、オレフィンシートに限定されず、紙や、塩ビ(ポリ塩化ビニル・PVC)等の化粧シートでも良い。表面部材30、40の表面を保護する表面保護層30d、40dは、抗菌・抗ウィルス添加剤が添加された化粧シートであれば良い。また、基材30a、40aは、木質に限定されず、プラスチック樹脂板、鋼鈑、アルミ板、板紙等でも良い。さらに、基材30a、40aとシートの接着は、接着剤の他に、両面テープ、化粧シートの裏にタック加工しているものを用いても良い。
表面部材30は、図1及び図4に示すように、化粧ボード本体20の前面側に位置し、中空部21にそれぞれ開口する複数、例えば10個の開口部31を有する。
また、表面部材30は、中空部21の前面を塞ぐとともに、化粧ボード本体20の表面側を装飾する絵柄模様層30bを含む。
表面部材30の表面側には、抗ウィルス添加剤が添加された表面保護層30dが形成されている。
表面部材30は、例えば両面テープなどを使用して、外枠部材50の前面に固定され、外枠部材50の開放した前面を塞ぐものである。
図4(a)〜(c)中、例えば、a(850mm)、b(65mm)、c(80mm)、d(550mm)、e(62mm)、f(43mm)、g(80mm)、h(2.5mm)の各寸法をそれぞれ示すものである。
(表面部材30の構造)
表面部材30は、大別すると、(1)基材30a、(2)絵柄模様層30b、(3)透明層30c、(4)表面保護層30d、(5)接着層30e、(6)ボード部材30fを備える。
なお、表面部材30の構成は、(1)〜(6)に限定されず、図示しないが、例えば表面保護層30dと接着層30eとの間にプライマー層を設けたり、表面保護層30dの表面側にエンボス部を設けても良い。また、表面部材30は、接着層30eやボード部材30fを省いて良い。さらに、(1)〜(6)のついては、後述する。
開口部31は、図1及び図4に示すように、表面部材30に位置し、中空部21にそれぞれ開口し、例えば10個形成されている。
開口部31は、上下に隣接するもの同士が互い違いに形成されている。また、中空部21は、吸音化粧ボード10の幅方向の中央から外れるようにして形成されている。開口部31の位置は、吸音したい音の周波数域に関連し、周波数域を広げるため、それぞれ位置を異ならせている。
開口部31は、表面部材30の表裏面を貫通し、開口部31の一端部は表面に開口し、
他端部は裏面、すなわち中空部21に開口している。開口部31は、例えば直径Φ30mmの円形に形成されている。
なお、開口部31として、平面円形を例示したが、これに限定されず、楕円形や方形に形成しても良い。
表面部材30の裏面には、図1に示すように、開口部31の位置にメッシュ32を接着している。メッシュ32は、開口部31を通して、埃や塵などが中空部21内に侵入することを防止する。
裏面部材40は、図1及び図6に示すように、化粧ボード本体20の背面側に位置し、中空部21を塞ぐ。
裏面部材40は、表面部材30と異なり、開口部31が無い。
裏面部材40は、化粧ボード本体20の背面側を装飾する目的で設けられている。
また、裏面部材40は、表面部材30と同様に、絵柄模様層40bを含み、その表面側には、抗ウィルス添加剤が添加された表面保護層40dが形成されている。
裏面部材40は、例えば両面テープなどを使用して、化粧ボード本体20の背面側に固定される。
図6(a)〜(c)中、例えば、a(850mm)、b(65mm)、h(2.5mm)の各寸法をそれぞれ示すものである。
なお、裏面部材40は、(1)〜(6)に限定されず、図示しないが、例えば表面保護層40dと接着層40eとの間にプライマー層を設けたり、表面保護層40dの表面側にエンボス部を設けても良い。また、裏面部材40は、接着層40eやボード部材40fを省いて良い。さらに、(1)〜(6)の構成については、表面部材30と同様であるため、説明を省略する。
基材30aは、表面部材30の支持体となるものであって、具体的には、オレフィン素材からなる着色シートを用いている。
(絵柄模様層30b)
絵柄模様層30bは、表面部材30の表面側を装飾するものである。
すなわち、絵柄模様層30bは、基材30aの表面に、印刷方法を用いて形成され、表面部材30に意匠性を付与する目的で設けられるものである。
印刷方法としては、例えばグラビア印刷法やオフセット印刷方法、凸版印刷方法、フレキソ印刷方法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法、静電印刷法等の各種の印刷方法の適用により形成される。
なお、印刷方法は、上記例示した印刷方法に限定されず、例えば手描き法、墨流し法や、転写法、写真法、電子写真法、感光性樹脂法、真空蒸着法、化学腐蝕法、感熱発色法、放電破壊法等、従来公知の任意の画像形成手段を適用することができる。
印刷方法に用いられる印刷インキとしては、例えば塩酢ビ系インキ(シアン、マゼンタ、イエロー)を用いている。
なお、印刷インキとしては、塩酢ビ系インキを例示したが、これに限定されず、例えば有機又は無機の染料又は顔料等の着色剤を、体質顔料、充填材、粘着付与剤、可塑剤、安定剤、分散剤、消泡剤、レベリング剤、界面活性剤、乾燥剤等の適宜の添加剤や、溶剤又は希釈剤等とともに、合成樹脂等からなる結着剤中に分散してなるものである。
透明層30cは、絵柄模様層30bの表面に積層され、透明であり、表面部材30の表面から絵柄模様層30bが透けて見える。
透明層30cは、透明熱可塑性樹脂であり、透明熱可塑性樹脂に、紫外線吸収剤と、ヒンダードアミン系光安定剤とを添加することが好ましい。
上記透明熱可塑性樹脂の種類や、添加する紫外線吸収剤の種類は、特に限定しない。
表面保護層30dは、表面部材30の表面側に位置し、抗ウィルス添加剤が添加されたものである。
抗ウィルス添加剤の添加量は、表面保護層30dの固形分に対して0.2質量%以上10質量%以下である。
抗ウィルス添加剤の添加量が、0.2質量%未満の場合は、効果が発現せず、又、10質量%を超える場合は、膜の機械強度が低下するおそれがある。
表面保護層30dは、表面部材30の表面に耐磨耗性や耐水性等の表面物性を付与する目的で設けられるものである。
表面保護層30dは、透明熱可塑性樹脂であり、透明熱可塑性樹脂に、紫外線吸収剤と、ヒンダードアミン系光安定剤とが添加されている。
上記透明熱可塑性樹脂の種類や、紫外線吸収剤の種類は、特に限定されない。
接着層30eは、表面部材30の裏面側に位置し、後述するボード部材30fに接着するためのものである。
(ボード部材30f)
ボード部材30fは、表面部材30の支持体となるものである。
表面保護層30dの抗ウィルス添加剤は、その有効成分が、無機材料により担持されることが好ましい。
これは、抗ウィルス添加剤の有効成分を、無機材料により担持されることで、ウィルス効果の持久性を向上できる。
ここで、「無機材料」としては、「ガラス」を使用するが、「無機材料」はガラスに限定されない。
抗ウィルス添加剤の「有効成分」としては、例えば「銀」が相当するが、これに限定されない。
抗ウィルス添加剤としては、例えば、タイショーテクノス株式会社製の銀系無機添加剤(ビオサイドTB−B100)を用いている。
なお、抗ウィルス添加剤として、タイショーテクノス株式会社製品を例示したが、これに限定されず、大日精化工業株式会社製の抗ウィルス剤(PTC−NT ANV添加剤(ST))や、同じく(PTC−NT ANV添加剤(ST))を用いても良い。
抗ウィルス添加剤は、平均粒径を「φ」とし、最表層の表面保護層30dの厚みを「D」としたとき、下記の式(1)の関係が成立していることが望ましい。
0.5D≦φ≦2D ・・・式(1)
上記式(1)の関係が成り立つとき、抗ウィルス添加剤との接触面積の拡大、及び抗ウィルス添加剤自体の表面積の拡大により、抗ウィルス効果、すなわち抗ウィルス性を向上できる。
抗ウィルス添加剤は、その粒度分布が、1〜5μmの間と、5〜10μmの間との2箇所にピークを持つことが好ましい。
これは、粒度分布に2つのピークを持つことにより、抗ウィルス添加剤との接触面積の拡大、及び抗ウィルス添加剤自体の表面積の拡大ができ、抗ウィルス効果の有する表面部材30を得ることができる。
抗ウィルス添加剤は、その添加量が、表面保護層30dの固形分に対して0.2質量%以上10質量%以下であることが望ましい。
これは、抗ウィルス添加剤の添加量が、表面保護層30dの固形分に対して0.2質量%以上10質量%以下であることにより、抗ウィルス性を有する表面部材30を得ることができる。
すなわち、0.2質量%未満の場合は、効果が発現せず、又、10質量%を超える場合は、膜の機械強度への影響が大きい。
表面保護層30dは、化粧シートに機能を付与するためにシリコン成分やフッ素成分、ワックスや減摩剤等が付与された添加剤を添加しても良い。
これは、最表層に、シリコン系成分若しくはフッ素系成分を添加することにより、耐汚染性能が向上し、ウィルスが表面に長期間存在することがなくなるため、結果として抗ウィルス性を向上できる。
表面保護層30dは、抗ウィルス添加剤が含まれる表面保護層30d中に、界面活性剤を添加することが好ましい。
これは、界面活性剤が添加されていることにより、抗ウィルス添加剤と表面保護層30dのバインダー中との相溶性が良好となり、塗工中の抗ウィルス添加剤の沈殿等による濃度のバラツキを抑制できる。
実施の形態に係る吸音化粧ボード10の第一の特徴点は、内部に中空部21を有し、中空部21の前面が開口された化粧ボード本体20と、化粧ボード本体20の前面を塞ぐとともに、表裏面に貫通し、中空部21に開口する複数の開口部31を有する表面部材30とを備えた吸音化粧ボード10であって、化粧ボード本体20の中空部21には、ハニカム形状の中芯材50が収納され、表面部材30は、化粧ボード本体20の表面側を装飾する絵柄模様層30bを含む。
第一の特徴点によれば、第一に、化粧ボード本体20の前後面を表面部材30、裏面部材40により塞ぎ、フラッシュ構造を採用し、中空部21内にハニカム形状の中芯材50を収納し、表面部材30には中空部21内に開口する複数の開口部31を設けることで、吸音構造を得ることができ、構造を簡便化できる。
第一の特徴点によれば、第二に、中芯材50を表面部材30により隠し、又、表面部材30の絵柄模様層30bにより、吸音化粧ボードの表面を装飾できる。
このため、第一の特徴点によれば、例えばテレワークブースと意匠感を統一することができる。
第一の特徴点によれば、第三に、ハニカム形状の中芯材50を使用することで、例えばテレワークブース内で、自分の出した声の反響を抑制できる。
このため、音の反響がなくなり、例えばテレビ会議の相手側に音声が明瞭に聞こえるようにできる。
第一の特徴点によれば、第四に、フラッシュ構造を採用しているドアや家具内に、図示しないが、中芯材を収納し、表面材に開口部を開けるだけで、特別な吸音材を使用しなくても吸音可能であり、吸音環境を安価に提供できる。
実施の形態に係る吸音化粧ボード10の第二の特徴点は、表面部材30の表面側に、抗ウィルス添加剤が添加された表面保護層30dが形成され、抗ウィルス添加剤の添加量が、表面保護層30dの固形分に対して0.2質量%以上10質量%以下である。
(第二の特徴点の効果)
第二の特徴点によれば、不特定多数の人が使用するテレワークブースにおいて、前面に置いておく吸音化粧ボード10は飛沫があたるが、抗ウィルス層によりウィルスの感染防止が可能である。
抗ウィルス添加剤の添加量が、0.2質量%未満の場合は、効果が発現せず、又、10質量%を超える場合は、膜の機械強度が低下するおそれがある。
実施の形態に係る吸音化粧ボード10の第三の特徴点は、化粧ボード本体20の背面側に、中空部21の後面を塞ぐとともに、背面側を装飾する絵柄模様層40bを含む裏面部材40が設けられ、裏面部材40の表面側には、抗ウィルス添加剤が添加された表面保護層40dが形成され、抗ウィルス添加剤の添加量が、表面保護層30dの固形分に対して0.2質量%以上10質量%以下である。
第三の特徴点によれば、吸音化粧ボード10の表裏面を変えることで、テレワークブースとの意匠感を統一することが可能である。
また、第三の特徴点によれば、裏面部材40により、ウィルスの感染防止が可能である。抗ウィルス添加剤の添加量が、0.2質量%未満の場合は、効果が発現せず、又、10質量%を超える場合は、膜の機械強度が低下するおそれがある。
実施の形態に係る吸音化粧ボード10の第四の特徴点は、中芯材50が、壁部52と、壁部52によって区画され、化粧ボード本体20の前後方向に貫通する複数の孔53とを備え、孔53の断面がハニカム形状である。
(第四の特徴点の効果)
第四の特徴点によれば、ハニカム形状を採用し、多孔質素材による音の減衰に加え、中空部21内で音を反射させ、音の干渉により音圧を減少させることで、一般的な吸音材のみを使用した時に起こる耳への違和感を減少できる。
実施の形態に係る吸音化粧ボード10の第五の特徴点は、壁部52に、その厚み方向に貫通し、孔53に開口する穴54を設けている。
(第五の特徴点の効果)
第五の特徴点によれば、孔53により、中芯材50の接触面積を拡大できる。
(実施例1)
実施例1は、枠状の化粧ボード本体20の前後面に、表面部材30と裏面部材40とを接着し、密閉された中空部21内に中芯材50を収納し、実施例1に係る吸音化粧ボード10を製作した。
表面部材30には、直径30mmの開口部31を設けた。
中芯材50は、ハニカム材として、新日本フエザーコア社製「ダンコア」を用いた。
ハニカム材の壁部52には、5mm程度の穴54を開け、接触面積を大きくした。
吸音化粧ボード10の大きさは、約高さ850mm×約幅550であり、約厚みは25mmに設定した。
吸音化粧ボード10は、所定の位置(オープンブース、テレワークブースの2箇所)に配置した。
比較例1は、実施例1の吸音化粧ボード10を使用しなかった。
(比較例2)
比較例2は、実施例1の吸音化粧ボード10に換えて、他社製の調音パネルを所定の位置に配置した。
(比較例3)
比較例3は、実施例1の吸音化粧ボード10に換えて、吸音材のみを所定の位置に配置した。
評価方法として音響テストを行い、(1)音響カメラを用いて音圧レベルを可視化、(2)「相手側に声が聞き取りや易さの確認」を実施した。
音響カメラは、日本音響エンジニアリング製の「SoundGraphy」を用いた。
音響テスト用いた音響テストは、(a)オープンブースと、(b)テレワークブースとにおいて実施した。
オープンブースの大きさは、幅900cm、奥行き900cm、高さ2400cm、天井有り、コの字型である。テレワークブースの大きさは、幅900cm、奥行き1300cm、高さ1800cm、天井有り、密閉型である。
「相手側に声が聞き取りや易さの確認」は、テレワークブース内で、テレビ会議を行い、相手側に声が聞き取りや易さを確認した。
評価基準は、図8に示すように、オープンブース内で、音源として、ホワイトノイズを底面に置いたスピーカーより、壁面から600mm離れた地点より発信した。
音響カメラは、壁面より1m離れた地点の音圧レベルを測定した。
測定結果は、1000、2000、4000Hz(1/1Oct,Band)の周波数をそれぞれ可視化した。
各地点音圧レベルを「青<緑<黄色<赤」にて表示した。図8においては、「色」の違いを「ドット」の密度で表現した。「青」は密度が低く、「赤」に向かって密度を高くした。また、色の境目には、参考までに実線を引いた。また、背景は、オープンブースの略図を記載した。
図8は、オープンブースのもので、石膏ボードの上に壁紙を貼ったボードを3枚使用して、コの字型に区切られた区画に、化粧吸音ボード30、他社製の調音ボード、吸音材を地面に置いて測定をした。両側には何も置いておらず、壁紙を貼った石膏ボードのままである。
図9は、テレワークブース、音源としてホワイトノイズを机の上に置いたスピーカーより、壁面から600mm離れた地点より発信した。
音響カメラは、壁面より1m離れた地点の音圧レベルを音響カメラにて測定した。
壁面には、実施例1に係る吸音化粧ボード10を配置し、比較例1では吸音化粧ボード10を配置せず、比較例2では他社製の調音パネルを配置し、比較例3では机の両側及び正面に吸音材(幅600×300mm)をそれぞれ設置した。
図10は、A地点のテレワークブース(天井無し)の甲と、B地点のテレワークブース(図9参照)の乙(テレビ会議相手)との間で、テレビ会議を実施した。
乙(テレビ会議相手)から、(1)テレワークブースに入ったときの違和感について感想を聴取した。
甲から、乙の声の聞き取りや易さについて感想を聴取した。
壁面には、実施例1に係る吸音化粧ボード10を配置し、比較例1では吸音化粧ボード10を配置せず、比較例2では他社製の調音パネルを配置し、比較例3では机の両側及び正面に吸音材(幅600×300mm)をそれぞれ設置した。
図10は、テレワークブース内に、実施例1では、化粧吸音ボード30を設置した時の結果を示している。これに対応する音響カメラの測定結果が、図9になり、両側に吸音材を配置している。
実施例1、比較例1〜比較例3の評価結果は、図8〜図10の通りである。
図8のオープンブース内での観測結果は、次の通りである。
実施例1(吸音化粧ボード10有り)は、吸音化粧ボード無しとの比較(比較例1)では、計測地点での音圧レベルが2000Hz以下で1〜2dB下がっていることを観測した。
実施例1(吸音化粧ボード10有り)は、他社品との比較(比較例2)では、人の話し声の周波数領域である1000Hz付近では同等の音圧レベル(吸音レベル)を確認した。
実施例1(吸音化粧ボード10有り)は、吸音材のみとの比較(比較例3)では、吸音材のみの方が人の話し声の周波数域である1000Hz音圧レベルが低い事を確認した。
ただし、比較例3(吸音材のみ)の場合には、音が吸われすぎるため、若干の違和感を確認した。
図9のテレワークブース内での観測結果は、次の通りである。
実施例1(吸音化粧ボード10有り)は、吸音化粧ボード無しとの比較(比較例1)では、計測地点での音圧レベルが2000Hz以下で1dB下がっている事を観測した。
実施例1(吸音化粧ボード10有り)は、他社品との比較(比較例2)では、人の話し声の周波数領域である1000Hz付近では若干音圧レベル(吸音レベル)が劣る。
実施例1(吸音化粧ボード10有り)は、吸音材のみとの比較(比較例3)では、吸音材のみの方が人の話し声の周波数域である1000Hz音圧レベルが低い事を確認した。
ただし、比較例3(吸音材のみ)の場合には、音が吸われすぎるため、若干の違和感を確認した。
四方が囲まれた閉空間であるため、オープンブースに置いた時(図8参照)よりも低周波域(1000Hz)の吸音性能が低下した。
「テレワークブースに入ったときの違和感」については、吸音材が全く入っていない仕様(比較例1)では、音が反響しテレワーク相手が自分の声を聞き取りにくい。
吸音材が入っていると、テレワークブースの相手は聞き取り易くなる(実施例1、比較例2、3)。
比較例3(吸音材のみ)の場合には、逆にテレワークブース内に入っている人が若干違和感を感じる。
20 化粧ボード本体
21 中空部
22 上枠
23 下枠
24、25 側枠
26 前板
30 表面部材
30a 基材
30b 絵柄模様層
30c 透明層
30d 表面保護層
30e 接着層
30f ボード部材
31 開口部
32 メッシュ
40 裏面部材
40a 基材
40b 絵柄模様層
40c 透明層
40d 表面保護層
40e 接着層
40f ボード部材
50 中芯材
51 セル
52 壁部
53 孔
54 穴
W 中芯材の幅
L 中芯材の長さ
C 中芯材の厚さ
a セルの横幅
b セルの奥行き
Claims (5)
- 内部に中空部を有し、前記中空部の前面が開口された化粧ボード本体と、
前記化粧ボード本体の前面を塞ぐとともに、表裏面に貫通し、前記中空部に開口する複数の開口部を有する表面部材とを備えた吸音化粧ボードであって、
前記化粧ボード本体の前記中空部には、ハニカム形状の中芯材が収納され、
前記表面部材は、前記化粧ボード本体の表面側を装飾する絵柄模様層を含み、
前記化粧ボード本体は、上下の上枠、下枠、左右の側枠を枠組みして形成されて前後面が開放された枠を有し、
前記枠の前記前後面は、前記表面部材と、前記表面部材と異なって前記開口部が無い裏面部材と、により塞がれ、
前記表面部材及び前記裏面部材は、非吸音材である木、樹脂又は金属から構成されて、前記化粧ボード本体の前記中空部は前記複数の開口部のみを介して外部と連通していることを特徴とする吸音化粧ボード。 - 前記開口部は、前記吸音化粧ボードの高さ方向である上下に隣接するもの同士が互い違いに形成され、前記吸音化粧ボードの幅方向の中央から外れるようにして形成されていることを特徴とする請求項1に記載の吸音化粧ボード。
- 前記表面部材の表面側には、抗ウィルス添加剤が添加された表面保護層が形成され、
前記抗ウィルス添加剤の粒度分布は、複数のピークを持つことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の吸音化粧ボード。 - 前記抗ウィルス添加剤は、平均粒径を「φ」(μm)とし、最表層の前記表面保護層の厚みを「D」(μm)としたとき、下記の式(1)の関係が成立することを特徴とする請求項3に記載の吸音化粧ボード。
0.5D≦φ≦2D ・・・式(1) - 前記中芯材は、壁部と、前記壁部によって区画され、前記化粧ボード本体の前後方向に貫通する複数の孔とを備え、
前記孔の断面がハニカム形状であり、
前記壁部には、その厚み方向に貫通し、前記孔に開口する穴を設けていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸音化粧ボード。
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