JP6942921B2 - 細胞における代謝産物の産生及びモニタリング - Google Patents

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Description

関連出願データ
本願は、2015年4月13日に提出された米国仮出願第62/146,478号に基づく優先権を主張するものであり、あらゆる目的のため、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
政府利益の説明
本発明は、米国エネルギー省の委託番号DE−FG02−02ER63445の国庫支援により行われた。米国政府は本発明に関して一定の権利を有する。
本発明は、概して、遺伝子改変細菌、及び遺伝子改変細菌における代謝産物産生を検出する方法に関する。
小分子誘導系は、小分子誘導物質の存在に応答して遺伝子発現を制御する遺伝的にコードされたバイオセンサーである。最も広く使用されているバイオセンサーの1つはアロステリックDNA結合タンパク質LacIであり、LacIは、転写開始部位の近傍に結合し、転写開始を抑制することによって大腸菌内のラクトース異化反応オペロンを天然に制御する。イソプロピルβ−D−1−チオガラクトピラノシド(IPTG)などの誘導分子が細胞中に存在する場合、この分子はLacIタンパク質に結合し、LacI−IPTG複合体がDNAから解離し、転写が進行する。遺伝子改変されたLacI誘導系の構築及び特徴付けにより、タンパク質の過剰発現からシグナル処理(signal processing)、さらには染色体の可視化まで広範な用途への使用がもたらされた。
その一般的な適用性及び広範な特徴付けにより、古典的誘導性制御因子(LacI、TetR、AraC、LuxR)の小さなセットが、多様な用途に繰り返し使用されている。十分に特徴付けられた他の誘導系(PrpR、RhaRS、CymR、XylS)も利用可能であるが、CymRを除き、異化産物抑制及び/又は弱誘導を難点としている。他の発現制御の実例(paradigm)には、リガンド媒介性の翻訳制御を提供するリボスイッチ、及び化学誘導を補完する光調節された光操作系(optogenetic system)が含まれる。
本開示の実施形態は、細菌株の集団から、代謝産物の産生のために最適化された細菌株を同定する方法に関する。本明細書に記載される方法は、何百万もの効果の低い菌株の中から化学産生にとって最良の菌株を迅速に同定するために使用することができる。本明細書に記載される実施形態は、所望の化学物質の合成経路を含むように遺伝子改変されたゲノムを有する微生物によって合成され得る広範囲の化学物質に適用可能であることが意図される。
ある態様によれば、微生物のゲノムは、代謝産物結合分子(本明細書では、代謝産物結合分子が代謝産物に結合し、代謝産物の存在を直接的又は間接的に「感知」する限り「センサー」と呼ぶことがある)をコードするDNA配列、例えば、合成DNA配列又は外来DNA配列、を含むように遺伝子改変される。DNAが微生物のゲノムに含まれるか又は挿入される場合、得られる微生物は組換え微生物と呼ばれることがある。ある態様によれば、センサー又は代謝産物結合分子は、所望の化学物質又は代謝産物に結合すると立体構造が変化して遺伝子制御の変化を生じるアロステリック生体分子である。センサー及びそれらの対応する結合パートナー(binding partner)は、当業者に公知であり、(DNAに結合して結合DNA配列の発現を制御する)転写因子、リボスイッチ、二成分シグナル伝達タンパク質、及び核ホルモン受容体などのアロステリック分子が含まれる。
微生物のゲノムはまた、蛍光化合物、タンパク質、又は分子などの検出可能な分子又はレポーターをコードするDNAを含むように遺伝子改変される。発現すると、センサーは微生物内のレポーターの産生を制御する。センサーの性質に応じて、センサーは、代謝産物の非存在下での抑制、代謝産物の存在下での活性化、代謝産物等の非存在下でのリボソーム結合部位の閉鎖、及び当業者に公知の他の方法によって、レポーター産生を制御することができる。蛍光分子などのレポーターが微生物内で産生される場合、それは当業者に公知の方法によって検出することができる。ある態様によれば、蛍光のレベルは、産生される代謝産物の量に比例する。蛍光のレベルはリアルタイムで検出することができ、産生される代謝産物の経時的な量が示される。
ある態様によれば、代謝産物の産生は蛍光の関数であり、これは、リアルタイムで検出され経時的にモニタリングされて蛍光の増減を決定することができる。したがって、最適な蛍光を検出することにより、少量又は望ましくない量の代謝産物を産生する細胞から望ましい量の代謝産物を産生する細胞の分離及び単離が可能になる。ある態様によれば、望ましくない量の代謝産物を産生するか、又は代謝産物を産生しない集団内の細胞から、望ましい量の代謝産物を産生する集団内の細胞を分離するための最適で望ましいタイミングを決定するための方法が提供される。次いで、分離された細胞内の酵素及び細胞プロセスを同定し、細胞(すなわち、同じ又は異なる細胞種)又は固定化酵素反応器などの無細胞系で使用して、望ましい量の代謝産物を産生することができる。
微生物はまた、センサーの結合パートナーである代謝産物を産生するための遺伝子又は遺伝子群をコードするDNAを含むように遺伝子改変される。あるいは、微生物の内因性遺伝子は代謝産物を産生することができる。代謝産物は、微生物によって産生されることが望ましい標的化学物質である。DNA結合分子であり得るセンサーは、発現すると代謝産物に結合することになる。このようにして、遺伝子改変された微生物は、センサーが微生物内での代謝産物の存在を感知できる限り、自身の化学物質産生レベルを感知することができる。代謝産物が細胞によって産生されると、代謝産物はセンサーに結合してレポーター遺伝子を制御し、その結果、微生物によって産生される代謝産物結合パートナーの量に比例して微生物によってレポーターが産生される。
ある態様によれば、選択された株は、通常約10億の、多数のセミランダム化学物質生成デザインで微生物の集団を多様化することによって、代謝産物の最適化を意図した遺伝子改変に供される。遺伝子改変された株は、レポーター、ひいては代謝産物を産生する能力についてスクリーニングすることができる。レポーターの検出によって決定される所望量の代謝産物を産生する集団内の細胞を選択し、単離し、増殖させて、所望の代謝産物を産生する細胞集団(元の集団の亜集団)を産生することができる。選択された株は、遺伝子改変及びスクリーニングを繰り返して、最適な代謝産物生産を有する株を産生することができる。したがって、さらなる態様には、レポーターの産生量が増加した株を同定することによって代謝産物の産生のために最適化された株を同定することが含まれる。
ある態様によれば、代謝産物を産生するための微生物のサブセットを選択する方法が提供され、ここで、微生物の集団は、レポーター分子をコードする外来性DNA又は外来DNAを含むように遺伝子改変されており、微生物の集団は、発現すると微生物によるレポーター分子の産生を制御するセンサーをコードする外来性DNA又は外来DNAを含むように遺伝子改変されており、微生物の集団は、センサーの代謝産物結合パートナーのための経路遺伝子又は経路遺伝子群をコードする外来性DNA又は外来DNAを含むように遺伝子改変されているか、又は代謝産物結合パートナーへの経路遺伝子又は経路遺伝子群をコードするDNAを既に含んでいてもよく、この代謝産物結合パートナーは発現するとDNA結合分子に結合して、発現された代謝産物の濃度に依存した態様でレポーター分子の産生を誘導し、且つレポーターの検出に基づいて十分な代謝産物を産生する微生物のサブセットを選択する。
ある態様によれば、センサーは、転写因子、リボスイッチ、二成分シグナル伝達タンパク質、又は核内ホルモン受容体である。
ある態様によれば、センサーへの代謝産物の結合により、遺伝子発現が活性化され、発現された代謝産物の濃度に依存した態様でレポーターの産生が誘導される。
ある態様によれば、代謝産物のDNA結合タンパク質への結合により、遺伝子発現が抑制され、発現された代謝産物の濃度に依存した態様でレポーターの産生が誘導される。
ある態様によれば、微生物のサブセットを遺伝子改変して代謝産物を産生する遺伝子又は遺伝子群を変化させるステップは、多重化された自動ゲノム技術を含む。
ある態様によれば、代謝産物の産生のための微生物のサブセットを選択し、ここで、微生物の集団は、レポーターをコードする外来性DNA又は外来DNAを含むように遺伝子改変されており、微生物の集団は、発現すると微生物によるレポーターの産生を制御するセンサーをコードする外来性DNA又は外来DNAを含むように遺伝子改変されており、微生物の集団は、センサーの代謝産物結合パートナーを産生するための経路遺伝子又は経路遺伝子群を含むように遺伝子改変されていてもよく、又は遺伝子改変されていなくてもよく、この代謝産物結合パートナーは発現するとセンサーに結合して、発現された代謝産物の濃度に依存した態様でレポーターの産生を誘導する、レポーターの検出に基づいて微生物をスクリーニングし、微生物を繰り返し遺伝子改変して代謝産物を産生する遺伝子又は遺伝子群を変化させ、且つレポーターの検出に基づいて微生物をスクリーニングして、微生物の所望のプールをもたらす方法が提供される。
ある態様によれば、代謝産物の産生のための微生物のサブセットを選択する方法が提供され、この方法は、微生物の集団を提供すること、ここで、微生物の集団はレポーターをコードする外来性DNAを含むように遺伝子改変されており、微生物の集団は発現すると微生物によるレポーターの発現を制御するセンサー生体分子をコードする外来性DNAを含むように遺伝子改変されており、微生物の集団はセンサーの代謝産物結合パートナーを産生するための遺伝子又は遺伝子群をコードする外来性DNAを含むように遺伝子改変されており、微生物は代謝産物結合パートナーを産生し、産生された代謝産物結合パートナーはセンサーに結合して、産生された代謝産物の濃度に依存した態様でレポーターの発現を誘導する、及びレポーターの検出により微生物の集団をスクリーニングして微生物のサブセットを同定することを含む。ある態様によれば、レポーターは蛍光タンパク質である。ある態様によれば、スクリーニングは、蛍光活性化細胞選別によって行われる。ある態様によれば、センサー生体分子及び代謝産物結合パートナーは、当業者に公知のメンバーのペア(member pair)である。ある態様によれば、本方法は、微生物のサブセットを遺伝子改変して代謝産物の産生に直接的又は間接的に影響する遺伝子又は遺伝子群を変化させること、及びレポーターを検出することによって微生物のサブセットをスクリーニングして微生物のさらなるサブセットを同定することをさらに含む。
ある態様によれば、代謝産物に対応するセンサー生体分子を含むように微生物を改変する方法が提供され、この方法は、タンパク質をコードする遺伝子の微生物による発現を制御するセンサー生体分子をコードする外来性DNAを含むように微生物を遺伝子改変すること、センサーに対応する代謝産物を産生するための遺伝子又は遺伝子群をコードする外来性DNAを含むように微生物を遺伝子改変することを含み、ここで、微生物は代謝産物を産生し、産生された代謝産物はセンサーに結合して、産生された代謝産物の濃度に依存した態様でタンパク質の発現を誘導し、センサーはAcuRであり、代謝産物はアクリレートであるか、又はセンサーはttgRであり、代謝産物はフェノールである。ある態様によれば、微生物は、タンパク質をコードする外来性DNAを含むように遺伝子改変される。ある態様によれば、タンパク質は蛍光タンパク質である。ある態様によれば、タンパク質は毒素に対する解毒剤である。
ある態様によれば、微生物が提供され、ここで、微生物は、タンパク質をコードする遺伝子の微生物による発現を制御するセンサー生体分子をコードする外来性DNAを含むように遺伝子改変されており、微生物は、代謝産物を産生するための遺伝子又は遺伝子群をコードする外来性DNAを含むように遺伝子改変されており、微生物は、代謝産物を産生し、産生された代謝産物はセンサー生体分子に結合して、産生されたアクリレートの濃度に依存した態様でタンパク質の発現を誘導し、センサーはAcuRであり、代謝産物はアクリレートであるか、又はセンサーはttgRであり、代謝産物はフェノールである。ある態様によれば、微生物は、タンパク質をコードする外来性DNAを含むように遺伝子改変されている。ある態様によれば、タンパク質は蛍光タンパク質である。ある態様によれば、タンパク質は毒素に対する解毒剤である。
ある態様によれば、代謝産物に対応するセンサー生体分子を含むように微生物を改変する方法が提供され、この方法は、タンパク質をコードする遺伝子の微生物による発現を制御するprpRセンサー生体分子をコードする外来性DNAを含むように微生物を遺伝子改変すること、3−ヒドロキシプロピオン酸を産生して3−ヒドロキシプロピオン酸を2−メチルクエン酸に変換するための遺伝子又は遺伝子群をコードする外来性DNAを含むように微生物を遺伝子改変することを含み、ここで、微生物は2−メチルクエン酸を産生し、産生された2−メチルクエン酸はprpRセンサーに結合して、2−メチルクエン酸の濃度に依存した態様でタンパク質の発現を誘導する。ある態様によれば、微生物は、タンパク質をコードする外来性DNAを含むように遺伝子改変される。ある態様によれば、タンパク質は蛍光タンパク質である。ある態様によれば、タンパク質は毒素に対する解毒剤である。
ある態様によれば、微生物が提供され、ここで、前記微生物は、タンパク質をコードする遺伝子の微生物による発現を制御するprpRセンサー生体分子をコードする外来性DNAを含むように遺伝子改変されており、微生物は、3−ヒドロキシプロピオン酸を産生して3−ヒドロキシプロピオン酸を2−メチルクエン酸に変換するための遺伝子又は遺伝子群をコードする外来性DNAを含むように遺伝子改変されており、微生物は、2−メチルクエン酸を産生し、産生された2−メチルクエン酸はprpRセンサー生体分子に結合して、産生された2−メチルクエン酸の濃度に依存した態様でタンパク質の発現を誘導する。ある態様によれば、微生物は、タンパク質をコードする外来性DNAを含むように遺伝子改変されている。ある態様によれば、タンパク質は蛍光タンパク質である。ある態様によれば、タンパク質は毒素に対する解毒剤である。
ある態様によれば、代謝産物に対応するセンサー生体分子を含むように微生物を改変する方法が提供され、この方法は、タンパク質をコードする遺伝子の微生物による発現を制御するacuRセンサー生体分子をコードする外来性DNAを含むように微生物を遺伝子改変すること、3−ヒドロキシプロピオン酸を産生して3−ヒドロキシプロピオン酸をアクリレートに変換するための遺伝子又は遺伝子群をコードする外来性DNAを含むように微生物を遺伝子改変することを含み、ここで、微生物はアクリレートを産生し、産生されたアクリレートはacuRセンサーに結合して、アクリレートの濃度に依存した態様でタンパク質の発現を誘導する。ある態様によれば、微生物は、タンパク質をコードする外来性DNAを含むように遺伝子改変される。ある態様によれば、タンパク質は蛍光タンパク質である。ある態様によれば、タンパク質は毒素に対する解毒剤である。
ある態様によれば、微生物が提供され、ここで、微生物は、タンパク質をコードする遺伝子の微生物による発現を制御するacuRセンサー生体分子をコードする外来性DNAを含むように遺伝子改変されており、微生物は、3−ヒドロキシプロピオネートを産生して3−ヒドロキシプロピオネートをアクリレートに変換するための遺伝子又は遺伝子群をコードする外来性DNAを含むように遺伝子改変され、微生物はアクリレートを産生し、産生されたアクリレートはacuRセンサー生体分子に結合して、産生されたアクリレートの濃度に依存した態様でタンパク質の発現を誘導する。ある態様によれば、微生物は、タンパク質をコードする外来性DNAを含むように遺伝子改変される。ある態様によれば、タンパク質は蛍光タンパク質である。ある態様によれば、タンパク質は毒素に対する解毒剤である。
本発明の特定の実施形態のその他の特徴及び利点は、以下の実施形態及びその図面の説明において、並びに特許請求の範囲から、より十分に明らかになるであろう。
本特許又は出願ファイルは、カラーで作成された少なくとも1枚の図面を含む。カラー図面を含む本特許又は特許出願公開のコピーは、特許庁へ申請し、必要な料金を支払うことで提供される。本実施形態の前述した特徴及びその他の特徴、並びに利点は、添付の図面と共に、具体的実施形態についての以下の詳細な説明からより十分に理解されるであろう。
誘導系の誘導動態を示す。蛍光応答と誘導物質濃度との関係は、誘導系の高コピーでの実施(図1A)及び低コピーでの実施(図1B)の両方について、95%信頼バンドとして表される(n=3)。プロットは、広範囲の誘導物質濃度及びバイオセンサー応答を収集するために対数目盛りである。誘導物質の濃度は、高コピーでの実施及び低コピーでの実施の両方で同じである。それぞれの曲線は、誘導物質濃度範囲の色分けされた表と一致する。 アクリレート及びアンヒドロテトラサイクリン(aTC)は2倍増加し、アラビノース、グルカレート、エリスロマイシン、及びナリンゲニンは3倍増加する。誘導化学物質及びバイオセンサー名は、それぞれ表の左及び右に示される。灰色のバンドは、蛍光レポーターを含まない対照株の蛍光応答である。誘導化学物質の添加の15時間後に蛍光測定を行う。 誘導系の誘導動態を示す。蛍光応答と誘導物質濃度との関係は、誘導系の高コピーでの実施(図1A)及び低コピーでの実施(図1B)の両方について、95%信頼バンドとして表される(n=3)。プロットは、広範囲の誘導物質濃度及びバイオセンサー応答を収集するために対数目盛りである。誘導物質の濃度は、高コピーでの実施及び低コピーでの実施の両方で同じである。それぞれの曲線は、誘導物質濃度範囲の色分けされた表と一致する。 アクリレート及びアンヒドロテトラサイクリン(aTC)は2倍増加し、アラビノース、グルカレート、エリスロマイシン、及びナリンゲニンは3倍増加する。誘導化学物質及びバイオセンサー名は、それぞれ表の左及び右に示される。灰色のバンドは、蛍光レポーターを含まない対照株の蛍光応答である。誘導化学物質の添加の15時間後に蛍光測定を行う。 低コピーのグルカレート(CdaR)バイオセンサー、エリスロマイシン(MphR)バイオセンサー、アクリレート(AcuR)バイオセンサー、及びナリンゲニン(TtgR)バイオセンサーの誘導及び増殖動態を示す。化学誘導物質は0時間に添加され、蛍光が8時間観察される。下のパネルは、誘導された培養物の経時的な光学濃度を示す。誘導レベルは濃淡で示され、色が濃いほど高い誘導物質濃度を示す。グルカレート誘導レベルは、40mM、13mM、4.4mM、1.5mM、0.49mMであり、誘導物質は添加されない。エリスロマイシン誘導レベルは、1400μM、450μM、150μM、51μM、17μMであり、誘導物質は添加されない。アクリレート誘導レベルは、5mM、2.5mM、1.3mM、0.63mM、0.31mMであり、誘導物質は添加されない。ナリンゲニン誘導レベルは、9mM、3mM、0.33mM、0.11mM、0.037mMであり、誘導物質は添加されない。蛍光及び光学濃度は、本明細書に記載されるように標準化される。平均値の標準誤差は、95%信頼区間で表される(n=3)。 誘導性遺伝子発現モデルに適合する高コピープロモーター活性を示す。種々の誘導レベル(点)で、それぞれの誘導性プロモーターの最大発現速度を決定した。データは、基底プロモーター活性及び最大プロモーター活性(緑色の線)を説明するために修正されたHill関数にフィッティングした。アンヒドロテトラサイクリン(TetR)バイオセンサー、アクリレート(AcuR)バイオセンサー、及びナリンゲニン(TtgR)バイオセンサーはすべて、高い誘導協同性を示す。アラビノース(AraC)バイオセンサー、グルカレート(CdaR)バイオセンサー、及びエリスロマイシン(MphR)バイオセンサーは、低度又は中程度の協同性レベルを示す。10mMのアクリレート誘導条件は、高い毒性(赤い点)のためにモデリングデータから除外した。エラーバーは、測定された発現速度の95%信頼区間を反映する。 フローサイトメトリーによって評価された化学物質誘導に応答する単一細胞の挙動を示す。非誘導(灰色)集団、部分誘導(緑色)集団、及び完全誘導(青色)集団からの100,000個の細胞が、高コピーバイオセンサーのそれぞれについて観察された。誘導物質の具体的な濃度は、プロットで示される。ヒストグラムは、広い範囲のバイオセンサーの活性化を表示するために、双指数関数目盛りでプロットされる。大きな、十分に分離した二峰性分布が存在しないことは、バルク蛍光測定が個々の細胞の誘導挙動を反映していることを示す。 広範囲の濃度にわたって評価されたそれぞれの誘導物質化学物質の毒性を示す。増殖速度は、指数増殖期の間、化学物質と濃度のそれぞれの組み合わせについて測定した。速度は、添加化学物質を含まない細胞の増殖速度に対して標準化し、バーの高さとしてプロットした。それぞれの誘導物質の濃度は表に示されており、順序及び色は棒グラフに対応している。エタノール及びDMSOは、それぞれaTC及びナリンゲニンの溶媒であるため、含まれていた。エリスロマイシンは、エリスロマイシン耐性遺伝子(eryR)の存在及び非存在下で、2回評価した。誘導物質濃度は、誘導実験に用いた濃度を反映する。 化学誘導物質が非標的センサーを活性化する可能性についての評価を示す。新しい誘導物質の交差反応性、並びに一般的に使用されている誘導物質及び誘導物質溶媒の選択を、6つの誘導系のそれぞれに対して評価した。それぞれの誘導系について基底オフ状態より上の誘導倍率が高さとしてプロットされる(n=3)。交差反応性は観察されなかった。 同一の細胞に形質転換された適合性のCdaR−GFPバイオセンサー、AcuR−CFPバイオセンサー、及びMphR−mCherryバイオセンサーを示す。これらのバイオセンサーが独立して制御される可能性を、フローサイトメトリーによって評価した。同一遺伝子細胞集団は、誘導物質なし(橙色)、グルカレート(薄青色)、アクリレート(濃緑色)、エリスロマイシン(濃青色)、グルカレート及びアクリレート(赤色)、グルカレート及びエリスロマイシン(黄褐色)、エリスロマイシン及びアクリレート(桃色)、又はグルカレート、アクリレート、及びエリスロマイシン(薄緑色)に曝露された。二成分誘導の8つの組み合わせにより、3つの蛍光チャネルで特徴付けられた場合、8つの異なる細胞集団が生じた。3D空間の視覚化を助けるために、10,000個の細胞のうちの1つを表す各点の点群が立方体の面に投影される。広範囲の蛍光応答を収集するために、すべての軸は対数目盛りである。 グルカレート力価とよく相関するCdaRバイオセンサーの活性化を示す。グルカレートは、ミオイノシトールから、酵素であるMIOX及びUdhによって産生され得る。MIOXオルソログを、Udh及びCdaRバイオセンサーを含む細胞に形質転換した。ミオイノシトール添加48時間後に蛍光を観察した。グルカレート力価は、グルカレートバイオセンサーを含まない同一の株で同じ期間後に測定した。すべての変動係数は10%未満である(n=3)。 酵素のフェノール産生の指向進化を助ける能力に関して評価されるTtgRバイオセンサーを示す。蛍光応答は0.1%フェノールの存在下で観察されたが、センサーが前駆体分子であるベンゼンで誘発された場合、蛍光のバックグラウンドレベルが観察された。カテコールはフェノール生成の副生成物であり、センサーを活性化しなかった。全ての実験は3連で実施した。 低コピーグルカレート(CdaR)バイオセンサー、エリスロマイシン(MphR)バイオセンサー、アクリレート(AcuR)バイオセンサー、及びナリンゲニン(TtgR)バイオセンサーの誘導及び増殖動態を示す。化学誘導物質は0時間に添加され、蛍光が8時間観察される。下のパネルは、誘導された培養物の経時的な光学濃度を示す。誘導レベルは濃淡で示され、色が濃いほど高い誘導物質濃度を示す。グルカレート誘導レベルは、13mM、4.4mM、1.5mM、0.49mM、0.17mMであり、誘導物質は添加しない。エリスロマイシン誘導レベルは、150μM、51μM、17μM、5.6μM、1.9μMであり、誘導物質は添加されていない。アクリレート誘導レベルは、5mM、2.5mM、1.3mM、0.63mM、0.31mMであり、誘導物質は添加しない。ナリンゲニン誘導レベルは、9mM、3mM、0.33mM、0.11mM、0.037mMであり、誘導物質は添加されない。蛍光及び光学濃度は、本明細書に記載されるように標準化される。平均値の標準誤差は、95%信頼区間で表される(n=3)。 高コピー数及び低コピー数のアラビノース(AraC)バイオセンサー及びアンヒドロテトラサイクリン(TetR)バイオセンサーの誘導及び増殖動態を示す。化学誘導物質は0時間に添加され、蛍光が8時間観察される。下のパネルは、誘導された培養物の経時的な光学濃度を示す。誘導レベルは濃淡で示され、色が濃いほど高い誘導物質濃度を示す。アラビノースの誘導レベルは、490μM、170μM、55μM、18μMであり、誘導物質は添加しない。アンヒドロテトラサイクリン誘導レベルは、430nM、210nM、110nM、53nMであり、誘導物質は添加されていない。蛍光及び光学濃度は、本明細書に記載されるように標準化される。平均値の標準誤差は、95%信頼区間で表される(n=3)。 低コピープロモーター活性の誘導性遺伝子発現モデルへのフィッティングを示す。種々の誘導レベル(点)で、それぞれの誘導性プロモーターの最大発現速度を決定した。データは、基底プロモーター活性及び最大プロモーター活性(緑色の線)を説明するために修正されたHill関数にフィッティングした。アンヒドロテトラサイクリン(TetR)バイオセンサー及びナリンゲニン(TtgR)バイオセンサーは、高い誘導協同性を示す。アラビノース(AraC)バイオセンサー、グルカレート(CdaR)バイオセンサー、アクリレート(AcuR)バイオセンサー、及びエリスロマイシン(MphR)バイオセンサーは、低度又は中程度の協同性レベルを示す。10mMのアクリレート、1400μM及び450μMのエリスロマイシン誘導条件は、高い毒性(赤い点)のためにモデリングデータから除外した。エラーバーは、測定された発現速度の95%信頼区間を反映する。 フローサイトメトリーによって評価された化学物質誘導に応答する単一細胞の挙動を示す。非誘導(灰色)、部分誘導(緑色)、及び完全誘導(青色)集団からの100,000個の細胞が、低コピーバイオセンサーのそれぞれについて観察された。誘導物質の具体的な濃度は、プロットで示される。ヒストグラムは、広い範囲のバイオセンサーの活性化を表示するために、双指数関数目盛りでプロットされる。大きな、十分に分離した二峰性分布が存在ないことは、バルク蛍光測定が実際に個々の細胞の誘導挙動を反映していることを示している。 グルコースからの3HPへの1つの生物学的経路及び3hPを検出のための化合物に変換するために必要な酵素反応を示す模式図である。 prpRに基づいた3−ヒドロキシプロピオン酸(3HP)バイオセンサーの開発を示す。図15Aは、クロロフレクサス・アウランティアカス(Chloroflexus aurantiacus)及び内因性prpC由来の2つのヘルパー酵素を示し、3HPをprpR結合化合物である2−メチルシトレートに変換する。 prpRに基づいた3−ヒドロキシプロピオン酸(3HP)バイオセンサーの開発を示す。図15Bは、外来的に供給された3HPが、バイオセンサーを含む細胞(緑色のバー)において蛍光応答を誘発することを示すグラフである。3HPの濃度が高くなると、蛍光出力が増大する。ヘルパー酵素であるpcsがない場合(灰色のバー)はバイオセンサーの活性化は観察されない。 prpRに基づいた3−ヒドロキシプロピオン酸(3HP)バイオセンサーの開発を示す。図15Cは、バイオセンサーの蛍光応答が1時間後に始まり、10時間後に90%飽和(緑色の線)を達成することを示すグラフである。基礎誘導は経時的に増加するが、低いままである(灰色の線)。エラーバー及び信頼バンドは、95%信頼区間を表す(n=3)。 acuRに基づいた3−ヒドロキシプロピオン酸(3HP)バイオセンサーの開発を示す。図16Aは、2つの異種ヘルパー酵素である切断型のpcs(pcsΔ3)及びアクリリル−CoA加水分解酵素achが、3HPをacuR結合化合物であるアクリレートに変換することを示す。 acuRに基づいた3−ヒドロキシプロピオン酸(3HP)バイオセンサーの開発を示す。図16Bは、外来的に供給された3HPがバイオセンサーを含む細胞(青色のバー)において蛍光応答を誘発することを示すグラフである。3HPの濃度が高くなると、蛍光出力が増大する。バイオセンサーの活性化は、ヘルパー酵素であるrpcsΔ3及びachがない場合(灰色のバー)では観察されない。 acuRに基づいた3−ヒドロキシプロピオン酸(3HP)バイオセンサーの開発を示す。図16Cは、3HPに対するバイオセンサーの蛍光応答が直ちに開始し、8時間後に90%の飽和(青色の線)を達成することを示すグラフである。アクリレートによる誘導は、最初はより迅速であるが、同じ最終蛍光(緑色の線)を達成する。基礎誘導は、実験期間中(灰色の線)には低い。エラーバー及び信頼バンドは、95%信頼区間を表す(n=3)。 ヘルパープラスミドを含まないアクリレートバイオセンサーを含む細胞がアクリレートに応答するが3HPには応答しないことを示すグラフである。 prpRに基づいた3HPバイオセンサーの3HP濃度の増加に対する応答を示すグラフである。緑色のバーは完全な系が3HPに応答することを示し、灰色のバーはprpRセンサー単独では3HPを検出できないことを示す。 acuRに基づいた3HPバイオセンサーの3HP濃度の増加に対する応答を示すグラフである。青色のバーは完全な系が3HP量の増加に反応することを示し、灰色のバーはacuRセンサー単独では3HPの存在に反応しないことを示す。 蛍光によって観察される3−ヒドロキシプロピオン酸の形成を示す。図20Aは、マロニル−CoAをマロン酸セミアルデヒドに変換し、次いで3HPに変換することによってグルコースから3HPを生成することを示す概略図である。マロニル−CoA還元酵素(mcr)は、これらの反応の両方を行うが、マロニル−CoAの脂肪酸生合成と競合する。 蛍光によって観察される3−ヒドロキシプロピオン酸の形成を示す。図20Bは、prpRに基づいた3HPバイオセンサーが3HP生産の進行をリアルタイムでレポートすることを示すグラフである。セルレニンの添加によりマロニル−CoAプールが増加し、3HP産生を増強する(紫色の線)。IPTGの添加によりmcr活性が増加し、さらに3HP産生が増加する(青色の線)。セルレニン及びIPTGは、mcrを有しない細胞の蛍光応答に影響を及ぼさない(灰色及び黒色の線)。 蛍光によって観察される3−ヒドロキシプロピオン酸の形成を示す。図20Cは、prpRに基づいたバイオセンサーのエンドポイント蛍光を示すグラフである。 蛍光によって観察される3−ヒドロキシプロピオン酸の形成を示す。図20Dは、acuRに基づいた3HPバイオセンサーが3HP生産の進行をリアルタイムでレポートすることを示すグラフである。50mMのグルコースの添加(黄褐色の線)により、バックグラウンド(灰色の線)に対する蛍光のわずかな増加がもたらされる。IPTGの添加は、mcrの活性及びバイオセンサー(オレンジ色の線)の活性化を増大させる。グルコース、IPTG、及びセルレニンが同時に供給されると、バイオセンサーの活性化速度(赤色の線)が最も高くなる。 蛍光によって観察される3−ヒドロキシプロピオン酸の形成を示す。図20Eは、最適化されていない培養条件(グルコース、紫色のバー)と比較したとき、acuRに基づいたバイオセンサーのエンドポイント蛍光により最適化培養条件下(グルコース、IPTG、セルレニン)で蛍光が約5倍増加することが明らかになることを示すグラフである。mcrが存在しない場合、培養条件はバイオセンサーの活性化に影響を及ぼさない(青色のバー)。 蛍光によって観察される3−ヒドロキシプロピオン酸の形成を示す。図20Fは、バイオセンサーの活性化によって評価された培養条件が3HP産生について評価されたことを示すグラフである。力価はLC/MSによって測定し、バイオセンサーの活性化に対応することが判明した。グルコース、IPTG、及びセルレニンにより4.2g/L 3HPの記録が達成された。エラーバー及び信頼バンドは、95%信頼区間を表す(n=3)。蛍光測定は任意単位であり、異なるパネルを定量的に比較すべきではない。 グルカレート産生のリアルタイム観察を示す。図21Aは、種々の活性の3種の異種酵素の発現を用いて、グルコースからグルカレートが産生し得ることを示す概略図である。Udhは高い活性を有し、MIOXは低い活性を有し、Ino1はグルコース−6−リン酸の解糖と競合する。グルカレートの存在により、バイオセンサーが活性化される。 グルカレート産生のリアルタイム観察を示す。図21Bは、培地に添加されたグルカレート生合成の中間体を示すグラフである。中間体がグルカレートに変換される時、蛍光が経時的に観察される。グルクロン酸(青色の線)によるバイオセンサーの活性化は、グルカレート(緑色の線)による活性化より遅れる。グルカレート及びグルクロン酸の活性化は共に、ミオイノシトール(紫色の線)又はグルコース(黄褐色の線)による活性化よりも速く、生合成経路の動態を反映している。エンドポイント蛍光は、LC/MSにより決定されるグルカレート力価とよく一致する。 グルカレート産生のリアルタイム観察を示す。図21Cは、グルカレート生合成経路が存在しない場合、経路中間体のいずれからもバイオセンサーの活性化又はグルカレート産生(LC/MSによって決定される)がないことを示すグラフである。グルカレートの添加により、バイオセンサーが活性化される(緑色の線)。エラーバー及び信頼バンドは、95%信頼区間(n=3)を表す。 バイオセンサー出力の関数としてプロットされたグルカレート力価を示すグラフである。低い蛍光は低い力価の良好な指標であり、高い蛍光は高い産生力価を示す。 ムコン酸産生のリアルタイム観察を示す。図23Aは、ムコン酸が、3つの異種酵素の発現によってグルコースから産生されることを示す概略図である。ムコン酸生合成が関与するステップは、3−デヒドロシキミ酸(DHS)からプロトカテク酸(PC)への変換である。 ムコン酸産生のリアルタイム観察を示す。図23Bはムコン酸経路中間体が1時間後に添加され、蛍光が経時的にモニタリングされることを示すグラフである。それぞれの遅い経路中間体は、1時間以内にバイオセンサーを活性化した。グルコースのムコン酸への変換ははるかに遅かった(ピンク色の線)。 ムコン酸産生のリアルタイム観察を示す。図23Cは、エンドポイント蛍光の測定によりムコン酸生合成経路が経路中間体(上のパネル)によるバイオセンサーの活性化に必要であることが明らかになることを示すグラフである。この経路の存在により、前駆体はバイオセンサーを誘発することが可能になる。代謝経路の遥か上流の場所と一致して、グルコースはより低い蛍光(ピンク色のバー、中央のパネル)を達成する唯一の基質である。バックグラウンド蛍光はグルコースなしで観察される(灰色のバー、中央のパネル)。ムコン酸上清力価をHPLCによって決定した。その後の中間体(青色、緑色のバー、下のパネル)に比べて、DHS(紫色のバー、下のパネル)によって生成されたムコン酸は少なかった。グルコース(ピンク色のバー、下のパネル)からのムコン酸産生は、HPLCによる定量限界未満であった。エラーバー及び信頼バンドは、95%信頼区間(n=3)を表す。
本開示の態様は、センサー(本明細書では「バイオセンサー」と呼ぶこともある)及びレポーター系又は検出系を含むように遺伝子改変された細胞における、標的化合物又は代謝産物の産生の決定及び/又は観察に関する。細胞は、標的化合物又は代謝産物の産生のための経路を含むように遺伝子改変されてもよい。バイオセンサーは、細胞内の標的化合物又は代謝産物の量に比例する、検出可能なタンパク質などのタンパク質を産生する小分子誘導系(inducible system)である。この経路は、所望の出発点、通常はグルコース又はバイオマスなどの低コスト供給原料から、標的化合物又は代謝産物を産生するために必要なすべての遺伝子からなる。標的化合物又は代謝産物の形成速度は、供給される中間体の量、その中間体から最終生成物に至る反応の数、及びそれらの反応がどのくらい速く起こるかに依存して変化する。最終的な力価は、これらの因子、及び副産物に分かれるか又は細胞によってエネルギーに使用される出発物質の量に依存する。標的化合物又は代謝産物の産生のための経路は、文献中で利用可能であるか、又は当業者によって決定され得る。
本開示の実施形態は、蛍光検出などのスクリーニング方法及び抗生物質耐性などの測定方法又は選択方法を使用して細胞代謝産物を産生する細胞の同定に有用な、方法、系、及び化合物に関する。スクリーニング方法及び選択方法は共に、本明細書に記載の実施形態に有用であると考えられている。本明細書に記載の蛍光スクリーニング法により、代謝産物産生のリアルタイム観察が提供される。蛍光の増加又は減少は経時的に観察され得、蛍光の増加又は減少は細胞によって産生される代謝産物の量に比例する。ある態様によれば、細胞は、発現すると代謝産物を産生する1又は複数の核酸を含むように遺伝子改変される。細胞は、発現すると代謝産物のセンサーを産生する1又は複数の核酸を含むように遺伝子改変される。細胞は、発現するとレポーターを産生する1又は複数の核酸を含むように遺伝子改変される。本開示の範囲内のレポーターには、当業者に公知のレポーターが含まれる。レポーターは、検出可能な光を与え得る。レポーターは、細胞に有毒であり、発現すると細胞死を引き起こし得る。本明細書に記載のセンサーは、バイオセンサーとも呼ばれる。この用語は互換的に使用され得る。特定の態様によれば、センサーは、アロステリックセンサーである。特定の態様によれば、センサーは、例えば、蛍光タンパク質産生又は解毒剤産生若しくは毒素産生の制御因子である。レポーターが蛍光分子である態様によれば、細胞内の代謝産物の存在により、検出可能な蛍光分子の産生がセンサーに誘導される。ある態様によれば、検出される蛍光の量又は強度は、細胞によって産生される代謝産物の量に比例する。このようにして、より多くの量の代謝産物を産生する細胞を同定し、所望により単離し、さらに所望により増殖させて、代謝産物産生が顕著な又は望ましい又は増加した細胞の集団を作製することができる。この態様によれば、代謝産物に結合するか又は代謝産物の存在を「感知する」ことができ、且つ蛍光分子の産生を制御し得るセンサーは、所望量の代謝産物を産生する細胞のハイスループットスクリーニング法において使用することができる。センサーは、例えば、その全体が参照として援用される、Dietrich, J.A., McKee, A.E. and Keasling, J.D. (2010) High-Throughput Metabolic Engineering: Advances in Small-Molecule Screening and Selection. Annu Rev Biochem, 79, 563-590に記載の方法を用いて、遺伝子改変に起因する代謝産物産生のハイスループット単一細胞測定法又は多重同定法における蛍光レポーター遺伝子発現と連動している。
本明細書に記載の態様によれば、代謝産物応答性バイオセンサーにより蛍光レポーターが制御され、代謝産物産生及び内部細胞状態のリアルタイム観察が提供される。
特定の態様によれば、遺伝子発現が標的化合物又は代謝産物濃度の制御下に置かれる方法が提供される。転写因子が、制御される遺伝子のプロモーター領域に結合して、その遺伝子の転写を促進又は抑制する。転写因子は、次に、標的化合物又は代謝産物などのエフェクター分子の結合によって制御される。より多くのエフェクター分子が存在する場合、転写因子により転写が促進され、より多くの標的タンパク質が作られる。単純な場合、エフェクター分子は目的の標的化合物又は代謝産物であり、目的の標的化合物又は代謝産物の産生により、転写因子が直接的に制御される。ある態様によれば、目的の化学物質は、それが結合する公知の転写因子を有さない。したがって、標的化合物又は代謝産物は、化学的又は酵素的に、転写因子を有するエフェクター分子である誘導体分子に変換される。このようにして、目的の標的化合物又は代謝産物の産生により、転写因子が間接的に制御される。しかし、転写因子の制御は、産生される標的化合物又は代謝産物の量に比例する。
ある態様によれば、細胞蛍光に結合され遺伝的にコードされたバイオセンサーを使用して、代謝産物を同定する方法が提供される。遺伝的にコードされたバイオセンサーにより、蛍光タンパク質の発現が、アロステリック転写因子の使用を介して標的代謝産物の細胞内濃度に関連付けられる。
本明細書に記載の蛍光モニタリング方法は、例えば、ピルビン酸(Ogasawara, H., Ishida, Y., Yamada, K., Yamamoto, K. and Ishihama, A. (2007) PdhR (pyruvate dehydrogenase complex regulator) control the respiratory electron transport system in Escherichia coli. J Bacteriol, 189, 5534 -55410)、ホスホエノールピルビン酸(Cortay, JC, Negre, D., Galinier, A., Duclos, B., Perriere, G. and Cozzone, AJ (1991) Regulation of the Acetate Operon in Escherichia - Coli - Purification and Functional - Characterization of the Icir Repressor. Embo J, 10, 675-679)、クエン酸(Martin, M. G., Magni, C., de Mendoza, D. and Lopez, P. (2005) Cit I, a transcription factor involved in regulation of citrate metabolism in lactic acid bacteria. J Bacteriol, 187, 5146-5155)、乳酸(Lactate (2012) Lactate (Lactate), Lu, M. et al. Utilization Is Regulated by the FadR-Type Regulator LldR in Pseudomonas aeruginosa. J Bacteriol, 194, 2687-2692)、不飽和脂肪酸(Henry, M. F. and Cronan, J. E. (1991) Escherichia-Coli Transcription Factor That Both Activates Fatty-Acid Synthesis and Represses Fatty-Acid Degradation. J Mol Biol, 222, 843-849)及びNADH(Wang, E., Bauer, MC, Rogstam, A., Linse, S., Logan, DT and von Wachenfeldt, C. (2008) Structure and functional properties of the Bacillus subtilis transcriptional repressor Rex. Mol Microbiol, 69, 466-478)などの、多くの一般的な代謝中間体について知られている、アロステリック転写制御因子を利用する。本明細書に記載の細胞内の遺伝的にコードされたバイオセンサーにより、グルコース又は他の出発物質からなど、標的化合物の産生の検出が可能になる。それぞれの細胞は、標的化合物を産生する能力に比例した速度で蛍光タンパク質又は他のレポーターを発現し、それにより所望の標的化合物産生特性を有する細胞をスクリーニングする方法が提供される。スクリーニング法の例としては、フローサイトメトリー法及びvan Sint Fiet, S., van Beilen, J.B. and Witholt, B. (2006) Selection of biocatalysts for chemical synthesis. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 103, 1693-1698又はDietrich, J.A., Shis, D.L., Alikhani, A. and Keasling, J.D. (2013) Transcription factor-based screens and synthetic selections for microbial small-molecule biosynthesis. ACS synthetic biology, 2, 47-58に記載されているものが挙げられ、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
センサー/代謝産物の組み合わせ
特定の態様によれば、センサーの代謝産物への結合によって細胞による蛍光分子の産生がもたらされる本明細書に記載の蛍光モニタリング方法において、公知のセンサー/代謝産物の組み合わせを使用することができる。例示的な公知のセンサー/代謝産物の組み合わせには、以下の表1に示すものが含まれる。他の組み合わせは当該技術分野において公知である。
Figure 0006942921
本明細書に記載の特定の態様によれば、センサー/代謝産物の組み合わせは、(1)刺激強度と回路活性化の関係;(2)刺激に対するバイオセンサーの応答時間;(3)同質遺伝子集団における細胞間のバイオセンサーの活性化の不均一性(heterogeneity)、及び/又は(4)他のバイオセンサーの刺激との交差反応性を考慮して選択することができる。例示的なバイオセンサーは、同族のプロモーター/オペレーターを有し、代謝工学によって酵素的に産生され得る代謝産物などの標的化合物によって誘導される、有用なDNA結合タンパク質である。
センサー及び対応する代謝産物結合パートナーの例は単なる例示であり、当業者は本開示での使用のための他のセンサー及び対応する代謝産物結合パートナーを容易に同定できることを理解されたい。形質転換された微生物は、適切な条件下でセンサー及び代謝産物を発現することを意図している。
任意の特定の代謝産物結合パートナーの産生のための生合成経路は、当業者に公知である。センサー配列は当業者に公知であり、例えば、公開された文献検索に基づく。例えば、上記の代謝産物結合パートナーのための生合成経路及びセンサーは、cdaR(Monterrubio et al. 2000 J. Bacteriol 182(9):2672-4)、tetR(Lutz and Bujard Nucleic Acids Res. 1997 25(6):1203-10)、alkS(Canosa et al. Mol Micriobiol 2000 35(4):791-9)、ttgR(Teran, et al. Antimicrob Agents Chemother. 47(10):3067-72 (2003))、btuBリボスイッチ(Nahvi, et al. Nucleic Acids Res. 32:143-150 (2004))、グルカル酸(Moon, et al. Appl Env Microbiol. 75:589-595 (2009))、ナリンゲニン(Santos, et al. Metabolic Engineering. 13:392-400 (2011))、アルカン(Steen, et al. 463:559-562 (2009))、コバラミン(Raux, et al. Cell Mol Life Sci. 57:1880-1893. (2000))、及びムコン酸(Niu, et al. Biotechnol Prog. 18:201-211. (2002))について十分に記載され、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書に記載の方法を用いて、センサー及び代謝産物結合パートナーの産生を担う微生物のゲノムに核酸を挿入することができる。
特定の態様によれば、細胞は、発現すると1又は複数の標的化合物又は標的代謝産物を産生する1又は複数の核酸を含むように、遺伝子操作又は遺伝子改変され得る。特定の態様によれば、細胞は、発現すると1又は複数のセンサー分子を産生する1又は複数の核酸を含むように、遺伝子操作又は遺伝子改変され得る。特定の態様によれば、細胞は、発現すると1又は複数のレポーター分子若しくはレポーター系を産生する1又は複数の核酸を含むように、遺伝子操作又は遺伝子改変され得る。
特定の態様によれば、細胞は、発現すると1又は複数の標的化合物又は標的代謝産物を産生する1又は複数の核酸、発現すると1又は複数のセンサー分子を産生する1又は複数の核酸、及び/又は発現すると1又は複数のレポーター分子若しくはレポーター系を産生する1又は複数の核酸を含むように、遺伝子操作又は遺伝子改変することができる。
特定の態様によれば、細胞は、発現すると複数の標的化合物又は標的代謝産物を産生する1又は複数の核酸、発現すると複数のセンサー分子を産生する1又は複数の核酸、及び/又は発現すると複数のレポーター分子又はレポーター系を産生する1又は複数の核酸を含むように、遺伝子操作又は遺伝子改変され得る。ある態様によれば、レポーター分子又はレポーター分子群は、所与の代謝産物又は代謝産物群を代表する特定の蛍光分子を有する蛍光分子又は系高分子群であり得る。
特定の態様によれば、細胞は、複数の代謝産物及び対応する複数のセンサー分子を発現するように、遺伝子操作又は遺伝子改変することができる。細胞はまた、所与の代謝産物又は代謝産物群を代表する特定の蛍光分子を有する複数の蛍光分子を発現するように、遺伝子操作又は遺伝子改変することもできる。ある態様によれば、それぞれの代謝産物は対応する独特の蛍光分子を有し、その結果、異なる代謝産物が細胞によって産生されていることを示す異なる蛍光分子が検出され得る。この態様によれば、それぞれのセンサーは、他のセンサー及び他の一般的な誘導系に対して直交している。単一の細胞は、異なる代謝産物を発現するように遺伝子改変され得、それぞれの代謝産物は、対応する異なる蛍光分子によって検出される。
本明細書中で使用される標準的な組換えDNA及び分子クローニング技術は、当技術分野で周知であり、Sambrook, J., Fritsch, E.F. and Maniatis, T., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nded.; Cold Spring Harbor Laboratory: Cold Spring Harbor, N.Y., (1989) and by Silhavy, T.J., Bennan, M.L. and Enquist, L.W., Experiments with Gene Fusions; Cold Spring Harbor Laboratory: Cold Spring Harbor, N.Y., (1984); and by Ausubel, F.M. et. al., Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing and Wiley-Interscience (1987)に記載されており、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
さらなる有用な方法は、Advanced Bacterial Genetics (Davis, Roth and Botstein, Cold Spring Harbor Laboratory, 1980), Experiments with Gene Fusions (Silhavy, Berman and Enquist, Cold Spring Harbor Laboratory, 1984), Experiments in Molecular Genetics (Miller, Cold Spring Harbor Laboratory, 1972) Experimental Techniques in Bacterial Genetics (Maloy, in Jones and Bartlett, 1990), and A Short Course in Bacterial Genetics (Miller, Cold Spring Harbor Laboratory 1992)を含むマニュアルに記載されており、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
微生物は、当業者に公知の方法によって、遺伝子又は遺伝子群を欠失させるか、又は遺伝子又は遺伝子群を組み込むように遺伝子改変されてもよい。種々の宿主細胞の形質転換のために有用なベクター及びプラスミドは一般的であり、Invitrogen社(カリフォルニア州、カールスバッド)、Stratagene社(カリフォルニア州、ラホヤ)、New England Biolabs社(マサチューセッツ州、ビバリー)、及びAddgene社(マサチューセッツ州、ケンブリッジ)などの会社から市販されている。
通常、ベクター又はプラスミドは、関連する遺伝子又は遺伝子群の転写及び翻訳を指示する配列、選択マーカー、及び自律複製又は染色体組込みを可能にする配列を含む。適切なベクターは、転写開始制御を有する遺伝子の5′領域と、転写終結を制御するDNA断片の3′領域とを含む。制御領域は共に、形質転換された宿主細胞と相同な遺伝子から誘導され得るが、そのような制御領域は、生産宿主として選択された種に固有ではない遺伝子から誘導され得ることが理解されるべきである。
所望の宿主細胞において関連する経路コード領域の発現を駆動するのに有用な開始制御領域又はプロモーターは多数あり、当業者によく知られている。これらの遺伝因子を駆動することができる実質的にはいかなるプロモーターも本発明に適しており、lac、ara、tet、trp、IP、IP、T7、tac、及びtrc(大腸菌及びシュードモナスでの発現に有用);バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)及びバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)における発現に有用である、amy、apr、nprプロモーター及び種々のファージプロモーター;nisA(グラム陽性細菌での発現に有用である、Eichenbaum et al. Appl. Environ. Microbiol. 64(8):2763-2769 (1998));及び合成P11プロモーター(ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)における発現に有用である、Rud et al., Microbiology 152:1011-1019 (2006))が含まれるがこれらに限定されない。終結制御領域はまた、好ましい宿主に固有の種々の遺伝子に由来してもよい。
特定のベクターは、広範囲の宿主細菌で複製することができ、接合によって導入することができる。pRK404及び3つの関連するベクターであるpRK437、pRK442、及びpRK442(H)の完全かつアノテートされた配列が利用可能である。これらの誘導体は、グラム陰性細菌における遺伝子操作のための貴重なツールであることが証明されている(Scott et al., Plasmid 50(1):74-79 (2003))。幅広い宿主範囲のInc P4プラスミドRSF1010のいくつかのプラスミド誘導体もまた、ある範囲のグラム陰性菌で機能することができるプロモーターと共に利用可能である。プラスミドpAYC36及びpAYC37はマルチクローニングサイト及び活性プロモーターを有し、グラム陰性細菌における異種遺伝子発現を可能にする。
染色体遺伝子置換ツールも広く入手可能である。例えば、広範な宿主範囲のレプリコンpWV101の感熱変種は、ある範囲のグラム陽性細菌において遺伝子置換を作製するために使用することができるプラスミドpVE6002を構築するように改変されている(Maguin et al., J. Bacteriol. 174(17):5633-5638 (1992))。さらに、インビトロトランスポゾンは、EPICENTRE.RTM.社(ウィスコンシン州、マディソン)などの商業的供給源からの種々のゲノムにおけるランダム突然変異を作製するために利用可能である。
大腸菌の形質転換に有用なベクターは一般的であり、市販されている。例えば、所望の遺伝子又は遺伝子群を種々の供給源から単離し、改変pUC19ベクター上にクローニングし、大腸菌宿主細胞に形質転換することができる。あるいは、所望の生合成経路をコードする遺伝子又は遺伝子群を複数のオペロンに分け、発現ベクター上にクローニングし、種々の大腸菌株に形質転換することができる。
ラクトバチルス属はラクトバチルス目に属し、バチルス・サブチリス及び連鎖球菌(Streptococcus)の形質転換に用いられる多くのプラスミド及びベクターがラクトバチルスに使用され得る。適切なベクターの非限定的な例としては、pAMβ1及びその誘導体(Renault et al., Gene 183:175-182 (1996);及びO’Sullivan et al., Gene 137:227-231 (1993));pMBB1及びpHW800、pMBB1の誘導体(Wyckoff et al. Appl. Environ. Microbiol. 62:1481-1486 (1996));pMG1、抱合プラスミド(Tanimoto et al., J. Bacteriol. 184:5800-5804 (2002));pNZ9520(Kleerebezem et al., Appl. Environ. Microbiol. 63:4581-4584 (1997));pAM401(Fujimoto et al., Appl. Environ. Microbiol. 67:1262-1267 (2001));及びpAT392(Arthur et al., Antimicrob. Agents Chemother. 38:1899-1903 (1994))が挙げられる。ラクトバチルス・プランタルム由来のいくつかのプラスミドも報告されており(van Kranenburg R, Golic N, Bongers R, Leer R J, de Vos W M, Siezen R J, Kleerebezem M. Appl. Environ. Microbiol. 2005 March; 71(3): 1223-1230)、これは形質転換に使用することができる。
所望のラクトバチルス宿主細胞における関連する経路コーディング領域の発現を駆動するのに有用な開始制御領域又はプロモーターは、ラクトバチルス若しくは他の乳酸菌又は他のグラム陽性生物から得ることができる。非限定的な例は、ラクトコッカス(Lactococcus)由来のnisAプロモーターである。終結制御領域はまた、好ましい宿主又は関連細菌に固有の種々の遺伝子に由来し得る。
所望の生合成又は他の所望の経路のための種々の遺伝子は、上記のような任意の適切なベクター又はベクター群にアセンブルされ得る。単一のベクターは、完全な経路をコードする全ての遺伝物質を含む必要はない。本明細書に記載の細胞を遺伝子改変する任意の態様において、1又は複数のベクターを使用することができる。コドンは、ラクトバチルス・プランタルム又はラクトバチルス・アリゾネンシス(Lactobacillus arizonensis)などの宿主株のゲノム配列から推定されたコドン指数に基づいて、発現のために最適化することができる。プラスミドは、参考文献であるCruz-Rodz et al. (Molecular Genetics and Genomics 224:1252-154 (1990))、Bringel and Hubert (Appl. Microbiol. Biotechnol. 33: 664-670 (1990))及びTeresa Alegre, Rodriguez and Mesas (FEMS Microbiology Letters 241:73-77 (2004))のいずれかに記載されているように、エレクトロポレーションなどの当該分野で公知の方法を用いて宿主細胞に導入することができる。プラスミドは、接合によってラクトバチルス・プランタルムに導入することもできる(Shrago, Chassy and Dobrogosz Appl. Environ. Micro. 52: 574-576 (1986))。所望の生合成経路遺伝子は、組込みベクターを用いてラクトバチルスの染色体に組み込むこともできる(Hols et al. Appl. Environ. Micro. 60:1401-1403 (1990);Jang et al. Micro. Lett. 24:191-195 (2003))。
宿主細胞として働き得、本明細書に記載の組換え微生物を産生するように遺伝子改変され得る微生物は、クロストリジウム属(Clostridium)、エシェリヒア属(Escherichia)、ロドコッカス属(Rhodococcus)、シュードモナス属(Pseudomonas)、バチルス属(Bacillus)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、サッカロマイセス属(Saccharomyces)、及びエンテロコッカス属(Enterococcus)の1種又はメンバーを含んでもよい。特に好適な微生物としては、大腸菌、バチルス・サブチリス、及びサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)が挙げられる。
レポーターを用いて細胞をスクリーニングする方法
本明細書に記載の方法は、細胞によって発現される検出可能なレポーターの検出及び測定を利用する。検出可能なレポーターの例としては、蛍光分子又は蛍光タンパク質が挙げられる。蛍光レポーターの例としては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Shaner et al., Nature methods, Vol. 2, No. 12, pp. 905-909 (2005)において同定されたものが挙げられる。当業者に公知の蛍光レポーターの例としては、mPlum、mCherry、tdTomato、mStrawberry、J−Red、DsRed−monomer、mOrange、mKO、mCitrine、Venus、YPet、EYFP、Emerald、EGFP、CyPet、mCFPm、Cerulean、及びT−Sapphireなどが挙げられる。
非蛍光性であるが発光性のレポーターの例としては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるThorne et al., Chemistry and Biology, vol. 17, issue 6, pp. 646-657 (2010) に開示されるような、ルシフェラーゼ及びその誘導体が挙げられる。当業者に公知の非蛍光レポーターの例としては、Firefly(FLuc)、改変Firefly(Ultra−Glo)、Click beetle(CBLuc)、Sea pansy(RLuc)、Copepod crustacean(GLuc)、Ostracod crustacean(CLuc)などが挙げられる。
遺伝的にコードされたバイオセンサーにより、細胞内代謝産物レベルを蛍光タンパク質発現に関連付けされ、蛍光に基づいたスクリーニングが可能になる。蛍光活性化細胞選別(FASC)と組み合わせることで、バイオセンサーに基づいたスクリーニングによって1日あたり最大1×10デザインの評価速度が提供され得る。特定の態様によれば、細胞蛍光を評価するための任意の方法が想定される。細胞群は、96ウェルプレート又は384ウェルプレート中の蛍光プレートリーダーで評価することができ、スクリーニングシステムのプロトタイピングに有用である。フローサイトメトリーを使用して、数百万の細胞を個々に評価することができる。蛍光活性化細胞選別を用いて、最も高い蛍光を有する細胞を単離することができる。これらの蛍光性の高い細胞は、最も多い量の標的化合物又は代謝産物を産生するであろう。これらのセルは、設計の次のラウンドに使用するか、又は商業生産システム用に選択することができる。
蛍光細胞を検出及び/又は測定する方法には、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるHerzenberg et al., Clin. Chem. 2002 Oct;48(10):1819-27に記載されるような蛍光活性化細胞選別が含まれる。別の方法の例としては顕微鏡観察が挙げられ、例えば、多数の細胞を顕微鏡で観察することができ、蛍光細胞を同定し、選択し、分離することができ、又は非蛍光細胞を選択的に破壊することができる。別の方法の例としてはマイクロタイタープレートアッセイが挙げられ、例えば、蛍光によるスクリーニングが、1536ウェルプレート又は9600ウェルプレートなどのマイクロタイタープレートにおいてロボット制御により行われる。このような方法は、ハイスループットスクリーニングに典型的な、ロボット処理及び高度プレートリーダーと組み合わせることができる。別の方法の例としてはエマルジョンアッセイが挙げられ、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるWang et al., Nature Biotechnology, Volume 32, pp. 473-478 (2014)に記載されるように、細胞をエマルジョン内に捕捉し、マイクロ流体を用いてアッセイすることができる。他のマイクロ流体アッセイを使用して、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるGuo et al., Lab Chip, 2012,12, 2146-2155に記載されているように、細胞を評価することができる。
蛍光又は発光レポーターに依存しない他の方法及びアッセイを用いて、本明細書に記載の方法で細胞を検出することができる。そのような方法の例としては、転写を使用するが必ずしも蛍光又は発光は使用しない方法が挙げられる。このような方法の例としては、プルダウンアッセイが挙げられ、例えば、細胞を表面に付着させる細胞表面マーカーの産生が転写読み取りにより駆動されて、代謝産物の高い能力を有する細胞のみが保持される。別の方法の例としては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるFan et al., ASSAY and Drug Development Technologies, Volume 5, Number 1, pp. 127-136 (2007)に記載されるような、ルシフェラーゼハイスループットスクリーニングが挙げられる。
解毒剤/毒素系を用いた細胞の選択方法
センサー及びその結合代謝産物を使用する本開示の選択方法は、特定の表現型を示す細胞を生存させる。本明細書に記載の方法は、標的化合物又は代謝産物に応答して毒素に対する解毒剤を産生する細胞を選択するための解毒剤/毒素系を利用する。大量の標的化合物又は代謝産物を産生する細胞の選択は、細胞の集団(典型的には最大100億)を抗生物質で処理することによって達成される。大量の標的化合物又は代謝産物に応答して解毒剤を産生する場合にのみ、細胞は生き残ることができる。最も多い量の標的化合物又は代謝産物を産生する細胞は、わずかに少ない量の標的化合物又は代謝産物を産生する細胞よりも速く増殖し、集団が引き継がれるであろう。結果として、標的化合物又は代謝産物の産生に優れた細胞の新しい培養物が得られる。特定の態様によれば、微生物は、毒素に対する解毒剤をコードする1又は複数の外来性核酸を含むように遺伝子改変される。解毒剤と毒素の組み合わせは当業者に公知であり、それらの例としては、SDSとtolC、コリシンとtolC(陰性選択)、カナマイシンとカナマイシンヌクレオチジルトランスフェラーゼ、クロラムフェニコールとクロラムフェニコールアシルトランスフェラーゼ、アンピシリンとβラクタマーゼ、テトラサイクリンとテトラサイクリン排出ポンプtetA、塩化ニッケルとテトラサイクリン排出ポンプtetA(陰性選択)、及び5−フルオロオロチン酸とURA3(陰性選択)が挙げられる。形質転換された微生物は、適切な条件下で解毒剤を発現させることが意図されている。
任意の特定の解毒剤の産生のための遺伝子は、当業者に公知である。例えば、上記の解毒剤の遺伝子は、tetA(Postle et al. Nucleic Acid Research 1984 12(12)4849-4863)、tolC(Fralick J. Bacteriol 1996 178(19)5803-5805)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(Shaw et al. J Bacteriol. 1970 104(3):1095-1105)に十分に記載されている。本明細書に記載の方法を用いて、DNA結合分子及び代謝産物結合パートナーの産生に関与する微生物のゲノムに核酸を挿入することができる。
ある態様によれば、形質転換された組換え微生物は、解毒剤の産生を制御するセンサーを発現する。センサーが発現すると、センサーに標的代謝産物に結合しない限り、解毒剤の発現を阻害するか(すなわち、抑制因子)又は解毒剤の発現を活性化しない(すなわち活性化因子)ことによって、センサーは細胞が解毒剤遺伝子を発現するのを防ぎ、これによりセンサー機能変化による解毒剤発現がもたらされる。以下のいくつかの制御機構が考えられる。抑制因子であるアロステリック転写因子については、所望の代謝産物が抑制因子に結合しない限り、抑制因子タンパク質がDNAの5′領域を解毒剤遺伝子に結合することによって解毒剤遺伝子の転写を阻止する;活性化因子であるアロステリックな転写因子については、活性化因子は、所望の代謝産物が活性化因子に結合している場合にのみ、DNAポリメラーゼを解毒剤遺伝子の5′領域に動員する;減衰リボスイッチについては、リボスイッチは、解毒剤遺伝子の転写を制御する抑制因子の5′非翻訳領域にコードされ、標的代謝産物に結合した場合にこの抑制因子の翻訳を弱める。さらなる態様によれば、形質転換された組換え微生物は、解毒剤の産生を促進するようにセンサーに結合する代謝産物を産生する生合成遺伝子を発現する。ある態様によれば、解毒剤の産生は、微生物によって産生されてセンサーに結合する代謝産物結合パートナーの量に比例する。代謝産物が存在しない場合、センサーは解毒剤の産生を防止する。多くの個々のセンサー分子が細胞内で発現される。代謝産物のセンサー分子への結合は可逆事象であり、解毒剤の発現を妨げる状態から解毒剤の発現を可能にする状態に、個々のセンサー分子を切り替える。代謝産物の濃度が低い場合、代謝産物に結合したセンサー分子の割合は、任意の所与の時点で低く、したがって、解毒剤は発現しないか、又はわずかにしか発現しない。代謝産物の濃度が増加するにつれて、代謝産物に結合したセンサー分子の割合が増加し、解毒剤の発現がより高くなる。これにより、解毒剤産生及び代謝産物レベルの用量依存性がもたらされる。すなわち、細胞により産生される代謝産物結合パートナーが多いほど、代謝産物分子に結合したセンサー分子の割合が高くなり、細胞はより解毒剤を産生する。それ未満では解毒剤の産生がない代謝産物濃度は検出閾値であり、それを超えると解毒剤のさらなる産生がない代謝産物濃度は飽和点であり、これらの制限により、センサーと解毒系のダイナミックレンジが生じる。
以下の実施例は、本開示を代表するものとして記載される。これらの実施例は、これら及び他の同等の実施形態が本開示、図面、及び添付の請求の範囲を考慮して明らかであるので、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
実施例1
化学物質及び試薬
すべての試薬は、特に明記しない限り、Sigma社(ミズーリ州、セントルイス)から入手した。抗生物質及びIPTGは、Gold Biotechnology社(ミズーリ州、セントルイス)から入手した。アンヒドロテトラサイクリン(aTC)はClontech社(カリフォルニア州、マウンテンビュー)から入手した。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)ミックスは、Kapa Biosystems社(マサチューセッツ州、ウィルミントン)から購入した。エリスロマイシン及びaTCはエタノールに溶解したが、ナリンゲニンはジメチルスルホキシドに溶解した。他の全ての誘導物質を脱イオン水に溶解した。
実施例2
プラスミド構築
ギブソン等温アセンブリ法(その全体が参照により本明細書に組み込まれるGibson, D.G., Young, L., Chuang, R.Y., Venter, J.C., Hutchison, C.A., 3rd and Smith, H.O. (2009) Enzymatic assembly of DNA molecules up to several hundred kilobases. Nat Methods, 6, 343-345を参照)を用いてプラスミドを構築し、DH5αエレクトロコンピテント細胞(マサチューセッツ州、イプスウィッチ、New England Biolabs社)に形質転換した。すべての標準的な誘導プラスミドは、強力なターミネーターであるrrnB(その全体が参照により本明細書に組み込まれるOrosz, A., Boros, I. and Venetianer, P. (1991) Analysis of the complex transcription termination region of the Escherichia coli rrnB gene. European journal of biochemistry / FEBS, 201, 653-659を参照)に続いて、誘導性プロモーター及びsfGFPの発現を駆動する(その全体が参照により本明細書に組み込まれるPedelacq, J.D., Cabantous, S., Tran, T., Terwilliger, T.C. and Waldo, G.S. (2006) Engineering and characterization of a superfolder green fluorescent protein. Nature biotechnology, 24, 79-88を参照)強力なg10 RBS(その全体が参照により本明細書に組み込まれるOlins, P.O., Devine, C.S., Rangwala, S.H. and Kavka, K.S. (1988) The T7 phage gene 10 leader RNA, a ribosome-binding site that dramatically enhances the expression of foreign genes in Escherichia coli. Gene, 73, 227-235を参照)「tttaactttaagaaggagatatacat」(配列番号1)を含んでいた(ネイティブRBSを使用したCdaRの場合を除く)。GFPの後には、proBプロモーター(参照によりその全体が本明細書に組み込まれるDavis, J.H., Rubin, A.J. and Sauer, R.T. (2011) Design, construction and characterization of a set of insulated bacterial promoters. Nucleic acids research, 39, 1131-1141を参照)を先頭とする転写ターミネーター及び転写制御因子の発現を促進する強力なRBS「gaaataaggaggtaatacaa」(配列番号2)が続いた。それぞれの誘導系は、高コピープラスミド及び低コピープラスミドで実施した。高コピーpJKR−Hプラスミドは、pUC19複製開始点及びpUC19由来のβラクタマーゼ抗生物質耐性マーカー(マサチューセッツ州、イプスウィッチ、New England Biolabs社)を用いて構築した。低コピーpJKR−Lプラスミドは、アメリカ培養細胞系統保存機関から得られたpSC101(ATCC#37032)からのpUC複製開始点をSC101複製開始点(repAを含む)で置き換えた以外は同じ方法で構築した。MphR誘導系の場合、エリスロマイシン耐性カセットeryRもまた含まれていた。転写制御因子及びその同族プロモーターの配列を表2に示す。プラスミドMphR−p15a−SPEC−mCherry及びAcuR−colA−KAN−CFPは、pJKR−H−CdaRとの互換性維持のために設計された。これら両方のプラスミドにおいて、抗生物質耐性遺伝子及び複製開始点をp15a−aadA及びcolA−kanRに置き換えた。それぞれのMIOX酵素の配列及び生物名を表3に示す。構成的プロモーターP2(その全体が参考として本明細書に組み込まれるMutalik, V.K., Guimaraes, J.C., Cambray, G., Lam, C., Christoffersen, M.J., Mai, Q.A., Tran, A.B., Paull, M., Keasling, J.D., Arkin, A.P. et al. (2013) Precise and reliable gene expression via standard transcription and translation initiation elements. Nat Methods, 10, 354-360を参照)及びg10 RBSの下流に各酵素をクローニングして、pJKR−MIOX変異体を作製した。これらの発現プラスミドは、維持のためにcolAの複製開始点及びカナマイシン耐性遺伝子を使用した。配列及びプラスミドは、Addgene社で入手可能である(プラスミド番号62557−62570)。
実施例3
誘導及び毒性
誘導アッセイでは、pJKRプラスミドで形質転換し、カルベニシリンで維持したDH5α細胞を使用した。各誘導評価実験のために、細胞を一晩増殖させて飽和状態とした後、新鮮なLB培地に1:100希釈し、200RPM、37℃でインキュベートした。4時間後、150μlの対数期細胞を96ウェルプレートに移し、ストック誘導物質を添加して所望の誘導濃度範囲とした。3つの別個のウェルに接種し、それぞれの誘導レベルに対して適切な量の誘導化学物質を独立して添加した。同じ設定(励起485/20、発光528/20、37℃、及び高速振とう)を使用して、同じBiotek社(バーモント州、ウィノスキー)HTプレートリーダーで測定した。蛍光及び吸光度を10分間毎に15時間測定した。蛍光を任意単位(AFU)で測定し、光学濃度を吸光度(OD)で決定した。標準化蛍光は、所与の測定について蛍光を光学濃度で割ることによって決定した。バックグラウンド自己蛍光の測定を行うために、pUC19で形質転換した対照株を含む5つの独立したウェルを含めた。90分後に蛍光を観察するように改変した同じプロトコールを用いて、フェノール及び関連化合物によるTtgRバイオセンサーの誘導を評価した。
経時的及び実験間の細胞密度の変化を補正するために、600nmでの蛍光の吸光度に対する比(AFU/OD)を用いた。15時間目の標準化蛍光を用いて、誘導物質濃度と蛍光応答との関係を決定した。この伝達関数を図1A及び図1Bの対数‐対数目盛にプロットして、広範囲の誘導物質濃度及び得られる蛍光値を収集する。Mathematica Hypothesis Testing Packageの関数MeanCIを用いて、3つの誘導レプリカから得られたスチューデントのt−分布に基づいて推定平均値の95%信頼区間を算出した。細胞増殖及びバイオセンサー活性化の時間経過を標準化し、ブートストラップを使用してPythonモジュールSeabornでプロットして、3つの独立して誘導されたレプリカについて、試料の平均値の標準誤差(通常の誤差分布を仮定)に対する95%信頼区間を生成した(図2、図10、及び図11を参照)。視覚化の目的のために、各グラフの傾向を共通軸上で観察できるよう、グラフのすべてのデータを最大値の110%で割ることによって、蛍光時間経過データに対して標準化を行った。視覚化の目的のために、各増殖曲線をその中間点値で割り、0時間で0にオフセットするように、増殖時間経過データを標準化した。
誘導の15時間後に誘導比を決定した。得られた誘導倍率の値の標準誤差は、誘導倍率の標準誤差が以下の式であるように、誘導試料の平均値、非誘導試料の平均値、及び対照試料の平均値についての平均値の標準誤差(正規誤差分布を仮定)から決定された。
Figure 0006942921
誘導化学物質及びその溶媒の毒性を、誘導応答について評価したそれぞれの濃度で測定した。これらの実験において、DH5α細胞を一晩増殖物から新鮮な選択的LBに1:100希釈し、200RPM、37℃で2時間増殖させた。pJKR−H−MphRを用いてeryRを発現させるエリスロマイシン評価を除いて、それぞれの場合の対照プラスミドとしてpUC19を使用した。150μlの細胞を96ウェルプレートに移し、アッセイされる化学物質を直ちに3連で加えた後、600RPM、37℃でさらにインキュベートした。15時間後、600nmでの吸光度を測定し、細胞に化学物質を添加しなかった対照ウェルで観察された吸光度に標準化した。
交差反応性マトリックスは、標的バイオセンサー及び非標的バイオセンサーを含む細胞を誘導することによって決定した。誘導評価実験で記載した方法と同じ方法で細胞を調製して評価した。以下の誘導物質濃度、すなわち、アクリレート(5mM)、アラビノース(165μM)、グルカレート(4.4mM)、エリスロマイシン(37μg/ml)、ナリンゲニン(9mM)、IPTG(1mM)、ラムノース(10mM)、クミン酸(20μM)DMSO(1%)、及びエタノール(1%)を使用した。
実施例4
数学的モデリング
GFP発現率は、式ΔGFP/ODを用いて各時点で算出した。Scipyを用いて、Hill関数を用い、対応する誘導物質濃度に対する最大GFP発現率の非線形最小二乗フィッティングを行った。
Figure 0006942921
maxはGFP発現の最大速度であり、VminはGFP発現の基礎速度であり、Iは誘導物質の濃度であり、hはHill係数であり、Kは結果に記載された集中最大半量パラメータである。各パラメータの分散は、最小二乗共分散行列から決定された。分散の2乗は、以下の表4に示されるパラメータ誤差である。
Figure 0006942921
図3及び図12における点は、独立して誘導された3つのレプリカの平均値を示しており、エラーバーはブートストラップによる平均値の標準誤差について決定された95%信頼区間に対応する。線は、データにフィットするモデルを示している。
実施例5
フローサイトメトリー
評価するプラスミドを含むD5Hα細胞を一晩飽和まで増殖させ、1mLの選択的LB培地中に1:100希釈し、900RPM、37℃で、96ウェルディープウェルブロック中でインキュベートした。4時間後、誘導物質を所望の最終濃度まで加え、再度を15時間インキュベートした。誘導された培養物を冷リン酸緩衝食塩水(PBS)中に1:100希釈し、LSRFortessaフローサイトメーター(カリフォルニア州、サンノゼ、BD Biosciences社)で評価するまで氷上に保った。各サンプルにつき少なくとも100,000の事象が収集された。デブリ及び凝集細胞を避けるために、前方散乱及び側方散乱でゲーティングを行った。視覚化のためにデータをFloJoに、その後の分析のためにMathematicaにエクスポートした。
pJKR−H−CdaR、MphR−p15a−SPEC−mCherry(pJKR−O−MphRとよぶ)、及びAcuR−colA−KAN−CFP(pJKR−O−AcuRとよぶ)で形質転換された細胞は、3つの抗生物質すべてを含むLB中で維持された。5mMのアクリレート、40mMのグルカレート、及び37μg/mLのエリスロマイシンの誘導濃度を用いて、上記と同様に細胞を誘導した。上記のようにして収集とゲーティングを行った。図7には10,000の事象がプロットされている。
実施例6
グルカレート産生
蛍光によるグルカレート産生の観察のために、pJKR−H−CdaR及びpJKR−MIOXで二重に形質転換したBL21 DE3(マサチューセッツ州、イプスウィッチ、New England Biolabs社)細胞を、飽和培養物からカルベニシリン及びカナマイシン選択LBに1:100希釈した。4時間後、細胞を3連で96ウェルプレートに移し、50mMのミオイノシトールを培地に添加した。Biotek社HPプレートリーダーを用いて、37℃で高速振とうしながら15分間隔で48時間、蛍光及び吸光度(600nm)を測定した。
グルカレート力価を直接測定するために、96ウェルディープウェルブロック内の1mL培養物中で、900RPM、37℃で48時間インキュベートして産生が行われたこと以外は、上記のようにpJKR−MIOX変異体で形質転換したBL21 DE3細胞を調製した。遠心分離及び濾過によって上清を集め、グルカレートを質量分析によって決定した。
実施例7
蛍光レポーターによる代謝産物の同定
以下のセンサー、すなわち、AcuR、CdaR、MphR、及びTtgRを調べた。AcuRは、ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)(Sullivan, M.J., Curson, A.R., Shearer, N., Todd, J.D., Green, R.T. and Johnston, A.W. (2011) Unusual regulation of a leaderless operon involved in the catabolism of dimethylsulfoniopropionate in Rhodobacter sphaeroides. PloS one, 6, e15972参照)において、ジメチルスルホニオプロピオネート(DMSP)の異化反応を制御するためにアクリレートに結合する。CdaRは、一部の二塩基酸、すなわち、グルカレート、ガラクタレート、及びグリセラートに応答して転写を制御することが示されている、大腸菌由来の転写活性化因子である(Monterrubio, R., Baldoma, L., Obradors, N., Aguilar, J. and Badia, J. (2000) A common regulator for the operons encoding the enzymes involved in D-galactarate, D-glucarate, and D-glycerate utilization in Escherichia coli. J Bacteriol, 182, 2672-2674を参照)。MphRは、エリスロマイシン、並びにジョサマイシン及びアジスロマイシンなどの他のマクロライド系抗生物質の存在下で転写を媒介する(Noguchi, N., Takada, K., Katayama, J., Emura, A. and Sasatsu, M. (2000) Regulation of transcription of the mph(A) gene for macrolide 2’-phosphotransferase I in Escherichia coli: characterization of the regulatory gene mphR(A). J Bacteriol, 182, 5052-5058を参照)。MphRは大腸菌のマクロライド耐性株において最初に同定され、その後、哺乳動物(Kramer, B.P., Viretta, A.U., Daoud-El-Baba, M., Aubel, D., Weber, W. and Fussenegger, M. (2004) An engineered epigenetic transgene switch in mammalian cells. Nature biotechnology, 22, 867-870及びWeber, W., Fux, C., Daoud-el Baba, M., Keller, B., Weber, C.C., Kramer, B.P., Heinzen, C., Aubel, D., Bailey, J.E. and Fussenegger, M. (2002) Macrolide-based transgene control in mammalian cells and mice. Nature biotechnology, 20, 901-907を参照)及び微生物(Mohrle, V., Stadler, M. and Eberz, G. (2007) Biosensor-guided screening for macrolides. Analytical and bioanalytical chemistry, 388, 1117-1125を参照)の導入遺伝子の活性化の両方で使用されている。シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)において、TtgRは、ナリンゲニン、フロレチン、及びゲニステインなどのフラボノイドに応答する多剤排出ポンプの発現を制御し(Teran, W., Felipe, A., Segura, A., Rojas, A., Ramos, J.L. and Gallegos, M.T. (2003) Antibiotic-dependent induction of Pseudomonas putida DOT-T1E TtgABC efflux pump is mediated by the drug binding repressor TtgR. Antimicrobial agents and chemotherapy, 47, 3067-3072を参照)、哺乳動物の導入遺伝子の活性化にも使用されている(Rossger, K., Charpin-El-Hamri, G. and Fussenegger, M. (2013) A closed-loop synthetic gene circuit for the treatment of diet-induced obesity in mice. Nature communications, 4, 2825を参照)。AcuR、MphR、及びTtgRは、TetR転写抑制因子ファミリーのメンバーである。比較のために制御因子TetR及びAraCが含まれる。
バイオセンサーは、アロステリック転写制御因子及び蛍光レポーターの両方をコードする単一プラスミドとして構築した。レポーターmRNAは、アロステリック転写制御因子によって制御されるプロモーター/オペレーター配列から転写される。転写抑制因子については、中強度の構成的プロモーター(Davis, J.H., Rubin, A.J. and Sauer, R.T. (2011) Design, construction and characterization of a set of insulated bacterial promoters. Nucleic acids research, 39, 1131-1141を参照)を用いて制御因子の転写を駆動した。転写活性化因子については、AraC制御因子及びCdaR制御因子の自己調節的な挙動を保つために、活性化因子の天然プロモーター配列を使用した(Monterrubio, R., Baldoma, L., Obradors, N., Aguilar, J. and Badia, J. (2000) A common regulator for the operons encoding the enzymes involved in D-galactarate, D-glucarate, and D-glycerate utilization in Escherichia coli. J Bacteriol, 182, 2672-2674及びHahn, S. and Schleif, R. (1983) In vivo regulation of the Escherichia coli araC promoter. J Bacteriol, 155, 593-600を参照)。バイオセンサーは、異なる状況でのそれらの挙動を評価するために、一般的に使用される高コピープラスミド及び低コピープラスミド中に構築された。高コピープラスミドではpUC複製開始点(約100〜500コピー)が使用され、低コピープラスミドではSC101複製開始点(2〜5コピー)がコードされていた。全てのプラスミドはβ−ラクタマーゼを発現しており、プラスミド維持のためのカルベニシリンの使用が可能であった。MphRバイオセンサーの場合、誘導に必要とされる高濃度のマクロライドから細胞を保護するためにエリスロマイシン耐性遺伝子も含まれていた。
誘導因子濃度と蛍光レポーター発現との関係を、図1A及び図1Bに示されるような6種の誘導系について評価した。結果として生じるバイオセンサー伝達関数は、センサー出力の全範囲を包含しており、各バイオセンサーのダイナミックレンジの決定が可能になる。また、伝達関数の評価はまた、各バイオセンサーの実施において得られる最小発現レベル及び最大発現レベルを明らかにする。表4に示されるように、高コピーバイオセンサーの算出された誘導倍率(非誘導蛍光で割った最大蛍光)は63〜210の範囲であった。特定の数を上回っていることが示された誘導倍率値は、細胞自家蛍光の強度内に存在するか、又はそれに非常に近い、平均非誘導蛍光の結果である。誘導倍率の真の数値はこのシナリオでは定義されていないため、95%信頼区間の境界を用いて最小の誘導倍率を決定した。図1Aに示されるように、高コピーバイオセンサー間の誘導の最大の大きさは、AraC、次にCdaR及びMphRで達成された。低コピーバイオセンサーについては、誘導倍率は3〜78の範囲であった。AcuRバイオセンサーは、高コピー系及び低コピー系の両方について、アクリレートの非存在下でバックグラウンドを超える蛍光がなく、GFPの非誘導性の蓄積が最小であった。このことは、低コピー形態においてGFPの非誘導性の蓄積がより高かったTtgRバイオセンサーとは対照的である。反対の効果は、TetRバイオセンサーについて観察され、TetRバイオセンサーではGFPの非誘導性の蓄積がより低く、図1Bに示されるように、低コピー形態においては蛍光がバックグラウンドの範囲内であった。
図2、図10、図11に示されるように、それぞれのバイオセンサーについて誘導に要した時間を評価した。レポーター発現は、広範囲の誘導物質濃度で8時間モニタリングした。すべての高コピーバイオセンサーは、30分以内にバックグラウンドを超える蛍光を産生し始め、最も高い誘導条件下で5時間以内に最も高いレベルの蛍光に達した。低コピーバイオセンサーは、50分以内に測定可能な蛍光を産生し始めたが、最も高いレベルの誘導で最大蛍光に達するためには8時間以上を要することもあった。発現の開始は急速に始まり、バイオセンサー間のばらつきはほとんどなく、最大蛍光はセンサー依存性であった。例えば、CdaRバイオセンサーは、約1時間で中程度の誘導から最大蛍光に達したが、最も高いグルカレート誘導条件では最大蛍光に達するまでに6時間を要した。このことは、誘導強度にかかわらずおおよそ3時間で最大の蛍光に近づいた、高コピーMphRバイオセンサーとは対照的であった。MphRバイオセンサーの低コピー変異体は同様の傾向を示したが、図10に示されるように最大蛍光を達成するためにはさらに時間が必要であった。誘導動態のばらつきは、制御されたプロモーターの固有の強度、センサーとDNAの平衡、又はバイオセンサー活性と増殖期との関係に関連し得る。AcuR以外の各抑制因子は、静止期の開始時にはさらなる蛍光の蓄積が停止した。このことは、静止期よりかなり前に最大蛍光に達した活性化剤とは対照的である。他の抑制因子の挙動とは対照的に、アクリレートによるAcuRの強力な誘導は、静止期に入ることによって可能になる。
複雑な合成回路を数学的にモデリングして、部品選択及び系の設計を支援することができる。本明細書に記載されるように遺伝子活性化のモデルを適用して、プロモーター活性を誘導因子濃度と関連付ける。プロモーター活性は、細胞増殖について補正された蛍光の時間導関数として定義される。フルオロフォア成熟に必要な時間が考察され、2分未満であることが判明した(Pedelacq, J.D., Cabantous, S., Tran, T., Terwilliger, T.C. and Waldo, G.S. (2006) Engineering and characterization of a superfolder green fluorescent protein. Nature Biotechnology, 24, 79-88を参照)。同様に、GFPの分解は、大腸菌における半減期が24時間より長いため無視された(Andersen, J.B., Sternberg, C., Poulsen, L.K., Bjorn, S.P., Givskov, M. and Molin, S. (1998) New unstable variants of green fluorescent protein for studies of transient gene expression in bacteria. Applied and Environmental Microbiology, 64, 2240-2246を参照)。遺伝子発現率は、遺伝子発現の最大速度及び非誘導細胞の基礎発現の両方を考慮に入れたHill関数にフィッティングした。活性化因子であるAraC及びCdaRは、低い協同性を示すHill係数を有していた。抑制因子であるTetR、AcuR、及びTtgRはすべて高い協同性を示した。例外は抑制因子MphRであり、Hill係数がより低い。表4を参照。高コピーセンサーの活性‐誘導曲線を調べることにより、MphRの誘導挙動は、他の抑制因子であるTetR、AcuR、及びTtgRではなく、むしろ活性化因子であるAraC及びCdaRの誘導挙動により類似していることが明らかになる。図3を参照。低コピーセンサーの活性‐誘導曲線についても同じ傾向が成り立つが、この実施においてはAcuRの協同性がより低く、AcuRが活性化のために増殖期に依存していることによる可能性がある。図12を参照。10mMでのアクリレートの毒性のために、この誘導条件はモデリングに用いたデータから除外した。同様に、最も高い濃度のエリスロマイシンは、おそらく、エリスロマイシン耐性遺伝子の発現が低いために実質的な毒性を示したため、低コピーMphRバイオセンサーモデルから除外した。高コピーセンサーの最大速度は低コピーバージョンよりも常に速かった。しかし、変化の大きさは活性化因子よりも抑制因子において大きかった。活性化因子に基づいたセンサーは、それら自身の発現を制御し、このフィードバックにより、コピー数の変動にもかかわらず、何らかの発現の安定性がもたらされ得る。基礎プロモーター活性は、各高コピーバイオセンサーについての最大プロモーター活性の3%未満であった。低コピーバイオセンサーは、最大活性がより低く、場合によっては、転写抑制の効果が低いため、基礎プロモーター活性がより高く、変動がより大きかった。
個々の細胞をフローサイトメトリーで評価し、集団誘導動態が単一細胞挙動を示すものであったのか、又は個々の細胞における確率的な全か無かの反応を平均した結果であったのかを決定した。図4及び図13を参照。正のフィードバック又は誘導物質輸送特性に起因して二峰性又は不均一な誘導パターンを生じることが観察されている誘導系もあるため、こういった特徴付けは有用である。一晩誘導した後、基礎誘導レベル、低誘導レベル、及び高誘導レベルを測定した。各バイオセンサーについて、個々の細胞の大部分が誘導物質の濃度に応答して蛍光を示すことが示された。少数の細胞群が蛍光を発しない場合、その集団は全細胞集団の2%未満であり、死細胞又は機能不全のプラスミドを含む細胞からなる可能性がある。それにもかかわらず、個々の細胞応答は、集団測定で観察される集団平均の挙動を反映する。高コピーのAraCバイオセンサー及びCdaRバイオセンサーはいずれも、バルクで評価した場合、リポーター発現の基礎レベルが高い。図1Aを参照。これらのセンサーは、単一細胞レベルで評価した場合、最も広範な非誘導蛍光分布を示した。図4を参照。TetRバイオセンサーは、部分的に誘導された場合、広い蛍光分布を有する。部分的に誘導された場合、低コピーMphRの蛍光分布及び高コピーTtgRの蛍光分布はいずれも、検出限界に対して圧縮される。図13を参照。これにより、分布の左裾(left tail)が検出限界以下であるか、又は一部の細胞が誘導物質に応答して活性化していないことが示されることがある。集団測定で観察されるように、TtgR誘導は弱い。低コピーTtgRプラスミドの場合、誘導集団及び非誘導集団は、フローサイトメトリーで観察するとほぼ完全に重複する。図13を参照。
バイオセンサー用途のための誘導物質濃度の選択を助けるため、誘導物質化学物質の毒性を測定した。図5を参照。最大のタンパク質生産が目標である用途では、毒性はそれほど考慮されない。対照的に、準毒性の(sub-toxic)誘導は、細胞が健康な細胞状態を維持することを必要とする複雑な回路にとって重要である。予想通り、エリスロマイシンは、50μMの低濃度では大腸菌に対して毒性であった。しかし、エリスロマイシン耐性遺伝子(eryR)が発現すると、1.4mMまでのエリスロマイシン濃度ではわずかな毒性しか観察されなかった。430nMアンヒドロテトラサイクリン(aTC)で同様の増殖異常が観察された。増殖異常はいずれも、溶媒、この場合はエタノール、に起因し得る。ナリンゲニンは330μM以上の濃度で顕著な毒性を示した。この毒性は、溶媒ジメチルスルホキシド(DMSO)ではなく、むしろフラボノイド自体に起因し得る。アクリレートは5mM及び10mMで実質的な毒性を示した。炭素源として糖を使用する大腸菌の能力に起因して、高濃度のアラビノースによってより高い増殖速度が得られた。最も高い濃度のグルカレート及び低レベルのエタノール添加で、同様ではあるがより適度の増殖利点が観察された。
実施例8
センサー直交性
各バイオセンサーの交差反応性は、以下の誘導化合物、すなわち、アクリレート、アラビノース、グルカレート、エリスロマイシン、aTC、ナリンゲニン、IPTG、ラムノース、クミン酸、並びに溶媒であるDMSO及びエタノールを含むパネルを用いて評価した。その他の点で評価されない誘導化合物は、将来のバイオセンサー実施のための上位互換性を提供するために含まれた。その同族誘導物質を除いて、評価された化合物のいずれに応答するセンサーも観察されなかった。図6を参照。クミン酸、グルカレート、及びアクリレートは、すべてカルボキシレートを特徴とするが、それぞれのセンサーにより区別される。TtgRは、クロラムフェニコールなどの多くの同様の分子に結合するが、クミン酸によって活性化されない。クロラムフェニコールによるTtgR活性化により、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼによって維持されるプラスミドと同時にTtgRを含む操作系が排除される。
バイオセンサーの交差反応性は、細胞ごとに単一のセンサーで評価されたが、本明細書で提供される方法は、単一細胞内で複数の直交センサーを利用する。この態様によれば、いくつかのセンサーが構築され、同じ細胞に導入されることにより、安定した維持及び重複しない蛍光の読み取りが可能になる。エリスロマイシンがp15a複製開始点及びスペクチノマイシン耐性をコードするベクター骨格におけるmCherryの発現を制御するように、MphRバイオセンサーを再構成した。同様に、AcuRバイオセンサーは、colA開始点及びカナマイシン耐性をコードするベクター骨格において再構築され、CFPのアクリレート介在性発現を促進した。これらのプラスミドを(GFPをコードする)pJKR−H−CdaRプラスミドと同時形質転換し、DH5α細胞で安定に維持した。グルカレート誘導、エリスロマイシン誘導、及びアクリレート誘導の全ての組み合わせによってこの株を一晩誘導することにより、3つのチャネルにおいて蛍光によって測定される、8つの異なる細胞状態が得られた。図7を参照。それぞれの直交性誘導チャネルについて、高いレベルであるが毒性のないレベルの誘導物質を選択した。
フローサイトメトリーを用いて個々の細胞挙動を評価した。誘導なしでは、図7のオレンジ色の集団によって表されるように、すべてのチャネルにおいて蛍光が低い。グルカレートのみによる誘導は、CFP又はRFPの発現なしでGFPを産生することによって個々の細胞の細胞状態を変化させる(図7の薄青色の集団)。この傾向は、赤色チャネルにおいて高い蛍光を示すが、青色チャネル及び緑色チャネルにおいて低い蛍光を示す、暗青色細胞集団を産生するエリスロマイシンによる誘導でも続く。同様に、暗緑色の点は、青色チャネルにおいて高い蛍光性を有するアクリレート誘導細胞を表す。3つすべてのリガンドによる誘導により、3つすべてのチャネルにおいて高い蛍光を示す明緑色の細胞集団が得られる。
原理上は、16の異なる細胞状態を4つの直交誘導系で定義することができ、32の異なる細胞状態を5つの誘導系で定義することができる。これらの場合、異なる蛍光タンパク質には限定があり得るため、出力チャネルが限定的となることがある。例示された2要素の場合ではなく、3つのレベル(なし、中間、及び高い)の誘導が考慮される場合、細胞状態の数は、3つの直交するバイオセンサー系については8から27に、4つの直交するバイオセンサーの理論的な系については16から81に増加する。
実施例9
代謝フラックスモニタリングのためのセンサー
ミオイノシトールからのグルカレートの産生をモニタリングするためにCdaRバイオセンサーを使用した。グルカレートは、ナイロン及び他のプラスチックの再生可能な代替物としてバイオマスから製造することができる(Werpy, T.a.P., G. (2004) In Energy, U. S. D. o. (ed.)を参照)が、これまでのところ、ミオイノシトールをグルクロン酸(glucuronate)に変換するミオイノシトールオキシゲナーゼ(MIOX)の活性によって高力価は制限されている(Moon, T.S., Yoon, S.H., Lanza, A.M., Roy-Mayhew, J.D. and Prather, K.L. (2009) Production of glucaric acid from a synthetic pathway in recombinant Escherichia coli. Applied and environmental microbiology, 75, 589-595を参照)。グルクロン酸は、速効性酵素グルクロン酸デヒドロゲナーゼ(Udh)によって順にグルカレートに酸化される。CdaRバイオセンサー、構成的に発現されるUdh遺伝子、及び5つの構成的に発現されるMIOXオルソログのライブラリーを含むプラスミドを共形質転換することにより、大腸菌においてより高いグルカレート力価を生じる酵素が同定された。4つのMIOX変異体は、16時間後に蛍光で20倍の範囲を産生した(図8を参照)。バイオセンサーの読み取りが酵素のグルカレート産生の可能性を予測するものであったかどうかを調べるために、質量分析法を用いて実際のグルカレート力価を測定した。グルカレート力価は蛍光とよく相関しており(図8参照)、ハイスループット開発及び酵素活性の最適化におけるバイオセンサーの使用を可能にする。ハツカネズミ(Mus musculus)MIOXオルソログは最も高い蛍光及び力価を生じた。ハツカネズミ変異体とわずか45%の同一性しか有さないフラボバクテリウム・ジョンソニエ(Flavobacterium johnsonia)MIOXオルソログから非常に類似したグルカレート力価及びバイオセンサー応答が得られた。
実施例10
フェノールのセンサーとしてのTtgR
フェノールは重要な商品化学物質であり、新規の生産ルートにより経済的及び環境的利益がもたらされ得る。ベンゼンのフェノールへの酵素的変換においていくつかの成功が示されているが(Farinas, E.T., Alcalde, M. and Arnold, F. (2004) Alkene epoxidation catalyzed by cytochrome P450 BM-3 139-3. Tetrahedron, 60, 525-528及びKarich, A., Kluge, M., Ullrich, R. and Hofrichter, M. (2013) Benzene oxygenation and oxidation by the peroxygenase of Agrocybe aegerita. AMB Express, 3, 5を参照)、これらの酵素は低いkcatで機能し、フェノールを望ましくない副生成物であるカテコールに酸化し続ける場合がある。TtgRバイオセンサー株の別個の集団を、0.1%フェノール、0.1%カテコール、及び最大0.4%のベンゼンと共にインキュベートした。図9に示されるように、フェノールのみがセンサーを活性化し、フェノール産生の副産物ではなく、フェノールに対するTtgRの選択的応答を示した。この態様に従い、フェノール産生は、TtgRセンサーを用いて、個々の細胞における蛍光タンパク質又は抗生物質選択マーカーの発現に結びつけられる。
実施例11
3−ヒドロキシプロピオネートの間接的検出
3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HP)は、例えばアクリレートの製造における重要な市販試薬である。ある態様によれば、細胞を遺伝子改変して3−HPを産生することができるが、3−HPの公知の転写センサーは存在しない。本明細書に記載の方法によれば、細胞を遺伝子改変して、3−HPを転写センサーを有するエフェクター分子に変換する。図14は、グルコースからの3−HPへのある生物学的経路及び3−HPを転写因子を有するエフェクター分子に変換するために使用される酵素反応を示す模式図である。
第一の態様によれば、3−HPは2−メチルクエン酸センサーの存在下で2−メチルクエン酸に変換される。得られる系は、3−HPバイオセンサーである。大腸菌由来の転写制御因子prpRを用いて、細胞内の2−メチルクエン酸の濃度に比例した遺伝子発現を制御する。この誘導系は、3HPと異なる化学物質であるプロピオン酸を検出する目的で以前に記載されている(WO 2007005837 A3、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16269719)。クロロフレクサス・アウランティアカス(Chloroflexus aurantiacus)の炭素固定経路由来の内因性酵素である2−メチルクエン酸シンターゼ(prpC)及び異種多機能性酵素プロピオニル−CoAシンターゼ(pcs)(参照によりその全体が本明細書に組み込まれるMattozzi, M., Ziesack, M., Voges, M.J., Silver, P.A. and Way, J.C. (2013) Expression of the sub-pathways of the Chloroflexus aurantiacus 3-hydroxypropionate carbon fixation bicycle in E. coli: Toward horizontal transfer of autotrophic growth. Metab Eng, 16, 130-139参照)は、3−HPから2−メチルクエン酸を産生するために使用される。3つの遺伝子(pcs、prpC、prpR)を共に含む系には、prpRに基づいた3HPバイオセンサーが含まれる(図15A参照)。pcs存在下及び非存在下での、最大25mMの3HP濃度に対するprpRに基づいたバイオセンサーの蛍光応答を評価した(図15Bを参照)。pcsは、3−HPに対する蛍光応答に必要である。応答は3−HP濃度の増加と共に増加し、3HPと2−メチルクエン酸の細胞内濃度が関連していることを示す。この関連により、3−HP濃度は緑色蛍光タンパク質(GFP)の発現が制御される。12mMの3−HPで誘導された場合、prpRに基づいた3−HPバイオセンサーは、非誘導蛍光よりも2.4倍高い蛍光応答を生み出す。3−HP誘導に対するprpRに基づいたバイオセンサーの蛍光応答は、5時間で最大半量であり、90%誘導に達するまでに約8時間を要する(図15Cを参照)。このようにして産生された2−メチルクエン酸の割合は、細胞内の3−HPの量に比例する。したがって、制御された遺伝子の発現は、細胞内3−HP濃度の測定値である。
第二の態様によれば、3−HPは、アクリレートバイオセンサーの存在下でアクリレートに変換される。転写制御因子acuRを使用して、細胞内に存在するアクリレートの量に比例して標的遺伝子の転写を制御する。したがって、アクリレートバイオセンサーは、細胞内3HP濃度をレポートする。多機能酵素pcsの切断型(truncated version)を使用して、3HPをアクリリル−CoAに変換し、アクリリル−CoAは、アシネトバクター・バイリイ(Acinetobacter baylyi)由来のアクリリルCoA加水分解酵素(ach)によってアクリレートに加水分解される(Valle F., A., N.J., Noriega, C. (2013)を参照)。クロロフレクサス・アウランティアカス(Chloroflexus aurantiacus)において、pcsは3つの後続の反応、すなわち、3HPから3HP−CoA、アクリリル−CoA、プロピオニル−CoAへの反応を触媒する(参照によりその全体が本明細書に組み込まれるMattozzi, M., Ziesack, M., Voges, M.J., Silver, P.A. and Way, J.C. (2013) Expression of the sub-pathways of the Chloroflexus aurantiacus 3-hydroxypropionate carbon fixation bicycle in E. coli: Toward horizontal transfer of autotrophic growth. Metab Eng, 16, 130-139を参照)。3つの反応はいずれもprpRに基づいたバイオセンサーにとって有用であるが、acuRに基づくバイオセンサーでは、プロピオニル−CoAよりもアクリリル−CoAの蓄積が必要である。pcsをその機能的ドメインに分離することにより、個々の反応の速度が増加することが示されている(Alber, B.E. and Fuchs, G. (2002) Propionyl-coenzyme A synthase from Chloroflexus aurantiacus, a key enzyme of the 3-hydroxypropionate cycle for autotrophic CO2 fixation. The Journal of biological chemistry, 277, 12137-12143を参照)。したがって、アクリリル−CoAのプロピオニル−CoAへの変換に関与するドメインを、他の2つのドメインの活性を保存しながら除去した。切断型の酵素はpcsΔ3と呼ばれ、ach及びacuRとの同時発現により、acuRに基づいた3HPバイオセンサーが構成される(図16Aを参照)。培地中の3HPの濃度が増加すると、pcsΔ3及びachが存在する場合には蛍光レベルが上昇したが、それらが存在しない場合にはバイオセンサーの活性化をもたらさず(図16B参照)、3−HPがアクリレートに変換されてacuRによって感知されたことが示された。acuRに基づいたバイオセンサーを10mMの3HPで誘導すると、蛍光の90倍の増加が得られた。リアルタイムでバイオセンサーの活性化をモニタリングすることによって、3HP及び標準の活性化因子であるアクリレートの誘導動態を比較した。3HP媒介誘導はアクリレート誘導の時間経過からわずかに遅れたのみであった(図16Cを参照)。蛍光は、pcsΔ3及びachが存在しない場合、16時間以上バックグラウンドレベルで維持された(図17を参照)。
したがって、得られる系は、3HP濃度に比例するレベルでアクリレートを維持し、アクリレート濃度に比例したレベルで転写生産を維持する。よって、転写読取りは、細胞内3HP濃度の尺度である。
図18は、prpRに基づいた3−HPバイオセンサーの3−HP濃度の増加に対する応答を示す。緑色のバーは完全な系が3−HPに応答することを示し、灰色のバーはprpRセンサー単独では3−HPを検出できないことを示す。
図19は、acuRに基づいた3−HPバイオセンサーの3−HP濃度の増加に対する応答を示す。青色のバーは完全な系が3−HPの量の増加に応答することを示し、灰色のバーはacuRセンサー単独では3−HPの存在に反応しないことを示す。
実施例12
蛍光レポーターの産生を誘導するprpRに基づいた3−HPバイオセンサーを用いた代謝産物のリアルタイム観察
3−HP産生は、prpRに基づいた3−HPバイオセンサーを用いてリアルタイムでモニタリングした。図20Aに示されるように、3−HP産生経路は、マロニル−CoAの内因性の生合成及びクロロフレクサス・アウランティアカス(Chloroflexus aurantiacus)の炭素固定経路由来の二機能性酵素マロニル−CoA還元酵素(mcr)からなる。Mcrはマロニル−CoAの変換、すなわち、2分子のNADPH+を消費することで、最初にマロン酸セミアルデヒドへ、次に3HPへの変換を触媒し、マロニル−CoAを脂肪酸生合成から分離する。グルコースから3HPへのこの経路は以前に公開されており、mcr単独の発現で60mg/Lの力価を達成した(Rathnasingh, C., Raj, S.M., Lee, Y., Catherine, C., Ashok, S. and Park, S. (2012) Production of 3-hydroxypropionic acid via malonyl-CoA pathway using recombinant Escherichia coli strains. Journal of biotechnology, 157, 633-640を参照)。力価は、マロニル−CoA及びNADPH+の利用可能性をそれぞれ増大させる、ACC複合体及びpntABの過剰発現により180mg/Lに増加した。3HP産生に利用可能なマロニル−CoAの量は、遺伝的操作よりもむしろ脂肪酸阻害剤セルレニンの使用によって増加した。脂肪酸生合成は、マロニル−CoAの主要なシンク(sink)であり、異種発現させたmcrよりもはるかに速い速度で機能する。セルレニンはfabB及びfabFの活性を阻害するので、セルレニン濃度を増加させると、脂肪酸生合成速度が低下し、利用可能なマロニル−CoAの濃度が高くなる。各3−HPの実施において、バイオセンサーヘルパー酵素であるpcs及びpcsΔ3/achは構成的に発現され、mcrはIPTGの添加により条件的に発現された。
mcrとprpRに基づいた3HPバイオセンサーとの共発現により、HPLC又は質量分析法を必要とせずに3HP産生の観察が容易になる(図20Bを参照)。バイオセンサー及びmcrの両方を含む細胞は、バイオセンサーのみを含有する細胞よりも経時的に高い蛍光を示した。IPTGによる誘導によってmcr活性が増加すると、mcr含有細胞はより高いGFP蓄積速度を示し、最終的により高いレベルの蛍光を達成した。mcrを含まない細胞は、IPTG誘導の影響を受けなかった。prpRに基づいたバイオセンサーを3−HP観察に使用した場合、炭素源としてリッチなLB培地を用いて3−HPが産生された。異化産物抑制に対するprpRの感受性により、3−HP産生のための出発物質としてのグルコースの使用が妨げられた。低レベルのグルコースであっても、prpR転写制御因子は誘導に応答しなくなる。prpRバイオセンサーからのGFPの非誘導発現は、おそらく細胞内の2−メチルクエン酸の基礎レベルに起因して、有意である。それにもかかわらず、エンドポイント蛍光測定により、3HP(mcr+)を産生する能力を有する細胞は、mcrを有さない細胞よりも20%多く蛍光を発することが明らかとなった(図20Cを参照)。誘導された場合、mcr+細胞は50%多く蛍光を発し、1.5mMの外来性3−HPで観察される誘導レベルに近づく。
実施例13
蛍光レポーターの生産を誘導するacuRに基づいた3−HPバイオセンサーを用いた代謝産物のリアルタイム観察
図20Dに示されるように、acuRに基づいた3−HPバイオセンサーを使用して、3−HPの産生をリアルタイムでモニタリングした。acuRバイオセンサーは、異化産物抑制の影響を受けず、グルコースからの3−HPの産生を観察するために使用することができる。Mcrは、acuRに基づいたバイオセンサーと同時発現され、12時間蛍光が観察された。IPTG又はセルレニンなしで、50mMグルコースと共にインキュベートされた細胞は、バックグラウンドレベルから区別できない蛍光を生じた。グルコース及びIPTGと共にインキュベートされた細胞は、蛍光の顕著な増加を示した。IPTG及びセルレニンの両方を使用した場合に、最も著しい蛍光の増加が観察された。グルコース、IPTG、及びセルレニンを用いた3−HPの産生により、他の2つの培養条件のいずれよりも高いGFP発現率及びエンドポイント蛍光値が得られた。エンドポイント測定により、グルコース、IPTG、及びセルレニンと共にインキュベートした場合、mcr−細胞に対して、mcr+細胞の蛍光が8倍増加することが明らかとなる(図20Eを参照)。グルコース及びIPTGとのインキュベーションにより、2倍の増加が得られる。グルコース単独でのインキュベーションでは、mcrを欠く細胞と比較して、わずか20%の蛍光が増加するのみである。
実施例14
蛍光レポーターの産生を誘導するcdaRに基づいたグルカレートバイオセンサーを用いたグルカレートのリアルタイム観察
細胞内のグルカレートの産生をリアルタイムで観察した。図21Aに示されるように、IPTG誘導性ミオイノシトール−1−リン酸シンターゼ(Ino1、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae))、ミオイノシトールオキシゲナーゼ(MIOX、ハツカネズミ(Mus musculus))、及びウロン酸脱水素酵素(Udh、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens))のグルカレート生合成経路と共に、蛍光分子の産生を制御するグルカートバイオセンサーcdaRを含むように、細胞を遺伝子改変した。グルカレートバイオセンサーは、細胞内で産生されたグルカレートの量に比例した蛍光応答を生じた。代表的な例では、同一の生産条件(遺伝的特徴、培地組成)は維持されたが、外来的に添加される前駆体分子は変更された。生合成経路がさらに進んだ(すなわち、より少ない反応によってグルカレートから分離された)化合物により、グルカレート形成速度がより速くなった。図21Bに示されるように、グルカレート自体の添加によりGFP産生の速度が最も速くなり、最終的に蛍光の量が最も高くなった。グルカレートに対する蛍光応答は、生合成経路を有するバイオセンサー株及び有さないバイオセンサー株において観察された。図21Cに示されるように、他の外来的に供給された分子はいずれも、グルカレート生合成経路を欠くバイオセンサー株において蛍光応答をもたらさなかった。バイオセンサー及び生合成経路の両方を含む株では、グルクロン酸を培地に添加すると、蛍光応答がグルカレートに約90分遅れ、最終的にグルカレートの80%であるエンドポイント蛍光が達成された。このことは、グルクロン酸の蛍光応答に60分遅れる、ミオイノシトールの添加による結果とは対照的である。ミオイノシトールの添加によって達成されるエンドポイント蛍光は、グルクロン酸添加のわずか20%である。図21Bに示されるように、50mMグルコースを添加した培地は、実験の期間内に蛍光応答をもたらさなかった。
グルカレートバイオセンサーの蛍光出力は、グルカレート生合成経路の特性を反映する。グルクロン酸からグルカレートへの変換は、グルカレートの生合成における最も速い異種反応であることが知られている。これに対応して、グルクロン酸が出発物質である場合、強力なバイオセンサーの活性化が見られる。ミオイノシトール添加に対する蛍光応答は遅く、大腸菌におけるミオイノシトールのグルクロン酸への触媒反応においてハツカネズミMIOXを使用することに起因する可能性がある。追加のグルコースに対してバイオセンサーが応答しないことは、グルカレート生合成がグルコース−6−リン酸の解糖と競合していることによる可能性がある。有意な量のミオイノシトールを作製するために、実質的なIno1活性が必要とされ得る。低いミオイノシトール産生は、弱いMIOX活性に起因し、最終的にグルカレート力価及びバイオセンサー媒介蛍光が減少することがある。したがって、高グルカレート力価を生じる株を同定するために、グルコース添加に起因する蛍光をスクリーニングしながら、解糖とグルカレート産生とのバランスをとるための内因性代謝の調整方法が提供される。標的化又は非標的化突然変異のライブラリーからMIOXの有用かつ有効な変異体を同定するための同様の方法が提供される。
蛍光応答の動態により産物形成の相対速度が明らかとなるが、エンドポイント蛍光は産物力価の良好な代用となる。前駆体分子の添加の8時間後に観察された蛍光を測定し、同様の条件下で得られたグルカレート力価と比較した。グルカレート産生は、細胞が生合成経路を含む場合には試験されたあらゆる条件において観察されたが、経路を含まない場合には産生は観察されなかった。追加の基質の添加がない場合であっても、リッチなLB培地中でグルカレート形成が観察された。5mMグルコースの添加は8時間以内にグルカレート力価の顕著な増加をもたらさず、観察された蛍光応答の欠如と一致していた。しかし、蛍光応答に反映されるように、ミオイノシトールの添加により、グルカレート力価が上昇した。グルクロン酸の添加により、97%の収率でグルカレートが産生された(LB由来のグルカレートのバックグラウンド産生を差し引いた)。この収率は、グルカレート添加によって達成される高い蛍光を反映している。図22に示されるように、蛍光の関数としての力価をプロットすることで、蛍光が評価された4つの培養条件にわたる力価の良好な予測因子であることが再確認される(R=0.96)。
実施例15
蛍光レポーターの産生を誘導するbenMに基づいたムコン酸バイオセンサーを用いたムコン酸のリアルタイム観察
細胞中のムコン酸の産生をリアルタイムで観察した。細胞は、蛍光分子の産生を制御するムコン酸バイオセンサーbenM及びアシネトバクター・バイリイ(Acinetobacter baylyi)由来のLysR型転写制御因子を含むように遺伝子改変された(参照によりその全体が本明細書に組み込まれるCraven, S.H., Ezezika, O.C., Haddad, S., Hall, R.A., Momany, C. and Neidle, E.L. (2009) Inducer responses of BenM, a LysR-type transcriptional regulator from Acinetobacter baylyi ADP1. Mol Microbiol, 72, 881-894を参照)。この仕組みは、benMが抗生物質耐性遺伝子の発現を制御する、以前に記載されたムコン酸の人為選択に類似している(参照によりその全体が本明細書に組み込まれるRaman, S., Rogers, J.K., Taylor, N.D. and Church, G.M. (2014) Evolution-guided optimization of biosynthetic pathways. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 111, 17803-17808を参照)。リアルタイム観察のための種々のムコン産生速度を達成するために、ムコン酸は、Draths及びFrost(それぞれが、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Niu, W., Draths, K.M. and Frost, J.W. (2002) Benzene-free synthesis of adipic acid. Biotechnology progress, 18, 201-211及びDraths, K.M. and Frost, J.W. (1994) Environmentally Compatible Synthesis of Adipic Acid from D-Glucose. Journal of the American Chemical Society, 116, 399-400を参照)により開発された生合成経路を実施することにより、ある範囲の前駆体分子から産生された。図23Aに示されるように、この経路は、3つの異種酵素を用いて、芳香族アミノ酸生合成の中間体である3−デヒドロシキミ酸(DHS)をシス,シス−ムコン酸に変換する。内因性代謝からの分岐点は、DHS脱水酵素(アシネトバクター・バイリイ、quiC)によって触媒されてプロトカテク酸を生じ、プロトカテク酸は次にプロトカテク酸デカルボキシラーゼ(クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumonia)、aroY)によってカテコールに脱炭酸されて、カテコール1,2−ジオキシゲナーゼ(アシネトバクター・バイリイ、catA)によりムコン酸に酸化される。経路中間体DHS、プロトカテク酸、及びカテコールについて急速な蛍光応答が観察されたが、図23Bに示されるようにムコン酸産生がグルコースから開始した場合には遅い応答が観察された。ムコン酸生合成経路が存在しない場合は、いずれの中間体に対しても蛍光応答は観察されなかった。DHSにより他の経路中間体と同様の速さの応答が生じるという観察により、芳香族アミノ酸生合成との競合が、これらの条件下でムコン酸産生の速度を制限しないことが示唆される。対照的に、グルコースの添加に起因してGFP発現の速度が遅くなることは、使用される遺伝的背景において十分な内因性DHS供給を達成することが制限され得ることを示す。このことは、芳香族アミノ酸生合成における転写レベル及びアロステリックレベルの両方に存在する負のフィードバックと一致する。負のフィードバックは、芳香族アミノ酸の存在下でDHAP(DHSの前駆体、結果としてムコン酸)の産生を調整するように設計されている。ムコン酸生合成のために最適化された株は、産生阻害に欠陥があるaroFのフィードバック耐性突然変異体を過剰発現する。DHSプールを増大させることを目的とする他の遺伝子改変には、aroEのノックアウト、及びaroB及びtktAの過剰発現が含まれる(参照によりその全体が本明細書に組み込まれるNiu, W., Draths, K.M. and Frost, J.W. (2002) Benzene-free synthesis of adipic acid. Biotechnology progress, 18, 201-211を参照)。
エンドポイント蛍光を試験することにより、図23Cに示されるように、達成された最終蛍光は、その時点での上清中で測定されたムコン酸価力価と一致することが示される。後期中間体のエンドポイント蛍光は類似しているが、グルコースについては著しく低い。これは、グルコースからのムコン酸産生がこの初期の時点での検出限界よりも低かったため、力価に反映される。バイオセンサーは、従来の定量方法よりも感度が高い。このことは、細胞内感受性対細胞外感受性に起因し得る。つまり、ムコン酸が細胞から能動的に輸送されない限り、細胞内濃度は上清濃度より前に上昇すると予想される。GFP及びRFPを制御するムコン酸バイオセンサーと共にこの中間バイオセンサーを使用することにより、潜在的に有毒な経路中間体の濃度を最小にし、最終産物の形成を最大にするスクリーニング方法が提供される。
実施例16
実施例11〜16で用いられる方法
実施例11〜16について、以下の方法及び材料を使用した。
化学薬品及び試薬
すべての試薬は、特に明記しない限り、Sigma社から入手した。抗生物質及びIPTGはGold Biotechnology社から入手した。PCR混合物は、Kapa Biosystems社から購入した。3−ヒドロキシプロピオネートは、Tronto Research Chemicals社から購入した。セルレニンはCayman Chemical社から購入し、エタノールに溶解した。アクリル酸は、阻害剤として200ppmのMEHQを用いて室温で保存し、使用直前に希釈した。すべての細胞培養添加物を脱イオン水に溶解して、適切な作業濃度とした。
株及びプラスミド
ギブソン等温アセンブリ法(参照によりその全体が本明細書に組み込まれるGibson, D.G., Young, L., Chuang, R.Y., Venter, J.C., Hutchison, C.A., 3rd and Smith, H.O. (2009) Enzymatic assembly of DNA molecules up to several hundred kilobases. Nat Methods, 6, 343-345を参照)を用いてプラスミドを構築し、New England Biolabs社から購入したDH5αエレクトロコンピテント細胞にクローニングした。産物分子の生合成はBL21(DE3)又はDH5αのいずれかで行った。prpRに基づいた3HPバイオセンサーは、2プラスミド系として実施された。第1のプラスミドは、β−ラクタム耐性を与えるpBR322複製開始点上のメチルクエン酸応答性転写因子prpRの制御下でGFPuvを発現するpPro24−GFP(Addgene社 プラスミド#18880)である。第2のプラスミド(pJKR−PCS)は、酵素プロピオニル−CoAシンターゼが、カナマイシン耐性を与えるColA複製開始点上の構成的プロモーターproDの制御下にあるように構築した。acuRに基づいた3−HPバイオセンサーは、2種のプラスミドから構成されている。第1のプラスミドは、β−ラクタム耐性を与えるpUC複製開始点上のアクリレート応答性転写因子であるacuRの制御下でsfGFPを発現する、以前に特徴付けられている高コピーアクリレートバイオセンサーpJKR−H−acuR(Addgene社 プラスミド#62567)である。第2のプラスミドは、PCSが1400番目のアミノ酸と1401番目のアミノ酸との間で切断されるようなpJKR−PCSに由来する。続いて、アシネトバクター・バイリイ由来の酵素アクリリル−CoA加水分解酵素を、P2構成的プロモーター(その全体が参照により本明細書に組み入れられるMutalik, V.K., Guimaraes, J.C., Cambray, G., Lam, C., Christoffersen, M.J., Mai, Q.A., Tran, A.B., Paull, M., Keasling, J.D., Arkin, A.P. et al. (2013) Precise and reliable gene expression via standard transcription and translation initiation elements. Nat Methods, 10, 354-360を参照)の制御下でプラスミドにクローニングした。得られたプラスミドはpJKR−PCSfrag−ACHとよばれる。pJKR−MCRとよばれる3−HP生合成プラスミドは、クロロフレクサス・アウランティアカス由来のマロニル−CoA還元酵素が、スペクチノマイシン耐性を有するp15a複製開始点上のLacIの制御下でpLlacOプロモーター(Lutz, R. and Bujard, H. (1997) Independent and tight regulation of transcriptional units in Escherichia coli via the LacR/O, the TetR/O and AraC/I1-I2 regulatory elements. Nucleic acids research, 25, 1203-1210を参照)によって発現されるように構築した。グルカレートバイオセンサーは、β−ラクタム耐性を与えるpUC複製開始点上のグルカレート応答性転写因子cdaRの制御下でsfGFPを発現する、以前に特徴付けられているプラスミドpJKR−H−cdaR(Addgene社 プラスミド#62557)である。グルカレート生合成経路は、カナマイシン耐性を与えるp15a複製開始点上のIPTG制御されたT7プロモーターから共シストロン性にMIOX遺伝子、Ino1遺伝子、及びUdh遺伝子を発現する単一のプラスミドpJKR−GA−EXP上に実施された。ハツカネズミ由来のMIOX及びサッカロマイセス・セレビシエ由来のIno1を、大腸菌発現のために最適化されたコドンで合成した。Udhは、アグロバクテリウム・ツメファシエンスのゲノムDNA(ATCC#33970D−5)から得た。ムコン酸バイオセンサーは、スペクチノマイシン耐性を与えるpUCの複製開始点上のムコン酸応答性転写因子benM(アシネトバクター・バイリイ)の制御下に、sfGFPを用いて構築した。BenMはproBプロモーターで構成的に発現された(参照によりその全体が本明細書に組み込まれるDavis, J.H., Rubin, A.J. and Sauer, R.T. (2011) Design, construction and characterization of a set of insulated bacterial promoters. Nucleic acids research, 39, 1131-1141を参照)。発現標準化のためのオプションを提供するために、RFP mKate2は、P11(32)プロモーターから構成的に発現された(参照によりその全体が本明細書に組み込まれるMutalik, V.K., Guimaraes, J.C., Cambray, G., Lam, C., Christoffersen, M.J., Mai, Q.A., Tran, A.B., Paull, M., Keasling, J.D., Arkin, A.P. et al. (2013) Precise and reliable gene expression via standard transcription and translation initiation elements. Nat Methods, 10, 354-360を参照)。得られたプラスミドをpJKR−H−benMとよぶ。ムコン酸生合成経路は、βラクタム耐性を与えるp15a複製開始点上のIPTG誘導性T7プロモーターから共シストロン性に発現される生合成遺伝子のコドン最適化変異体を有する単一プラスミドとして構築した。
3−ヒドロキシプロピオン酸バイオセンサーの特徴付け
プラスミドpPro24−GFP及びプラスミドpJKR−PCS、又はプラスミドpJKR−H−acuR及びプラスミドpJKR−PCSfrag−ACHで二重に形質転換されたDH5α細胞を、3−HP濃度増加に暴露し、GFP発現についてモニタリングした。細胞を一晩飽和まで増殖させた後、新鮮なLB培地に1:100希釈し、200RPM、37℃でインキュベートした。4時間後、150μlの対数期細胞を96ウェルプレートに移し、3HPを適切な最終濃度まで加えた。それぞれの接種及び誘導は3連で実施した。バイオセンサーの活性化が実際にヘルパープラスミドの存在に依存していることを明らかにするために、バイオセンサーヘルパープラスミドを欠く株を含めた。エンドポイント測定の場合、Biotek社のHTプレートリーダー(励起485/20、発光528/20)での3−HP添加の16時間後に蛍光を測定した。高速振盪し10分の測定間隔で、同じプレートリーダー上で、37℃で16時間にわたって、時間経過データを収集した。蛍光を光学濃度で標準化した。誘導倍率は、現在の誘導レベルで得られる蛍光を誘導なしで得られる蛍光で割ることによって決定した。エラーバーは、平均値の標準誤差から算出された95%信頼区間を表す。
3−ヒドロキシプロピオン酸の産生及びモニタリング
prpR及びacuRに基づいた3−HPバイオセンサーのためのプラスミドを含むDH5α細胞をプラスミドpJKR−MCRで形質転換した。これらの産生株を一晩増殖させ、新鮮なLB培地に1:100に逆希釈し、200RPM、37℃でインキュベートした。4時間後、150μlの対数期細胞を96ウェルプレートに移し、3−HP産生条件に暴露した。prpRに基づいたバイオセンサー生産株を、LB中の1mM IPTG及び20μg/mlセルレニンと共に及びこれらなしでインキュベートした。acuRに基づいたバイオセンサー産生株を、50mMのグルコース、並びに1mMのIPTG及び20μg/mlのセルレニンの異なる組み合わせと共にインキュベートした。増殖−標準化蛍光を、上記のようにBiotek社のHTプレートリーダーで観察した。12時間後にエンドポイント測定を行った。3−HP産生力価は、液体クロマトグラフィー及び質量分析(LC/MS)によって決定した。力価測定に使用した株は、産生プラスミドpJKR−MCRのみを含んでいた。一晩培養したものを、96ウェルブロック中、1mM IPTG、20μg/mlセルレニン、及び50mMグルコースが添加された1mLのLBに1:100で接種した。産生は、900RPM、37℃で16時間行った後、上清を単離し、LC/MSのために0.2μmで濾過した。すべての産生は3連で設定した。エラーバーは、平均値の標準誤差から算出された95%信頼区間を表す。
グルカレートの産生及びモニタリング
グルカレート産生のモニタリングは、pJKR−H−cdaR及びpJKR−GA−EXPで二重に形質転換されたBL21細胞で行った。pJKR−H−cdaR単独で形質転換したBL21を対照として用いた。一晩培養したものを、5g/Lのグルコースを添加したDavis培地に1:100に逆希釈した。200RPM、37℃で4時間インキュベートした後、150μlの対数期細胞を96ウェルプレートに移し、記載した経路中間体と共に1mM IPTGに曝露した。経路中間体の添加後の8時間、標準化蛍光が観察された。エンドポイント測定は8時間後に行った。力価測定のためのグルカレート産生を、pJKR−GA−EXPで形質転換したBL21中で行った。一晩培養したものを、1mM IPTG及び特定濃度の経路中間体を添加した1mLのLBに1:100で接種した。96ウェルブロック中で、900RPM、37℃で8時間産生を行い、その後、上清を単離しLC/MSのために0.2μmで濾過した。すべての産生は3連で設定した。エラーバーは、平均値の標準誤差から算出された95%信頼区間を表す。
ムコン酸の産生及びモニタリング
ムコン酸の産生のモニタリングは、pJKR−H−benM及びムコン酸産生プラスミドで二重に形質転換されたBL21細胞で行った。一晩培養したものを一晩増殖させた後、LBに1:100希釈し、200RPM、37℃でインキュベートした。4時間後、150μlの対数期細胞を96ウェルプレートに移し、プレートリーダーでモニタリングした。1時間後、特定濃度の経路中間体を三連で加え、蛍光モニタリングを再開した。エンドポイント測定は、中間体の添加の5時間後に行った。ムコン酸産生プラスミドのみで形質転換した株を用いて産生力価を決定した。一晩培養したものを、特定濃度の経路中間体を添加した1mLのLBに1:100で接種した。900RPM、37℃で5時間、96ウェルブロック中で産生を行った。上清中のムコン酸の量をHPLCにより決定した。すべての産生は3連で設定した。エラーバーは、平均値の標準誤差から算出された95%信頼区間を表す。
Figure 0006942921
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本発明の態様は以下を含む。
付記1
微生物の集団を提供すること、
ここで、前記微生物の集団は、レポーターをコードする外来性DNAを含むように遺伝子改変されており、
前記微生物の集団は、発現すると微生物による前記レポーターの発現を制御するセンサー生体分子をコードする外来性DNAを含むように遺伝子改変されており、
前記微生物の集団は、前記センサーの代謝産物結合パートナーを産生するための遺伝子又は遺伝子群をコードする外来性DNAを含むように遺伝子改変されており、
前記微生物は前記代謝産物結合パートナーを産生し、産生された代謝産物結合パートナーは前記センサーに結合して、産生された代謝産物の濃度に依存した態様で前記レポーターの発現を誘導する;及び
前記レポーターの検出により微生物の集団をスクリーニングして微生物のサブセットを同定すること、
を含む、代謝産物の産生のための微生物のサブセットを選択する方法。
付記2
前記レポーターが蛍光タンパク質である、付記1に記載の方法。
付記3
前記レポーターが、mPlum、mCherry、tdTomato、mStrawberry、J−Red、DsRed−monomer、mOrange、mKO、mCitrine、Venus、YPet、EYFP、Emerald、EGFP、CyPet、mCFPm、Cerulean、T−Sapphire、Firefly(FLuc)、改変Firefly(Ultra−Clo)、Click beetle(CBLuc)、Sea pansy(RLuc)、Copepod crustacean(GLuc)、及びOstracod crustacean(CLuc)からなる群から選択される、付記1に記載の方法。
付記4
前記スクリーニングが、蛍光活性化細胞選別、顕微鏡観察、マイクロタイタープレートアッセイ、エマルジョンアッセイ、マイクロ流体アッセイ、プルダウンアッセイ、又はルシフェラーゼハイスループットスクリーニングによって行われる、付記1に記載の方法。
付記5
前記センサー生体分子及び前記代謝産物結合パートナーが、cdaR/グルカル酸、ttgR/ナリンゲニン、btuBリボスイッチ/コバラミン、mphR/マクロライド、tetR/テトラサイクリン誘導体、benM/ムコン酸、alkS/中鎖n−アルカン、xylR/キシロース、araC/アラビノース、gntR/グルコン酸塩、galS/ガラクトース、trpR/トリプトファン、qacR/ベルベリン、rmrR/フィトアレキシン、cymR/クミン酸、melR/メリビオース、rafR/ラフィノース、nahR/サリチル酸塩、nocR/ノパリン、clcR/クロロ安息香酸、varR/ヴァージニアマイシン、rhaR/ラムノース、PhoR/リン酸塩、MalK/リンゴ酸塩、GlnK/グルタミン、レチノイン酸受容体/レチノイン酸、エストロゲン受容体/エストロゲン、及びエクジソン受容体/エクジソンからなる群から選択されるペアである、付記1に記載の方法。
付記6
前記微生物のサブセットを遺伝子改変して前記代謝産物の産生に直接的又は間接的に影響する遺伝子又は遺伝子群を変化させること、及び、
前記レポーターを検出することによって微生物のサブセットをスクリーニングして微生物のさらなるサブセットを同定すること、
をさらに含む、付記1に記載の方法。
付記7
タンパク質をコードする遺伝子の微生物による発現を制御するセンサー生体分子をコードする外来性DNAを含むように微生物を遺伝子改変すること、及び
前記センサーに対応する代謝産物を産生するための遺伝子又は遺伝子群をコードする外来性DNAを含むように前記微生物を遺伝子改変することを含み、
ここで、前記微生物は前記代謝産物を産生し、産生された代謝産物は前記センサーに結合して、産生された代謝産物の濃度に依存した態様でタンパク質の発現を誘導し、
前記センサーはAcuRであり、前記代謝産物はアクリレートであるか、又は、
前記センサーはttgRであり、前記代謝産物はフェノールである、
代謝産物に対応するセンサー生体分子を含むように微生物を改変する方法。
付記8
前記微生物が、前記タンパク質をコードする外来性DNAを含むように遺伝子改変される、付記7に記載の方法。
付記9
前記タンパク質が蛍光タンパク質である、付記8に記載の方法。
付記10
前記タンパク質が、mPlum、mCherry、tdTomato、mStrawberry、J−Red、DsRed−monomer、mOrange、mKO、mCitrine、Venus、YPet、EYFP、Emerald、EGFP、CyPet、mCFPm、Cerulean、T−Sapphire、Firefly(FLuc)、改変Firefly(Ultra−Clo)、Click beetle(CBLuc)、Sea pansy(RLuc)、Copepod crustacean(GLuc)、及びOstracod crustacean(CLuc)からなる群から選択される、付記8に記載の方法。
付記11
前記タンパク質が毒素に対する解毒剤である、付記8に記載の方法。
付記12
前記タンパク質が、SDSとtolC、コリシンとtolC、カナマイシンとカナマイシンヌクレオチジルトランスフェラーゼ、クロラムフェニコールとクロラムフェニコールアシルトランスフェラーゼ、アンピシリンとβラクタマーゼ、テトラサイクリンとテトラサイクリン排出ポンプtetA、塩化ニッケルとテトラサイクリン排出ポンプtetA、及び5−フルオロオロチン酸とURA3の解毒剤と毒素の組み合わせからなる群から選択される、毒素に対する解毒剤である、付記8に記載の方法。
付記13
微生物であって、
ここで、前記微生物は、タンパク質をコードする遺伝子の前記微生物による発現を制御するセンサー生体分子をコードする外来性DNAを含むように遺伝子改変されており、
前記微生物は、代謝産物を産生するための遺伝子又は遺伝子群をコードする外来性DNAを含むように遺伝子改変されており、
前記微生物は前記代謝産物を産生し、産生された代謝産物は前記センサー生体分子に結合して、産生されたアクリレートの濃度に依存した態様で前記タンパク質の発現を誘導し、
前記センサーはAcuRであり、前記代謝産物はアクリレートであるか、又は
前記センサーはttgRであり、前記代謝産物はフェノールである、微生物。
付記14
前記微生物が、前記タンパク質をコードする外来性DNAを含むように遺伝子改変されている、付記13に記載の微生物。
付記15
前記タンパク質が蛍光タンパク質である、付記14に記載の方法。
付記16
前記タンパク質が、mPlum、mCherry、tdTomato、mStrawberry、J−Red、DsRed−monomer、mOrange、mKO、mCitrine、Venus、YPet、EYFP、Emerald、EGFP、CyPet、mCFPm、Cerulean、T−Sapphire、Firefly(FLuc)、改変Firefly(Ultra−Clo)、Click beetle(CBLuc)、Sea pansy(RLuc)、Copepod crustacean(GLuc)、及びOstracod crustacean(CLuc)からなる群から選択される、付記14に記載の方法。
付記17
前記タンパク質が毒素に対する解毒剤である、付記14に記載の方法。
付記18
前記タンパク質が、SDSとtolC、コリシンとtolC、カナマイシンとカナマイシンヌクレオチジルトランスフェラーゼ、クロラムフェニコールとクロラムフェニコールアシルトランスフェラーゼ、アンピシリンとβラクタマーゼ、テトラサイクリンとテトラサイクリン排出ポンプtetA、塩化ニッケルとテトラサイクリン排出ポンプtetA、及び5−フルオロオロチン酸とURA3の解毒剤と毒素の組み合わせからなる群から選択される、毒素に対する解毒剤である、付記14に記載の方法。
付記19
タンパク質をコードする遺伝子の微生物による発現を制御するprpRセンサー生体分子をコードする外来性DNAを含むように微生物を遺伝子改変すること、
3−ヒドロキシプロピオン酸を産生して3−ヒドロキシプロピオン酸を2−メチルクエン酸に変換するための遺伝子又は遺伝子群をコードする外来性DNAを含むように前記微生物を遺伝子改変することを含み、
ここで、前記微生物は前記2−メチルクエン酸を産生し、産生された2−メチルクエン酸は前記prpRセンサーに結合して、2−メチルクエン酸の濃度に依存した態様でタンパク質の発現を誘導する、
代謝産物に対応するセンサー生体分子を含むように微生物を改変する方法。
付記20
前記微生物が、タンパク質をコードする外来性DNAを含むように遺伝子改変されている、付記19に記載の方法。
付記21
前記タンパク質が蛍光タンパク質である、付記19に記載の方法。
付記22
前記タンパク質が、mPlum、mCherry、tdTomato、mStrawberry、J−Red、DsRed−monomer、mOrange、mKO、mCitrine、Venus、YPet、EYFP、Emerald、EGFP、CyPet、mCFPm、Cerulean、T−Sapphire、Firefly(FLuc)、改変Firefly(Ultra−Clo)、Click beetle(CBLuc)、Sea pansy(RLuc)、Copepod crustacean(GLuc)、及びOstracod crustacean(CLuc)からなる群から選択される、付記19に記載の方法。
付記23
前記タンパク質が毒素に対する解毒剤である、付記19に記載の方法。
付記24
前記タンパク質が、SDSとtolC、コリシンとtolC、カナマイシンとカナマイシンヌクレオチジルトランスフェラーゼ、クロラムフェニコールとクロラムフェニコールアシルトランスフェラーゼ、アンピシリンとβラクタマーゼ、テトラサイクリンとテトラサイクリン排出ポンプtetA、塩化ニッケルとテトラサイクリン排出ポンプtetA、及び5−フルオロオロチン酸とURA3の解毒剤と毒素の組み合わせからなる群から選択される、毒素に対する解毒剤である、付記19に記載の方法。
付記25
微生物であって、
ここで、前記微生物は、タンパク質をコードする遺伝子の前記微生物による発現を制御するprpRセンサー生体分子をコードする外来性DNAを含むように遺伝子改変されており、
前記微生物は、3−ヒドロキシプロピオン酸を産生して3−ヒドロキシプロピオン酸を2−メチルクエン酸に変換するための遺伝子又は遺伝子群をコードする外来性DNAを含むように遺伝子改変されており、
前記微生物は前記2−メチルクエン酸を産生し、産生された2−メチルクエン酸は前記prpRセンサー生体分子に結合して、産生された2−メチルクエン酸の濃度に依存した態様でタンパク質の発現を誘導する、微生物。
付記26
前記微生物が、タンパク質をコードする外来性DNAを含むように遺伝子改変されている、付記25に記載の微生物。
付記27
前記タンパク質が蛍光タンパク質である、付記25に記載の方法。
付記28
前記タンパク質が、mPlum、mCherry、tdTomato、mStrawberry、J−Red、DsRed−monomer、mOrange、mKO、mCitrine、Venus、YPet、EYFP、Emerald、EGFP、CyPet、mCFPm、Cerulean、T−Sapphire、Firefly(FLuc)、改変Firefly(Ultra−Clo)、Click beetle(CBLuc)、Sea pansy(RLuc)、Copepod crustacean(GLuc)、及びOstracod crustacean(CLuc)からなる群から選択される、付記25に記載の方法。
付記29
前記タンパク質が毒素に対する解毒剤である、付記25に記載の方法。
付記30
前記タンパク質が、SDSとtolC、コリシンとtolC、カナマイシンとカナマイシンヌクレオチジルトランスフェラーゼ、クロラムフェニコールとクロラムフェニコールアシルトランスフェラーゼ、アンピシリンとβラクタマーゼ、テトラサイクリンとテトラサイクリン排出ポンプtetA、塩化ニッケルとテトラサイクリン排出ポンプtetA、及び5−フルオロオロチン酸とURA3の解毒剤と毒素の組み合わせからなる群から選択される、毒素に対する解毒剤である、付記25に記載の方法。
付記31
タンパク質をコードする遺伝子の微生物による発現を制御するacuRセンサー生体分子をコードする外来性DNAを含むように微生物を遺伝子改変すること、
3−ヒドロキシプロピオン酸を産生して3−ヒドロキシプロピオン酸をアクリレートに変換するための遺伝子又は遺伝子群をコードする外来性DNAを含むように前記微生物を遺伝子改変することを含み、
ここで、前記微生物は前記アクリレートを産生し、産生されたアクリレートは前記acuRセンサーに結合して、アクリレートの濃度に依存した態様でタンパク質の発現を誘導する、
代謝産物に対応するセンサー生体分子を含むように微生物を改変する方法。
付記32
前記微生物が、タンパク質をコードする外来性DNAを含むように遺伝子改変されている、付記31に記載の方法。
付記33
前記タンパク質が蛍光タンパク質である、付記31に記載の方法。
付記34
前記タンパク質が、mPlum、mCherry、tdTomato、mStrawberry、J−Red、DsRed−monomer、mOrange、mKO、mCitrine、Venus、YPet、EYFP、Emerald、EGFP、CyPet、mCFPm、Cerulean、T−Sapphire、Firefly(FLuc)、改変Firefly(Ultra−Clo)、Click beetle(CBLuc)、Sea pansy(RLuc)、Copepod crustacean(GLuc)、及びOstracod crustacean(CLuc)からなる群から選択される、付記31に記載の方法。
付記35
前記タンパク質が毒素に対する解毒剤である、付記31に記載の方法。
付記36
前記タンパク質が、SDSとtolC、コリシンとtolC、カナマイシンとカナマイシンヌクレオチジルトランスフェラーゼ、クロラムフェニコールとクロラムフェニコールアシルトランスフェラーゼ、アンピシリンとβラクタマーゼ、テトラサイクリンとテトラサイクリン排出ポンプtetA、塩化ニッケルとテトラサイクリン排出ポンプtetA及び5−フルオロオロチン酸とURA3の解毒剤と毒素の組み合わせからなる群から選択される、毒素に対する解毒剤である、付記31に記載の方法。
付記37
微生物であって、
ここで、前記微生物は、タンパク質をコードする遺伝子の前記微生物による発現を制御するacuRセンサー生体分子をコードする外来性DNAを含むように遺伝子改変されており、
前記微生物は、3−ヒドロキシプロピオン酸を産生して3−ヒドロキシプロピオン酸をアクリレートに変換するための遺伝子又は遺伝子群をコードする外来性DNAを含むように遺伝子改変されており、
前記微生物は前記アクリレートを産生し、産生されたアクリレートは前記acuRセンサー生体分子に結合して、産生されたアクリレートの濃度に依存した態様で前記タンパク質の発現を誘導する、微生物。
付記38
前記微生物が、前記タンパク質をコードする外来性DNAを含むように遺伝子改変されている、付記37に記載の微生物。
付記39
前記タンパク質が蛍光タンパク質である、付記37に記載の方法。
付記40
前記タンパク質が、mPlum、mCherry、tdTomato、mStrawberry、J−Red、DsRed−monomer、mOrange、mKO、mCitrine、Venus、YPet、EYFP、Emerald、EGFP、CyPet、mCFPm、Cerulean、T−Sapphire、Firefly(FLuc)、改変Firefly(Ultra−Clo)、Click beetle(CBLuc)、Sea pansy(RLuc)、Copepod crustacean(GLuc)、及びOstracod crustacean(CLuc)からなる群から選択される、付記37に記載の方法。
付記41
前記タンパク質が毒素に対する解毒剤である、付記37に記載の方法。
付記42
前記タンパク質が、SDSとtolC、コリシンとtolC、カナマイシンとカナマイシンヌクレオチジルトランスフェラーゼ、クロラムフェニコールとクロラムフェニコールアシルトランスフェラーゼ、アンピシリンとβラクタマーゼ、テトラサイクリンとテトラサイクリン排出ポンプtetA、塩化ニッケルとテトラサイクリン排出ポンプtetA及び5−フルオロオロチン酸とURA3の解毒剤と毒素の組み合わせからなる群から選択される、毒素に対する解毒剤である、付記37に記載の方法。

Claims (8)

  1. 蛍光タンパク質をコードする遺伝子の微生物による発現を制御する転写因子であるセンサー生体分子をコードする外来性DNAを含むように微生物を遺伝子改変すること、及び
    前記センサー生体分子に対応する代謝産物を産生するための遺伝子又は遺伝子群をコードする外来性DNAを含むように前記微生物を遺伝子改変することを含み、
    ここで、前記微生物は前記代謝産物を産生し、産生された代謝産物は前記センサー生体分子に結合して、産生された代謝産物の濃度に依存した態様で前記蛍光タンパク質の発現を誘導し、
    前記センサー生体分子はttgRであり、前記代謝産物はフェノールである、
    代謝産物に対応し且つ転写因子であるセンサー生体分子を含むように微生物を改変する方法。
  2. 前記蛍光タンパク質が、mPlum、mCherry、tdTomato、mStrawberry、J−Red、DsRed−monomer、mOrange、mKO、mCitrine、Venus、YPet、EYFP、Emerald、EGFP、CyPet、mCFPm、Cerulean、及びT−Sapphireからなる群から選択される、請求項に記載の方法。
  3. 微生物であって、
    ここで、前記微生物は、蛍光タンパク質をコードする遺伝子の前記微生物による発現を制御する転写因子であるセンサー生体分子をコードする外来性DNAを含むように遺伝子改変されており、
    前記微生物は、代謝産物を産生するための遺伝子又は遺伝子群をコードする外来性DNAを含むように遺伝子改変されており、
    前記微生物は前記代謝産物を産生し、産生された代謝産物は前記センサー生体分子に結合して、産生された代謝産物の濃度に依存した態様で前記蛍光タンパク質の発現を誘導し、
    前記センサー生体分子はttgRであり、前記代謝産物はフェノールである、微生物。
  4. 前記蛍光タンパク質が、mPlum、mCherry、tdTomato、mStrawberry、J−Red、DsRed−monomer、mOrange、mKO、mCitrine、Venus、YPet、EYFP、Emerald、EGFP、CyPet、mCFPm、Cerulean、及びT−Sapphireからなる群から選択される、請求項に記載の微生物。
  5. 蛍光タンパク質をコードする遺伝子の微生物による発現を制御するprpRセンサー生体分子をコードする外来性DNAを含むように微生物を遺伝子改変すること、
    3−ヒドロキシプロピオン酸を産生して3−ヒドロキシプロピオン酸を2−メチルクエン酸に変換するための遺伝子又は遺伝子群をコードする外来性DNAを含むように前記微生物を遺伝子改変することを含み、
    ここで、前記微生物は前記2−メチルクエン酸を産生し、産生された2−メチルクエン酸は前記prpRセンサー生体分子に結合して、2−メチルクエン酸の濃度に依存した態様で前記蛍光タンパク質の発現を誘導する、
    代謝産物に対応し且つ転写因子であるセンサー生体分子を含むように微生物を改変する方法。
  6. 前記蛍光タンパク質が、mPlum、mCherry、tdTomato、mStrawberry、J−Red、DsRed−monomer、mOrange、mKO、mCitrine、Venus、YPet、EYFP、Emerald、EGFP、CyPet、mCFPm、Cerulean、及びT−Sapphireからなる群から選択される、請求項に記載の方法。
  7. 微生物であって、
    ここで、前記微生物は、蛍光タンパク質をコードする遺伝子の前記微生物による発現を制御するprpRセンサー生体分子をコードする外来性DNAを含むように遺伝子改変されており、
    前記微生物は、3−ヒドロキシプロピオン酸を産生して3−ヒドロキシプロピオン酸を2−メチルクエン酸に変換するための遺伝子又は遺伝子群をコードする外来性DNAを含むように遺伝子改変されており、
    前記微生物は前記2−メチルクエン酸を産生し、産生された2−メチルクエン酸は前記prpRセンサー生体分子に結合して、産生された2−メチルクエン酸の濃度に依存した態様で前記蛍光タンパク質の発現を誘導する、微生物。
  8. 前記蛍光タンパク質が、mPlum、mCherry、tdTomato、mStrawberry、J−Red、DsRed−monomer、mOrange、mKO、mCitrine、Venus、YPet、EYFP、Emerald、EGFP、CyPet、mCFPm、Cerulean、及びT−Sapphireからなる群から選択される、請求項に記載の微生物。
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