JP6942849B1 - 積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐久性と防塵性を両立した機能性膜を有する積層体及び該機能性膜を形成するための組成物を提供する。【解決手段】算術平均高さSaが10〜50nmであり、最小自己相関長さSalが300〜2000nmであり、水接触角が70〜130°である機能性膜と、基材からなる積層体であって、前記機能性膜が、ケイ素、酸素、炭素、及び、フッ素を含有する積層体。【選択図】なし

Description

本発明は、積層体及びその積層体の機能性膜を形成するための組成物に関する。
コーティング剤は、様々な機能が要求され、家具、インテリア、自動車、住宅建材、交通標識、家電製品や、ディスプレイなどの様々な用途で使用されている。近年、これらの用途において、粉塵等の汚れの付着を防止する持続性のある防塵性が求められている。
特許文献1には、膜内部に空孔を設け、かつ、膜表面に凹凸構造を備えることにより、粉塵付着防止機能による防汚性を付与する発明が記載されている。しかしながら、凹凸構造があるものの、親水性の膜であるため、雨水による洗浄効果が期待できる屋外用途に限られており、防塵性能も十分ではなかった。一方、特許文献2には、形成される表面凹凸によって撥水撥油性を付与することにより、使用する環境によらない防汚性を付与することができるが、プラズマ放電でエッチングを行うため、表面が尖った形状になって強度が弱く、耐久性が低いものであった。
特開2017−226764号公報 特開平6−116430号公報
本発明は、防塵性と耐久性とを両立した機能性膜を有する積層体及び該機能性膜を形成するための組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、塵埃の付着力を低減することについて検討を進めたところ、ケイ素、酸素、炭素、及び、フッ素を含有する機能性膜において、特定の水接触角とするとともに、表面に特定の凹凸を特定の規則性をもって形成させると、塵埃の接地面積を低減させることができ、高い防塵性を長期間持続できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、算術平均高さSaが10〜50nmであり、最小自己相関長さSalが300〜2000nmであり、水接触角が70〜130°である機能性膜と、基材からなる積層体であって、前記機能性膜が、ケイ素、酸素、炭素、及び、フッ素を含有する積層体に関する。
前記機能性膜が、無機粒子と、アルコキシシランの加水分解部分縮合物の硬化物を含むことが好ましい。
前記基材が、プラスチック基材、ガラス基材又は金属基材であることが好ましい。
前記機能性膜が、示差熱分析 DTA測定において、200〜600℃に正のDTAピークを有することが好ましい。
前記機能性膜の膜厚が1μm以下であることが好ましい。
また、本発明は、前記積層体における機能性膜を形成するための組成物に関する。
また、本発明は、フルオロ基を有するアルコキシシランの加水分解部分縮合物と無機粒子を含有する組成物に関する。
さらに、フルオロ基を含まないアルコキシシランの加水分解部分縮合物を含むことが好ましい。
前記フルオロ基を含まないアルコキシシランの加水分解部分縮合物における、分子中のケイ素原子数に対する炭素原子数の比(C/Si比)が0.1〜4であることが好ましい。
前記無機粒子が反応性基を有する無機粒子であることが好ましい。
さらに、密着向上剤を含むことが好ましい。
前記組成物を硬化して得られる機能性膜が、示差熱分析 DTA測定において、200〜600℃に正のDTAピークを有することが好ましい。
前記無機粒子が、示差熱分析 DTA測定において、200〜600℃に正のDTAピークを有する無機粒子であることが好ましい。
さらに、本発明は、前記組成物を含む防塵コーティング用組成物に関する。
本発明の積層体は、ケイ素、酸素、炭素、及び、フッ素を含有する機能性膜において、特定の水接触角をするとともに、表面に特定の算術平均高さSaと最小自己相関長さSa1の凹凸を有しているため、高い防塵性を長期間持続できる。
<<積層体>>
本発明の積層体は、算術平均高さSaが10〜50nmであり、最小自己相関長さSalが300〜2000nmであり、水接触角が70〜130°である機能性膜と、基材からなる積層体であって、前記機能性膜が、ケイ素、酸素、炭素、及び、フッ素を含有することを特徴とする。水接触角を70〜130°にすることによって粉塵を付着しにくくし、特定の凹凸を特定の規則性で設けることによって、接地面積を減らすことができる。本発明では、両者の併用効果によって、積層体を傾けると、粉塵汚れが重力によって転がり落ちる。
<基材>
基材の材質は、プラスチック、ガラス、金属、コンクリート、煉瓦、砂岩、モルタル、セメント等が挙げられる。これらの中でも、汎用性の観点から、プラスチック、ガラス及び金属が好ましい。プラスチックとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリスチレン樹脂、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリサルホン(PSF)樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂等が挙げられる。金属としては、ステンレス、鉄、銅、鋼、特殊鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、銀などが挙げられる。
<機能性膜>
機能性膜の算術平均高さSaは10〜50nmであり、15〜40nmが好ましい。上記範囲内であると、防塵性に優れる。ここで、算術平均高さSaは、表面性状の規格であるISO25178に準拠して測定することができる。
機能性膜の最小自己相関長さSalは300〜2000nmであり、500〜1500nmが好ましい。上記範囲内であると、防塵性に優れる。ここで、最小自己相関長さSalは、表面性状の規格であるISO25178に準拠して測定することができる。Salが小さいと、表面形状は規則的で密になり、逆に大きいと不規則で疎になる。
機能性膜の水接触角は70〜130°であり、90〜120°が好ましい。上記範囲内であると、防塵性に優れる。ここで、水接触角は、液適法によって測定することができる。
機能性膜の膜厚は特に限定されないが、1μm以下が好ましく、0.01〜1μmがより好ましく、0.05〜0.8μm以下がさらに好ましく、0.1〜0.5μmが特に好ましい。上記範囲内であると、十分な防塵性と耐久性が得られ、後述の用途に最適である。
積層体の全光線透過率は特に限定されないが、80%以上が好ましく、85%以上がより好ましい。上記範囲内であると、視認性が求められる用途にも適用できる。
積層体のヘイズ値は特に限定されないが、4%以下が好ましく、3.5%以下がより好ましい。
機能性膜の鉛筆硬度は特に限定されないが、HB以上が好ましく、F以上がより好ましい。HB以上であれば、幅広い用途に適用できる。鉛筆硬度の上限は特に限定されず、9H以下が好ましい。ここで、鉛筆硬度は、JIS−K5600−5−4に準拠して測定することができる。
機能性膜の基材への密着性は、70/100以上が好ましく、100/100以上がより好ましい。ここで、密着性は、JIS K5600の碁盤目剥離試験に準拠して測定することができる。
機能性膜への粉塵の付着率は、5%以下が好ましく、3%以下がより好ましい。ここで、粉塵の付着率は、実施例に記載の手法で測定することができる。
機能性膜は、示差熱分析DTA測定において、200℃〜600℃に正のDTAピークを有することが好ましく、300℃〜600℃に正のDTAピークを有することがより好ましい。ここで、DTAは、示差熱熱重量計で測定することができる。正のDTAピークは、無機粒子表面のシラノール基の脱水縮合反応の際に生じるピークである。
機能性膜は、ケイ素、酸素、炭素、及び、フッ素を含有する。ここで、各元素を含むことは、原料成分や、機能性膜の元素分析により確認することができる。また、各元素の含有量も、原料成分の配合量から算出することができ、機能性膜の元素分析によって求めることもできる。これらの4種の元素の含有量は、ケイ素が20〜50重量%、酸素が30〜60重量%、炭素が5〜25重量%、フッ素が0.1〜20重量%であることが好ましく、ケイ素が25〜35重量%、酸素が40〜55重量%、炭素が10〜20重量%、フッ素が1〜15重量%であることがさらに好ましい。また、該機能性膜は、無機粒子と、アルコキシシランの加水分解部分縮合物の硬化物を含むことが好ましい。
機能性膜は、機能性膜を形成するための組成物を基材に塗布した後、組成物を硬化させることにより、基材上に機能性膜が積層された積層体が得られる。該組成物は、基材の少なくとも一つの面上に、直接塗布してもよいし、プライマー層等を予め基材上に設けた後で、その上に塗布してもよい。プライマー層としては、基材に対する塗布性や、基材と機能性膜との密着性を付与することができれば、特に限定されないが、バインダーを含むことが好ましい。また、架橋剤、触媒、界面活性剤、レベリング剤、顔料、染料等を適宜含むこともできる。
機能性膜を形成するための組成物は、無機粒子とともに、フルオロ基を有するアルコキシシラン又はその加水分解部分縮合物を含むことが好ましく、フルオロ基を有するアルコキシシランの加水分解部分縮合物を含むことがより好ましく、フルオロ基を有するアルコキシシラン又はその加水分解部分縮合物に加えて、さらに、フルオロ基を含まないアルコキシシラン又はその加水分解部分縮合物を含むことがさらにより好ましい。
基材への組成物の塗布は、一般的な方法により行うことができる。硬化条件は特に限定されないが、加熱硬化の場合には70〜1000℃で1〜130分間の条件が挙げられる。露光により硬化する場合には5〜2000mJ/cmの光照射量が挙げられる。
(無機粒子)
無機粒子は、特定の凹凸を形成させる成分である。無機粒子は特に限定されないが、例えば、金属酸化物微粒子、窒化物、2種以上の金属元素から構成される複合酸化物、金属酸化物に異種の元素がドープされた化合物等が挙げられる。金属酸化物微粒子として、具体的には、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化チタン(TiO)、酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化鉄(Fe、FeO、Fe)、酸化銅(CuO、CuO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化イットリウム(Y)、酸化ニオブ(Nb)、酸化モリブデン(MoO)、酸化インジウム(In、InO)、酸化スズ(SnO)、酸化タンタル(Ta)、酸化タングステン(WO、W)、酸化鉛(PbO、PbO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化セリウム(CeO、Ce)、酸化アンチモン(Sb、Sb)、酸化ゲルマニウム(GeO、GeO)等が挙げられる。これらの中でも、防塵性の観点から、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化チタン(TiO)、酸化ケイ素(シリカ)が好ましい。無機粒子は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
無機粒子の粒子径は、特に限定されないが、1〜1000nmが好ましく、10〜100nmがより好ましい。上記範囲内であると、防塵性に優れる。
無機粒子は、反応性の置換基を有することが好ましく、反応性の置換基は有機反応性置換基が含まれていてもよい。有機反応性置換基としては、エポキシ基、メタクリル基、イソシアネート基等が挙げられる。反応性の置換基は、たとえば無機粒子がシリカの場合には、表面に多数の水酸基が存在しているので、水酸基とシランカップリング剤等で反応させることにより、反応性の置換基を導入することができる。
無機粒子は、示差熱分析DTAにおいて、200℃〜600℃ に正のDTAピークを有するものが好ましく、300℃〜600℃がさらに好ましい。上記範囲内であると、機能性膜が耐久性に優れたものとなる。
無機粒子の配合量は、固形分100重量部中、5〜90重量部が好ましく、10〜80重量部がより好ましく、20〜70重量部がさらに好ましい。上記範囲内であると、防塵性と耐久性に優れる傾向にある。
(フルオロ基を有するアルコキシシラン又はその加水分解部分縮合物)
フルオロ基を有するアルコキシシラン又はその加水分解部分縮合物は、撥水性を付与する成分である。
フルオロ基を有するアルコキシシランとしては、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロドデシルトリメトキシシラン等が挙げられる。なかでも、撥水性の点で、パーフルオロオクチルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシランが好ましい。
また、これらのフルオロ基を有するアルコキシシランは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、フルオロ基を有するアルコキシシランを少なくとも1種含んでいれば、フルオロ基を含まないアルコキシシランを併用しても良い。
フルオロ基を有するアルコキシシランの加水分解部分縮合物としては、フルオロ基を有するアルコキシシランを既存の手法で加水分解縮合させることにより得られたものが挙げられる。フルオロ基を有するアルコキシシランとしては、前述した化合物を使用することができる。これらのフルオロ基を有するアルコキシシランは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して加水分解部分縮合してもよい。また、フルオロ基を有するアルコキシシランを少なくとも1種含んでいれば、フルオロ基を含まないアルコキシシランを併用して加水分解部分縮合してもよい。フルオロ基を有するアルコキシシランは、アルコキシ基が親水性、フルオロ基が疎水性を有するため、組成物中でミセルを形成する傾向があるが、加水分解部分縮合物として使用することで、ミセル化が抑制され、フルオロアルキル基を膜表面に配向させやすく、機能性膜の耐久性が向上する傾向にある。
フルオロ基を有するアルコキシシラン又はその加水分解部分縮合物の配合量は、特に限定されないが、固形分100重量%中、0.5〜70重量%が好ましく、1〜60重量%がより好ましく、3〜50重量%がさらに好ましい。上記範囲内であると、防塵性と耐久性を両立した機能性膜が形成できる傾向にある。
(フルオロ基を含まないアルコキシシラン又はその加水分解部分縮合物)
フルオロ基を含まないアルコキシシランの加水分解部分縮合物は、耐久性(耐摩耗性、硬度)を付与する成分であり、経時的に防塵性が低下することを抑制する。フルオロ基を含まないアルコキシシランの加水分解部分縮合物としては、加水分解と縮合反応により加水分解部分縮合物を生成できるものであれば限定されないが、例えば、下記一般式(1)で表されるフルオロ基を含まないアルコキシシランを加水分解と縮合反応して得られるものが挙げられる。
SiR (1)
一般式(1)中、Rは、それぞれ水素、水酸基、アルコキシ基、脂肪族炭化水素基、又は芳香族炭化水素基であり、1以上のRがアルコキシ基である。アルコキシ基、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基は、それぞれ置換基を有してよい。
一般式(1)の4つのRのうち、1つのRがアルコキシ基である場合はモノアルコキシシラン、2つのRがアルコキシ基である場合はジアルコキシシラン、3つのRがアルコキシ基である場合はトリアルコキシシラン、4つのRがアルコキシ基である場合はテトラアルコキシシランであり、これらのいずれであってもよい。また、これらのアルコキシシランは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。トリアルコキシシランまたはテトラアルコキシシランを含有すると分岐構造の加水分解部分縮合物を得ることができ、分岐構造の加水分解部分縮合物は硬化して塗膜としたときの膜密度が高く、強度や耐湿熱性、耐熱性に優れる。ジアルコキシシランを用いることにより、加水分解部分縮合物の分子量を調整できる他、柔軟性が付与できる。モノアルコキシシランを用いることにより、加水分解部分縮合物の分子量を調整できる。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基等のC1−4アルコキシ基が挙げられる。
脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のC1−20アルキル基が挙げられる。芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基や、ベンジル基等のアラルキル基が挙げられる。
脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基が有する置換基としては、(メタ)アクリル基、(メタ)アクリロキシ基、ビニル基、エポキシ基等の架橋性官能基、1級アミノ基、2級アミノ基、チオール基、及びスチリル基等が挙げられる。
フルオロ基を含まないアルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシラン;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メトキシトリメチルシラン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリメトキシシリル)プロパン、ビス(トリエトキシシリル)プロパン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、ビス(トリエトキシシリル)ヘキサン、ビス(トリメトキシシリル)オクタン、ビス(トリエトキシシリル)オクタン、ビス(トリエトキシシリル)エチレン、ビス(トリメトキシシリルメチル)エチレン、1−(トリエトキシシリル)−2−(ジエトキシメチルシリル)エタン等の脂肪族炭化水素基を有するシラン化合物;フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン等の芳香族炭化水素基を有するシラン化合物;ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]アミン、ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等の2級アミノ基を有するシラン化合物;3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノフェニルトリメトキシシラン、3−アミノフェニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン等の1級アミノ基を有するシラン化合物;3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等の(メタ)アクリル基を有するシラン化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシランビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン等のビニル基を有するシラン化合物;β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ基を有するシラン化合物;3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート基を有するシラン化合物;1,3,5−トリス(メチルジメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(メチルジエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(トリメトキシシリルエチル)イソシアヌレート、1,3−(ジ−2−プロペン−1−イル)−5−(3−トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、1−(2−プロペン−1−イル)−3,5−ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3−ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、1−グリシジルメチル−3,5−ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3−ビス(グリシジルメチル)−5−(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、1−グリシジルメチル−3−(2−プロペン−1−イル)−5−(3−トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3−ジメチル−5−(3−トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート等のイソシアヌレート基を有するシラン化合物等が挙げられる。これらの中でも、耐久性、基材適用性の観点から、テトラアルコキシシラン、脂肪族炭化水素基を有するシラン化合物、芳香族炭化水素基を有するシラン化合物が好ましく、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メトキシトリメチルシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランがより好ましい。
フルオロ基を含まないアルコキシシランの加水分解部分縮合物において、分子中のケイ素原子数に対する炭素原子数の比(C/Si比)は0.1〜4が好ましく、0.15〜3.0がより好ましく、0.2〜2.0がさらに好ましい。上記範囲内であると、機能性膜が防塵性、耐久性や基材適用性に優れる傾向がある。ここで、ケイ素原子数と炭素原子数は、それぞれ、原料のアルコキシシランの加水分解物1分子中に含まれるケイ素原子と炭素原子の数である。フルオロ基を含まないアルコキシシランを2種以上併用する場合は、各化合物の分子数をもとに炭素原子の総数とケイ素原子の総数を算出すれば、比を導くことができる。
フルオロ基を含まないアルコキシシランの加水分解部分縮合物は、特に限定されないが、固形分100重量部中、1〜90重量部が好ましく、5〜80重量部がより好ましく、10〜70重量部がさらに好ましい。上記範囲内であると、防塵性と耐久性を両立した機能性膜が形成できる傾向にある。
フルオロ基を有するアルコキシシランの加水分解部分縮合物や、フルオロ基を含まないアルコキシシランの加水分解部分縮合物は、例えばアルコキシシランを酸性条件下で加水分解部分縮合させることにより作製することができる。加水分解部分縮合は、アルコキシシランのアルコキシ基の加水分解による水酸基の形成、及び、形成された水酸基同士の縮合反応により行われる。これらの反応は一段階で行うことができる。加水分解部分縮合物には、アルコキシ基が加水分解した水酸基が一部残存してもよい。
反応時の温度条件は、特に限定されないが、好ましくは25〜200℃、より好ましくは30〜150℃、さらに好ましくは40〜120℃である。時間条件は、特に限定されないが、好ましくは0.1〜72時間、より好ましくは0.1〜48時間、さらに好ましくは0.1〜36時間である。
アルコキシシランの加水分解部分縮合反応においては、アルコキシシランのアルコキシ基の当量数以上の水を添加することが好ましい。水の添加量はアルコキシシランのアルコキシ基100モルに対し、100〜500,000モルが好ましく、500〜100,000モルがより好ましく、1,000〜50,000モルがさらに好ましい。
加水分解部分縮合反応においては、使用するアルコキシシランの反応性に応じて触媒を使用してもよい。触媒としては、酸性触媒が挙げられ、具体的にはギ酸、酢酸、氷酢酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸などの有機酸、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム等のハロゲン化アルミニウム、硝酸アルミニウムなどの無機酸、酸性シリカゲル、酸性シリカゾルが挙げられる。これらの中でも、成膜後に触媒が膜内に残存しない揮発性の酸が好ましく、沸点200℃以下の有機酸がより好ましく、ギ酸、酢酸がさらに好ましい。酸性触媒を使用することで、加水分解部分縮合反応が促進される、加水分解部分縮合物が安定化される、といった効果が得られる。
加水分解部分縮合反応時のpHは、1〜7が好ましく、2〜7がより好ましく、3〜4がさらに好ましい。この範囲とすることにより、所望の加水分解部分縮合物が得られる。
触媒の添加量は、アルコキシシランの量に対し0.0001〜20重量%であることが好ましく、0.0001〜10重量%であることがより好ましい。この範囲とすることにより、加水分解部分縮合反応が速やかに進むうえ、加熱により除去しやすい。
加水分解部分縮合反応は、溶媒を使用せずに行ってもよいが、必要に応じて溶媒を使用してもよい。このような溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類;グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール等のトリオール類;テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、3−メトキシブチル−1−アセテート等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類を挙げることができる。これらの中では、加水分解部分縮合物を効率的に形成できることから、アルコール類、グリコール類、トリオール類等の水溶性有機溶媒が好ましく、アルコール類、グリコール類が特に好ましい。これらの溶媒は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、溶媒は、前述した水との混合液を用いてもよく、混合液として使用する場合、水と水溶性有機溶媒との混合液が好ましく、水とアルコールとの混合液がより好ましい。
溶媒の配合量としては、アルコキシシラン100重量部に対し、1〜50000重量部が好ましく、10〜5000重量部がより好ましく、20〜1000重量部がさらに好ましい。
加水分解部分縮合物が、水や水溶性有機溶媒の中で沈殿を生じない場合には、加水分解部分縮合物が得られたと判断できる。縮合反応が過剰に進行した場合は水溶性が低下し、水や水溶性有機溶媒の中でゲル化や懸濁が発生する。
(密着向上剤)
機能性膜を形成するための組成物は、機能性膜と基材との密着性を向上させる観点から、密着向上剤を含むことが好ましい。
密着向上剤としては、特に限定されないが、例えば、エポキシシラン類、アミノシラン類、アクリルシラン類、ビニルシラン類、スチリルシラン類等のシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤や、アクリロイルイソシアネート、ブロックドイソシアネート等のイソシアネート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。密着向上剤の配合量としては、固形分100重量部中0.1〜40重量部が好ましく、0.5〜30重量部がより好ましく、1〜20重量部がさらに好ましい。上記範囲内であると、機能性膜と基材との密着性に優れる傾向にある。
機能性膜を形成するための組成物には、任意に他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、例えば、エポキシ樹脂やアクリレート、メラミン等の硬化性樹脂、アクリル樹脂やポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂、導電性高分子、炭素材料、重合開始剤、レベリング剤、界面活性剤、光増感剤、消泡剤、中和剤、酸化防止剤、離型剤、紫外線吸収剤、増粘剤、溶媒等が挙げられる。
レベリング剤としては特に限定されず、例えば、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性シロキサン、ポリエーテルエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性アクリル基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性アクリル基含有ポリジメチルシロキサン、パーフルオロポリジメチルシロキサン、パーフルオロポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、パーフルオロポリエステル変性ポリジメチルシロキサン等のシロキサン系化合物;パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノール等のフッ素系化合物;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、プロピレンオキシド重合体、エチレンオキシド重合体などのポリエーテル系化合物;ヤシ油脂肪酸アミン塩、ガムロジン等のカルボン酸;ヒマシ油硫酸エステル類、リン酸エステル、アルキルエーテル硫酸塩、ソルビタン脂肪酸エステル、スルホン酸エステル、コハク酸エステル等のエステル系化合物;アルキルアリールスルホン酸アミン塩、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム等のスルホン酸塩化合物;ラウリルリン酸ナトリウム等のリン酸塩化合物;ヤシ油脂肪酸エタノールアマイド等のアミド化合物;アクリル系化合物等が挙げられる。
レベリング剤の配合量は、組成物の固形分中0.001〜5重量%が好ましく、0.01〜1重量%がより好ましく、0.05〜0.5重量%がさらに好ましい。
溶媒としては、特に限定されないが、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)等のエチレングリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル等のジエチレングリコールジアルキルエーテル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシブチル−1−アセテート等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、アジピン酸ジエチル、マロン酸ジエチル、シュウ酸ジブチル等のエステル類等が挙げられる。これらの中では、エチレングリコールエーテル類、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、ケトン類及びエステル類が好ましく、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート及びメチルアミルケトンがより好ましい。これらの溶媒は、単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
組成物の固形分率は、特に限定されないが、0.1〜10重量%が好ましく、1〜8重量%がより好ましく、3〜5重量%がさらに好ましい。上記範囲内であると、液安定性が良くなる傾向がある。
本発明の積層体は、基材上に、高い耐久性と防塵性を有する機能性膜を有するため、自動車、住宅建材、家具、インテリア、家電製品、交通標識、医療用器具、看板、シャッター、等において耐久性と防塵性が求められる部分の用途に好適に適用できる。
<<組成物>>
本発明の組成物は、フルオロ基を有するアルコキシシランの加水分解部分縮合物と、無機粒子とを含有することを特徴とする。さらに、フルオロ基を含まないアルコキシシラン又はその加水分解部分縮合物を含むことが好ましい。フルオロ基を有するアルコキシシラン又はその加水分解部分縮合物、無機粒子、フルオロ基を含まないアルコキシシラン又はその加水分解部分縮合物については、前述した通りである。該組成物は、高い防塵性を長期間持続できるため、防塵コーティング用として好適に適用できる。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。以下、「部」又は「%」は特記ない限り、それぞれ「重量部」又は「重量%」を意味する。
以下に、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
(1)アルコキシシラン及びその加水分解部分縮合物
テトラエトキシシラン(TEOS)(多摩化学工業株式会社製)
メチルトリエトキシシラン(MTES)(東レ・ダウ株式会社製、OFS−6383)
フェニルトリエトキシシラン(PTES)(東京化成工業株式会社製)
ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン(HDFDTMOS)(東京化成工業株式会社製)
(2)無機粒子
無機粒子1(日産化学株式会社製、ST−O、粒子径:12nm、反応性基:シラノール基、DTAピーク600℃以上)
無機粒子2(合成例7にて製造)
無機粒子3(合成例8にて製造)
(3)密着向上剤
ブロックイソシアネート(旭化成ケミカルズ株式会社製、WM44−L70G)
(4)溶媒
エタノール(AP−7)(日本アルコール販売株式会社製)
純水(PW)
(5)基材
プラスチックフィルム(東レ株式会社製、ルミラー)
ガラス白板(太佑機材株式会社製)
金属アルミ板(太佑機材株式会社製、A−1050P)
実施例で作製した積層体は以下の方法で評価した。
<膜厚>
触針式表面形状測定器(アルバック株式会社製、DEKTAK)により膜厚を測定した。
<算術平均高さ(Sa)と最小自己相関長さ(Sal)>
ISO25178に準拠し、形状解析レーザー顕微鏡(キーエンス株式会社製、VK−X1000)で測定した。
<透過率(Tt)>
スガ試験機株式会社製ヘイズメーターHZ−2を用いて測定した。
<ヘイズ(Haze)>
スガ試験機株式会社製ヘイズメーターHZ−2を用いて測定した。
<水接触角>
液滴法に準拠し、協和界面化学株式会社製、DM−501Hiを用いて測定した。
<付着率>
関東ローム(JIS Z 8901、試験用粉体1の8種)を機能性膜に振りかけ、90°に立てかけて除去した後に、写真撮影した。撮影した写真を画像ソフトで処理し、残存粉塵の全領域に対する割合を算出し、付着率とした。
<鉛筆硬度>
JIS−K5600−5−4の試験法に準じて、安田精機製作所社製鉛筆引っかき硬度試験機を用いて測定した。
<密着性>
JIS K5600の碁盤目剥離試験により、基材と塗膜との密着性を測定した。
<耐擦傷性>
学振形染色摩擦堅ろう度試験機(株式会社安田精機製作所製、平面型)にて機能性膜の耐擦傷性試験を行い、試験後の水接触角と付着率を測定した。学振形染色摩擦堅ろう度試験機の摩擦子には、不織布(旭化成株式会社製、ベンコット)を取り付け、500gの荷重を加えながら10往復擦ることにより試験を行った、試験後の積層体について、前述の方法で、水接触角と、付着率を測定した。
<DTA測定>
示差熱熱重量計(セイコーインスツルメンツ社製、TG/DTA6200)を用いて示差熱分析DTA測定を行った。測定条件は、空気雰囲気下、昇温速度10℃/分、40℃〜600℃の温度範囲である。実施例、比較例の機能性膜のDTA測定については、機能性膜をスパチュラ等で掻き取り、得られた粉末を測定に供した。無機粒子のDTA測定については、減圧乾燥機にて乾燥後、測定に供した。
(合成例1〜5)
室温で、500mLセパラブルフラスコに、水と酢酸とエタノールと、表1に記載の重量比でTEOS、MTES、及びPTESを仕込み、60℃まで昇温後、36時間熟成させ、アルコキシシランの加水分解部分縮合物を得た。酢酸の配合量は、pH3〜4となる量とし、水とエタノールの配合量は、水をエタノールの重量比を50:50とし、反応液の固形分濃度が15%となる量とした。
(合成例6)
TEOS、MTES、及びPTESの代わりに、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン(HDFDTMOS)を使用した他は、上述した手法にて、フルオロ基を含むオリゴシロキサンを合成した。
(合成例7)
500mLセパラブルフラスコに、水35mLと28重量%アンモニア水10mLとエタノール120mLを仕込み、45℃まで昇温後、TEOS15gとエタノール20mLの混合液を30分かけて滴下し、20分間攪拌した。次に、減圧留去して、アンモニアを除去することにより、シリカゾル液を得た。このシリカゾル液に、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウ株式会社製、OFS−6040)1gを添加して、24時間攪拌することにより、無機粒子2を得た。粒子径は、マイクロトラック・ベル株式会社製Micro trac Nanotrac Wave UT151を用いて、動的光散乱法により測定した。DTAピークは、先述の手法で測定した(粒子径:100nm、反応性基:シラノール基、DTAピーク340℃)
(合成例8)
500mLセパラブルフラスコに、水35mLと28重量%アンモニア水10mLとエタノール120mLを仕込み、40℃まで昇温後、TEOS15gとエタノール20mLの混合液を30分かけて滴下し、20分間攪拌した。次に、減圧留去して、アンモニアを除去することにより、シリカゾル液を得た。このシリカゾル液に、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウ株式会社製、OFS−6040)1gを添加して、24時間攪拌することにより、無機粒子3を得た。粒子径は、マイクロトラック・ベル株式会社製Micro trac Nanotrac Wave UT151を用いて、動的光散乱法により測定した。DTAピークは、先述の手法で測定した(粒子径:130nm、反応性基:シラノール基、DTAピーク330℃)
Figure 0006942849
(実施例1〜21及び比較例1〜4)
合成例で作製したアルコキシシランの加水分解部分縮合物とともに、無機粒子等の各成分を、表1に記載の固形分比で配合し、水:エタノール=30:70(重量比)の溶液にて、表2〜4記載の固形分に希釈することにより樹脂組成物を作製した。なお、これらの組成物はpH3〜4であった。この組成物を表2に記載の基材上に、バーコーターにより塗布した。表2〜4に記載の温度、時間で硬化させ、積層体を得た。機能性膜の各物性を評価した。その結果を表2〜4に示す。
Figure 0006942849
Figure 0006942849
Figure 0006942849

Claims (6)

  1. 算術平均高さSaが10〜50nmであり、最小自己相関長さSalが300〜2000nmであり、水接触角が70〜130°である単一層の機能性膜と、基材からなる積層体であって、
    前記機能性膜が、ケイ素、酸素、炭素、及び、フッ素を含有する積層体。
  2. 前記機能性膜が、無機粒子と、アルコキシシランの加水分解部分縮合物の硬化物を含む請求項1に記載の積層体。
  3. 前記基材が、プラスチック基材、ガラス基材又は金属基材である請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 前記機能性膜が、示差熱分析DTA測定において、200〜600℃に正のDTAピークを有する請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
  5. 前記機能性膜の膜厚が1μm以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の積層体。
  6. 前記機能性膜は、フルオロ基を有するアルコキシシラン又はその加水分解部分縮合物と、フルオロ基を含まないアルコキシシラン又はその加水分解部分縮合物との縮合物の硬化物を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の積層体。
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