JP6942582B2 - ジオポリマー成型体の製造方法、および、ジオポリマー成型体製造システム - Google Patents
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Description
[A]ジオポリマー成型体の製造方法
図1は、第1実施形態において、ジオポリマー成型体の製造方法を示すフロー図である。
混合工程ST10においては、ジオポリマーの原料として、少なくとも固化材とアルカリ刺激剤とを混合することによって、混合物を得る。
固化材は、たとえば、アルミニウム(Al)およびケイ素(Si)を含むアルミナシリカである。アルミナシリカは、たとえば、メタカオリン、高炉スラグ、焼却灰、飛灰(フライアッシュを含む)、ゼオライト、モルデナイト、シリカフューム、非晶質の二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムである。ここでは、飛灰は、フライアッシュを含む。フライアッシュは、微粉砕した石炭を燃焼した後に捕集された飛灰であり、製品として管理されるものである。
アルカリ刺激剤は、たとえば、アルカリ性の水酸化物、アルカリ性のケイ酸塩である。アルカリ性の水酸化物は、たとえば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムである。アルカリ性のケイ酸塩は、たとえば、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸ルビジウム、ケイ酸セシウムである。ケイ酸塩としては、オルトケイ酸塩、メタケイ酸塩など、さまざまな形態のものを用いることができる。また、上記と共に、アルミン酸塩をアルカリ刺激剤として添加してもよい。
上記の他に、水を浄化するために用いられた放射性核種吸着剤などの放射性廃棄物を被固化物としてジオポリマーの原料に混合してもよい。また、他の粉砕可能な固体の廃棄物を被固化物としてジオポリマーの原料に混合してもよい。
上記した各原料は、たとえば、容器に投入された後、撹拌機を用いて混合される。その結果、混合工程ST10では、混合物が得られる。
つぎに、図1に示すように、混合工程ST10の実行後には、圧縮工程ST20を行う。
図示を省略しているが、圧縮工程ST20の実行後には、必要に応じて、養生工程と乾燥工程とを実行してもよい。
図2は、第1実施形態において、ジオポリマー成型体製造システムを模式的に示すブロック図である。
混合部10は、たとえば、容器11と撹拌機12とを含み、上記した混合工程ST10を実行する。つまり、混合部10では、ジオポリマーの原料として、固化材とアルカリ刺激剤とを混合することによって、混合物を得る。
圧縮成型部20は、たとえば、型枠21と加圧機22と加熱機23とを含み、上記した圧縮工程ST20を実行する。つまり、混合部10で得た混合物を圧縮して成型することによって、ジオポリマー成型体を形成する。本実施形態の圧縮成型部20においては、混合物を圧縮する際に、その混合物を加熱する。
なお、図示を省略しているが、ジオポリマー成型体製造システムは、上記した養生工程を行う養生部と、上記した乾燥工程を行う乾燥部とを備えていてもよい。養生部は、たとえば、養生室の温湿度を調節する空調機を備えている。乾燥部は、たとえば、乾燥室の温湿度を調節する空調機を備えている。
以上のように、本実施形態では、固化材とアルカリ刺激剤との混合物を圧縮して成型する際に、加熱機を用いて混合物を加熱する。本実施形態においては、アルカリ刺激剤が水和物を含む。このため、本実施形態では、上述したように、圧縮成型時の加熱によって水和物から結晶水(水和水)が脱離し、その脱離で生じた水分が反応場として機能する。つまり、本実施形態では、圧縮時の加熱によって水和物から結晶水(水和水)が脱離する前は、固化材とアルカリ刺激剤との間の反応が進行しにくい。したがって、本実施形態では、混合工程ST10において、固化材とアルカリ刺激剤の混合可能な時間を長くすることができる。
[A]ジオポリマー成型体の製造方法
本実施形態では、第1実施形態の場合と同様に、混合工程ST10と圧縮工程ST20とを順次行うことによって、ジオポリマー成型体を作製する。しかし、本実施形態の混合工程ST10では、第1実施形態の場合と異なり、発熱物質を更に混合することによって混合物を得る。発熱物質は、鉄、亜鉛、アルミニウム、ニッケル、ズズから選択される金属材料で形成された金属粉であって、酸化反応によって発熱する。このため、本実施形態の圧縮工程ST20では、第1実施形態の場合と異なり、発熱物質の発熱によって混合物が加熱される。つまり、混合物は、型枠21の内部において、発熱物質により生じた熱で加熱される。
以上のように、本実施形態では、混合工程ST10において発熱物質を更に混合することによって混合物を得るので、圧縮工程ST20においては発熱物質の発熱によって混合物が加熱される。したがって、本実施形態では、第1実施形態の場合と同様に、固化材とアルカリ刺激剤とを混合可能な時間を長くすることができる。また、本実施形態においては、第1実施形態の場合と同様に、固化体を作製する際に必要なエネルギーが少なく、かつ、固化体を作製する際に要する時間を短くすることができる。
(実施例1−1)
実施例1−1では、表1に示すように、下記に示すジオポリマーの原料を混合する混合工程ST10を行うことによって、混合物を得た。
・アルカリ刺激剤:メタケイ酸ナトリウム九水和物・・・34g
実施例1−2では、表1に示すように、圧縮工程ST20において、圧縮時間が30minである点を除き、実施例1−1の場合と同様な条件で、ジオポリマー成型体の作製を行った。
実施例1−3では、表1に示すように、圧縮工程ST20において、混合物の中心温度が85℃である点を除き、実施例1−1の場合と同様な条件で、ジオポリマー成型体の作製を行った。
実施例2では、表1に示すように、混合工程ST10では、実施例1−1の場合と異なり、発熱物質として10gの鉄粉を添加した。また、実施例2では、圧縮工程ST20において外部からの加熱を行なわず、発熱物質の発熱によって混合物の加熱を行った。つまり、内部からの加熱を行った。これらの点を除き、実施例2では、実施例1−1の場合と同様な条件で、ジオポリマー成型体の作製を行った。
比較例1では、表1に示すように、圧縮工程ST20を実行する際には、実施例1−1の場合と異なり、混合物の加熱を実行しなかった。そして、圧縮工程ST20の実行後には、実施例1−1の場合と異なり、養生工程ST30を行った。養生工程ST30では、表1に示す養生条件で養生を実行することによって、ジオポリマー成型体を作製した。
実施例2は、表1に示すように、圧縮工程ST20において、混合物の中心温度が30℃である点を除き、実施例1−1の場合と同様な条件で、ジオポリマー成型体の作製を行った。
上記のように作製した各例のサンプルについて、表1に示すように、一軸圧縮強度、固化体平均高さ、および、固化体平均直径の計測を行った。これと共に、各例のサンプルについて、水和物のピーク有無の確認を行った。
一軸圧縮強度の計測は、以下のように実行した。まず、径が3cmである円筒状の供試体を試験機に装填した。そして試験機において、供試体に圧力を加え、供試体が破壊したときの圧力値を測定した。そして、その測定した圧力値を単位面積当たりに換算することで、一軸圧縮強度を算出した。
固化体平均高さ、固化体平均直径、および、密度の計測は、以下のように実行した。固化体平均高さ、固化体平均直径は、ノギスを用いて固化体の高さと直径を、2点以上、測定して平均値として求めた。また、密度は、重量計の測定値と、平均高さ及び平均直径から算出した体積から算出した。
水和物のピーク有無の確認は、X線構造解析の結果を用いて行った。X線構造解析は、各例のサンプルを粉砕した粉砕物に関してX線回折法で実行した。水和物のピーク有無は、各例について求めたX線回折スペクトルにおいて、入射ビームの入射角(回折角度2θ)が31°付近である部分に水和物に起因するピークが有るか否かに応じて判断した。ここでは、参考のために、固化材、アルカリ刺激剤、および、固化材とアルカリ刺激剤との混合物のそれぞれに関しても、X線構造解析を実行した。
上記のように行った各例の試験結果について順次説明する。
表1に示すように、一軸圧縮強度は、実施例1−1、実施例1−2、実施例1−3、および、実施例2の方が、比較例1および比較例2よりも、十分に大きい。つまり、圧縮工程ST20において混合物の圧縮が行われる際に水和物から結晶水が脱離するように混合物を加熱し、固化材とアルカリ刺激剤との間の反応を進行させることによって、養生工程を実行しなくても、一軸圧縮強度が十分に大きいジオポリマー成型体を作製することができる。
表1に示すように、水和物のピークは、比較例2の場合に存在していたが、他の各例では、存在していなかった。この結果から、比較例2の場合においては、アルカリ刺激剤である水和物が残存しているので、固化材とアルカリ刺激剤との間の反応が十分に進行していないことが判る。これに対して、他の各例においては、アルカリ刺激剤である水和物が残存していないので、固化材とアルカリ刺激剤との間の反応が十分に進行していることが判る。その結果、実施例1−1、実施例1−2、実施例1−3、および、実施例2の方が、比較例1および比較例2よりも、一軸圧縮強度が十分に大きくなったと考えられる。
Claims (2)
- 固化材とアルカリ刺激剤とを混合することによって混合物を得る混合工程と、
前記混合物を圧縮して成型することによってジオポリマー成型体を形成する圧縮工程と
を有し、
前記アルカリ刺激剤は、ケイ酸塩またはアルミン酸塩の水和物を含み、
前記混合工程においては、酸化反応によって発熱する、鉄、亜鉛、アルミニウム、ニッケル、ズズから選択される金属材料で形成された発熱物質が前記混合物に添加され、
前記圧縮工程において前記混合物の圧縮が行われる際には、前記水和物から結晶水が脱離するように前記発熱物質の発熱によって前記アルカリ刺激剤である前記水和物が融解する温度以上に前記混合物が加熱され、前記固化材と前記アルカリ刺激剤との間の反応が進行する、
ジオポリマー成型体の製造方法。 - 前記アルカリ刺激剤は、融点が50℃以上100℃以下である、
請求項1に記載のジオポリマー成型体の製造方法。
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