JP6942471B2 - 半割スラスト軸受 - Google Patents

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本発明は、内燃機関のクランク軸の軸線方向力を受けるスラスト軸受に関するものである。
内燃機関のクランク軸は、そのジャーナル部において、一対の半割軸受を円筒形状に組み合わせて構成される主軸受を介して、内燃機関のシリンダブロック下部に回転自在に支承される。
一対の半割軸受のうちの一方又は両方が、クランク軸の軸線方向力を受ける半割スラスト軸受と組み合わせて用いられる。半割スラスト軸受は、半割軸受の軸線方向端面の一方又は両方に配設される。
半割スラスト軸受は、クランク軸に生じる軸線方向力を受ける。すなわち、クラッチによってクランク軸と変速機とが接続される際等に、クランク軸に対して入力される軸線方向力を支承することを目的として配置される。
半割スラスト軸受の周方向両端近傍の摺動面側には、周方向端面へ向かって軸受部材の厚さが薄くなるようにスラストリリーフが形成される。一般にスラストリリーフは、半割スラスト軸受の周方向端面から摺動面までの長さや周方向端面での深さが、径方向の位置によらずに一定になるように形成される。スラストリリーフは、半割スラスト軸受を分割型軸受ハウジング内に組み付ける際の一対の半割スラスト軸受の端面同士の位置ずれを吸収するために形成される(特許文献1の図10参照)。
また従来、内燃機関の運転時のクランク軸の撓み変形を考慮して、半割スラスト軸受の摺動面の少なくとも外径側に曲面形状のクラウニング面を設け、それにより半割スラスト軸受の摺動面のクランク軸との局所的な接触応力を低減することも提案されている(特許文献2)。
さらに、半割スラスト軸受の摺動面に、半割スラスト軸受の周方向端部から、頂部(半割スラスト軸受の周方向中央における外径端)の高さの略半分まで延びる傾斜面(スラストリリーフ)を形成し、それにより摺動面に対する傾斜面の傾斜角度を小さくすることも提案されている(特許文献3参照)。
特開平11−201145号公報 特開2013−19517号公報 特開2013−238277号公報
近年、内燃機関の軽量化のためにクランク軸の軸径が小径化され、従来のクランク軸よりも低剛性となっており、内燃機関の運転時にクランク軸に撓みが発生しやすく、クランク軸の振動が大きくなる傾向にある。このためクランク軸のスラストカラー面は半割スラスト軸受の摺動面に対して傾斜しながら摺接し、且つその傾斜方向はクランク軸の回転に伴い変化する。したがって半割スラスト軸受の周方向両端部付近の摺動面とクランク軸のスラストカラー面とが直接接触し、損傷(疲労)が起きやすくなっている。
また、一対の半割軸受からなる主軸受の軸線方向の各端部に一対の半割スラスト軸受が組み付けられる場合、分割型軸受ハウジング内に組み付けた際の一対の半割スラスト軸受の端面同士の位置がずれていると、一方の半割スラスト軸受の摺動面とクランク軸のスラストカラー面との間の隙間が、他方の半割スラスト軸受とクランク軸のスラストカラー面との間の隙間よりも大きくなる。あるいは、主軸受の軸線方向の各端部に1つの半割スラスト軸受だけが組み付けられる場合、この半割スラスト軸受が配置されない分割型軸受ハウジングの側面とクランク軸のスラストカラー面との間に大きな隙間が形成される。このような隙間が形成された状態で内燃機関の運転がなされクランク軸の撓みが発生すると、クランク軸のスラストカラー面は形成された隙間側へさらに傾斜する。
このような隙間側へ大きく傾斜した状態でクランク軸が回転すると、半割スラスト軸受の周方向両端面を含む面内での半割スラスト軸受の摺動面に対するスラストカラー面の傾斜がより大きくなる。さらに、このスラストカラー面の傾斜は、半割スラスト軸受の周方向両端面を含む面内において、(a)半割スラスト軸受のクランク軸の回転方向後方側の周方向端部付近の摺動面とスラストカラー面とが接触し、クランク軸の回転方向前方側の周方向端部付近の摺動面とスラストカラー面とが離間した傾斜状態と、(b)半割スラスト軸受のクランク軸の回転方向前方側の周方向端部付近の摺動面とスラストカラー面とが接触し、クランク軸の回転方向後方側の周方向端部付近の摺動面とスラストカラー面とが離間した傾斜状態とを、クランク軸の回転に伴って繰り返す。半割スラスト軸受は、その周方向両端部付近の摺動面のみが常時クランク軸のスラストカラー面と直接接触するので、損傷(疲労)が起きやすい。
上述のクランク軸の撓みによるスラストカラー面の隙間側への傾斜が大きく、したがって半割スラスト軸受の周方向両端面を含む面内でのスラストカラー面の傾斜が大きい場合、特許文献2や特許文献3に記載される技術を採用しても、半割スラスト軸受の周方向両端部付近の摺動面のみが常時クランク軸のスラストカラー面と接触するのを防止するのは困難であった。
したがって本発明の目的は、内燃機関の運転時に、損傷(疲労)が生じにくい半割スラスト軸受を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明の1つの観点によれば、内燃機関のクランク軸の軸線方向力を受けるための半円環形状の半割スラスト軸受であって、軸線方向力を受けるための摺動面と、摺動面の反対側の背面とを有し、且つ軸線方向に垂直な基準面を背面側に画定している半割スラスト軸受において、
前記摺動面は、前記半割スラスト軸受の周方向中央部を境界とする2つの平面からなり、
基準面から摺動面までの軸線方向距離が、半割スラスト軸受のいずれの径方向位置においても、半割スラスト軸受の周方向中央部で最大で、半割スラスト軸受の周方向両端部へ向かって小さくなっており、
各周方向端面から周方向中央部に向かって円周角度40°〜50°の位置に、半割スラスト軸受の径方向内側端部と径方向外側端部との間で前記軸線方向距離が一定であるただ1つの等厚部が形成され、
この等厚部より周方向端部側の半割スラスト軸受の領域では、軸線方向距離は径方向内側端部で最大で、径方向外側端部へ向かって小さくなっており、また
等厚部より周方向中央部側の半割スラスト軸受の領域では、軸線方向距離は径方向内側端部で最小で、径方向外側端部へ向かって大きくなっている
ことを特徴とする半割スラスト軸受が提供される。
ここで、軸線方向距離は、半割スラスト軸受の周方向両端面を含む面と平行ないずれの断面内においても、半割スラスト軸受の外周側で最小であり、周方向中央部側へ向かって大きくなっている。
半割スラスト軸受の背面は平坦であり且つ基準面内に位置していてもよい。
半割スラスト軸受の周方向端面に垂直な方向から半割スラスト軸受を見たとき、摺動面が、周方向中央部で最も突出した凸形状の輪郭を有していてもよい。この摺動面の輪郭は、曲線から構成されることができる。
また周方向中央部の径方向外側端部における半割スラスト軸受の最大軸線方向距離と、周方向両端部の径方向外側端部における軸線方向距離との差が、50〜800μmであってもよい。
摺動面を構成する2つの平面は、周方向中央部に延びる半割スラスト軸受の中心線に関して線対称であってもよい。
1つの等厚部は、各周方向端面から周方向中央部に向かって円周角度45°の位置に形成されていてもよい。
ここで、クランク軸は、ジャーナル部とクランクピン部とクランクアーム部とを有する部材である。また半割スラスト軸受は、円環を略半分に分割した形状の部材であるが、厳密に半分であることを意図するものではない。
上記構成を有する本発明の半割スラスト軸受によれば、内燃機関の運転時のクランク軸の撓みに起因して半割スラスト軸受の摺動面に対するスランク軸のスラストカラー面の傾斜角度が大きくなった場合でも、摺動面とスラストカラー面との接触位置がクランク軸の回転に伴って周方向に順次移動するので、半割スラスト軸受の周方向両端部付近の摺動面のみが常時クランク軸のスラストカラー面と接触することが防止され、半割スラスト軸受の摺動面の損傷が起きにくい。
また、本発明のスラスト軸受は、径方向にわたって軸線方向距離が一定である等厚部の位置よりも周方向中央部側の領域では、軸線方向距離は径方向内側端部で最小で、外側端部に向かって大きくなっている。このため、内燃機関の運転時にクランク軸の撓みによりスラストカラー面が隙間側へ大きく傾斜したときでも、半割スラスト軸受の周方向中央部側の領域の摺動面は、径方向の全長にわたってスラストカラー面と接触してクランク軸の軸線方向負荷fを支えるので、損傷が起き難い。
これに対し、従来の半割スラスト軸受は、周方向中央部付近の摺動面は軸線方向距離が径方向にわたって一定であるように形成されているため、クランク軸の撓みによりスラストカラー面が隙間側へ大きく傾斜すると、周方向中央部付近の領域では径方向内側端部側の摺動面のみがスラストカラー面と接触し、損傷が起こる場合がある。
軸受装置の分解斜視図である。 実施例1の半割スラスト軸受の正面図である。 図2の半割スラスト軸受のY1矢視側面図である。 図2の半割スラスト軸受のY2矢視側面図である。 図2の半割スラスト軸受のA1−A1断面図である。 図2の半割スラスト軸受のA2−A2断面図である。 図2の半割スラスト軸受のA3−A3断面図である。 半割軸受及びスラスト軸受の正面図である。 軸受装置の断面図である。 図8の上側の半割軸受の正面図である。 図10の半割軸受を径方向の内側から見た底面図である。 運転中のスラストカラー面と一対の半割スラスト軸受の接触状態を示す断面図である。 周方向両端面側から見た運転中のスラストカラー面の摺動面に対する傾斜の変化を示す図である。 周方向両端面側から見た運転中のスラストカラー面の摺動面に対する傾斜を示す図である。 周方向両端面側から見た運転中のスラストカラー面の摺動面に対する傾斜を示す図である。 周方向両端面側から見た運転中のスラストカラー面の摺動面に対する傾斜を示す図である。 周方向両端面側から見た運転中のスラストカラー面の摺動面に対する傾斜を示す図である。 図13Aに対応する、摺動面を正面側から見た摺動面とスラストカラー面の接触位置を示す図である。 図13Bに対応する、摺動面を正面側から見た摺動面とスラストカラー面の接触位置を示す図である。 図13Cに対応する、摺動面を正面側から見た摺動面とスラストカラー面の接触位置を示す図である。 図13Dに対応する、摺動面を正面側から見た摺動面とスラストカラー面の接触位置を示す図である。 図13Eに対応する、摺動面を正面側から見た摺動面とスラストカラー面の接触位置を示す図である。 本発明の他の形態の半割スラスト軸受の正面図である。 図15の半割スラスト軸受の周方向端部付近の側面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(軸受装置の全体構成)
まず、図1、8及び9を用いて本発明の半割スラスト軸受8を有する軸受装置1の全体構成を説明する。図1、8及び9に示すように、シリンダブロック2の下部に軸受キャップ3を取り付けて構成された軸受ハウジング4には、両側面間を貫通する円形孔である軸受孔(保持孔)5が形成されており、側面における軸受孔5の周縁には円環状凹部である受座6、6が形成されている。軸受孔5には、クランク軸のジャーナル部11を回転自在に支承する半割軸受7、7が円筒状に組み合わされて嵌合される。受座6、6には、クランク軸のスラストカラー面12を介して軸線方向力f(図9参照)を受ける半割スラスト軸受8、8が円環状に組み合わされて嵌合される。
図8に示すように、主軸受を構成する半割軸受7のうち、シリンダブロック2側(上側)の半割軸受7の内周面には潤滑油溝71が形成され、また潤滑油溝71内には外周面に貫通する貫通孔72が形成されている(図10及び11も参照)。潤滑油溝71は、上下両方の半割軸受に形成することもできる。半割軸受7はまた、周方向両端面74に隣接する摺動面75上にクラッシュリリーフ73を有する。
(半割スラスト軸受の構成)
次に、図2〜7を用いて実施例1の半割スラスト軸受8の構成について説明する。本実施例の半割スラスト軸受8は、鋼製の裏金層に薄い軸受合金層を接着したバイメタルによって、半円環形状の平板に形成される。半割スラスト軸受8は軸線方向を向いた摺動面81(軸受面)を備え、摺動面8は軸受合金層から構成される。摺動面81は、半割スラスト軸受8の周方向中央部85を境界とする2つの平面から構成される。これら2つの平面は、好ましくは、半割スラスト軸受8の周方向中央部85を通して延びる中心線(境界)に関して線対称である。また摺動面81には、潤滑油の保油性を高めるために、周方向両端面83、83の間に2つの油溝81a、81aが形成されている。
半割スラスト軸受8は軸線方向に垂直な基準面84を画定しており、この基準面84内に、シリンダブロック2の受座6に配置されるように適合された実質的に平坦な背面84aを有する(図3参照)。さらに、半割スラスト軸受8は、基準面84(背面84a)から軸線方向に離れた摺動面81を有し、摺動面81は、クランク軸のスラストカラー面12を介して軸線方向力f(図9参照)を受けるように適合されている。半割スラスト軸受8は、基準面84から摺動面81までの軸線方向距離が、半割スラスト軸受8のいずれの径方向位置においても、半割スラスト軸受8の周方向中央部85で最大で、半割スラスト軸受の周方向両端部へ向かって小さくなるように形成される。したがって、例えば半割スラスト軸受8の径方向中央位置(図2の一点鎖線位置)においても、基準面84から摺動面81までの軸線方向距離は周方向中央部85で最大(TC)で、周方向両端部86で最小(TE)となることが理解されよう。
本実施例において、基準面84(背面84a)から摺動面81までの軸線方向距離は、半割スラスト軸受8の軸受壁厚Tに一致する。
本実施例において、各周方向端面83と周方向中央部85との間には、径方向外側端部と径方向内側端部との間で軸受壁厚が一定である等厚部M(図5参照)がただ1つ形成されている。より具体的には、等厚部Mは、半割スラスト軸受8の各周方向端面83から周方向中央部85へ向かって円周角度45°の位置に配置され、この等厚部Mより周方向端面83側の領域XEでは、軸受壁厚が径方向内側端部(厚さTI)で最大で、径方向外側端部(厚さTO)へ向かって小さくなっており(図6参照)、一方、等厚部Mより周方向中央部85側の領域XCでは、軸受壁厚が径方向内側端部(厚さTI)で最小で、径方向外側端部(厚さTO)へ向かって大きくなっている(図7参照)。
上記構成による摺動面81(2つの平面)は、換言すると、半割スラスト軸受8の周方向中央部の径方向外側端部から周方向両端部の径方向外側端部へ向かって軸受壁厚が減少するように背面83に対して傾斜した平面からなる。したがって軸受壁厚は、等厚部Mよりも周方向中央部85側の領域XC及び等厚部Mよりも周方向両端面83側の領域XEのいずれでも、周方向両端面83を含む面と平行な任意の断面内で、半割スラスト軸受8の外周側で最小であり、周方向中央部85側へ向かって大きくなっていることが、図4からも理解されよう。
なお、摺動面81の油溝81aが形成された部分では、背面84aから、油溝81aを形成しなかった場合の仮想摺動面(摺動面81の延長面)までの軸方向距離が上記関係を満たすように半割スラスト軸受8が形成される。
また、等厚部Mの配置位置は、半割スラスト軸受8の各周方向端面83から周方向中央部85へ向かって円周角度45°の位置に限定されないで、各周方向端面83から周方向中央部85へ向かって円周角度40°〜50°の範囲内に一つの等厚部Mが配置されるようにすればよい。
上述したように半割スラスト軸受8の周方向両端部における軸受壁厚TEは、周方向中央部における軸受壁厚TCに対して小さく形成される(図3参照)。したがって半割スラスト軸受8の周方向両端面を含む面に垂直な方向から見て、半割スラスト軸受8の摺動面81は、周方向中央部85が最も突出した凸形状の輪郭を有している(図3参照)。より具体的には、乗用車用等の小型内燃機関のクランク軸(直径が30〜100mm程度のジャーナル部を有する)に使用する場合、半割スラスト軸受8の周方向中央部85の径方向外側端部における軸受壁厚と、周方向両端部の径方向外側端部における軸受壁厚の差は、例えば50〜800μmであり、より好適には200〜400μmである。しかし、これらの寸法は一例に過ぎず、軸受壁厚の差はこの寸法範囲に限定されない。
(作用)
次に、図8、9及び12を用いて、従来の半割スラスト軸受8の作用を説明する。
一般に、半割軸受7は半割スラスト軸受8と同心に、且つ主軸受を構成する半割軸受7の周方向両端面74を含む平面が、半割スラスト軸受8の周方向両端面83を含む平面と実質的に一致するように配置される。
内燃機関の運転時、特にクランク軸が高速回転する運転条件では、クランク軸に撓み(軸線方向の撓み)が発生してクランク軸の振動が大きくなる。この大きな振動により、クランク軸には半割スラスト軸受8の摺動面81へ向かう軸線方向力fが周期的に発生する。半割スラスト軸受8の摺動面81は、この軸線方向力fを受ける。
一対の半割軸受7、7からなる主軸受の軸線方向の各端部に一対の半割スラスト軸受8、8が組み付けられる場合、分割型軸受ハウジング4に組み付けた際に一対の半割スラスト軸受8、8の端面83、83同士の位置が軸線方向にずれていると、一方の半割スラスト軸受8の摺動面81とクランク軸のスラストカラー面12との間の隙間が、他方の半割スラスト軸受8の摺動面81とスラストカラー面12との間の隙間よりも大きくなる(図12参照)。あるいは、主軸受の軸線方向の各端部に1つの半割スラスト軸受8だけが組み付けられる場合、半割スラスト軸受8が配置されないほうの分割型軸受ハウジング4の側面とクランク軸のスラストカラー面12との間に大きな隙間が形成される。このような隙間が形成された状態で内燃機関が運転されクランク軸の撓みが発生すると、クランク軸のスラストカラー面12は大きな隙間側へさらに傾斜する。このような隙間側へ大きく傾斜した状態でクランク軸が回転すると、半割スラスト軸受8の周方向両端面83を含む面内での半割スラスト軸受8に対するスラストカラー面12の傾斜がより大きくなり、また半割スラスト軸受8の周方向両端部付近の摺動面81のみが常時クランク軸のスラストカラー面12と直接接触するので、上述した通り損傷(疲労)が起きやすくなる。
より詳細には、周方向両端面83を含む面に垂直な方向から半割スラスト軸受8を見たとき、クランク軸のスラストカラー面12は、(1)半割スラスト軸受8のクランク軸の回転方向後方側の周方向端部側に傾斜している状態から、半割スラスト軸受8の摺動面81と平行になるまでの間は、半割スラスト軸受8のクランク軸の回転方向の後側の周方向端部付近の摺動面81とのみ接触し、また(2)摺動面81と平行になった直後から、半割スラスト軸受8のクランク軸の回転方向前方側の周方向端面側に傾斜している間は、半割スラスト軸受8のクランク軸の回転方向前方側の周方向端部付近の摺動面81とのみ接する。
ここで、特許文献2に記載されるように半割スラスト軸受の摺動面の外径側に曲面から構成されるクラウニング面を設けたとしても、基準面84から摺動面81までの軸線方向距離がいずれの径方向位置においても周方向中央部で最大となるように半割スラスト軸受8が形成されていない場合、換言すれば、周方向両端面83を含む面に垂直な方向から半割スラスト軸受8を見たときに半割スラスト軸受8の摺動面81の輪郭が周方向中央部で最も突出した凸形状でない場合(例えば、周方向両端面83を含む面に垂直な方向から半割スラスト軸受8を見たときに摺動面81の輪郭が一直線である場合)、上記理由により、特に半割スラスト軸受8の周方向端部付近の摺動面81とクランク軸のスラストカラー面12とが直接接触し、損傷が起きやすい。
あるいは、特許文献3に記載されるように半割スラスト軸受の摺動面に、半割スラスト軸受の周方向端部から、頂部まで高さの略半分まで延びる傾斜面(スラストリリーフ)を形成し、それにより摺動面に対する傾斜面の傾斜角度を小さくしたとしても、半割スラスト軸受8の周方向両端面83を含む面に垂直な方向から見たときに半割スラスト軸受8の摺動面81の輪郭が周方向中央部で最も突出した凸形状でない場合、やはり上記理由により、特に半割スラスト軸受の周方向端部付近の摺動面81(傾斜面)とクランク軸のスラストカラー面12とが直接接触し、損傷が起きやすい。
さらに、特許文献3に記載される半割スラスト軸受では、傾斜面の軸受壁厚が、半割スラスト軸受の周方向端部を除いて、スラスト軸受の径方向内側端部より径方向外側端部のほうが大きくなるため、半割スラスト軸受の周方向端部付近の特に外径側の摺動面(傾斜面)とクランク軸のスラストカラー面12とが直接接触し、より損傷が起きやすい。
(効果)
次に、図13A〜14Eを用いて本実施例の半割スラスト軸受8の効果を説明する。
図13A〜Eは、半割スラスト軸受8の周方向両端面83を含む面に垂直な方向から半割スラスト軸受8を見たときの(すなわち周方向両端面83を含む面内における)摺動面81に対するスラストカラー面12の運転中の傾斜の変化を順に示し、図14A〜Eは、半割スラスト軸受8の摺動面81を正面側から見たときの、図13A〜Eに対応する摺動面81とスラストカラー面12の接触位置の変化を示す。図14A〜Eの破線円は、半割スラスト軸受8の摺動面81とスラストカラー面12の接触部(接触により負荷を最も受ける摺動面の位置)を示す。例えば図13B及びこれに対応する図14Bから、摺動面81とスラストカラー面12の接触部が図14Aに示される周方向端部付近から離れた後も、図14Cに示される周方向中央部へ到達するまでは、スラストカラー面12は、周方向両端面83を含む面内で摺動面81に対して傾斜していることが理解されよう。
本実施例の半割スラスト軸受8は、背面84a(基準面84)から摺動面81までの軸線方向距離Tが、半割スラスト軸受8のいずれの径方向位置においても周方向中央部85で最大で、周方向両端部へ向かって小さくなっている。また、各周方向端面83と周方向中央部85との間には、径方向外側端部と径方向内側端部との間で軸線方向距離が一定である等厚部Mがただ1つ形成され、この等厚部Mは、半割スラスト軸受8の各周方向端部から周方向中央部へ向かって円周角度45°の位置に配置される。軸線方向距離は、等厚部Mより周方向端部側の領域XEでは径方向内側端部(厚さTI)で最大で、径方向外側端部(厚さTO)へ向かって小さくなっており、また等厚部Mよりも周方向中央部側の領域XCでは径方向内側端部(厚さTI)で最小で、径方向外側端部(厚さTO)へ向かって大きくなっている。
この構成により、軸線方向距離は、周方向両端面83を含む面と平行な任意の断面内で、半割スラスト軸受8の外周側で最小であり、周方向中央部85側へ向かって大きくなっていることが理解されよう。
これにより、図13A〜Eに示すように半割スラスト軸受8の背面84aに対するスラストカラー面12の傾斜変化が生じても、図13A〜14Eに示すように摺動面81とスラストカラー面12との接触位置が、半割スラスト軸受8のクランク軸の回転方向後方側の周方向端部(図13A及び14A)からクランク軸の回転方向前方側の周方向端部(図13E及び14E)へ、クランク軸の回転に伴って周方向に順次移動する。このため本実施例の半割スラスト軸受8では、周方向両端部付近の摺動面81のみが常時クランク軸のスラストカラー面12と直接接触し、損傷(疲労)することが防止される。
また本実施例の半割スラスト軸受8は、上記のように等厚部Mよりも周方向端面83側の領域XEにおいて軸線方向距離Tが半割スラスト軸受8の径方向内側端部で最大で、径方向外側端部へ向かって小さくなるように形成され(図6参照)、したがって半割スラスト軸受の周方向両端面を含む面内において内燃機関の運転時に発生するクランク軸の撓みによりスランク軸のスラストカラー面12が半割スラスト軸受の摺動面に傾斜した場合でも、半割スラスト軸受8の周方向両端部付近の摺動面81の外径側の領域がスラストカラー面12と強く接触することが防止される。
さらに、本実施例のスラスト軸受8は、径方向で軸線方向距離が一定である等厚部Mの位置よりも周方向中央部側の領域XCにおいて、軸線方向距離が径方向内側端部で最小で、径方向外側端部に向かって大きくなるように形成される(図7参照)。このため、内燃機関の運転時に発生するクランク軸の撓みによりスラストカラー面12が隙間側へ大きく傾斜した場合(図12参照)でも、半割スラスト軸受8の周方向中央部の領域の摺動面は、径方向の全長にわたってスラストカラー面と接触し、クランク軸の軸線方向負荷fを支えるので、損傷が起き難い。
以上、図面を参照して、本発明の実施例を詳述してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更が本発明に含まれることを理解すべきである。
例えば実施例では、半割軸受と半割スラスト軸受が分離しているタイプの軸受装置1について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、半割軸受と半割スラスト軸受が一体化したタイプの軸受装置1にも適用できる。
また図15に示すように、位置決め及び回転止めのために、径方向外側に突出する突出部88を備えた半割スラスト軸受108に本発明を適用することもできる。なお、突出部88は、上述した軸線方向距離Tの構成を満足していなくてもよい。また図15及び16に示すように半割スラスト軸受の摺動面81の周方向両端部付近にスラストリリーフ82を設けてもよい。さらに、図16に示すように半割スラスト軸受108の摺動面81と反対側の背面84aの周方向両端部にテーパーを設けて、背面リリーフ87を形成することもできる。なお、スラストリリーフ82や背面リリーフ87を設けた場合、上述した半割スラスト軸受の周方向両端部における径方向外側端部の軸受壁厚TEは、スラストリリーフ82や背面リリーフ87を設けなかった場合の仮想の摺動面81(摺動面81を周方向両端部まで延長した面)と仮想の背面84a(背面84aを周方向両端部まで延長した面)と間の軸線方向距離で定義される。
また図15及び16に示すように、半割スラスト軸受108の周方向長さは、実施例1に示す通常の半割スラスト軸受8の周方向端面の位置HRから所定の長さS1だけ短く形成されてもよい。さらに、半割スラスト軸受108は、周方向両端部近傍において内周面を半径Rの円弧状に切り欠かれてもよい。その場合、半割スラスト軸受の周方向端部における軸受壁厚Tは、長さS1や切り欠きを形成しなかった場合の半割スラスト軸受の周方向端部での軸受壁厚によって表すことができる。
また、半割スラスト軸受の摺動面の径方向外側の縁部及び/又は径方向内側の縁部に、周方向に沿って面取りを形成するもこともできる。その場合、半割スラスト軸受の径方向内側端部での軸受壁厚TI及び径方向外側端部での軸受壁厚TOは、面取りを形成しなかった場合の半割スラスト軸受の径方向内側端部及び外径側端部での軸受壁厚によって表すことができる。
上記実施例は2つの油溝181aを摺動面に形成した半割スラスト軸受に関するが、本発明はこれに限定されず、半割スラスト軸受は1つ又は3つ以上の油溝を有していてもよい。あるいは油溝181aは、図15に示すように円周角度45°の位置に等厚部Mと対応するように形成してもよい。
摺動面81は、半割スラスト軸受8の周方向中央部85を境界とする2つの平面から構成されるが、2つの平面の境界部に形成される角部は、滑らかな曲面状にすることもできる。
また上記実施例は、軸受装置に半割スラスト軸受を4つ使用する場合について説明しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくとも1つの本発明による半割スラスト軸受を使用することで所望の効果を得ることができる。また軸受装置において、本発明の半割スラスト軸受は、クランク軸を回転自在に支承する半割軸受の軸線方向の一方又は両方の端面に一体に形成されてもよい。
1 軸受装置
11 ジャーナル部
12 スラストカラー面
2 シリンダブロック
3 軸受キャップ
4 軸受ハウジング
5 軸受孔(保持孔)
6 受座
7 半割軸受
71 潤滑油溝
72 貫通孔
73 クラッシュリリーフ
74 周方向両端面
75 摺動面
8 半割スラスト軸受
81 摺動面
81a 油溝
82 スラストリリーフ
83 周方向両端面
84 基準面
84a 背面
85 周方向中央部
86 周方向両端部
87 背面リリーフ
88 突出部
108 半割スラスト軸受
181a 油溝
f 軸線方向力
T 軸受壁厚
M 等厚部
XC 中央部側領域
XE 端部側領域

Claims (6)

  1. 内燃機関のクランク軸の軸線方向力を受けるための半円環形状の半割スラスト軸受であって、前記軸線方向力を受けるための摺動面と、前記摺動面の反対側の背面とを有し、且つ軸線方向に垂直な基準面を前記背面側に画定している半割スラスト軸受において、
    前記摺動面は、前記半割スラスト軸受の周方向中央部を境界とする2つの平面からなり、
    前記基準面から前記摺動面までの軸線方向距離が、前記半割スラスト軸受のいずれの径方向位置においても前記半割スラスト軸受の周方向中央部で最大で、前記半割スラスト軸受の周方向両端部へ向かって小さくなっており、
    前記各周方向端面から前記周方向中央部に向かって円周角度40°〜50°の位置に、前記半割スラスト軸受の径方向内側端部と径方向外側端部との間で前記軸線方向距離が一定であるただ1つの等厚部が形成され、
    前記等厚部より前記周方向端部側の前記半割スラスト軸受の領域では、前記軸線方向距離は前記径方向内側端部で最大で、前記径方向外側端部へ向かって小さくなっており、また
    前記等厚部より前記周方向中央部側の前記半割スラスト軸受の領域では、前記軸線方向距離は前記径方向内側端部で最小で、前記径方向外側端部へ向かって大きくなっている
    ことを特徴とする半割スラスト軸受。
  2. 前記背面が平坦であり、且つ前記基準面内に位置している、請求項1に記載の半割スラスト軸受。
  3. 前記半割スラスト軸受の前記周方向端面に垂直な方向から前記半割スラスト軸受を見たとき、前記半割スラスト軸受の前記摺動面が、前記周方向中央部で最も突出した凸形状の輪郭を有している、請求項1又は2に記載の半割スラスト軸受。
  4. 前記周方向中央部の径方向外側端部における前記半割スラスト軸受の最大軸線方向距離と、前記周方向両端部の径方向外側端部における軸線方向距離との差が50〜800μmである、請求項1から3までのいずれか一項に記載の半割スラスト軸受。
  5. 前記2つの平面は、前記周方向中央部に延びる前記半割スラスト軸受の中心線に関して線対称である、請求項1から4までのいずれか一項に記載の半割スラスト軸受。
  6. 前記1つの等厚部が、前記各周方向端面から前記周方向中央部に向かって円周角度45°の位置に形成されている、請求項1から5までのいずれか一項に記載の半割スラスト軸受。
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