JP6941962B2 - エネルギーマネジメント装置、エネルギーマネジメントシステム、エネルギーマネジメント方法、及びプログラム - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、車両が要求する推進エネルギー、走行する経路の特性(勾配、消費電力量等)に応じて、車両の蓄電手段に貯えられた電力を使用してモータを駆動させるか、エンジンの回転エネルギー及び回生エネルギーを蓄電手段に貯えるかを制御することにより、エネルギー効率を向上させるシステムが開示されている。
原動機は、所定の運転時間を超過すると、高額な費用を要するオーバーホールが必要となる。しかしながら、従来のシステムでは、原動機のオーバーホール回数を減少させることは考慮されていない。このため、複数の原動機を有する船舶では、エネルギー効率のみを考慮すると、燃料効率がよい特定の原動機の運転時間が長くなり、当該原動機のオーバーホール間隔が短くなってしまう場合がある。この結果、当該原動機のオーバーホールの頻度が増加して、船舶のライフコストサイクルが上昇してしまう可能性がある。
本発明の一態様によれば、エネルギーマネジメント装置は、推進部に駆動力を与える主機及び推進電動機と、前記推進電動機に電力を供給する複数の主発電機とを備える船舶において、前記主機、前記推進電動機、及び複数の前記主発電機のうち運転させる機器の組み合わせを示す運転パターンを提案するエネルギーマネジメント装置であって、前記船舶の運転に関する状態情報を取得する情報取得部と、前記状態情報に基づいて、前記運転パターン別に予測される予測燃料消費量を計算する燃料消費計算部と、前記予測燃料消費量と、前記主機及び前記主発電機の運転時間とに基づいて、複数の前記運転パターンのうち少なくとも一つの運転パターンを選択する候補選択部と、を備える。
このように、エネルギーマネジメント装置は、予測燃料消費量のみならず、主機及び主発電機の運転時間の大小に基づいて運転パターンを選択するので、主機及び主発電機の運転時間の偏りを抑制することができる。したがって、エネルギーマネジメント装置は、主機及び主発電機の燃料消費量を低減するとともに、主機及び主発電機のうち一部の機器の運転時間のみが長くなり、当該一部の機器のオーバーホール間隔が短くなってしまうことを抑制する運転パターンを提案可能である。
このようにすることで、エネルギーマネジメント装置は、主機及び主発電機のうち一部の機器における運転時間のみが大きくなることを抑制して、主機及び主発電機の運転時間を平準化することができる運転パターンを提案可能である。このような運転パターンを採用することにより、船舶の主機及び主発電機それぞれのオーバーホール間隔が短くなってしまうことを抑制することができる。また、運転時間を平準化させることにより、主機及び主発電機それぞれのオーバーホールの頻度を低減させることができるので、船舶のライフサイクルコストを低減させることが可能である。
このようにすることで、エネルギーマネジメント装置は、負荷に供給される電力を削減して、更に燃料消費量を抑えた運転パターンを提案することができる。
このようにすることで、エネルギーマネジメント装置は、どの負荷への電力供給を遮断すれば、燃料消費量が小さい運転パターンに変更可能であるか提案することができる。
以下、本発明の第1の実施形態に係るエネルギーマネジメントシステム1について、図1〜図5を参照しながら説明する。
図1は、第1の実施形態に係るエネルギーマネジメントシステムの概略を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係るエネルギーマネジメントシステム1は、監視制御盤100と、推進プラント20と、電源プラント30と、船内負荷40と、複数のセンサ50と、エネルギーマネジメント装置10と、を備えている。
図1に示すように、推進プラント20は、左舷及び右舷に一つずつ設けられたプロペラP1及びP2(推進部)と、主機GT1及びGT2と、推進電動機M1及びM2と、減速機RG1及びRG2とを備えている。なお、以降の説明において、プロペラP1及びP2、主機GT1及びGT2、推進電動機M1及びM2、減速機RG1及びRG2をそれぞれ「プロペラP」、「主機GT」、「推進電動機M」、「減速機RG」とも称する。
推進プラント20は、主機GT及び推進電動機Mから与えられる駆動力によってプロペラPを回転させることにより、船舶に推力を与える。即ち、主機GT及び推進電動機Mは、推進プラント20におけるプロペラPの動力源である。
図1に示すように、電源プラント30は、複数の主発電機G(G1〜G4)を備えている。本実施形態では、電源プラント30は、四台の主発電機G1〜G4を備えている。また、二台の主発電機G1及びG2はディーゼルエンジン(ディーゼル主発電機)であり、二台の主発電機G2及びG3はガスタービン(ガスタービン主発電機)である。以降の説明において、主発電機G1〜G4を総称して「主発電機G」とも称する。
なお、電源プラント30は複数の主発電機を備えていればよく、他の実施形態では、例えば主発電機は四台より少なくても多くてもよい。また、複数の主発電機は、異なる数のディーゼル主発電機及びガスタービン主発電機の組み合わせにより構成されていてもよいし、ディーゼル主発電機またはガスタービン主発電機のみで構成されていてもよい。
また、図1に示すように、主発電機G1〜G4のそれぞれは、切替器31を介して推進プラント20の推進電動機M及び船内負荷40と接続される。
更に、切替器31は遮断器、変圧器等を有する電線を介して主発電機G1〜G4と推進電動機Mとを接続している。そして、切替器31は、後述のエネルギーマネジメント装置10の制御に基づいて遮断器を開閉することにより、主発電機G1〜G4それぞれから推進電動機Mへの電力供給を遮断または許可する。
負荷LDのそれぞれは、電源プラント30の切替器31を介して主発電機Gと接続される。
状態情報とは、船舶の速力、推進モード、主機GT及び主発電機G(以下、原動機とも称する)の運転状態(例えば出力、燃料消費量、燃料残量、運転時間、吸気温度、排ガス温度、軸馬力、起動回数)、推進電動機Mの運転状態(例えば出力、消費電力)、負荷LDの運転状態(例えば電源ON/OFF状態、消費電力)等を含む。
また、センサ50は、検出した状態情報を、LANを介してエネルギーマネジメント装置10に出力する。
図2は、第1の実施形態に係る運転パターンの一例を示す図である。
運転パターンとは、主機GT、推進電動機M、及び複数の主発電機Gのうち運転させる機器の組み合わせを示すものであり、推進プラント20の推進モードと、電源プラント30の運転区分とを含む。
推進モードは、推進プラント20の主機GT及び推進電動機Mのうち、プロペラPの動力源として運転させる機器の組み合わせを示す。例えば、推進モードは、主機GTのみをプロペラPの動力源とする「機械推進モード」、推進電動機MのみをプロペラPの動力源とする「電気推進モード」、主機GT及び推進電動機MをプロペラPの動力源とする「複合推進モード」の三つのモードを有する。
運転区分は、電源プラント30の複数の主発電機G1〜G4のうち、推進電動機M及び船内負荷40の少なくとも一方への電力の供給源として運転させる機器の組み合わせを示す。例えば、運転区分は、図2に示すように、主発電機G1及びG4で発電した電力を船内負荷40へ供給する「区分1、4」、主発電機G1で発電した電力を船内負荷40へ供給する「全通1」、主発電機G1で発電した電力を船内負荷40へ供給するとともに主発電機G2で発電した電力を船内負荷40へ供給する「全通1/推進2」等の区分を有する。
エネルギーマネジメント装置10が推奨する運転パターンを提案する処理の詳細については後述する。
図3は、第1の実施形態に係るエネルギーマネジメントシステムの機能構成を示す図である。
まず、図3を参照して、監視制御盤100の機能構成について説明する。
図3に示すように、監視制御盤100は、操作部101と、表示部102と、通信インタフェース(I/F)103と、CPU110とを有している。
表示部102は、液晶ディスプレイ等の表示装置であり、各種情報を表示する。
通信I/F103は、LANを介して推進プラント20、電源プラント30、船内負荷40、センサ50との間で各種命令及び情報の送受信を行う。また、通信I/F103は、LANまたは専用回線を介してエネルギーマネジメント装置10との間で各種情報の送受信を行う。
制御部110Aは、操作者が操作部101を介して行った操作に基づいて、推進プラント20、電源プラント30、船内負荷40の各機器を制御する制御信号を出力する。
図3に示すように、エネルギーマネジメント装置10は、通信インタフェース(I/F)11と、主記憶装置12と、補助記憶装置13と、入出力インタフェース(I/F)14と、CPU15と、を備えるコンピュータである。
また、通信I/F11は、LANまたは専用回線を介して監視制御盤100との間で各種情報の送受信を行う。
なお、通信I/F11は、推進プラント20、電源プラント30、船内負荷40、センサ50との間で各種情報の送受信を、監視制御盤100を介して行うようにしてもよい。
補助記憶装置13の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD−ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。補助記憶装置13は、エネルギーマネジメント装置10のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、入出力I/F14または通信I/F11を介してエネルギーマネジメント装置10に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信I/F11を介してエネルギーマネジメント装置10に配信される場合、配信を受けたエネルギーマネジメント装置10が当該プログラムを主記憶装置12に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、補助記憶装置13は、一時的でない有形の記憶媒体である。
CPU15は、船舶の運転状態に応じて推奨する運転パターンを提案するとともに、当該運転パターン(推奨運転パターン)を監視制御盤100に出力する。また、CPU15は、図3に示すように、情報取得部15Aと、運転時間計測部15Bと、燃料消費計算部15Cと、候補選択部15Dと、削減提案部15Eと、補正部15Fとを有している。
また、情報取得部15Aは、取得した状態情報を補助記憶装置13に記憶して蓄積する。
なお、運転時間計測部15Bは、例えば、機器の種類、起動回数等に応じた係数を予め設定しておき、状態情報に含まれる運転時間の実測値に対し、当該係数を乗じた等価運転時間を、運転時間として計測するようにしてもよい。
なお、補助記憶装置13には、原動機の燃料消費量の基準となる燃料消費特性が、原動機の種類(ディーゼルエンジン、ガスタービン)別及び機種(ディーゼルエンジンの機種、ガスタービンの機種)別に記憶されている。燃料消費計算部15Cは、状態情報から特定される現在の船舶の速力、推進モード、船内負荷40の消費電力を維持可能な出力を得るために、原動機それぞれが要する予測燃料消費量を、燃料消費特性を用いて計算する。また、燃料消費計算部15Cは、運転パターンそれぞれにおいて運転させる原動機の予測燃料消費量を合計することにより、運転パターン別の予測燃料消費量を計算する。
燃料消費量計算部153は、計算した運転パターン別の予測燃料消費量を、通信I/F11を介して監視制御盤100に出力する。そうすると、運転パターン別の予測燃料消費量は、監視制御盤100の表示部102に表示される。
また、候補選択部15Dは、運転パターンを複数選択した場合、運転させる主機GT及び主発電機Gの運転時間が最も小さくなる運転パターンを推奨運転パターンとして選択(提案)する。
候補選択部15Dは、選択した推奨運転パターンを、通信I/F11を介して監視制御盤100に出力する。そうすると、推奨運転パターンは、監視制御盤100の表示部102に表示される。
削減負荷電力とは、負荷が消費する電力のうち、節電のために削減してもよい電力の上限値である。削減負荷電力は、操作者により操作部101を介して予め設定される。操作者は、船舶の設備(船内負荷40の負荷LD)等に応じて、任意の削減負荷電力(例えば100kW)を設定することができる。
また、削減提案部15Eは、負荷LDの優先順位に基づいて、現在電力が供給されている負荷LDのうち、電力を削減(電力供給を遮断)することを推奨する負荷LD(削減推奨負荷)を少なくとも一つ以上選択して提案する。このとき、削減提案部15Eは、補助記憶装置13に予め記憶されている負荷LDの優先順位及び消費電力とを関連付けたテーブルを参照して、削減推奨負荷を選択するようにしてもよい。即ち、削減提案部15Eは、現在電力が供給されている負荷LDのうち、優先順位が低い負荷LDを削減推奨負荷として選択する。なお、削減提案部15Eは、削減推奨負荷の消費電力が削減推奨電力未満である場合、更に他の負荷LDを削減推奨負荷として選択する。また、負荷LDの優先順位と消費電力とを関連付けたテーブルは、船舶の運航状態(航行中、停船中等の状態)別に内容の異なるものが複数用意されていてもよい。
削減提案部15Eは、負荷LDに供給される電力の削減提案、削減により選択可能となる運転パターン、電力供給の遮断を推奨する負荷LDとを含む負荷削減情報を、通信I/F11を介して監視制御盤100に出力する。そうすると、負荷削減情報は、監視制御盤100の表示部102に表示される。
燃料消費特性は原動機の経年劣化等により変化する。このため、補正部15Fは、所定周期(例えば1年)ごとに補助記憶装置131に蓄積された状態情報に基づいて、燃料消費特性を補正する。なお、所定周期は、操作者により、監視制御盤100の操作部101を介して任意の周期を設定することができる。
なお、監視制御盤100の制御部110Aは、エネルギーマネジメント装置10から出力された各種情報に基づいて、自動的に推進プラント20、電源プラント30、船内負荷40に対する制御信号を出力するようにしてもよい。
図4は、第1の実施形態に係るエネルギーマネジメント装置の処理フローである。
図5は、第1の実施形態に係る推奨運転パターンの表示例を示す図である。
以下、図4〜図5を参照して、エネルギーマネジメント装置10が推奨運転パターンを提案する処理について説明する。
また、運転時間計測部15Bは、状態情報に基づいて、推進プラント20及び電源プラント30の各機器の運転時間を計測する。
そして、情報取得部15A及び運転時間計測部15Bは、状態情報及び各機器の運転時間を補助記憶装置13に記憶して蓄積する(ステップS100)。
具体的には、燃料消費計算部15Cは、現在の推進モード及び船舶の速力と、船内負荷40への供給電力量とに応じた出力を得るために要する主機GT及び主発電機Gそれぞれの予測燃料消費量を、状態情報と燃料消費特性とに基づいて計算する。
例えば、現在の推進モードが主機GT及び推進電動機MをプロペラPの動力源とする「「複合推進モード」であるとする。この場合、燃料消費計算部15Cは、船舶の速力に応じた出力を得るために要する主機GTの予測燃料消費量を、主機GTの状態情報(吸気温度等)と、主機GTの燃料消費特性とに基づいて計算する。
また、燃料消費計算部15Cは、船舶の速力及び船内負荷40への供給電力量に応じた主発電機Gの予測燃料消費量を運転区分別に計算する。即ち、運転区分が「区分1、4/推進2、3(主発電機G1及びG4の電力を船内負荷40へ供給し、主発電機G2及びG3の電力を推進電動機Mに供給する)」である場合、燃料消費計算部15Cは、船内負荷40への供給電力量に応じた出力を得るために要する主発電機G1及びG4の予測燃料消費量を、主発電機G1及びG4の状態情報及び燃料消費特性に基づいて計算する。また、燃料消費計算部15Cは、船舶の速力に応じた出力を得るために要する主発電機G2及びG3の予測燃料消費量を、主発電機G2及びG3の状態情報及び燃料消費特性に基づいて計算する。
そして、燃料消費計算部15Cは、計算した主機GTの予測燃料消費量と、主発電機G1〜G4それぞれの予測燃料消費量とを合計して、推進モードが「複合推進モード」であり、運転区分が「区分1、4/推進2、3」である場合の運転パターンにおける予測燃料消費量を算出する。
同様に、燃料消費計算部15Cは、他の運転パターンにおける予測燃料消費量(主機GT及び主発電機Gの予測燃料消費量の合計)をそれぞれ計算する。
所定範囲は、操作者により監視制御盤100を介して予め設定された値である。例えば、操作者は所定範囲として、最小値から+Xパーセント、+Ykg/hのように任意の値を設定することができる。
なお、候補選択部15Dは、最小値から所定範囲以内の予測燃料消費量を有する運転パターンが無い場合、予測燃料消費量が最小値となる運転パターンのみを選択する。
候補選択部15Dは、選択した運転パターンが複数ある場合(ステップS103:YES)、選択した運転パターンのうち、運転させる原動機(主機GT及び主発電機G)の運転時間が最も小さくなる運転パターンを推奨運転パターンとして選択する(ステップS104)。
具体的には、候補選択部15Dは、原動機の種類(ディーゼルエンジン、ガスタービン)別及び機種(ディーゼルエンジンの機種、ガスタービンの機種)別に運転時間の比較を行う。
例えば、候補選択部15Dは、図5に示す運転パターンのうち、「運転パターン3」と「運転パターン4」とを選択したとする。運転パターン3は、主発電機G1及びG4を船内負荷40への電力供給源とし、主発電機G2を推進電動機Mへの電力供給源とする運転パターンを示す。運転パターン4は、主発電機G1及びG4を船内負荷40への電力供給源とし、主発電機G3を推進電動機Mへの電力供給源とする運転パターンを示す。
この場合、候補選択部15Dは、同種類且つ同機種である主発電機G2及びG3(同機種のガスタービン主発電機)の運転時間を比較して、運転時間が小さい主発電機を運転させる運転パターンを選択する。例えば、候補選択部15Dは、主発電機G2の運転時間が主発電機G3の運転時間よりも小さい場合、運転パターン3を推奨運転パターンとして選択する。
一方、候補選択部15Dは、選択した運転パターンが一つのみである場合(ステップS103:NO)、選択した運転パターンを推奨運転パターンとする。
このとき、監視制御盤100の表示部102は、図5に示すように、運転パターンそれぞれの予測燃料消費量を表示するとともに、複数の運転パターンのうちどれが推奨運転パターンであるかを示す表示(例えば「推奨」欄にマークを表示)を行う。また、エネルギーマネジメント装置10からオーバーホール通知情報が出力された場合は、表示部102は、オーバーホールが必要な原動機と、当該原動機の運転時間と、オーバーホールが必要であることを示すメッセージとを表示するようにしてもよい。これにより、操作者は、オーバーホールが必要な原動機を認識することができる。
例えば、削減提案部15Eは、削減負荷電力(例えば100kW)以内の電力(例えば30kW)を削減することにより、推奨運転パターン(例えば図5の「運転パターン3」)よりも予測燃料消費量が小さく、且つ、現在の船舶の速力と、負荷削減後の船内負荷40への供給電力量(30kW削減した電力)に応じた出力が得られる運転パターン(例えば図5の「運転パターン1」)に変更可能であると判断したとする(ステップS106:YES)。
このとき、削減提案部15Eは、現在電力が供給されている負荷LDのうち、電力を削減することを推奨する負荷LD(削減推奨負荷)を少なくとも一つ以上選択する。
そして、削減提案部15Eは、「30kWの負荷削減で運転パターン6に変更可能」であることを示す情報と、削減推奨負荷とを含む負荷削減情報を監視制御盤100に出力して、処理を終了する。
このとき、監視制御盤100の表示部102は、図5に示すように、削減提案部15Eから出力された負荷削減情報を表示する。なお、表示部102は、現在電力が供給されている負荷LDのリストを別画面に表示し、当該リストに負荷LDそれぞれの消費電力と、どれが削減推奨負荷であるかを示す情報を更に表示するようにしてもよい。
一方、削減提案部15Eは、削減負荷電力以内の電力を削減しても、推奨運転パターンよりも予測燃料消費量が小さい運転パターンに変更可能ではない場合(ステップS106:NO)、処理を終了する。
なお、操作者は、エネルギーマネジメント装置10から提案された推奨運転パターン及び負荷削減情報とに基づいて、採用する運転パターンと、電力供給を遮断する負荷LDとを決定する。そして、操作者は、監視制御盤100の操作部101を介して、運転パターンを切り替える操作、負荷LDへの電力供給を遮断する操作を行う。監視制御盤100の制御部110Aは、操作者の操作に基づいて、推進プラント20、電源プラント30、船内負荷40の各機器を制御する制御信号を出力する。
なお、監視制御盤100の制御部110Aは、エネルギーマネジメント装置10から提案された推奨運転パターン及び負荷削減情報とに基づいて、自動的に採用する運転パターンと、電力供給を遮断する負荷LDとを決定し、制御信号を出力するようにしてもよい。
以上のように、本実施形態に係るエネルギーマネジメント装置10は、プロペラP(推進部)に駆動力を与える主機GT及び推進電動機Mと、推進電動機Mに電力を供給する複数の主発電機Gとを備える船舶において、主機GT、推進電動機M、及び複数の主発電機Gのうち運転させる機器の組み合わせを示す運転パターンを提案するエネルギーマネジメント装置である。また、エネルギーマネジメント装置10は、船舶の運転に関する状態情報を取得する情報取得部15Aと、状態情報に基づいて、運転パターン別の予測燃料消費量を計算する燃料消費計算部15Cと、予測燃料消費量と、主機GT及び主発電機Gの運転時間とに基づいて、複数の運転パターンのうち少なくとも一つの運転パターンを選択する候補選択部15Dと、を備える。
従来のシステムでは、予測燃料消費量に基づいて運転パターンを決定するため、燃料消費量の小さい原動機の運転時間が大きくなる傾向がある。このため、燃料消費量の小さい原動機のオーバーホール間隔が短くなり、他の原動機に比べて多くのオーバーホールが必要となる可能性がある。そうすると、オーバーホールには高額な費用がかかるため、船舶のライフサイクルコストが上昇してしまう可能性がある。
しかしながら、本実施形態に係るエネルギーマネジメント装置10は、予測燃料消費量のみならず、主機GT及び主発電機Gの運転時間の大小に基づいて運転パターンを選択するので、主機GT及び主発電機Gの運転時間の偏りを抑制することができる。したがって、エネルギーマネジメント装置10は、主機GT及び主発電機Gの燃料消費量を低減するとともに、主機GT及び主発電機Gのうち一部の機器の運転時間のみが長くなり、当該一部の機器のオーバーホール間隔が短くなってしまうことを抑制する運転パターンを提案可能である。
このようにすることで、エネルギーマネジメント装置10は、主機GT及び主発電機Gのうち一部の機器における運転時間のみが大きくなることを抑制して、主機GT及び主発電機Gの運転時間を平準化することができる運転パターンを提案可能である。このような運転パターンを採用することにより、船舶の主機GT及び主発電機Gそれぞれのオーバーホール間隔が短くなってしまうことを抑制することができる。また、運転時間を平準化させることにより、主機GT及び主発電機Gそれぞれのオーバーホールの頻度を低減させることができるので、船舶のライフサイクルコストを低減させることが可能である。
このようにすることで、エネルギーマネジメント装置は、負荷LDに供給される電力を削減して、更に燃料消費量を抑えた運転パターンを提案することができる。
このようにすることで、エネルギーマネジメント装置10は、どの負荷LDへの電力供給を遮断すれば、燃料消費量が小さい運転パターンに変更可能であるか提案することができる。
予測燃料消費量が最小値となる運転パターンのみを選択する場合、燃料消費量が最も小さい原動機を運転させる運転パターンが選択される確率が高くなる。そうすると、燃料消費量が最も小さい原動機が偏って使用されることとなるため、当該原動機の運転時間が突出して大きくなってしまう可能性がある。
しかしながら、本実施形態では、候補選択部15Dは、最小値よりも予測燃料消費量が多い運転パターンであっても、最小値から所定範囲以内の予測燃料消費量であれば、当該運転パターンを候補として選択する。更に、候補として選択された運転パターンの中から原動機運転時間に基づいて推奨運転パターンを選択するので、予測燃料消費量の差が少量(所定範囲以内)であれば、運転時間の小さい原動機を運転させる運転パターンが選択される確率が高くなる。このため、エネルギーマネジメント装置10は、燃料消費量が最も小さい原動機の運転時間のみが大きくなることを抑制して、原動機それぞれの運転時間を平準化することができる運転パターンを提案可能である。
このようにすることで、補正部15Fは、原動機の経年劣化、季節変動等に応じて変化する状態情報に基づいて、燃料消費特性を補正することができる。これにより、燃料消費計算部15Cにおける予測燃料消費量の計算精度を向上させることができる。
次に、本発明の第2の実施形態に係るエネルギーマネジメントシステム1について、図6を参照しながら説明する。
第1の実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
本実施形態では、エネルギーマネジメント装置10のCPU15が計画取得部15Gを有している点において、第1の実施形態とは異なっている。
計画推進モードは、船舶の将来における推進モードを示す情報であり、上述の実施形態における推進モードと同様に、「機械推進モード」、「電気推進モード」、「複合推進モード」の三つのモードを有する。
計画速力は、船舶の将来における速力を示す情報である。
具体的には、燃料消費計算部15Cは、計画速力及び計画推進モードと、状態情報から特定される船内負荷40の消費電力を維持可能な出力を得るために、原動機それぞれが要する予測燃料消費量を計算する。また、燃料消費計算部15Cは、運転パターンそれぞれにおいて運転させる原動機の予測燃料消費量を合計することにより、運転パターン別の予測燃料消費量を計算する。
これにより、操作者が複数の運航計画を入力し、運航計画別の推奨運転パターン及び予測燃料消費量とを比較することにより、より燃焼消費量が低く、且つ原動機に負荷を与えない(運転時間を長時間化しない)運航計画を策定することができる。
例えば、上述の実施形態では、監視制御盤100と、エネルギーマネジメント装置10とが異なるコンピュータに実装されている態様について説明したが、これに限られることはない。他の実施形態では、監視制御盤100の操作部101、表示部102、制御部110Aの各機能をエネルギーマネジメント装置10に実装するようにしてもよい。
10 エネルギーマネジメント装置
11 通信インタフェース(I/F)
12 主記憶装置
13 補助記憶装置
14 入出力インタフェース(I/F)
15A 情報取得部
15B 運転時間計測部
15C 燃料消費計算部
15D 候補選択部
15E 削減提案部
15F 補正部
15G 計画取得部
100 監視制御盤
101 操作部
102 表示部
103 通信インタフェース(I/F)
110A 制御部
131 補助記憶装置
153 燃料消費量計算部
20 推進プラント
30 電源プラント
31 切替器
40 船内負荷
50 センサ
G 主発電機
GT 主機
LD 負荷
M 推進電動機
P プロペラ
RG 減速機
Claims (6)
- 推進部に駆動力を与える主機及び推進電動機と、前記推進電動機に電力を供給する複数の主発電機とを備える船舶において、前記主機、前記推進電動機、及び複数の前記主発電機のうち運転させる機器の組み合わせを示す運転パターンを提案するエネルギーマネジメント装置であって、
前記船舶の運転に関する状態情報を取得する情報取得部と、
前記状態情報に基づいて、前記運転パターン別に予測される予測燃料消費量を計算する燃料消費計算部と、
前記予測燃料消費量と、前記主機及び前記主発電機の運転時間とに基づいて、複数の前記運転パターンのうち少なくとも一つの運転パターンを選択する候補選択部と、
を備え、
前記候補選択部は、前記運転パターンを複数選択した場合、運転させる前記主機及び前記主発電機の前記運転時間が最も小さくなる運転パターンを推奨運転パターンとして選択する、
エネルギーマネジメント装置。 - 前記主発電機から前記船舶内に設けられた複数の負荷に供給される電力のうち、予め設定された削減負荷電力以内の電力を削減することにより、前記候補選択部が選択した運転パターンよりも前記予測燃料消費量が小さい運転パターンに変更可能となる場合、前記負荷に供給される電力の削減を提案する削減提案部を更に備える、
請求項1に記載のエネルギーマネジメント装置。 - 前記削減提案部は、前記負荷の優先順位に基づいて、前記電力が供給されている前記負荷のうち、電力供給を遮断する負荷を少なくとも一つ以上提案する、
請求項2に記載のエネルギーマネジメント装置。 - 船舶の推進部に駆動力を与える主機及び推進電動機と、
前記推進電動機に電力を供給する複数の主発電機と、
請求項1から3の何れか一項に記載のエネルギーマネジメント装置と、
を備えるエネルギーマネジメントシステム。 - 推進部に駆動力を与える主機及び推進電動機と、前記推進電動機に電力を供給する複数の主発電機とを備える船舶において、前記主機、前記推進電動機、及び複数の前記主発電機のうち運転させる機器の組み合わせを示す運転パターンを提案するエネルギーマネジメント方法であって、
前記船舶の運転に関する状態情報を取得する情報取得ステップと、
前記状態情報に基づいて、前記運転パターン別に予測される予測燃料消費量を計算する燃料消費計算ステップと、
前記予測燃料消費量と、前記主機及び前記主発電機の運転時間とに基づいて、複数の前記運転パターンのうち少なくとも一つの運転パターンを選択する候補選択ステップと、
を備え、
前記候補選択ステップにおいて、前記運転パターンを複数選択した場合、運転させる前記主機及び前記主発電機の前記運転時間が最も小さくなる運転パターンを推奨運転パターンとして選択する、
エネルギーマネジメント方法。 - 推進部に駆動力を与える主機及び推進電動機と、前記推進電動機に電力を供給する複数の主発電機とを備える船舶において、前記主機、前記推進電動機、及び複数の前記主発電機のうち運転させる機器の組み合わせを示す運転パターンを提案するエネルギーマネジメント装置のコンピュータを機能させるプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記船舶の運転に関する状態情報を取得する情報取得ステップと、
前記状態情報に基づいて、前記運転パターン別に予測される予測燃料消費量を計算する燃料消費計算ステップと、
前記予測燃料消費量と、前記主機及び前記主発電機の運転時間とに基づいて、複数の前記運転パターンのうち少なくとも一つの運転パターンを選択する候補選択ステップと、
を実行させ、
前記候補選択ステップにおいて、前記運転パターンを複数選択した場合、運転させる前記主機及び前記主発電機の前記運転時間が最も小さくなる運転パターンを推奨運転パターンとして選択する、
プログラム。
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