JP3576528B2 - 電気推進船シミュレーション装置及び電気推進船シミュレーション方法 - Google Patents

電気推進船シミュレーション装置及び電気推進船シミュレーション方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気推進船の動作をシミュレートする電気推進船シミュレーション装置及び電気推進船シミュレーション方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
動力として電力を用いる電気推進船が知られている。電気推進船は、エンジン配置を任意に選べることから、客室への振動/騒音を極力抑えることが可能であり、操船性も優れていることから、開発、導入が進められている。
【0003】
電気推進船では、動力が電力だけである。そのため、主機(プロペラ)がモータ駆動の場合、電気推進船の運航状況に基づく主機の運転状況の変動は、負荷の変動として船内の電力系統に影響を及ぼす。主機の運転状況によっては、負荷変動が大きくなり、船内系統の電圧、周波数が不安定となることが予想される。そのとき、最悪の場合には、発電機のトリップ、船室の停電、電気機器の停止などを引き起こす可能性がある。特に客船の場合、客室への電力供給が停止するような自体が発生すると、大きな問題となることが考えられ、電力の安定供給が強く要求される。
【0004】
一方、客船では、その仕様に於いて、全速運航状態から停止までの距離(停止距離)に上限が設定されている。そのため、主機は停止距離を満足するように運転する必要がある。停止距離は例えば15船長以内である。船内に電力を安定供給しつつ、この仕様を満足するには、事前にシミュレーションにより、主機の電力応答及び電力推進船の運動を調べることが望ましい。
【0005】
現状では、個々の機器について、電力の使用をシミュレーションするシミュレーション装置は知られている。また、船舶の動きをシミュレーションするシミュレーション装置は知られている。しかし、その両方の要素を含み、電気推進船の運動と電力系統とを同時に正確にシミュレーションするシミュレーション装置は無い。従って、現在、船内系統の電圧/周波数変動を逐次確認しながら、主機の運転を行なうことで対応している。
【0006】
主機の電力応答を考慮した船内全体の電力系統の動的応答を事前検証するためのツール(シミュレーション装置)が求められている。電気推進船の船舶としての仕様、規格の試験が可能なツールが求められている。電気推進船の電力を安定的に供給、制御可能とする主機の運転方法を検証可能なツールが求められている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、主機の電力応答を考慮した船内全体の電力系統の動的応答を事前検証するための電気推進船シミュレーション装置及び電気推進船シミュレーション方法を提供することである。
【0008】
また、本発明の他の目的は、主機を駆動するモータの消費電力を算出することが可能な、電気推進船シミュレーション装置及び電気推進船シミュレーション方法を提供することである。
【0009】
本発明の更に他の目的は、主機運転時の発電機及びその他の負荷を含めた系全体の電圧/周波数応答を算出することが可能な電気推進船シミュレーション装置及び電気推進船シミュレーション方法を提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、船体停止距離、電圧/周波数応答を事前に検証することが可能な電気推進船シミュレーション装置及び電気推進船シミュレーション方法を提供することである。
【0011】
本発明の更に別の目的は、電気推進船の船舶としての仕様、規格の試験の事前検証が可能な電気推進船シミュレーション装置及び電気推進船シミュレーション方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
以下に、[発明の実施の形態]で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明の実施の形態]との対応関係を明らかにするために付加されたものである。ただし、それらの番号・符号を、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0013】
従って、上記課題を解決するために、本発明の電気推進船シミュレーション装置は、電気推進船のモータ(12)の回転数の入力に基づいて、主機(11)に要する有効電力としての第1有効電力及び無効電力としての第1無効電力を算出する主機モデル部(2)と、第1有効電力と、第1無効電力と、電気推進船の負荷(18)に要する有効電力としての第2有効電力及び無効電力としての第2無効電力と、電気推進船の発電機(14、16)の発生する有効電力としての第3有効電力及び無効電力としての第3無効電力との入力に基づいて、電気推進船の船内電力の電圧及び周波数を算出する船内電力系統部(5)とを具備する。
【0014】
また、本発明の電気推進船シミュレーション装置は、主機モデル部(2)が、電気推進船の主機(11)をシミュレーション可能なアルゴリズムである主機モデルを有し、モータ(12)の回転数の入力に基づいて、その主機モデルを用いて、第1有効電力及び第1無効電力を算出する。
【0015】
また、本発明の電気推進船シミュレーション装置は、主機モデル部(2)が、モータ(12)の回転数の入力に基づいて、その主機モデルを用いて、電気推進船の速度としての船速と、電気推進船の移動距離としての航走距離とを算出する。
【0016】
更に、本発明の電気推進船シミュレーション装置は、その主機モデルが、主機(11)のトルク特性としてのロビンソンカーブを含む。
【0017】
更に、本発明の電気推進船シミュレーション装置は、電気推進船の負荷(18)をシミュレーション可能なアルゴリズムである負荷モデルを有し、その負荷モデルを用いて第2有効電力と第2無効電力とを算出する負荷モデル部(3)を更に具備する。
【0018】
更に、本発明の電気推進船シミュレーション装置は、電気推進船の発電機(14、16)をシミュレーション可能なアルゴリズムである発電機モデルを有し、その発電機モデルを用いて第3有効電力と第3無効電力を算出する発電機モデル部(4)を更に具備する。
【0019】
上記課題を解決するために、本発明の電気推進船シミュレーション方法は、電気推進船のモータ(12)の回転数の入力に基づいて、主機(11)に要する有効電力としての第1有効電力及び無効電力としての第1無効電力を算出するステップと、電気推進船の負荷(18)に要する有効電力としての第2有効電力及び無効電力としての第2無効電力を算出するステップと、電気推進船の発電機(14、16)の発生する有効電力としての第3有効電力及び無効電力としての第3無効電力を算出するステップと、第1有効電力及び第1無効電力と、第2有効電力及び第2無効電力と、第3有効電力及び第3無効電力との入力に基づいて、電気推進船の船内電力の電圧及び周波数を算出するステップとを具備する。
【0020】
また、本発明の電気推進船シミュレーション方法は、第1有効電力及び第1無効電力を算出するステップは、モータ(12)の回転数の入力に基づいて、電気推進船の速度としての船速と、電気推進船の移動距離としての航走距離とを算出するステップを具備する。
【0021】
更に、本発明の電気推進船シミュレーション方法は、第1有効電力及び第1無効電力を算出するステップは、主機(11)のトルク特性としてのロビンソンカーブを用いる。
【0022】
上記課題を解決するために、本発明に関するコンピュータープログラムは、電気推進船のモータ(12)の回転数の入力に基づいて、主機(11)に要する有効電力としての第1有効電力及び無効電力としての第1無効電力を、主機(11)のトルク特性としてのロビンソンカーブを参照して算出するステップと、電気推進船の負荷(18)に要する有効電力としての第2有効電力及び無効電力としての第2無効電力を算出するステップと、電気推進船の発電機(14、16)の発生する有効電力としての第3有効電力及び無効電力としての第3無効電力を算出するステップと、第1有効電力及び第1無効電力と、第2有効電力及び第2無効電力と、第3有効電力及び第3無効電力との入力に基づいて、電気推進船の船内電力の電圧及び周波数を算出するステップとを具備する方法をコンピューターに実行させる。
【0023】
また、本発明に関するコンピュータープログラムは、第1有効電力及び第1無効電力を算出するステップが、モータ(12)の回転数の入力に基づいて、電気推進船の速度としての船速と、電気推進船の移動距離としての航走距離とをロビンソンカーブを参照して算出するステップを更に具備する上記に記載の方法をコンピューターに実行させる。
【0024】
船速、航走距離、第1有効電力及び第1無効電力、船内電力の電圧及び船内電力の周波数の内の少なくとも一つを表示装置に表示させるステップを更に具備する上記に記載の方法をコンピューターに実行させる。
【0025】
上記各項にある電気推進船シミュレーション方法及びプログラムの各ステップは、矛盾の発生しない範囲で、順番を入れ替えることも可能である。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明である電気推進船シミュレーション装置及び電気推進船シミュレーション方法の実施の形態に関して、添付図面を参照して説明する。
本実施例において、電気推進船に使用される電気推進船シミュレーション装置及び電気推進船シミュレーション方法を例に示して説明するが、他の電気で駆動する回転機器を用いて動作する移動体についても本発明は適用可能である。(なお、各実施の形態において同一又は相当部分には同一の符号を付して説明する。)
【0027】
図1は、本発明である電気推進船シミュレーション装置及び電気推進船シミュレーション方法の実施の形態における電気推進船シミュレーション装置の構成を示す図である。
【0028】
電気推進船シミュレーション装置1は、ワークステーションに例示される情報処理装置である。入出力装置としての入力部6及び出力部7と、プログラムとしての主機モデル部2、負荷モデル部3、発電機モデル部4及び船内電力系統部5とを具備する。
【0029】
電気推進船シミュレーション装置1は、回転数指令(b1)の入力に基づいて、電気推進船の電力及び運動に関するシミュレーションを行ない、電気推進船の速度である船速(c1)、電気推進船の移動距離である船走距離(c2)、電気推進船における主機(プロペラ)の要求する有効電力及び無効電力(以降「第1有効電力」、「第1無効電力」)(c3)、電気推進船の船内電力系統の電圧(以降「系統内電圧」)(d1)及び周波数(以降「系統内周波数」)(d2)を出力する。
【0030】
入力部6は、電気推進船シミュレーション装置1に属する。シミュレーションに必要なデータ(a1)の入力を行なう入力装置である。入力部6は、キーボード、データ通信ポートに例示される。入力されたデータは、入力時の指令に基づいて、主機モデル部2、負荷モデル部3、発電機モデル部4、船内電力系統部5へ出力される。ここでは、主機を動かすためのモータの回転数が回転数指令(時系列データ)(a1)が入力され、主機モデル部2へ((b1)として)出力される。
【0031】
主機モデル部2は、電気推進船シミュレーション装置1に属する。主機モデル部2には、主機に関するモデル(以下、「主機モデル」)が設定されている。主機モデル部2には、主機を動かすためのモータの回転数が回転数指令(時系列データ)として入力される。主機モデル部2は、その回転数指令(b1)に基づいて、主機モデルを用いて主機の運動及び電力消費をシミュレーションする。そして、その結果として、船速(c1)、航走距離(c2)、第1有効電力及び第1無効電力(c3)を出力する。
【0032】
なお、主機モデル部2は、シミュレーションの際、内部に有するロビンソンカーブ(主機にかかるトルクと主機の回転数との関係)を用いる。ロビンソンカーブは、電気推進船の運航状況と主機の特性に基づいて決まる特性曲線であり、具体的には主機の回転数と主機の受けるトルクとの関係を示したものであり、予め実験で求める。これにより、船舶の動作をより正確にシミュレーションすることが可能となる。
【0033】
負荷モデル部3は、電気推進船シミュレーション装置1に属する。負荷モデル部3には、主機以外の電力を消費する機器(以下、「船内負荷」)に関するモデル(以下、「負荷モデル」)が設定されている。負荷モデル部3は、その負荷モデルを用いて、船内負荷の電力消費をシミュレーションする。そして、その結果として、船内負荷の要求する有効電力及び無効電力(以下、「第2有効電力」、「第2無効電力」)(c4)を出力する。
なお、主機以外の電力を消費する機器は、客室で使用する電気機器や各種船内ユーティリティーで使用する電気機器、バウ/スタンスラスタなどに例示される。
【0034】
発電機モデル部4は、電気推進船シミュレーション装置1に属する。発電機モデル部4には、船内にある発電機に関するモデル(以下、「発電機モデル」)が設定されている。発電機モデル部4は、その発電機モデルを用いて、発電機で発電可能な発電電力をシミュレーションする。そして、その結果として、発電機で発電可能な有効電力及び無効電力(以下、「第3有効電力」、「第3無効電力」)(c5)を出力する。
【0035】
船内電力系統部5は、電気推進船シミュレーション装置1に属する。船内電力系統5には、電気推進船内における電力の生成と使用に関するモデルが設定されている(以下、「船内電力系統モデル」)。船内電力系統部5には、第1有効電力及び第1無効電力(c3’)、第2有効電力及び第2無効電力(c4)、第3有効電力及び第3無効電力(c5)が入力される。船内電力系統部5は、第1有効電力及び第1無効電力(以下、「第1有効/無効電力」)と、第2有効電力及び第2無効電力(以下、「第2有効/無効電力」)と、第3有効電力及び第3無効電力(以下、「第3有効/無効電力」)との入力に基づいて、船内電力系統モデルを用いて、第1及び第2有効/無効電力と第3有効/無効電力とをバランスさせるように船内電力系統のシミュレーションを行なう。そして、その結果として、系統内電圧(d1)及び系統内周波数(d2)を出力する。
【0036】
出力部7は、電気推進船シミュレーション装置1に属する。シミュレーションの結果のデータの出力を行なう出力装置である(出力値(e1)〜(e5))。出力部7は、ディスプレイ、メモリ、ハードディスク、プリンタ、データ通信ポートに例示される。出力部7に入力されたデータは、入力時の指令に基づいて、出力部7とは別の然るべき出力装置へ出力される。ここでは、船速(c1)、航走距離(c2)、第1有効/無効電力(c3)、系統内電圧(d1)、系統内周波数(d2)が入力され、((e1)〜(e5)として)然るべき出力装置(例えばディスプレイ及びメモリ)へ出力される。なお、出力部7自身で(e1)〜(e5)を表示することも可能である。
【0037】
図2は、電気推進船シミュレーション装置1と電気推進船の制御装置との関係を示す図である。電気推進船シミュレーション装置1と(電気推進船の)制御装置9とを具備する。
【0038】
電気推進船シミュレーション装置1は、図1で説明したもの同じである。
制御装置9は、電気推進船の全体を制御する制御装置である。電気推進船での電力使用に際しては、まず回転数指令(a1)を電気推進船シミュレーション装置1へ入力し、シミュレーションを行なう。そして、その結果得られる船速(e1)、航走距離(e2)、第1有効/無効電力(e3)、系統内電圧(e4)、系統内周波数(e5)に基づいて、その回転数指令が適切かどうかを判断する。判断基準としては、例えば、全ての運用条件に対してLRS(Lloyd’s Register Shipping、英国船級協会)の許容値を全て満足、停止時の停止距離(航走距離)が15船長以内、などである。適切である場合には、実際の電気推進船の制御装置9へ、同様の回転数指令(a1)を入力する。不適切である場合には、別の回転数指令(a1’)について同様の手続きを行なう。
【0039】
事前に、回転数指令に対する電気推進船の挙動を把握することができるので、不適切な回転数指令を予め取り除くことができる。そして、実際の電気推進船には適切な回転数指令のみを入力でき、その運航の信頼性、安全性を向上することができる。
【0040】
なお、電気推進船シミュレーション装置1は、電気推進船上に配置され、制御装置9に電気的に接続されていても良い。現実の様々な状況に対する動作を素早く的確に決められる。電気推進船シミュレーション装置1は、制御装置9に含まれていても良い。装置が1台で済み、低コストである。
また、電気推進船シミュレーション装置1が他の施設内にあり、電気推進船の運航中に衛星通信等で相互に通信を行なうことも可能である。シミュレーション装置を船内に置く必要が無く、スペースを有効に利用できる。また、シミュレーション装置の異常に対応し易い。更に、電気推進船シミュレーション装置1が事前に多種多様な回転数指令に基づいてシミュレーションを行ない、その結果(適切な結果)を制御装置9の内部の記憶装置に記憶しておくことも可能である。シミュレーションの時間を省略できる。制御装置9は、記憶装置から適切な回転数指令を選択し、良好な運航を行なうことが可能となる。
【0041】
次に、本発明である電気推進船シミュレーション装置及び電気推進船シミュレーション方法の実施の形態に関わる船内電気系統について説明する。
【0042】
図3は、本発明である電気推進船シミュレーション装置及び電気推進船シミュレーション方法の実施の形態に関わる船内電気系統の構成を示す図である。
船内電気系統10は、主機11、モータ12、コンバータ13、発電機14、ガスタービン15、発電機16、ディーゼルエンジン17、負荷A18−1〜負荷B18−2、電線19、スイッチA20−1〜スイッチD20−4を具備する。
【0043】
すなわち、船内電気系統10は、電力を生成する発電設備(発電機14/ガスタービン15、発電機16/ディーゼルエンジン17)と、電力を消費する消費設備(主機11/モータ12/コンバータ13、負荷A18−1〜負荷B18−2)と、両者をつなぐ送電設備(電線19、スイッチA20−1〜スイッチD20−4)を具備する。
【0044】
主機11は、モータ12(後述)の回転に伴い回転するプロペラである。回転により水中において推進力を得ることができる。また、回転に伴い主機の受けるトルクと、主機の回転数との関係は、ロビンソンカーブとして主機モデル部2に記憶されている。主機11は、複数搭載することが可能である。本実施例では、1基である。
【0045】
モータ12は、主機11を回転数可変で回転させる。モータ12は、同期電動機や誘導電動機に例示される。一基の主機11に対して、一基のモータ12を対応させる。従って、本実施例では、モータ12は、一基である。
【0046】
コンバータ13は、モータ12に供給する電力の大きさ及びその周波数を制御することが可能である。ここで電力(電流及び電圧)及びその周波数を制御することにより、モータ12ひいては主機11の回転数を制御することができる。コンバータ13は、サイクロコンバータ(同期コンバータ)で例示される。一基のモータ12に対して、一基のコンバータ13を対応させる。従って、本実施例では、コンバータ13は、一基である。
【0047】
発電機14は、ガスタービン15の回転エネルギーを電気エネルギーに変換(発電)する。発電機14は、同期発電機や誘導発電機に例示される。
ガスタービン15は、高温高圧の燃焼ガスのエネルギーをタービンの回転エネルギーに変換する。
一基の発電機14に対して、一基のガスタービン15を対応させる。それらは、それぞれ複数設置することが可能であるが、本実施例では、各々一基である。
【0048】
発電機16は、ディーゼルエンジン17からの回転エネルギーを電気エネルギーに変換(発電)する。発電機16は、同期発電機や誘導発電機に例示される。ディーゼルエンジン17は、燃料を燃焼して発生する燃焼エネルギーをピストンの駆動エネルギーに変換する。ピストンの駆動エネルギーは、機械的に回転エネルギーに変換される。
一基の発電機16に対して、一基のディーゼルエンジン17を対応させる。それらは、それぞれ複数設置することが可能であるが、本実施例では、各々一基である。
【0049】
負荷A18−1〜負荷B18−2は、電気推進船内の、主機11(モータ12)以外の電気を消費する設備、機器である。負荷18−1〜負荷B18−2は、バウ/スタンスラスタ、客室内の電気機器、エンジン補機、船内ユーティリティーで例示される。
【0050】
電線19は、電気推進船内に張り巡らされ、発電された電力を主機11(モータ12)を含む各負荷へ供給する。
スイッチA20−1〜スイッチD20−4は、電線19を適当な個所において適宜接続/切断する。それにより、発電された電力の各負荷への分配を制御する。
【0051】
次に、本発明である電気推進船シミュレーション装置及び電気推進船シミュレーション方法の実施の形態の動作について説明する。
【0052】
初めに、シミュレーションモデルについて説明する。
(1)発電機システム
まず、発電機システムの発電機モデルについて説明する。
(a)同期発電機
本実施例では、発電機として、同期発電機を用いることとする。同期発電機で発電される有効電力P(第3有効電力)及び無効電力Q(第3無効電力)は、回路定数を用いて以下の式で計算される。
【数1】
Figure 0003576528
ただし、
V:発電機の端子間電圧(既定値)
:直軸リアクタンス(既定値)
’:直軸過渡リアクタンス(既定値)
:横軸リアクタンス(既定値)
’:横軸過渡リアクタンス(既定値)
’:横軸過渡内部電圧(数式(3)より)
δ:発電機の内部位相角(数式(4)より)
である。
【0053】
ここで、横軸過渡内部電圧E’は、界磁電圧Efdを用いた次式で計算される。界磁電圧Efdは、自動電圧調整装置(AVR)の出力電圧である。
【数2】
Figure 0003576528
ただし、
d0’:過渡開路時定数(既定値)
【0054】
発電機の回転数ωは、以下の運動方程式及び各式で計算される。
【数3】
Figure 0003576528
ただし、
ω:電気同期角速度(既定値)
ωnm:機械同期角速度(既定値)
M:慣性定数(既定値)
J:慣性モーメント(既定値)
base:基準皮相電力(既定値)
:機械的入力(既定値)
:制動係数(既定値)
ここで、機械角速度ωと電気角速度ω(発電機の回転数)との関係は以下の式で表される。
【数4】
Figure 0003576528
ただし、
p:磁極数
である。
【0055】
上記数式(1)〜(6)により、同期発電機の有効電力P(第3有効電力)及び無効電力Q(第3無効電力)及び周波数ω(角速度)が計算される。
【0056】
なお、発電機モデルは、上記のものに限られるものではない。
【0057】
(b)調速機制御システム
次に、発電機の回転数を一定の目標値(例示:エンジン定格回転数)に制御する調速機制御システムについて説明する。
【0058】
本実施例では、ディーゼルエンジン及びガスタービンにおいて同じモデル(方法)を用いて調速を行なう。
図4は、ディーゼルエンジン及びガスタービン用調速機モデル(以下、「調速機モデル」という)の構成を示すブロック図である。
調速機モデル21において、エンジン又はタービンの速度(回転数)の目標値Nsetと実際のエンジン又はタービンの速度(回転数)Nは、加算点22において減算(比較)される。その差は、比例部23(伝達関数:P)、積分部24(伝達関数:I/s)及び一次遅れ微分部25(伝達関数:Ds/(1+ts))へそれぞれ入力される。各部から出力された信号は、加算点26で一つに加算され、ガバナ応答の遅れ時間を模擬した一次遅れ部27(伝達関数:1/(1+ts))へ入力される。その出力は、エンジン又はタービンのトルクTとして出力される。
【0059】
ただし、P:比例ゲイン、I:積分ゲイン、D:微分ゲイン、t:近似微分時定数、であり、これらを調整することにより制御を行なう。t:ガバナ時定数、は既定値である。
【0060】
なお、調速機モデルは上記のものに限られるものではない。
【0061】
(c)自動電圧調整装置(AVR)
次に、発電機の端子電圧を一定に保持する周波数を一定に制御する自動電圧調整装置について説明する。
図5は、自動電圧調整装置モデル(ディーゼルエンジンとガスタービンとに共通)の構成を示すブロック図である。
自動電圧調整装置モデル30において、発電機の端子電圧の設定値Vsetと端子電圧Vは、加算点31において減算(比較)される。その差は、比例部32(伝達関数:K)へ入力される。比例部32から出力された信号は、積分部33(伝達関数:T/s)及びAVR応答の遅れ時間を考慮した1次遅れ部34(伝達関数:K/(1+Ts))へ出力される。積分部33及び1次遅れ部34から出力された信号は、加算点35で加算され、比例部36(伝達関数:1/K)へ入力される。比例部36から出力された信号は、界磁電圧Efdとして出力される。
ただし、T:AVRの時定数、であり既定値である。K、K:比例ゲイン、T:積分ゲイン、であり、これらを調整することにより制御を行なう。
【0062】
なお、自動電圧調整装置モデルは上記のものに限られるものではない。
【0063】
(2)電気推進システム
次に、電気推進システムのモデルについて説明する。
(a)電気推進モータ(PEM)
モータのトルクは、次式のように表される。
【数5】
Figure 0003576528
ただし、
:モータトルク
MN:定格モータトルク(既定値)
p:磁極数(既定値)
K:係数
δ:モータの機械角(数式(8)より)
である。
【0064】
また、電気推進システムにおける回転方程式は、以下のようになる。
【数6】
Figure 0003576528
ただし、
:モータトルク(数式(7)より)
:プロペラトルク(ロビンソンカーブ(後述)より)
ω:プロペラ角速度(機械角速度)
:モータの慣性モーメント(既定値)
:プロペラの慣性モーメント(既定値)
である。
【0065】
ここで、数式(7)のδ:モータの機械角は、次式により計算される。
【数7】
Figure 0003576528
ただし、
ω:機械角速度(数式(8)より)
ωMn:機械同期角速度又は機械角速度の目標値(既定値)
ω:調速機の機械角速度
【0066】
モータ電力(有効電力、無効電力、皮相電力)は次式で与えられる。
【数8】
Figure 0003576528
ただし、
:皮相モータ電力
:有効モータ電力
:無効モータ電力
pf:力率
である。
【0067】
モータトルクの限界値TMLは、次式で計算できる。
【数9】
Figure 0003576528
ただし、
:最大電流
:最大電圧
η:効率
である。
【0068】
同期コンバータを含むプロペラ(主機)モデルは、以下の様に仮定している。すなわち、同期コンバータ用の電力データ(S:同期コンバータの皮相電力、P:同期コンバータの有効電力、Q:同期コンバータの無効電力、pf:同期コンバータの力率)が同期コンバータへ入力され、同期コンバータからモータ用の電力データ(S:モータの皮相電力、P:モータの有効電力、Q:モータの無効電力、pf:モータの力率)がモータへ出力される。ただし、同期コンバータにおける損失を考慮しなければ、P=P、である。
【0069】
有効電力と皮相電力とは、以下の式で表される。
【数10】
Figure 0003576528
【0070】
(b)プロペラの動的挙動
電気推進船の運動方程式は、以下の様になる。
【数11】
Figure 0003576528
ただし、
m:電気推進船の質量(既定値)
:縦方向の付加質量(既定値)
v:電気推進船の速度
:船体にかかる流体力(数式(19)、(20)などより)
g:重力定数(既定値)
である。
【0071】
ここで、船体にかかる流体力Xは、以下の様に表される。
【数12】
Figure 0003576528
ただし、
R:電気推進船の抵抗(既定値)
t:推力控除係数(既定値)
N:プロペラ数(既定値)
:プロペラトルク(既定値)
である。
【0072】
ここで、プロペラ1基当たりのプロペラトルクQとプロペラの回転数との関係を示すロビンソンカーブは、実験やシミュレーションなどにより求めることが出来る。
プロペラトルクTは、プロペラ1基当たりのプロペラトルクQを用いて算出することが出来る。本実施例では、プロペラ(主機)は一基なので、T=Q、である。
【0073】
(3)船内負荷
次に、主機を除く電気推進船内の負荷のモデルについて説明する。
(a)客室
客室は、固定負荷と仮定する。客室内の電気機器で使用される電力の有効電力Pは、時間の関数として与える(数式(21))。あるいは、電圧V又は周波数fの時間の関数として与えても良い(数式(22)、(23)、ただしNは任意)。また、力率pfは一定とする。そのとき、無効電力Qは、次式(数式(24))で与えられる。
【数13】
Figure 0003576528
ただし、
:基準電力(既定値)
:定格電圧(既定値)
:定格周波数(既定値)
(b)エンジン室
エンジン室内の各機器については、有効電力PER及び無効電力QERについては、固定値PER0及びQER0を用いることとする。すなわち、エンジン室内に要求される電力をまとめて、以下の様に取り扱う。
【数14】
Figure 0003576528
(c)その他
その他考えられる各機器に関しては、従来用いられているシミュレーションに用いる方法を、利用することが可能である。
【0074】
電気推進船の電力消費に関わるモデルは、上記モデルに限定されるものではない。矛盾の起きない範囲で従来用いられている他のモデルを用いることも可能である。
【0075】
次に、本発明である電気推進船シミュレーション装置及び電気推進船シミュレーション方法の実施の形態の動作について、図6を参照して説明する。
図6は、本発明である電気推進船シミュレーション装置に適用される電気推進船シミュレーション方法のフローを示す図である。
(1)ステップS1
入力部6は、主機を動かすためのモータの回転数の指令を、回転数の時系列データの形式で主機モデル部2へ出力する。
(2)ステップS2
主機モデル部2は、回転数指令(時系列データ)に基づいて、内部に有する主機モデルを用いて主機の運動をシミュレーションする。
すなわち、先ず、回転数指令が、数式(10)及び数式(11)における機械角速度の目標値ωMnに代入される。そして、モータの機械角δが算出される。
次に、モータの機械角δを用いて、数式(7)により、モータトルクTを求める。
続いて、ロビンソンカーブを用いて、現在のプロペラ角速度ωに対応するプロペラトルクTを求める。
そして、プロペラトルクTを用いて、数式(18)〜(20)を解く。そして、電気推進船の速度v(t)を算出する。また、速度v(t)を、ある時間範囲で積分することにより、その時間内での船走距離を算出する。
続いて、モータトルクとプロペラトルクとを用いて、数式(8)〜(9)を解き、次の状態でのプロペラ角速度ωを算出する。
そして、プロペラ角速度ω及びモータトルクTを用いて、数式(12)〜(17)を解く。そして、同期コンバータに必要(=主機であるプロペラに必要)とされる第1有効電力(P)及び第1無効電力(Q)を算出する。
(3)ステップS3
主機モデル部2は、算出した船速v(t)及びある時間範囲での船走距離を出力部7へ出力する。
(4)ステップS4
負荷モデル部3は、主機以外の電力を消費する機器(以降「船内負荷」)に関する負荷モデルを用いて、船内負荷の電力消費をシミュレーションする。例えば、客室で要求される電力として数式(21)〜(24)を用いて有効/無効電力を計算する。また、エンジン室内で要求される電力に関して、数式(25)、(26)を用いて有効/無効電力を計算する。そして、それらの合計として、船内負荷に必要とされる第2有効電力及び第2無効電力を算出する。
(5)ステップS5
発電機モデル部4は、船内にある発電機に関する発電機モデルを用いて、発電機で発電可能な発電電力をシミュレーションする。すなわち、数式(1)〜(6)を解く。そして、その結果として、発電機で発電可能な第3有効電力(P)及び第3無効電力(Q)を算出する。
(6)ステップS6
発電機モデル部3は、第3有効電力(P)及び第3無効電力(Q)を船内電力系統部5へ出力する。
(7)ステップS7
負荷モデル部3は、第2有効電力及び第2無効電力を船内電力系統部5へ出力する。
(8)ステップS8
主機モデル部2は、第1有効電力(P)及び第1無効電力(Q)を船内電力系統部5へ出力する。
(9)ステップS9
主機モデル部2は、第1有効電力(P)及び第1無効電力(Q)を出力部7へ出力する。
(10)ステップS10
船内電力系統部5は、第1有効電力及び第1無効電力、第2有効電力及び第2無効電力、第3有効電力及び第3無効電力の入力に基づいて、内部に有する船内電力系統モデルを用いて、第1及び第2有効/無効電力と第3有効/無効電力とをバランスさせるように船内電力系統のシミュレーションを行なう。
すなわち、本電気推進船シミュレーション装置において、電気推進船における全発電機が供給する電力=電気推進船における全負荷が消費する電力+損失分、を満足する電圧を連立方程式を解くという、潮流計算を行なっている。
そして、その結果として、電気推進船内の電力の電圧である系統内電圧及び電気推進船内の電力の周波数である系統内周波数を算出する。
(11)ステップS11
船内電力系統部5は、系統内電圧及び系統内周波数を出力部7へ出力する。ここで、出力部7のディスプレイ(表示装置)に、船速、航走距離、第1有効/無効電力、系統内電圧及び系統内周波数(出力値(e1)〜(e5))の少なくとも一つを表示しても良い。
(12)ステップS12
出力部7は、出力部7に入力された船速、航走距離、第1有効/無効電力、系統内電圧、系統内周波数を、然るべき出力装置(例えばディスプレイ及びメモリ)へ出力する。
【0076】
ただし、上記のステップS6は、ステップS5の後でステップS10の前であれば、何時でも良い。
ステップS7は、ステップS4の後でステップS10の前であれば、何時でも良い。
ステップS8は、ステップS2の後でステップS10の前であれば、何時でも良い。
ステップS9は、ステップS2の後でステップS12の前であれば、何時でも良い。
【0077】
本発明の電気推進船シミュレーション装置及び電気推進船シミュレーション方法の動作により、電気推進船において電力を使用するすべての機器の動作、電力消費を考慮した、系統全体のシミュレーションを行なうことが可能となる。そして、回転数指令の入力することにより、船体停止距離、電圧/周波数応答を事前に検証することが可能となる。
【0078】
また、LRS規定や要求仕様、各種安全基準等についても、電気推進船製造前に事前検証により短期間に精度良く確認することが出来る。設計や試験製造等の時間や労力を大幅に削減でき、コスト低減を図ることが可能となる。加えて、得られた結果(運航と電力との関係など)を、本船の制御装置へ反映し、安定的に運航を行なうことが可能となる。
【0079】
【発明の効果】
本発明により、主機(プロペラ)の電力応答を考慮した電気推進船内全体の電力系統の動的応答及び電気推進船の運動を事前検証することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明である電気推進船シミュレーション装置及び電気推進船シミュレーション方法の実施の形態における電気推進船シミュレーション装置の構成を示す図である。
【図2】本発明である電気推進船シミュレーション装置と電気推進船の制御装置との関係を示す図である。
【図3】本発明である電気推進船シミュレーション装置及び電気推進船シミュレーション方法の実施の形態に関わる船内電気系統の構成を示す図である。
【図4】シミュレーションに用いる調速機モデルの構成を示すブロック図である。
【図5】シミュレーションに用いる自動電圧調整装置モデルの構成を示すブロック図である。
【図6】本発明である電気推進船シミュレーション装置に適用される電気推進船シミュレーション方法のフローを示す図である。
【符号の説明】
1 電気推進船シミュレーション装置
2 主機モデル部
3 負荷モデル部
4 発電機モデル部
5 船内電力系統部
6 入力部
7 出力部
9 制御装置
10 船内電気系統
11 主機
12 モータ
13 コンバータ
14 発電機
15 ガスタービン
16 発電機
17 ディーゼルエンジン
18−1 負荷A
18−2 負荷B
19 電線
20−1 スイッチA
20−2 スイッチB
20−3 スイッチC
20−4 スイッチD
21 調速機モデル
22 加算点
23 比例部
24 積分部
25 一次遅れ微分部
26 加算点
27 一次遅れ部
30 自動電圧調整装置モデル
31 加算点
32 比例部
33 積分部
34 1次遅れ部
35 加算点
36 比例部

Claims (8)

  1. 電気推進船のモータの回転数を指示する回転数指令の入力に基づいて、前記電気推進船の主機及び船体の運動及び電力消費をシミュレーションして、前記電気推進船の速度としての船速及び前記電気推進船の移動距離としての航走距離と共に前記主機に要する有効電力としての第1有効電力及び無効電力としての第1無効電力を算出する主機モデル部と、
    前記電気推進船の主機を除く電気負荷の電力消費をシミュレーションして、前記主機を除く電気負荷に要する有効電力としての第2有効電力及び無効電力としての第2無効電力を算出する負荷モデル部と、
    前記電気推進船の発電機の発電電力をシミュレーションして、前記発電機の発生する有効電力としての第3有効電力及び無効電力としての第3無効電力を算出する発電機モデル部と、
    前記第1有効電力と、前記第1無効電力と、前記第2有効電力と、前記第2無効電力と、前記第3有効電力と、前記第3無効電力との入力に基づいて、前記電気推進船における前記主機と前記主機を除く電気負荷の消費電力及び前記発電機の発電電力を含む船内電力系統の電力をシミュレーションして、前記船内電力系統の電力の取るべき系統内電圧及び系統内周波数を算出する船内電力系統部
    具備す
    気推進船シミュレーション装置。
  2. 前記主機モデルは、前記第1有効電力及び前記第1無効電力の算出に、前記主機のトルク特性としてのロビンソンカーブを用いる
    請求項1に記載の電気推進船シミュレーション装置。
  3. 電気推進船に関するシミュレーションを行う請求項1又は2に記載の電気推進船シミュレーション装置と、
    前記電気推進船シミュレーション装置に電気的に接続され、前記電気推進船を制御する制御装置と
    を具備する
    電気推進船。
  4. 電気推進船のモータの回転数を指示する回転数指令の入力に基づいて、前記電気推進船の主機及び船体の運動及び電力消費をシミュレーションして、前記電気推進船の速度としての船速及び前記電気推進船の移動距離としての航走距離と共に前記主機に要する有効電力としての第1有効電力及び無効電力としての第1無効電力を算出するステップと、
    前記電気推進船の主機を除く電気負荷の電力消費をシミュレーションして、前記主機を除く電気負荷に要する有効電力としての第2有効電力及び無効電力としての第2無効電力を算出するステップと、
    前記電気推進船の発電機の発電電力をシミュレーションして、前記発電機の発生する有効電力としての第3有効電力及び無効電力としての第3無効電力を算出するステップと、
    前記第1有効電力及び前記第1無効電力と、前記第2有効電力及び前記第2無効電力と、前記第3有効電力及び前記第3無効電力との入力に基づいて、前記電気推進船における前記主機と前記主機を除く電気負荷の消費電力及び前記発電機の発電電力を含む船内電力系統の電力をシミュレーションして、前記船内電力系統の電力の取るべき系統内電圧及び系統内周波数を算出するステップ
    具備す
    電気推進船シミュレーション方法。
  5. 前記第1有効電力及び前記第1無効電力の出には、前記主機のトルク特性としてのロビンソンカーブを用い
    請求項に記載の電気推進船シミュレーション方法。
  6. 電気推進船のモータの回転数を指示する回転数指令の入力に基づいて、前記電気推進船の主機及び船体の運動及び電力消費をシミュレーションして、前記電気推進船の速度としての船速及び前記電気推進船の移動距離としての航走距離と共に前記主機に要する有効電力としての第1有効電力及び無効電力としての第1無効電力を算出するステップと、
    前記電気推進船の主機を除く電気負荷の電力消費をシミュレーションして、前記主機を除く電気負荷に要する有効電力としての第2有効電力及び無効電力としての第2無効電力を算出するステップと、
    前記電気推進船の発電機の発電電力をシミュレーションして、前記発電機の発生する有効電力としての第3有効電力及び無効電力としての第3無効電力を算出するステップと、
    前記第1有効電力及び前記第1無効電力と、前記第2有効電力及び前記第2無効電力と、前記第3有効電力及び前記第3無効電力との入力に基づいて、前記電気推進船における前記主機と前記主機を除く電気負荷及び前記発電機の発電電力を含む船内電力系統の電力をシミュレーションして、前記船内電力系統の電力の取るべき系統内電圧及び系統内周波数を算出するステップ
    具備する方法をコンピューターに実行させるためのプログラム。
  7. 前記第1有効電力及び前記第1無効電力の出には、前主機のトルク特性としてのロビンソンカーブを用いる
    求項に記載の方法をコンピューターに実行させるためのプログラム。
  8. 前記船速、前記航走距離、前記第1有効電力及び前記第1無効電力、前記系統内電圧及び前記系統内周波数の内の少なくとも一つを表示装置に表示させるステッ
    更に具備する請求項又はに記載の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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