JP6941641B2 - エポキシモールド電力機器の劣化診断方法、エポキシモールド電力機器の劣化診断システム - Google Patents

エポキシモールド電力機器の劣化診断方法、エポキシモールド電力機器の劣化診断システム Download PDF

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変圧器や高圧盤などの受変電設備においては、寿命を予知したり、事故を未然に防止することが大切である。このため、受変電設備で起こる設備の劣化や事故につながる前兆的現象に注目し、事前に対策を行う予測保全がこれまでに提案されている。受変電設備で起こるこのような前兆の一つとして、受変電設備内の絶縁機能が低下した場合に発生する部分放電がある。
電力機器の絶縁体中にボイド等の欠陥が存在すると、部分放電が発生する。詳細には、欠陥における部分的な絶縁破壊に由来して、欠陥に印加される電圧が臨界電圧すなわち火花電圧を超えると、部分放電が発生する。この部分放電が繰り返されると最終的には絶縁体全体として絶縁破壊に至り、停電を初めとする送配電に支障を来す事態が発生するおそれがある。一方、この部分放電の検出のために送配電を停止するのは、極めて煩雑である。
そこで、送配電を停止することなく、すなわち活線状態で絶縁体の部分放電を検出するために、部分放電時に発生する超音波を検出することにより部分放電を検出する方法が提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。
特開2004−335953号公報
ところで、変圧器などの電力機器においては、絶縁材料として絶縁油が利用されるものの他、エポキシ樹脂などの固体絶縁材料が利用されるものが存在する。このような固体絶縁材料を有する電力機器の場合、部分放電が生じている状態が継続すると、絶縁材料が樹枝状に侵食されて電気トリーが生じる。この結果、絶縁耐力が低下し、最終的に全路破壊に至る。
よって、電力機器に電気トリーが生じていると、当該電力機器は近い将来において、全路破壊が生じる可能性がある。通電状態の下で電力機器に全路破壊が生じると、地絡に伴う停電事故が生じるため、回避すべき事象である。
ところで、電力機器の交換作業は、停電作業を伴うものである上、作業にはコストが発生する。更に、電力機器の数は膨大であるため、内部において放電が生じている全ての電力機器に対して交換作業を行うのはおよそ現実的ではない。このため、交換の必要性が極めて高い電力機器を優先的に交換するのが好ましい。しかし、現時点において、これらの電力機器に関して、交換の必要性の高低についての順位付けを行う方法は知られていない。
本発明は、上記の課題に鑑み、交換の必要性が特に高いエポキシモールド電力機器の認定に利用することのできる、エポキシモールド電力機器の劣化診断方法、及びエポキシモールド電力機器の劣化診断システムを提供することを目的とする。
本発明は、エポキシモールド電力機器の劣化診断方法であって、
前記エポキシモールド電力機器の近傍にアンテナを設置する工程(a)と、
前記アンテナで電波信号を受信する工程(b)と、
前記電波信号を周波数別の強度に分解する工程(c)と、
前記工程(c)の結果、少なくとも300MHzを含み、200MHz以上、400MHz以下の周波数帯に属する、第一周波数帯の信号が、ノイズレベルを超える所定の第一閾値を上回っている場合には、前記エポキシモールド電力機器の状態が、劣化が進行した第一状態に達していることを示す第一信号を出力する工程(d)とを含むことを特徴とする。
本発明者の鋭意研究によれば、エポキシモールド電力機器内で部分放電が進行し、電気トリーが発生するような状態になると、300MHzの周辺の周波数成分を含む電波信号がエポキシモールド電力機器から発信されることが確認された。一方で、電気トリーが発生しない場合には、たとえ、エポキシモールド電力機器内で部分放電が発生している状態であっても、300MHzの周辺の周波数成分を含む電波信号はエポキシモールド電力機器からは発信されないことが確認された。
よって、エポキシモールド電力機器の近傍に設置されたアンテナによって受信した信号を周波数別の強度に分解し、300MHzの周辺の周波数帯に、所定の第一閾値(これはノイズレベルを超えるレベルである。)を上回る強度の信号が含まれている場合には、エポキシモールド電力機器内で電気トリーが生じている可能性が高いと判断できる。この場合、当該エポキシモールド電力機器が劣化が進行している第一状態にある旨の信号(第一信号)を出力することで、このエポキシモールド電力機器に対する交換の緊急性を報知することができる。
より具体的には、この第一信号として、前記エポキシモールド電力機器に電気トリーが進行していることを示す情報、前記エポキシモールド電力機器の即時交換を促す情報、又は前記エポキシモールド電力機器が不良状態であることを示す情報の少なくともいずれかを含むことができる。
ここで、工程(a)において、アンテナが設置される場所は、エポキシモールド電力機器から発信される電波信号を受信可能な範囲内であればよい。すなわち、本明細書において、「エポキシモールド電力機器の近傍」とは、エポキシモールド電力機器から発信される電波信号をアンテナによって受信可能な範囲内の領域を指す。より具体的には、エポキシモールド電力機器の外表面から3m以内の領域であるのが好ましく、2m以内の領域であるのがより好ましい。また、エポキシモールド電力機器に対して電圧が供給された状態(活線状態)で作業が行われるため、作業者に対する安全面を考慮して、アンテナはエポキシモールド電力機器から50cm以上離れた領域に設置するのが好ましく、1m以上離れた領域にするのがより好ましい。以上の点から、アンテナは、エポキシモールド電力機器から1m以上、2m以内の距離だけ離れた位置に設置されるのが特に好ましい。
なお、エポキシモールド電力機器が閉空間である筐体内に配置されている場合には、前記工程(a)において、アンテナを筐体内に配置するものとしても構わない。ここで筐体とは、例えばキュービクルが想定される。
例えば、電波信号を周波数別の強度に分解する処理を行う処理部(周波数分析部)は、専用の装置又は汎用のコンピュータ(以下、「装置等」という。)によって実現され、この装置等がアンテナとケーブルを介して接続される。この場合、アンテナを筐体内に配置し、ケーブルを筐体の扉の隙間を通じて筐体外に這わせることで、筐体外に配置された処理部に対してアンテナで受信した電波信号を送信することができる。この場合、筐体の外側に存在する、エポキシモールド電力機器に由来しない電波信号(以下、「環境電波」と呼ぶ。)を、アンテナで受信しづらくすることができ、診断精度を向上させることができる。
エポキシモールド電力機器の状態が、第一状態に達しているか否かの判定を行うための、第一周波数帯の信号としては、300MHzを含み、300MHzの近傍の周波数帯であればよい。例えば、250MHz以上、350MHz以下の周波数帯としても構わないし、200MHz以上、400MHz以下の周波数帯としても構わない。本発明者の鋭意研究により、エポキシモールド電力機器に電気トリーが生じている場合、特定の周波数の信号のみにスパイク的に強度が現れるのではなく、300MHzを含むある一定の周波数帯の範囲内に高い強度が現れることが確認された。かかる観点から、第一周波数帯の幅は50MHz以上であるのが好ましい。
一方で、本発明者の鋭意研究により、エポキシモールド電力機器に電気トリーが生じている場合、エポキシモールド電力機器から発信される電波信号には、400MHzより高い周波数成分や、200MHzより低い周波数成分が実質的に含まれない。このため、第一周波数帯としては、300MHzを含み、200MHz以上400MHz以下の範囲内に属する周波数帯が設定される。
エポキシモールド電力機器の状態が、劣化が進行した第一状態に達しているかどうかを判定する具体的な方法としては、例えば以下の方法を採用することができる。
第一の方法としては、0MHz以上、500MHz以下の範囲内の信号の積分強度に対する、前記第一周波数帯の信号の積分強度が、25%を超える場合に、エポキシモールド電力機器の状態が第一状態に達していると判断する方法である。
第二の方法としては、前記第一周波数帯よりも低い周波数帯に属する信号のピーク強度で規格化したときに、前記第一周波数帯に属する信号のピーク強度が0.2以上である場合に、エポキシモールド電力機器の状態が第一状態に達していると判断する方法である。この第二の方法において、第一周波数帯よりも低い周波数帯としては、例えば0MHz以上、200MHz以下の周波数帯とすることができる。
上記第一の方法、又は第二の方法によれば、いずれも第一周波数帯に属する信号のレベルが高いことが確認される。この結果、エポキシモールド電力機器に電気トリーが生じ、劣化が進行していることが検知される。なお、これらの第一の方法と第二の方法が組み合わせられても構わない。
前記エポキシモールド電力機器の劣化診断方法は、
前記(b)において受信された前記電波信号の波形を検知する工程(e)と、
前記工程(e)において検知された前記電波信号の波形が、立ち上がり時間が100n秒未満であり、且つ、1μ秒以内に収束する形状を示す場合に、前記電波信号の位相が前記エポキシモールド電力機器に印加されている電圧の位相に同期しているか否かを検知する工程(f)とを有し、
前記工程(f)において位相が同期している場合に、前記工程(d)を実行するものとしても構わない。
電波信号が、立ち上がり時間が100n秒未満の急峻な立ち上がりを示し、かつ、1μ秒以内に収束する形状を示し、且つ、位相が、エポキシモールド電力機器に印加されている電圧の位相に同期している場合には、エポキシモールド電力機器内において部分放電が生じている可能性が高い。一方で、電波信号の波形が上記のような条件を満たさない場合には、エポキシモールド電力機器内において部分放電が生じていないため、当然に、電気トリーが形成されている蓋然性は限りなく低い。よって、部分放電が生じている可能性が高いと考えられる場合にのみ、周波数別の信号強度に基づくエポキシモールド電力機器の劣化状態の判定工程である工程(d)が実行されることで、多くのエポキシモールド電力機器に対する劣化判定を行う場合に、処理時間を短縮化できる。
前記工程(d)において、前記第一周波数帯の信号の強度が前記第一閾値以下であり、且つ、少なくとも150MHzを含み、100MHz以上、200MHz未満の周波数帯に属する第二周波数帯の信号の強度が、前記ノイズレベルを超える所定の第二閾値を上回っている場合には、前記エポキシモールド電力機器の状態が、前記第一状態よりは劣化の程度は低いものの、劣化が進行している第二状態に達していることを示す第二信号を出力するものとしても構わない。
本発明者の鋭意研究によれば、エポキシモールド電力機器内で部分放電が生じている場合には、150MHzの周辺の周波数成分を含む電波信号がエポキシモールド電力機器から発信されることが確認された。一方で、上述したように、電気トリーが発生しない場合には、たとえ、エポキシモールド電力機器内で部分放電が発生している状態であっても、300MHzの周辺の周波数成分を含む電波信号はエポキシモールド電力機器からは発信されないことが確認された。
よって、エポキシモールド電力機器の近傍に設置されたアンテナによって受信した信号を周波数別の強度に分解し、300MHzの周辺の周波数帯には、第一閾値を上回る強度の信号が含まれていない一方で、150MHzの周辺の周波数帯には、所定の第二閾値(これはノイズレベルを超えるレベルである。)を上回る強度の信号が含まれている場合には、エポキシモールド電力機器内で電気トリーが生じるほどには進行していないものの、部分放電が生じている可能性が高いと判断できる。かかる状態は、上述したように、電気トリーが生じている状態(第一状態)よりは緊急性は低いものの、将来的に交換の必要がある状態である。
よって、当該エポキシモールド電力機器の状態が、前記第一状態よりは劣化の程度は低いものの、劣化が進行している第二状態に達していることを示す信号(第二信号)を出力することで、このエポキシモールド電力機器は、交換の緊急性はないものの、将来的な交換の必要性がある旨を報知することができる。
第二周波数帯としては、120MHz以上、180MHz以下の周波数帯としても構わないし、100MHz以上、200MHz以下の周波数帯としても構わない。
より具体的には、この第二信号として、前記エポキシモールド電力機器に部分放電が生じていることを示す情報、前記エポキシモールド電力機器の将来的な交換の必要性を示す情報、又は、前記エポキシモールド電力機器が要注意状態であることを示す情報の少なくともいずれかを含むことができる。
前記工程(d)において、前記第一周波数帯の信号の強度が前記第一閾値以下であり、前記第二周波数帯の信号の強度が前記第二閾値以下であり、且つ、0MHz以上、100MHz未満の信号の強度が、前記ノイズレベルを超える所定の第三閾値を上回っている場合には、前記エポキシモールド電力機器に沿面放電が生じていることを示す第三信号を出力するものとしても構わない。
本発明者の鋭意研究によれば、エポキシモールド電力機器内で部分放電が生じていない一方で、エポキシモールド電力機器内で沿面放電が生じている場合には、150MHz周辺の周波数成分や、300MHz周辺の周波数成分をほとんど含まず、100MHz未満の周波数帯に強度を示す電波信号がエポキシモールド電力機器から発信されることが確認された。
よって、かかる場合には、当該エポキシモールド電力機器に沿面放電が生じていることを示す信号(第三信号)を出力することで、例えば、エポキシモールド電力機器の表面を拭き取るなどの措置を施して、放電の進展を抑制することができる。
本発明は、エポキシモールド電力機器の劣化診断システムであって、
前記エポキシモールド電力機器から放射された電波信号を受信可能なアンテナと、
前記アンテナで受信された前記電波信号の周波数別の強度を検知可能な周波数分析部と、
前記周波数分析部において分析された周波数別の前記電波信号の強度に基づいて、前記エポキシモールド電力機器の劣化状態を判定する判定部とを有し、
前記判定部は、前記電波信号のうちの、少なくとも300MHzを含み、200MHz以上、400MHz以下の周波数帯に属する第一周波数帯の信号が、ノイズレベルを超える所定の第一閾値を上回っている場合には、前記エポキシモールド電力機器の状態が劣化が進行した第一状態に達していることを示す第一信号を出力することを特徴とする。
前記エポキシモールド電力機器の劣化診断システムは、前記アンテナで受信された前記電波信号の波形を検知可能な波形分析部を有し、
前記判定部は、前記波形分析部において分析された前記電波信号の波形が、立ち上がり時間が100n秒未満であると共に1μ秒以内に収束する形状を示し、且つ、前記電波信号の位相が前記エポキシモールド電力機器に印加されている電圧の位相に同期している場合に、周波数別の前記電波信号の強度に基づいて前記エポキシモールド電力機器の劣化状態判定処理を行うものとしても構わない。
前記判定部は、前記電波信号のうちの、前記第一周波数帯の信号の強度が前記第一閾値以下であり、且つ、少なくとも150MHzを含み、100MHz以上、200MHz未満の周波数帯に属する第二周波数帯の信号の強度が、前記ノイズレベルを超える所定の第二閾値を上回っている場合には、前記エポキシモールド電力機器の状態が、前記第一状態よりは劣化の程度は低いものの、劣化が進行している第二状態に達していることを示す第二信号を出力するものとしても構わない。
前記判定部は、前記第一周波数帯の信号の強度が前記第一閾値以下であり、前記第二周波数帯の信号の強度が前記第二閾値以下であり、且つ、0MHz以上、100MHz未満の信号の強度が、前記ノイズレベルを超える所定の第三閾値を上回っている場合には、前記エポキシモールド電力機器に沿面放電が生じていることを示す第三信号を出力するものとしても構わない。
ここで、周波数分析部、波形分析部及び判定部は、演算処理を行う機能的手段であって、汎用又は専用の装置で構成することができる。一例として、前記周波数分析部及び前記波形分析部は、前記アンテナと接続されたオシロスコープで構成され、前記判定部は、前記オシロスコープで得られた信号値に基づいて計算処理を行うコンピュータで構成されるものとしても構わない。
本発明によれば、交換の必要性が特に高いエポキシモールド電力機器を認定することができる。
エポキシモールド電力機器の劣化診断システムの実施形態を模式的に示す図面である。 劣化診断システムの構成を模式的に示すブロック図である。 実施例1−1の場合にアンテナで受信した電波信号を、オシロスコープに表示したときの表示画面の一例である。 実施例1−2の場合にアンテナで受信した電波信号を、オシロスコープに表示したときの表示画面の一例である。 実施例1−3の場合にアンテナで受信した電波信号を、オシロスコープに表示したときの表示画面の一例である。 実施例1−4の場合にアンテナで受信した電波信号を、オシロスコープに表示したときの表示画面の一例である。 実験系の構成を示す模式的な図面である。 沿面放電を発生させるための試験対象物の構成を示す模式的な図面である。 部分放電を発生させるための試験対象物35の構成を示す模式的な図面である。 実施例2−1の場合にアンテナで受信した電波信号を、周波数別にスペクトル分解したときの一例である。 実施例2−2の場合にアンテナで受信した電波信号を、周波数別にスペクトル分解したときの一例である。 実施例2−3の場合にアンテナで受信した電波信号を、周波数別にスペクトル分解したときの一例である。 実施例2−4の場合にアンテナで受信した電波信号を、周波数別にスペクトル分解したときの一例である。
本発明のエポキシモールド電力機器の劣化診断方法、及びエポキシモールド電力機器の劣化診断システムの実施形態につき、適宜図面を参照して説明する。なお、各図において図面の寸法比と実際の寸法比は必ずしも一致しない。
[エポキシモールド電力機器の劣化診断システムの構成]
図1は、エポキシモールド電力機器の劣化診断システム(以下、適宜「劣化診断システム」と略記する。)の実施形態を模式的に示す図面である。図1は、劣化診断の対象となるエポキシモールド電力機器が、キュービクル3内の変圧器5である場合が一例として示されている。
なお、エポキシモールド電力機器とは、絶縁体材料にエポキシモールド樹脂を含む絶縁性材料で構成された絶縁体を含む電力機器を指す。このような電力機器の一例としては、変圧器、開閉器、遮断器、ブッシングなどが挙げられる。
図1に示される劣化診断システム1は、アンテナ11、オシロスコープ12、及びコンピュータ13を備える。図1では、アンテナ11は、キュービクル3内の変圧器5の近傍に設置される場合が図示されている。アンテナ11とオシロスコープ12とは、ケーブル10によって接続されている。キュービクル3の開閉扉4を閉じた状態でも、開閉扉4の隙間を通じてケーブル10をキュービクル3の外側に這わせることができる。なお、開閉扉4に隙間が全く存在しない場合には、開閉扉4を完全に閉鎖せずに、ケーブル10を通すことができる程度に隙間を開けておけばよい。
図2は、劣化診断システム1の構成を模式的に示すブロック図である。オシロスコープ12は、周波数分析部12a、波形分析部12b、及び表示部12cを有する。コンピュータ13は、判定部13a、情報出力部13b、及び表示部13cを有する。
周波数分析部12aは、アンテナ11で受信された電波信号の周波数別の強度を検出する演算手段である。なお周波数分析部12aは、例えば高速フーリエ変換(FFT)や、ウェーブレット変換などの手法によって演算処理を行うことができる。10MHz以下ごとに信号強度の検出ができればよく、5MHz以下ごとに信号強度の検出ができるのがより好ましい。
波形分析部12bは、アンテナ11で受信された電波信号の電圧波形を分析する演算手段である。具体的には、電波信号が示す電圧値の時間的な変化を認識することで、波形を分析することができる。
表示部12cは、周波数分析部12aによる分析結果や、波形分析部12bによる分析結果を視認させるためのモニタである。例えば、表示部12cには、電波信号の電圧波形や、周波数スペクトルが表示される。
判定部13aは、周波数分析部12a及び波形分析部12bによる分析結果に基づいて、診断対象となる電力機器(ここでは変圧器5)の劣化状態を判定する演算手段である。判定部13aによって行われる判定方法については、後述される。
情報出力部13b及び表示部13cは、判定部13aによる判定結果を出力するための手段である。例えば、情報出力部13bは、有線又は無線によって他のコンピュータ、スマートフォン、プリンタに対して判定結果に関する情報を出力する。また、表示部13cは、モニタで構成され、判定結果に関する情報を表示する。
[エポキシモールド電力機器の劣化診断方法の手順]
以下、劣化診断システム1によるエポキシモールド電力機器の劣化診断方法の手順について説明する。
(ステップS1)
アンテナ11を、診断対象となるエポキシモールド電力機器(ここでは変圧器5)の近傍に配置する。後述されるように、変圧器5が劣化している場合、変圧器5から所定の電波信号が発信されるため、この電波信号を受信可能な位置にアンテナ11が配置される。具体的には、アンテナ11の配置位置は、変圧器5の外表面から3m以内の領域であるのが好ましく、2m以内の領域であるのがより好ましい。このとき、アンテナ11を磁石などによって固定するものとしても構わない。
なお、図1に示すように、対象となる電力機器(変圧器5)が、キュービクル3のような筐体内に配置されている場合には、アンテナ11を筐体内に配置した上で、開閉扉4を閉じるのが好ましい。これにより、キュービクル3の外部に存在する環境電波の、アンテナ11による受信感度が低下するため、外乱による誤診断が抑制される。
このステップS1が工程(a)に対応する。
(ステップS2)
アンテナ11とオシロスコープ12をケーブル10で接続し、アンテナ11によって受信した電波信号をオシロスコープ12に出力する。このステップS2が工程(b)に対応する。
(ステップS3)
オシロスコープ12に設けられた波形分析部12bによって、アンテナ11によって受信した電波信号の波形が検知される。このステップS3が工程(e)に対応する。
(ステップS4)
波形分析部12bによって検知された電波信号の電圧波形に関する情報が、コンピュータ13の判定部13aに送られる。判定部13aは、電波信号の電圧波形の立ち上がり時間が100n秒未満であり、且つ、1μ秒以内に収束する形状(三角形型の形状)を示すか否かの第一判定を行う。そして、この第一判定においてYESである場合には、更に電波信号の電圧波形が、変圧器5に印加されている電圧の位相に同期しているか否かの第二判定を行う。
図3A〜図3Dは、それぞれ異なるキュービクル3内に設置された変圧器5から発信されている電波信号をアンテナ11によって受信し、オシロスコープ12の表示部12c上に電圧波形を表示させた表示画面である。なお、各図には、後述される周波数スペクトルの波形も表示されている。
図3Aは、電気トリーが進展している変圧器5(実施例1−1)から発信されている電波信号の波形である。図3Bは、電気トリーは進展していないが、部分放電が生じている変圧器5(実施例1−2)から発信されている電波信号の波形である。図3Cは、電気トリーも部分放電も生じていない変圧器5(実施例1−3)から発信されている電波信号の波形である。図3Dは、電気トリーも部分放電も生じていないが、沿面放電が称している変圧器5(実施例1−4)から発信されている電波信号の波形である。
なお、図3A〜図3Dの各図において、上側に表示されている波形が電圧波形であり、横軸が時間、縦軸が強度に対応する。また、下側に表示されている波形が周波数別のスペクトルであり、横軸が周波数、縦軸が強度に対応する。電圧波形に対応する横軸は1目盛が100nsであり、スペクトルに対応する横軸は1目盛が50MHzである。
図3A及び図3Bによれば、部分放電が生じている変圧器5からは、立ち上がり時間が100n秒未満であり、1μ秒以内に収束する三角形状の電圧波形を示す電波信号が発信されていることが分かる。これに対し、図3C及び図3Dによれば、部分放電が生じていない変圧器5からは、このような形状の電圧波形を示す電波信号は発信されていない。
また、この電圧波形の立ち上がりのタイミングが、変圧器5に印加されている電圧の位相と同期している場合には、アンテナ11によって受信した電波信号が、変圧器5内で生じている部分放電に由来した信号である可能性が高い。これに対し、電圧波形の立ち上がりのタイミングが、電圧の位相とは関係ない場合には、インバータノイズなどのノイズ信号によるものであると考えられる。
よって、判定部13aは、電波信号の電圧波形の立ち上がり時間が100n秒未満であり、且つ、1μ秒以内に収束する形状(三角形型の形状)を示し、且つ、電波信号の電圧波形が、変圧器5に印加されている電圧の位相に同期している場合には、変圧器5内で部分放電が生じている可能性が高いと判断する。
なお、変圧器5内で部分放電が生じている場合に、アンテナ11によって受信した電波信号が、上記のような三角形型の形状を示す理由としては、部分放電が放電1回あたり数n秒間の現象であることから、受信した電波信号も1μ秒以内の短時間で収束するためと考えられる。
このステップS4が、工程(f)に対応する。
(ステップS5)
オシロスコープ12に設けられた周波数分析部12aによって、アンテナ11によって受信した電波信号の強度が周波数別に分解される。このステップS5が工程(b)に対応する。
なお、このステップS5は、ステップS3と共に実行されるものとしても構わないし、ステップS4において判定部13aにおいて変圧器5内で部分放電が生じている可能性が高いと判断された場合に限って実行されるものとしても構わない。
このステップS5が、工程(b)に対応する。
(ステップS6)
周波数分析部12aによって検知された電波信号の周波数別の強度(周波数スペクトル)に関する情報が、コンピュータ13の判定部13aに送られる。判定部13aは、電波信号が、少なくとも300MHzを含み、200MHz以上、400MHz以下の周波数帯に属する、第一周波数帯の信号が、ノイズレベルを超える所定の第一閾値を上回っているか否かの判定を行う。この判定においてYESである場合には、変圧器5内で電気トリーが進展している可能性が高いと判定される。
図3A及び図3Bを比較すると、実施例1−1の変圧器5からは200MHz以上、400MHz以下の周波数帯に高い信号強度が現れている。これに対し、実施例1−2の変圧器5からは、同周波数帯には高い信号強度が確認されていない。なお、実施例1−3,実施例1−4についても同様である。
この点につき、実験系のデータも参照して更に説明する。図4Aは、実験系の構成を示す模式的な図面である。試験空間30内に載置された試験台31上に、試験対象物35及びアンテナ32を設置し、アンテナ32で受信した電波信号をケーブル33を介してオシロスコープ34に入力した。試験対象物35は、1.1kΩの抵抗を介して接地した。アンテナ32は、試験対象物35から1m離れた箇所に設置した。アンテナ32としては、小型モービルアンテナが採用された。
図4Bは、沿面放電を発生させるための試験対象物35の構成を示す模式的な図面である。6kV用の支持碍子41の高圧側ヒダ表面に、針電極42を介して1.5kVの交流電圧を印加したものが、試験対象物35として利用された。
図4Cは、部分放電を発生させるための試験対象物35の構成を示す模式的な図面である。エポキシ樹脂の小片51に針電極53を介して13kVの交流電圧を印加したものが、試験対象物35として利用された。なお、針電極53の先端には0.5mm程度の空隙(ボイド)が設けられ、小片51の接地側には導電性ペースト54を介してアルミニウム電極が配置され、試験対象物35に対して平面方向に均一に電圧が印加されるように構成されている。
図5A〜図5Cは、図4Cに示す試験対象物35から発信された電波信号をアンテナ32で受信し、オシロスコープ34において周波数別にスペクトル分解した結果を示すグラフである。また、図5Dは、図4Bに示す試験対象物35から発信された電波信号をアンテナ32で受信し、オシロスコープ34において周波数別にスペクトル分解した結果を示すグラフである。
なお、図4Cに示す試験対象物35を用いた場合において、電圧の印加初期のスペクトルが図5Cに対応し、印加時間が長くなるに連れ、図5B、図5Aの順に波形が変化した。
図5C(実施例2−3)によれば、部分放電が生じていない場合には、150MHzの付近、300MHzの付近の双方には、電波信号の強度が確認されなかった。一方、部分放電が生じ始めると、図5B(実施例2−2)に示すように、150MHz付近、特に100MHz以上、200MHz未満の周波数帯に電波信号の高い強度が確認された。更に、部分放電が進展して電気トリーが生じるようになると、図5A(実施例2−1)に示すように、300MHz付近、特に200MHz以上、400MHz未満の周波数帯に電波信号の高い強度が確認された。
また、図5Dによれば、部分放電が生じていないものの、沿面放電が生じている場合には、100MHz未満の周波数帯に電波信号の高い強度が確認された。
よって、判定部13aは、電波信号が、少なくとも300MHzを含み、200MHz以上、400MHz以下の周波数帯に属する、第一周波数帯の信号が、ノイズレベルを超える所定の第一閾値を上回っていることを確認すると、変圧器5内で電気トリーが進展している可能性が高いと判定することができる。
一例として、0MHz以上、500MHz以下の範囲内の信号の積分強度に対する、第一周波数帯の信号の積分強度が、25%を超える場合に、判定部13aは、第一周波数帯の信号が第一閾値を上回っていると判断する。また、別の一例として、第一周波数帯よりも低い周波数帯(例えば0MHz以上、200MHz未満)に属する信号のピーク強度で規格化したときに、第一周波数帯に属する信号のピーク強度が0.2以上である場合に、判定部13aは、第一周波数帯の信号が第一閾値を上回っていると判断する。
判定部13aによって、変圧器5内で電気トリーが進展している可能性が高いと判定されると、情報出力部13bは、その旨の情報を他のコンピュータ、スマートフォン、又はプリンタに出力する。また、表示部13cは、その旨の情報を表示することで、作業者に対して視認可能にさせる。これらの情報は、「第一信号」に含まれる。
これにより、当該変圧器5は、交換作業の必要性が極めて高いことを関係者に知らせることができる。
更に、判定部13aは、変圧器5内で電気トリーが進展している可能性が低いと判定した場合において、電波信号が、少なくとも150MHzを含み、100MHz以上、200MHz未満の周波数帯に属する第二周波数帯の信号の強度が、ノイズレベルを超える所定の第二閾値を上回っている場合には、変圧器5内で電気トリーは進展していないものの部分放電が生じている可能性が高いと判定するものとしてもよい。
判定部13aによって、変圧器5内で部分放電が生じている可能性が高いと判定されると、情報出力部13bは、その旨の情報を他のコンピュータ、スマートフォン、又はプリンタに出力する。また、表示部13cは、その旨の情報を表示することで、作業者に対して視認可能にさせる。これらの情報は、「第二信号」に含まれる。
これにより、当該変圧器5は、交換の緊急性はないものの、将来的な交換の必要性がある旨を関係者に知らせることができる。
一例として、0MHz以上、500MHz以下の範囲内の信号の積分強度に対する、第二周波数帯の信号の積分強度が、30%を超える場合に、判定部13aは、第二周波数帯の信号が第二閾値を上回っていると判断する。また、別の一例として、第二周波数帯よりも低い周波数帯(例えば0MHz以上、100MHz未満)に属する信号のピーク強度で規格化したときに、第二周波数帯に属する信号のピーク強度が0.2以上である場合に、判定部13aは、第二周波数帯の信号が第二閾値を上回っていると判断する。
更に、判定部13aは、変圧器5内で部分放電が生じている可能性が低いと判定した場合において、電波信号の0MHz以上、100MHz未満の強度が、ノイズレベルを超える所定の第三閾値を上回っている場合には、変圧器5に沿面放電が生じている可能性が高いと判定するものとしてもよい。
判定部13aによって、変圧器5内で部分放電が生じている可能性が高いと判定されると、情報出力部13bは、その旨の情報を他のコンピュータ、スマートフォン、又はプリンタに出力する。また、表示部13cは、その旨の情報を表示することで、作業者に対して視認可能にさせる。これらの情報は、「第三信号」に含まれる。
これにより、当該変圧器5は沿面放電が生じているため、関係者に対して変圧器5の表面を拭き取るなどの措置を促すことができる。
このステップS6が、工程(d)に対応する。
[別実施形態]
上記の実施形態では、劣化診断システム1が、オシロスコープ12とコンピュータ13とを備えるものとして説明した。しかし、劣化診断システム1は、少なくとも、アンテナ11で受信された電波信号の周波数別の強度を検知可能な周波数分析部12aと、周波数分析部12aにおいて分析された周波数別の電波信号の強度に基づいて、変圧器5などのエポキシモールド電力機器の劣化状態を判定する判定部13aとを有していればよい。つまり、周波数分析部12aと判定部13aとがいずれも同一のコンピュータ13によって実現されていても構わないし、同一のオシロスコープ12によって実現されていても構わない。更には、周波数分析部12aと判定部13aを含む、専用の装置によって実現されていても構わない。
1 : エポキシモールド電力機器の劣化診断システム
3 : キュービクル
4 : 開閉扉
5 : 変圧器
10 : ケーブル
11 : アンテナ
12 : オシロスコープ
12a : 周波数分析部
12b : 波形分析部
12c : 表示部
13 : コンピュータ
13a : 判定部
13b : 情報出力部
13c : 表示部
30 : 試験空間
31 : 試験台
32 : アンテナ
33 : ケーブル
34 : オシロスコープ
35 : 試験対象物
41 : 支持碍子
42 : 針電極
51 : エポキシ樹脂小片
52 : ボイド
53 : 針電極
54 : 導電性ペースト

Claims (10)

  1. エポキシモールド電力機器の劣化診断方法であって、
    前記エポキシモールド電力機器の近傍にアンテナを設置する工程(a)と、
    前記アンテナで電波信号を受信する工程(b)と、
    前記電波信号を周波数別の強度に分解する工程(c)と、
    前記工程(c)の結果、少なくとも300MHzを含み、200MHz以上、400MHz以下の周波数帯に属する、第一周波数帯の信号が、ノイズレベルを超える所定の第一閾値を上回っている場合には、前記エポキシモールド電力機器の状態が、劣化が進行した第一状態に達していることを示す第一信号を出力する工程(d)とを含み、
    前記工程(d)において、前記第一周波数帯の信号の強度が前記第一閾値以下であり、且つ、少なくとも150MHzを含み、100MHz以上、200MHz未満の周波数帯に属する第二周波数帯の信号の強度が、前記ノイズレベルを超える所定の第二閾値を上回っている場合には、前記エポキシモールド電力機器の状態が、前記第一状態よりは劣化の程度は低いものの、劣化が進行している第二状態に達していることを示す第二信号を出力することを特徴とする、エポキシモールド電力機器の劣化診断方法。
  2. 前記エポキシモールド電力機器は、閉空間である筐体内に配置されており、
    前記工程(a)は、前記アンテナを前記筐体内に配置する工程であることを特徴とする、請求項1に記載のエポキシモールド電力機器の劣化診断方法。
  3. 前記工程(d)は、0MHz以上、500MHz以下の範囲内の信号の積分強度に対する、前記第一周波数帯の信号の積分強度が、25%以上である場合に、前記第一信号を出力する工程であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のエポキシモールド電力機器の劣化診断方法。
  4. 前記工程(d)は、前記第一周波数帯よりも低い周波数帯に属する信号のピーク強度で規格化したときに、前記第一周波数帯に属する信号のピーク強度が0.2以上である場合に、前記第一信号を出力する工程であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のエポキシモールド電力機器の劣化診断方法。
  5. 前記工程(d)において、前記第一周波数帯の信号の強度が前記第一閾値以下であり、前記第二周波数帯の信号の強度が前記第二閾値以下であり、且つ、0MHz以上、100MHz未満の信号の強度が、前記ノイズレベルを超える所定の第三閾値を上回っている場合には、前記エポキシモールド電力機器に沿面放電が生じていることを示す第三信号を出力することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のエポキシモールド電力機器の劣化診断方法。
  6. 前記(b)において受信された前記電波信号の波形を検知する工程(e)と、
    前記工程(e)において検知された前記電波信号の波形が、立ち上がり時間が100n秒未満であり、且つ、1μ秒以内に収束する形状を示す場合に、前記電波信号の位相が前記エポキシモールド電力機器に印加されている電圧の位相に同期しているか否かを検知する工程(f)とを有し、
    前記工程(f)において位相が同期している場合に、前記工程(d)を実行することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のエポキシモールド電力機器の劣化診断方法。
  7. エポキシモールド電力機器の劣化診断システムであって、
    前記エポキシモールド電力機器から放射された電波信号を受信可能なアンテナと、
    前記アンテナで受信された前記電波信号の周波数別の強度を検知可能な周波数分析部と、
    前記周波数分析部において分析された周波数別の前記電波信号の強度に基づいて、前記エポキシモールド電力機器の劣化状態を判定する判定部とを有し、
    前記判定部は、前記電波信号のうちの、少なくとも300MHzを含み、200MHz以上、400MHz以下の周波数帯に属する第一周波数帯の信号が、ノイズレベルを超える所定の第一閾値を上回っている場合には、前記エポキシモールド電力機器の状態が劣化が進行した第一状態に達していることを示す第一信号を出力し、
    前記判定部は、前記電波信号のうちの、前記第一周波数帯の信号の強度が前記第一閾値以下であり、且つ、少なくとも150MHzを含み、100MHz以上、200MHz未満の周波数帯に属する第二周波数帯の信号の強度が、前記ノイズレベルを超える所定の第二閾値を上回っている場合には、前記エポキシモールド電力機器の状態が、前記第一状態よりは劣化の程度は低いものの、劣化が進行している第二状態に達していることを示す第二信号を出力することを特徴とする、エポキシモールド電力機器の劣化診断システム。
  8. 前記アンテナで受信された前記電波信号の波形を検知可能な波形分析部を有し、
    前記判定部は、前記波形分析部において分析された前記電波信号の波形が、立ち上がり時間が100n秒未満であると共に1μ秒以内に収束する形状を示し、且つ、前記電波信号の位相が前記エポキシモールド電力機器に印加されている電圧の位相に同期している場合に、周波数別の前記電波信号の強度に基づいて前記エポキシモールド電力機器の劣化状態の判定処理を行うことを特徴とする、請求項7に記載のエポキシモールド電力機器の劣化診断システム。
  9. 前記判定部は、前記第一周波数帯の信号の強度が前記第一閾値以下であり、前記第二周波数帯の信号の強度が前記第二閾値以下であり、且つ、0MHz以上、100MHz未満の信号の強度が、前記ノイズレベルを超える所定の第三閾値を上回っている場合には、前記エポキシモールド電力機器に沿面放電が生じていることを示す第三信号を出力することを特徴とする、請求項7又は8に記載のエポキシモールド電力機器の劣化診断システム。
  10. 前記周波数分析部及び前記波形分析部は、前記アンテナと接続されたオシロスコープで構成され、
    前記判定部は、前記オシロスコープで得られた信号値に基づいて計算処理を行うコンピュータで構成されることを特徴とする、請求項に記載のエポキシモールド電力機器の劣化診断システム。
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