JP6939074B2 - 地盤改良方法 - Google Patents

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  • Consolidation Of Soil By Introduction Of Solidifying Substances Into Soil (AREA)

Description

本発明は、液状化防止や支持力向上等を目的として、主に軟弱地盤に適用される地盤改良方法に関する。
地震による液状化は、地盤が鉛直支持力を失って建物の倒壊を招くほか、地盤の側方流動によって杭が損壊するなどの被害を引き起こすため、従来からさまざまな対策工が研究開発されており、過剰間隙水圧を消散させるドレーン工法や地下水位低下工法のほか、地盤改良による対策工としては、薬液注入等による固結工法や、サンドコンパクションパイル等による締固め工法などが知られている。
また、建築土木工事を行うにあたり、地盤の強度が不足している場合には、本体工事に先立って地盤改良を行う必要があり、それらの対策工としては、水ガラス溶液を主剤とした薬液を地盤内に浸透注入する薬液注入工法や、地盤内の所定領域に拡がる土を切削しつつ原位置でセメント系の硬化材と攪拌混合することで、強度が改善された改良体を地盤内に造成する方法などが知られている。
ここで、薬液注入による対策工は、液状化防止や地盤改良のために広く採用されており信頼性も高いが、コストが割高になるため、対象が広範囲にわたるときには採用が難しくなる場合がある。
一方、セメント等の水硬性材料を用いて液状化防止や地盤改良を図る場合には、十分な強度が期待できるものの、pH環境がアルカリ側に遷移することによって植物の生長を阻害したり、重金属を溶出させたりといった問題を引き起こす。
かかる状況下、動植物由来のナノファイバーが添加混合されてなるナノファイバー含有液を液状化防止あるいは強度改善の対象となる地盤に浸透注入する工法が研究開発された(特許文献1)。
特開2015−1043号公報
特許文献1記載の工法においては、対象地盤にナノファイバー含有液が浸透注入された後、該ナノファイバー含有液中のナノファイバーが土粒子に絡み付いて該土粒子のずれや移動に抵抗する繊維補強作用を発揮し、その結果、対象地盤全体のせん断変形が抑制されて液状化の発生が防止され、あるいは地盤強度が改善されるものと期待された。
しかしながら、ナノファイバーは、繊維径がnmオーダーであるため、粒径が大きな土粒子と絡み合わず、上述した繊維補強作用が十分に発揮されないという問題を生じていた。
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、ナノファイバーによる繊維補強作用を土粒子に及ぼしめることが可能な地盤改良方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る地盤改良方法は請求項1に記載したように、水、セルロースナノファイバー、二酸化炭素及び炭酸カルシウムを混合して第1のCNF含有液とし、次いで、該第1のCNF含有液を地盤に浸透させ又は該地盤と攪拌混合する地盤改良方法であって、前記炭酸カルシウムが前記水に溶解してなる炭酸水素カルシウムを、前記セルロースナノファイバーを足場として再び炭酸カルシウムとして土粒子間隙内で結晶化させるとともに、結晶化の際、前記セルロースナノファイバーと絡み合った状態でかつ土粒子表面まで延びるようにして固化させるものである。
また、本発明に係る地盤改良方法は請求項2に記載したように、水、セルロースナノファイバー及び二酸化炭素を混合して第2のCNF含有液とし、次いで、該第2のCNF含有液を炭酸カルシウムを主成分とする固形物の集合体に通水した後、地盤に浸透させ又は該地盤と攪拌混合する地盤改良方法であって、前記炭酸カルシウムが前記水に溶解してなる炭酸水素カルシウムを、前記セルロースナノファイバーを足場として再び炭酸カルシウムとして土粒子間隙内で結晶化させるとともに、結晶化の際、前記セルロースナノファイバーと絡み合った状態でかつ土粒子表面まで延びるようにして固化させるものである。
また、本発明に係る地盤改良方法は、前記第1のCNF含有液を、前記水の温度が前記地盤中の温度よりも低い状態で作製するものである。
また、本発明に係る地盤改良方法は、前記第2のCNF含有液を、前記水の温度が前記地盤中の温度よりも低い状態で作製するものである。
また、本発明に係る地盤改良方法は、前記第1のCNF含有液を、大気圧を上回る圧力下で作製するものである。
また、本発明に係る地盤改良方法は、前記第2のCNF含有液を、大気圧を上回る圧力下で作製するものである。
第1の発明に係る地盤改良方法においては、水、セルロースナノファイバー、二酸化炭素及び炭酸カルシウムを混合して第1のCNF含有液とし、次いで、該第1のCNF含有液を地盤に浸透させ又は該地盤と攪拌混合する。
このようにすると、第1のCNF含有液に含まれている炭酸カルシウムは、該第1のCNF含有液が作製された後、次式、
CaCO3+CO2+H2O → Ca(HCO32 (1)
により、炭酸水素カルシウムとして水に溶解し、かかる状態でセルロースナノファイバーとともに土粒子間隙を流れ、あるいは滞留する。
また、第2の発明に係る地盤改良方法においては、水、セルロースナノファイバー及び二酸化炭素を混合して第2のCNF含有液とし、次いで、該第2のCNF含有液を、炭酸カルシウムを主成分とする固形物の集合体に通水することにより、該固形物を構成する炭酸カルシウムを、(1)式により、炭酸水素カルシウムとして第2のCNF含有液に溶解させる。
次に、炭酸水素カルシウムが溶解した第2のCNF含有液を地盤に浸透させ又は該地盤と攪拌混合する。
このようにすると、第2のCNF含有液に含まれている炭酸水素カルシウムは、水に溶解した状態でセルロースナノファイバーとともに土粒子間隙を流れ、あるいは滞留する。
そして、第1の発明や第2の発明において、水に溶解した炭酸水素カルシウムがセルロースナノファイバーとともに土粒子間隙を流れ、あるいは滞留する際、水分が蒸発したり二酸化炭素が放出されたりすると、(1)式の化学平衡が左に移動し、水に溶解していた炭酸水素カルシウムは、セルロースナノファイバーを足場として再び炭酸カルシウムとして結晶化するとともに、結晶化の際には、セルロースナノファイバーと絡み合った状態でかつ土粒子表面まで延びるようにして固化する。
すなわち、上述した各発明によれば、固形物である炭酸カルシウムを炭酸水素カルシウムの形でいったん水に溶解させることにより、該炭酸水素カルシウムを所望の地盤改良範囲にくまなく行き渡らせるとともに、土粒子間隙内においてセルロースナノファイバーと絡み合う形で炭酸カルシウムとして再結晶させることが可能となり、かくして、土粒子同士は、炭酸カルシウムによる結合作用とセルロースナノファイバーによる補強作用との相乗作用によって強固に結合され、浸透あるいは攪拌混合の対象となった地盤のせん断強度は大幅に向上する。
上述した各発明においては、水の自然蒸発や二酸化炭素の自然放出によって炭酸カルシウムを再結晶化させるようにしてもよいが、水分蒸発や二酸化炭素の放出を促進させるようにすれば、地盤の強度発現も早期に実現することができる。
具体的には、第1のCNF含有液又は第2のCNF含有液を、水の温度が地盤中の温度よりも低い状態で作製するようにすれば、浸透後又は攪拌混合後に水温が上昇して二酸化炭素の溶解度が低下するので、二酸化炭素の放出が促進されるとともに、水分蒸発による寄与も期待できる。
なお、地盤深度にもよるが、地中温度よりも地表温度の方が低くなる時期、特に冬期に上述した各発明を実施することでも同様の作用効果が期待できる。
また、第1のCNF含有液又は第2のCNF含有液を、大気圧を上回る圧力下で作製するようにすれば、浸透又は攪拌混合後に大気圧に曝されたとき、気圧低下によって二酸化炭素の溶解度が低下するので、二酸化炭素の放出が同様に促進される、
第1実施形態に係る地盤改良方法の実施状況を示した概略図。 第1実施形態の変形例に係る地盤改良方法の実施状況を示した概略図。 第1実施形態の別の変形例に係る地盤改良方法の実施状況を示した概略図。 第2実施形態に係る地盤改良方法の実施状況を示した概略図。 第2実施形態の変形例に係る地盤改良方法の実施状況を示した概略図。 実証試験に用いた供試体の図であり、(a)は供試体の構成を示す縦断面図、(b)は、試験ケースを、供試体と通水される液体との組み合わせで示した縦断面図。 一軸圧縮強度試験の結果を示したグラフ。 炭酸カルシウムがセルロースナノファイバーと絡み合う形で再結晶した様子を示した顕微鏡写真(ケース3)。 図8(a)に示した顕微鏡写真の特徴部分を抽出して描いた図。 炭酸カルシウムがセルロースナノファイバーと絡み合う形で再結晶した様子を示した顕微鏡写真(ケース4)。 図9(a)に示した顕微鏡写真の特徴部分を抽出して描いた図。 炭酸カルシウムがセルロースナノファイバーと絡み合う形で再結晶した様子を示した顕微鏡写真(ケース5)。 図10(a)に示した顕微鏡写真の特徴部分を抽出して描いた図。
以下、本発明に係る地盤改良方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る地盤改良方法の実施状況を示した概略図である。同図(a)に示すように、本実施形態に係る地盤改良方法においては、まず、水、セルロースナノファイバー(図では、CNFと表記)、二酸化炭素及び炭酸カルシウムを混合し、これを第1のCNF含有液としてのCNF含有液5とする。
セルロースナノファイバー(セルロースミクロフィブリル)は、木材、パルプ、紙、布といった地球上に豊富に存在する植物由来資源から適宜取り出すことが可能であるが、とりわけ、建設時に発生する廃棄木材や製紙製材工場の残材、稲わらや麦わら、間伐材や流木といった従来であれば焼却処分されていたものから取り出すようにすれば、植物が光合成の際に吸収した二酸化炭素を大気に戻すことなく固定する形で有効利用することができる。
セルロースナノファイバーは例えば、パルプ等の植物繊維を超高圧ホモジナイザー処理でせん断力を加えることでミクロフィブリル化した10〜100nm径のセルロースナノファイバー、具体的にはダイセルファインケム株式会社から「セリッシュ」の商品名で販売されている微小繊維状セルロースで構成することができる。
炭酸カルシウムは、管理型の廃棄物として大量に野積みされている貝殻を再利用することができる。
ここで、CNF含有液5を作製するにあたっては、まず、炭酸カルシウムをセルロースナノファイバーとともに水に添加してタンク1内に注水し、次いで、該タンク内に二酸化炭素を吹き込むようにすればよいが、水については、その温度を、対象となる地盤中の温度よりも低く設定するとともに、大気圧を上回る圧力下で作製されるよう、タンク1を気密に構成しておくことで、二酸化炭素の溶解度を高めておく。
このように、水、セルロースナノファイバー、二酸化炭素及び炭酸カルシウムを混合すると、炭酸カルシウムは、次式、
CaCO3+CO2+H2O → Ca(HCO32 (1)
により、炭酸水素カルシウムとして水に溶解する。
なお、炭酸カルシウムは、その一部がタンク1内で溶解しきれず、固形物のまま、バルブ類を通過し、さらには地盤に浸透される場合も想定されるので、目詰まりによるトラブルを避けるべく、必要に応じて適宜破砕又は粉砕した上で上述した混合処理を行うのが望ましい。
次に、タンク1内に貯留されたCNF含有液5を、同図(b)に示すように、地盤改良の対象となる地盤2に浸透させる。地盤2は、軟弱地盤や液状化が懸念される地盤が対象となる。
浸透にあたっては、地盤2に中空ロッド3を挿入し、該中空ロッドの吐出口4からCNF含有液5を高圧噴射することで、噴射直前まで二酸化炭素の溶解度を低下させないようにするのが望ましい。
このようにすると、CNF含有液5は、炭酸水素カルシウムが水に溶解した状態でセルロースナノファイバーとともに地盤2の土粒子間隙を流れ、あるいは滞留する。
ここで、CNF含有液5は、土粒子間隙を流れている間あるいは滞留中、大気圧に曝されることで圧力が低下するとともに、地盤中の温度によって加温されるため、二酸化炭素の溶解度が低下し、(1)式の化学平衡が左に移動する。そして、CNF含有液5に溶解していた炭酸水素カルシウムは、セルロースナノファイバーを足場として再び炭酸カルシウムとして結晶化するとともに、結晶化の際には、セルロースナノファイバーと絡み合った状態でかつ土粒子表面まで延びるようにして固化する。
以上説明したように、本実施形態に係る地盤改良方法によれば、固形物である炭酸カルシウムを炭酸水素カルシウムの形でいったん水に溶解させることにより、該炭酸水素カルシウムを所望の地盤改良範囲にくまなく行き渡らせることができるとともに、土粒子間隙内においてセルロースナノファイバーと絡み合う形で炭酸カルシウムとして再結晶させることができる。
そのため、土粒子同士は、炭酸カルシウムによる結合作用とセルロースナノファイバーによる補強作用との相乗作用によって強固に結合することとなり、かくして地盤2のせん断強度を大幅に向上させることができる。
また、本実施形態に係る地盤改良方法によれば、炭酸カルシウムを補強する繊維をセルロースナノファイバーとしたので、数mmオーダーの繊維で補強する場合に比べ、中空ロッド3を介した高圧噴射が阻害されたり、その吐出口4近傍で目詰まりが生じたりすることなく、所望の地盤範囲にセルロースナノファイバーを行き渡らせることができるとともに、炭酸水素カルシウムが溶解した液のみを地盤に浸透させる場合に比べれば、土粒子間隙内を比較的ゆっくりと流れるため、流れが速すぎて炭酸カルシウムを再結晶させることができないという事態が未然に防止される。
本実施形態では、CNF含有液5を、水の温度が対象となる地盤中の温度よりも低い状態で作製したが、浸透後の圧力低下による二酸化炭素の溶解度低下によって、二酸化炭素の放出が十分に促進されるのであれば、作製時における上述の温度操作は不要である。
一方、浸透後の水温上昇による二酸化炭素の溶解度低下によって、二酸化炭素の放出が十分に促進されるのであれば、CNF含有液5を、大気圧を上回る圧力下で作製する必要はなく、図2に示すように、気密性のタンク1に代えて開放型の清水槽21を用い、該清水槽で、水、セルロースナノファイバー、二酸化炭素及び炭酸カルシウムを混合してCNF含有液5を作製するとともに、中空ロッド3を用いた高圧噴射工法に代えて、注水井戸22を用いた注水工法とし、該注水井戸を介してCNF含有液5を地盤2に浸透させるようにしてもかまわない。
また、吹込み等によって二酸化炭素を強制的に溶解させた後の該二酸化炭素の自然放出や水分の自然蒸発によって炭酸カルシウムの再結晶化を図ることができるのであれば、上述した実施形態のように、水の温度が地盤中の温度よりも低い状態でCNF含有液5を作製したり、大気圧を上回る圧力下でCNF含有液5を作製したりする必要はない。
また、本実施形態では、地盤改良の対象となる範囲にCNF含有液5を浸透させるようにしたが、これに代えて、所望の地盤範囲を攪拌しつつCNF含有液5を混合するようにしてもよい。
図3は、同図(a)に示すように上述の実施形態と同様の手順でCNF含有液5を作製した後、同図(b)に示すようにオーガスクリュー31によって地盤2を攪拌しつつ、該オーガスクリューの中空ロッドを介してCNF含有液5を吐出することで、CNF含有液5を地盤2と攪拌混合する変形例を示したものである。
かかる変形例においても、上述した実施形態と同様の作用効果を奏するが、ここではその説明を省略する。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。なお、上述の実施形態と実質的に同一の構成要素については同一の番号を付してその説明を省略する。
図4は、第2実施形態に係る地盤改良方法の実施状況を示した概略図である。同図(a)に示すように、本実施形態に係る地盤改良方法においては、まず、水、セルロースナノファイバー(図では、CNFと表記)及び二酸化炭素を気密性のタンク1内で混合して第2のCNF含有液としてのCNF含有液41を作製する。
CNF含有液41を作製するにあたっては、CNF含有液5の作製と同様、水の温度が対象となる地盤中の温度よりも低い状態で行うとともに、タンク1内で作製する、すなわち大気圧を上回る圧力環境下で行うことにより、二酸化炭素の溶解度を高めておく。
次に、CNF含有液41を、タンク44内に貯留された炭酸カルシウムを主成分とする固形物の集合体43に通水することにより、該固形物を構成する炭酸カルシウムを、(1)式により炭酸水素カルシウムとしてCNF含有液41に溶解させ、CNF含有液42とする。
集合体43は、管理型の廃棄物として大量に野積みされている貝殻、例えばホタテの貝殻を再利用すればよい。
タンク44は、CNF含有液41における二酸化炭素の溶解度が引き続き維持されるよう、 タンク1と同様、大気圧を上回る圧力環境を実現可能な気密性のタンクとする。
次に、CNF含有液42を、同図(b)に示すように、地盤改良の対象となる地盤2に浸透させる。浸透にあたっては、地盤2に中空ロッド3を挿入し、該中空ロッドの吐出口4からCNF含有液42を高圧噴射することで、噴射直前まで二酸化炭素の溶解度を低下させないようにするのが望ましい。
このようにすると、CNF含有液42は、炭酸水素カルシウムが水に溶解した状態でセルロースナノファイバーとともに地盤2の土粒子間隙を流れ、あるいは滞留する。
ここで、CNF含有液42は、土粒子間隙を流れている間あるいは滞留中、大気圧に曝されることで圧力が低下するとともに、地盤中の温度によって加温されるため、二酸化炭素の溶解度が低下し、(1)式の化学平衡が左に移動する。そして、CNF含有液42に溶解していた炭酸水素カルシウムは、セルロースナノファイバーを足場として再び炭酸カルシウムとして結晶化するとともに、結晶化の際には、セルロースナノファイバーと絡み合った状態でかつ土粒子表面まで延びるようにして固化する。
以上説明したように、本実施形態に係る地盤改良方法によれば、固形物である炭酸カルシウムを炭酸水素カルシウムの形でいったん水に溶解させることにより、該炭酸水素カルシウムを所望の地盤改良範囲にくまなく行き渡らせることができるとともに、土粒子間隙内においてセルロースナノファイバーと絡み合う形で炭酸カルシウムとして再結晶させることができる。
そのため、土粒子同士は、炭酸カルシウムによる結合作用とセルロースナノファイバーによる補強作用との相乗作用によって強固に結合することとなり、かくして地盤2のせん断強度を大幅に向上させることができる。
また、本実施形態に係る地盤改良方法によれば、炭酸カルシウムを補強する繊維をセルロースナノファイバーとしたので、数mmオーダーの繊維で補強する場合に比べ、中空ロッド3を介した高圧噴射が阻害されたり、その吐出口4近傍で目詰まりが生じたりすることなく、所望の地盤範囲にセルロースナノファイバーを行き渡らせることができるとともに、炭酸水素カルシウムが溶解した液のみを地盤に浸透させる場合に比べれば、土粒子間隙内を比較的ゆっくりと流れるため、流れが速すぎて炭酸カルシウムを再結晶させることができないという事態が未然に防止される。
本実施形態では、CNF含有液42を、水の温度が対象となる地盤中の温度よりも低い状態で作製したが、浸透後の圧力低下による二酸化炭素の溶解度低下によって、二酸化炭素の放出が十分に促進されるのであれば、作製時における上述の温度操作は不要である。
一方、浸透後の水温上昇による二酸化炭素の溶解度低下によって、二酸化炭素の放出が十分に促進されるのであれば、CNF含有液41を、大気圧を上回る圧力下で作製する必要はなく、図5に示すように、気密性のタンク1に代えて開放型の清水槽21を用い、該清水槽で、水、セルロースナノファイバー及び二酸化炭素を混合してCNF含有液52を作製するとともに、気密性のタンク44に代えて開放型の貯留槽53に集合体43を貯留し、該貯留槽にCNF含有液52を通水することで炭酸水素カルシウムを溶解させてCNF含有液54とし、しかる後、中空ロッド3を用いた高圧噴射工法に代えて、注水井戸22を用いた注水工法とし、該注水井戸を介してCNF含有液54を地盤2に浸透させるようにしてもかまわない。
また、吹込み等によって二酸化炭素を強制的に溶解させた後の該二酸化炭素の自然放出や水分の自然蒸発によって炭酸カルシウムの再結晶化を図ることができるのであれば、上述した実施形態のように、水の温度が地盤中の温度よりも低い状態でCNF含有液52を作製したり、大気圧を上回る圧力下でCNF含有液52を作製したりする必要はない。
また、本実施形態では、地盤改良の対象となる範囲にCNF含有液42を浸透させるようにしたが、これに代えて、第1実施形態と同様、所望の地盤範囲を攪拌しつつCNF含有液42を混合するようにしてもよい。
具体的には、上述の実施形態と同様の手順でCNF含有液42を作製した後、図3(b)で説明したと同様に、オーガスクリュー31によって地盤2を攪拌しつつ、該オーガスクリューの中空ロッドを介してCNF含有液42を吐出することで、CNF含有液42を地盤2と攪拌混合するようにすればよい。
かかる変形例においても、上述した実施形態と同様の作用効果を奏するが、ここではその説明を省略する。
[実証試験]
(1)試験概要
固形物である炭酸カルシウムを炭酸水素カルシウムの形でいったん水に溶解させた後、該炭酸水素カルシウムを土粒子間隙に浸透させてセルロースナノファイバーと絡み合う形で炭酸カルシウムとして再結晶させることができるかどうか、さらには強度改善が期待できるかどうかについて実証試験を行った。
図6(a)は、実証試験に用いた2種類の供試体を示したものであって、それらのうち、供試体63は、内径52mmのアクリルパイプ61内に上述の各実施形態に係る地盤2を模したビーズ層62を高さ15cmにわたって充填して構成してあり、供試体65は、同様のアクリルパイプ61内に地盤2を模したビーズ層62を高さ12cmにわたって充填するとともに、その上にCNF含有液5を作製する際に添加される炭酸カルシウム、あるいはCNF含有液41が通水される炭酸カルシウムを模した炭酸カルシウム層64を高さ3cmとなるように充填積層して構成してある。
ここで、ビーズ層62は、直径2〜2.8mmのガラスビーズを約0.6の間隙比で充填形成し、炭酸カルシウム層64は、鳥の餌として市販されているものを約0.85の間隙比で充填形成した。
図6(b)は、実証試験で行う試験ケース1〜5を、供試体63,65とそれらに通水される液体との組み合わせの形で示したものであり、ケース1は、蒸留水を供試体65に通水するケース、ケース2は炭酸水を供試体65に通水するケース、ケース3は、CNF含有水を供試体63に通水するケース、ケース4は、CNF含有水を供試体65に通水するケース、ケース5は、CNF炭酸水を供試体65に通水するケースである。
ここで、炭酸水は、蒸留水に二酸化炭素を注入してpHを約4.0に調整したもの、CNF含有水は、重量濃度で約0.5%となるようにセルロースナノファイバーを蒸留水に添加して約24時間スターラーで混練したもの、CNF炭酸水は、CNF含有水に二酸化炭素を注入してpHを約4.0に調整したものである。
(2)試験結果
通水試験を実施してから約一ヶ月間常温で空気乾燥させた後、強度不足で整形できなかったケース1,2を除くケース3〜5に対し、一軸圧縮強度試験を行った。その結果を応力ひずみ図として図7に示すとともに、ビーズ層62のビーズ間隙を観察した顕微鏡写真(100倍率)を図8〜図10に示す。
これらの図でわかるように、ケース3〜5についてはいずれも、セルロースナノファイバーが固まってできたセルロース膜が確認できた。この結果と、ケース3〜5における一軸圧縮強度の結果とを併せて検討すれば、セルロース膜がビーズ同士を互いに結合させる役割を果たしていることがわかる。
また、図10(a),(b)に示すように、ケース5の顕微鏡写真では、セルロース膜の表面に小さな粒が確認できるが、これは、炭酸カルシウムが再結晶化したものと推察されるため、供試体4,5の一軸圧縮強度の結果とも併せ検討すれば、炭酸カルシウムによる結合作用とセルロースナノファイバーによる補強作用とが相俟って、ケース5の一軸圧縮強度が最も高くなったものと推察できる。
2 地盤
5 CNF含有液(第1のCNF含有液)
41 CNF含有液(第2のCNF含有液)
43 集合体

Claims (6)

  1. 水、セルロースナノファイバー、二酸化炭素及び炭酸カルシウムを混合して第1のCNF含有液とし、次いで、該第1のCNF含有液を地盤に浸透させ又は該地盤と攪拌混合する地盤改良方法であって、前記炭酸カルシウムが前記水に溶解してなる炭酸水素カルシウムを、前記セルロースナノファイバーを足場として再び炭酸カルシウムとして土粒子間隙内で結晶化させるとともに、結晶化の際、前記セルロースナノファイバーと絡み合った状態でかつ土粒子表面まで延びるようにして固化させることを特徴とする地盤改良方法。
  2. 水、セルロースナノファイバー及び二酸化炭素を混合して第2のCNF含有液とし、次いで、該第2のCNF含有液を炭酸カルシウムを主成分とする固形物の集合体に通水した後、地盤に浸透させ又は該地盤と攪拌混合する地盤改良方法であって、前記炭酸カルシウムが前記水に溶解してなる炭酸水素カルシウムを、前記セルロースナノファイバーを足場として再び炭酸カルシウムとして土粒子間隙内で結晶化させるとともに、結晶化の際、前記セルロースナノファイバーと絡み合った状態でかつ土粒子表面まで延びるようにして固化させることを特徴とする地盤改良方法。
  3. 前記第1のCNF含有液を、前記水の温度が前記地盤中の温度よりも低い状態で作製する請求項1記載の地盤改良方法。
  4. 前記第2のCNF含有液を、前記水の温度が前記地盤中の温度よりも低い状態で作製する請求項2記載の地盤改良方法。
  5. 前記第1のCNF含有液を、大気圧を上回る圧力下で作製する請求項1記載の地盤改良方法。
  6. 前記第2のCNF含有液を、大気圧を上回る圧力下で作製する請求項2記載の地盤改良方法。
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