JP6938943B2 - 透明物品の評価方法 - Google Patents
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Description
上記構成によれば、測定装置を用いた場合であっても、人の視覚に基づく画像認識により近い測定結果が得られる。
以下、第1実施形態の透明物品の評価方法について説明する。
表示装置の表示面に配される透明物品に関して、当該透明物品を透過して見える像を人が見やすいと知覚する要素の一つとして、スパークル現象によるぎらつきが少ないことが挙げられる。スパークル現象によるぎらつきは、以下のようにして生じていると考えられる。すなわち、表示装置の表示面に配した透明物品の表面に、アンチグレア面等の凹凸形状が存在していると、その凹凸形状がレンズとして働くことにより、表示装置の1ピクセル中の輝度にばらつきが生じる。人の視覚に基づく画像認識(人の目の構造、目の働き、及び脳における処理を経た画像認識)は、この輝度のばらつきを、様々な色のぎらつきと感じる。第1実施形態の透明物品の評価方法は、透明物品におけるスパークル現象によるぎらつきを定量的に評価するものである。以下、その詳細について説明する。
透明物品は、表側に位置する第1主面と、裏側に位置する第2主面とを有するシート状又は板状をなしている。透明物品は、例えば、表示装置の表示面に配されて使用される。透明物品は、表示装置の表示面の上に取り付けられる部材であってもよい。すなわち、透明物品は、表示装置に事後的に取り付けられる部材であってもよい。
図1は、透明物品の評価方法に用いられる測定装置の概略図である。図1に示すように、面光源10の上にパターンマスク11を配置するとともに、パターンマスク11の上に、アンチグレア面を有する第1主面1aの反対側の面である第2主面1bがパターンマスク11側を向くようにして透明物品1を配置する。すなわち、透明物品1の第2主面1b側にパターンマスク11を配置するとともに、パターンマスク11を挟んで、透明物品1の第2主面1b側に面光源10を配置する。そして、透明物品1の第1主面1a側に所定の焦点距離のレンズを有する光検出器12を配置する。なお、透明物品1の第1主面1aが、表示装置の外側となる。
上記式(1)により算出されたスパークル値は、透明物品1について、人が知覚するぎらつきと相関関係を有している。具体的には、上記スパークル値が高いほど、人はぎらつきが大きいと知覚しやすい、という相関関係を有している。したがって、上記スパークル値を用いることにより、透明物品1のスパークル現象によるぎらつきに関して、人の視覚に基づく画像認識に近い定量的な評価を行うことができる。
(1)透明物品1の第2主面1b側にパターンマスク11を配置するとともに、パターンマスク11を挟んで第2主面1b側に面光源10を配置する。許容錯乱円径30〜70μmにおける前方被写界深度内に透明物品1の第1主面1a及びパターンマスク11のトップ面11aが含まれるようにして、第1主面1a側から透明物品1を光検出器12により撮像する。撮像することで得られた画像データを解析して得られるパターンマスク11のピクセル輝度の標準偏差を、画像データを解析して得られるパターンマスク11のピクセル輝度の平均値で除することによりスパークル値を求める。スパークル値に基づいて透明物品1のぎらつきを評価する。
上記構成によれば、測定装置を用いた場合であっても、人の視覚に基づく画像認識により近い測定結果が得られる。
以下、第2実施形態の透明物品の評価方法について説明する。
表示装置の表示面に配される透明物品に関して、当該透明物品を透過して見える像を人が見やすいと知覚する要素の一つとして、映り込みが抑えられていることが挙げられる。第2実施形態の透明物品の評価方法は、スパークル現象によるぎらつきを定量的に評価することに加えて、透明物品における映り込みを定量的に評価するものである。
輝度分布データの測定は、例えば、SMS−1000の反射分布測定モード(ソフトウェア Sparkle measurement system)により測定することができる。なお、正反射成分の輝度とはピーク輝度の半値幅の範囲の輝度を表す。
(3)透明物品の評価方法は、透明物品1のぎらつきの評価に加えて、透明物品1の第1主面1aに光源を映り込ませた像の輝度分布データから得られる全反射光の輝度に対する正反射成分の割合として求められるクラリティ値に基づいて、透明物品1の映り込みを評価する。
<試験1>
光学特性の異なる7種類の透明物品A〜Gを用意し、各透明物品のスパークル値を測定した。また、各透明物品のぎらつきについて、人の視覚に基づく官能評価を行い、官能評価の結果と測定されたスパークル値とを比較した。参考として、各透明物品のGloss値を測定し、測定されたGloss値と、ぎらつきの官能評価の結果とを比較した。
厚さ1mmのシート状のガラス基材(日本電気硝子社製:T2X−1)の表面に対して、スプレーコーティング装置を用いて、スプレーコート法によりアンチグレア面を形成することによりGloss値が異なる透明物品A〜Dを作製した。コーティング剤としては、水を含む液状媒体にアンチグレア膜の前駆体(テトラエトキシシラン)を溶解することで調製したコーティング剤を用いた。また、スプレー時間、焼成温度、及び焼成時間を変えることで4種類のGloss値の異なる透明物品A、B、C、Dを作製した。
エッチング法により形成されたアンチグレア面を有するGloss値の異なる3種類のガラス物品をそれぞれ透明物品E〜Gとして用いた。
SMS−1000(Display−Messtechnik&Systeme社製)を用いて、スパークル測定モードにより透明物品A〜Gのスパークル値を測定した。焦点距離100mmのレンズを用い、レンズ絞り径を4.5mm又は7.5mmに設定した。また、光検出器のセンサーサイズは1/3型であり、ピクセルサイズは3.75μm×3.75μmである。そして、焦点位置にトップ面が位置するようにパターンマスクを配置するとともに、パターンマスクのトップ面から第1主面までの距離が1.0mmとなるように透明物品A〜Gを配置した。
JIS Z8741(1997)に準拠して、透明物品A〜GのGloss値(%)を測定した。その結果を表1に示す。
20人のパネラーが、透明物品A〜Gのアンチグレア面が形成されている側と反対側からライトを当てつつ、アンチグレア面が形成されている側の主面を観察し、透明物品A〜Gについて、ぎらつきが少ないと感じた順にそれぞれ順位付けを行った。そして、各透明物品について全パネラーが付した順位の数値を合計し、その合計値が少ないものほど、ぎらつきが少ないとして、透明物品A〜Gをぎらつきが少ない順に並べた。その結果を表2に示す。
光学特性の異なる4種類の透明物品H〜Kを用意し、各透明物品のクラリティ値を測定した。また、各透明物品の映り込みについて、人の視覚に基づく官能評価を行い、官能評価の結果と測定されたクラリティ値とを比較した。参考として、各透明物品のGloss値を測定し、測定されたGloss値と、映り込みの官能評価の結果とを比較した。
厚さ1.3mmのシート状のガラス基材(日本電気硝子社製:T2X−1)の表面に対して、スプレーコーティング装置を用いて、スプレーコート法によりアンチグレア面を形成することにより映り込み状態が異なる透明物品H〜Kを作製した。コーティング剤としては、水を含む液状媒体にアンチグレア膜の前駆体(テトラエトキシシラン)を溶解することで調製したコーティング剤を用いた。
SMS−1000(Display−Messtechnik&Systeme社製)を用いて、反射分布測定モードにより透明物品H〜Kのクラリティ値(%)を測定した。なお、焦点距離16mmのレンズを用い、第1角度Θiを3°、透明物品の第1主面からレンズの距離を410mmに設定した。また、クラリティ値の測定は、透明物品のアンチグレア面が形成されている側の主面をSMS−1000のレンズ側に向けた状態として行った。クラリティ値の測定結果を表3に示す。
JIS Z8741(1997)に準拠して、透明物品H〜KのGloss値(%)を測定した。その結果を表3に示す。
20人のパネラーが、透明物品H〜Kのアンチグレア面が形成されている側の主面を観察し、透明物品A〜Gについて、映り込みが少ないと感じた順にそれぞれ順位付けを行った。そして、各透明物品について全パネラーが付した順位の数値を合計し、その合計値が少ないものほど、映り込みが少ないとして、透明物品H〜Kを映り込みが少ない順に並べた。その結果を表4に示す。
Claims (2)
- 表側に位置する第1主面及び裏側に位置する第2主面を有する透明物品の評価方法であって、
前記透明物品の前記第2主面側にパターンマスクを配置するとともに、前記パターンマスクを挟んで前記第2主面側に面光源を配置し、
許容錯乱円径30〜70μmにおける前方被写界深度内に前記透明物品の前記第1主面及び前記パターンマスクのトップ面が共に含まれるようにして、前記第1主面側から前記透明物品を撮像し、
撮像することで得られた画像データを解析して得られる前記パターンマスクのピクセル輝度の標準偏差を、前記画像データを解析して得られる前記パターンマスクのピクセル輝度の平均値で除することによりスパークル値を求め、
前記スパークル値に基づいて前記透明物品のぎらつきを評価することを特徴とする透明物品の評価方法。 - 前記透明物品を撮像する際のレンズの焦点位置を前記パターンマスクのトップ面に合わせることを特徴とする請求項1に記載の透明物品の評価方法。
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