JP6938333B2 - シリコン混晶層の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、シリコン混晶層の製造方法に関する。
シリコンゲルマニウム(Si−Ge)は、シリコンIV族混晶層を有する半導体材料の一つとして知られており、非常に利用価値の高い混晶材料である。Si−Ge混晶層がシリコン等の基板上に形成されてなる半導体材料は、トランジスタやダイオードの一部を構成するための材料として、広く用いられている。
Si−Ge混晶層を形成する方法は種々知られている。例えば、化学気相成長法(CVD)によりエピタキシャル成長を行うことにより、Si−Ge混晶層を形成する方法(特許文献1参照)、分子線エピタキシー法(MBE)によりエピタキシャル成長を行うことにより、Si−Ge混晶層を形成する方法(特許文献2参照)が開示されている。
特開2011−146684号公報 特開2004−172276号公報
しかしながら、特許文献1及び2に開示されている従来の方法では、SiHやGeH等の危険性が高いガスを使用する必要があるという問題があった。また、エピタキシャル成長を行う工程は、高価な装置と高度な技術が必要であるので、成膜に長時間を要するという問題もあった。この観点から、シリコンを含有する混晶層を、安全且つ容易に形成することができる方法の開発が望まれていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、シリコン混晶層を安全、且つ、容易に形成でき、しかも、シリコン混晶層を基板上に連続的に形成でき、シリコンとゲルマニウムの組成比の調整も容易であるシリコン混晶層の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の工程を備えるようにしたことで、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、例えば、以下の項に記載の主題を包含する。
項1
シリコン含有基板上に、アルミニウムを含有する第1の層を積層する第1の積層工程と、
前記第1の層上に、ゲルマニウムを含有する第2の層を積層する第2の積層工程と、
前記第1の層及び前記第2の層が積層された前記シリコン含有基板を、500℃以上1000℃以下の範囲で熱処理する熱処理工程Aと、
を順に備え、
前記第2の層中、ゲルマニウムの質量と、アルミニウムの質量との比が100:0〜10:90である、シリコン混晶層の製造方法。
項2
前記第1の積層工程と前記第2の積層工程との間に、前記第1の層が積層された前記シリコン含有基板を、100℃以上1000℃以下の範囲で熱処理する熱処理工程Bをさらに備える、項1に記載の製造方法。
項3
前記第1の層は、アルミニウム100質量部に対して0.1質量部以上100重量部以下のシリコンを含有する、請求項1又は2に記載の製造方法。
項4
前記第2の層は、前記ゲルマニウムを含むペースト組成物を用いて形成される、項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
項5
前記ペースト組成物は、前記ゲルマニウムの総量100質量部あたり、前記アルミニウムを0質量部以上900質量部以下含有し、
前記ペースト組成物は、ゲルマニウム及びアルミニウムの総量100質量部あたり、樹脂を0.1質量部以上10質量部以下、ガラスを0質量部以上10質量部以下含有する、項4に記載の製造方法。
本発明に係るシリコン混晶層の製造方法は、シリコン混晶層を安全、且つ、容易に形成でき、しかも、シリコン混晶層を基板上に連続的に形成でき、シリコンとゲルマニウムの組成比の調整も容易に行える。
本発明に係るシリコン混晶層の製造方法の実施の形態の一例を説明する模式図である。 実施例1のシリコン混晶層の製造方法を説明する模式図である。 (a)は実施例2、(b)は比較例1で得られたシリコン混晶層のSEM画像である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書中において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
本明細書において、「シリコン混晶層」は、シリコン及びゲルマニウムの合金を含む層、並びに、シリコン及びゲルマニウムの合金を含む層のうちの少なくとも1以上を含む層を意味する。シリコン混晶層は、アルミニウム等の他の金属も含む場合もあり、また、アルミニウム等を含む金属の焼結体(焼結層ということもある)を含むこともある。
本発明のシリコン混晶層の製造方法は、
シリコン含有基板上に、アルミニウムを含有する第1の層を積層する第1の積層工程と、前記第1の層上に、ゲルマニウムを含有する第2の層を積層する第2の積層工程と、
前記第1の層及び前記第2の層が積層された前記シリコン含有基板を、500℃以上1000℃以下の範囲で熱処理する熱処理工程Aと、
を順に備え、
前記第2の層中、ゲルマニウムの質量と、アルミニウムの質量との比が100:0〜10:90である。
上記熱処理工程Aを経ることによって、目的のシリコン混晶層を得ることができる。シリコン混晶層は、シリコン含有基板上に形成される。
本発明の製造方法によれば、シリコン混晶層を安全、且つ、容易に形成でき、しかも、シリコン混晶層を基板上に連続的に形成でき、シリコンとゲルマニウムとの組成比の調整も容易である。「シリコン混晶層が基板上に連続的に形成される」及び「「シリコン混晶層が連続性を有する」とは、混晶層の厚みが一部で極端に小さくなったり、欠陥等が生じたりすることなく、混晶層が全体にわたって途切れることなく形成されていることを意味する(後記図3(a)を参照)。
図1には、本発明に係るシリコン混晶層の製造方法の実施の形態の一例を模式的に示している。以下、各工程について詳述する。
第1の積層工程
図1(a)、(b)に示すように、第1の積層工程では、シリコン含有基板10上に、アルミニウムを含有する第1の層11を積層する。
図1(a)に示すシリコン含有基板10は、例えば、半導体用途や太陽電池用途で使われるシリコン基板を広く適用することができる。ここでいうシリコン基板とは、例えば、シリコンの含有量が99.0%以上であり、シリコンインゴットがスライスされてウェハ状になった基板をいう。
シリコン含有基板の具体例としては、純度100%のシリコン基板が挙げられ、その他、ホウ素、ガリウム、リン等の元素の1種以上をドーパントとして微量添加されたシリコン基板も挙げられる。シリコン含有基板は、p型及びn型のいずれであってもよい。
シリコン含有基板の厚み及び大きさは特に限定されない。例えば、シリコン含有基板の厚みは50μm以上600μm以下とすることができる。
シリコン含有基板の第1の層が形成される面と逆側の面には、シリコンを含まない絶縁膜を有する層及び電極等の他の部材が設けられていてもよい。他の部材は、シリコン含有基板にあらかじめ設けられていてもよいし、第1の層と同時もしくは第1の層形成後に設けられてもよい。
第1の層は、アルミニウムを含有する。具体的には、第1の層は、アルミニウムを主成分として含有することができる。なお、本明細書において「アルミニウムを主成分として含有する」とは、第1の層の固形分中にアルミニウムを50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上含むことをいう。第1の層の固形分中におけるアルミニウムの含有量が50質量%以上であれば、熱処理工程A及び後記する熱処理工程Bでの加熱時に、アルミニウムとシリコン含有基板に含まれるシリコンとの反応が進行しやすく、この反応により形成される層(例えば、後記するアルミニウムシリコン合金層)が部分的になることを抑制できる(つまり、層が連続的に形成されやすい)。
第1の層は、後記するアルミニウムペーストから形成された層であってもよいし、あるいは、このアルミニウムペーストから形成された層が焼結されて形成されたアルミニウム含有焼結体であってもよい(後記熱処理工程B参照)。アルミニウムペーストを焼結してアルミニウム含有焼結体を形成した場合は、アルミニウム含有焼結体とシリコン含有基板との界面に、アルミニウムシリコン合金層が形成され得る。この場合、アルミニウム含有焼結体は、例えば、研磨等の方法で除去してもよい。
第1の層は、シリコンを含有することも好ましい。第1の層がシリコンを含有することで、アルミニウムシリコン合金層が形成されやすくなり、例えば、半導体基板としての性能をさらに高めることができる。
第1の層がシリコンを含有する場合、第1の層中のアルミニウム100質量部に対して0.1質量部以上100重量部以下のシリコンを含有することが好ましい。より好適には第1の層中のアルミニウム100質量部に対して、0.1質量部〜25質量部の範囲のシリコンを含むことである。この場合、熱処理工程A及び後記する熱処理工程Bにおいて、アルミニウムとシリコン含有基板に含まれるシリコンとの反応の均一性が高まりやすく、この反応により形成されるアルミニウムシリコン合金層が部分的になることを抑制できる。
第1の層は、アルミニウム以外に、他の元素を含有することができる。例えば、後記第2の層に含まれるゲルマニウムとは別に、第1の層中にもゲルマニウムが含有されていてもよい。
第1の層は、アルミニウムを含有するターゲット材、アルミニウムを含有するアルミニウムペースト等を使用してシリコン含有基板上に積層することができる。
ターゲット材を用いる場合は、シリコン含有基板上にスパッタリング又は蒸着することで、第1の層をシリコン含有基板上に積層することができる。
アルミニウムペーストを用いる場合は、シリコン含有基板上にアルミニウムペーストを任意の方法で塗布等することで、第1の層をシリコン含有基板上に積層することができる。塗布方法としては、例えば、スピンコート法、インクジェット印刷等の塗布方法が挙げられる。また、その他の塗布方法としては、例えば、ディップコート、又は、公知のロール塗工方法等を挙げることができ、具体的には、エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコート、押し出しコート、エアーナイフコート、スクイズコート、含侵コート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビアコート、キスコート、キャストコート、スプレイコート等を挙げることができる。さらに、他の塗布方法としては、凹版印刷のように最適粘度領域が比較的低粘度領域にある印刷方法と、スクリーン印刷のように最適粘度領域が比較的高粘度領域にある印刷方法とを挙げることができ、具体的には、孔版印刷方法、凹版印刷方法、平版印刷方法等を挙げることができる。
前記アルミニウムペーストに含まれるアルミニウムは、例えば、粉末状とすることができる。アルミニウム粉末は、全粉末中におけるアルミニウムの含有量が99.0質量%以上であることが好ましく、99.9質量%以上であることがより好ましい。アルミニウム粉末は、アルミニウム以外に他の金属を含有するアルミニウム合金であってもよい。アルミニウム合金粉末としては、例えば、アルミニウム以外に、鉄、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、チタン、バナジウム、ガリウム、ニッケル、ホウ素及びジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の元素を含むことができる。これらの元素の各々の含有量は、アルミニウム合金粉末の全量に対して1000ppm以下とすることができ、特に300ppm以下であることが好ましい。
アルミニウム粉末を形成する粒子の形状は特に限定されず、また、平均粒子径も特に限定されない。例えば、半導体基板製造用に使用される公知のアルミニウム粉末と同様とすることができる。
前記ターゲット材及びアルミニウムペーストには、アルミニウム以外に他の元素が独立に存在していてもよい。他の元素としては、例えば、第14族元素が例示され、好適には、シリコンである。
前記ターゲット材及び前記アルミニウムペーストがシリコンを含有する場合、アルミニウム100質量部に対し、0.1〜100質量部の範囲のシリコンを含むことができる。より好適にはアルミニウム100質量部に対し、0.1質量部〜25質量部の範囲のシリコンを含むことである。この場合、熱処理工程A及び後記する熱処理工程Bにおいて、アルミニウムとシリコン含有基板に含まれるシリコンとの反応の均一性が高まりやすく、この反応により形成されるアルミニウムシリコン合金層が部分的になることを抑制できる。
前記ターゲット材及び前記アルミニウムペーストがシリコンを含有する場合、アルミニウムとシリコンは、アルミニウムシリコン合金粉の状態であってもよいし、あるいは、アルミニウムとシリコンが別々に固相として存在してもよい。
前記アルミニウムペーストは、ガラス成分、樹脂成分、分散媒、及び、その他の添加剤を含有することができる。これらの種類はそれぞれ、後記するペースト組成物に含まれるガラス成分、樹脂成分、分散媒、及び、その他の添加剤と同様とすることができる。
シリコン含有基板上への前記アルミニウムペーストの塗布量は特に限定されず、所望の第1の層の厚みに応じて適宜設定することができる。例えば、アルミニウムペーストの塗布量は、4〜20mg/cmとすることができる。
前記ターゲット材を用いてスパッタリング又は蒸着する方法、あるいは、前記アルミニウムペーストを塗布等する方法によって、第1の層が形成される。この場合、必要に応じてさらに、加熱してもよい。加熱方法は特に限定的ではない。例えば、後記するように熱処理工程Bを採用してもよい。
第1の積層工程で形成される第1の層は、図1(b)に示すように、シリコン含有基板上の一方の面に形成される。第1の層の厚みは特に限定されない。
第2の積層工程
第2の積層工程では、図1(c)のように、前記第1の層11上に、ゲルマニウムを含有する第2の層12を積層する。
第2の層は、本発明の効果が阻害されない程度であれば、ゲルマニウムに他の金属元素が含まれる。他の金属元素としては、後記するように、例えば、アルミニウムである。
第2の層中、ゲルマニウムの質量と、アルミニウムの質量との比が100:0〜10:90である。これにより、シリコン混晶層が連続的に形成され得る。第2の層中、アルミニウムは必ずしも含む必要はなく、ゲルマニウムの質量と、アルミニウムの質量との比は、100:0とすることもできる。
第2の層中の全金属元素の総質量に対してゲルマニウムの量の下限が10質量%以上であることで、シリコン混晶層をより形成しやすくなる。第2の層中の全金属元素の総質量に対して、ゲルマニウムの質量の下限値は15質量%であることが好ましい。
第2の層は、例えば、後記する特定組成のペースト組成物を第1の層上(シリコン含有基板と逆側の面)に塗布等して第1の層上に積層することができる。なお、本明細書において「ペースト組成物」とは、第2の層を形成するための材料を意味する。
前記ペースト組成物は、ゲルマニウムが含まれる限り、その種類は特に限定されない。
ペースト組成物は、好適には、ゲルマニウムが含まれていることである。ゲルマニウムは、半導体分野においてシリコンに置き換わる材料となり得るためである。また、この場合、最終的に形成されるシリコン混晶層は、シリコン及びゲルマニウムを含む混晶層となり、シリコン及びゲルマニウムの組成比を調節することで、バンドギャップを容易に制御し易いという利点もある。
ペースト組成物に含まれるゲルマニウムは、例えば、ゲルマニウム粉末とすることができる。ゲルマニウム粉末は、ゲルマニウム純度98.0質量%以上であることが好ましい。ゲルマニウム粉末は、ゲルマニウムと他の金属を含むゲルマニウム合金の粉末であってもよい。他の金属としては、例えば、鉄、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、チタン、バナジウム、ガリウム、ニッケル、ホウ素及びジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の元素が挙げられる。これらの元素の各々の含有量は、ゲルマニウム合金粉末の全量に対して1000質量ppm以下、特に300質量ppm以下であることが好ましい。
ゲルマニウム粉末に含まれるゲルマニウム粒子の形状は、例えば、球状、楕円状、不定形状、鱗片状、繊維状等のいずれであってもよい。これらの中でも、ペースト組成物の印刷性が良く、ゲルマニウム粒子と、シリコン及び後記するアルミニウムとの反応性に優れる点で、球状が好ましい。
ゲルマニウム粉末に含まれるゲルマニウム粒子の平均粒子径(D50)は、1〜20μmとすることができ、1〜10μmであることがより好ましく、1〜5μmであることがさらに好ましい。平均粒子径(D50)が上記範囲であることにより、シリコン及び後記するアルミニウムとの反応性により優れ、ペースト組成物の印刷性が向上する。
なお、本明細書において、平均粒径(D50)は、レーザー回折法により測定された値を示すものであり、具体的には、粒子径とこの粒子径に該当する体積基準における粒子数を求めて得られる粒度分布曲線において全粒子数の50%目に該当する粒子の粒子径を示す。
ペースト組成物は、さらに、アルミニウムが含まれていてもよい。この場合のアルミニウムとしては、例えば、アルミニウム粉末である。
アルミニウム粉末は、アルミニウムの含有量が99.0質量%以上であることが好ましく、99.9質量%以上であることがより好ましい。
アルミニウム粉末は、アルミニウムと他の金属を含むアルミニウム合金の粉末であってもよい。他の金属としては、前述のゲルマニウム合金に含まれる他の金属元素と同様とすることができる。これらの元素の各々の含有量は、アルミニウム合金粉末の全量に対してそれぞれ1000質量ppm以下、特に300質量ppm以下であることが好ましい。
アルミニウム粉末に含まれるアルミニウム粒子の形状は、例えば、球状、楕円状、不定形状、鱗片状、繊維状等が挙げられる。これらの中でも、ペースト組成物の印刷性が良く、その他の元素(シリコン、ゲルマニウム)との反応性に優れる点で、球状であることが好ましい。
アルミニウム粉末に含まれるアルミニウム粒子の平均粒子径(D50)は、1〜20μmとすることができ、1〜10μmであることが好ましく、1〜5μmであることがさらに好ましい。アルミニウム粒子の平均粒子径(D50)が上記範囲であることにより、アルミニウム粉末がシリコン、ゲルマニウムとの反応性により優れ、ペースト組成物の印刷性が向上する。
ペースト組成物は、必要に応じてガラス粉末等のガラス(以下、ガラス成分ともいう)を含むことができる。ペースト組成物がガラス成分を含有することにより、ゲルマニウムとシリコンとの反応性が高まり、これにより、より容易にシリコン混晶層を形成することができる。
ガラス成分は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のうち、少なくとも1種を含むことが好ましい。具体的には、アルカリ金属に属するリチウム、ナトリウム、カリウム、及び、アルカリ土類金属に属するカルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウムのうち、少なくとも1種の酸化物を含むことが好ましい。また、ガラス成分には、Pb、Bi、V、B、Si、Sn、P、Znからなる群から選択される1種、または2種以上を含有してもよい。さらに、鉛を含むガラス成分、もしくは、ビスマス系、バナジウム系、錫−燐系、ホウ珪酸亜鉛系、アルカリホウ珪酸系、などの無鉛のガラス成分を用いることができる。特に人体への影響を鑑みると、無鉛のガラス成分の利用が望ましい。
ガラス成分は、軟化点が300〜700℃であることが好ましく、400〜600℃であることがより好ましい。ガラス成分の軟化点が上記範囲であると、ゲルマニウムとシリコンとの反応性が高まり、これにより、より容易にシリコン混晶層を形成することができる。
ガラス成分は、例えば、ガラス粉末とすることができる。ガラス粉末に含まれるガラス粒子の平均粒子径(D50)としては、1〜8μmが好ましく、2〜4μmがより好ましい。ガラス粒子の平均粒子径(D50)がこれらの範囲であれば、ガラス粉末の凝集が防止されやすく、シリコン混晶層の形成も阻害されにくい。
ペースト組成物は、樹脂(以下、樹脂成分ともいう)を含むことができる。ペースト組成物が樹脂成分を含有することにより、ペースト組成物の安定性及び印刷性が向上し得る。
樹脂成分は、従来公知の樹脂を含むことができる。樹脂の具体例としては、エチルセルロース、ニトロセルロース、ポリビニールブチラール、フェノール樹脂、メラニン樹脂、ユリア樹脂、キシレン樹脂、アルキッド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フラン樹脂、ウレタン樹脂、イソシアネート化合物、シアネート化合物などの熱硬化樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルフォン、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ四フッ化エチレン、シリコン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ペースト組成物の安定性及び印刷性がより優れる点で、エチルセルロースが好ましい。これらの樹脂は、単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂成分の融点は、100〜300℃であることが好ましく、150〜300℃であることがより好ましい。樹脂成分の融点が上記範囲であると、シリコン混晶層の形成が阻害されにくい。
ペースト組成物は、分散媒を含むことができる。ペースト組成物が分散媒を含有することにより、ペースト組成物の印刷性を向上させることができる。
分散媒としては、水、溶剤等を用いることができる。
溶剤としては、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、テルピネオール等が挙げられる。中でも、分散性及び印刷性の点で、ジエチレングリコールモノブチルエーテル及びテルピネオールが好ましい。
分散媒は、1種のみ単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
ペースト組成物は、固形分が分散媒に分散した形態であってもよいし、一部又は全部の固形分が溶解した形態であってもよい。
ペースト組成物は、本発明の効果が阻害されなければ、その他の添加剤を含有していてもよい。その他の添加剤としては、例えば、酸化防止剤、腐食抑制剤、消泡剤、増粘剤(タックファイヤー)、カップリング剤、静電付与剤、重合禁止剤、チキソトロピー剤、沈降防止剤等が挙げられる。より具体的には、ポリエチレングリコールエステル化合物、ポリオキシエチレンソルビタンエステル化合物、ソルビタンアルキルエステル化合物、脂肪族多価カルボン酸化合物、燐酸エステル化合物、ポリエステル酸のアマイドアミン塩、酸化ポリエチレン系化合物、脂肪酸アマイドワックス等が挙げられる。
第2の層は、前記ペースト組成物以外の材料を用いて形成してもよいが、より安定なシリコン混晶層を形成できるという観点から、ペースト組成物を使用して形成することが好ましい。
特に、第2の層を形成するためのペースト組成物は、アルミニウムと、前記ゲルマニウムと、樹脂とを含むことが好ましい。
前記ペースト組成物は、前記ゲルマニウムの総量100質量部あたり、前記アルミニウムを0質量部以上900質量部以下含有することが好ましく、前記アルミニウムを0質量部以上500質量部以下含有することがより好ましい。前記ペースト組成物は、ゲルマニウム及びアルミニウムの総量100質量部あたり、前記樹脂を0.1質量部以上10質量部以下、前記ガラスを0質量部以上10質量部以下含有することが好ましい。この場合、ペースト組成物がより良好な印刷性を示すことができ、より安定なシリコン混晶層を形成できる。
印刷性がより向上する観点から、前記ペースト組成物は、ゲルマニウム及びアルミニウムの総量100質量部あたり、前記樹脂を0.5質量部以上7.5質量部以下含有することが好ましい。シリコン混晶層の形成が阻害されにくいという観点から、前記ペースト組成物は、ゲルマニウム及びアルミニウムの総量100質量部あたり、前記ガラスを5質量部以下含有することが好ましく、3質量部以下含有することが特に好ましい。なお、アルミニウム及びガラスの含有量の下限値が0質量部であるということは、アルミニウム及びガラスは必ずしも含まなくてもよいということである。
ペースト組成物における分散媒の含有量は特に限定されないが、ペースト組成物の安定性及び印刷性を向上させるという観点から、ペースト組成物の全量に対して、1〜30質量%が好ましく、10〜25質量%がより好ましい。
ペースト組成物の粘度は、印刷性を向上させるという観点から、例えば、5〜100Pa・sとすることができ、10〜40Pa・sであることが好ましい。なお、本明細書において、上記粘度は、回転粘度計(ブルックフィールド社製:DV2T)を用いてスピンドルCP−51にて回転数2.5rpmの条件により測定された値である。
ペースト組成物は、種々の方法で調製することができる。例えば、各成分を従来公知の方法により攪拌混合することで、ペースト組成物を調製することができる。
図1(c)に示されるように、ペースト組成物は、第1の積層工程で形成された第1の層11上に塗布等される。塗布方法は特に限定されず、例えば、前述のアルミニウムペーストの塗布方法と同様とすることができる。前記ペースト組成物の塗布量は特に限定されず、所望の第2の層の厚みに応じて適宜設定することができる。例えば、ペースト組成物の塗布量は、4〜20mg/cmとすることができる。
図1(c)に示されるように、第1の層11上にペースト組成物を塗布することで、第2の層12が形成される。この後、熱処理工程Aに供される。本発明に係る製造方法は、第2の層が形成された後、熱処理工程Aの前に必要に応じて他の工程(例えば、後記する予熱工程、乾燥工程)を有していてもよい。
熱処理工程A
熱処理工程Aは、前記第1の層及び前記第2の層が積層された前記シリコン含有基板を、500℃以上1000℃以下の範囲で熱処理する工程である。この工程により、図1(d)に示すように、シリコン含有基板上にシリコン混晶層1が形成される。
熱処理工程Aでは、シリコン含有基板上でアルミニウムと、ゲルマニウムとが溶融反応する。
アルミニウムを含有する第1の層が、シリコン含有基板と第2の層の界面に介在しているので、熱処理工程Aでの500℃以上1000℃以下の範囲での熱処理によって、シリコン含有基板中に含まれるシリコンとアルミニウムとの反応が進行し、これに加えて、第1の層上に積層された第2の層に含まれるゲルマニウムと、アルミニウムとの反応も進行する。第2の層に含まれるゲルマニウムは、第1の層中に含まれるアルミニウムと反応し得る他、第2の層にアルミニウムが含まれる場合は、このアルミニウムとも反応し得る。その後、シリコンとゲルマニウムとの反応が、短時間で界面全体にわたって効率的に進行する。
熱処理工程Aにより、第1の層及び第2の層に含まれる金属が溶融し、第1の層及び第2の層が混ざり合うと推察される。その後の冷却過程において合金が再結晶化することで、シリコン含有基板側に合金の層(後記合金層14)、合金の層のシリコン含有基板と逆側の面に焼結層(後記焼結層13)が形成され、アルミニウムは焼結層側へ排出されると考えられる。このようにしてシリコン混晶層がシリコン含有基板上に形成される。焼結層には、シリコン、アルミニウム、ゲルマニウム等の元素が含まれ得る。
このように形成されるシリコン混晶層は、例えば、使用するアルミニウムペースト及びペースト組成物に含まれる成分に応じて、シリコン及びゲルマニウムの合金を含む層を含み得る。
なお、熱処理工程Aにより、アルミニウムシリコン合金層と第2の層とが混ざり合うため、アルミニウムシリコン合金層は消失し、冷却によりシリコン混晶層(例えば、シリコンゲルマニウム層)へ置き換わり得る。
また、図1(d)に示すように、熱処理工程Aによって形成されたシリコン混晶層1は、その表面(シリコン含有基板と逆側の面)に、前述のペースト組成物の焼結体である焼結層13が形成され得る。この焼結層13は、シリコン混晶層1の一部を構成する。シリコン混晶層1において、焼結層13以外の部分は、例えば、シリコン及びゲルマニウムの合金を含む層(図1に示す前述の合金層14として表記)等である。
シリコン及びゲルマニウムの合金を含む層(合金層14)の厚みは特に限定されず、例えば、1〜30μmであり、好ましくは3〜15μmである。
熱処理工程Aにおいて、熱処理の温度は、500℃以上1000℃以下が好ましく、600〜1000℃であることがより好ましい。この場合、シリコン混晶層が形成されやすく、シリコン含有基板上にシリコン混晶層がより連続的に形成されやすくなる。熱処理の温度が500℃未満であれば連続的なシリコン混晶層が得られ難く、1000℃を超えると過剰な反応が起こって、シリコン含有基板に亀裂が生じるおそれがある。
熱処理の時間は、シリコン混晶層が形成されやすいという観点から、例えば、3〜600秒とすることができ、5〜300秒が好ましい。なお、焼成時間は焼成温度に応じて調整すればよく、例えば、より高温にして熱処理時間を短くすれば、生産効率に優れる。
熱処理は、空気雰囲気で行ってもよいし、窒素等の不活性ガス雰囲気で行ってもよい。
さらに、前述したようにシリコン混晶層の表面には焼結層(図1(d)の焼結層13))が含まれているので、必要に応じて当該焼結層を除去してもよい(図1(e))。焼結層は、例えば、化学反応、物理反応等を利用した任意の方法で除去することができる。焼結層を除去することで、図1(e)のように、表面に焼結層13を有さないシリコン混晶層1における合金層14が露出したシリコン含有基板が得られる。
本発明の製造方法は、前述した第1の積層工程、第2の積層工程及び熱処理工程A以外に、後記する他の工程(熱処理工程B、予熱工程及び乾燥工程)を備えることもできる。
熱処理工程B
本発明の製造方法は、第1の積層工程と第2の積層工程との間に、熱処理工程Bを有することができる。この熱処理工程Bは、シリコン含有基板上に積層されている第1の層を焼成させて、アルミニウムの焼結体を形成させるための工程である。
第1の層が焼成されると、第1の層は、アルミニウムシリコン合金層及びアルミニウムシリコン焼結層で構成される焼結体となる。念のための注記であるが、本明細書では、第1の層が焼成された後に形成される前記焼結体も「第1の層」と称している。
第1の層が焼結体である場合、第1の層は、シリコン含有基板上から、アルミニウムシリコン合金層及びアルミニウムシリコン焼結層がこの順に積層されて形成されている。
熱処理工程Bにおける熱処理方法は特に限定されず、公知のアニール、シンタリング、焼成条件を採用することができる。この熱処理は、空気雰囲気で行ってもよいし、窒素等の不活性ガス雰囲気で行ってもよい。熱処理の温度は、例えば、100℃以上1000℃以下とすることができ、この場合、アルミニウム焼結体が形成されやすく、また、過剰な反応が起きにくいので基板の亀裂発生等を抑制しやすい。熱処理の温度は、好ましくは、700℃以上900℃以下である。
なお、熱処理工程Bにおいて、アルミニウム焼結体を形成するための熱処理を行う前に、あらかじめ、第1の層に含まれる溶媒成分を乾燥させてもよい。この乾燥条件は、後記乾燥工程と同様とすることができる。この乾燥後、アルミニウム焼結体を形成するための熱処理を行う前にさらに有機物を除去するための加熱を行ってもよい。この加熱条件は、後記予熱工程と同様とすることができる。
予熱工程
予熱工程は、シリコン含有基板上に積層された第2の層に含まれる樹脂成分等を除去するための工程である。よって、第2の層の形成後、熱処理工程Aの前に予熱工程が設けられる。
本発明の製造方法が予熱工程を備える場合、第2の層に含まれる樹脂成分に加えて分散媒を除去することができ、これにより、シリコン含有基板上にシリコン混晶層が連続的に形成されやすくなる。
予熱工程は、空気雰囲気で行ってもよいし、あるいは、窒素等の不活性ガス雰囲気で行ってもよい。
予熱工程での予熱温度は、300〜500℃とすることができ、400〜500℃がより好ましい。また、予熱時間は、20〜600秒間が好ましく、20〜60秒間がより好ましい。
乾燥工程
乾燥工程は、例えば、前記予熱工程の前に設けることができ、第2の層を乾燥させるための工程である。よって、第2の層の形成後、予熱工程の前に乾燥工程が設けられる。
乾燥条件は限定的ではないが、空気雰囲気や、窒素等の不活性ガス雰囲気において、従来公知の方法により加熱して乾燥するとよい。
乾燥温度は、例えば、前記予熱工程の温度よりも低い温度とすることができ、例えば、100〜400℃が好ましく、100〜200℃がより好ましい。また、乾燥時間は、20〜600秒間が好ましく、60〜300秒間がより好ましい。
本発明の製造方法は、少なくとも第1の積層工程と、第2の積層工程と、熱処理工程Aとをこの順に備え、必要に応じて、熱処理工程B、予熱工程及び乾燥工程も備える。
本発明の製造方法によれば、従来のように、SiHやGeH等の危険性が高いガスを使用する必要がなく、真空装置等の大掛かりな設備を用いる必要もないので、シリコン混晶層を形成するのに長時間を要しない。よって、本発明の製造方法では、安全に、且つ、容易にシリコン混晶層を形成できる。
また、第2の層を形成するにあたって、例えば、ペースト組成物中の、ゲルマニウムの含有量を調節することで、シリコン混晶層中のシリコン、ゲルマニウムの組成比を幅広い範囲で変更できる。よって、本発明の製造方法で得られたシリコン混晶層は、様々な用途の半導体材料に適用できる。
本発明の製造方法で得られるシリコン混晶層は、シリコン含有基板上に形成される。このシリコン含有基板上に形成された状態で半導体材料としてもよいし、さらに他の層や他の基盤と組み合わせて半導体材料としてもよい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の態様に限定されるものではない。
(実施例1)
図2に模式的に示す工程に従って、シリコン混晶層1が形成されたシリコン含有基板を製造した。シリコン含有基板10としては、市販のシリコン基板を使用した。
図2(b)のように、シリコン基板上に、スクリーン印刷法によりアルミニウムペーストを塗布することでアルミニウム含有層(第1の層11)を形成した(第1の積層工程)。ここで使用したアルミニウムペーストは、アルミニウム粉末100質量部に対し、エチルセルロース樹脂を2質量部、ジエチレングリコールモノブチルエーテルを20質量部、ガラス粉末を2質量部として調製した。アルミニウムペーストの塗布量は、8mg/cmとした。
次に、第1の層11が形成されたシリコン含有基板10を、予め100℃で10分間乾燥させて分散媒を除去した後(乾燥工程)、400℃で20秒予熱して有機物の除去を行い(予熱工程)、次いで、780℃の温度で5秒加熱して焼成して(熱処理工程B)、図2(c)のように、第1の層11を、アルミニウムシリコン合金層11a、その上にアルミニウムシリコン焼結層11bを含む層へと変化させた。その後、図2(d)に示すように、アルミニウムシリコン焼結層11bを研磨により落とし、アルミニウムシリコン合金層11aを第1の層11として、シリコン含有基板10表面に露出させた。
次に、第1の層11であるアルミニウムシリコン合金層上11aに、ゲルマニウムを含有するペースト組成物をスクリーン印刷法により塗布し、図2(e)に示すように、第2の層12を形成した(第2の積層工程)。ここで使用したペースト組成物は、ゲルマニウム100質量部に対し、エチルセルロース樹脂を2質量部、ジエチレングリコールモノブチルエーテルを20質量部で調製した。塗布量は10mg/cmとした。
次に、第1の層11及び第2の層12が積層されたシリコン含有基板10を、100℃で10分間乾燥させて分散媒を除去した後(乾燥工程)、400℃の温度で20秒予熱して有機物(樹脂)の除去を行った(予熱工程)。その後、860℃の温度で5秒加熱して焼成することで(熱処理工程A)、図2(f)のようにシリコン含有基板10上に、シリコンゲルマニウム層(つまり、シリコン及びゲルマニウムの合金層14)、及び、アルミニウムシリコンゲルマニウム焼結層13がこの順に積層されたシリコン混晶層1を得た。
このように得られたシリコン混晶層を有するシリコン含有基板の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)及びエネルギー分散型X線分析(EDS)(日本電子社製、型番:JSM−6510)により観察した。具体的に、形成されたシリコン混晶層1(シリコンゲルマニウム合金層14)の連続性と厚みとをそれぞれの装置で観察し、また、シリコンゲルマニウム層の一部の元素マッピングを行なった。
(実施例2)
ペースト組成物中、ゲルマニウム粉末100質量部のうちの10質量部をアルミニウム粉末に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、シリコン含有基板上に積層されたシリコン混晶層を得て、連続性観察、厚み観察及び元素マッピングを行った。
(実施例3)
ペースト組成物中、ゲルマニウム粉末100質量部のうちの50質量部をアルミニウム粉末に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、シリコン含有基板上に積層されたシリコン混晶層を得て、連続性観察、厚み観察及び元素マッピングを行った。
(実施例4)
ペースト組成物中、ゲルマニウム粉末100質量部のうちの80質量部をアルミニウム粉末に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、シリコン含有基板上に積層されたシリコン混晶層を得て、連続性観察、厚み観察及び元素マッピングを行った。
(実施例5)
熱処理工程B及びアルミニウムシリコン焼結層11bの除去を行なわなかったこと以外は、実施例2と同様にして、シリコン含有基板上に積層されたシリコン混晶層を得て、連続性観察、厚み観察及び元素マッピングを行った。
(実施例6)
アルミニウムペースト中、アルミニウム粉末100質量部のうちの15質量部をシリコン粉末へ変更したこと以外、実施例2と同様にして、シリコン含有基板上に積層されたシリコン混晶層を得て、連続性観察、厚み観察及び元素マッピングを行った。
(実施例7)
アルミニウムペースト中、アルミニウム粉末100質量部のうちの70質量部をシリコン粉末へ変更したこと以外、実施例2と同様にして、シリコン含有基板上に積層されたシリコン混晶層を得て、連続性観察、厚み観察及び元素マッピングを行った。
(実施例8)
アルミニウムペースト中、アルミニウム粉末100質量部のうちの50質量部をシリコン粉末へ変更したこと以外、実施例2と同様にして、シリコン含有基板上に積層されたシリコン混晶層を得て、連続性観察、厚み観察及び元素マッピングを行った。
(実施例9)
アルミニウムペースト中、アルミニウム粉末100質量部のうちの20質量部をシリコン粉末へ変更したこと以外、実施例1と同様にして、シリコン含有基板上に積層されたシリコン混晶層を得て、連続性観察、厚み観察及び元素マッピングを行った。
(比較例1)
シリコン基板上に第1の層を積層せずに直接ペースト組成物によって第2の層を積層したこと以外は、実施例2と同様にして、シリコン含有基板上に積層されたシリコン混晶層を得て、連続性観察、厚み観察及び元素マッピングを行った。
(比較例2)
ペースト組成物中、ゲルマニウム粉末100質量部のうちの95質量部をアルミニウム粉末に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、シリコン含有基板上に積層されたシリコン混晶層を得て、連続性観察、厚み観察及び元素マッピングを行った。
(比較例3)
熱処理工程Aでの加熱温度を450℃へ変更したこと以外、実施例2と同様にして、シリコン含有基板上に積層されたシリコン混晶層を得て、連続性観察、厚み観察及び元素マッピングを行った。
表1は、シリコン混晶層の製造条件(第1の層のアルミニウム(Al):シリコン(Si)比、熱処理工程Bの条件、第2の層のゲルマニウム(Ge):アルミニウム(Al)比、熱処理工程Aの条件)、並びに、評価結果(Si−Ge連続性、Si−Ge層の厚み及びシリコンゲルマニウム合金層(Si−Ge層)の成分比)のまとめである。
ここで、表1中、Si−Ge連続性は、SEM観察視野において、焼結層断面におけるシリコンゲルマニウム層(Si−Ge層)との境界線全長あたり、Si−Ge層が5割未満の領域で形成しているものを×、Si−Ge層が5割以上形成しているが途切れが発生しているものを△、Si−Ge層が途切れずに連続しているものを○と表記している。
図3の(a)は実施例2で得られたシリコン含有基板上に積層されたシリコン混晶層の断面、(b)は比較例1で得られたシリコン含有基板上に積層されたシリコン混晶層の断面のSEM画像を示している。比較例1では、シリコン混晶層の連続性が無いのに対し、実施例2では、シリコン混晶層の連続性があることが確認された。
同様のSEM観察により、いずれの実施例のシリコン混晶層においても、シリコンゲルマニウム層(Si−Ge層)、アルミニウムシリコンゲルマニウム焼結層(Al−Si−Ge焼結層)が形成されていることが確認された。比較例2では、シリコンゲルマニウム層が観察されなかった。
また、いずれの実施例においても、アルミニウムシリコンゲルマニウム焼結層(Al−Si−Ge焼結層)を、機械研磨により除去することができ、これにより、シリコン含有基板上にシリコンゲルマニウム層(Si−Ge層)を含むシリコン混晶層が形成された半導体材料を得ることができた。特に、ペースト組成物におけるゲルマニウム量を調節することで、Si−Ge層におけるGeの量を自在に制御でき、ゲルマリウムリッチのSi−Ge層を形成できることもわかった。
Figure 0006938333
1 :シリコン混晶層
10 :シリコン含有基板
11 :第1の層
11a:アルミニウムシリコン合金層
11b:アルミニウムシリコン焼結層
12 :第2の層
13 :焼結層
14 :合金層

Claims (4)

  1. シリコン含有基板上に、アルミニウムを含有する第1の層を積層する第1の積層工程と、
    前記第1の層上に、ゲルマニウムを含有する第2の層を積層する第2の積層工程と、
    前記第1の層及び前記第2の層が積層された前記シリコン含有基板を、500℃以上1000℃以下の範囲で熱処理する熱処理工程Aと、
    を順に備え、
    前記第1の積層工程と前記第2の積層工程との間に、前記第1の層が積層された前記シリコン含有基板を、100℃以上1000℃以下の範囲で熱処理する熱処理工程Bをさらに備え、
    前記第2の層中、ゲルマニウムの質量と、アルミニウムの質量との比が100:0〜10:90である、シリコン混晶層の製造方法。
  2. 前記第1の層は、アルミニウム100質量部に対して0.1質量部以上100重量部以下のシリコンを含有する、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記第2の層は、前記ゲルマニウムを含むペースト組成物を用いて形成される、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記ペースト組成物は、前記ゲルマニウムの総量100質量部あたり、前記アルミニウムを0質量部以上900質量部以下含有し、
    前記ペースト組成物は、ゲルマニウム及びアルミニウムの総量100質量部あたり、樹脂を0.1質量部以上10質量部以下、ガラスを0質量部以上10質量部以下含有する、請求項に記載の製造方法。
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