[病院情報システムの構成]
まず、医療従事者に対して読影レポートの内容の確認を促し、確実にその内容を把握させることが可能な病院情報システム1の構成について説明する。図1は、実施の形態に係る病院情報システム1の内部構成を示すブロック図である。
ここで本実施の形態における病院情報システム1を構成する装置やシステムについては様々な態様が考えられるが、ここでは、例えば、図1に示す構成を備える。従って、病院情報システム1が図1に示す構成以外の構成を備えていても構わない。また、当該病院情報システム1は、例えば、室内に固定されている装置または装置群等であっても良く、或いは、可搬性を備えていても良い。
また、以下の説明においては、読影医が検査結果に基づいて読影レポートを作成する読影レポート作成システムは、ここにいう病院情報システムとは別のシステムであることを前提とする。そのため、読影医が読影レポート作成システムを用いて読影レポートを作成すると、当該読影レポートが病院情報システムに向けて送信される。
さらに、読影レポートにおいて用いられる医用画像、当該医用画像に基づき得られる計測値、計算値等の各種情報については、所見とともに読影レポートとして読影レポート作成システムから病院情報システム1に対して送信される。但し、これらの各種情報が取得される、例えばモダリティから個別に病院情報システム1に送信されても良い。
なお、これまでは読影医が読影レポートを作成するきっかけとなる検査依頼を行う者及び読影レポートを受領する者として、診察医を挙げて説明してきた。但し、以下においては広く読影レポートに接する者として診察医に限定せず、上記診察医も含めて「医療従事者」と表わす。
病院情報システム1は、通信ネットワークNに接続されており、当該通信ネットワークNを介して、図示しない、例えば、画像サーバ、ワークステーション、或いは、モダリティと接続されている。病院情報システム1は、本実施の形態における一例として、HISを挙げる。HISは、医療機関全体の診療や会計業務の効率化等のために構築されるシステムである。このようにHISには様々なシステム・機能が含まれ得るが、本実施の形態においては特に、医療従事者が電子カルテを利用する際に用いることを前提にしている。
病院情報システム1は、処理回路11及び入出力インターフェイス12がバス13を介して接続されている。入出力インターフェイス12には、さらに入力回路14と、ディスプレイ15と、記憶回路16と、通信制御回路17と、リムーバブルディスク18とが接続されている。
処理回路11は、上述した病院情報システム1を構成する各部を制御する。具体的な構成としては、例えば、図1では図示しない、CPU(Central Processing Uint)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)を備える。
またCPUは、入力回路14や入出力インターフェイス12を介して、図1において図示していないその他の外部機器からの入力信号に基づいて各種装置の制御を行う。さらにCPUは、RAMや記憶回路16等に記憶されたプログラム及びデータを読み出してRAMにロードする。そして、CPUは、例えば、RAMから読み出されたプログラムのコマンドと、医療従事者からの表示要求とに基づいて検索されたデータを表示用データとして生成しディスプレイ15に表示する制御を行う処理装置である。また、画像生成のための処理やデータの計算、加工等、一連の処理を実現する処理装置である。詳細は後述する。
入力回路14は、医療従事者による様々な入力操作を受け付ける。例えば、入力回路14は、電子カルテ或いは必要なデータの表示を要求する参照要求を入力するための画面等に対する入力操作を受け付ける。この入力回路14としては、例えば、GUI(Graphical User Interface)、或いは、ボタン、キーボード、マウスやトラックボールなどの入力デバイスを用いることが可能である。
ディスプレイ15は、電子カルテや操作画面(例えば、操作者から各種指示を受け付けるためのGUI)等の各種画像及び各種情報を処理回路11の制御に従って表示する。このディスプレイ15としては、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electroluminescence)ディスプレイなどを用いることが可能である。
記憶回路16は、例えば、半導体や磁気ディスク等で構成されている。記憶回路16には、処理回路11で実行される、例えば、情報表示プログラムといったプログラムやデータが記憶されている。また、記憶回路16は、後述する、患者データベースD1(図1では「患者DB」と表わしている。)やテーブルデータベースD2(同じく、図1では「テーブルDB」と表わしている。)に格納されている各種データを一時的に、或いは、恒久的にこれらデータベースとは別に記憶していても良い。
通信制御回路17は、LANカードやモデム等を含んで構成され、病院情報システム1を後述するインターネットやLAN等の通信ネットワークに接続することを可能とする。通信制御回路17を介して通信ネットワークに接続されている機器との間で送受信されたデータは、入力信号または出力信号として、入出力インターフェイス12及びバス13を介して処理回路11に送受信される。
リムーバブルディスク18は、光ディスクやフレキシブルディスクである。ディスクドライブによって読み書きされた信号は、入出力インターフェイス12及びバス13を介して処理回路11に送受信される。また、例えば、情報表示プログラムは当該リムーバブルディスク18に格納されており、リムーバブルディスク18から読み込まれることで情報表示プログラムが病院情報システム1に実装されても良い。なお、リムーバブルディスク18は、病院情報システム1に含まれなくても良い。
通信制御回路17は、病院情報システム1を通信ネットワークNに接続させる。本実施の形態において、病院情報システム1は、通信ネットワークNを介して患者データベースD1とテーブルデータベースD2とに接続されており、互いの間で、例えば患者の情報や医用画像情報のやりとりを可能とする。また、当該通信ネットワークNを介して、各モダリティ4と接続されていても良い。
通信ネットワークNは、病院情報システム1と例えば、図示しない画像サーバ、モダリティ、或いは、読影レポートシステムとをつなぎ、これら各機器、システムの間において医用画像や各種情報をやりとりする通信回線及び通信機器である。通信ネットワークは、例えば、LAN(Local Area Network)やインターネット等のネットワークを挙げることができる。また、この通信ネットワークを介してやり取りされる際の通信プロトコルは、DICOM(Digital Imaging and Commnications in Medicine)等、いずれのプロトコルであっても良い。
患者データベースD1には、患者のID、氏名、性別、バイタル情報、薬歴といった、患者の基本情報が格納されている。また、患者の症状についての情報も格納される。さらに、例えば、図1の病院情報システム1では、読影レポートの内容も格納される。読影レポートには、例えば、検査情報と所見とが含まれる。
ここで「検査情報」には、例えば、患者に対する検査を行う場合に必要となる患者情報、検査を行って得られる医用画像、及び、検査種別情報が含まれる。さらに検査種別情報には、MRI検査、CT検査といった検査の種類、検査項目、或いは、医用画像を用いて計測された計測値、読影レポートを作成するに際して、例えば読影医が当該計測値を用いて算出した計算値等が含まれる。なお、読影レポート作成システムには、モダリティが取得した医用画像における計測値を用いて計算を行う臨床アプリケーションが実装されている。
「所見」は、読影医が医用画像、計測値、計算値等を用いて読影を行った結果を示すものである。通常は読影レポート上で文章といった文字列で表わされるが、例えば、図や画像を取り込んで表わされていても良い。また、本発明の実施の形態においては、読影医が所見に表わした文字列のうち、予め定められるキーワードと一致(部分一致、完全一致を問わない)した場合に、当該所見の内容の重要性を電子カルテ上にて警告をもって表示させる。
患者データベースD1に格納される検査情報及び所見は、患者に対する検査が行われることによって得られる情報である。従って、これらの検査情報及び所見は、検査結果番号をもってまとめることができる。患者データベースD1内に検査情報及び所見が格納される場合には、当該検査結果番号もって両者が関連付けられる。
テーブルデータベースD2には、例えば、検査の対象となる患者の部位や患者に対して行われる検査項目等を表示項目として定義する表示定義テーブルが格納されている。これらの表示項目は、ディスプレイ15に表示される。ここで検査項目としては、例えば、検体検査オーダを行う際の、血液検査に関する検査項目や、生体・画像検査オーダを行う際の各種モダリティを用いた撮影部位についての検査項目を挙げることができる。
また、テーブルデータベースD2には、注意喚起定義情報も格納されている。当該注意喚起定義情報には、例えば、所見内に含まれるキーワードと、このキーワードが示す注意レベル、及び原因(意図)が互いに対応付けられて記憶されている。
ここで、図2は、本発明の実施の形態に係るテーブルデータベースD2に格納される注意喚起定義情報の一例を示すテーブルである。当該注意喚起定義情報については、本発明の実施の形態においては、図2に示すように、「キーワード」、「注意レベル」及び「原因(意図)」の3つの項目が設けられている。
「キーワード」は、医療従事者に対して、例えば所見欄に記載されている内容を確認するよう促す等の警告を発するか否かの判定を行う際のトリガーとなる語句である。すなわち、本発明の実施の形態においては、後述する処理回路11の「所見内容判定機能」によって所見内に記載された文字列の中に、予め定められるキーワードが含まれていると判定されることで、電子カルテに接した医療従事者に対して警告を発して注意を促す。
「キーワード」は、事前に、例えば、医療従事者が選択し、注意レベル及び原因(意図)と関連付けてテーブルデータベースD2に格納される。どのような語句をキーワードとして選定するかは任意である。
「注意レベル」は、電子カルテに接した医療従事者に対して警告を発する際の、警告の重要度の度合いを示すものである。当該「注意レベル」は、「キーワード」と関連づけられている。また、本発明の実施の形態においては、数字を用いて注意レベルを表わしている。また、注意レベルとしては、数字の「1」が最高レベル、数字の「5」が最低レベルと設定している。
なお、注意レベルを数字ではなく、他の表現方法をもって表わしても良く、また、注意レベルを数字で表わした際に、最高レベルを「5」、最低レベルを「1」とする等、設定は自由に行うことができる。
「原因(意図)」は、読影医が所見欄をはじめ、読影レポートの中において「キーワード」を用いるに至った原因を示している。上述したように、「所見」の欄は、読影医が読影を行った結果を示すものである。但し、当該所見欄の内容だけで、当該読影レポートに接した医療従事者に十分に読影医の意図が伝わらない可能性もある。読影医が読影レポートとしてまとめた意図が医療従事者との間で共有できないと読影レポートの内容を医療従事者が見落とすことにもなりかねない。特に、例えば、多くの読影レポートを短時間のうちに確認しなければいけないような状態の場合には、医療従事者が読影レポートに記載されている重要な内容を見落とす可能性は高まる。そこで本発明の実施の形態においては、単に注意レベルを表示させるだけではなく、読影医の意図を十分に医療従事者に示して、例えば、医療従事者に所見の内容を確認するように促すために、「キーワード」と「注意レベル」とともに、「原因(意図)」という項目も併せて関連付けて記憶している。
ここで、図2に示す「注意喚起定義情報」について見てみると、番号「1」には、キーワード「影」、注意レベル「2」、及び原因(意図)「確認(所見)」が関連付けられて規定されている。これは、所見の中に「影」というキーワードが含まれている場合には、注意レベルは「2」であり(最高レベルを「1」とした5段階の評価の場合に、上から2番目のレベルである)、読影医が所見の中で「影」という語句を使用した原因(意図)は、医療従事者に「所見を確認して欲しい」との思いからである。
これに対して、番号「3」に示されている「再撮影」は、注意レベルが「5」であって、最高レベルを「1」とした5段階の評価の場合に、最低レベルである。これは、読影医の意図としては、医用画像を見ても十分な判断を下すことができず「情報不足」であることから、緊急を要するものではないが、医療従事者に対して、改めて撮影オーダを求める、というものである。なお、電子カルテ上で当該「キーワード」、「注意レベル」、「原因(意図)」をどのように表示させるか、すなわち、どのように医療従事者に対して報知するかについては後述する。
このように、例えば、所見欄に記載されている語句の中に注意喚起定義情報に定義されているキーワードが含まれていることによって、当該読影レポートに対する注意のレベルと読影医の意図を医療従事者に対して警告として表示させることができる。当該警告に接した医療従事者は、読影レポートの内容の確認を促され、確実にその内容を把握することができる。なお、警告としての例えば、原因(意図)の画面上での表示については、後述する。
処理回路11は通信解析機能、検索機能、所見内容判定機能を実行する。なお、特許請求の範囲における通信解析部は通信解析機能に、検索部は検索機能に、所見内容判定部は所見内容判定機能に、それぞれ対応する。また、制御部は、処理回路11に対応する。
処理回路11の通信解析機能は、例えば、読影レポートシステムから送信された読影レポートを受信し解析する機能である。この機能により、例えば、読影レポートの対象、すなわち検査の対象となった患者の患者情報を取得する。また、検査項目ごとの計測値や計算値を含む検査種別情報も取得する。さらに、読影レポートにおいて触れている医用画像についても取得する。通信解析機能により取得される当該計測値や計算値は、所見等において医用画像と一体の情報ではなく、医用画像とは別に、単独で利用可能な状態となっている。
なお、処理回路11が通信解析機能を用いて読影レポートシステムから読影レポートを受信するタイミングは、読影医が読影レポートを作成し、病院情報システム1に対して送信したタイミングである。
また、ここでは検査情報や所見といった読影レポートの情報は、読影レポートシステムからまとめて取得されるが、例えば、検査情報については、上述したように、病院情報システム1と通信ネットワークNを介して接続されるモダリティやワークステーション等からそれぞれ取得されるものであっても良い。
処理回路11は、通信解析機能により、受信した読影レポート内の情報を検査情報と所見とに分けた上で、取得した検査情報を病院情報システム1で取り扱うデータ形式に変換する。処理回路11が受信する読影レポートにおいて用いられる検査情報は、例えば、モダリティ、PACSやワークステーションといった、様々な機器において取得された情報を読影レポートシステムにおいて利用するものである。そのため、これら機器ごとに取り扱う情報の形式が異なることが考えられる。そこで、いずれの機器において取得された情報であっても病院情報システム1において一体的に取り扱うことができるように、データ形式を変換するものである。なお、事前にデータ形式が統一されていれば、当該処理は不要である。
処理回路11は、通信解析機能により、検査情報を患者情報と、検査種別情報と、医用画像とに分ける処理を行う。そして当該処理によって把握された検査種別情報から検査項目ごとに計測値、計算値を抽出する。また、所見からは、例えば、文字列で表わされる、読影医による画像診断のコメントを抽出する。
受信した読影レポートは、検査ごとに作成されており、各検査には、検査結果番号が付与されている。そこで処理回路11は、抽出した検査情報のうち少なくとも検査項目、計測値、計算値等と所見とを検査結果番号の下、互いに関連付ける。さらに、処理回路11は、患者情報を用いて既に患者データベースD1に格納されている患者基本情報を抽出し、当該患者基本情報に、検査結果番号でまとめられた読影レポートの情報を関連付ける。関連付けられた読影レポートの情報は、患者データベースD1に格納される。
なお、ここでは処理回路11の通信解析機能を用いて、受信した読影レポートの情報を患者データベースD1に格納(登録)しているが、当該登録処理に関しては、処理回路11が登録機能を備えて行うようにしても良い。
処理回路11は、検索機能により、医療従事者から読影レポートの内容の表示を求められた患者に関する各種情報を患者データベースD1において検索、取得する。すなわち、医療従事者は、読影レポートを参照する際に、ある特定の患者の電子カルテをディスプレイ15に表示させる。
具体的には、病院情報システム1では、医療従事者が入力回路14を介して入力された患者に関する情報(例えば、患者ID)を基に、まず、当該患者に関する電子カルテをディスプレイ15に表示させるために必要な情報を処理回路11を介して、患者データベースD1から取得する。また、処理回路11は、さらに、表示項目として定義する表示定義テーブルをテーブルデータベースD2から取得する。そして処理回路11は、患者データベースD1から取得された情報を表示定義テーブルに基づいて、ディスプレイ15に電子カルテを表示させる。これにより、医療従事者は、ディスプレイ15上で電子カルテを見ることができる。
ここでディスプレイ15に表示される電子カルテの表示形態については様々なレイアウトを採用することができるが、例えば、上述したように、各種表示項目が縦軸に表示され、当該表示が日付け順に横軸に示されることによって、様々な情報を時系列で把握することができるように表示されていても良い。或いは、このような様々な情報の時系列での表示ではなく、領域に区切って、計測値等の数値、所見、医用画像等を表示させるレイアウトを採用しても良い。
そしてさらに、医療従事者は、電子カルテに表示された、例えば、患者が罹患している症状を選択する。処理回路11では、当該選択された症状に関する情報を基に、患者データベースD1内に格納されている検査項目の一覧を抽出し取得する。
或いは、医療従事者は、電子カルテ上に表示される各種情報の期間を選択するための表示から、期間を指定する。当該期間の指定は、電子カルテの対象となる患者に関して作成された読影レポートを特定するために行われる。
すなわち、医療従事者が画面上で期間を指定するのは、例えば、当該患者に対して複数の検査が行われた場合に、いずれの検査に関する読影レポートを画面上に表示させるかを示すもの、或いは、特定の症状に対する継続的な変化を示すものだからである。従って、医療従事者が見たい読影レポートが1つしかない場合には、当該期間の指定は特定の日となる。
また、処理回路11では、医療従事者によって当該期間の指定がされた場合、指定期間に含まれる当該患者に対して作成された読影レポートのみならず、当該期間に含まれる読影レポート以外に取得された各種情報を患者データベースD1の中から検索し、取得しても良い。
またこの他、例えば医療従事者は、気になる、或いは、未読の読影レポートを単独、或いは、複数選択することも可能である。この場合、電子カルテ上に表示させる読影レポートの内容、すなわち、例えば症状に関する情報を選択するようにしても良い。
処理回路11では、医療従事者が電子カルテ上から入力した様々な情報、例えば、読影レポートに関する情報である検査結果番号を基に患者データベースD1に格納されている検査情報や所見を検索する。そして、当該検査結果番号に関連付けられている検査情報及び所見を患者データベースD1から取得する。
また併せて、処理回路11は、検索機能を用いて、テーブルデータベースD2から注意喚起定義情報を抽出、取得する。当該注意喚起定義情報は、図2に示すように、キーワード、注意レベル、及び原因(意図)が関連付けられて規定されている情報である。
処理回路11は、患者データベースD1から取得した検査結果番号に関連付けられて抽出された所見に対して、所見内容判定機能を用いて注意喚起定義情報として規定されるキーワードが含まれるか検索、判定する。
ここでキーワードが含まれるか否かの判定に当たっては、所見等に示される文字列とキーワードとが完全に一致する場合のみならず、例えば、一部一致、部分一致の場合にもキーワードが含まれると判定することとしても良い。
なお、当該「キーワード」は、読影レポートの例えば「所見」欄に記載される読影医の所見としての文字列であることを想定している。但し、処理回路11が所見内容判定機能を用いてキーワードが記載されているか否かの判定を行う箇所は、所見欄に限られず、読影レポートの所見欄以外の箇所に記載された文字列を対象に判定を行っても良い。
また、医療従事者によって、例えば期間の指定がされて当該指定された期間内に最新の読影レポートを含む、過去にさかのぼって複数の読影レポートが含まれる場合には、処理回路11は、全ての読影レポートの所見欄等に対してキーワードが含まれていないか、所見内容の判定を行っても良い。
電子カルテ上では、後述するように横軸に時間、縦軸に様々な項目が示されている。そのため、時間を追って数値等の変化を観察することができるため、医療従事者は、キーワードの有無についても時系列で把握することができる。このように過去の読影レポートに対してもキーワードの有無を判定することによって、過去の所見等についても改めて医療従事者に対して確認を促すことができる。また、このように過去の所見にキーワードが含まれている場合、当該所見に従った処置、治療等が行われている可能性があり、医療従事者はこの変化も確認することができる。
処理回路11が、所見内容判定機能を用いて所見の内容に注意喚起定義情報に含まれるキーワードが含まれているか否か検索した結果、キーワードが含まれていると判定した場合には、注意喚起定義情報から当該検索されたキーワードに関連付けられて規定されている注意レベル及び原因(意図)を抽出する。
さらに、処理回路11は、抽出された注意レベル及び原因(意図)を表示用データとして生成する。生成された表示用データを用いて、処理回路11はディスプレイ15に表示を行う。
なお、ここで例えば、処理回路11の通信解析機能、検索機能、所見内容判定機能については、所定のメモリ(記憶回路16)やリムーバブルディスク18等に記憶されるプログラムをプロセッサ(処理回路11)に実行させるソフトウェアによって実現することを前提としている。ここで本明細書における「プロセッサ」という文言は、例えば、専用又は汎用のCPU(Central Processing Unit) arithmetic circuit(circuitry)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。
プロセッサは、記憶回路16に保存された、又は、プロセッサの回路内に直接組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。プログラムを記憶する記憶回路16は、プロセッサごとに個別に設けられるものであっても構わないし、或いは、例えば、図2における処理回路11が行う通信解析機能、検索機能、所見内容判定機能に対応するプログラムを記憶するものであっても構わない。記憶回路16の構成については、上述した通りである。
[データ提供の流れ]
次に、医療従事者が電子カルテ上で患者に関する読影レポートを参照したい場合に、読影レポートに含まれる検査情報等が検索され、最終的に医療従事者に対して検査情報等が表示される流れについて以下、図3ないし図5のフローチャートを用いて説明する。
図3は、実施の形態に係る作成された読影レポートの情報をデータベースに登録し、医療従事者からの表示要求に基づいて該当する情報を提供する流れを大まかに示すフローチャートである。すなわち、図3に明らかなように、医療従事者が対象となる患者に関する情報を電子カルテ上に表示させるに当たっては、読影レポートの情報をデータベースに登録する処理とデータベースに登録されている読影レポートの情報を医療従事者の表示要求に従って提供する処理の大きく2つの処理に分けることができる。そこで、ここではまず読影レポートの情報をデータベースに登録する処理の流れについて、図3及び図4を用いて説明する。
まず、病院情報システム1は、読影医が作成した読影レポートを受信する(図3のST1)。上述した通り、本願の実施の形態においては、病院情報システム1とは別のシステムとして、読影レポート作成システムが設けられている。読影医は、読影レポートを作成すると、病院情報システム1に向けて読影レポートを送信することから、病院情報システム1では当該読影レポートを受信する。
病院情報システム1では、読影レポート作成システムから送信される読影レポートの受信を受けて、受信した読影レポートの情報を患者データベースD1に登録する処理を行う(ST2)。ここで、図4は、実施の形態に係る病院情報システム1が受信した読影レポートを患者データベースD1に登録する流れを詳細に示すフローチャートである。
上述した通り、病院情報システム1では、読影レポート作成システムから読影レポートの送信を受けるのは任意のタイミングである。従って、読影レポート作成システムから読影レポートの受信を受けるまでは待機の状態となる(図4のST21)。
病院情報システム1が読影レポート作成システムから読影レポートを受信すると(ST21のYES)、まず、処理回路11は、通信解析機能を用いて受信した読影レポート内の情報を検査情報と所見とに分ける(ST22)。
また処理回路11は、患者データベースD1に登録する際に統一したデータ形式となるように、通信解析機能をもって読影レポート内の各種情報のデータ形式を変換する(ST23)。その上で、処理回路11は、検査情報と所見とに分けた読影レポート内の各種情報のうち、検査情報について、さらに患者情報と検査種別情報とに分ける処理を行う(ST24)。
検査種別情報には、上述したように、検査の種類、検査項目、計測値、計算値等が含まれる。そこで、処理回路11は、検査項目ごとの計測値、計算値を抽出する(ST25)。さらに、処理回路11は通信解析機能を用いて、所見から画像解析のコメント(文字列)も併せて抽出する(ST26)。
なお、ここまでの特にステップST22ないしステップST26までの処理の流れについては、順序立てて説明してきたが、例えば、受信した読影レポート内の情報を検査情報と所見とに分ける処理と各種情報のデータ形式の変換処理については順序を逆にして処理することも可能である。また、計測値、計算値の抽出処理と所見におけるコメント抽出処理についても同様にいずれを先に処理しても良い。
また、図4に示すこれまでの処理回路11での処理の流れは、検査情報及び所見がいずれも読影レポートに含まれていることを前提としている。但し、上述したように、読影レポートの所見に関連する検査情報が、当該読影レポート以外のモダリティやサーバ等から取得されることもある。この場合には、処理回路11は受信した検査情報に対しても、通信解析機能を用いてデータ形式を変換し、計測値等の抽出を行う。
ここまでで病院情報システム1が受信した読影レポートの検査情報(患者情報、検査種別情報及び医用画像)と所見とがそれぞれ独立した情報として抽出された。これは読影レポートの単位で各情報を利用するだけではなく、例えば、複数の読影レポートを横断して各情報を利用することができるようにするためである。その上で、処理回路11の通信解析機能により、読影レポート内の情報に含まれている検査結果番号を基に、検査情報と所見とを関連付ける(ST27)。
そして、さらに、読影レポートの個人情報を基に患者データベースD1に格納されている患者基本情報を抽出し、当該患者基本情報に検査結果番号でまとめられた読影レポート内の各種情報関連付けて、患者データベースD1に格納する(ST28)。以上で、読影レポート作成システムから送信された読影レポートを病院情報システム1が受信し、患者データベースD1に各種情報を格納するまでの処理が終了する。
次に、データベースに登録されている読影レポートの情報を医療従事者の表示要求に従って提供する処理について図3及び図5を用いて説明する。図5は、医療従事者からの表示要求に基づいて、処理回路11が該当する情報を検索し所見内にキーワードが含まれているか否かを判定し、ディスプレイ15に表示させる情報を生成する流れを詳細に示すフローチャートである。
これまで説明した読影レポートの受信、患者データベースD1への各種情報の格納処理については、医療従事者が読影レポートを確認する処理とは独立して行われる処理である。そのため、病院情報システム1は、医療従事者がある特定の患者の電子カルテの表示を欲しているか否か、すなわち、医療従事者からの電子カルテ表示要求を受信したか否かを判断する(図3のST3)。
ここで読影レポートの表示要求ではなく、電子カルテの表示要求としているのは、電子カルテがディスプレイ15の画面に表示されている際に、その電子カルテが示す患者に関する読影レポートを開くことになるからである。
具体的には、医療従事者からの電子カルテの表示要求を受信するまでは、電子カルテの表示に関して病院情報システム1は待機の状態となる(ST3のNO)。一方、病院情報システム1がある特定の患者に関する電子カルテの表示要求を受信すると(ST3のYES)、病院情報システム1は、当該表示要求に基づき、例えば患者ID等の患者情報を基に電子カルテを表示するに必要な情報を患者データベースD1から検索、抽出する処理を開始する。これにより、ディスプレイ15に電子カルテが表示される(ST4)。
そして、病院情報システム1は、さらに、医療従事者からの読影レポートの表示要求を受信するまで、読影レポートの表示の処理に関して待機となる(ST5のNO)。医療従事者が、電子カルテがディスプレイ15の画面に表示されている際に、例えば、その画面上に設けられている読影レポートを表示させるボタンを押し下げると、病院情報システム1は医療従事者が電子カルテに表示されている患者に関する読影レポートの表示を要求していると判断する(ST5のYES)。
病院情報システム1は、医療従事者からの読影レポートの表示要求を受けて、ディスプレイ15に読影レポートを表示させる処理を開始する。すなわち、表示要求に基づいて、患者データベースD1から必要な情報を検索、抽出するとともに、所見内容を判定する(ST6)。
ここから、処理回路11による患者データベースD1に登録されている読影レポートの情報を医療従事者の表示要求に従って提供する処理が開始される。図5は、医療従事者からの表示要求に基づいて、処理回路11が該当する情報を検索し所見内にキーワードが含まれているか否かを判定し、ディスプレイ15に表示させる情報を生成する流れを詳細に示すフローチャートである。
処理回路11は、検索機能を用いて選択された患者、すなわち、ディスプレイ15に表示されている電子カルテの対象となっている患者に関する各種情報を検索し取得する(ST41)。具体的には、患者データベースD1内に格納されている情報を検索することになる。
また、処理回路11は、電子カルテの画面上で指定された期間に含まれる検査結果番号を患者データベースD1から取得する(ST42)。ここまでで読影レポートの閲覧対象となっている患者に関する各種情報と閲覧したい検査結果(読影レポート)が特定されることになる。
そこで処理回路11は、さらに、選択された症状に対応した検査項目の一覧を患者データベースD1の中から検索し取得する(ST43)。上述したように、医療従事者が閲覧したい読影レポートの表示要求を行う場合、既に対象となる患者の電子カルテが表示されていることから、この電子カルテに示されている患者が罹患している症状ごとの各種情報を表示させるためである。
処理回路11は、検索機能を用いて、既に取得した検査結果番号から、当該検査結果番号に関連付けられる検査情報及び所見を、患者データベースD1から取得する(ST44)。
さらに処理回路11は、テーブルデータベースD2から、注意喚起定義情報を取得する(ST45)。そして、処理回路11は、検索機能を用いて、当該注意喚起定義情報を基に、別途取得された所見内に注意喚起定義情報に規定されるキーワードが含まれるか否か、検索する(ST46)。
注意喚起定義情報には、図2を用いて上述したように、キーワード、注意レベル、及び、読影医が当該キーワードを用いた原因(意図)がそれぞれ関連付けられて規定されている。処理回路11は、所見内容判定機能をもって判定を行い(ST47)、所見内を検索した結果キーワードが含まれると判定した場合には(ST47のYES)、注意喚起定義情報の定義に従って、該当キーワードに関係する注意レベル及び原因(意図)を抽出する(ST48)。そこで、処理回路11は、これらの「注意レベル」及び「原因(意図)」を表示用データとして生成する(ST49)。
さらに、処理回路11は、キーワードとして抽出される文字列を医療従事者に報知するべく、対象となる文字列に対する報知処理を行うための表示用データを生成する(ST50)。なお、「注意レベル」及び「原因(意図)」の表示も医療従事者に対する報知となるが、ここでの報知の方法は、例えば、上述したように、該当する文字列自体の色を変更する、或いは、当該文字列を含む表示欄自体の色を変更する、といった、「注意レベル」及び「原因(意図)」の以外の表示に関する方法である。また、この報知の方法は、医療従事者の五感に訴えるいずれかの方法が採用される。
なお、医療従事者が表示を求めた読影レポートにおいて、キーワードが含まれていない場合には(ST47のNO)、上述したような医療従事者に対する報知を行わない表示用データを生成する。
表示用データが生成されると、当該表示用データを用いて、ディスプレイ15に読影レポートの内容が表示される(図3のST7)。なお、読影レポートの内容の表示に当たっては、例えば、以下に図6や図7を用いて説明するように症状ごとに症状に関連する値や所見等を時系列に表示させる方法の他、例えば、読影レポートそのものを表示させる方法も選択することができる。
ここで、図6は、電子カルテ上に医療従事者が要求した情報が表示された例を示す画面例である。ディスプレイ15の画面例において、上段の領域R1には、例えば、氏名、生年月日、性別といった、患者に関するデータが表示される。また併せてこの画面表示を終了する場合に押し下げる終了ボタンも設けられている。下段の領域R2には、検索結果であるデータが表示される。
本発明の実施の形態においては、領域R2には、一例として症状ごとに設けられるタブごとに表示される。図6の画面例では「症状A」のタブが開いており、症状Aに関する検査結果の内容が表示されている。なお、ここでは、タブは症状Aないし症状Cについて、3つのタブが示されている。
また、タブの表示の横には、表示させる検査結果の期間を設定するための欄が設けられている。ここでは、期間をプルダウンメニューの中から選択できるようにされている。医療従事者は、表示対象とする検査結果や読影レポートを選択、限定するために、当該期間の欄を用いて、期間を指定する。なお、期間を指定せずに読影レポートの表示を要求することも可能である。この場合には、対象となる患者に関する全ての読影レポート等の各種情報が表示されることになる。
当該期間指定の表示の横には「取得」ボタンが表示されている。この「取得」ボタンは、医療従事者が病院情報システム1に対して閲覧の対象となる読影レポートの表示要求を行う際に利用するボタンである。
さらにこの取得ボタンの表示の右横には、グラフボタンが表示されている。当該グラフボタンからの入力信号を受けて、処理回路11は、医療従事者による読影レポートの表示要求に基づいて取得された検査情報を用いて、例えば取得された計測値等を基にグラフを作成し、表示させる。図6に示す画面例では、後述する「原因(意図)」の欄の直下にグラフが表示されている。なお、いずれの検査情報を用いてグラフを作成するかについては、医療従事者が任意に設定することが可能である。
ここで図6に表示されている「グラフボタン」は、上向きの三角の表示がされている。ディスプレイ15を見ている医療従事者がこのグラフボタンを押し下げることにより、グラフの表示、非表示を切り替えることができる。図6で示すように、グラフボタンが上向きの三角の表示となっている場合には、グラフ表示がされていることを示している。
図6に示す画面例では、タブの直下に「原因(意図)」が表示されるようにレイアウトされている。この欄に注意喚起定義情報においてキーワードに関連付けられて規定されている「原因(意図)」の内容が表示される。上述した、例えば、キーワードが「影」の場合の「所見(確認)」の文言がこの場所に表示される。
なお、1つの読影レポートの中にキーワードが複数含まれており、注意レベルも原因(意図)も複数表示させる必要がある場合には、例えば、最も緊急度の高い注意レベルを備える原因(意図)のみを、或いは、当該原因(意図)を筆頭に表示させることとしても良い。また、複数の読影レポートにキーワードが含まれる場合には、例えば、最新の読影レポートに示されるキーワードに関する原因(意図)を表示させることとしても良い。
さらに、「原因(意図)」の欄の下には、グラフの表示欄を挟んで処理回路11が患者データベースD1から検索、抽出した読影レポートに記載されている症状Aに関する各種情報が表示されている。
取得された各種情報は、ここでは7つの項目に分けて表示される。まず一番上には患者に対して検査が行われてデータが取得され、或いは、当該患者に対して何らかの処置が行われた日付が表示されている。また、当該日付は時系列に左から右に移るに従ってデータが新しくなるように表示されている。すなわち、期間指定の項目の下に、取得されたデータが時系列に数値で表示されている。
なお、図6の画面例では「2017/06/01」の日付のデータが最新のデータとして表示されている。但し、入力回路14を介して最も下に表示されているスクロールバーを移動させる操作が行われることによって、処理回路11は、指定された期間の最終日である「2017/07/13」のデータまでをディスプレイ15の画面に表示させることが可能である。
日付欄の下には、例えば、読影レポートに記載されている、検査の結果得られた各種情報が示されている。具体的には、図6に示す画面例においては、「キー画像」、「計測値」、「計算値」、「オーダ1」、「オーダ2」、及び、「所見」の各項目が示されている。なお、どのような情報を表示させるかについては、これらの項目に限定されず、任意に設定することが可能である。
「キー画像」は、検査結果としての読影レポートが作成された際に用いられる、読影医が参照した当該検査結果を特徴付ける画像である。読影医は、モダリティによって複数枚取得された医用画像の中から単数、或いは、複数のキー画像を選択し、当該キー画像を用いて読影レポートを作成する。
「計測値」、「計算値」は、例えば、キー画像を用いて得られた値を示している。但し、計測値、計算値を求めるために用いられる画像は、キー画像に限定されない。
「オーダ」の項目は、検査が行われる際に、医療従事者からの検査要求が示されている。ここでは「オーダ」された内容を「オーダ1」、「オーダ2」として2つまで表示できるようにされている。
さらに、「所見」の項目には、タブに表示される症状について、医療従事者が作成した所見が示されている。図6に示す所見の項目には、図示の関係上点線で示されているが、文字列で所見の内容が示されている。
なお、この所見の内容については、その全ての内容が記載されても、或いは、その要約のみが表示されても良い。後者の場合には、処理回路11が所見の要約を表示させるための処理が行われる。また、まずは所見欄に、例えば、ファイルのアイコン等で所見の有無を表示させ、医療従事者によって当該アイコンが選択された場合に、当該対象の所見を表示させることとしても良い。
また、ディスプレイ15を見ている医療従事者に対して注意を促すべく、所見に記載されていた「キーワード」を明確に表示させるために文字の色やフォントを変更する等の処理が行われた上で表示させても良い。或いは、図6に示すように、所見が表示された欄や注意を要する欄自体を彩色することとしても良い。
なお、図6に示す画面例では、キー画像が示されている日にちとキー画像の欄が空欄の日にちとが示されている。これは例えば、前者の場合は、医用画像を取得することを含む何らかの検査が行われたことを示している。一方後者については、例えば、医用画像を取得しないものの、検査や投薬等、患者に対して何らかの処置がなされたことを示している。
なお、本発明の実施の形態においては、図6に示すように、原因(意図)の欄に読影医のキーワード使用の意図を示し、或いは、所見や数値等を強調して表示する等、医療従事者に対して読影レポートの内容を読影医との間で共有するための様々な方法が採用されている。当該医療従事者に対する報知によって、医療従事者が読影医の意図に従って、例えば、読影レポートの所見欄を確認した場合には、所期の目的が達成される。
そして、表示された報知の情報に対して応答して、例えば、医療従事者が所見を確認した場合には、その報知の表示を画面上消すことも可能である。このような処理を行うことでその事実がログとして保存されることになる。また、その後の処理の内容を追跡することで、報知の情報が表示され、当該情報に促されて医療従事者が所見を閲覧したのか否か、閲覧後に所定の対応を行ったのか、といった、医療従事者の対応を後から確認することも可能である。
以上の説明で、患者データベースD1に登録されている読影レポートの情報を医療従事者の表示要求に従って提供する処理が終了する。処理回路11が表示に必要な各種情報を検索、抽出、取得するとともに、取得した所見内に注意喚起定義情報に規定されているキーワードが含まれているか否か判定し、当該判定結果に基づいて医療従事者に対して報知を行うことで、読影医の意図を十分に医療従事者に対して伝えることができ、読影レポート等の見落としを防止することができる。
次に、図7を用いて、医療従事者に対するさらなる報知の方法について説明する。図7は、電子カルテ上に医療従事者が要求した情報に、追加の情報が表示された例を示す別の画面例である。
これまで説明してきた通り、読影レポートは、基本的に医療従事者から要求されたオーダに従って行われた検査結果に基づいて読影医によって作成される。但し、読影医が読影レポートを作成する際に、医療従事者はオーダしてはいないが、類似する症例といった、検査結果から見て読影医が注意を要する、関連がある、参照して欲しい等の判断を下す場合が考えられる。そしてこのような読影医の判断結果については、特に検査をオーダした医療従事者に伝えたい内容である。そこで、このような内容が読影レポートに追加された場合には、例えば、図7に示すように、症例を示すタブの横に新たなタブを設けて、医療従事者に注意を促すこととしても良い。
すなわち、このような内容が読影レポートに記載された場合には、処理回路11は、例えば、所見内の特別なキーワード(以下、「特定キーワード」という)を所見内容判定機能によって抽出する。当該特定キーワードは、注意喚起定義情報に予め定められており、注意レベル及び原因(意図)も関連付けられて規定されている。処理回路11がこのような特定キーワードを抽出した場合には、例えば、表示用データとして新たなタブを生成しディスプレイ15に表示させる。
なお、医療従事者からのオーダ以外の内容が含まれていることを医療従事者に気づかせるのが目的なので、ここでの特定キーワードの一致度は、完全一致でも良い。また、表示の仕方も、図7に示すようなタブでの表示に限られない。さらに、表示の仕方は、例えば、類似する症例において一般的な値、グラフ等であるなど、医療従事者に検討のきっかけ与える表示であれば良い。
図7では、症状のタブの横に「要確認」のタブが新たに設けられており、各種情報のうち、「計測値」に関する情報の表示欄に網掛けの表示がされている。また、グラフの表示は、当該計測値の変化を示すものである。
このような表示を行うことで、情報を受領した医療従事者の側で読影結果に基づいて、改めて様々な情報を収集する必要がなく、手間、時間を省くことができる。
これまでの説明において、処理回路11が行う通信解析機能、検索機能、所見内容判定機能については、所定のメモリ(記憶回路16)やリムーバブルディスク18等に記憶されるプログラムをプロセッサ(処理回路11)に実行させるソフトウェアによって実現することを前提としている。但しそれぞれ、通信解析回路、検索回路、所見内容判定回路と構成することも可能である。
通信解析回路とは、通信ネットワークを介して接続される読影レポート作成システムから送信される読影レポートに含まれる情報を分析し、患者情報、計測値や計算値、医用画像といった検査情報と所見とを取得するプロセッサである。また、通信解析回路は、これら取得した検査情報と所見とを患者データベースに登録するプロセッサである。通信解析回路は、解析機能に対応するプログラムを記憶回路から呼び出して、実行することで解析機能を実現する。通信解析回路は検索回路に接続され、解析機能によって解析された検査に関する情報を検索回路へと出力する。
検索回路とは、医療従事者からの電子カルテや読影レポートの表示要求に基づいて、患者データベース、テーブルデータベース内を検索し、所望の情報を検索する検索機能を実現するプロセッサである。検索回路は処理回路に接続され、検索機能によって検索されたデータを処理回路へと出力する。
所見内容判定回路とは、テーブルデータベースから取得される注意喚起定義情報を基に、読影レポートの所見欄等に記載されている文字列等にキーワードが含まれるか否かを判定する所見内容判定機能を実現するプロセッサである。
また、キーワードが含まれている場合には、注意喚起定義情報の定義に従って、該当キーワードに関係する注意レベル及び原因(意図)を抽出し、これらの「注意レベル」及び「原因(意図)」を表示用データとして生成するプロセッサである。所見内容判定回路は処理回路に接続され、所見内容判定機能によって判定されたキーワードや報知のデータを処理回路へと出力する。
なお、処理回路11が行う通信解析機能、検索機能、所見内容判定機能の少なくとも1つを専用の回路とし、その他の機能を処理回路11が行う処理とすることも可能である。
以上実施の形態において説明した通り、読影レポート作成システムから送信された読影レポートに含まれる検査情報と所見とを関連付けて記憶させておく。そして医療従事者からの読影レポートの表示要求に基づいて、表示に必要な各種情報を検索し、ディスプレイに表示させる。この際、所見欄等にキーワードが含まれている場合には、当該キーワードに関連付けられて規定されている、医療従事者に注意を促す、注意レベル及び原因(意図)も併せて表示させる。これにより、医療従事者に対して読影レポートの内容の確認を促し、確実にその内容を把握させることが可能な病院情報システム及び情報表示プログラムを提供することができる。
また、オーダ以外に読影医が医療従事者に伝えたい内容がある場合についても、特別なキーワードを介して同様に医療従事者に報知することとしているので、読影医の意図が医療従事者に対して十分に伝わるとともに、医療従事者の処理の簡素化を図ることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。