JP6937012B2 - 電子透かし装置および方法 - Google Patents
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Description
この手法は,実空間(画素空間)において多数の画素ペアにわずかな偏差を与え透かし情報として埋め込む.まず,ランダムに画素のペアを選び,一方の輝度値をδ だけ上げ,他方のの輝度度値をδだけ下げる.この操作を繰り返すことにより分布の期待値に偏りが生じる.この偏りを統計的に求めることにより透かし情報を抽出することが可能となる.
しかしながら,この手法は耐性を高めるためには埋め込みデータ値δを大きくする必要があり,実空間(画素空間)で埋め込むため,埋め込み領域(パッチ)が視覚的に目につくようになる.また、埋め込める情報量は極端に少ない.
図1は本発明の情報埋め込みと抽出のための電子透かしシステムの構成図である.著作権保有者のコンピュータ3 には,著作権を有す画像データが,例えばハードディスクなどのデータメモリ7に保管されている.画像データは,プログラムメモリ6にある画像処理プログラムにより,CPU11,ROM 4,RAM5などを用いて画像処理され,モニター8に表示される.コンピュータ3にはスキャナー1,プリンタ2が接続され,処理された画像はモニター8に表示されたりプリンタから出力されたりし,またスキャナー1から画像読み取りができる.かかる画像処理は負荷の高い処理が多いため,GPUなどの高速化を図るための処理ボードが入っている場合もある.
今,求めるドットプロファイルのサイズをR×R ( R=2^m,^はべき乗を表す)として,まず,疑似乱数発生器により,R^2/2個のランダムドット(初期状態はホワイトノイズ)を重ならないようにして発生させ,p(i,j)とする.この時,疑似乱数発生器のSEED値を変えることにより初期状態のドットプロファイルを変更可能である.
STEP1:p(i,j)ドットプロファイルの二次元フーリエ変換を行い,P(u,v)を得る.
STEP2:P(u,v)にフィルタD(u,v)を掛けて,新たなP'(u,v)を得る.ここで,D(u,v)は低域が0となるフィルタである.
STEP3:P'(u,v)に逆フーリエ変換を行い,多値の点プロファイルp'(i,j)を得る.
STEP4: 誤差関数e(i,j)=p'(i,j)-p(i,j)を求め,各画素位置での誤差の大きい順に白,黒反転する.
STEP5: 上記操作を誤差が許容量以内になるまで繰り返す.
以上の操作を行い最終的に目的とするブルーノイズ特性を示すドットプロファイルを得る.
b=(fu-f0)/fn
とすると,Rに非依存のドットプロファイルが得られる.ここで,fnはナイキスト周波数を示す.v軸方向はu軸方向のβ倍であるとする.
透かし情報の埋め込みは,カラー画像データをY,Cb,Crに変換し,輝度Yに透かし情報を埋め込む.Blue(印刷時はイエロー)に埋め込むのがもっとも理想的である.ただし,精度よく色分離することが必要である.
画像ブロックの周波数スペクトルをI(u,v)とすると,埋め込まれたスペクトルW(u,v)は,
W(u,v)=I(u,v)+gain・Pi (u,v) ---------- (1)
となる.ここで,不可視となるためには,gain≪1でなければならない.透かし情報Pi (u,v)が精度よく抽出されるためには,前述のようにI(u,v)とPi (u,v)の重なりを少なくすることが望ましい.
w(x,y)=i(x,y)+gain・pi (x,y) ---------- (2)
となる.透かし情報として、0,1の1ビットのデータを埋め込むとして,2つの異なるブルーノイズ特性を示すドットパターンpi(x,y)(i=1,2)を用意する。そのうえで、埋め込むビット情報(0,1)に対して,
埋め込みビット=0の時 → p0(x,y))
埋め込みビット=1の時 → p1(x,y)
として埋め込む.ここで,p0およびp1は(1,0)の二値であるが,平均輝度を保存するため(1/2,-1/2)とする.
もし、2ビットの多値データを埋め込む場合には、4つのドットパターンを用意すればよい。
N=int(W/R)×int(H/R) ---------- (3)
で与えられる.ここで,int()は少数以下切り捨てを表す.埋め込み可能文字数は,ASCII文字の場合は,int(N/8)となる.通常,著作権保護希望の対象画像はHDサイズ(1980画素×1024画素)以上の画像であり,HD画像では,N=480ビット=60バイトとなり,著作権情報の埋め込みとしては十分である.しかしながら,小さいサイズの画像で十分な情報量を必要とする場合には,R=32として埋め込めば,例えば,512画素×512画素の場合,N=256ビット=32バイトの情報量が埋め込み可能である.
したがって,この画像は,
N=int(1024/64)×int (576/64)= 16×9=144ビット=18バイト
となり,最大18バイト(ASCIIの場合)までの文字情報が埋め込み可能である.同図(a)は埋め込まれた画像を示す.埋め込みのgainは0.0625で,ある.すなわち,原画に±8 のドットパターンを合成したものである.同図(b)は後述の抽出結果で正答が得られている.図6は図5(b)の一部を拡大したものである,画像のスペクトルは楕円型のスペクトルの内部に包含されている.このため,両者のスペクトルを分離することが容易であることが分かる.
F{w(x,y)}=F{i(x,y)} + gain・F{pi (x,y)} ---------- (4)
となる.ただし,F{ }はフーリエ変換を表す.通常,F{i(x,y)}は原画像のスペクトルで,0周波数付近に局在し,F{pi (x,y)}はそれを取り巻くスペクトルとなる.このため,両者の重なりは少なく,両者を分離することは容易である.
F{w(x/a,y/a)}=F{i(x/a,y/a)}+gain・F{p(x/a,y/a) }
=F{i(x/a,y/a) }+gain・|a|・P(au,av)
となり,スペクトル空間で1/aに縮小される.また,画像をθ回転させたものは,フーリエスペクトルでもθ回転する.したがって,埋め込まれた画像のスペクトルの分布を計測することにより施されたAffine係数を求めることができる.検出用の窓サイズは小さくてもかまわない.例えば,レジストレーション考慮をせずに40画素×40画素の窓サイズで抽出を試みる場合,余白を設けて64画素×64画素にしてFFT(高速フーリエ変換)を施しても,検出は可能である.
Q0=M0◎W=(1/Z)ΣM0(i,j)・W(i,j)
Q1=M1◎W=(1/Z)ΣM1(i,j)・W(i,j) ---------- (5)
ここで◎はマスク演算を,Zはマスクの値が1の画素数を表す.かかる出力から,
Q0>Q1 の時, 抽出ビット=wm’(i,j)=0
Q1>Q0 の時, 抽出ビット=wm’(i,j)=1
となる(41).同時に,以下のように信頼度を得る(42).
wmrel’(i,j)=|Q0-Q1|
かかる信頼度はその値が大きいほど抽出ビットの信頼度が高い.
wmrel’(i,j)>wmrel(k,j) の時信頼度が高いため,
wm(k,j)=wm’(i,j)
wmrel(k,j)=wmrel’(i,j) ---------- (6)
として(52),透かし情報を置き換える.これを全ビット及び全ブロックで,iがNまで,すなわち埋め込みビット数Nが終了するまで行う.
i(x,y)=w(x,y) - gain・pi (x,y)
となり,埋め込みパターンpi (x,y),およびgainを“鍵”として受け取ることにより原画像に戻すことができる.完全に元の画像に戻すためには,埋め込み画像のオーバーフロー,アンダーフローを避けるため,あらかじめダイナミックレンジを制限しておく必要がある.
画像データが8ビットの場合、画像データDataに対して、
Data'=Data+gain(128-Data) ----------(7)
なる変換で、ダイナミックレンジをリニアに圧縮し、出力データData'を得る。透かし除去後はこの逆変換することにより完全に元の画像に戻すことができる。すなわち、
Data=(Data'-128・gain)/(1-gain) ----------(8)
かかる変換は、gain を与えることで自動的に行うことができる。通常、gain≪1 であるので、画質に与える影響は少ない。
編集後の最終データは,2次著作権情報を透かし情報を新たに埋め込むことが可能である.その場合,透かし埋め込みのソフトウェアを使い,鍵に含まれる埋め込みパターンを利用する.
一方,本アルゴリズムはアルゴリズムを公開しても,逆解析により透かし情報を解読するには多大の労力を要す。さらに、透かしを除去する鍵は原則,1枚の画像に対して1つであるため,仮に鍵情報を解読できても,他の画像にその鍵を使って透かしを除去することはできない.
16は著作権者のコンピュータ,17は購入者のコンピュータを表す.
Claims (2)
- デジタル画像データi(x,y)に著作権情報などを埋め込む電子透かし法において、
透かし情報の埋め込みは、デジタル画像データをR画素×R画素 のブロックに分割し、それぞれのブロックに対して埋め込む透かし情報のビット情報(0あるいは1)に対応して、フーリエスペクトルが低周波域で低減したブルーノイズ特性を示す複数の異なるドットパターンpi(x,y)(i=0,1,2,…)を用いて、透かし埋め込み画像 w(x,y)=i(x,y)+gain・pi(x,y) を生成し(ただし、gainは埋め込み強度で,gain<<1)、
透かし情報の抽出は、受信あるいは読み取った画像データをブロックに分割し、それぞれのブロックのフーリエスペクトルの分布と抽出用のマスクとのマスク処理により、埋め込みビット情報を抽出し、
透かしの情報の除去は,透かしの埋め込まれた画像w(x,y)に対して、埋め込み時のドットパターンpi(x,y),埋め込みのgainおよび埋め込み情報のセットを秘密鍵として得ることにより、埋め込み前の画像 i(x,y)=w(x,y)-gain・pi(x,y) を復元できるものであって,
前記透かし情報の埋め込みは,画像毎に異なる初期値(乱数のSeed値)により生成されたドットパターンを用い、
前記透かし情報の除去は、かかる画像毎に異なるドットパターンを内蔵する鍵を用いて透かしの除去を行い、かつ、この鍵を用いて新たな情報を埋め込むことが可能であり、
前記透かし情報の抽出は、異なる画像に対して鍵が異なっても共通のソフトウェアを用いることができる、
ことを特徴とする電子透かし方法。
- 前記電子透かしの抽出用のマスクは、埋め込みドットパターンのスペクトル特性P0,P1に対応したマスクM0,M1があり、前記マスク処理は、マスクとブロックの抽出スペクトル分布との積分輝度値Q0,Q1で、
Q0>Q1 の時, 抽出ビット=0
Q1>Q0 の時, 抽出ビット=1
であり、また,信頼度を
信頼度=|Q0-Q1|
として求め、透かし情報を重複して埋め込んだ場合,重複したビットから、かかる信頼度が最も高いものを選択して,透かし情報を抽出することを特徴とする請求項1に記載の電子透かし方法。
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