JP3728146B2 - 画像処理方法及び装置と記憶媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、原画像データに電子透かしを埋め込んだ画像データを生成し、及び或はその画像データから電子透かし部分を除去して原画像データを生成する画像処理方法及び装置と記憶媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
画像をデジタル信号として扱うデジタル画像は、従来のアナログ信号で表現されるアナログ画像と比較して、コンピュータなどによって簡単にコピーでき、しかもその様な複写を行っても画質が劣化することがない等の特徴があり、しかも通信回線を通して遠隔地に画質の劣化無く伝送できるといった利点がある。しかし、このような特徴により、デジタル画像は第三者により容易に不正コピーされ再配布されるという問題がある。これを防ぐための方法の一つとに、電子透かしと呼ばれる手法がある。
【0003】
この電子透かしには大きく分類して、著作権情報、ユーザ情報等の透かし情報を目に見えない形で画像に埋め込む不可視型と、その著作権を保有する会社のロゴ等の透かし画像を目に見える形で、その画像上に形成する可視型とがある。前者の不可視型の電子透かしでは、その埋め込み画像を一見しただけでは、透かし情報が埋め込まれていることが認識できない。従って、透かし情報の削除は行われにくいものの、その画像の不正コピー、不正編集は可視型の場合に比べて行われ易い。但し、例えデジタル画像データが不正にコピー又は編集された場合でも、そのデジタル画像データ中には透かし情報が残っているので、透かし情報として埋め込まれたユーザID等により、不正なコピー等を行ったユーザを特定することができる。
【0004】
このような不可視型の電子透かしの代表的なものとして、入力画像に対し高速フーリエ変換、離散コサイン変換、ウェーブレット変換等の周波数変換を行い、周波数領域に透かし情報を加えた後、逆周波数変換を行うことにより、電子透かしの埋め込みを行う手法が挙げられる。このうち、高速フーリエ変換による手法では、入力画像はPN系列を加えられて拡散された後、ブロックに分割され、各ブロック毎にフーリエ変換が施され、1ブロックに1ビットの透かし情報が埋め込まれる。こうして透かし情報が埋め込まれたブロックに逆フーリエ変換が施され、再び最初と同じPN系列が加えられて合成画像となる。この技術は例えば、大西、岡、松井等による、“PN系列による画像への透かし署名法”(1997年、暗号と情報セキュリティシンポジウム講演論文集、SCIS97-26B)に詳しい。また離散コサイン変換による手法は、ブロックに分割し、ブロック毎に離散コサイン変換をする。1ブロックに1ビットの情報を埋め込んだ後、逆変換をして合成画像を生成する。これは、例えば、中村、小川、高嶋等による“ディジタル画像の著作権保護のための周波数領域における電子透かし方式”(1997年、暗号と情報セキュリティシンポジウム講演論文集、SCIS97-26A)に詳しい。
更にウェーブレット変換による手法は、入力画像をブロック分割する必要のない手法で、これは石塚、酒井、櫻井等による“ウェーブレット変換を用いた電子すかし技術の安全性と信頼性に関する実験的考察”(1997年、暗号と情報セキュリティシンポジウム講演論文集、SCIS97-26D)に詳しい。また、画素の色相、明度等に演算を施して電子透かしを埋め込む手法(Digimarc社、米国特許5,636,292等)もある。
【0005】
一方、可視型の電子透かしでは、透かし情報はデジタル画像上に目で見える形で書き込まれているので、そのままでは利用し辛く、不正コピー、不正編集を思い留まらせる効果がある。このような可視型電子透かしは、正しい利用者だけが完全に透かし情報を取り除くことが可能であるように構成されている場合もある。その具体例として、その画像データの正規でない利用者に対しては、可視型の透かしが埋め込まれた画像を配布し、正規の利用者に対しては、可視型の透かしが埋め込まれていない画像を配布する場合が考えられる。
【0006】
これを実現するための一つの方法として、従来はロゴなどの画像の画素値を原画像の画素値と置き換えることにより、著作権情報を原画像データに貼り込み、正規でない利用者に対してはロゴ等を貼り込んだ画像データを配布し、正規の利用者に対しては原画像データをそのまま配布する方式が用いられてきた。しかし、可視型の電子透かしを埋め込んだ画像データの部分の内容は、ロゴなどの画像の内容に置き換えられているために、利用者はこの部分に対応する原画像データの内容を知ることができない。更に、このような電子透かしを除去するためには、原画像データの全てを送信する必要があるが、一般に原画像データは非常に大きなデータであるため、これを送信するには多くの時間が必要とされた。
【0007】
またこれとは他に、特開平8−241403号公報で提案されている方式もある。これは、原画像データの輝度値を線形変換することによって、色度を保存して可視型の電子透かしを埋め込む方式である。この方式では、可視型の電子透かしが埋め込まれた領域の原画像データの内容を使用者が知ることが可能であったが、可視型の電子透かしを解除する方法は明確にされていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したように従来は、原画像データに可視型の電子透かしを埋め込み、その電子透かしが埋め込まれた画像データから電子透かし部分を解除する方法については提案されていない。このため、正規の利用者に対して可視型の電子透かしを解除した原画像データを提供するためには、その利用者に対して、その原画像のデータの全てを送信する必要があった。このような全原画像データの送信は多くの時間を要し、伝送コストの点でも問題となっていた。
【0009】
本発明は上記従来例に鑑みてなされたもので、原画像データを容易に復元可能で、かつ可視型の透かし画像の埋め込み及び復元を容易に行うことができる技術を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の画像処理装置は以下のような構成を備える。即ち、 原画像データに透かし画像を埋め込む画像処理装置であって、
原画像データと透かし画像の形状情報を入力する入力手段と、
前記形状情報に基づいて、前記原画像データの画素値の一部、又は、前記原画像データの複数色成分の内の一色成分を、鍵情報として前記原画像データより分離する分離手段と、
前記分離手段で画素値の一部又は色成分が分離された後の原画像データと前記鍵情報とを出力する出力手段とを有することを特徴とする。
【0014】
上記目的を達成するために本発明の画像処理装置は以下のような構成を備える。即ち、
原画像データに透かし画像が埋め込まれた埋め込み画像データを入力して前記原画像データを復元する画像処理装置であって、
埋め込み画像データと、前記埋め込み画像データに埋め込まれた透かし画像の形状情報及び、前記埋め込み画像データの原画像データより分離された当該原画像データの画素値の一部又は前記原画像データの複数色成分の内の一色成分に基づく鍵情報を入力する入力手段と、
前記形状情報に基づいて、前記埋め込み画像データと前記鍵情報とを合成して前記原画像データを復元する合成手段と、
前記合成手段により復元された前記原画像データを出力する出力手段と、
を有することを特徴とする。
【0015】
上記目的を達成するために本発明の画像処理方法は以下のような工程を備える。即ち、 原画像データに透かし画像を埋め込む画像処理方法であって、
原画像データと透かし画像の形状情報を入力する入力工程と、
前記形状情報に基づいて、鍵情報として前記原画像データの画素値の一部、又は、前記原画像データの複数色成分の内の一色成分を前記原画像データより分離する分離工程と、
前記分離工程で画素値の一部又は色成分が分離された後の原画像データと前記鍵情報とを出力する出力工程とを有することを特徴とする。
【0016】
上記目的を達成するために本発明の画像処理方法は以下のような工程を備える。即ち、 原画像データに透かし画像が埋め込まれた埋め込み画像データを入力して前記原画像データを復元する画像処理方法であって、
埋め込み画像データと、前記埋め込み画像データに埋め込まれた透かし画像の形状情報及び、前記埋め込み画像データの原画像データより分離された当該原画像データの画素値の一部又は前記原画像データの複数色成分の内の一色成分に基づく鍵情報を入力する入力工程と、
前記形状情報に基づいて、前記埋め込み画像データと前記鍵情報とを合成して前記原画像データを復元する合成工程と、
前記合成工程で復元された前記原画像データを出力する出力工程と、
を有することを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0018】
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1に係る電子透かし埋め込み装置の概略構成を示すブロック図である。
【0019】
図1において、原画像データxと埋め込み画像データrが入力部11に入力される。ここで原画像データxとは、それぞれが、その画素の位置と画素値(輝度値)とで構成される複数の画素を含む原画像データであり、本実施の形態1においては、原画像データの1つの画素データは、赤色(R)成分、緑色(G)成分、青色(B)成分で構成されるデータであり、それぞれの色成分は256階調(8ビット)で表現される。また、埋め込み画像データrは、埋め込む画像の形状を示す画素位置からなる透かし画像データである。
【0020】
この埋め込み画像データrは、例えば図9に示すような、利用者などによって意味のある内容のデータであっても、意味の無い内容のデータのいずれであっても良い。例えば、意味のある内容のデータとしては、ロゴマークなどのように、著作権情報などを主張するようなデータが考えられる。ここで図9に示すようなロゴを示す情報を埋め込む場合には、領域を示す情報として、黒色画素には符号“1”を対応させ、白色画素には符号“0”を対応させることによって、図10に示すような、この埋め込み画像データrを示すシリアルビット系列のデータを構成することが可能である。また意味の無い内容のデータ場合は、原画像データの特定位置をマスクするような情報で表現することが考えられる。
【0021】
以上述べたような原画像データx、及び埋め込み画像データrが、初期状態において設定される。
【0022】
次に、切替え器12において、原画像データxの画素の画素位置と、埋め込み画像データrに含まれる透かし画像の形状情報とを比較し、それらが一致した場合は、分離器13に、その位置が一致する画素値を送り、不一致の場合は、その画素についての分離、切替え処理を行わず、原画像データxの画素値をそのまま切替え器14に出力する。
【0023】
分離器13では、原画像データxの指定された画素位置の画素値(全部又は一部)を構成する3色の色成分のうち、少なくとも1色以上の色成分を原画像データから分離し、その分離した情報を鍵情報kとして格納する。またこの鍵情報kが分離された残りの情報(x1) を、切替え器14に出力する。
【0024】
ここで分離される色成分情報は、本実施の形態1においては256階調、即ち8ビットの情報量をもつ。よって、分離する情報(鍵情報k)は、8ビット全てであってもよいし、8ビット未満であってもよいが、少なくとも1ビット以上である必要がある。なお、原画像データxに依存せずに、効果的に可視型の透かし埋め込み処理を行うためには、8ビット全ての情報を分離することが望ましい。しかしながら、分離した情報は鍵情報kとして出力されるため、この鍵情報kを小さくしたい場合には、この分離する鍵情報kの情報量を少なくするように制御する必要がある。
【0025】
更に、分離する色成分の数は、1色である場合は、残りの2色によって、現在着目している画素位置の内容を表現することが可能である。例えば、赤色成分を分離したとしても、残りの緑色成分、青色成分によって、現在着目している画素位置の内容が表現可能である。但し、この場合は、赤色成分が含まれていないために、この画素位置の色合いが変化してしまう。この色合いの変化によって、利用者に対して明示的に電子透かしが埋め込まれていることを可視的に主張することができる。また、分離する色成分の数が3色である場合には、その着目している画素位置の内容を表現することができない。これは着目した画像の内容も知らせたくないようなアプリケーションにとって有効な手段であるかもしれない。尚、上述した本実施の形態における処理は、各画素毎に順次行うことも、並列に行うこともできる。
【0026】
以上述べた処理によって、原画像データに対して透かし画像データの形状情報に応じた変形を加えることができる。この変形は上述の不可視型電子透かしと異なり、その画素値を分離器13に応じて大きく変えるので、目に見える可視型透かしとなる。このようにして分離器13で分離された画像データ(x1)は切替え器14に入力される。この切替え器14では、前述の切替え器12と同様に、原画像データxの画素の画素位置と、埋め込み画像データrに含まれる透かし画像の形状情報とを比較し、それらが一致した場合は、分離器13から入力される画像データ(x1)を出力部15に送り、不一致の場合は、原画像データxの画素値をそのまま出力部15に出力する。このようにして、透かし画像が埋め込まれた画像データを再形成し、その結果が出力部15に出力される。更に、分離器13で分離された鍵情報kも出力部15に出力される。こうして出力部15から、透かし画像が埋め込まれた埋め込み済み画像データx’と鍵情報kとが出力される。
【0027】
以上述べたような本実施の形態1の処理によって生成される画像データを、以下では可視型電子透かし埋め込み済み画像と呼ぶ。
【0028】
この画像は次の実施の形態2に示す復号法によって可逆的に復元可能であり、透かし画像の形状が著作権者のロゴ等、意味のある情報であれば単なる画像スクランブルと異なる著作権情報保護の効果を実現することが出来る。
【0029】
[実施の形態2]
図2は、本発明の実施の形態に係る電子透かし解除装置の概略構成を示すブロック図である。
【0030】
図2において、可視型電子透かし埋め込み済み画像x’と、埋め込み画像データr、及び鍵情報kが入力部21より入力される。ここで、可視型電子透かし埋め込み済み画像x’とは、上記実施の形態1で説明した構成によって処理された画像データx’であり、埋め込み画像データrは、上記実施の形態1において入力された埋め込み画像データrと等しいものである。更に鍵情報kは、上記実施の形態1で説明したようにして出力された鍵情報kに等しくなければならない。これらの情報、特に埋め込み画像データrと鍵情報kが正しく入力されない場合には、本実施の形態2における処理は正常な終了をしない。ここで正常な終了とは、可視型電子透かし埋め込み済み画像x’から可逆的に原画像データxを復元することである。
【0031】
本実施の形態2では、それぞれが、その画素位置と画素値で構成される複数の画素からなる可視型電子透かし埋め込み済み画像x’と、埋め込む画像の形状を示す画素位置からなる透かし画像形状情報(埋め込み画像データ)rであって、上記実施の形態1で埋め込みに用いたものと同じシリアルビット系列の埋め込み画像データを初期状態において設定する。
【0032】
図2の切替え器22において、電子透かし埋め込み済み画像x’を構成する各画素の画素位置と、埋め込み画像データrの画素位置との比較処理を行い、一致した場合は、合成器23にその画素位置情報を送り、不一致の場合は、その画素についての合成処理を行わず、透かし埋め込み済み画像x’を切替え器24にそのまま入力する。なお、ここで切替え器24に入力される透かし埋め込み済み画像x’は、この実施の形態2における埋め込み画像rが上述の実施の形態1の埋め込み画像rと同じであるあるため、結果的に、実施の形態1における原画像データxに等しくなっている。
【0033】
合成器23では、原画像データの指定された画素位置の画素値(全部又は一部)と、その時の鍵情報kを入力し、その画素値を構成する3色の色成分のうち、上記実施の形態1で分離された成分に着目し、この成分に対して鍵情報kのデータを合成する。尚、この合成器23における合成の方式は、上記実施の形態1における分離器13における分離の方式に完全に対応していなくてはならない。即ち例えば、分離器13において赤色成分の全ての情報(8ビット)が分離されていた場合には、この合成器23において赤色成分の全ての情報(8ビット)を鍵情報kから合成する必要がある。こうして合成器23から出力される画像データは、埋め込み画像位置の画素値が元の原画像データに修復されたものとなって切替え器24に出力される。この切替え器24は、埋め込み画像データrで指示された画素位置の画素値を合成器23から出力された画素値とし、それ以外の画素位置の画素値は切替え器22の出力をそのまま出力する。こうして出力部25には、埋め込み済み画像x’から電子透かし画像が除去された除去画像x''(図1の原画像データxに等しい)が入力され、そのまま出力される。
【0034】
尚、本実施の形態2における処理は、各画素毎に順次行うことも、或は並列に行うこともできる。これによって、上記実施の形態1によって生成された可視型電子透かし埋め込み済み画像x’は可逆的に原画像データxに復号される。
【0035】
[実施の形態3]
図3は、本発明の実施の形態3に係る電子透かし埋め込み装置の概略構成を示すブロック図で、ここでは出力される鍵情報kを暗号化して出力している。尚、前述の実施の形態1に係る図1の構成と共通する部分は同じ符号で示し、それらの説明を省略する。
【0036】
暗号化器36は、出力された鍵情報kに対して暗号化処理を行うものである。ここで上記実施の形態1によって出力された鍵情報kは、適当な伝送路を用いて上記実施の形態2の入力とならなければならない。ここで、上記実施の形態1及び実施の形態2が、許可された利用者だけが正常に電子透かし解除を実行することが可能であるようなアプリケーションに適用される場合には、この鍵情報kは前記伝送路において安全に伝送される必要がある。ここで、安全に伝送するとは、伝送路において、第3者によって盗聴されることなく、且つ/或いは改竄されることなく通信されることを意味している。この安全な伝送路を確立するために、本実施の形態3では鍵情報kを暗号化することにより伝送する。
【0037】
従って、この暗号化器36では、分離器13によって生成された鍵情報kに対して適当な暗号化処理を行い、暗号化された鍵情報k’を出力している。
【0038】
この暗号化器36における暗号化処理には、例えば、共通鍵暗号方式としてDES(池野、小山、“現代暗号理論”、電子情報通信学会に詳しい)、FEAL,TDEA,RC2,RC4,RC5,MISTY,シーザー型暗号、ビジネル暗号、ビューフォート暗号、プレイフェア暗号、ヒル暗号、バーナム暗号等を用いることが可能である。
【0039】
図4は、図3の電子透かし埋め込み装置によって埋め込んだ電子透かしを解除する、本発明の実施の形態4に係る電子透かし解除装置の概略図で、前述の図2の構成と共通する部分は同じ符号で示し、それらの説明を省略する。
【0040】
この実施の形態4の電子透かし解除装置では、暗号化された鍵情報k’を復号する復号器40を設けている。この復号器40は、暗号化処理された鍵情報k’に対して復号処理を行う。この復号器40により復号処理された鍵情報kを用いて、上記電子透かし埋め込み装置によって、前述の図2の構成と同様に、埋め込まれた電子透かしの解除を実現することが可能である。
【0041】
[実施の形態4]
図5は、本発明の実施の形態4に係る電子透かし埋め込み装置の構成を示すブロック図で、ここでは上述の実施の形態1において出力された鍵情報kをデータ圧縮器56によりデータ圧縮して出力している。尚、図1の構成と共通する部分は同じ番号で示し、それらの説明を省略する。
【0042】
データ圧縮器56は、出力された鍵情報kに対してデータ圧縮処理を行うものである。上記実施の形態1によって出力された鍵情報kは、適当な伝送路を用いて上記実施の形態2の入力とならなければならない。ここで、上記適当な伝送路がインターネットに代表される通信路であったり、或いはCD−ROMなどの記憶媒体である場合には、鍵情報kの情報量はできる限り小さいほうが望ましい。よって、鍵情報kの情報量をできる限り小さくするために、本実施の形態4では、鍵情報kをデータ圧縮して伝送している。このデータ圧縮器56においては、分離器13によって生成された鍵情報kに対して適当なデータ圧縮処理を行う。この分離器13によって分離された色情報は、ロゴ等の画像データが空間的に連続的である時には、冗長な成分を多く持つ。これは原画像データxが写真のような一般的な自然画像である場合には、より顕著である。よって、鍵情報kに対して、より大きなデータ圧縮の効果が期待できる。
【0043】
このデータ圧縮処理には、例えば圧縮方式としては、辞書を用いるLZW方式や、統計的変動に基づくハフマン符号化や、ハフマン符号化を改良した算術符号化などが利用可能である。尚、このデータ圧縮器56によってデータ圧縮処理された鍵情報k''は、後述する電子透かし解除装置によって利用される。このために、この圧縮方式は可逆的な処理でなければならない。
【0044】
図6は、本発明の実施の形態4に係る電子透かし解除装置の構成を示すブロック図で、前述の図5の電子透かし埋め込み装置によって埋め込んだ電子透かしを解除する。この実施の形態4の解除装置の構成は、前述の図2の構成と比較すると、圧縮された鍵情報k''を解凍するためのデータ解凍器60が設けられている以外は同じ構成である。図2と共通する部分は同じ番号で示し、それらの説明を省略する。このデータ解凍器60は、データ圧縮処理された鍵情報k''に対して解凍処理を行い、解凍した鍵情報kを出力している。
【0045】
このようにして、圧縮された鍵情報k''を受信して解凍処理し、その解凍して得られた元の鍵情報kを用いて、前述の図2の装置と同様にして、電子透かし埋め込み装置によって埋め込まれた電子透かしを解除することが可能である。
【0046】
[実施の形態5]
図7は、本発明の実施の形態5に係る電子透かし埋め込み装置の概略構成を示すブロック図で、前述の実施の形態の構成と共通する部分は同じ番号で示し、それらの説明を省略する。
【0047】
この実施の形態5では、前述の実施の形態3で示した鍵情報kを暗号化する方式と、前記実施の形態4で述べた鍵情報kをデータ圧縮処理する方式とを組み合わせて選択的に利用可能にしている。この場合、鍵情報kのデータの性質から、データ圧縮処理を行った後に暗号化処理を行うほうが望ましい。
【0048】
これは鍵情報kは、一般的な自然画像データの信号の性質を持つため、冗長な成分を多く持ちデータ圧縮処理を効果的に実施することができるのに対して、これを暗号化したデータは、一般的な自然画像データの信号の性質を持たない、且つ冗長な成分が少なくなることが予想されるためである。
【0049】
更に図8は、本発明の実施の形態5に係る、図7に示す電子透かし埋め込み装置により埋め込まれた電子透かしを解除する装置のブロック図である。
【0050】
図7に示すように、鍵情報kがデータ圧縮され、その後、暗号化されている場合には、図8に示すように、そのデータ圧縮され暗号化された鍵情報kxは、データ解凍器60及び復号器40で復号処理された後、図2の装置の場合と同様にして、解凍される必要がある。
【0051】
一方、図7で示した装置において、鍵情報kが最初に暗号化処理された後にデータ圧縮処理が行われている場合には、図8に入力された鍵情報kxは、最初に復号処理され、その後、解凍処理される必要がある。
【0052】
本発明は、上記実施の形態を実現するための装置及び方法、及び上記実施の形態で説明した方法を組み合わせて行う方法のみに限定されるものではなく、上記システム又は装置内のコンピュータ(CPUあるいはMPU)に、上記実施の形態を実現するためのソフトウエアのプログラムコードを供給し、このプログラムコードに従って上記システム或は装置のコンピュータが上記各種デバイスを動作させることにより上記実施の形態を実現する場合も本発明の範疇に含まれる。
【0053】
またこの場合、前記ソフトウエアのプログラムコード自体が上記実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、及びそのプログラムコードをコンピュータに供給するための手段、具体的には上記プログラムコードを格納した記憶媒体は本発明の範疇に含まれる。
【0054】
この様なプログラムコードを格納する記憶媒体としては、例えばフロッピーディスク,ハードディスク,光ディスク,光磁気ディスク,CD−ROM,磁気テープ,不揮発性のメモリカード,ROM等を用いることができる。
【0055】
また、上記コンピュータが、供給されたプログラムコードのみに従って各種デバイスを制御することにより、上記実施の形態の機能が実現される場合だけではなく、上記プログラムコードがコンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)、或は他のアプリケーション・プログラム等と共同して上記実施の形態が実現される場合にもかかるプログラムコードは本発明の範疇に含まれる。
【0056】
更に、この供給されたプログラムコードが、コンピュータの機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに格納された後、そのプログラムコードの指示に基づいてその機能拡張ボードや機能格納ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上記実施の形態が実現される場合も本発明の範疇に含まれる。
【0057】
以上説明したように本実施の形態によれば、原画像データと透かし画像の形状情報を入力し、その透かし画像の形状情報によって示される透かし画像に含まれる原画像データの画素の画素値から特定の情報を分離した透かし画像を埋め込んだ埋め込み済み画像を生成する。このとき、分離した特定の情報を鍵情報とすることにより、その鍵情報を用いて、元の原画像を復元することができる。
【0058】
これにより、セキュリティが高い可視型電子透かし埋め込み方法が可能となった。
【0059】
また、その鍵情報を暗号化して伝送し、それを受信した受信側でその鍵情報を復号して原画像を生成することにより、よりセキュリティの高い可視型電子透かし埋め込み画像の送信が可能になる。
【0060】
また、その鍵情報を圧縮して伝送し、それを受信した受信側でその鍵情報を解凍(伸長)して原画像を生成することにより、伝送するデータ量を減らし、かつセキュリティの高い可視型電子透かし埋め込み画像の送信が可能になる。
【0061】
また更に、これら暗号化及びデータ圧縮の両方を行うことにより、伝送するデータ量をより減少させ、かつセキュリティの高い可視型電子透かし埋め込み画像の送信が可能になる。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、原画像データを容易に復元可能で、かつ可視型の透かし画像の埋め込み及び復元を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る電子透かし埋め込み装置の概略構成を説明するブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態2に係る電子透かし解除装置の概略構成を説明するブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態3に係る、鍵情報の暗号化処理を用いた電子透かし埋め込み装置の概略構成を説明するブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態3に係る、暗号化された鍵情報を受信して電子つ可視を解除する電子透かし解除装置の概略を説明するブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態4に係る、鍵情報を圧縮する電子透かし埋め込み装置の概略を説明するブロック図である。
【図6】本実施の形態4に係る、圧縮された鍵情報を用いた場合の電子透かし解除装置の概略構成を説明するブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態5に係る、鍵情報の暗号化処理とデータ圧縮処理を組み合わせて用いた場合の電子透かし埋め込み装置の概略を説明するブロック図である。
【図8】本実施の形態5に係る、暗号化され圧縮された鍵情報を基に電子透かしを解除する電子透かし解除装置の概略を説明するブロック図である。
【図9】本実施の形態に係る埋め込み画像データの一例を説明する図である。
【図10】図9に示す埋め込み画像データから作られた領域データの例を説明する図である。

Claims (13)

  1. 原画像データに透かし画像を埋め込む画像処理装置であって、
    原画像データと透かし画像の形状情報を入力する入力手段と、
    前記形状情報に基づいて、前記原画像データの画素値の一部、又は、前記原画像データの複数色成分の内の一色成分を、鍵情報として前記原画像データより分離する分離手段と、
    前記分離手段で画素値の一部又は色成分が分離された後の原画像データと前記鍵情報とを出力する出力手段と、
    を有することを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記出力手段は、前記鍵情報を暗号化して出力することを特徴とする請求項に記載の画像処理装置。
  3. 前記出力手段は、前記鍵情報を圧縮して出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
  4. 原画像データに透かし画像が埋め込まれた埋め込み画像データを入力して前記原画像データを復元する画像処理装置であって、
    埋め込み画像データと、前記埋め込み画像データに埋め込まれた透かし画像の形状情報及び、前記埋め込み画像データの原画像データより分離された当該原画像データの画素値の一部又は前記原画像データの複数色成分の内の一色成分に基づく鍵情報を入力する入力手段と、
    前記形状情報に基づいて、前記埋め込み画像データと前記鍵情報とを合成して前記原画像データを復元する合成手段と、
    前記合成手段により復元された前記原画像データを出力する出力手段と、
    を有することを特徴とする画像処理装置。
  5. 前記鍵情報は暗号化されており、当該鍵情報を復号する復号化手段を更に有することを特徴とする請求項に記載の画像処理装置。
  6. 前記鍵情報はデータ圧縮されており、当該鍵情報を伸長する伸長手段を更に有することを特徴とする請求項4又は5に記載の画像処理装置。
  7. 原画像データに透かし画像を埋め込む画像処理方法であって、
    原画像データと透かし画像の形状情報を入力する入力工程と、
    前記形状情報に基づいて、鍵情報として前記原画像データの画素値の一部、又は、前記原画像データの複数色成分の内の一色成分を前記原画像データより分離する分離工程と、
    前記分離工程で画素値の一部又は色成分が分離された後の原画像データと前記鍵情報とを出力する出力工程と、
    を有することを特徴とする画像処理方法。
  8. 前記出力工程は、前記鍵情報を暗号化して出力することを特徴とする請求項に記載の画像処理方法。
  9. 前記出力工程は、前記鍵情報を圧縮して出力することを特徴とする請求項7又は8に記載の画像処理方法。
  10. 原画像データに透かし画像が埋め込まれた埋め込み画像データを入力して前記原画像データを復元する画像処理方法であって、
    埋め込み画像データと、前記埋め込み画像データに埋め込まれた透かし画像の形状情報及び、前記埋め込み画像データの原画像データより分離された当該原画像データの画素値の一部又は前記原画像データの複数色成分の内の一色成分に基づく鍵情報を入力する入力工程と、
    前記形状情報に基づいて、前記埋め込み画像データと前記鍵情報とを合成して前記原画像データを復元する合成工程と、
    前記合成工程で復元された前記原画像データを出力する出力工程と、
    を有することを特徴とする画像処理方法。
  11. 前記鍵情報は暗号化されており、当該鍵情報を復号する復号化工程を更に有することを特徴とする請求項10に記載の画像処理方法。
  12. 前記鍵情報はデータ圧縮されており、当該鍵情報を伸長する伸長工程を更に有することを特徴とする請求項10又は11に記載の画像処理方法。
  13. 請求項7乃至12のいずれか1項に記載の画像処理方法を実行するコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読出可能な記憶媒体。
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