JP6934903B2 - 血栓溶解剤、血栓溶解作用促進剤 - Google Patents

血栓溶解剤、血栓溶解作用促進剤 Download PDF

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本発明は、血栓溶解剤、血栓溶解作用促進剤および血栓溶解作用促進方法に関する。
ナットウキナーゼは、納豆菌(Bacillus subtilis natto)が産生する酵素であり、その構造もよく知られている(例えば、非特許文献1−3参照)。また、ナットウキナーゼは、強力な血栓溶解作用を有することが知られている(例えば、非特許文献4−6参照)。
特許文献1には、納豆粉末とキムチ粉末を混合して成り、粉末、粒体またはペレットの形状をしており、血液の流動性の改善機能を有する血液流動性改善機能食品が記載されている。
特許文献2には、(A)ナットウキナーゼ、(B)野菜粉砕物、並びに(C)エイコサペンタエン酸および/またはドコサヘキサエン酸を含有し、血栓溶解剤として使用される経口組成物が記載されている。
特開2007−306824号公報 特開2016−013976号公報
H. Sumi, H. Hamada, H. Tsushima, H. Mihara, H. Muraki, A novel fibrinolytic enzyme (nattokinase) in the vegetable cheese Natto; a typical and popular soybean in food of the Japanese diet, Experientia, 43, 1110-1111, 1987 Y. Yanagisawa, T. Chatake, K. Chiba, S. Naito, T. Ohsugi, H. Sumi, I. Yasuda and Y. Morimoto, Purification, crystallization and preliminary X-ray diffraction experiment of nattokinase from Bacillus subtilis natto, Acta. Cryst. F66, 1670-1673, 2010 Y. Yanagisawa, T. Chatake, S.Naito, T.Ohsugi, C.Yatagai, H. Sumi, A. Kawaguchi, K. Chiba-Kamosida, M. Ogawa, T. Adachi, and Y. Morimoto, X-ray structure determination and deuteration of nattokinase, J Synchrotron Radiat. 20(Pt 6): 875-879 (2013) H. Sumi, H. Hamada, H. Nakanishi and H. Hiratani, Enhancement of fibrinolytic activity in plasma by oral administration of nattokinase, Acta. Haematol., 84, 139-143, 1990 須見洋行,第4章 納豆の食品機能性に関する研究 1.ナットウキナーゼ,第11章 納豆を利用した新商品開発 3.ナットウキナーゼ製剤,納豆の化学,p.53-57,p.244-245,建帛社,東京,2008 須見洋行,大豆と日本人の健康,第1章 納豆,p.66-79,幸書房,東京,2014
本発明の目的は、ナットウキナーゼを含有し、ナットウキナーゼの血栓溶解作用を高めることができる血栓溶解剤、血栓溶解作用促進剤および血栓溶解作用促進方法を提供することにある。
本発明は、ナットウキナーゼと、パルミチン酸、ステアリン酸、およびリノール酸のうちの少なくとも1つとを含む、血栓溶解剤である。
前記血栓溶解剤において、前記ナットウキナーゼのナットウキナーゼ活性2000FUに対する前記パルミチン酸、ステアリン酸、およびリノール酸のうちの少なくとも1つの含有量が0.25mg以上であることが好ましい。
本発明は、パルミチン酸、ステアリン酸、およびリノール酸のうち少なくとも1つを含み、ナットウキナーゼの血栓溶解作用を促進する、血栓溶解作用促進剤である。
前記血栓溶解作用促進剤において、前記ナットウキナーゼのナットウキナーゼ活性2000FUに対する含有量が0.25mg以上となる量の前記パルミチン酸、ステアリン酸、およびリノール酸のうちの少なくとも1つを添加することが好ましい。
本発明は、ナットウキナーゼと、炭素数12〜18の脂肪酸のうちの少なくとも1つとを共存させることにより、ナットウキナーゼの血栓溶解作用を促進する、血栓溶解作用促進方法である。
前記血栓溶解作用促進方法において、前記脂肪酸が、パルミチン酸、ステアリン酸、およびリノール酸のうちの少なくとも1つであることが好ましい。
前記血栓溶解作用促進方法において、前記ナットウキナーゼのナットウキナーゼ活性2000FUに対する含有量が0.25mg以上となる量の前記脂肪酸を共存させることが好ましい。
本発明によれば、ナットウキナーゼを含有し、ナットウキナーゼの血栓溶解作用を高めることができる血栓溶解剤、血栓溶解作用促進剤および血栓溶解作用促進方法を提供することができる。
本発明の実施例1における、ナットウキナーゼとパルミチン酸とを含む血栓溶解剤を用いた96 well assayによる活性測定の結果を示すグラフである。 本発明の実施例2における、ナットウキナーゼとステアリン酸とを含む血栓溶解剤を用いた96 well assayによる活性測定の結果を示すグラフである。 本発明の実施例3における、ナットウキナーゼとリノール酸とを含む血栓溶解剤を用いた96 well assayによる活性測定の結果を示すグラフである。 本発明の実施例4における、ナットウキナーゼとリノール酸とを含む血栓溶解剤を用いたウシ由来フィブリンの分解についての384 well assayによる活性測定の結果を示すグラフである。 本発明の実施例5における、ナットウキナーゼとリノール酸とを含む血栓溶解剤を用いたヒト由来フィブリンの分解についての384 well assayによる活性測定の結果を示すグラフである。 本発明の実施例4における、ウシ由来フィブリンの分解速度を示すグラフである。 本発明の実施例5における、ヒト由来フィブリンの分解速度を示すグラフである。
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
<血栓溶解剤>
本実施形態に係る血栓溶解剤は、ナットウキナーゼと、炭素数12〜18の脂肪酸のうちの少なくとも1つとを含む。
[ナットウキナーゼ]
ナットウキナーゼは、納豆菌(学名:Bacillus subtilis natto)が大豆から産生する血栓溶解(線溶)酵素であり、275のアミノ酸残基が一本鎖でつながったポリペプチドからなる分子構造を有する(分子量27,724、pI8.7)。ナットウキナーゼは、血栓の主成分であるフィブリンを溶解するフィブリン溶解作用のほか、血栓溶解酵素であるウロキナーゼの前駆体プロウロキナーゼの活性化作用、血栓溶解酵素プラスミンを産生する組織プラスミノーゲンアクチベーター(t−PA)の増大作用、血栓溶解阻害物質PAI−1の分解作用、オイグロブリン溶解時間の短縮作用等の血栓溶解作用を有することが知られている。
本実施形態で使用されるナットウキナーゼの入手方法は、特に制限されず、例えば、納豆菌の培養によって生産したナットウキナーゼを用いてもよく、また、市販のナットウキナーゼ含有製剤を用いてもよい。本実施形態で使用されるナットウキナーゼとしては、ナットウキナーゼを利用可能である限り、他の成分との混合物であってもよく、例えば、ナットウキナーゼを含有する納豆、および、納豆抽出物等を、本実施形態に係る血栓溶解剤等に用いてもよい。
納豆菌を培養してナットウキナーゼを生産する方法としては、特に制限されず、公知の方法で納豆菌を培養すればよい。納豆菌の培養に用いる培地としては、例えば、乾燥ブイヨン培地、ハイポリペプトンS培地等が挙げられる。培地中の主原料に脱脂大豆を使用していることや納豆菌が繁殖しやすいこと等から、ハイポリペプトンS培地が好ましい。
培養温度は、例えば、32℃以上50℃以下の範囲であり、37℃以上45℃以下の範囲が好ましく、37℃以上42℃以下の範囲がより好ましい。培養温度が低すぎると、納豆菌の増殖率が低下してナットウキナーゼの生産性に影響を及ぼす場合があり、培養温度が高すぎると、ナットウキナーゼ活性が低下する場合がある。培地のpHは、ナットウキナーゼの生産量の観点から、例えば、5.5以上9.5以下の範囲であり、好ましくは、6.5以上8.0以下の範囲である。
培養時間は、例えば、72時間以上144時間以下の範囲であり、96時間以上124時間以下の範囲が好ましい。培養時間が短すぎると、納豆菌の生育が不足する場合があり、培養時間が長すぎると、自己消化によってナットウキナーゼ活性が低下する場合がある。培養は、例えば、振とう培養、静置培養等で行えばよい。次いで、納豆菌の培養により産生したナットウキナーゼを、疎水クロマトグラフィ、陰イオンクロマトグラフィ、または、ゲル濾過クロマトグラフィ等により、精製してもよい。
本実施形態で使用されるナットウキナーゼは、血栓溶解作用を保持している限り、その原料の形態や物性等については特に制限されない。本実施形態では、例えば、ナットウキナーゼの精製物、納豆菌の培養物の粗精製物、当該精製物または粗精製物に賦形剤および必要に応じて添加剤等を添加してなる製剤等を使用してもよい。
本実施形態で使用される市販のナットウキナーゼ含有製剤としては、例えば、オルガノフードテック株式会社製「ナットウキナーゼHTNK−J」等が挙げられるが、これに限定されない。
[脂肪酸]
本実施形態で使用される炭素数12〜18の脂肪酸は、炭素数12〜18の直鎖または分岐の、飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸であり、炭素数16〜18の直鎖または分岐の、飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸であることが好ましい。不飽和脂肪酸である場合、炭化水素部分の不飽和数は、5個以下であることが好ましく、2個以下であることがより好ましい。
脂肪酸としては、パルミチン酸、ステアリン酸、マルガリン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸等の炭素数12〜18の直鎖飽和脂肪酸、リノール酸、リノレン酸、ミリストレイン酸、サピエン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ヘキサデカジエン酸、ピノレン酸、エレオステアリン酸、ペンタデセン酸、ヘプタデセン酸、ステアリドン酸等の炭素数12〜18の直鎖不飽和脂肪酸、イソパルミチン酸、アンテイソペンタデカン酸等の炭素数12〜18の分岐飽和脂肪酸等が挙げられる。これらのうち、パルミチン酸、ステアリン酸、マルガリン酸等の炭素数16〜18の直鎖飽和脂肪酸、リノール酸、リノレン酸、サピエン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ヘキサデカジエン酸、ピノレン酸、エレオステアリン酸、ヘプタデセン酸、ステアリドン酸等の炭素数16〜18の直鎖不飽和脂肪酸、イソパルミチン酸、アンテイソペンタデカン酸等の炭素数16〜18の分岐飽和脂肪酸が好ましく、ナットウキナーゼの血栓溶解作用を高める効果が高い等の点から、パルミチン酸、ステアリン酸、およびリノール酸のうちの少なくとも1つであることがより好ましい。
本実施形態に係る血栓溶解剤に含まれる炭素数12〜18の脂肪酸の含有量は、特に制限されないが、ナットウキナーゼの血栓溶解作用を促進する効果がより一層向上することから、ナットウキナーゼのナットウキナーゼ活性2000FUに対する炭素数12〜18の脂肪酸の総量(乾燥重量換算)の質量が、0.25mg以上であることが好ましく、0.25mg〜30mgの範囲であることがより好ましく、4mg以上、または4〜12mgの範囲であることがさらに好ましい。炭素数12〜18の脂肪酸の含有量の上限は、ナットウキナーゼの血栓溶解作用を阻害しない限り、特に制限されないが、血栓溶解剤の総量抑制、炭素数12〜18の脂肪酸の多量摂取回避等の観点から、例えば、ナットウキナーゼのナットウキナーゼ活性2000FUあたり5g以下であることが好ましく、1g以下であることがより好ましい。
本実施形態に係る血栓溶解剤における炭素数12〜18の脂肪酸の含有量は、血栓溶解剤の剤型、用途、服用量、ナットウキナーゼに対する炭素数12〜18の脂肪酸の添加量等に応じて適宜設定すればよい。例えば、炭素数12〜18の脂肪酸の総量(乾燥重量換算)が、血栓溶解剤の総量に対して、0.1質量%以上99質量%以下であればよく、0.2質量%以上50質量%以下であることが好ましく、1質量%以上25質量%以下であることが好ましい。
[添加剤]
本実施形態に係る血栓溶解剤は、必要に応じて、ナットウキナーゼおよび炭素数12〜18の脂肪酸以外の添加剤等を含有していてもよい。添加剤としては、食品や医薬品に使用可能であり、ナットウキナーゼの血栓溶解作用を阻害しないものであれば特に制限されない。添加剤としては、例えば、水、賦形剤、界面活性剤、pH調整剤、緩衝剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、防腐剤、香料、増粘剤、色素、キレート剤、酸味料、ビタミン類、調味料、機能性物質等が挙げられる。これらの添加成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、添加剤の含有量は、使用する添加剤の種類や用途等に応じて適宜設定すればよい。
本実施形態に係る血栓溶解剤は、ナットウキナーゼ以外に、血栓溶解作用、血小板凝集抑制作用、抗凝固作用等を有する抗血栓剤を含有していてもよく、また、これら抗血栓剤を含有していなくてもよい。
[血栓溶解剤の形態]
本実施形態に係る血栓溶解剤が取り得る形態は、特に制限されず、例えば、単独で製剤化してもよく、単独で調味料として使用してもよく、予め飲食品に配合してもよい。
本実施形態に係る血栓溶解剤を単独で製剤化する場合、ナットウキナーゼおよび炭素数12〜18の脂肪酸を、そのままで、または他の添加成分と組み合わせて所望の剤形に調製すればよい。剤形としては、薬剤またはサプリメント等の製剤において公知の形態であればよく、例えば、錠剤、顆粒、粉剤、カプセル剤、液剤、ゼリー剤、シロップ剤等が挙げられる。
また、本実施形態に係る血栓溶解剤は、食品、飲料、調味料組成物等の各種飲食品に予め配合してもよい。本実施形態に係る血栓溶解剤は、飲食品に配合する場合、ナットウキナーゼおよび炭素数12〜18の脂肪酸を、そのままで、または他の食品素材や添加成分と組み合わせて所望の形態に調製すればよい。
食品としては、例えば、ポテトチップスおよびクラッカー等のスナック製品、クッキー、ビスケットおよびパン等のベーカリー製品、納豆、漬物およびキムチ等の発酵食品、シチュー、カレー、スープおよび麺類等の調理済み、または半調理済みの食品、それらのチルドおよび冷凍食品、カップラーメン等のインスタント食品等が挙げられる。飲料としては、例えば、栄養ドリンク、炭酸飲料、乳酸飲料、コーヒー、ココア、紅茶、烏龍茶、緑茶および酒類等が挙げられる。調味料組成物としては、例えば、ドレッシング、たれ、めんつゆ、だしつゆ、味噌、醤油、ソース、ブイヨン、ふりかけおよびマヨネーズ等が挙げられる。なお、飲食品には、一般の飲食品の他、特定保健用食品、栄養補助食品、機能性食品、病者用食品等も含まれる。
本実施形態に係る血栓溶解剤を経口摂取する場合の服用量は、特に制限されないが、例えば、1日当たりのナットウキナーゼの摂取量が500FU以上10000FU以下となる量であり、1日当たりのナットウキナーゼの摂取量が1000FU以上4000FU以下となる量が好ましい。なお、「FU」とは、フィブリン分解ユニットの略であり、ナットウキナーゼの活性を示す単位である。フィブリン分解ユニットは、公知のフィブリン分解法で測定される。
<血栓溶解作用促進剤/血栓溶解作用促進方法>
本実施形態に係るナットウキナーゼの血栓溶解作用を促進する血栓溶解作用促進剤(以下、単に「促進剤」ともいう)は、炭素数12〜18の脂肪酸を含む。また、本実施形態に係るナットウキナーゼの血栓溶解作用を促進する血栓溶解作用促進方法(以下、単に「促進方法」ともいう)は、ナットウキナーゼと炭素数12〜18の脂肪酸とを共存させる。
本実施形態に係る促進剤、および、本実施形態に係る促進方法に用いられる炭素数12〜18の脂肪酸としては、前述の血栓溶解剤に含まれる炭素数12〜18の脂肪酸を使用すればよい。また、本実施形態に係る促進剤、および、本実施形態に係る促進方法に用いられる炭素数12〜18の脂肪酸の説明、例えば、具体的な組成、ナットウキナーゼに対する使用量(添加量)等についても、前述の血栓溶解剤について説明した通りである。
なお、本実施形態に係る促進剤、および、本実施形態に係る促進方法においては、ナットウキナーゼが血栓溶解作用を発揮する際に炭素数12〜18の脂肪酸がナットウキナーゼと共存していればよい。そのため、ナットウキナーゼおよび炭素数12〜18の脂肪酸の両者を含有する製剤または飲食品等の形態を有することが好ましいが、ナットウキナーゼと炭素数12〜18の脂肪酸とを共存させ得る限り、両者を個別に添加してもよい。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[材料]
実施例で用いた材料は以下の通りである。
ナットウキナーゼ:ナットウキナーゼHTNK−J(ナットウキナーゼ活性20000FU/g以上、オルガノフードテック株式会社)
脂肪酸精製品:パルミチン酸(炭素数16の直鎖飽和脂肪酸:実施例1)、ステアリン酸(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸:実施例2)、リノール酸(炭素数18の直鎖不飽和脂肪酸:実施例3)
フィブリノーゲン:ウシ血漿由来(Sigma Aldrich、米国、F8630)
フィブリノーゲン:ヒト血漿由来(Sigma Aldrich、米国、F4883)
トロンビン:富士製薬工業
緩衝液:ホウ酸バッファ(以下BSB)0.17M、pH7.8(HBO 9.92g/L、Na・10HO 3.816g/L、NaCl 2.336g/Lとなるよう水に溶解した。)
<実施例1〜3>
ナットウキナーゼと、炭素数12〜18の脂肪酸としてパルミチン酸(実施例1)、ステアリン酸(実施例2)、リノール酸(実施例3)とをそれぞれ含む血栓溶解剤を調製し、ウシ由来フィブリンについて、下記の方法で血栓溶解活性を評価した。
[試験方法]
(96 well assayによる活性測定)
5mg/mLとなるようにウシ血漿由来フィブリノーゲンを緩衝液(BSB)に溶解し、50U/mLのトロンビンをフィブリノーゲン溶液1mLにつき5μL加えて速やかに撹拌し、50μLずつ96−well round bottom plateに添加した。室温(25℃程度)で30分静置し、フィブリンが凝固したのを確認したのち、ナットウキナーゼ(ナットウキナーゼHTNK−J)1mg/mL(ナットウキナーゼ活性20000FU/g×0.001g/mL=20FU/mL)と所定の濃度の脂肪酸とを含む酵素液を5μLずつウェルの端に添加した。その後すぐにマイクロプレートリーダにより37℃で405nmの吸光度を経時的に測定した。フィブリンが溶解すると透明になり吸光度が減少するため、これを指標とした。なお、脂肪酸精製品はすべて、特級エタノールに溶解したのち減圧乾固して、その後BSBに溶解させた状態で測定に供した。
[結果]
96 well assayによる活性測定の結果を図1(パルミチン酸(実施例1))、図2(ステアリン酸(実施例2))、図3(リノール酸(実施例3))にそれぞれ示す。
このように、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸のいずれもナットウキナーゼの血栓溶解作用を高めることができることがわかった。パルミチン酸については、40μg/mL以上(ナットウキナーゼのナットウキナーゼ活性2000FUに対する脂肪酸の含有量が4mg以上(ナットウキナーゼのナットウキナーゼ活性20FUに対する脂肪酸の含有量が0.04mg以上))が好ましく、80μg/mL以上(ナットウキナーゼのナットウキナーゼ活性2000FUに対する脂肪酸の含有量が8mg以上(ナットウキナーゼのナットウキナーゼ活性20FUに対する脂肪酸の含有量が0.08mg以上))がより好ましく、40〜120μg/mL(ナットウキナーゼのナットウキナーゼ活性2000FUに対する脂肪酸の含有量が4〜12mg(ナットウキナーゼのナットウキナーゼ活性20FUに対する脂肪酸の含有量が0.04〜0.12mg以上))がさらに好ましいことがわかった。ステアリン酸については、40μg/mL以上(ナットウキナーゼのナットウキナーゼ活性2000FUに対する脂肪酸の含有量が4mg以上(ナットウキナーゼのナットウキナーゼ活性20FUに対する脂肪酸の含有量が0.04mg以上))が好ましいことがわかった。リノール酸については、2.5μg/mLを超える量(ナットウキナーゼのナットウキナーゼ活性2000FUに対する脂肪酸の含有量が0.25mgを超える量(ナットウキナーゼのナットウキナーゼ活性20FUに対する脂肪酸の含有量が0.0025mg以上))が好ましく、10μg/mL以上(ナットウキナーゼのナットウキナーゼ活性2000FUに対する脂肪酸の含有量が1mg以上)がより好ましいことがわかった。
<実施例4,5>
ナットウキナーゼとリノール酸とを含む血栓溶解剤を調製し、ウシ由来フィブリン(実施例4)またはヒト由来フィブリン(実施例5)について、下記の方法で血栓溶解活性を評価した。
[384 well assayによる活性測定]
5mg/mLとなるようにウシ血漿由来フィブリノーゲン(実施例4)またはヒト血漿由来フィブリノーゲン(実施例5)を緩衝液(BSB)に溶解し、50U/mLのトロンビンをウシ血漿由来フィブリノーゲン溶液1mLにつき5μL、ヒト血漿由来フィブリノーゲン溶液1mLにつき50μL加えて速やかに撹拌し、50μLずつ384−well flat bottom plateに添加した。37℃で60分静置し、フィブリンが凝固したのを確認したのち、ナットウキナーゼ(ナットウキナーゼHTNK−J)1mg/mLと所定の濃度の脂肪酸とを含む酵素液を5μLずつウェルの中央に添加した。その後すぐにマイクロプレートリーダにより37℃で405nmの吸光度を経時的に測定した。フィブリンが溶解すると透明になり吸光度が減少するため、これを指標とした。なお、脂肪酸精製品はすべて、特級エタノールに溶解したのち減圧乾固して、その後BSBに溶解させた状態で測定に供した。
[結果]
384 well assayによる活性測定の結果を図4(ウシ由来フィブリン(実施例4))、図5(ヒト由来フィブリン(実施例5))にそれぞれ示す。また、図6は、実施例4におけるウシ由来フィブリンの分解速度を示すグラフであり、図7は、実施例5におけるヒト由来フィブリンの分解速度を示すグラフである。
このように、リノール酸はウシ由来フィブリン、ヒト由来フィブリンについてナットウキナーゼの血栓溶解作用を高めることができることがわかった。リノール酸の量については、30〜300μg/mL(ナットウキナーゼのナットウキナーゼ活性2000FUに対する脂肪酸の含有量が3〜30mg)が好ましいことがわかった。
以上の通り、ナットウキナーゼと炭素数12〜18の脂肪酸とを併用することにより、ナットウキナーゼの血栓溶解作用を高めることができた。

Claims (4)

  1. ナットウキナーゼと、パルミチン酸、ステアリン酸、およびリノール酸のうちの少なくとも1つとを含むことを特徴とする血栓溶解剤。
  2. 請求項1に記載の血栓溶解剤であって、
    前記ナットウキナーゼのナットウキナーゼ活性2000FUに対する前記パルミチン酸、ステアリン酸、およびリノール酸のうちの少なくとも1つの含有量が0.25mg以上であることを特徴とする血栓溶解剤。
  3. パルミチン酸、ステアリン酸、およびリノール酸のうち少なくとも1つを含み、ナットウキナーゼの血栓溶解作用を促進することを特徴とする血栓溶解作用促進剤。
  4. 請求項3に記載の血栓溶解作用促進剤であって、
    前記ナットウキナーゼのナットウキナーゼ活性2000FUに対する含有量が0.25mg以上となる量の前記パルミチン酸、ステアリン酸、およびリノール酸のうちの少なくとも1つを添加することを特徴とする血栓溶解作用促進剤。
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