〔実施形態1〕
本発明の実施の一形態について、図1〜図5に基づいて説明すれば以下のとおりである。本実施形態では、本発明に係る検査装置を、セパレータ捲回体に異物が混入しているか否か検査するための欠陥検査装置に適用した場合を例にして説明する。ただし、本発明に係る検査装置は、セパレータ捲回体に限定されず、厚みが比較的大きい各種の検査対象物に好適に適用することができる。
〔セパレータ捲回体の製造工程〕
まず、本実施形態に係る欠陥検査装置(検査装置)の検査対象物であるセパレータ捲回体(フィルム捲回体)の製造工程について説明する。
図1の(a)および(b)は、セパレータをスリットするスリット装置6の概略構成を示す模式図である。具体的には、図1の(a)はスリット装置6全体の概略構成を示し、図1の(b)は原反をスリットする前後の概略構成を示す。
セパレータ12は、リチウムイオン二次電池(電池)等のカソードとアノードとの間を分離しつつ、これらの間におけるリチウムイオンの移動を可能にする多孔質フィルム、または不織布である。セパレータ12は、その材料として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを含む。
セパレータ12は、多孔質フィルムと、当該多孔質フィルムの表面に設けられた耐熱層とを有することで耐熱性を有していてもよい。当該耐熱層は、その材料として、例えば全芳香族ポリアミド(アラミド樹脂)を含む。
すなわち、セパレータ12は、ポリオレフィンを含む多孔質フィルムと、耐熱層または接着層等の機能層とを備える積層多孔質フィルムであってもよい。機能層は樹脂を含む。当該樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレンの共重合体等の含フッ素高分子;芳香族ポリアミド;スチレン−ブタジエン共重合体およびその水素化物、メタクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体等のゴム類;融点又はガラス転移温度が180℃以上の高分子;ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、セルロースエーテル、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリメタクリル酸等の水溶性高分子;等が挙げられる。また、機能層は、有機物または無機物からなるフィラーを含んでもよい。無機フィラーとしては、シリカ、酸化マグネシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、ベーマイト等の無機酸化物等が挙げられる。当該アルミナには、α、β、γ、θ等の結晶形が存在するが、何れも使用することができる。上記の樹脂およびフィラーは1種類のみを用いてもよく、2種類以上を組み合わせてもよい。上記機能層がフィラーを含む場合、フィラーの含有量は、機能層の1体積%以上99体積%以下とすることができる。
また、セパレータ12は、後述する欠陥検査に与える影響を少なくするために、セパレータ12に含まれる水分は少ないほうが良い。後述する欠陥検査工程における欠陥検査では、X線等の電磁波を、セパレータ12を透過させることで、コアに捲回されたセパレータ12内に混入した異物等の有無を検査する。しかし、水分は、X線等の電磁波の透過率を下げるため、セパレータ12に多くの水分が含まれていると、欠陥検査の精度が下がるため好ましくない。
セパレータ12に含まれる水分は、2000ppm以下程度であることが好ましい。これにより、後述する欠陥検査工程において、X線等の電磁波の透過率の低下を抑制しつつ、精度よく、コアに捲回されたセパレータ12内の欠陥を検査することができる。
セパレータ12は、リチウムイオン二次電池等の応用製品に適した幅(以下「製品幅」)であることが好ましい。しかし、生産性を上げるために、まずセパレータ12は、その幅が製品幅以上となるように製造される。そして、製品幅以上に製造された後、セパレータは、製品幅に切断(スリット)される。
ここで、スリット工程にてスリットされ、コアに捲回されたセパレータ12の幅(TDの長さ)は、例えば、30mm以上、100mm以下程度であることが好ましい。セパレータ12の幅が大きくなりすぎると、後述する欠陥検査工程における欠陥検査にて、X線等の電磁波がセパレータ12を透過しにくくなり、欠陥検査の精度が下がる。そこで、セパレータ12の幅を100mm以下程度とすることで、後述する欠陥検査工程において、X線等の電磁波の透過率の低下を抑制しつつ、精度よく、コアに捲回されたセパレータ12内の欠陥を検査することができる。
なお、「セパレータの幅」とは、セパレータの長手方向と厚み方向とに対し略垂直である方向の、セパレータの長さを意味する。以下では、スリットされる前の幅広のセパレータを「原反」と称する。また、スリットとは、セパレータを長手方向(製造におけるフィルムの流れ方向)に沿って切断することを意味し、カットとは、セパレータを横断方向に沿って切断することを意味する。横断方向とは、セパレータの長手方向と厚み方向とに対し略垂直である方向を意味し、セパレータの幅方向と同義である。
スリット装置6は原反をスリットする装置である。スリット装置6は、回転可能に支持された円柱形状の、巻出ローラー61と、搬送ローラー62〜69と、複数の巻取ローラー70U・70Lとを備える。
スリット装置6では、原反を巻きつけた円筒形状のコアcが、巻出ローラー61に嵌められている。
そして、原反は、コアcから経路UまたはLへ巻き出される。巻き出された原反は、搬送ローラー63〜67を経由し、搬送ローラー68へ搬送される。搬送ローラー67から搬送ローラー68に搬送される工程において原反は、複数のセパレータ12にスリットされる(スリット工程)。なお、搬送ローラー68近傍には、原反を複数のセパレータ12にスリットする切断装置(不図示)が配置されている。
スリット工程の後、原反から複数にスリットされたセパレータ12は、それぞれ、巻取ローラー70Uに嵌められた円筒形状の各コアuへ巻き取られ、他の一部は、それぞれ、巻取ローラー70Lに嵌められた円筒形状の各コアlへ巻き取られる(セパレータ捲回工程)。
なお、原反からスリットされた後のセパレータ12がコア(ボビン)にロール状に巻き取られたものを「セパレータ捲回体」と称する。本実施形態では、このセパレータ捲回工程にてセパレータ捲回体が製造された後、後述する欠陥検査工程にて、コアに捲回されたセパレータ12内に異物が混入しているか否かを検査する。上述したスリット工程では、例えば、金属からなるスリット刃の一部が欠けてスリットされたセパレータ12の表面に付着する等、異物が発生しやすい。このため、欠陥検査工程は、スリット工程の後に設けることが好ましい。これにより、異物が発生しやすいスリット工程で発生した異物を、欠陥検査工程により効率的に検査することができる。
そして、欠陥検査工程にて良品と判定されたセパレータ捲回体は、その後、包装工程にて複数個まとめて包装されて保管・出荷される。
〔セパレータ捲回体の構成〕
次に、本実施形態に係るセパレータ捲回体(検査対象物・フィルム捲回体)の構成について説明する。図2の(a)〜(e)は、本実施形態に係るセパレータ捲回体10の概略構成を示す模式図である。具体的には、図2の(a)はコア8からセパレータ12が巻き出される前の状態を示し、図2の(b)は図2の(a)の状態を別角度から示し、図2の(c)はコア8からセパレータ12が巻き出された状態を示し、図2の(d)は図2の(c)の状態を別角度から示し、図2の(e)はセパレータ12が巻き出され、取り除かれた後のコア8の状態を示す。
図2の(a)および(b)に示すように、セパレータ捲回体10は、セパレータ12を巻いたコア8を備える。このセパレータ12は、上述のように原反からスリットされている。セパレータ捲回体10のうち、ロール状に巻かまかれたセパレータ12の外周面を外周面10aと称し、外周面10aを挟んで互いに対向する外形が略円形の両側面のうちの一方の側面を第1側面10bと称し、第1側面10bとは反対側の他方の側面を第2側面10cと称する。
コア8は、外側円筒部材(外側筒状部材)81と、内側円筒部材(内側筒状部材)82と、複数のリブ83とを備える。
外側円筒部材81は、その外周面81aにセパレータ12を巻くための円筒部材である。内側円筒部材82は、外側円筒部材81の内周面81b側に設けられる、外側円筒部材81よりも小径の円筒部材である。リブ83は、外側円筒部材81の内周面81bと、内側円筒部材82の外周面82aとの間に延び、外側円筒部材81を内周面81b側から支持する支持部材である。本実施形態では、コア8の周方向に沿って等間隔に合計8つのリブ83が設けられている。
コア8では、その略中心に内側円筒部材82(内側円筒部材82の内周面82b)によって規定された第1貫通孔8aを有し、第1貫通孔8aの周囲に、外側円筒部材81と内側円筒部材82とリブ83とによって規定された複数(本実施形態では8つ)の第2貫通孔8bを有する。
図2の(c)および(d)に示すように、セパレータ12の一端は、接着テープ130によってコア8と貼り付けられる。具体的には、セパレータ12の一端は、接着テープ130によって、コア8(外側円筒部材81)の外周面81aに固定される。セパレータ12の一端を外周面81aに固定する手段は、接着テープ130の他、接着剤をセパレータ12の一端に直接塗布して固定する、またはクリップで固定する等であってもよい。
図2の(e)に示すように、コア8では、外側円筒部材81および内側円筒部材82の中心軸は略一致していることが好ましいが、これに限られない。さらに、外側円筒部材81および内側円筒部材82の厚みや幅、および半径等の寸法は、捲回するセパレータ12の種類またはサイズ等に応じて適宜設計が可能である。
また、リブ83は、互いに均等に間隔をあけ、円周を8等分した位置に、外側円筒部材81と内側円筒部材82とに略垂直になるように、それぞれ配置されている。しかし、リブ83の個数や配置の間隔についてはこれに限られない。
コア8の材料は、ABS樹脂を含む。ただし、コア8の材料として、ABS樹脂の他に、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、および塩化ビニール樹脂等の樹脂を含んでもよい。また、コア8の材料は、金属、紙、フッ素樹脂でないことが好ましい。
〔欠陥検査装置の構成〕
次に、本実施形態に係る欠陥検査装置の構成について説明する。図3の(a)〜(c)は、本実施形態に係る欠陥検査装置1の概略構成を示す模式図である。具体的には、図3の(a)は欠陥検査装置1の正面図であり、図3の(b)は欠陥検査装置1の上面図であり、図3の(c)は欠陥検査装置1の側面図である。
欠陥検査装置1は、セパレータ捲回体10においてコア8に捲回されたセパレータ12に異物が混入しているか否かを検査するものである(欠陥検査工程)。具体的には、本実施形態に係る欠陥検査装置1は、セパレータ捲回体10に対し電磁波(電磁放射線)を照射することにより、セパレータ12に異物が混入しているか否かを検査する。
欠陥検査装置1は、取り扱う電磁波が外部に漏れないように、鉛等が含まれるX線等が透過しにくい壁で覆われている。
図3の(a)〜(c)に示すように、欠陥検査装置1は、線源2、移動機構3、およびTDIセンサ4を備える。本実施形態では、移動機構3の回動軸322の中心線Aと平行な方向をX軸方向とし、X軸に垂直に交わる、線源2からTDIセンサ4へ向かう方向をY軸方向とし、X軸およびY軸に垂直に交わる方向をZ軸方向とする。
(線源)
線源2は、セパレータ捲回体10に対し、セパレータ捲回体10の厚み方向(Y軸方向)から電磁波Rを放射状に出射する。「セパレータ捲回体の厚み方向」とは、コア8に捲回されたセパレータ12の幅方向と同一方向であり、セパレータ捲回体10の第1側面10bと第2側面10cとに垂直に交わる方向を意味する。
本実施形態では、欠陥検査装置1は、電磁波Rを放射状に出射する2つの線源2を備える。各線源2は、中心線A上にそれぞれ配置される。また、各線源2から放射状に出射された電磁波RのうちY軸方向と平行な電磁波Rがコア8によって遮られないように、各線源2の間隔(各線源2の中心の間隔)はセパレータ捲回体10のコア8の直径と略一致するように設定されている。このように各線源2の間隔を設定することにより、電磁波RをTDIセンサ4で検出する際に、コア8の影がTDIセンサ4に入り込むことを防止することができる。また、それぞれの電磁波Rが混ざらないようにするために、線源2の近傍に遮蔽物を置く、各線源2の照射角度を振り分ける等の方法を適宜選択して採用してもよい。
線源2が出射する電磁波Rとしては、例えば、X線、γ線のような電磁放射線等を好適に使用することができる。特に、電磁波RとしてX線を使用することにより、コストを増大させず、取扱いがしやすい欠陥検査装置1を実現することができる。ただし、電磁波Rの種類は、検査対象物の種類またはサイズ等に応じて適宜選択可能である。
なお、線源2は、コア8に捲回されたセパレータ12だけでなく、コア8にも照射されるように電磁波Rをセパレータ捲回体10に照射してもよい。
(移動機構)
移動機構3は、セパレータ捲回体10を移動させる。移動機構3は、セパレータ捲回体10を保持する台座31、および台座31を回動させる駆動部32から構成される。
台座31は、フレーム311、支持板312、保持機構313、および連結棒314を含む。フレーム311は、略矩形の枠状部材である。フレーム311の対向する2辺(Z軸方向に対向する2辺)には、それらの内面に支持板312が架け渡されている。また、フレーム311の対向する2辺(X軸方向に対向する2辺)には、それらの外面に連結棒314が突設されている。
支持板312は、保持機構313を支持するための板状部材である。支持板312は、Z軸方向に伸びる長辺とX軸方向に伸びる短辺とを含み、当該短辺の長さ(支持板312の幅)は、コア8の直径未満に設定されている。このように支持板312の短辺の長さをコア8の直径未満に設定することにより、電磁波RをTDIセンサ4で検出する際に、支持板312の影がTDIセンサ4に入り込むことを防止することができる。
保持機構313は、セパレータ捲回体10を回転可能に保持する軸部材である。保持機構313は、支持板312の中央部に突設されており、セパレータ捲回体10のコア8の第1貫通孔8aに嵌められる。
保持機構313は、時計回りまたは反時計回りに回転可能である。このため、保持機構313の回転に伴って、セパレータ捲回体10を当該セパレータ捲回体10の厚み方向に伸びる保持機構313を略中心として回転させることができる。
本実施形態では、保持機構313は、セパレータ捲回体10の第1側面10b側からコア8の第1貫通孔8aに挿入され、セパレータ捲回体10を保持する。これにより、セパレータ捲回体10は、線源2とTDIセンサ4との間に、第1側面10b側を線源2側に向け、第2側面10c側をTDIセンサ4側に向けた状態で、コア8に捲回されたセパレータ12の一部が少なくとも介在するように欠陥検査装置1にセットされる。
連結棒314は、フレーム311を駆動部32に連結するための棒状部材である。連結棒314はフレーム311の対向する2辺(X軸方向に対向する2辺)の外面に、それぞれ2つずつが互いに平行に突設されている。
駆動部32は、中心線Aを略中心として台座31を回動させる。駆動部32は、フレーム311の対向する2辺(X軸方向に対向する2辺)に、連結棒314を介して1つずつ連結されている。
駆動部32は、回動ロール321、および回動軸322を含んでいる。回動ロール321は、その外周面に連結棒314が固定された円筒部材である。回動ロール321の内周面には、回動軸322が嵌められている。
回動軸322は、モータ(不図示)等によって中心線Aを略中心として、時計回りおよび反時計回りに回動可能な軸部材である。駆動部32は、各回動軸322を互いに連動して回動させることにより、回動ロール321を回動させる。
移動機構3によれば、駆動部32の動作を制御することにより、線源2(中心線A)を略中心とした円軌道に沿って、台座31に保持されたセパレータ捲回体10を移動させることができる。
(TDIセンサ)
TDI(Time Delay Integration)センサ4は、セパレータ12を透過した電磁波Rを検出可能な検出器である。TDIセンサ4は、線源2がX線を出射する場合はX線を検出可能な検出器であればよく、線源2がγ線を出射する場合はγ線を検出可能な検出器であればよい。
TDIセンサ4は、セパレータ捲回体10に対して線源2とは反対側に設置されている。TDIセンサ4は、セパレータ捲回体10の移動(回動)方向に対して垂直な方向(X軸方向)と平行な方向(Z軸方向)とのそれぞれに複数のセル(センサ素子)を配置した構成である。すなわち、TDIセンサ4は、Z軸方向に複数の単位ラインセンサが並べられた構成である。
TDIセンサ4は、線源2が出射した電磁波Rを検出すると、検出した電磁波Rの強度に応じた電気信号を画像処理部(不図示)へ出力し、画像処理部においてTDIセンサ4から出力された電気信号に基づいて撮影画像を生成する。
〔欠陥検査方法〕
次に、本実施形態に係る欠陥検査装置1で行われる欠陥検査方法(欠陥検査工程)の一例について説明する。図4の(a)および(b)は、図3に示される欠陥検査装置1における欠陥検査方法の一例を説明するための模式図である。具体的には、図4の(a)は欠陥検査装置1におけるセパレータ捲回体10の移動状態を示す側面図であり、図4の(b)はセパレータ捲回体10の撮影された領域を示す上面図である。なお、説明の便宜上、図4の(a)では移動機構3を省略している。
欠陥検査装置1では、線源2とセパレータ捲回体10との距離、および線源2とTDIセンサ4との距離をそれぞれ略一定に保ちながら、セパレータ捲回体10における検査領域を移動させつつ、セパレータ捲回体10を透過した電磁波RをTDIセンサによって検出する。具体的には、本実施形態では、図4の(a)に示すように、X軸方向から見た場合、セパレータ捲回体10を平行移動(直線移動)ではなく、線源2を略中心とした円軌道Cに沿って移動(円運動)させながら、セパレータ12を透過した電磁波RをTDIセンサ4によって検出する。このため、セパレータ捲回体10を平行移動させる構成に比べて、セパレータ捲回体10に対する電磁波Rの照射角度が略均等化されるので、セパレータ捲回体10の厚みに起因するTDIセンサ4の検出位置の誤差を改善することができる。
なお、本実施形態では、移動機構3がセパレータ捲回体10を円軌道Cに沿って移動させる構成であるが、線源2とセパレータ捲回体10およびTDIセンサ4との距離を略一定に保ちながら、セパレータ捲回体10における検査領域を移動させることが可能であれば、他の構成を採用してもよい。
また、TDIセンサ4は、円軌道Cと略平行になるように湾曲していてもよい。これにより、線源2から放射状に出射される電磁波RをTDIセンサ4によって好適に検出することができるとともに、TDIセンサ4に対する電磁波Rの入射角度が略均等化されるのでTDIセンサ4の検出精度を向上させることができる。
本実施形態では、欠陥検査装置1は、円軌道C上に位置する第1地点P1と第2地点P2との間でセパレータ捲回体10を複数回にわたって往復移動(単振り子運動)させる。そして、第1地点P1から第2地点P2へ向けてセパレータ捲回体10が移動する間にセパレータ12の一部ずつを撮影することによりセパレータ12全体の撮影画像を生成する。
具体的には、欠陥検査装置1は、線源2によってセパレータ捲回体10の第1側面10b側から電磁波Rを照射しつつ(出射工程)、移動機構3(駆動部32)によって第1地点P1から第2地点P2へ向けてセパレータ捲回体10を移動させる(移動工程)。
本実施形態では、第1地点P1におけるセパレータ捲回体10と第2地点P2におけるセパレータ捲回体10とが成す角度(送り角度)は約30度に設定されている。換言すれば、本実施形態では、セパレータ捲回体10の振り子角度θは約15度に設定されている。セパレータ捲回体10の振り子角度θはセパレータ捲回体10およびTDIセンサ4のサイズ等に応じて適宜設定可能であるが、振り子角度θは60度以下であることが好ましい。振り子角度θが60度を超える場合、セパレータ捲回体10に対する電磁波Rを照射角度が小さくなり、セパレータ捲回体10を電磁波Rが透過する際の透過長(すなわち、セパレータ捲回体10内における電磁波Rの経路長)が大きくなる。このため、TDIセンサ4によって検出される電磁波Rの強度が低下し、異物を適切に検出できない可能性がある。したがって、振り子角度θは、60度以下であることが好ましく、40度以下であることがよりに好ましい。
第1地点P1から第2地点P2へ向けてセパレータ捲回体10が移動する間、欠陥検査装置1は、TDIセンサ4によってセパレータ12を透過した電磁波Rを検出することでセパレータ12の一部を撮影する(検出工程)。本実施形態では、欠陥検査装置1は、第1地点P1と第2地点P2との中間位置である第3地点P3にセパレータ捲回体10が位置したときセパレータ12の撮影画像が含まれるように、TDIセンサ4によってセパレータ12を撮影する。
欠陥検査装置1は、第2地点P2にセパレータ捲回体10が到達した場合、移動機構3(駆動部32)によって第2地点P2から第1地点P1へ向けてセパレータ捲回体10を移動させる。第2地点P2から第1地点P1へセパレータ捲回体10が移動する間、欠陥検査装置1は、TDIセンサ4による電磁波Rの検出を行わず、移動機構3(保持機構313)によってセパレータ捲回体10を所定角度だけ回転させる。
このような動作を繰り返すことにより、欠陥検査装置1は、セパレータ捲回体10が第1地点P1と第2地点P2との間を一往復するごとに、セパレータ12の異なる領域をTDIセンサ4によって撮影することができる。例えば、欠陥検査装置1は、図4の(b)に示すように、1度目の撮影で第1領域R1を撮影し、2度目の撮影でセパレータ12の第2領域R2を撮影し、3度目の撮影で第3領域R3を撮影することができる。
したがって、一往復するごとに、移動機構3(保持機構313)によってセパレータ捲回体10を約14度回転させて撮影を行った場合、合計13回の撮影でセパレータ12全体を撮影することができる。なお、一往復するごとにセパレータ捲回体10を回転させる角度(所定角度)は、セパレータ捲回体10およびTDIセンサ4のサイズ等に応じて適宜設定可能である。
なお、一回当たりの撮影で何秒間撮影するかは、検査に要する時間、TDIセンサ4の感度、処理検体数等によって適宜調整すればよい。例えば4秒以内で撮影を行うこともでき、一回当たりの撮影時間が短いほど、セパレータ捲回体10の1個当たりの検査に要するタクトタイムが短くなるので好ましい。
また、セパレータ捲回体10の1個当たりの検査に要する時間、TDIセンサ4のセンサ感度、処理検体数(検査するセパレータ捲回体10の数)等によっては、例えば、複数のセパレータ捲回体10を重ねて同時に撮影したり、複数のセパレータ捲回体10を並べて同時に撮影したりすることで、複数のセパレータ捲回体10を同時に検査してもよい。
さら、セパレータ捲回体10が線源2に対し相対的に移動する前後で、電磁波Rの照射をON/OFFしてもよく、またはTDIセンサ4での検出をON/OFFしてもよい。すなわち、電磁波Rを継続的に照射した状態として、TDIセンサ4の検出を切り替えるようにしてもよい。これにより、電磁波Rを断片的に照射した場合と同様、セパレータ12の異なる領域の撮影画像を得ることができる。なお、セパレータ捲回体10が相対的に移動する前後では、TDIセンサ4の検出を切り替えるほうが好ましい。線源2を頻繁にON/OFFすると、照射される電磁波Rが安定せず、線源2の寿命が短くなる等の不具合が生じる恐れがあるためである。
欠陥検査装置1は、このようにして得られた部分的な撮影画像から必要な領域を抽出して繋ぎ合せることで円環状のセパレータ12全体の撮影画像を生成する。そして、生成したセパレータ12全体の撮影画像を解析することによって、セパレータ12に異物が混入しているか否かを検査する。
このように複数の撮影画像を繋ぎ合せることで、異物の3次元的な異物の位置特定も可能となる。また、薄い形状の異物も漏れなく検出することが可能になる。
なお、欠陥検査装置1が検出可能な異物の材質は、種々のものが考えられるが、例えば、金属、およびカーボン等を挙げることができる。また、欠陥検査装置1が検出可能な異物のサイズとしては、種々のサイズが考えられるが、一例として、100μm、厚みが50μm程度のサイズのものが挙げられる。本明細書において、異物のサイズに厚みや幅等の特定がないとき、つまり単に100μm等の長さのみが記載されているときには、当該長さは異物の外接球の直径の長さを意味する。
検出すべき欠陥である異物は、比重が大きい方が小さいサイズまで検出できる傾向がある。検出すべき欠陥が金属異物である場合、例えばある検査条件の下において、比重が6程度の金属を100μm程度まで検出できるときに、比重2程度の金属は300μm程度まで検出することができる。欠陥検査装置1において、適宜、検出対象である金属異物の種類(すなわち比重)によって、検出対象とする異物のサイズを設定すればよい。
なお、欠陥検査装置1において、露光時間を延ばす、セパレータ捲回体10における同じ領域を複数回撮影する等により、検査に要する時間を延ばせば、サイズが小さい異物を検出することができる。このため、上記のような、検出対象とする金属異物の比重とサイズとの関係は、検査に要する時間を同じにした場合の関係である。
なお、代表的な金属の比重としては、Fe;7.8程度、Al;2.7程度、Zn;7.1程度、SUS7.7程度、Cu8.5程度、真鍮8.5程度等が例示されるがこの限りではない。
例えば、欠陥検査装置1を、100μm以上の異物を検出するように設定し、欠陥検査装置1によりセパレータ捲回体10の欠陥検査を行うことで、セパレータ捲回体10の製造工程にて製造される、様々なサイズの異物が含まれる(含まれる可能性がある)様々なセパレータ捲回体10から、100μm以上の異物が含まれるセパレータ捲回体10だけを選別することができる。
そして、欠陥検査装置1によって100μm以上の異物が検出されたセパレータ捲回体10を、製造工程から排除することによって、様々なサイズの異物が含まれる(含まれる可能性がある)様々なセパレータ捲回体10から、100μm以上の異物が少ないか、100μm以上の異物が含まれないセパレータ捲回体10を選別することができる。
換言すると、セパレータ捲回体10の製造工程において、欠陥検査装置1を用いた欠陥検査工程を組み込むことで、様々なサイズの異物が含まれる(含まれる可能性がある)様々なセパレータ捲回体10から、100μm以上の異物が少ないか、100μm以上の異物が含まれないセパレータ捲回体10を製造することができる。
特に、100μm以上の異物が少ないセパレータ捲回体10は、セパレータ12に付着した異物によって不良が発生する可能性を低くすることができる。
このように、セパレータ捲回体10の製造工程において、欠陥検査装置1を用いた欠陥検査工程を組み込むことで、異物の混入等の欠陥が少ないセパレータ捲回体を製造することができる。
また、上述のように、欠陥検査工程は、セパレータ捲回体10の製造工程において、スリット工程の後、包装工程の前に設けることが好ましい。これにより、スリット工程にて発生した異物を効率よく検査することができる。
また、セパレータ捲回体10の製造工程において欠陥検査工程を設けることにより、セパレータ捲回体10の包装工程以降、コア8に捲回されたセパレータ12を用いて電池を組み立てる製造工程において、セパレータ12に付着した異物の有無を検査する手間を省くことができる。
また、欠陥検査装置1を用いた、コア8に捲回されたセパレータ12内の欠陥の有無の検査は、欠陥検査装置1をクリーンルームに配置する等により、クリーンな環境で行うことが好ましい。クリーンな環境としては、例えばクラス10万以下が好ましい。このような環境下で行うことにより、検査中および検査後に異物が新たに付着する可能性を低減することができる。さらに、欠陥検査装置1の装置内または装置外であって、鉛等の壁で囲まれた領域もこのような、クリーンな環境であることが好ましい。これにより、欠陥検査装置1を用いて、精度よく、コア8に捲回されたセパレータ12内の欠陥の有無の検査を行うことができる。
また、1個のセパレータ捲回体10の撮影を終了し、次のセパレータ捲回体10の撮影を開始する前(1つの撮影サイクル終了後)に、セパレータ捲回体10の撮影のために移動した各部(保持機構313等)を初期状態に戻すことが好ましい。これにより、検査漏れや重複検査を防止したり、撮影途中に次の撮影に入る等の誤作動も防止することもできる。なお、この1つの撮影サイクル終了後に各部を初期状態に戻すことが好ましいことは、実施形態2以降に説明する各欠陥検査装置においても同様である。
〔欠陥検査装置のまとめ〕
以上のように、本実施形態に係る欠陥検査装置1は、セパレータ捲回体10に対し、セパレータ捲回体10の厚み方向から電磁波Rを放射状に出射する線源2と、セパレータ捲回体10を移動させる移動機構3と、セパレータ捲回体10に対して線源2とは反対側に設置され、セパレータ12を透過した電磁波Rを検出するTDIセンサ4とを備え、移動機構3は、線源2を略中心とした円軌道Cに沿って、セパレータ捲回体10を移動させる。
欠陥検査装置1では、線源2を略中心とした円軌道Cに沿ってセパレータ捲回体10を移動させながら、セパレータ12を透過した電磁波RをTDIセンサ4によって検出する。このため、セパレータ12に対する電磁波Rの照射角度が略均等化されるので、セパレータ捲回体10の厚みに起因するTDIセンサ4の検出位置の誤差を改善することができる。
したがって、本実施形態によれば、セパレータ捲回体10の厚みに起因する検査精度の低下を抑えることが可能な欠陥検査装置1を実現することができる。
〔欠陥検査装置の変形例〕
(変形例1)
上述の説明では、欠陥検査装置1は、セパレータ捲回体10が第1地点P1と第2地点P2との間を一往復するごとに、セパレータ捲回体10を1度撮影する構成について説明した。しかしながら、本発明はこの構成に限定されない。欠陥検査装置1は、セパレータ捲回体10が第1地点P1と第2地点P2との間を一往復するごとに、セパレータ捲回体10を2度撮影する構成であってもよい。
具体的には、欠陥検査装置1は、第1地点P1から第2地点P2へ向けてセパレータ捲回体10が移動する間、および第2地点P2から第1地点P1へ向けてセパレータ捲回体10が移動する間の双方において、セパレータ12を透過した電磁波RをTDIセンサが検出することでセパレータ12を撮影する。
この場合、セパレータ捲回体10が第1地点P1から第2地点P2に到達した際、および第2地点P2から第1地点P1に到達した際の双方において、セパレータ捲回体10を所定角度だけ回転させればよい。
これにより、欠陥検査装置1は、セパレータ捲回体10が第1地点P1と第2地点P2との間を一往復するごとに、セパレータ捲回体10の異なる2つの領域を撮影することができるため、セパレータ捲回体10全体の検査に必要なタクトタイムを短縮することができる。
(変形例2)
また、上述の説明では、欠陥検査装置1は、2つの線源2を有する構成について説明した。しかしながら、本発明はこの構成に限定されない。例えば、欠陥検査装置1は、1つの線源2を有する構成であってもよく、または3つ以上の線源2を有する構成であってもよい。すなわち、使用する線源2の数は、検査対象物の種類、形状またはサイズ等に応じて適宜変更である。
図5は、図3に示される欠陥検査装置1の変形例の概略構成を示す正面図である。図5に示すように、欠陥検査装置1は、1つの線源2を有する構成であってもよい。このような構成においても、線源2を略中心とした円軌道Cに沿ってセパレータ捲回体10を移動させることにより、セパレータ捲回体10に対する電磁波Rの照射角度が略均等化されるので、セパレータ捲回体10の厚みに起因するTDIセンサ4の検出位置の誤差を改善することができる。
ただし、線源2の数が1つの場合、電磁波RをTDIセンサ4で検出する際にコア8の影がTDIセンサ4に入り込んでしまう。このため、本実施形態のように検査対象物がセパレータ捲回体10である場合は、線源2の数は2つ以上であることが好ましい。
(変形例3)
また、上述の説明では、セパレータ捲回体10を回転可能に保持する台座31、および台座31を回動させる駆動部32から構成される移動機構3について説明した。しかしながら、本発明に係る移動機構はこの構成に限定されない。移動機構は、線源2を略中心とした円軌道に沿って、セパレータ捲回体10を移動させることが可能な構成であればよい。
図6は、図3の(a)〜(c)に示される移動機構3の変形例の概略構成を示す模式図である。具体的には、図6の(a)は移動機構3aの正面図であり、図6の(b)は移動機構3aの上面図であり、図6の(c)は移動機構3aの側面図である。
図6の(a)〜(c)は、ロボットアームを用いて移動機構3aを構成した場合の一例を示している。図6の(a)〜(c)に示すように、移動機構3aは、セパレータ捲回体10を回転可能に保持する保持機構313、および保持機構313を支持するアーム315を備えている。
アーム315は、その先端部に回動軸316を有し、この回動軸316に保持機構313が接続されている。このため、回動軸316の中心線Aを略中心として、保持機構313が回動可能になっている。したがって、回動軸316の中心線A上に線源2を配置することにより、線源2を略中心とした円軌道に沿ってセパレータ捲回体10を移動(円運動)させながら、セパレータ12を透過した電磁波RをTDIセンサ4によって検出することができる。
このように、ロボットアームを用いて移動機構3aを構成することにより、移動機構3aを用いてセパレータ捲回体10の搬送および欠陥検査を行うことが可能となる。したがって、セパレータ捲回体10の欠陥検査に必要なタクトタイムを短縮することができる。
図7は、図3の(a)〜(c)に示される移動機構3の他の変形例の概略構成を示す模式図である。具体的には、図7の(a)は移動機構3bの正面図であり、図7(b)は移動機構3bの上面図であり、図7の(c)は移動機構3bの側面図である。
図7の(a)〜(c)に示すように、移動機構3bは、セパレータ捲回体10を回転可能に保持する保持機構313、および保持機構313を回動可能に支持する回動軸316を備えている。このような構成の移動機構3bであっても、回動軸316の中心線A上に線源2を配置することにより、線源2を略中心とした円軌道に沿ってセパレータ捲回体10を移動(円運動)させながら、セパレータ12を透過した電磁波RをTDIセンサ4によって検出することが可能である。
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、図8〜図11に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
〔欠陥検査装置の構成〕
図8は、本実施形態に係る欠陥検査装置11の概略構成を示す模式図である。本実施形態に係る欠陥検査装置11は、チェーンコンベア33を含む移動機構13によってセパレータ捲回体10を一方向へ移動させつつ、セパレータ12に異物が混入しているか否かを検査するものである。
具体的には、欠陥検査装置11は、投入位置Sから取出位置Eまでの搬送経路(往路)上に設定された検査位置D1〜D4をセパレータ捲回体10が通過する際、セパレータ12を透過した電磁波RをTDIセンサ4によって検出する。また、欠陥検査装置11は、搬送経路上に設定された姿勢変更位置C1〜C3においてセパレータ捲回体10を約45°回転させる。これにより、検査位置D1〜D4においてセパレータ12の異なる領域を撮影し、これらの撮影画像を解析することにより、セパレータ12に異物が混入しているか否かを検査する。
セパレータ捲回体10の搬送経路上において、検査位置D1と検査位置D2との間に姿勢変更位置C1が設定され、検査位置D2と検査位置D3との間に姿勢変更位置C2が設定され、検査位置D3と検査位置D4との間に姿勢変更位置C3が設定されている。また、取出位置Eから投入位置Sまでの戻り経路(復路)上において、姿勢変更位置C4が設定されている。
なお、欠陥検査装置11は、取り扱う電磁波Rが外部に漏れないように、鉛等が含まれるX線等が透過しにくい壁で覆われている。
図8に示すように、欠陥検査装置11は、線源2、移動機構13、およびTDIセンサ4を備える。線源2、およびTDIセンサ4は、検査位置D1〜D4にそれぞれ配置されている。線源2、およびTDIセンサ4は、移動機構13によって移動するセパレータ捲回体10が検査位置D1〜D4を通過する際、セパレータ12を透過した線源2からの電磁波RがTDIセンサによって検出可能な位置に配置されている。
(移動機構13)
移動機構13は、セパレータ捲回体10を保持する台座31、および台座31を移動させるチェーンコンベア33から構成される。チェーンコンベア33は、2つのチェーン331、および複数のギア(スプロケット)332を含んでいる。台座31はチェーン331にバネ等によって接続されている。移動機構13は、ギア332を駆動させてチェーン331を回転させることにより、台座31に保持されたセパレータ捲回体10を移動させる。
図9の(a)は、欠陥検査装置11を示す上面図であり、図9の(b)は、検査位置D1における移動機構13の動作状態を示す側面図である。以下では、検査位置D1における移動機構13の動作状態について説明するが、検査位置D2〜D4においても同様である。
図9の(a)に示すように、検査位置D1には、各ギア332の内側に、2つの円搬送ロール34が互いに対向して配置されている。また、検査位置D1には、電磁波Rを放射状に出射する2つの線源2が、円搬送ロール34の中心線A上にそれぞれ配置される。
図9の(b)に示すように、検査位置D1へ移動した台座31の連結棒314が円搬送ロール34の外周面に当接することにより、円搬送ロール34は中心線Aを軸に回転する。このため、検査位置D1において、線源2を略中心とした円軌道に沿ってセパレータ捲回体10を移動(円運動)させながら、セパレータ12を透過した電磁波RをTDIセンサ4によって検出することができる。これにより、セパレータ捲回体10に対する電磁波Rの照射角度が略均等化されるので、セパレータ捲回体10の厚みに起因するTDIセンサ4の検出位置の誤差を改善することができる。
図10の(a)〜(c)は、欠陥検査装置11が備える回動保持機構35を説明するための模式図である。具体的には、図10の(a)は台座31の支持板312に設けられた回動保持機構35の概略構成を示す側面図であり、図10の(b)は姿勢変更位置C1〜C3における回動板351の姿勢変更を示す上面図であり、図10の(c)は姿勢変更位置C4における回動板351の姿勢変更を示す上面図である。
図10の(a)に示すように、欠陥検査装置11では、セパレータ捲回体10を回動可能に保持する回動保持機構35が、台座31の支持板312に設けられている。回動保持機構35は、回動軸351aを中心に回動可能なように支持板312に設けられた回動板351、回動板351の上面に突設され、セパレータ捲回体10を保持する保持部材352、および回動板351の下面に突設された複数の姿勢変更棒353a〜353dを含んでいる。
姿勢変更棒353a〜353dは、姿勢変更棒353b、姿勢変更棒353c、姿勢変更棒353a・353dの順で長さが短くなっており、姿勢変更棒353aと姿勢変更棒353dとは同じ長さである。
図10の(b)に示すように、検査位置D1の下流側に設定された姿勢変更位置C1には、姿勢変更棒353bに当接する第1レールr1が略ハの字型に設けられている。この第1レールr1に姿勢変更棒353bが当接することにより、回動板351が約45°回転する。これにより、セパレータ捲回体10の姿勢を、検査位置D1通過時の姿勢(すなわち、投入位置Sにおける初期姿勢)から約45°の回転角度で変更し、続く検査位置D2へ導入することができる。
また、検査位置D2の下流側に設定された姿勢変更位置C2には、姿勢変更棒353cに当接する第2レールr2が略ハの字型に設けられている。この第2レールr2に姿勢変更棒353cが当接することにより、回動板351がさらに約45°回転する。これにより、セパレータ捲回体10の姿勢を、検査位置D2通過時の姿勢から約45°の回転角度で変更し、続く検査位置D3へ導入することができる。
また、検査位置D3の下流側に設定された姿勢変更位置C3には、姿勢変更棒353dに当接する第3レールr3が略ハの字型に設けられている。この第3レールr3に姿勢変更棒353dが当接することにより、回動板351がさらに約45°回転する。これにより、セパレータ捲回体10の姿勢を、検査位置D3通過時の姿勢から約45°の回転角度で変更し、続く検査位置D4へ導入することができる。
このように、欠陥検査装置11では、姿勢変更位置C1〜C3においてセパレータ捲回体10を約45°ずつ回転させる。これにより、検査位置D1〜D4においてセパレータ12の異なる領域を4回に分けて撮影し、これらの撮影画像を解析することにより、セパレータ12に異物が混入しているか否かを検査することができる。
また、図10の(c)に示すように、取出位置Eから投入位置Sまでの戻り経路(復路)上に設定された姿勢変更位置C4には、姿勢変更棒353bに当接する第4レールr4、および姿勢変更棒353aに当接する第5レールr5が略ハの字型に設けられている。第4レールr4に姿勢変更棒353bが当接し、第5レールr5に姿勢変更棒353aが当接することにより、回動板351が約135°逆回転する。これにより、回動板351を初期姿勢に戻し、投入位置Sへ導入することができる。このように、姿勢変更棒の長さと、レールの高さおよび配置を調整することで、レールはそれぞれ特定の姿勢変更棒のみに当接するように設定されている。
なお、本実施形態では、検査位置D1〜D4においてセパレータ12の異なる領域を4回に分けて撮影する構成について説明した。しかしながら、本発明はこの構成に限定されない。欠陥検査装置11は、セパレータ12の異なる領域を3回以下または5回以上に分けて撮影してもよい。この場合、撮影回数に応じて、検査位置および位置変更位置を設定し、各検査位置における撮影範囲、および各位置変更位置における姿勢変更の角度を調整すればよい。
〔欠陥検査装置のまとめ〕
以上のように、本実施形態に係る欠陥検査装置11は、チェーンコンベア33を含む移動機構13を備え、チェーンコンベア33によってセパレータ捲回体10を一方向へ移動させつつ、セパレータ12に異物が混入しているか否かを検査する。
したがって、本実施形態によれば、欠陥検査に必要なタクトタイムを短縮することが可能な欠陥検査装置11を実現することができる。
〔欠陥検査装置の変形例〕
図11の(a)および(b)は、欠陥検査装置11が備える台座31の変形例を示す側面図である。具体的には、図11の(a)はセパレータ捲回体10が下降位置にある状態を示し、図11の(b)はセパレータ捲回体10が上昇位置にある状態を示している。
図11の(a)および(b)に示すように、台座31は、セパレータ捲回体10の位置を下降位置または上昇位置に切り替える高さ調整機構36を備えていてもよい。これにより、セパレータ捲回体10が移動する円軌道の回転半径を変更することができる。高さ調整機構36によって線源2からセパレータ12までの距離を変化させることにより、TDIセンサ4による撮影画像の拡大率を変更することができる。
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、図12および図13に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
〔欠陥検査装置の構成〕
図12の(a)〜(h)は、本実施形態3に係る欠陥検査装置21の概略構成および動作状態を模式図である。本実施形態に係る欠陥検査装置21は、第1台座31aおよび第2台座31bを備え、これらをスライドさせることによって、セパレータ12に異物が混入しているか否かを順次検査するものである。
図12の(a)〜(h)に示すように、欠陥検査装置21は、線源2、移動機構23、およびTDIセンサ4を備えている。
線源2、およびTDIセンサ4は、検査位置D11に配置されている。欠陥検査装置21では、検査位置D11において、駆動部32によってセパレータ捲回体10が線源2を略中心として複数回にわたって往復移動(単振り子運動)する間に、セパレータ12の異なる領域を複数回撮影する。そして、これらの撮影画像を解析することにより、セパレータ12に異物が混入しているか否かを検査する。
この欠陥検査装置21では、図12の(a)に示すように、第1台座31aが第1投入・取出位置C11に位置し、第2台座31bが検査位置D11に位置する初期状態において、第1台座31aに検査前のセパレータ捲回体10をセットする。
次に、図12の(b)に示すように、第1台座31aおよび第2台座31bをスライドさせる。これにより、第1台座31aが検査位置D11へ移動し、第2台座31bが第2投入・取出位置C12へ移動する。そして、第1台座31aにセットされたセパレータ捲回体10の検査を開始する。
次に、図12の(c)に示すように、第1台座31aにセットされたセパレータ捲回体10の検査中に、第2台座31bに検査前のセパレータ捲回体10をセットする。
次に、図12の(d)に示すように、第1台座31aにセットされたセパレータ捲回体10の検査が終了した場合、第1台座31aおよび第2台座31bをスライドさせる。これにより、第1台座31aが第1投入・取出位置C11へ移動し、第2台座31bが検査位置D11へ移動する。そして、第2台座31bにセットされたセパレータ捲回体10の検査を開始する。
次に、図12の(e)に示すように、第2台座31bにセットされたセパレータ捲回体10の検査中に、第1台座31aにセットされた検査後のセパレータ捲回体10を取り外す。
次に、図12の(f)に示すように、第2台座31bにセットされたセパレータ捲回体10の検査中に、第1台座31aに検査前のセパレータ捲回体10をセットする。
次に、図12の(g)に示すように、第2台座31bにセットされたセパレータ捲回体10の検査が終了した場合、第1台座31aおよび第2台座31bをスライドさせる。これにより、第1台座31aが検査位置D11へ移動し、第2台座31bが第2投入・取出位置C12へ移動する。
次に、図12の(h)に示すように、第1台座31aにセットされたセパレータ捲回体10の検査中に、第2台座31bにセットされたセパレータ捲回体10を取り外す。以降、図12の(c)〜図12の(h)に示す動作を繰り返すことにより、セパレータ12に異物が混入しているか否かを順次検査することができる。
〔欠陥検査装置のまとめ〕
以上のように、本実施形態に係る欠陥検査装置21は、第1台座31aおよび第2台座31bをスライドさせる移動機構23を備える。
したがって、本実施形態によれば、欠陥検査に必要なタクトタイムを短縮することが可能な欠陥検査装置21を実現することができる。
(欠陥検査装置の変形例)
図13は、欠陥検査装置21の変形例を示す側面図である。図13に示すように、欠陥検査装置21aは、4つの台座31、および各台座31を移動させるチェーンコンベア37から構成される移動機構38を備えている。チェーンコンベア37は、チェーン331、および複数のギア(スプロケット)332を含んでいる。
この欠陥検査装置11では、まず、投入位置S11の台座31に検査前のセパレータ捲回体10をセットする。
次に、チェーンコンベア37を前進させ、投入位置S11のセパレータ捲回体10を検査位置D11へ移動させる。
次に、チェーンコンベア37を前後進させることにより、線源2を略中心として、セパレータ捲回体10を複数回にわたって往復移動(単振り子運動)させる。また、一往復するごとにセパレータ捲回体10を所定角度ずつ回転させる。これにより、セパレータ12の異なる領域を複数回撮影し、これらの撮影画像を解析することにより、セパレータ12に異物が混入しているか否かを検査する。
次に、検査位置D11においてセパレータ捲回体10を検査している間に、投入位置S11の台座31に検査前のセパレータ捲回体10をセットする。
次に、検査位置D11においてセパレータ捲回体10の検査が終了した場合、チェーンコンベア37を前進させる。これにより、検査後のセパレータ捲回体10が取出位置E11へ移動し、検査前のセパレータ捲回体10が検査位置D11へ移動する。そして、取出位置E11に位置する台座31にセットされた検査後のセパレータ捲回体10を取り外すとともに、投入位置S11の台座31に検査前のセパレータ捲回体10をセットする。
以上の動作を繰り返すことにより、セパレータ12に異物が混入しているか否かを順次検査することができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。