[遊技機の概要]
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。本実施形態に係るパチンコ機1(封入球式遊技機)は、ホール(パチンコ遊技場)における現状の島設備に設置可能となっており、遊技内容は周知のパチンコ機と同様である。しかし、島設備の球供給機構や球排出機構を用いることがない遊技機となっている。即ち本実施形態に係る封入式パチンコ機1では、遊技機に非磁性体(例えば、ステンレス)により形成された所定数の遊技球を収容し、該所定数の遊技球を発射装置によって遊技領域に発射して遊技を行い、遊技を終えた遊技球を回収し、前記発射装置に導き前記遊技球を循環して使用するように、遊技機内に予め封入された遊技球を用いて遊技を行うようになっている。そして、精算システム等を介してカード等の記憶媒体から入力された貸球数のデータに基づく遊技球の数(持球数のデータ)に対応して遊技球が発射可能となり、遊技球を発射すると、発射された遊技球の数に対応して持球数のデータが減算される。
また、発射された遊技球が遊技領域内の入賞口に入賞して賞球(遊技球)が発生した場合、実際の遊技球を払い出すことはなく、持球数のデータに賞球の数が加算される。また、持球数のデータが「0」になると、遊技球の発射ができない状態となる。この状態でカード等の記憶媒体に記憶された金額のデータや貯球のデータ等に基づいて、持球数のデータに数値(貸球数)が加算されると、再び遊技球の発射が可能となる。また、発射された遊技球は、遊技機内で回収されて再び発射位置に送られ遊技機内で循環するようになっている。即ち、本実施形態に係るパチンコ機1は、遊技領域に発射された遊技球を回収して、再び遊技に供給する封入球式遊技機である。
[遊技機の概要]
先ず、図1乃至図4を参照して実施例1のパチンコ機1を構成する本体枠2(図3)と扉枠3(図1)について説明する。尚、図1のパチンコ機1には外部装置としての精算機4が併設されている。
パチンコ機1は、矩形枠状に構成されてホール側の島設備に設置される外枠1a(図12)と、該外枠に開閉自在に軸支され且つ遊技盤5(図2)を装着し得る本体枠2と、該本体枠2に開閉自在に軸支される扉枠3と、を備えて構成されている。
本体枠2及び扉枠3よりも下側の位置において、外枠1aの前面に装飾カバー6が取付けられており、扉枠3及び装飾カバー6によって外枠1aの前面が完全に閉鎖されるようになっている。また、外枠、本体枠2及び扉枠3は、上端が略揃うようにそれぞれが配置されると共に、外枠1aの左辺に設けたヒンジ7(図3)で本体枠2が回転可能に軸支されており、外枠1aに対して本体枠2の右辺を前側へ移動することで本体枠2が開状態となるようになっている。扉枠3は本体枠2に対してピンで回転可能に取り付けられており、扉枠3の右辺を前側へ移動することで開状態となるようになっている。
[扉枠3]
扉枠3は、遊技盤5の遊技球が打ち込まれる遊技領域8を遊技者が視認し得る遊技窓9と、該遊技窓9の下方に配置され且つ遊技者の操作に基づいて遊技領域8に遊技球の打ち込みを行う打球ハンドル10を有する。遊技窓9には、本体枠2に対して扉枠3を閉塞した状態で、本体枠2側に装着される遊技盤5の前面(遊技領域8)を視認可能に被覆する透明板11が取り付けられている。打球ハンドル10は、遊技者の回動操作に基づいて、本体枠2の左上方に取り付けられた打球発射装置(上部発射装置12という)の発射ソレノイド13(図5参照)を駆動することで、遊技領域8への遊技球の打ち込みを行うようになっている。なお、打球ハンドル10は、回動操作するとONとなるマイクロスイッチ(図示しない)と、該マイクロスイッチがONとなっている状態で押圧操作するとマイクロスイッチがOFF状態となる発射停止スイッチと打球ハンドル10の外周表面に施された導電性のメッキを介して遊技者の打球ハンドル10への接触を検知するタッチスイッチを備えている。上部発射装置12については後述する。
なお、扉枠3と本体枠2とは扉枠3の右下隅部に配置された鍵装置に鍵を差し込んで一方に回動することにより、扉枠3を本体枠2に対して開放することができるようになっている。
[タッチパネル部14]
扉枠3には、遊技窓9の下方部分(非封入球式となる周知のパチンコ機の上皿に相当する部分)に横長に形成されたタッチパネル部14が設けられている。タッチパネル部14には、残度数、遊技機持球数、端球数が表示される。
ここで、残度数とは、精算機4で利用するカードに記憶された金額に相当する値のことであり、遊技者持球数とは、球貸を行ったことにより遊技者に貸し出された球数と遊技を行った結果として遊技者が獲得した賞球数との合計のことである。
タッチパネル部14には、遊技者により操作可能とされた球貸指令入力手段としての球貸ボタンと、遊技者により操作可能とされた精算指令入力手段としての精算ボタンとが表示される。球貸ボタンは、遊技を行うための持球の貸し出しを指示するものである。また、精算ボタンは、パチンコ遊技を終了して精算を指示するものである。
また、タッチパネル部14には更に遊技者により操作可能とされた端球数表示指令入力手段としての端球数表示ボタンが表示される。ここで端球数とは、遊技者持球数を景品交換の際に特殊景品1つに相当する球数で除した場合の余り球数のことである。タッチパネル部14は、端球数表示ボタンにより端球数の表示を指示した際に、例えば、「端球だけを打ち込みますか」等のメッセージ表示も行える。端球数表示ボタンと共に対話質問形式のメッセージが表示され、また、遊技者がはい・いいえのいずれかを応答するための選択入力を行うためのYESボタンとNOボタンとがそれぞれ表示される。
[本体枠2]
本体枠2は、矩形枠状の外枠1a内に丁度収まるように、額縁状の嵌合枠15と、周壁部16とを有する箱状である(図3、図4)。嵌合枠15はその前面側に遊技盤5を嵌め込んで収容するための方形状の収容開口部17を有する。収容開口部17の奥には内側に張り出す張出壁18が一体に形成されている(図3、図12)。背面は裏カバーで閉じられる。本体枠2に対して扉枠3を閉塞すると、本体枠2に収容された遊技盤5の前面(遊技領域8)が扉枠3の遊技窓9を通して見える。
収容開口部17の下方には異形球・磁性球排出ユニット収容部19が形成されており、該異形球・磁性球排出ユニット収容部19に異形球・磁性球排出ユニット20が配設されている。そして、後述して説明するように、異形球・磁性球排出ユニット20から排出された正規の遊技球に比べて径の小さい異形球や磁性球を収容する排出球受箱234は、遊技機の前方方向から着脱することができる。
また、本体枠2には図3、図5、図6に見られるように、上部発射装置12、球集合部21、球揚送装置22、球溜り部23及び配列通路24が設けられている。球集合部21は異形球・磁性球排出ユニット20を通過した遊技球を受け、球揚送装置22の基部に誘導する部分であって(図5)、球磨き装置等を備えている。
球揚送装置22は、この実施例において球揚送モータによって駆動されるスクリュー25を用いており、基部に到達した遊技球がスクリュー25によって上方に揚送される。
球揚送装置22の上端には球溜り部23が配置されていて、球揚送装置22から送り出される遊技球を一時的に貯留する。球溜り部23は球揚送装置22による遊技球の送り上げが不規則になっても上部発射装置12への遊技球の供給に不足が生じないようにするためのバッファの役割をする。
球溜り部23に続いて配列通路24が上部発射装置12との間に設けられる。配列通路24では上部発射装置12に遊技球が連続して供給されるように球溜り部23から送りこまれた遊技球を所定数ずつ供給する構造となっている。例えば、図14に示すように「へ」の字型に屈曲された配列通路24の頂点から下がった位置に発射待機球検出スイッチ26、27が配置され(図14A)、これらスイッチ26,27で3個の遊技球の存在を検出することができる。そして、発射待機球検出スイッチ26、27が遊技球を検出しない時、球溜り部23から新たな遊技球が3個ずつ供給される(同図42、C)。
なお、前記球揚送装置22はスクリューに限らずベルト機構を採用しても良い。ベルト機構で球集合部21から送られた遊技球は上部発射装置12まで、球溜り部23の遊技球通じて送り込まれる。球揚送モータは、ベルト機構の左右方向中央下部にギアを設けた状態で配置されるものとし、球揚送モータの駆動によって前記ベルト機構が稼動し、一球ずつ球溜り部23に遊技球を揚送するようになっている。
[上部発射装置]
図8は、上部発射装置を示す正面図であり、図9は上部発射装置を正面左方から眺めて示す斜視図である。図10はベースプレートを取り除いた上部発射装置を構成する打球発射装置と球送り装置とを示す正面右方から眺めて示す斜視図であり、図11はベースプレートを取り除いた上部発射装置を示す正面左方から眺めて示す斜視図である。また、図12は扉枠を外して示す遊技機における上部発射装置の開状態を示す図であり、図13−1は、扉枠を外して示す遊技機の縦断面を示す右側図である。図13−2は、図2のA−Aに沿った断面見通し図の一部を概略で示す図である。図13−3は、上部発射装置におけるベースプレートとの接合部と、遊技盤におけるパネルホルダの迫出し部が当接している状態を示した斜視図である。
また、図16は上部発射装置を正面右方から眺めて示す斜視図であり、図17は上部発射装置を示す正面図であり(発射用ハンマー待機位置)、図18は上部発射装置を示す右側面図である。図19は上部発射装置を後方左方から眺めて示す斜視図であり、図20は球送りユニットカバーを取り除いて上部発射装置を後方左方から眺めて示す斜視図である。
上部発射装置12は、本体枠2に対して上部発射装置12を取付固定するための金属板状のベースプレート39と、配列通路24から到達する遊技球を受け入れ、打球発射装置29の発射用ハンマー30(図8)の打球発射位置へ球送りソレノイド31と球送り部材32で遊技球を1球ずつ確実に送り出す球送り装置28と、遊技領域8に向けて遊技球を発射する打球発射装置29とを備えている。
[打球発射装置29]
打球発射装置29は、球送り装置28から供給された遊技球を、打球ハンドル10の回転操作に応じた強さで遊技盤5の遊技領域8内へ打ち込むことができるものである。打球発射装置29は、ベースプレート39の上部後面に前側へ回転駆動軸60が突出するように取付けられる発射ソレノイド13と、発射ソレノイド13の回転駆動軸60に一体回転可能に固定される発射用ハンマー30と、発射用ハンマー30の先端に固定される槌先61と、槌先61の移動軌跡上における所定位置を発射位置としてベースプレート39の前面に取付けられるレール部材33と、レール部材33により発射位置に停留された遊技球を打球可能な打球位置よりも槌先61がレール部材33側へ回動するのを規制する発射時ストッパ34と、発射用ハンマー30をその回動動作における待機位置(初期位置)に規制する戻り時ストッパ35と、発射位置に停留している遊技球の有無を検出するための発射球確認スイッチ36と、上部発射装置用ヒンジ37と、遊技領域8を臨んで開口された発射口38と、を備えている。
打球発射装置29における発射ソレノイド13は、詳細な図示は省略するが、回転駆動軸60が打球ハンドル10の回転操作角度に応じた強さ(速さ)で往復回動するようになっている。打球発射装置29の発射用ハンマー30は、発射ソレノイド13の回転駆動軸60に固定される固定部301と、固定部301から緩やかな円弧状に延出し、先端が回転駆動軸60の軸心に対して法線方向を向き、先端に槌先61が固定される棹部302と、棹部302に対して固定部301を挟んで反対側へ延出し、発射時ストッパ34と当接可能なストッパ当接部303と、を備えている。発射用ハンマー30のストッパ当接部303が発射時ストッパ34と当接することで、先端の槌先61が打球位置(正面視で反時計周りの方向の回動端)よりも発射レール側へ回動するのが規制されるようになっている(図17参照)。
また、打球発射装置29のレール部材33の直上には、球送り装置28の球送りユニットベース(後述)に形成された球供給口63が配置されている。レール部材33は、後述の球送り装置28の球送り部材32の球送り動作によって球供給口63から送り出された1個の遊技球を発射位置に停留する。
レール部材33は、金属板を屈曲成形することで形成されているもので、ベースプレート39に取付固定される取付板部331と、取付板部331から前方に向けて折曲形成されたレール部332とを備えている(図17参照)。発射位置を設定するためのレール部332は、正面視において、左方斜めに45度傾けた略L字状をなし、レール部332の左側を形成する左レール板333と、レール部332の右側を形成する右レール板334とにより構成されている(図17参照)。左レール板333には、発射用ハンマー30の打球動作時に槌先61が通過する通孔335が形成されている(図8、図9、図18参照)。
発射口38は、球送り装置28の球送り部材32に形成されており、レール部332に対して、正面視において斜め右方上方に位置している。図16及び図17に示すように、レール部332(発射位置)と発射口38との距離は短く(遊技球の直径の2倍程度)、このため、打ち出し距離が短いことにより、ファール球を発生させることがなく、発射された遊技球を確実に遊技領域8に打ち込むことが可能となっている。また、発射口38には、発射口38の右側を装飾する発射口飾り部材64がベースプレート39に取り付けられている。
発射球確認スイッチ36は、発射位置に停留されている遊技球の有無を検出すると共に、発射位置にある遊技球が発射用ハンマー30によって打ち込まれて発射されることによって遊技球の検出が非検出に切り換わることで、遊技球1個が発射用ハンマー30によって発射されたことを検出するようになっている。
発射球確認スイッチ36は、フォトカプラよりなり、発射位置を設定しているレール部332を前後に跨ぐようにして、投光部と受光部とが配置されている。発射球確認スイッチ36は、フォトブラケット361に支持されることで発射位置に対して配置されており、フォトブラケット361はベースプレート39り前面下部に取付固定されている。
打球発射装置29は、発射用ハンマー30における打球位置側への回動端を規制可能な発射時ストッパ34の前面を被覆するストッパカバー62と、発射用ハンマー30における打球位置とは離れた位置の回動端(正面視で時計回りの方向の回動端)を規制する戻り時ストッパ35とを備えている。ストッパ34,35の表面がゴムで覆われており、発射用ハンマー30が当接した時の衝撃を吸収することができると共に、当接による騒音の発生を抑制することができるようになっている。
また、打球発射装置29は、発射ソレノイド13が、後述の球情報制御部により打球ハンドル10の回転操作に応じた駆動強さで駆動させられるようになっていると共に、球送り装置28の球送りソレノイド31の駆動タイミングに対して、後述の駆動タイミングにより、打球動作するように駆動させられるようになっている。具体的には、打球発射装置29へ遊技球を供給する球送り装置28では、球送りソレノイド31が駆動(ON)すると球送り部材32が受入れた遊技球を打球発射装置29へ送り、その状態から球送りソレノイド31の駆動が解除(OFF)されると球送り部材32が遊技球を受入れるようになっている。
打球発射装置29では、打球ハンドル10が発射操作されると、その操作量に応じた電圧で発射ソレノイド13への通電・断電が繰り返される。これによる発射ソレノイド13の励磁・非励磁により、図8、図17に示すように、発射用ハンマー30が、初期位置(図17)から発射方向(反時計方向)に回動して発射位置に停留された遊技球を槌先61で打ち出した後(図8)、時計方向に回動して初期位置に戻る発射動作を繰り返す。
[球送り装置28]
次に、球送り装置28について、主として図6、図18、図19及び至図20に基づいて説明する。球送り装置28は、図19及び図20に示すように、主としてユニットとして構成され、図6に示す配列通路24の前端に連結された進入口66を有する揚送連通樋65と、揚送連通樋65に接続されると共に、揚送連通樋65から進入した遊技球を打球発射装置29に供給するための球供給口63を有し、後方が開放された球送りユニットベース67と、球送りユニットベース67の後端を塞ぐと共に前方が開放された球送りユニットカバー68と、球送りユニットベース67の下部に配設された球送りソレノイド31と、球送りソレノイド31の駆動によって球送り動作を行う球送り部材32と、を備えている。
揚送連通樋65は、進入口66が形成された後端から前端に向けて緩やかに下り傾斜がかけられている。球送りユニットベース67は、ベースプレート39の後面左側に取付られ、上部から上下方向中央にかけて、揚送連通樋65の前端に接続されると共に、背面視において左右方向の左方に向けて緩やかな下り傾斜がかけられ、中途で下方に向けて屈曲形成された球送り誘導樋69と、球送り誘導樋69の下端に、前後方向に貫通した球供給口63とを有している。
また、球送り誘導樋69の屈曲部分よりも下側で球供給口63よりも上側部分に対向する球送りユニットカバー68の後面には、球送り誘導樋69内に待機している遊技球の有無を検出する発射待機球検出スイッチ70が設けられている。発射待機球検出スイッチ70は、それぞれ高周波発振回路の検出コイルのインピーダンスの変化によって金属体としての遊技球を検出するフラット型式の近接スイッチから構成される。
球送りソレノイド31は、図示しないバネを有して下方に付勢されたプランジャ71を備えており、プランジャ71を下方に向けた姿勢で、球送りユニットベース67の下部に配設されている。また、球送り部材32は、球送りソレノイド31の左方に隣接して球送りユニットベース67の下部に配置されている。
球送り部材32の下部には、球送りソレノイド31の下方に向って延伸した係合部72が形成され、係合部72には嵌合孔73が形成されると共に、球送りソレノイド31によって上下方向に進退動作するプランジャ71に嵌合孔73が嵌合されている。
また、球送り部材32の上下方向の中間には、球送り誘導樋69の下端に形成された球供給口63の下縁に臨んで球送り部74が形成され、球送り部材32の上部は、前方に向けて球送りユニットベース67を貫通すると共に、図18に示すように、側面視においてレール部332よりの打球経路に向って延伸形成された枠状の発射口38に形成されている。
球送り装置28は、球送りソレノイド31の励磁・非励磁により、プランジャ71が吸引された状態となったり、吸引されない状態となったりすることにより、上下方向に進退動作し、プランジャ71に係合された球送り部材32が図示しない左右方向に向いた軸を中心に前後方向に回動することにより、球送り部74が打球発射装置29のレール部332の発射位置に向けて遊技球を1球ずつ球供給口63から下方に送出する(球送り動作を行う)ように構成されている。
尚、上部発射装置用ヒンジ37の配置位置は、本体枠2と扉枠3とを回動可能に連結しているヒンジ7に対して、遊技盤5を本体枠2に対して着脱する際に上部発射装置12が遊技盤5を差込み装着の邪魔とならない角度まで開くことができる位置となっている(例えば120度)。
図5に示すように遊技球の循環経路は、前記の異形球・磁性球排出ユニット20、球集合部21、球揚送装置22、球溜り部23、配列通路24、上部発射装置12、遊技領域8を経由するものである。上部発射装置12から遊技領域8の発射領域40(図7)に発射された遊技球は遊技領域を上方から下方へ流下し、入賞口41あるいはアウト口42を経て異形球・磁性球排出ユニット20に戻る。
[遊技盤]
本体枠2の嵌合枠15には遊技盤5が装着される。この実施例において遊技盤5はパネルホルダ43に透明パネル板44を取り付け、その前面に前構成部材45を取り付けて透明パネル板44を固定した構造となっている(図12)。この遊技盤5に従来の内レールに相当するものは無く、前構成部材45の内周面上部を遊技球走行面46(図7)としている。
遊技盤5の左上隅部は前記上部発射装置12の形態に合わせて切欠き47(図12)が形成されている。切欠き47は前構成部材45から遊技領域8の透明パネル板44の一部に達している。透明パネル板44が切り欠かれた箇所には上部発射装置12の前記発射口38が臨んでおり、図7に示すように発射口38から上方の遊技球走行面46に沿った発射口38近辺の遊技領域8が発射領域40である。したがって上部発射装置12の発射用ハンマー30によって打ち出された遊技球は、発射領域40では前構成部材45の遊技球走行面46に案内される。
尚、前記切欠き47においてパネルホルダ43の切欠きは前構成部材の切欠きよりも小さく、正面から見てパネルホルダ43の一部が切欠き47の内側に迫出した迫出し部48となっている(図12、図13−3)。そして、上部発射装置12のベースプレート39には固定具49が前後方向に貫通して装着されており、その固定具49の先端は上部発射装置12を閉じたとき本体枠2の前記張出壁18(図13−1、図13−2、図13−3)のネジ受け部材50に着脱可能に装着される。前記固定具49は先端部にネジを有すると共に頭部は比較的大きく形成されており、工具を利用せずに固定具49を着脱ができるものとする(コインなどの簡単な部材を利用しても良い)。ネジ受け部材50は例えば金属平板にナットを溶着した構造などであり、ビスなどで張出壁18に固定される。
図13−1、図13−2、図13−3に示すように、上部発射装置12を貫通して固定具49をネジ受け部材50に装着すると、ベースプレート39によって本体枠2に対して遊技盤が固定される。この時ベースプレート39の当接部39a(図13−1)は、遊技盤5の切欠き47から迫出している迫出し部48に当接して、迫出し部48を本体枠2側に押圧して固定する。
このことにより、上部発射装置12の発射口38と遊技領域8の位置関係がガタなく一定に定まり、発射口38と遊技領域8との間に遊技球が走行する際の障害となる段差等が生じない。また、固定具49をネジ受け部材50から外せば、ベースプレート39を、上部発射装置用ヒンジ37を中心に手前に開くことができ、遊技盤5を本体枠2の嵌合枠15へ嵌め込む際の邪魔にならない。さらに、球送り装置28や打球発射装置29における球ガミ等のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
また、図15(実施例2)に示すように、扉枠3の裏面側にクッション等の弾性材を配置し、扉枠3を閉じる際に遊技盤5と上部発射装置12とを押し付け固定する構造とすることもできる。以下、説明する。
扉枠3の裏面側における上部発射装置12と当接する箇所にクッション51を設け、扉枠3を閉塞することにより、クッション51で上部発射装置12に配置したクッション受板52を押しつけ上部発射装置12を本体枠2側に固定する。このとき、ベースプレート39は遊技盤5の前記切欠き47から迫出している迫出し部48に当接して迫出し部48を本体枠2側に押圧するので遊技盤5は本体枠2に固定される。即ち、上部発射装置12の発射口38と遊技領域8の位置関係がガタなく一定に定まる。さらに、発射用ハンマー30の打ち出し動作による振動があっても、発射口38と遊技領域8の位置関係はガタなく安定して維持される。
実施例1、2の遊技領域8には、多数の障害釘(図示しない)と、入賞口等の各種入賞口等が設けられ、各種入賞口への入賞に応じて所定数の賞球が付与されるようになっている。なお、この実施例は封入球式遊技機なので、遊技球1個の打ち込みに応じて持球数のデータから「1」が減算される一方、各種入賞口への入賞に応じた賞球の数が持球数のデータに加算されて、これに対応する持球数がタッチパネル部14上に表示される。
また、封入球式パチンコ機なので賞球の払い出しは行われず、出球数、入球数、差球数、持球数等は、実際の遊技球の個数ではなく、データ上の数値となる。即ち、実際に使用される遊技球は、循環使用される限られた所定数(例えば、50個もしくは75個)しかなく、持球数は、例えば、遊技領域8に発射される遊技球を検知してカウントした発射球数、遊技領域8に発射されて回収された遊技球を検知してカウントした回収球数、入賞した場合の賞球数、ホール側から借りた貸球数等の数値から入球数、出球数、差球数、持球数が得られる。
即ち、扉枠3を開放して遊技球が外に出てしまう等のトラブルがない限り、発射球数=回収球数となる。そして、入球数=回収球数=発射球数、出球数=賞球数(積算値)=入球数−貸球数(再プレイ球数)+持球数となり、持球数=貸球数(もしくは再プレイ持球数)+出球数−入球数、出球数−入球数=差球数、持球数=貸球数(もしくは再プレイ持球数)+差球数となる。このようにパチンコ機1による遊技は、完全にデータ上の数値として行われることになり、遊技球をこぼしたり、遊技球を下皿や上皿に残したりすることによる誤差が生じることがなく、整数単位で確実に管理可能となる。尚、後述する上部発射装置12の構造では基本的にファール球は生じない。
尚、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
以上、封入球をカセット式に供給する封入球式遊技機について説明したが、前記上部発射装置12に関する構造は、カセットを使用しない封入球式遊技機についても使用できる。さらに、前記上部発射装置12に関する構造に限れば従来の実球が払い出される遊技機においても使用することができる。
さらに、上記実施例では前構成部材45とパネルホルダ及び透明パネル板44は別部材で構成しているが、これらを例えば接着によって一体化するか、或いは一体成形して、一つの部材として構成することもできる。このように、透明パネル板44に前構成部材45やパネルホルダ43等を一体に形成すると、遊技盤5に切欠き47を設けたことによって、前構成部材45やパネルホルダ43が有していた枠構造(四辺がつながっている)が切断されてしまうことによるこれら部材の構造的な弱体化を抑止することができる。
次に、パチンコ機1及びその一側に隣接して配置される外部装置としての精算機4の制御の概要について説明する。図21は、封入球式パチンコ機に配備され、RTCを備えた主制御基板の実施形態における要部を示すブロック図である。パチンコ機1の制御は、大きく分けて主基板グループと周辺基板グループとで分担されており、このうち主基板グループが遊技動作を制御しており、周辺基板グループが演出動作(液晶表示パネル、ランプ、本体枠ランプ、扉枠ランプ、音)を制御している。主基板グループは、主制御基板100と球情報制御基板110とから構成されており、周辺基板グループは、周辺制御基板130から構成されている。
[主制御基板100]
主制御基板100は、パチンコ遊技の制御を行うものである。主制御基板100と後述の球情報制御基板110とは双方向のデータ通信が可能に接続されている。遊技の進行を制御する主制御基板100は、図21に示すように、各種処理プログラムや各種コマンドを記憶するROMや一時的にデータを記憶するRAM等が内蔵されるマイクロプロセッサである主制御MPU101と、入出力デバイス(I/Oデバイス)としての主制御I/Oポート102と、各種検出スイッチからの検出信号が入力される主制御入力回路103と、各種ソレノイドを駆動するための主制御ソレノイド駆動回路104と、主制御MPU101に内蔵されているRAM(以下、「主制御内蔵RAM」と記載する)に記憶された情報を完全に消去するためのRAMクリアスイッチ105と、を備えている。
主制御MPU101は、その内蔵されたROM(以下、「主制御内蔵ROM」と記載する。)や主制御内蔵RAMのほかに、その動作(システム)を監視するウォッチドックタイマや不正を防止するための機能等も内蔵されている。また、主制御MPU101は不揮発性のRAMが内蔵されており、この不揮発性のRAMには、主制御MPU101を製造したメーカによって個体を識別するためのユニークな符号(世界で1つしか存在しない符号)が付された固有のIDコードが予め記憶されている。この一度付されたIDコードは、不揮発性のRAMに記憶されるため、外部装置を用いても書き換えられない。主制御MPU101は、不揮発性のRAMからIDコードを取り出して参照することができる。
[RTC制御部]
また、実施形態の主制御MPU101は、時刻情報取得手段として時刻情報を取得することが可能な外付けのリアルタイムクロック(以下、「RTC」という)107を備えている。図示していないが、RTC107は、レジスタ回路、クロック入力回路、クロック出力回路、割り込み出力回路、データ入出力回路、および、制御回路を含む。
RTC107は、時計・カレンダー機能を備える。時計・カレンダー機能は、年,月,日,時,分,秒をカウントする計時を行う機能である。また、必要に応じて、曜日までカウントするものを用いてもよい。RTC制御部106は、RTC107およびRTC107を駆動するための電池108が設けられている。電池108を備えることによって、電源基板(図示せず)の電源遮断時においてもRTC107は計時、および、カレンダー機能を中断することがない。
電池108としては一次電池(例えばボタン電池)であってもよいし、充電可能な二次電池、これによって、バックアップ電源を配置する必要がなく主制御基板100の構成が複雑化するのを避けることができる。なお、電池108は、RAM109のバックアップ電源としても用いられる。
主制御MPU101は、RTC107を備えることによって、年・月・日・時・分・秒(カレンダー情報と時刻情報)を特定する機能を備える。主制御基板100の主制御MPU101は、遊技機の電源投入時に、RTC107から時刻情報(時・分・秒)を取得する。
遊技盤5の遊技領域8に配された上始動口(図示せず)に入賞した遊技球を検出する上始動口検出スイッチ90、下始動口(図示せず)に入賞した遊技球を検出する下始動口検出スイッチ91、及び一般入賞口(図示せず)に入賞した遊技球を検出する一般入賞口検出スイッチ93からの検出信号は、まず主制御入力回路103に入力され、主制御I/Oポート102を介して主制御MPU101に入力されている。
また、ゲート部(図示せず)を通過した遊技球を検出するゲートスイッチ92、一般入賞口(図示せず)に入賞した遊技球を検出する一般入賞口検出スイッチ94、大入賞口(図示せず)に入賞した遊技球を検出するカウントスイッチ98からの検出信号は、まず遊技盤5に取付けられたパネル中継端子板140を介して主制御入力回路103に入力され、主制御I/Oポート102を介して主制御MPU101に入力されている。
主制御MPU101は、これらの検出信号に基づいて、主制御I/Oポート102から主制御ソレノイド駆動回路104に制御信号を出力することにより、パネル中継端子板140を介して始動口ソレノイド96及び大入賞口ソレノイド97に駆動信号を出力したり、主制御I/Oポート102からパネル中継端子板140、そして機能表示基板141を介して上特別図柄表示器142、下特別図柄表示器143、上特別図柄記憶表示器144、下特別図柄記憶表示器145、普通図柄表示器146、普通図柄記憶表示器147、遊技状態表示器148、ラウンド表示器149に駆動信号を出力したりする。
また、主制御MPU101は、遊技に関する各種情報(遊技情報)及び入賞に応じた賞球に関する各種コマンド等を球情報制御基板110にシリアル方式で送信したり、この球情報制御基板110からのパチンコ遊技機1の状態に関する各種コマンド等をシリアル方式で受信したりする。また、主制御MPU101は、遊技演出の制御に関する各種コマンド及びパチンコ機1の状態に関する各種コマンドを周辺制御基板130に送信したりする。
[球情報制御基板110]
図22は、主として封入球式パチンコ機に配備された球情報制御基板110の要部を示すブロック図である。球情報制御基板110は、持球球の管理や球揚送装置22、発射ソレノイド13、球送りソレノイド31に関する各種制御を行う球情報制御部118を備えている。また、主制御基板100と球情報制御基板110とは双方向のデータ通信が可能に接続されている。
[球情報制御部118]
球情報制御部118は、図22に示すように、各種処理プログラムや各種コマンドを記憶するROMや一時的にデータを記憶するRAM等が内蔵されるマイクロプロセッサである球情報制御MPU111と、I/Oデバイスとしての球情報制御I/Oポート112と、球情報制御MPU111が正常に動作しているか否かを監視するための外部ウォッチドックタイマ116(以下、「外部WDT116」と記載する。)と、球揚送を行う球揚送装置22のモータに駆動信号を出力するための球揚送モータ駆動回路114と、球揚送に関する各種検出スイッチからの検出信号が入力される球情報制御入力回路113と、精算機4との各種信号をやり取りするためのCRユニット入出力回路115と、を備えている。球情報制御MPU111には、その内蔵されたROM(以下、「球情報制御内蔵ROM」と記載する。)やRAM(以下、「球情報制御内蔵RAM」と記載する。)のほかに、不正を防止するため機能等も内蔵されている。
球情報制御MPU111は、主制御基板100からの遊技に関する各種情報(遊技情報)及び賞球に関する各種コマンドを球情報制御I/Oポート112を介してシリアル方式で受信したり、主制御基板100からのRAMクリアスイッチ105の操作信号(検出信号)が球情報制御I/Oポート112を介して入力されたりする。
本体枠2に対する扉枠3の開放を検出する扉枠開放スイッチ131、及び外枠に対する本体枠2の開放を検出する本体枠開放スイッチ132からの検出信号は、まず球情報制御入力回路113に入力され、球情報制御I/Oポート112を介して球情報制御MPU111に入力されている。さらに、打球ハンドル10に手のひらや指が触れているか否かを検出するタッチスイッチ87によるタッチ検出信号(オン信号)が、ハンドル中継端子板123を介して球情報制御基板110に入力され、さらにタッチ検出信号は球情報制御I/Oポート112を介して球情報制御MPU111に入力されている。
また、球情報制御MPU111は、発射ソレノイド駆動回路120を通じて発射ソレノイド13に接続され、球送りソレノイド駆動回路122を通じて球送りソレノイド31に接続され、球情報制御MPU111からの制御出力に応じて発射ソレノイド13及び球送りソレノイド31が駆動されるようになっている。また、発射待機球検出スイッチ26,27、発射球確認スイッチ36、及び回収球検出スイッチ203からの検出信号がセンサー中継基板124を介して球情報制御入力回路113に入力され、球情報制御I/Oポート112を介して球情報制御MPU111に入力されている。球情報制御MPU111は、球揚送装置22、発射ソレノイド13及び球送りソレノイド31を駆動するための駆動信号を、球情報制御I/Oポート112を介して各駆動要素に出力する。
また、球情報制御MPU111には、タッチパネル部14が球情報制御I/Oポート112からの制御出力により表示可能に接続されている。なお、球情報制御基板110は、主制御基板100と外部端子板133との基板間の電気的な接続を中継するほかに、扉枠開放スイッチ131及び本体枠開放スイッチ132と外部端子板133との間の電気的な接続を中継している。なお、外部端子板133は、遊技場(ホール)に設置されたホールコンピュータと電気的に接続されている。
打球ハンドル10に手のひらや指が触れているか否かを検出するタッチスイッチ87、及び遊技者の意志によって遊技球の打ち出しを強制的に停止するか否かを検出する発射停止スイッチ86からの検出信号は、まずハンドル中継端子板123を介して球情報制御入力回路113に入力されている。また、精算機4と球情報制御基板110が電気的に接続されると、CR接続信号としてCRユニット入出力回路115に入力されるようになっている。
なお、電源基板(図示せず)から球情報制御基板110に直流電源+24V、+12V、+5.2Vが供給されている。また、球情報制御基板110を介して直流電源+24V、+12V、+5.2Vが主制御基板100に供給されている。
停電監視回路117は、+24Vに基づく電圧V1と基準電圧、+12Vに基づく電圧V2と基準電圧とをそれぞれ比較監視しており、停電又は瞬停の兆候を検知すると、即ち、電圧V1またはV2が基準電圧よりも小さくなると、停電予告として停電予告信号を出力する。停電監視回路117から出力された停電予告信号は、球情報制御基板110の球情報制御MPU111に供給されるほかに、主制御MPU101に供給される。また、図示していないが、停電予告信号は、周辺制御基板130にも入力される。
[精算機4]
図23は、主として精算機4に接続された各要素を示すブロック図である。精算機4と球情報制御基板110とは双方向にデータ通信が可能に接続されている。精算機4の制御部は、図示していないが、CPU、ROM、RAM、入出力インタフェース、通信インタフェース等を備えている。
精算機4には、封入球式遊技機1のタッチパネル部14に配設された球貸ボタン及び精算ボタンの各操作入力信号が、例えば、インタフェースを通じて入力可能に接続されている。また、封入球式パチンコ機1のタッチパネル部14に配設された残度数表示部及び操作可能報知ランプが精算機4からの制御出力により表示可能に接続されている。また、精算機4には、図1のカード挿入口の奥方にカード処理機402が設けられている。
[カード403]
実施形態において使用されるカード403は、例えば、磁気カード或いはICカード等で構成され、遊技者が所定の金額を支払うことにより、図示しないカード発行機により発行されて遊技者に提供される。図23において、カード403に記憶されているデータ構成を示している。
カード403には、カード403に対して個別に付与された識別情報としてのID番号(以下、単にIDという)が記憶されたID記憶部404、カード403を購入する際に支払われた金額に相当する有価価値情報としての残度数が記憶された残度数記憶部305、遊技を行った遊技結果として遊技者が獲得した持球数(遊技機持球数)が記憶される持球数記憶部406が設定されている。なお、カード403の発行時は、ID記憶部404にIDが記憶され、残度数記憶部405にカード403を購入する際に支払われた金額に相当する残度数(例えば、支払った金額が5000円ならば残度数として「5000」)が記憶されているが、持球数記憶部406には持球数の初期値として「0」が記憶されている。
カード処理機402は、従来周知のものであり、カード403を検知するカードセンサ、カード403に記憶されたデータの読み取り及びカード403へのデータの書き込みを行うカードリーダ・ライタ、カード403のデータ読取書込位置への送り込み並びにカード403のカード挿入口への排出を行うカード搬送手段を備えている。カード処理機402は、カード挿入口にカード403が差し込まれると、所定のデータ読取書込位置にカード403を送り、カードリーダ・ライタにより、記憶されているデータ、即ち、ID、残度数及び持球数を読み取って精算機4に出力する。また、精算機4よりの書込指令に応じて、ID、残度数及び持球数を前述の各記憶部に書き込む(記憶する)。
精算機4は、カード処理機402を通じてカード403から読み取ったID、残度数及び持球数をRAMに記憶する。
[カード403による球貸]
精算機4は、カード403のデータの読み取りを行うと、RAMに記憶した残度数を残度数表示部に表示する。カード403の使用が可能である場合、精算機4は、球貸ボタンの操作に応じて球貸を行う。この球貸は、球貸ボタンの1回操作につき、例えば、球貸数125(球単価が4円)を球貸するものとする。なお、球貸において、持球数がある場合であって、持球数が125に満たない場合には全持球数を貸球数として球貸する。精算機4は、球情報制御基板110に貸球数を送信する。また、精算機4は、設定されている球単価に貸球数を乗じることで球貸に対する対価を求め、求めた対価(球貸に対応する対価を残度数)を現在の残度数から減じる。なお、持球数がある場合であって持球数から球貸を行った場合には、現在の持球数から貸球数を減じる。精算機4は、この結果を、残度数表示部に表示する。また、カード403の残度数記憶部405に残度数を書き込む。
[遊技開始]
球情報制御基板110の球情報制御MPU111は、精算機4から送信された貸球数を受けると遊技機持球数に加算し、加算結果をタッチパネル部14に表示する。上部発射装置12を発射可能とし遊技可能状態となる。
[遊技中]
遊技者が打球ハンドル10を操作することで打球発射装置29が作動し、発射用ハンマー30によって球発射位置にある遊技球が遊技領域8に打ち出されると、これが発射球確認スイッチ36の球検出に基づいて遊技球1個ずつの遊技領域8内への打ち込みが検知される。そして、球情報制御基板110の球情報制御MPU111は、このような遊技球1個ずつの打ち込み検知に応じて、遊技機持球数記憶領域に記憶した遊技機持球数データから逐次「1」を減算していくと共にこれを持球数をタッチパネル部14に表示する。
一方、主制御基板100の主制御MPU101は、遊技盤5面において遊技球の入球通過を可能とされたゲート(図示せず)に配されたゲートスイッチ92、普通入賞口(図示せず)に対して配された一般入賞口検出スイッチ93、94、大入賞口(図示せず)に対して配されたカウントスイッチ98、上始動口とした始動口(図示せず)に対して配された上,下始動口検出スイッチ90,91からの検出信号に基づいて、遊技に関わる処理を行い、処理結果としてのコマンドや信号を球情報制御基板110、周辺制御基板130、上、下特別図柄表示器142、143、上、下特別図柄記憶表示器144、145、普通図柄表示器146、普通図柄記憶表示器147、始動口ソレノイド96、大入賞口ソレノイド97等に出力する。
上部発射装置12によって打ち出された遊技球が遊技領域8内の各種入賞口(始動入賞口や大入賞口等)に入賞した場合、当該遊技球は、入賞口毎に設けられた各種入賞検出スイッチ(上始動口検出スイッチ90、下始動口検出スイッチ91、一般入賞口検出スイッチ93、一般入賞口検出スイッチ94、カウントスイッチ98)によって検出される。
主制御MPU101は、各入賞口に対して設けられた検出スイッチ(一般入賞口検出スイッチ93、94、カウントスイッチ98、上,下始動口検出スイッチ90,91が該当する)の検出信号に応じて、遊技球が入賞した入賞口に応じて設定された賞球数を指示する賞球コマンドを必要に応じて球情報制御基板110に出力する。
さらに、主制御MPU101は、現在の遊技状態の種別を示す遊技状態信号(ステータス)を定期的に周辺制御基板130に出力する。前記遊技状態とは、例えば、始動口と始動口への入賞に起因して当り外れの抽選を行うと共に抽選結果に基づいて特別図柄の可変表示を行って図柄を停止し、前記抽選結果が当りの場合に特別遊技状態(大当り遊技状態)に移行する第1種のパチンコ遊技機の場合では、通常遊技状態(抽選により当る確率が通常確率、かつ普通図柄の可変表示の時間が通常)、時短遊技状態(普通図柄の可変表示の時間が通常よりも短縮されている状態、時短中情報出力信号)、大当り遊技状態(15ラウンド大当り情報出力信号、または2ラウンド大当り情報出力信号)、高確率遊技状態(抽選により当る確率が通常よりも高い確率となっている状態、確率変動中情報出力信号)、特別図柄図柄変動中(特別図柄表示情報出力信号)、始動口入賞に基づく保留がある状態(始動口入賞情報出力信号)等がある。
なお、周辺制御基板130は、主制御基板100から出力されるコマンドに基づいて、液晶表示パネル(図示せず)役物装飾基板(図示せず)、盤装飾基板(図示せず)及び枠装飾基板(図示せず)に制御信号を出力することで、各種の装飾用LEDの点灯表示を制御し、スピーカ(図示せず)から出力する音(音声、音、効果音等)を制御する共に、液晶表示パネル(図示せず)で演出表示する図柄を制御する。
球情報制御基板110の球情報制御MPU111は、各種の入力信号に基づいて、発射ソレノイド13、球送りソレノイド31、球揚送装置22、タッチパネル部14の持球数表示及び精算機4に対して信号を出力する。
球情報制御基板110の球情報制御MPU111には、主制御基板100から出力される遊技状態信号及び賞球コマンドが入力される。
球情報制御MPU111は、このような賞球コマンドを受信することに応じて、遊技機球数記憶領域に記憶した遊技機持球数データに各種入賞口毎で予め設定された賞球数の値を加算していくと共にこれをタッチパネル部14に表示する。
[遊技終了、精算]
その後は、遊技を終了すべく遊技者によって精算ボタンが操作されると、精算機4は、球情報制御基板110の球情報制御MPU111に対して遊技終了指令を送信する。
精算ボタンの操作に応じて精算機4が遊技終了指令を球情報制御MPU111に送信することにより、球情報制御MPU111は精算機4から送られた遊技終了指令を受信することになり、球情報制御MPU111は、「終了可」を精算機4に送信する。次いで、球情報制御MPU111は、発射ソレノイド13並びに球送りソレノイド31を停止して遊技を停止する。遊技機持球数記憶領域に記憶されている現在の遊技機持球数を精算機4に送信する。
そして、球情報制御MPU111から送信された遊技機持球数に対応する精算機4の処理が終了すると、精算機4が処理終了を送信するので、球情報制御MPU111は処理終了を受信することになり、RAMの遊技機持球数記憶領域を0クリアし、処理終了となる。
一方、精算機4は、遊技終了指令に対する終了状態についての回答として「終了可」を受信した後、球情報制御MPU111が遊技機持球数を精算機4に送信するので、精算機4は遊技機持球数を受信すると、カード挿入時にRAMに記憶した精算機持球数に受信した遊技機持球数を加算して加算結果を精算機持球数として記憶する。これにより、遊技者が遊技を行った遊技結果としての持球数の全てが精算機持球数として記憶される。そして、球情報制御MPU111に処理終了を送信し、カード403の持球数記憶部406に精算機持球数を書き込み、カード403をカード挿入口から排出し、処理を終了する。これにより、遊技結果としての遊技機持球数が加算されて書き替えられたカード403が遊技者に返却される。
[主制御基板の各種制御処理]
まず、パチンコ機1の遊技の進行に応じて、図21に示した主制御基板100が行う各種制御処理について、図24〜図26を参照して説明する。図24は主制御基板100の主制御MPU101が実行する主制御側電源投入時処理を示すフローチャートであり、図25は図24の主制御側電源投入時処理のつづきを示すフローチャートであり、図26は主制御MPU101が実行する主制御側タイマ割り込み処理を示すフローチャートである。
[主制御側電源投入時処理]
パチンコ機1に電源が投入されると、主制御基板100の主制御MPU101(以下、単に主制御MPUという)は、図24及び図25に示すように、主制御側電源投入時処理を行う。この主制御側電源投入時処理が開始されると、主制御MPUは、スタックポインタの設定を行う(ステップS10)。スタックポインタは、例えば、使用中の記憶素子(レジスタ)の内容を一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したり、サブルーチンを終了して本ルーチンに復帰するときの本ルーチンの復帰アドレスを一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したりするものであり、スタックが積まれるごとにスタックポインタが進む。ステップS10では、スタックポインタに初期アドレスをセットし、この初期アドレスから、レジスタの内容、復帰アドレス等をスタックに積んで行く。そして最後に積まれたスタックから最初に積まれたスタックまで、順に読み出すことによりスタックポインタが初期アドレスに戻る。
ステップS10に続いて、ウェイトタイマ処理1を行い(ステップS12)、停電予告信号が入力されているか否かを判定する(ステップS14)。電源投入時から所定電圧となるまでの間では電圧がすぐに上がらない。一方、停電又は瞬停(突発的に電力の供給が一時停止する現象)となるときでは電圧が下がり、停電予告電圧より小さくなると、球情報制御基板110の停電監視回路117から停電予告として停電予告信号が出力されて主制御MPUに入力される。電源投入時から所定電圧に上がるまでの間では同様に電圧が停電予告電圧より小さくなると、球情報制御基板110の停電監視回路117から停電予告信号が入力される。
そこで、ステップS12のウェイトタイマ処理1は、電源投入後、電圧が停電予告電圧より大きくなって安定するまで待つための処理であり、本実施形態では、待ち時間(ウェイトタイマ)として200ミリ秒(ms)が設定されている。ステップS14の判定では、球情報制御基板110の停電監視回路117からの停電予告信号に基づいて行う。電源投入後、電圧が停電予告電圧より大きくなって安定すると、停電監視回路117からの停電予告信号が出力なしとなり、主制御MPUはステップS16に進む。
ステップS16に進むと、主制御MPUは、RAMクリアスイッチ105(図21)が操作されているか否かを判定する(ステップS16)。この判定は、主制御基板100のRAMクリアスイッチ105が操作され、その操作信号(検出信号)が主制御MPUに入力されているか否かにより行う。検出信号が入力されているときにはRAMクリアスイッチ105が操作されていると判定する一方、検出信号が入力されていないときにはRAMクリアスイッチ105が操作されていないと判定する。
ステップS16でRAMクリアスイッチ105が操作されていると判定したときには、RAMクリア報知フラグRCL−FLGに値1をセットし(ステップS18)、ステップS30に移行する一方、ステップS16でRAMクリアスイッチ105が操作されていないと判定したときには、RAMクリア報知フラグRCL−FLGに値0をセットし(ステップS19)、ステップS30に移行する。
このRAMクリア報知フラグRCL−FLGは、主制御MPU101に内蔵されたRAM(以下、「主制御内蔵RAM」と記載する。)に記憶されている、確率変動、未払い出し賞球等の遊技に関する遊技情報を消去するか否かを示すフラグであり、遊技情報を消去するとき値1、遊技情報を消去しないとき値0にそれぞれ設定される。なお、ステップS18及びステップS19でセットされたRAMクリア報知フラグRCL−FLGの値は、主制御MPUの汎用記憶素子(汎用レジスタ)に記憶される。
主制御MPUは、ステップS30に移行すると、ウェイトタイマ処理2を行う(ステップS30)。このウェイトタイマ処理2では、周辺制御基板130の液晶制御部による液晶表示装置(図示せず)の描画制御を行うシステムが起動する(ブートする)まで待っている。本実施形態では、ブートするまでの時間(ブートタイマ)として2秒(s)が設定されている。
ステップS30に続いて、RAMクリア報知フラグRCL−FLGが値0である否かを判定する(ステップS32)。上述したように、RAMクリア報知フラグRCL−FLGは、遊技情報を消去するとき値1、遊技情報を消去しないとき値0にそれぞれ設定される。ステップS32においてRAMクリア報知フラグRCL−FLGが値0であると判定した場合、つまり遊技情報を消去しないときには、チェックサムの算出を行う(ステップS34)。このチェックサムは、主制御内蔵RAMに記憶されている遊技情報を数値とみなしてその合計を算出するものである。
ステップS34に続いて、算出したチェックサムの値(サム値)が後述する主制御側電源断時処理(電源断時)において記憶されているチェックサムの値(サム値)と一致しているか否かを判定する(ステップS36)。一致しているときには、バックアップフラグBK−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS38)。このバックアップフラグBK−FLGは、遊技情報、チェックサムの値(サム値)及びバックアップフラグBK−FLGの値等のバックアップ情報を後述する主制御側電源断時処理において主制御内蔵RAMに記憶保持したか否かを示すフラグであり、主制御側電源断時処理を正常に終了したとき値1、主制御側電源断時処理を正常に終了していないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS38でバックアップフラグBK−FLGが値1であるとき、つまり主制御側電源断時処理を正常に終了したときには、復電時として主制御内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS40)。この設定は、バックアップフラグBK−FLGに値0をセットするほか、主制御MPUに内蔵されたROM(以下、「主制御内蔵ROM」と記載する。)から復電時情報を読み出し、この復電時情報を主制御内蔵RAMの作業領域にセットする。なお、「復電」とは、電源を遮断した状態から電源を投入した状態のほかに、停電又は瞬停からその後の電力の復旧した状態、高周波が照射されたことを検出してリセットし、その後に復帰した状態も含める。
ステップS40に続いて、電源投入時コマンド作成処理を行う(ステップS42)。この電源投入時コマンド作成処理では、バックアップ情報から遊技情報を読み出してこの遊技情報に応じた各種コマンドを主制御内蔵RAMの所定記憶領域に記憶する。
一方、ステップS32でRAMクリア報知フラグRCL−FLGが値0でない(値1である)と判定した場合、つまり遊技情報を消去するときには、又はステップS36でチェックサムの値(サム値)が一致していないときには、又はステップS38でバックアップフラグBK−FLGが値1でない(値0である)と判定した場合、つまり主制御側電源断時処理を正常に終了していないときには、主制御内蔵RAMの全領域をクリアする(ステップS44)。具体的には、値0を主制御内蔵RAMに書き込むことよって行う(なお、初期値として主制御内蔵ROMから所定値を読み出して、セットしてもよい)。また、大当り判定用乱数の初期値の決定に用いるための大当り判定用初期値決定用乱数は、RAMクリアスイッチ105が操作されて遊技情報を消去するとき、サム値が一致していないとき、又は主制御側電源断時処理を正常に終了していないときには、主制御MPUの不揮発性のRAMに予め記憶された固有のIDコードを取り出し、この取り出したIDコードに基づいて大当り判定用乱数を更新するカウンタの固定数値範囲から常に同一の固定値を導出する初期値導出処理を実行し、この固定値が初期値としてセットされる。
ステップS44に続いて、初期設定として主制御内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS46)。この設定は、主制御内蔵ROMから初期情報を読み出してこの初期情報を主制御内蔵RAMの作業領域にセットする。
ステップS46に続いて、RAMクリア報知及びテストコマンド作成処理を行う(ステップS48)。このRAMクリア報知及びテストコマンド作成処理では、主制御内蔵RAMをクリアして初期設定を行った旨を報知するための電源投入に区分される電源投入コマンドを作成するとともに、周辺制御基板130の各種検査を行うためのテスト関連に区分されるテストコマンドを作成して、送信情報として主制御内蔵RAMの送信情報記憶領域にそれぞれ記憶する。
ステップS42又はステップS48に続いて、割り込み初期設定を行う(ステップS50)。この設定は、後述する主制御側タイマ割り込み処理が行われるときの割り込み周期を設定するものである。本実施形態では4msに設定されている。
ステップS50に続いて、割り込み許可設定を行う。(ステップS52)。この設定によりステップS50で設定した割り込み周期、つまり4msごとに主制御側タイマ割り込み処理が繰り返し行われる。なお、このステップS10〜ステップS52の処理を「主制御側電源投入時処理」という。
ステップS52に続いて、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Aをセットする(ステップS54)。このウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに、値A、値Bそして値Cを順にセットすることによりウォッチドックタイマがクリア設定される。
ステップS54に続いて、停電予告信号が入力されているか否かを判定する(ステップS56)。上述したように、パチンコ遊技機1の電源を遮断したり、停電又は瞬停したりするときには、電圧が停電予告電圧以下となると、停電予告として停電予告信号が球情報制御基板110の停電監視回路117から入力される。ステップS56の判定は、この停電予告信号に基づいて行う。
ステップS56で停電予告信号の入力がないときには非当落乱数更新処理を行う(ステップS58)。この非当落乱数更新処理では、例えば、リーチ判定用乱数、変動表示パターン用乱数、大当り図柄用初期値決定用乱数、及び小当り図柄用初期値決定用乱数等を更新する。このように、非当落乱数更新処理では、当落判定(大当り判定)にかかわらない乱数を更新する。なお、普通図柄当り判定用乱数、普通図柄当り判定用初期値決定用乱数及び普通図柄変動表示パターン用乱数等もこの非当落乱数更新処理により更新される。
ステップS58に続いて、再びステップS54に戻り、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Aをセットし、ステップS56で停電予告信号の入力があるか否かを判定し、この停電予告信号の入力がなければ、ステップS58で非当落乱数更新処理を行い、ステップS54〜ステップS58を繰り返し行う。なお、このステップS54〜ステップS58の処理を「主制御側メインループ処理」という。
一方、ステップS56で停電予告信号の入力があったときには、割り込み禁止設定を行う(ステップS60)。この設定により後述する主制御側タイマ割り込み処理が行われなくなり、主制御内蔵RAMへの書き込みを防ぎ、遊技情報の書き換えを保護している。
ステップS60に続いて、図21に示した、始動口ソレノイド96、大入賞口ソレノイド97、上特別図柄表示器142、下特別図柄表示器143、上特別図柄記憶表示器144、下特別図柄記憶表示器145、普通図柄表示器146、普通図柄記憶表示器147、遊技状態表示器148、ラウンド表示器149等に出力している駆動信号を停止する(ステップS62)。
ステップS62に続いて、チェックサムの算出を行ってこの算出した値を記憶する(ステップS64)。このチェックサムは、上述したチェックサムの値(サム値)及びバックアップフラグBK−FLGの値の記憶領域を除く、主制御内蔵RAMの作業領域の遊技情報を数値とみなしてその合計を算出する。
ステップS64に続いて、バックアップフラグBK−FLGに値1をセットする(ステップS66)。これにより、バックアップ情報の記憶が完了する。
ステップS66に続いて、ウォッチドックタイマのクリア設定を行う(ステップS68)。このクリア設定は、上述したように、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値A、値Bそして値Cを順にセットすることにより行われる。
ステップS68に続いて、何も実行しない状態を繰り返すというループ処理に入る。なお、ステップS60〜ステップS68の処理及びループ処理を「主制御側電源断時処理」という。このループ処理では、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値A、値Bそして値Cを順にセットしないためウォッチドックタイマがクリア設定されなくなる。このため、ウォッチドックタイマがタイムアウトしてタイムアウト信号を出力し、タイムアウト信号によって主制御MPUにリセットがかかり、その後主制御MPUは、この主制御側電源投入時処理を再び最初から行う。
パチンコ機1(主制御MPU101)は、停電したとき又は瞬停したときにはリセットがかかり、その後の電力の復旧により主制御側電源投入時処理を行う。
なお、ステップS36では主制御内蔵RAMに記憶されているバックアップ情報が正常なものであるか否かを検査し、続いてステップS38では主制御側電源断時処理が正常に終了された否かを検査している。このように、主制御内蔵RAMに記憶されているバックアップ情報を2重にチェックすることによりバックアップ情報が不正行為により記憶されたものであるか否かを検査している。
[主制御側タイマ割り込み処理]
次に、主制御側タイマ割り込み処理について説明する。この主制御側タイマ割り込み処理は、図24及び図25に示した主制御側電源投入時処理において設定された割り込み周期(本実施形態では、4ms)ごとに繰り返し行われる。
主制御側タイマ割り込み処理が開始されると、主制御基板100の主制御MPUは、図26に示すように、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Bをセットする(ステップS70)。このとき、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLには、主制御側メインループ処理のステップS54においてセットされた値Aに続いて値Bがセットされる。
ステップS70に続いて、割り込みフラグのクリアを行う(ステップS72)。この割り込みフラグがクリアされることにより割り込み周期が初期化され、次の割り込み周期がその初期値から計時される。
ステップS72に続いて、スイッチ入力処理を行う(ステップS74)。このスイッチ入力処理では、主制御I/Oポート102の入力端子に入力されている各種信号を読み取り、入力情報として主制御内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶する。
ステップS74に続いて、タイマ減算処理を行う(ステップS76)。このタイマ減算処理では、例えば、後述する特別図柄及び特別電動役物制御処理で決定される変動表示パターンに従って上特別図柄表示器142及び下特別図柄表示器143が点灯する時間、後述する普通図柄及び普通電動役物制御処理で決定される普通図柄変動表示パターンに従って普通図柄表示器146が点灯する時間のほかに、主制御基板100(主制御MPU)が送信した各種コマンドを球情報制御基板110が正常に受信した旨を伝える球情報主ACK信号が入力されているか否かを判定する際にその判定条件として設定されているACK信号入力判定時間等の時間管理を行う。具体的には、変動表示パターン又は普通図柄変動表示パターンの変動時間が5秒間であるときには、タイマ割り込み周期が4msに設定されているので、このタイマ減算処理を行うごとに変動時間を4msずつ減算し、その減算結果が値0になることで変動表示パターン又は普通図柄変動表示パターンの変動時間を正確に計っている。
本実施形態では、ACK信号入力判定時間が100msに設定されている。このタイマ減算処理を行うごとにACK信号入力判定時間が4msずつ減算し、その減算結果が値0になることでACK信号入力判定時間を正確に計っている。なお、これらの各種時間及びACK信号入力判定時間は、時間管理情報として主制御内蔵RAMの時間管理情報記憶領域に記憶される。
ステップS76に続いて、当落乱数更新処理を行う(ステップS78)。この当落乱数更新処理では、上述した、大当り判定用乱数、大当り図柄用乱数、及び小当り図柄用乱数を更新する。またこれらの乱数に加えて、図17に示した主制御側電源投入時処理(主制御側メイン処理)におけるステップS58の非当落乱数更新処理で更新される、大当り図柄用初期値決定用乱数、及び小当り図柄用初期値決定用乱数も更新する。これらの大当り図柄用初期値決定用乱数、及び小当り図柄用初期値決定用乱数は、主制御側メイン処理及びこの主制御側タイマ割り込み処理においてそれぞれ更新されることでランダム性をより高めている。これに対して、大当り判定用乱数、大当り図柄用乱数、及び小当り図柄用乱数は、当落判定(大当り判定)にかかわる乱数であるためこの当落乱数更新処理が行われるごとにのみ、それぞれのカウンタがカウントアップする。例えば、大当り判定用乱数を更新するカウンタは、上述したように、初期値更新型のカウンタであり、最小値から最大値までに亘る予め定めた固定数値範囲(本実施形態では、最小値として値0〜最大値として値32767)内において更新され、この最小値から最大値までに亘る範囲を、この主制御側タイマ割り込み処理が行われるごとに値1ずつ加算されることでカウントアップする。大当り判定用初期値決定用乱数から最大値(値32767)に向かってカウントアップし、続いて最小値(値0)から大当り判定用初期値決定用乱数に向かってカウントアップする。大当り判定用乱数の最小値から最大値までに亘る範囲を、大当り判定用乱数を更新するカウンタがカウントアップし終えると、この当落乱数更新処理により大当り判定用初期値決定用乱数は更新される。このとき、その更新される値は、主制御MPUがその内蔵する不揮発性のRAMからIDコードを取り出し、この取り出したIDコードに基づいて大当り判定用乱数を更新するカウンタの固定数値範囲から常に同一の固定値を導出する初期値導出処理を実行し、この導出した固定値が初期値としてセットされる仕組みとなっている。つまり、大当り判定用初期値決定用乱数は、初期値導出処理の実行によりIDコードに基づいて導出された同一の固定値が初期値として常に上書き更新されるようになっている。なお、上述した、普通図柄当り判定用乱数、普通図柄当り判定用初期値決定用乱数もこの当落乱数更新処理により更新される。普通図柄当り判定用乱数等は、上述した大当り判定用乱数の更新方法と同一であり、その説明を省略する。
ステップS78に続いて、賞球制御処理を行う(ステップS80)。この賞球制御処理では、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいて球情報制御基板110に送信するための賞球コマンドを作成したり、主制御基板100と球情報制御基板110との基板間の接続状態を確認するためのセルフチェックコマンドを作成したりする。そして作成した賞球コマンドやセルフチェックコマンドを主球情報シリアルデータとして球情報制御基板110に送信する。例えば、大入賞口に遊技球が1球、入球すると、賞球数として15球を表す賞球コマンドを作成して球情報制御基板110に送信したり、この賞球コマンドを球情報制御基板110が正常に受信完了した旨を伝える球情報主ACK信号が所定時間内に入力されないときには主制御基板100と球情報制御基板110との基板間の接続状態を確認するセルフチェックコマンドを作成して球情報制御基板110に送信したりする。
ステップS80に続いて、枠コマンド受信処理を行う(ステップS82)。球情報制御基板110は、状態表示に区分される1バイト(8ビット)の各種コマンドを送信する。ステップS82の枠コマンド受信処理では、この各種コマンドを球情報主シリアルデータとして正常に受信すると、その旨を球情報制御基板110に伝える情報を、出力情報として主制御内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶する。また、その正常に球情報主シリアルデータとして受信したコマンドを2バイト(16ビット)のコマンドに整形し、送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶する。
ステップS82に続いて、不正行為検出処理を行う(ステップS84)。この不正行為検出処理では、賞球に関する異常状態を確認する。例えば、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出し、大当り遊技状態でない場合にカウントスイッチ98からの検出信号が入力されているとき(大入賞口に遊技球が入球するとき)等には、異常状態として報知表示に区分される入賞異常表示コマンドを作成し、送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶する。
ステップS84に続いて、特別図柄及び特別電動役物制御処理を行う(ステップS86)。この特別図柄及び特別電動役物制御処理では、上述した大当り判定用乱数を更新するカウンタの値を取り出して主制御内蔵ROMに予め記憶されている大当り判定値と一致するか否かを判定(大当り遊技状態を発生させるか否かを判定(「特別抽選」という。))したり、大当り図柄用乱数を更新するカウンタの値を取り出して主制御内蔵ROMに予め記憶されている確変当り判定値と一致するか否かを判定(確率変動を発生させるか否かの判定)したりする。ここで、「確率変動」とは、大当りする確率が通常時(低確率)にくらべて高く設定された高確率(確変時)に変化することである。本実施形態では、上述した大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)として、低確率では値32668〜値32767が設定されており、通常時判定テーブルから読み出されるのに対して、高確率では値32438〜値32767が設定されており、確変時判定テーブルから読み出される。このように、ステップS86の特別図柄及び特別電動役物制御処理では、大当り判定用乱数を更新するカウンタの値と、主制御内蔵ROMに予め記憶されている大当り判定値と、が一致するか否かを判定するときには、大当り判定用乱数を更新するカウンタの値が大当り判定範囲に含まれているか否かにより行う。
これらの判定結果が上始動口検出スイッチ90によるものである場合には特図1同調演出関連の各種コマンドを作成する一方、その抽選結果が下始動口検出スイッチ91によるものである場合には特図2同調演出関連の各種コマンドを作成し、送信情報として送信情報記憶領域に記憶するとともに、その決定した特別図柄の変動表示パターンに従って上特別図柄表示器142又は下特別図柄表示器143を点灯させるよう上特別図柄表示器142又は下特別図柄表示器143への点灯信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。
また、発生させる遊技状態に応じて、例えば大当り遊技状態となるときには、大当り関連に区分される各種コマンドを作成し、送信情報として送信情報記憶領域に記憶したり、開閉部材を開閉動作させるよう大入賞口ソレノイド97への駆動信号の出力を設定し、出力情報として出力情報記憶領域に記憶したり、大入賞口が閉鎖状態から開放状態となる回数(ラウンド)が2回であるときには、ラウンド表示器149の2ラウンド表示ランプを点灯させるよう2ラウンド表示ランプへの点灯信号の出力を設定し、出力情報として出力情報記憶領域に記憶したり、ラウンドが15回であるときには、ラウンド表示器149の15ラウンド表示ランプを点灯させるよう15ラウンド表示ランプへの点灯信号の出力を設定し、出力情報として出力情報記憶領域に記憶したり、確率変動の発生の有無を所定の色で点灯させるよう遊技状態表示器148への点灯信号の出力を設定し、出力情報として出力情報記憶領域に記憶したりする。
ステップS86に続いて、普通図柄及び普通電動役物制御処理を行う(ステップS88)。この普通図柄及び普通電動役物制御処理では、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいてゲート入賞処理を行う。このゲート入賞処理では、入力情報からゲートスイッチ92からの検出信号が入力端子に入力されていたか否かを判定する。この判定結果に基づいて、検出信号が入力端子に入力されていたときには、上述した普通図柄当り判定用乱数を更新するカウンタの値等を抽出してゲート情報として主制御内蔵RAMのゲート情報記憶領域に記憶する。
ステップS88に続いて、ポート出力処理を行う(ステップS90)。このポート出力処理では、主制御I/Oポート102の出力端子から、上述した出力情報記憶領域から出力情報を読み出してこの出力情報に基づいて各種信号を出力する。例えば、出力情報に基づいて主制御I/Oポート102の出力端子から、球情報制御基板110からの各種コマンドを正常に受信完了したときには主球情報ACK信号を球情報制御基板110に出力したり、大当り遊技状態であるときには大入賞口の開閉部材の開閉動作を行う大入賞口ソレノイド97に駆動信号を出力したり、可動片の開閉動作を行う始動口ソレノイド96に駆動信号を出力したりするほかに、15ラウンド大当り情報出力信号、2ラウンド大当り情報出力信号、確率変動中情報出力信号、特別図柄表示情報出力信号、普通図柄表示情報出力信号、時短中情報出力情報、始動口入賞情報出力信号等の遊技に関する各種情報(遊技情報)信号を球情報制御基板110に出力したりする。
ステップS90に続いて、周辺制御基板コマンド送信処理を行う(ステップS92)。この周辺制御基板コマンド送信処理では、上述した送信情報記憶領域から送信情報を読み出してこの送信情報を主周シリアルデータとして周辺制御基板130に送信する。この送信情報には、本ルーチンである主制御側タイマ割り込み処理で作成した、特図1同調演出関連に区分される各種コマンド、特図2同調演出関連に区分される各種コマンド、大当り関連に区分される各種コマンド、電源投入に区分される各種コマンド、普図同調演出関連に区分される各種コマンド、普通電役演出関連に区分される各種コマンド、報知表示に区分される各種コマンド、状態表示に区分される各種コマンド、テスト関連に区分される各種コマンド及びその他に区分される各種コマンドが記憶されている。主周シリアルデータは、1パケットが3バイトに構成されている。
具体的には、主周シリアルデータは、1バイト(8ビット)の記憶容量を有するコマンドの種類を示すステータスと、1バイト(8ビット)の記憶容量を有する演出のバリエーションを示すモードと、ステータス及びモードを数値とみなしてその合計を算出したサム値と、から構成されており、このサム値は、送信時に作成されている。なお、ステップS74〜ステップS92の処理を「遊技制御処理」ということにする。
ステップS92に続いて、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Cをセットする(ステップS94)。ステップS94でウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Cがセットされることにより、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLには、ステップS70においてセットされた値Bに続いて値Cがセットされる。これにより、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLには、値A、値Bそして値Cが順にセットされ、ウォッチドックタイマがクリア設定される。
ステップS94に続いて、レジスタの切替(復帰)を行い(ステップS96)、このルーチンを終了する。ここで、本ルーチンである主制御側タイマ割り込み処理が開始されると、主制御MPUは、ハード的に汎用レジスタの内容をスタックに積んで退避する。これにより、主制御側メイン処理で使用していた汎用レジスタの内容の破壊を防いでいる。ステップS96では、スタックに積んで退避した内容を読み出し、もとのレジスタに書き込む。なお、主制御MPUは、ステップS96による復帰の後に割り込み許可の設定を行う。
[球情報制御基板の各種制御処理]
次に、図22に示した球情報制御基板110が行う各種制御処理について、図27〜図31を参照して説明する。図27は球情報制御基板110の球情報制御MPU111が実行する球情報制御側電源投入時処理を示すフローチャートであり、図28は図27の球情報制御側電源投入時処理のつづきを示すフローチャートであり、図29は図28に続いて球情報制御側電源投入時処理のつづきを示すフローチャートであり、図30は球情報制御基板110の球情報制御MPU111が実行する球情報制御電源断時処理を示すフローチャートであり、図31は球情報制御側タイマ割り込み処理の一例を示すフローチャートである。
[球情報制御側電源投入時処理]
パチンコ遊技機1に電源が投入されると、球情報制御基板110における球情報制御部118の球情報制御MPU111(以下、単に球情報制御MPUという)は、図27〜図28に示すように、球情報制御側電源投入時処理を行う。この球情報制御側電源投入時処理が開始されると、球情報制御MPUは、割り込みモードの設定を行う(ステップS500)。この割り込みモードは、球情報制御MPUの割り込みの優先順位を設定するものである。本実施形態では、後述する球情報制御部タイマ割り込み処理が優先順位として最も高く設定されており、この球情報制御部タイマ割り込み処理の割り込みが発生すると、優先的にその処理を行う。
ステップS500に続いて、入出力設定(I/Oの入出力設定)を行う(ステップS502)。このI/Oの入出力設定では、球情報制御MPUのI/Oポートの入出設定等を行う。
ステップS502に続いて、図22に示した停電監視回路117に停電クリア信号の出力を開始する(ステップS504)。この停電監視回路117は、電圧比較回路と、DタイプフリップフロップICと、から構成されている。電圧比較回路は、+24Vとリファレンス電圧との電圧を比較したり、+12Vとリファレンス電圧との電圧を比較したりすることで、その比較結果を出力する。この比較結果は、停電又は瞬停が発生していない場合ではその論理がHIとなってDタイプフリップフロップのプリセット端子であるPR端子に入力される一方、停電又は瞬停が発生した場合ではその論理がLOWとなってDタイプフリップフロップのプリセット端子であるPR端子に入力されるようになっている。ステップS504では、このDタイプフリップフロップのクリア端子であるCLR端子に停電クリア信号の出力を開始する。この停電クリア信号は、球情報制御部118の球情報制御I/Oポート112を介して、その論理がLOWとなってクリア端子に入力される。これにより、球情報制御MPUは、Dタイプフリップフロップのラッチ状態を解除することができ、ラッチ状態をセットするまでの間、Dタイプフリップフロップのプリセット端子であるPR端子に入力された論理を反転して出力端子である1Q端子から出力する状態とすることができ、その1Q端子からの信号を監視することができる。
ステップS504に続いて、ウェイトタイマ処理1を行い(ステップS506)、停電予告信号が入力されているか否かを判定する(ステップS508)。電源投入時から所定電圧となるまでの間では電圧がすぐに上がらない。一方、停電又は瞬停(突発的に電力の供給が一時停止する現象)となるときでは電圧が下がり、停電予告電圧より小さくなると、停電監視回路117から停電予告として停電予告信号が入力される。電源投入時から所定電圧に上がるまでの間では同様に電圧が停電予告電圧より小さくなると停電監視回路117から停電予告信号が入力される。そこで、ステップS506のウェイトタイマ処理1は、電源投入後、電圧が停電予告電圧より大きくなって安定するまで待つための処理であり、本実施形態では、待ち時間(ウェイトタイマ)として200ミリ秒(ms)が設定されている。ステップS508の判定でその停電予告信号が入力されているか否かの判定を行っている。この判定では、停電予告信号として、上述したDタイプフリップフロップの出力端子である1Q端子から出力されている信号に基づいて行う。
ステップS508に続いて、Dタイプフリップフロップのクリア端子であるCLR端子に停電クリア信号の出力を停止する(ステップS510)。この停電クリア信号の出力を停止することで、球情報制御I/Oポート112を介して、その論理がHIとなってクリア端子であるCLR端子に入力される。これにより、球情報制御MPUは、Dタイプフリップフロップをラッチ状態にセットすることができる。Dタイプフリップフロップは、そのプリセット端子であるPR端子に論理がLOWとなって入力された状態をラッチすると、出力端子である1Q端子から停電予告信号を出力する。
ステップS510に続いて、RAMクリアスイッチ105が操作されているか否かを判定する(ステップS512)。この判定は、主制御基板100のRAMクリアスイッチ105が操作され、その操作信号(検出信号)が球情報制御MPUに入力されているか否かにより行う。検出信号が入力されているときにはRAMクリアスイッチ105が操作されていると判定し、一方、検出信号が入力されていないときにはRAMクリアスイッチ105が操作されていないと判定する。
ステップS512でRAMクリアスイッチ105が操作されていると判定した場合には、球情報RAMクリアフラグに値1をセットし(ステップS514)、ステップS518に進む一方、ステップS512でRAMクリアスイッチ105が操作されていないと判定した場合には、球情報RAMクリアに値0をセットし(ステップS516)、ステップS518に進む。
この球情報RAMクリアフラグは、球情報制御MPUに内蔵されたRAM(以下、「球情報制御内蔵RAM」と記載する。)に記憶されている、例えば、各種フラグ、各種情報記憶領域に記憶されている各種球情報を消去するか否かを示すフラグであり、球情報を消去するとき値1、球情報を消去しないとき値0にそれぞれ設定される。なお、ステップS514及びステップS516でセットされた球情報RAMクリアフラグは、球情報制御MPUの汎用記憶素子(汎用レジスタ)に記憶される。
ステップS514又はステップS516に続いて、球情報制御内蔵RAMへのアクセスを許可する設定を行う(ステップS518)。この設定により球情報制御内蔵RAMへのアクセスができ、例えば球情報の書き込み(記憶)又は読み出しを行うことができる。
ステップS518に続いて、スタックポインタの設定を行う(ステップS520)。スタックポインタは、例えば、使用中の記憶素子(レジスタ)の内容を一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したり、サブルーチンを終了して本ルーチンに復帰するときの本ルーチンの復帰アドレスを一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したりするものであり、スタックが積まれるごとにスタックポインタが進む。ステップS520では、スタックポインタに初期アドレスをセットし、この初期アドレスから、レジスタの内容、復帰アドレス等をスタックに積んで行く。そして最後に積まれたスタックから最初に積まれたスタックまで、順に読み出すことによりスタックポインタが初期アドレスに戻る。
ステップS520に続いて、球情報制御MPUは、ステップS527に進む。ステップS527では、球情報RAMクリアフラグが値0である否かを判定する(ステップS527)。上述したように、球情報RAMクリアフラグは、球情報を消去するとき値1、球情報を消去しないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS527で球情報RAMクリアフラグが値0であるとき、つまり球情報を消去しないときには、チェックサムの算出を行う(ステップS528)。このチェックサムは、球情報制御内蔵RAMに記憶されている球情報を数値とみなしてその合計を算出するものである。
ステップS528に続いて、算出したチェックサムの値が後述する球情報制御部電源断時処理(電源断時)において記憶されているチェックサムの値と一致しているか否かを判定する(ステップS530)。一致しているときには、球情報バックアップフラグが値1であるか否かを判定する(ステップS532)。この球情報バックアップフラグは、球情報、チェックサムの値等の球情報バックアップ情報を後述する球情報制御部電源断時処理において球情報制御内蔵RAMに記憶保持したか否かを示すフラグであり、球情報制御部電源断時処理を正常に終了したとき値1、球情報制御部電源断時処理を正常に終了していないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS532で球情報バックアップフラグが値1であるとき、つまり球情報制御部電源断時処理を正常に終了したときには、復電時として球情報制御内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS534)。この設定は、球情報バックアップフラグに値0をセットするほかに、球情報制御MPUに内蔵されたROM(以下、「球情報制御内蔵ROM」と記載する。)から復電時情報を読み出し、この復電時情報を球情報制御内蔵RAMの作業領域にセットする。これにより、球情報制御内蔵RAMに記憶されている上述した球情報バックアップ情報である、各種フラグ、各種情報記憶領域に記憶されている各種情報等に基づいて各種処理に使用する情報が設定される。なお、「復電」とは、電源を遮断した状態から電源を投入した状態のほかに、停電又は瞬停からその後の電力の復旧した状態も含める。
一方、ステップS527で球情報RAMクリアフラグが値0でない(値1である)と判定した場合、又はステップS530でチェックサムの値が一致していないときには、又はステップS532で球情報バックアップフラグが値1でない(値0である)と判定したとき、つまり球情報制御部電源断時処理を正常に終了していないときには、球情報制御内蔵RAMの全領域をクリアする(ステップS536)。これにより、球情報制御内蔵RAMに記憶されている球情報バックアップ情報がクリアされる。
ステップS536に続いて、初期設定として球情報制御内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS538)。この設定は、球情報制御内蔵ROMから初期情報を読み出してこの初期情報を球情報制御内蔵RAMの作業領域にセットする。
ステップS534又はステップS538に続いて、割り込み初期設定を行う(ステップS540)。この設定は、後述する球情報制御部タイマ割り込み処理が行われるときの割り込み周期を設定するものである。本実施形態では、2msに設定されている。
ステップS540に続いて、割り込み許可設定を行う(ステップS542)。この設定によりステップS540で設定した割り込み周期、つまり2msごとに球情報制御部タイマ割り込み処理が繰り返し行われる。
ステップS542に続いて、停電予告信号が入力されているか否かを判定する(ステップS544)。上述したように、パチンコ遊技機1の電源を遮断したり、停電又は瞬停したりするときには、電圧が停電予告電圧以下となると、停電予告として停電予告信号が停電監視回路117から入力される。ステップS540の判定は、この停電予告信号に基づいて行う。
ステップS544で停電予告信号の入力がないときには2ms経過フラグHT−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS546)。この2ms経過フラグHT−FLGは、後述する、2msごとに処理される球情報制御部タイマ割り込み処理で2msを計時するフラグであり、2ms経過したとき値1、2ms経過していないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS546で2ms経過フラグHT−FLGが値0であると判定した場合には、つまり2ms経過していないときには、ステップS544に戻り、停電予告信号が入力されているか否かを判定する。
一方、ステップS546で2ms経過フラグHT−FLGが値1であると判定した場合には、つまり2ms経過したときには、2ms経過フラグHT−FLGに値0をセットし(ステップS547)、ステップS550に進み、外部ウォッチドックタイマ(外部WDT)116に外部WDTクリア信号を出力する(ONする、ステップS550)。この外部WDT116は、球情報制御MPUの動作(システム)を監視するものであり、外部WDTクリア信号がクリア信号解除時間に停止されないときには球情報制御MPU及び球情報制御I/Oポート112にリセット信号を出力してリセットをかける(球情報制御MPUのシステムが暴走していないかを定期的に診断している)。
ステップS550に続いて、ポート出力処理を行う(ステップS552)。このポート出力処理では、球情報制御内蔵RAMの出力情報記憶領域から各種情報を読み出してこの各種情報に基づいて各種信号を球情報制御I/Oポート112の出力端子から出力する。
出力情報記憶領域には、例えば、主制御基板100からの賞球に関する各種コマンド(賞球コマンドやセルフチェックコマンド)を正常に受信した旨を伝える球情報主ACK情報、球揚送装置22への駆動制御を行う駆動情報等の各種情報が記憶されており、この出力情報に基づいて球情報制御I/Oポート112の出力端子から、主制御基板100からの賞球コマンドを正常に受信したときには球情報主ACK信号を主制御基板100に出力したり、発射ソレノイド13に駆動信号を出力したりする。
ステップS552に続いて、ポート入力処理を行う(ステップS554)。このポート入力処理では、球情報制御I/Oポート112の入力端子に入力されている各種信号を読み取り、入力情報として球情報制御内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶する。例えば、扉枠開放スイッチ131、本体枠開放スイッチ132、発射待機球検出スイッチ26、27、70、発射球確認スイッチ36、回収球検出スイッチ203、発射停止スイッチ86、タッチスイッチ87、精算機4からのBRQ信号、BRDY信号及びCR接続信号、後述するコマンド送信処理で送信した各種コマンドを主制御基板100が正常に受信した旨を伝える主制御基板100からの主球情報ACK信号等、をそれぞれ読み取り、入力情報として入力情報記憶領域に記憶する。
ステップS554に続いて、タイマ更新処理を行う(ステップS556)。なお、各種判定時間は、時間管理情報として球情報制御内蔵RAMの時間管理情報記憶領域に記憶される。タイマ更新処理では、各種タイマのタイマ値がセットされているか否かを判定し、タイマ値がセットされている場合にはタイマ値を1減算する。例えば、タイマに2秒(2000ms)に相当する値として「1000」がセットされた場合、タイマ割り込み周期が2msに設定されているので、2ms周期でタイマ減算処理を行うごとにタイマ値が1ずつ減算され、その減算結果が値0になることでタイムアップとなり、時間を正確に計っている。
ステップS556に続いて、精算機通信処理を行う(ステップS558)。精算機通信処理では、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいて、精算機4からの各種信号(BRQ信号、BRDY信号及びCR接続信号)が入力されているか否かを判定する。精算機4からの各種信号に基づいて、球情報制御MPUは、精算機4と各種信号のやり取りを行う。球情報制御MPUは、例えば、精算機4から送信された貸球数を受けると遊技機持球数データに貸球数に加算する。
ステップS558に続いて、コマンド受信処理を行う(ステップS560)。このコマンド受信処理では、主制御基板100からの賞球に関する各種コマンド(賞球コマンドやセルフチェックコマンド)を受信する。この各種コマンドを正常に受信したときには、その旨を伝える球情報主ACK情報を上述した出力情報記憶領域に記憶する。一方、各種コマンドを正常に受信できなかったときには、主制御基板100と球情報制御基板110との基板間の接続に異常が生じている(各種コマンド信号に異常が生じている)旨を伝える接続異常情報を上述した状態情報記憶領域に記憶する。
ステップS560に続いて、コマンド解析処理を行う(ステップS562)。このコマンド解析処理では、ステップS562で受信したコマンドの解析を行い、その解析したコマンドを受信コマンド情報として球情報制御内蔵RAMの受信コマンド情報記憶領域に記憶する。
ステップS562に続いて、主要動作設定処理を行う(ステップS564)。この主要動作設定処理では、球情報制御MPUは、発射ソレノイド13、球送りソレノイド31、球揚送装置22等の動作設定を行ったりする。また、球情報制御MPUは、発射球確認スイッチ36の球検出に基づく遊技球1個ずつの打ち込み検知に応じて、遊技機持球数記憶領域に記憶した遊技機持球数データから逐次「1」を減算する。さらに、受信コマンド情報記憶領域に賞球コマンドが記憶されている場合に、この賞球コマンドに対応する賞球数を遊技機持球数記憶領域に記憶した遊技機持球数データに加算する。
ステップS564に続いて、LED表示データ作成処理を行う(ステップS566)。このLED表示データ作成処理では、例えば、上述した遊技機持球数記憶領域に記憶した遊技機持球数データを読み出し、持球数をタッチパネル部14に表示するための表示データを作成してLED表示情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。
ステップS566に続いて、コマンド送信処理を行う(ステップS568)。このコマンド送信処理では、上述した状態情報記憶領域から各種情報を読み出し、この各種情報に基づいて状態表示に区分される各種コマンドを作成して主制御基板100に送信したりする。
ステップS568に続いて、外部ウォッチドックタイマ(外部WDT)116に外部WDTクリア信号の出力を停止する(OFFする、ステップS570)。これにより、外部WDT116をクリアし、球情報制御MPU及び球情報制御I/Oポート112にリセットがかからないようにする。また外部WDT116は、外部WDTクリア信号の出力が停止されると、クリア信号解除時間の計時を開始する。
ステップS570に続いて、再びステップS544に戻り、停電予告信号が入力されているか否かを判定し、この停電予告信号の入力がなければ、ステップS546で2ms経過フラグHT−FLGが値1であるか否かを判定し、この2ms経過フラグHT−FLGが値1であるとき、つまり2ms経過したときには、ステップS547で2ms経過フラグHT−FLGに値0をセットし、ステップS550で外部WDT4120cに外部WDTクリア信号を出力(ON)し、ステップS552でポート出力処理を行い、ステップS554でポート入力処理を行い、ステップS556でタイマ更新処理を行い、ステップS558で精算機通信処理を行い、ステップS560でコマンド受信処理を行い、ステップS562でコマンド解析処理を行い、ステップS564で主要動作設定処理を行い、ステップS566でLED表示データ作成処理を行い、ステップS568でコマンド送信処理を行い、ステップS570で外部WDT116に外部WDTクリア信号の出力を停止(OFF)し、ステップS544〜ステップS570を繰り返し行う。なお、このステップS544〜ステップS570の処理を「球情報制御メイン処理」という。
一方、ステップS544で停電予告信号の入力があったときには、割り込み禁止設定を行う(ステップS572)。この設定により後述する球情報制御部タイマ割り込み処理が行われなくなり、球情報制御内蔵RAMへの書き込みを防ぎ、上述した球情報の書き換えを保護している。
ステップS572に続いて、停電クリア信号を、球情報制御I/Oポート112を介して、停電監視回路117のDタイプフリップフロップのクリア端子であるCLR端子に出力する(ステップS574)。これにより、停電クリア信号が出力されることによりDタイプフリップフロップはラッチ状態を解除することができる。
ステップS574に続いて、発射ソレノイド13への駆動信号の出力を停止する(ステップS576)。これにより、遊技球の打ち出しを停止する。ステップS576に続いて、球送りソレノイド31への駆動信号の出力を停止する(ステップS578)。これにより、打球発射装置29側への遊技球の送り込みを停止する。
ステップS578に続いて、外部WDT116に外部WDTクリア信号を出力してその出力を停止する(ON/OFFする、ステップS580)。これにより、外部WDT116をクリアする。ステップS580に続いて、チェックサムの算出を行ってこの算出した値を記憶する(ステップS582)。このチェックサムは、ステップS528で算出したチェックサムの値及び球情報バックアップフラグHBK−FLGの値の記憶領域を除く、球情報制御内蔵RAMの作業領域の球情報を数値とみなしてその合計を算出する。ステップS582に続いて、球情報バックアップフラグに値1をセットする(ステップS584)。これにより、球情報バックアップ情報の記憶が完了する。ステップS584に続いて、球情報制御内蔵RAMへのアクセスの禁止設定を行う(ステップS586)。この設定により球情報制御内蔵RAMへのアクセスが禁止され書き込み及び読み出しができなくなり、球情報制御内蔵RAMに記憶されている球情報バックアップ情報が保護される。
ステップS586に続いて、何もしない状態を繰り返すというループ処理に入る。このループ処理では、外部WDT116にクリア信号をON/OFFしない。このため、外部WDT116は、球情報制御MPU及び球情報制御I/Oポート112にリセット信号を出力してリセットをかける。その後球情報制御MPUは、この球情報制御側電源投入時処理を再び最初から行う。なお、ステップS572〜ステップS586の処理及びループ処理を「球情報制御電源断時処理」という。
パチンコ機1(球情報制御MPU)は、停電したとき又は瞬停したときにはリセットがかかり、その後の電力の復旧により球情報制御側電源投入時処理を行う。
なお、ステップS530では球情報制御内蔵RAMに記憶されている球情報バックアップ情報が正常なものであるか否かを検査し、続いてステップS532では球情報制御部電源断時処理が正常に終了されたか否かを検査している。このように、球情報制御内蔵RAMに記憶されている球情報バックアップ情報を2重にチェックすることにより球情報バックアップ情報が不正行為により記憶されたものであるか否かを検査している。
[球情報制御側タイマ割り込み処理]
次に、球情報制御側タイマ割り込み処理について説明する。この球情報制御側タイマ割り込み処理は、図27〜図28に示した球情報制御側電源投入時処理において設定された割り込み周期(本実施形態では、2ms)ごとに繰り返し行われる。
球情報制御側タイマ割り込み処理が開始されると、球情報制御基板110における球情報制御部118の球情報制御MPUは、図22に示すように、タイマ割り込みを禁止に設定してレジスタの切替(退避)を行う(ステップS590)。ここでは、上述した球情報制御部メイン処理で使用していた汎用記憶素子(汎用レジスタ)から補助レジスタに切り替える。この補助レジスタを球情報制御側タイマ割り込み処理で使用することにより汎用レジスタの値が上書きされなくなる。これにより、球情報制御側メイン処理で使用していた汎用レジスタの内容の破壊を防いでいる。
ステップS590に続いて、2ms経過フラグHT−FLGに値1をセットする(ステップS592)。この2ms経過フラグHT−FLGは、この球情報制御部タイマ割り込み処理が行われるごとに、つまり2msごとに2msを計時するフラグであり、2ms経過したとき値1、2ms経過していないとき値0にそれぞれ設定される。ステップS592に続いて、レジスタの切替(復帰)を行う(ステップS594)。この復帰は、球情報制御側タイマ割り込み処理で使用していた補助レジスタから汎用記憶素子(汎用レジスタ)に切り替える。この汎用レジスタを球情報制御側メイン処理で使用することにより補助レジスタの値が上書きされなくなる。これにより、球情報制御部タイマ割り込み処理で使用していた補助レジスタの内容の破壊を防いでいる。ステップS594に続いて、割り込み許可の設定を行い(ステップS596)、このルーチンを終了する。
[球情報制御メイン処理において実行する各処理]
次に、球情報制御基板110の球情報制御MPUが図21の球情報制御メイン処理において2ms毎に実行する各処理について説明する。まず、貸球処理について説明し、続いて打球可不可判定処理、持球数カウント処理、球送り・発射駆動処理、発射球検出処理、持球数減算処理について説明する。なお、打球可不可判定処理、持球数カウント処理、球送り・発射駆動処理、発射球検出処理、持球数減算処理は、ステップS564の主要動作設定処理のうちの一処理として実行され、打球可不可判定処理、持球数カウント処理、球送り・発射駆動処理、発射球検出処理、持球数減算処理の順番で実行される。
遊技者により、カード403がカード挿入口に差し込まれると、精算機4においてカード403の挿入が検出され、カード処理機402を通じてカード403に記憶されているデータの読み取りが行われる。即ち、図15のカード403のID記憶部404に記憶されているID、残度数記憶部405に記憶されている残度数、持球数記憶部406に記憶されている持球数を読み取ってRAMの所定の記憶エリア(ID記憶エリア、残度数記憶エリア、持球数記憶エリア)に記憶する。
次に、精算機4は、差し込まれたカード403が使用可能であるか使用不可であるかを判定する。この実施形態では、読み取った残度数が0で、かつ読み取った持球数が0である場合に、カード403は使用不可であると判定し、カード403をカード挿入口から排出する。このため、カード403が使用不可であると判定された場合、以下に説明する持球数カウント処理、球送り・発射駆動処理、持球数減算処理の各処理は実行されない。
一方、読み取った残度数が0でない場合、または読み取った残度数が0であっても読み取った持球数が0でない場合は、精算機4は、カードは使用可能であると判定し、球情報制御基板110にカード使用可能情報を送信する。
遊技を行うために遊技者が球貸ボタンを押下操作すると、球貸ボタンの操作信号が精算機4に入力される。球貸ボタンの操作信号に応じて、精算機4は球貸処理を行い、例えば、規定の貸球数を球情報制御基板110の球情報制御MPUに送信し、この後、球情報制御MPUから送られてくる球貸終了を受信するまで待機する。
[貸球処理]
ここで、球情報制御MPUが実行する貸球処理について説明する。図32は球情報制御MPUが行う貸球処理のサブルーチンを示すフローチャートである。なお、貸球処理は、球情報制御メイン処理において2ms毎に実行されるステップS558の精算機通信処理のうちの一処理として実行される。
球情報制御MPUは、貸球処理を開始すると、精算機4から送信されるカード使用可能情報が受信されるか否かを判定する(ステップS600)。ステップS600にて、精算機4から送信されるカード使用可能情報が受信された場合には、ステップS601に進み、内蔵RAMに設定された記憶領域の一部である持球数カウンタ(遊技機持球数記憶領域)を0クリアし(ステップS601)、ステップS602に進む。一方、ステップS600にて、精算機4から送信されるカード使用可能情報が受信されなければ、直接ステップS602に移行する。なお、持球数カウンタの初期値は、ステップS534のRAM作業領域の復電時設定により、「0」とされている。
球情報制御MPUは、ステップS602に進むと、精算機4から送信される貸球数が受信されるか否かを判定する(ステップS602)。ステップS602にて、精算機4から送信される貸球数が受信された場合には、ステップS603に進み、受信された貸球数を持球数カウンタの値に加算し(ステップS603)、球貸終了を精算機4に送信し(ステップS604)、貸球処理のサブルーチンを抜ける。
一方、ステップS602にて、精算機4から送信される貸球数が受信されなければ、ステップS603及びステップS604には移行せず、直接貸球処理のサブルーチンを抜ける。
このように、精算機4に新規に使用可能なカード303が挿入されたときにのみ、球情報制御基板110に対してカード使用可能情報が送信されてくる。また、カード使用可能情報が受信された後に、精算機4に対して球貸ボタンの操作信号が入力された場合にのみ、球情報制御MPUに対して貸球数が送信されてくる。そして、貸球数が受信されたときに、初めて貸球数が持球数カウンタの値に加算記憶される。
[打球可不可判定処理]
次に、球情報制御MPUが実行する打球可不可判定処理について説明する。図33は球情報制御MPUが行う打球可不可判定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。なお、打球可不可判定処理は、球情報制御メイン処理において2ms毎に実行されるステップS564の主要動作設定処理のうちの一処理として実行される。
球情報制御MPUは、打球可不可判定処理を開始すると、持球数が0であるか否か、即ち、持球数カウンタの値が0であるか否かを判定する(ステップS710)。ステップS710にて、持球数カウンタの値が0ではないと判定された場合には、即ち、ステップS710をNOと判定した場合はステップS711に移行し、発射待機球検出スイッチ70(図19参照)がオンであるか否か、即ち、球送り装置28に待機球があるか否か、を判定する(ステップS711)。
ステップS711にて、発射待機球検出スイッチ70(図19参照)がオンであると判定された場合には、発射可能フラグに1(発射可)をセットし(ステップS712)、打球可不可判定処理のサブルーチンを抜ける。一方、ステップS710にて、持球数カウンタの値が0であると判定された場合と、ステップS711にて、発射待機球検出スイッチ70(図19参照)がオンでない(オフ)と判定された場合には、発射可能フラグに0(発射不可)をセットし(ステップS713)、打球可不可判定処理のサブルーチンを抜ける。
このように、持球数カウンタの値が0ではなく、球送り装置28に待機球がある場合に、発射ソレノイド13及び球送りソレノイド31が駆動可能であり、実質的に遊技球の遊技領域8への打ち込みが可能な遊技可能状態にある。また、持球数カウンタの値が0である場合、または球送り装置28に待機球がない場合には、発射ソレノイド13は駆動不可であって、実質的に遊技球の遊技領域8への打ち込みができない遊技不可能状態にある。同時に、球送りソレノイド31の駆動も不可にある。
[持球数カウント処理]
次に、遊技が実質的に可能になったものとして遊技中の球情報処理に相当する持球数カウント処理について説明する。図34は球情報制御MPUが行う持球数カウント処理のサブルーチンを示すフローチャートである。なお、持球数カウント処理は、球情報制御メイン処理において2ms毎に実行されるステップS564の主要動作設定処理のうちの一処理として実行される。
球情報制御MPUは、持球数カウント処理を開始すると、ステップS562のコマンド解析処理において解析された賞球コマンドがあるか否かを判定する(ステップS720)。すなわち、受信コマンド情報記憶領域に賞球コマンドの記憶があるか否かを判定する。賞球コマンドの記憶がある場合、ステップS720をありと判定し、受信コマンド情報記憶領域に記憶されている賞球コマンドに応じた賞球数を持球数カウンタの値に加算記憶し(ステップS722)、持球数カウント処理のサブルーチンを抜ける。一方、賞球コマンドの記憶がない場合、ステップS720をなしと判定し、持球数カウント処理のサブルーチンを抜ける。
例えば、賞球数「4」に設定されている入賞口に入賞が発生した場合には、持球数カウンタの値に賞球数「4」が加算記憶され、例えば、賞球数「15」に設定されている入賞口(大入賞口)に入賞が発生した場合には、持球数カウンタの値に賞球数「15」が加算記憶される。
[球送り・発射駆動処理]
次に、球送り・発射駆動処理について説明する。図35〜図36は球情報制御MPUが行う球送り・発射駆動処理のサブルーチンの一例を示すフローチャートである。なお、球送り・発射駆動処理は、球情報制御メイン処理において2ms毎に実行されるステップS564の主要動作設定処理のうちの一処理として実行される。
また、図39は、球送りソレノイド31と発射ソレノイド13との駆動タイミングを示すタイムチャートである。球送りソレノイド31をオンした時点から、期間Aだけ経過した時点で発射ソレノイド13をオンし、発射ソレノイド13をオンした時点から、期間Bだけ経過した時点で球送りソレノイド31をオフし、球送りソレノイド31をオフした時点から期間Cだけ経過した時点で発射ソレノイド13をオフする。
本実施形態では、期間Aを300ms、期間Bを30ms、期間Cを50msとしている。球送りソレノイド31をオンすると、球送り部材32により発射位置(レール部332)に発射球が送り込まれた状態となる。即ち、発射球確認スイッチ36により発射球が検出される。本実施形態では、予め定められた規定時間に亘って(期間Dとして30msとしている)、発射球確認スイッチ36によって発射位置に停留されている遊技球が検出された場合に、発射球ありと判定する。
このように、発射球確認スイッチ36によって発射位置に停留されている遊技球が予め定められた規定時間に亘って検出された場合に、発射球ありと判定するようにしているので、ノイズによる発射球の誤球カウントを排除することができ、発射球の検出における確実性を上げることができる。
そして、発射ソレノイド13がオンすると、発射用ハンマー30によって発射位置に停留されている遊技球が遊技領域8に打ち出され、発射球確認スイッチ36がオフとなる。これにより、持球数を−1する。
球情報制御MPUは、球送り・発射駆動処理を開始すると、まず、発射可能フラグが1(発射可)であるか否かを判定する(ステップS730)。先に説明した打球可不可判定処理において発射可と判定された場合に、発射可能フラグが1(発射可)にセットされる。ステップS730にて、発射可能フラグが1(発射可)でないと判定した場合、即ち、発射可能フラグが0(発射不可)である場合、球送り・発射駆動処理のサブルーチンを抜ける。この場合、実質的な球送り・発射駆動処理は実行されない。
一方、ステップS730にて、発射可能フラグが1(発射可)であると判定した場合、ステップS731に移行し、処理フラグが0であるか否かを判定する(ステップS731)。
ここで、処理フラグは、後述の球送り・発射駆動処理において、球情報制御MPUが各処理のいずれかに分岐するのかを識別するためのフラグであり、換言すると、球送り・発射駆動における制御状態を識別するためのフラグであり、「0」で初期設定を意味するものであり、「1」で球送りソレノイド31をオンした後、発射ソレノイド13をオンする迄の期間を規定するものであり、「2」で発射ソレノイド13をオンした後、球送りソレノイド31をオフする迄の期間を規定するものであり、「3」で球送りソレノイド31をオフした後、発射ソレノイド13をオフする迄の期間を規定するものである。
球送り・発射駆動処理を開始した時点では、処理フラグの値は0とされている。従って、ステップS731をYESと判定し、ステップS732に進んでタイマに期間A(図39参照、300ms)に相当するタイマ値をセットし(ステップS732)、球送りソレノイド31をオンし(ステップS733)、処理フラグに1をセットし(ステップS734)、球送り・発射駆動処理のサブルーチンを抜ける。なお、タイマにセットされたタイマ値は、図29のステップS556のタイマ更新処理にて、2ms周期でタイマ値が1ずつ減算される。
球送り・発射駆動処理の次の処理周期は、2ms後となる。処理フラグに1がセットされた結果、次周期の球送り・発射駆動処理では、ステップS730YESと判定し、ステップS731をNOと判定し、ステップS735に移行する。ステップS735では、処理フラグの値が1であるか否かを判定する(ステップS735)。この場合、処理フラグに1がセットされているため、ステップS735をYESと判定し、ステップS736に進んでタイマがタイムアップしたか否かを判定する(ステップS736)。タイマがタイムアップしていなければ、ステップS736をNOと判定し、球送り・発射駆動処理のサブルーチンを抜ける。
以下、期間Aをセットしたタイマがタイムアップする迄の間、処理フラグの値1に基づいて、ステップS730をYESと判定し、ステップS731をNOと判定し、ステップS735をYESと判定し、ステップS736をNOと判定する処理ルーチンを繰り返す。
そうして、タイマがタイムアップすると、ステップS736をYESと判定し、期間Aが経過したものとして、ステップS737に進んでタイマに期間B(図39参照、30ms)に相当するタイマ値をセットし(ステップS737)、発射ソレノイド13をオンし(ステップS738)、処理フラグに2をセットし(ステップS739)、球送り・発射駆動処理のサブルーチンを抜ける。
処理フラグに2がセットされた結果、次周期の球送り・発射駆動処理では、ステップS730をYESと判定し、ステップS731をNOと判定し、ステップS735をNOと判定し、ステップS740に移行する。ステップS740では、処理フラグの値が2であるか否かを判定する(ステップS740)。この場合、処理フラグに2がセットされているため、ステップS740をYESと判定し、ステップS741に進んでタイマがタイムアップしたか否かを判定する(ステップS741)。タイマがタイムアップしていなければ、ステップS741をNOと判定し、球送り・発射駆動処理のサブルーチンを抜ける。
以下、期間Bをセットしたタイマがタイムアップする迄の間、処理フラグの値2に基づいて、ステップS730をYESと判定し、ステップS731をNOと判定し、ステップS735をNOと判定し、ステップS740をYESと判定し、ステップS741をNOと判定する処理ルーチンを繰り返す。
そうして、タイマがタイムアップすると、ステップS741をYESと判定し、期間Bが経過したものとして、ステップS742に進んでタイマに期間C(図39参照、50ms)に相当するタイマ値をセットし(ステップS742)、球送りソレノイド31をオフし(ステップS743)、処理フラグに3をセットし(ステップS744)、球送り・発射駆動処理のサブルーチンを抜ける。
処理フラグに3がセットされた結果、次周期の球送り・発射駆動処理では、ステップS730をYESと判定し、ステップS731をNOと判定し、ステップS735をNOと判定し、ステップS740をNOと判定し、ステップS745に移行する。ステップS745では、タイマがタイムアップしたか否かを判定する(ステップS745)。タイマがタイムアップしていなければ、ステップS745をNOと判定し、球送り・発射駆動処理のサブルーチンを抜ける。
以下、期間Cをセットしたタイマがタイムアップする迄の間、処理フラグの値3に基づいて、ステップS730をYESと判定し、ステップS731をNOと判定し、ステップS735をNOと判定し、ステップS740をNOと判定し、ステップS745をNOと判定する処理ルーチンを繰り返す。
そうして、タイマがタイムアップすると、ステップS745をYESと判定し、期間Cが経過したものとして、ステップS746に進み、発射ソレノイド13をオフし(ステップS746)、処理フラグに0をセットして初期値に戻し(ステップS747)、球送り・発射駆動処理のサブルーチンを抜ける。
[発射球検出処理]
次に、発射球検出処理について説明する。図37は球情報制御MPUが行う発射球検出処理のサブルーチンを示すフローチャートである。なお、発射球検出処理は、球情報制御メイン処理において2ms毎に実行されるステップS564の主要動作設定処理のうちの一処理として実行される。
球情報制御MPUは、発射球検出処理を開始すると、まず、発射球確認スイッチ36がオンであるか否かを判定する(ステップS750)。先に述べたように、球送りソレノイド31をオンすると、球送り部材32により発射位置(レール部332)に発射球が送り込まれた状態となる。即ち、発射球確認スイッチ36により発射球が検出される。
発射球確認スイッチ36がオンであると判定した場合、オン状態となっている時間を計時するためのカウンタである計時カウンタの値を+1し(ステップS751)、ステップS753に進む。
一方、発射球確認スイッチ36がオンではないと判定した場合、即ち、発射球確認スイッチ36がオフである場合、計時カウンタに0をセットし(ステップS752)、ステップS753に進む。
ステップS753に進むと、計時カウンタの値が予め定められた規定時間D(本例では、30ms)に達しているか否かを判定する(ステップS753)。計時カウンタの値が予め定められた規定時間Dに達していなければ、ステップS753をNOと判定し、発射球検出処理のサブルーチンを抜ける。
発射球検出処理は2ms毎に実行されるため、発射球確認スイッチ36によって発射位置に停留されている遊技球が予め定められた規定時間Dに亘って検出され続けると、2ms毎に計時カウンタの値が1ずつアップしていき、計時カウンタの値が予め定められた規定時間D(本例では、30ms、カウント値15)に達する。この場合、ステップS753をYESと判定し、発射球が検出されたと見做し、発射球検出フラグに1(検出あり)をセットし(ステップS754)、発射球検出処理のサブルーチンを抜ける。
一方、発射球確認スイッチ36にノイズが入り込んだ場合には、発射球確認スイッチ36が瞬間的にオンするものの、その後、発射球確認スイッチ36がオフする。したがって、発射球確認スイッチ36がオフすることに応じて、計時カウンタの値が0にセットされるので、計時カウンタの値が予め定められた規定時間D(本例では、30ms、カウント値15)に達することはない。
このように、発射球確認スイッチ36によって発射位置に停留されている遊技球が予め定められた規定時間に亘って検出された場合に、発射球ありと判定するようにしているので、ノイズによる発射球の誤球カウントを排除することができ、発射球の検出における確実性を上げることができる。
[持球数減算処理]
次に、持球数減算処理について説明する。図38は球情報制御MPUが行う持球数減算処理のサブルーチンを示すフローチャートである。なお、持球数減算処理は、球情報制御メイン処理において2ms毎に実行されるステップS564の主要動作設定処理のうちの一処理として実行される。
球情報制御MPUは、持球数減算処理を開始すると、まず、発射球検出フラグが1(検出あり)であるか否かを判定する(ステップS760)。発射球検出フラグが1(検出あり)ではないと判定した場合は、即ち、ステップS760をNOと判定した場合は、持球数減算処理のサブルーチンを抜ける。この場合には、持球数の減算は行われない。
ステップS760にて、発射球検出フラグが1(検出あり)であると判定した場合、即ち、ステップS760をYESと判定した場合には、ステップS761に進み、発射球確認スイッチ36がオフであるか否かを判定する(ステップS761)。ステップS761において、発射球確認スイッチ36がオフではないと判定した場合、即ち、ステップS761をNOと判定した場合は、持球数減算処理のサブルーチンを抜ける。
先に述べたように、発射ソレノイド13がオンすると、発射用ハンマー30によって発射位置に停留されている遊技球が遊技領域8に打ち出され、発射球確認スイッチ36がオフとなる。これにより、持球数を−1する。ステップS761において、発射球確認スイッチ36がオフであると判定した場合、即ち、ステップS761をYESと判定した場合は、持球数カウンタの値を−1し(ステップS762)、発射球検出フラグに0(検出なし)をセットし(ステップS763)、持球数減算処理のサブルーチンを抜ける。
このように、予め定められた規定時間に亘って、発射球確認スイッチ36によって発射位置に停留されている遊技球が検出された場合に、発射球ありと判定し、発射球ありと判定したことを条件として、発射球確認スイッチ36によって遊技球が検出されない場合に、発射位置に停留されていた遊技球が発射されたと判定し、持球数を1つ減じるようにしたので、発射球確認スイッチ36にノイズが入り込んだ場合、ノイズによる発射球の誤球カウントを排除することができ、発射球の検出における確実性を上げることができる。
[異形球・磁性球排出ユニット]
図40は異形球・磁性球排出ユニットを説明する図である。図41は図40において磁性球排出部カバーを分離し裏返して説明する図である。図42は異形球・磁性球排出ユニットの平面図である。図43は異形球・磁性球排出ユニットの背面図である。図44は異形球・磁性球排出ユニットのベース板を説明する図である。図45は異形球・磁性球排出ユニットを異形球排出ユニットと磁性球排出ユニットとに分離して説明する図である。図46は異形球・磁性球排出ユニットにおいて異形球と磁性球とが排出される経路を説明する図である。図47は磁性球が循環経路から分離され排出される状況を説明する図である。図48は磁性球が磁性球排出傾斜面に到達した状態を説明する図である。
図40に示されるように、異形球・磁性球排出ユニット20は、異形球排出機能と磁性球排出機能を備えている。なお、異形球は正規の遊技球より直径の小さいベアリングなどの球状物体である。異形球・磁性球排出ユニット20は透明な樹脂成形品であり、遊技機本体の下部(異形球・磁性球排出ユニット収容部19)に配設され、前側を前面板(図示せず)、後側を後面板(球受樋ベース201)で覆われる構成を有する。上部には各種の入賞口(特別変動入賞装置、一般入賞口、普通変動入賞装置)に入賞することなく流下したアウト球および各種の入賞口に入賞し、セーフ球排出経路を流下したセーフ球としての遊技球を回収する回収口202が設けられている。アウト球はアウト口42(図3,図5を参照)を介して回収口202に流入する。セーフ球は入賞口41(図5参照)を介して回収口202に流入する。
回収口202に連通する異形球・磁性球排出ユニット20内の循環経路は、異形球・磁性球排出ユニット20内を左右に蛇行して上下に折り重なって形成され、該循環経路の途中に回収球検出スイッチ203、異形球排出部204、磁性球排出部205、球経路満タン検出スイッチ206、および、球適正量検出スイッチ207を備えている。回収口202に流入した遊技球は1列になって異形球・磁性球排出ユニット20内の循環経路を移動し、異形球・磁性球排出ユニット20に接続された球集合部21に至る。ただし、異形球および磁性球は球集合部21に移動しないように、異形球・磁性球排出ユニット20内の正規の遊技球の循環経路から分離され異形球・磁性球排出ユニット20外に排出される。
次に、回収口202に回収された遊技球の異形球・磁性球排出ユニット20内での移動を、順を追って説明する。回収口202に回収された遊技球の数は、回収球検出スイッチ203によって1個ずつ計数される。回収球検出スイッチ203を通過した遊技球は異形球排出部204に至る。回収球検出スイッチ203と発射球検出手段で検出される遊技球の数の差が増大した場合、遊技機に異常が発生したことを検知できる。
異形球排出部204は、球受樋ベース201に設けられた異形球排出部ベース装着部212に固定された、異形球排出部ベース208と該異形球排出部ベース208に固定された2本の異形球分離シャフト209,210から構成される。
図43,図44に示されるように、異形球排出部ベース装着部212は球受樋ベース201に設けられた長方形状の開口部である。異形球排出部ベース装着部212には、図40に示されるように、回収口202側の辺が高くなるように球受樋ベース201傾斜して設けられている。これによって、異形球分離シャフト209,210が傾斜して配置されるので、遊技球は上流側213(図42参照)から下流側214に向かって、遊技球が移動できる。
図45は異形球・磁性球排出ユニットを異形球排出ユニットと磁性球排出ユニットとに分離して説明する図である。図45(a)には異形球排出部204が図示されている。図45(b)には磁性球排出部205が図示されている。
異形球排出部204は、正規な遊技球と不正球との径の差を利用して、正規な遊技球より小さい径の不正球を異形球・磁性球排出ユニット20内の循環経路から排除する。図42に示されるように、異形球排出部204は、循環経路の上流側から下流側に向かって並設された2本の断面円形の異形球分離シャフト209,210を備えている。異形球つまり正規の遊技球より直径が小さい不性球を正規の遊技球が循環する循環経路から排除するために、2本の異形球分離シャフト209,210間の間隙距離が、上流側213では正規の遊技球の直径より狭く、下流側214では正規の遊技球の直径より広くなるように、つまり、両異形球分離シャフト209,210間の距離が徐々に長くなるように、異形球分離シャフト209,210が異形球排出部ベース208に固定されている。
回収口202、回収球検出スイッチ203を経由して異形球排出部204に1個ずつ流下してくる遊技球は、2本の異形球分離シャフト209,210に跨るようにして転動しながら流下する。上流側では正規の遊技球の直径より2本の異形球分離シャフト209,210の間隙距離は狭いので、正規の遊技球は異形球分離シャフト209,210の間から落下しない。
一方、正規の遊技球より直径の小さな異形球である不正球は、2本の異形球分離シャフト209,210の間から落下する。落下した異形球は、図45(a)に示されるように異形球排出経路215を経て異形球排出口216から異形球・磁性球排出ユニット20の外部に排出される。異形球排出経路215は、球受樋ベース201の前側であって異形球排出部ベース208の下側に取り付けられた異形球排出経路形成部材217によって形成される。なお、異形球排出経路形成部材217には、正規の遊技球と同じ直径を有する球を、磁性球排出部205に導く連絡路218も一体的に設けられている。
2本の異形球分離シャフト209,210を転動して流下する正規の大きさの遊技球は、下流側214で2本の異形球分離シャフト209,210の間から落下し、連絡路218を経て磁性球排出部205に形成される循環経路219に至る。
磁性球排出部205は、図40に示されるように球受樋ベース201に固定される。図45は球受樋ベース201から磁性球排出部205を取り外した状態を示している。磁性球排出部205には、連絡路218に接続した傾斜面220が形成されており、傾斜面220の下流側は急峻に下降する落下面221が接続され、傾斜面220を延長した箇所には、磁性球排出傾斜面222が形成されている。傾斜面220と磁性球排出傾斜面222とが連続しないように、不連続部分223の間隙が設けられている。磁性球排出部205において、側壁224または天井壁225の少なくとも一方には、その表面、その裏面、または内部の少なくともいずれかの箇所に磁石が取り付けられている。
図47は天井壁225の裏面の磁石収容空間230に磁石229を装着した例を示している。磁石収容空間230は天井壁225の裏面側に沿って配置された断面が長方形状の空間として形成されている。磁石229は平板状の磁石であって、一側面がN極またはS極、他側面がS極またはN極を有する永久磁石である。磁石の磁力は、磁性体からなる遊技球(磁性球232)が吸着されて転動が阻害されるほど強力なものではなく、傾斜面220の領域を流下し、不連続部分223から落下することなく、磁性球排出傾斜面222に到達できる程度であればよい。なお、取り付けられる磁石は永久磁石であってもよいし電磁石であってもよい。
連絡路218から流れてきた正規の遊技球233は傾斜面220を転動して下り、傾斜面220から落下面221を転動しつつ流下する。非磁性の正規の遊技球233は不連続部分223を落下し循環経路219を経て、異形球・磁性球排出ユニット20に接続された球集合部21に至る。
一方、磁性体からなる不正球(磁性球232)は、磁石収容空間230に収容された磁石229の引力によって天井壁225の内壁面に張り付いた状態で、循環経路219を傾斜面220の上流側から下流側に重力の作用により転動しながら流下する。そして、図47に示されるように、磁性球232は、不連続部分223から落下することなく、図48に示されるように磁性球排出傾斜面222の領域に到達する。磁性球排出傾斜面222の領域に到達した磁性体からなる不正球は、磁性球排出経路226を経て磁性球排出口227、異形球・磁性球排出ユニット20の外部に排出される(図46参照)。
磁性球排出傾斜面222の上側の天井壁225の部分は磁力調整部231として構成されている。磁力調整部231は磁性球排出経路226の下流に向かうに従って、磁石収容空間230と磁性球排出経路226の間の間隔が離れるように形成されている。図47では、磁性球排出経路226が曲線部分を有しており、この曲線部分が磁力調整部231として機能する。これによって、磁性球232と磁石229の間隔距離が磁性球排出経路226の下流に向かうに従って長くなる。そうすると、磁性球232に作用する磁石229の磁力(引力)が徐々に小さくなる。このため、天井壁225の壁面に張り付いて下流方向へ移動していた磁性球232は天井壁225の壁面から離れ、磁性球排出傾斜面222に落下する。そして、磁性球排出経路226を介して磁性球排出口227から排出される。
異形球と磁性体の不正球はそれぞれ異形球排出口216、磁性球排出口227から異形球・磁性球排出ユニット20の外部に排出される(図46)。異形球・磁性球排出ユニット20から排出された異形球または磁性球は、排出球受箱234に回収される(図2,図3,図5参照)。このように、異形球・磁性球排出ユニット20を使って、異形球と磁性体からなる不正球を、正規の遊技球の循環経路219から排除することができる。本実施形態では、異形球および磁性球の異形球・磁性球排出ユニット20の外部への排出に重力を利用することで構成を簡略化できる。異形球排出経路215は、磁性球排出部205の側面に沿って配置されており、異形球・磁性球排出ユニット20をコンパクトに構成できる。
なお、遊技機を使って遊技中、あるいは、遊技機の電源をオフしたときにおいて、循環経路219内に正規の遊技球が不連続部分223にまで到達するような滞留状態が発生しないように、遊技機は構成されている。仮に、不連続部分223まで到達した場合は、循環する遊技球の数が過大であるので、不連続部分223が遊技球で埋まり、その後に流下してくる遊技球が磁性球排出経路226を流下しても、問題ない。
異形球・磁性球排出ユニット20は、異形球あるいは磁性体からなる不正球を、遊技を停止することなく、正規の遊技球の循環経路219から排除することができ、遊技者の興趣の低下を防止でき、一方、遊技ホールの従業員が不正球の処理のために各遊技機に呼ばれ、遊技機の不具合に対処する機会を低減することができる。なお、異形球排出部204と磁性球排出部205とをそれぞれ単独の構成としてもよい。つまり、異形球の排出を遊技機内の他の構成要素で実行する場合は、磁性球排出部205を単独で構成してもよい。
そして、本発明の封入式遊技機の一実施形態は、遊技領域が区画形成された遊技盤と、前記遊技盤が嵌め込まれて収容される本体枠と、前記本体枠の上部に配置され、前記遊技領域に向けて遊技球を発射する打球発射装置と、前記打球発射装置によって発射された遊技球を前記遊技盤の裏面側に封入球として回収し、不正球を排除し再び前記打球発射装置に供給するため、異形球・磁性球排出手段を含む循環経路と、電気的駆動源の駆動に基づいて前記循環経路の一部に形成された配列通路内に配列貯留された前記封入球を1個ずつ前記打球発射装置の発射位置に送り込む球送り装置と、パチンコ遊技に関わる遊技制御処理を行う主制御基板と、前記主制御基板と双方向のデータ通信が可能に接続され、前記遊技制御処理において前記主制御基板から送信される賞球コマンドと、前記打球発射装置によって発射された発射球の球数情報と、に基づく持球数の増減制御と、前記打球発射装置による遊技球の発射制御と、前記球送り装置による遊技球の前記発射位置への送り込み制御と、を行う球情報制御基板と、を備え、遊技球の払い出しを行うことなく、所定数量の遊技球を閉鎖的に循環させて遊技を行うようにしたものであって、前記打球発射装置は、前記発射位置に遊技球を停留させるための発射レールと、電気的駆動源の駆動に基づいて打球動作を行い、前記発射位置に停留された遊技球を発射させる発射用部材と、前記発射位置に停留されている遊技球を検出する発射球確認手段と、を備え、前記球情報制御基板は、予め定められた規定時間に亘って、前記発射球確認手段によって前記発射位置に停留されている遊技球が検出された場合に、発射球ありと判定する発射球検出判定手段と、前記発射球検出判定手段が発射球ありと判定したことを条件として、前記発射球確認手段によって遊技球が検出されない場合に、前記発射位置に停留されていた遊技球が発射されたと判定し、前記持球数を1つ減じる持球数減算手段と、を備えて構成される。
上記実施形態によれば、予め定められた規定時間に亘って、発射球確認手段によって発射位置に停留されている遊技球が検出された場合に、発射球ありと判定する発射球検出判定手段と、発射球検出判定手段が発射球ありと判定したことを条件として、発射球確認手段によって遊技球が検出されない場合に、発射位置に停留されていた遊技球が発射されたと判定し、持球数を1つ減じるようにしたので、発射球確認手段にノイズが入り込んだ場合、ノイズによる発射球の誤球カウントを排除することができ、発射球の検出における確実性を上げることができ、異形球や磁性球を正規の遊技球が循環する循環経路から排除することができる。
[球磨き装置]
次に、遊技機内に封入された遊技球のクリーニング及び球磨きを行う球磨き装置について説明する。図49は球磨きカートリッジが装着された状態を示す正面図、図50は球磨きカートリッジが装着された状態を示す左側面図、図51は球磨きカートリッジを固定する機構を説明する斜視図である。また、図52は球磨きカートリッジを外した状態を示す正面図、図53は球磨きカートリッジを装着する途中時点の状態を示す斜視図である。
図54と図55は、遊技球と球磨きカートリッジの球磨き布が押し当てられている状態を示す図であり、図54は遊技球と球磨きカートリッジの球磨き布が押し当てられている状態を示す斜視図、図55は遊技球と球磨きカートリッジの球磨き布が押し当てられている状態を示す左側面図であり、図56は、図55において、球磨きカートリッジの左サイドカバーを除去した状態を示す左側面図である。また、図57は図56において、球磨きカートリッジ付近を拡大した図である。
次に、図58は球磨きカートリッジが装着された状態を示す斜視図であり、図59は、図58において、右外サイドカバーを外した状態を示す斜視図、図60は、図59において、さらに右内サイドカバーのみを少し開いた状態を示す斜視図である。
図61は球磨きカートリッジの斜視図、図62は同正面図、図63は同側面図であり、図64は、図63において、左サイドカバーを外した状態を示す側面図である。
図49及び図50に示されるように、球揚送装置22の下部には、球集合部21が設けられており、球集合部21の一部に球磨きカートリッジ251が装着可能とされている。ここで、球揚送装置22の外側は透明なプラスチック部材で形成されており、仮に球揚送装置22内において遊技球の詰まりが発生した場合などにも、詰まりの発生場所を容易に視認できるようになっている。装着された球磨きカートリッジ251は、図51に示されているように、球集合部21に設けられた、一端が軸上に支持されて他端を回動可能とした球磨きカートリッジ固定レバー271の他端部を、同じく球集合部21に設けられた球磨きカートリッジ固定止め具272に掛けることによって、球磨きカートリッジ251を押さえつけるような構造となっている。なお、図51においては、球磨きカートリッジ固定レバー271の移動態様をわかりやすくするために、球磨きカートリッジ固定レバー271を開いた状態と閉じた状態の両方を合わせて記載している。
図52は、球磨きカートリッジ251を外した状態を示す正面図である。図52に示されているように、球集合部21には、球磨きカートリッジ251を装着可能とするような空洞部からなる球磨きカートリッジ装着部273を有している。なお、図52においては、見やすくするために球磨きカートリッジ固定レバー271の記載を省略している。
また、球磨きカートリッジ装着部273のもっとも奥の部分の球揚送装置22と対向する部分において、球揚送装置22には、その長辺が後述する球磨きカートリッジ251の球磨き布263の進行方向と異なった角度を有する開口部281が設けられている。これにより、遊技球の揚送方向と、球磨き布263の進行方向にずれが生じるため、所定の幅を有する球磨き布263の幅方向の一部分のみを使用するといったことがなく、球磨き布263の幅を有効に活用して遊技球のクリーニング及び球磨きを行うことが可能となる。
さらに、開口部の長辺同士の幅は、球揚送装置22によって搬送される遊技球の周縁部の少なくとも一部が、開口部位置において球揚送装置22の外部に突出可能となる幅で、かつ、遊技球の直径よりも小さくなるように構成されており、本実施例では、遊技球の直径11mmに対して、開口部の長辺同士の幅を8.4mmに設定して、開口部から球磨き布263側に約1.5mm遊技球が突出する構成となっている。これによって、遊技期間中においては、球揚送装置22内を搬送される遊技球が、開口部位置において周縁部の一部が、球揚送装置22の外部に突出して、球磨きカートリッジ251の球磨き布263と遊技球とが接触することが可能となる。特に、球磨きカートリッジ251内に弾性部材を有し、球磨き布263を遊技球に押しつけるような構成とした場合には、より確実に球磨き布263を遊技球を接触させることができ、より確実な球磨きが可能となる。
また、遊技期間外の時間帯で、球揚送装置22内に遊技球が残った状態で、球磨きカートリッジ251を取外したとしても、開口部の幅が遊技球の直径よりも小さくなるように構成されていることによって、球揚送装置22内に残った遊技球が球磨きカートリッジ251の球磨きカートリッジ装着部273側にこぼれ落ちたりすることがない。
図53は、図52の状態から、球磨きカートリッジ251を装着する途中時点の状態を示す斜視図である。図52と図53からわかるように、本実施例においては、球磨きカートリッジ251は遊技板の前方から挿入、装着する構成となっている。
図61は球磨きカートリッジ251の斜視図、図62は同正面図、図63は同側面図であり、図64は、図63において、左サイドカバーを外した状態を示す側面図である。ここで、259は巻き取りローラ、260は従動ローラ、261は第1のギア軸、262は第2のギア軸であり、それぞれ、第1のギア軸261は巻き取りローラ259、後述する第2駆動ギア257と同軸になるように構成されており、第2のギア軸262は従動ローラ260と同軸になるように構成されている。また、268は遊技球接触跡であり、図52に示されているように、球揚送装置22による遊技球の搬送方向と、球磨きカートリッジ251の球磨き布263の巻き取り方向が、鉛直方向に対して異なる角度となっているため、遊技球接触跡268は、球磨き布263の長辺方向に対して傾きをもって形成されることとなる。
図54と図55は、遊技球と球磨きカートリッジの球磨き布が押し当てられている状態を示す図であり、図54は遊技球と球磨きカートリッジの球磨き布が押し当てられている状態を示す斜視図、図55は遊技球と球磨きカートリッジの球磨き布が押し当てられている状態を示す左側面図である。
図54及び図55に示されているように、球揚送装置22に設けられたスクリュー25によって遊技球は揚送されており、球揚送装置22と球磨きカートリッジ251の球磨き布263が対向する箇所において、遊技球は球揚送装置22の開口部281を通して球磨きカートリッジ251の球磨き布263と接触するようになっており、球揚送装置22のスクリュー25による遊技球の揚送により、球磨き布263とこすりつけられ、遊技球のクリーニング及び球磨きが行われるようになっている。
また、図54及び図55に示されているように、球揚送装置22におけるスクリューは、上部及び下部と、中間部においてその形状が異なっている。上部及び下部においては、スクリューのスパイラルの角度を小さくしてピッチも狭くし、それに対して中間部においては、スクリューのスパイラルの角度を大きくしてピッチも広くしている。中間部においては、搬送に時間をかける必要がないため、スパイラルの角度を大きくして搬送速度を上げることで、短時間に遊技球を揚送することができ、また、該中間部分に含まれる遊技球の個数を減少させることが可能となり、遊技機内部に封入する遊技球の個数を減少させることができる。また、下部におけるピッチの間隔を狭くすることにより、遊技球が球磨きカートリッジ251の球磨き布263と対向する部分における、遊技球の揚送速度を低下させることで、遊技球と球磨き布263との接触時間を長くして、確実に遊技球のクリーニング及び球磨きを行うことができる。さらに、上部におけるピッチの間隔を狭くすることにより、球揚送装置22の揚送終端部における遊技球の揚送速度を低下させることができ、球揚送装置22から配列通路24へ球を受け渡しする際の球噛みといったトラブルの発生をなくし、スムーズに配列通路24に遊技球を送り込むことができる。
また、図55に示されているように、球揚送装置22には、遊技球の揚送をガイドする2本のガイドレール282が備えられている。両ガイドレール間の間隔は、遊技球の直径と同程度に設定されているが、搬送される遊技球の挙動が激しくなる可能性のある箇所についてはいくぶん狭くして安定させるといった調整も行うことができる。こうして、両ガイドレールに両側を支えられるようにして、遊技球は球揚送装置22内を揚送される。
図56は、図55において、球磨きカートリッジの左サイドカバーを除去した状態を示す左側面図である。また、図57は図56において、球磨きカートリッジ付近を拡大した図である。ここで、259は巻き取りローラ、260は従動ローラであり、後述する球磨きリボン送りモータ155からの駆動力が伝達される、巻き取りローラ259と同軸になるように構成されている第2駆動ギア257の回転により、巻き取りローラ259は回転され、巻き取りローラ259と従動ローラ260との間の摩擦力により、球磨き布263が巻き取られる。
また、球磨きカートリッジ251の、球揚送装置22と対向する部分においては球磨き布263が配置されており、球磨き布263の背後には球磨き布263を押さえつける働きを有するテンショナー267が設けられ、テンショナー267の背後には、テンショナー267と球磨き布263を遊技球に押さえつける働きを有する2本のコイル状の球磨き布押さえバネ264が設けられている。さらに、球磨き布押さえバネ264の背後には、球磨き布押さえバネ264を支持するバネ押さえ266が設けられている。また、球磨きカートリッジの上部には板バネ265が設けられており、該板バネ265によって、球磨き布263を軽く押さえつけて整列させ、球磨き布263を球揚送装置22と対向する部分に送り込む前に整列させる役割を果たしている。なお、巻き取りローラ259及び従動ローラ260によって巻き取られた球磨き布263は、球磨きカートリッジ251内に収納されていくが、図56及び図57においては、巻き取りローラ259及び従動ローラ260によって巻き取られた後の球磨きカートリッジ内部の球磨き布263の記載を省略している。
図58は球磨きカートリッジが装着された状態を示す斜視図であり、253は右外サイドカバーであり、258は後述する第2駆動ギア257を覆う第2駆動ギアケースである。図59は、図58において、右外サイドカバーを外した状態を示す斜視図であり、254は右内サイドカバーであり、254は右内サイドカバーであり、155は球磨きリボン送りモータであり、球磨きカートリッジ251において、球磨き布263の巻き取りの駆動源となる。本実施例においては、球磨きリボン送りモータ155はステッピングモータからなる。球磨きリボン送りモータ155の具体的な駆動態様については後述する。
図60は、図59において、さらに右内サイドカバー254のみを少し開いた状態を示す斜視図である。256は第1駆動ギアであって、本実施例では歯数16のギアを使用しており、球磨きリボン送りモータ155の回転軸と同軸になるように構成されており、球磨きリボン送りモータ155の駆動により回転される。また、257は第2駆動ギアであり、本実施例では歯数32のギアを使用している。図60に示されているように、第1駆動ギア256とかみ合っており、球磨きリボン送りモータ155の駆動による第1駆動ギア256の回転に伴って回転する。第1駆動ギアの歯数が16、第2駆動ギアの歯数が32であるため、ギア比は0.5(=16/32)となっており、第1駆動ギアが1回転すると、第2駆動ギアは1/2回転する。また、第2駆動ギア257は、図56及び図57に示されている巻き取りローラ259と同軸であり、第2駆動ギア257の回転によって巻き取りローラ259が回転し、球磨き布263が巻き取られるようになっている。また、遊技球の揚送方向と、球磨き布263の進行方向にずれがあるため、遊技球接触跡268は、球磨き布263の長辺方向に対して傾きをもって形成されている。
次に、球磨きカートリッジ251の動作について説明する。球集合部21に設けられた球磨きカートリッジ251の球磨きカートリッジ装着部273には、図示しない球磨きカートリッジ検出センサが設けられており、遊技を行うときに、球磨きカートリッジ251が装着されておらず、球磨きカートリッジ検出センサの信号がオフとなっている場合には、球磨きカートリッジなしエラー信号が出力されて報知が行われる。
また、遊技者による遊技時間はハンドルに設けられたタッチスイッチ87による検知によって、図示しない計測手段によって累積して計測している。本実施例においては、計測手段による累積計測時間が1分間になるごとに、球磨きリボン送りモータ155が1ステップ送られる。本実施例においては、巻き取りローラ259の直径が25mmで構成されているため、円周長が約78.5mm(=25×3.14)、第1駆動ギア256と第2駆動ギア257とのギア比が1/2であることを考慮すると、1ステップあたりの球磨き布263の送り量は0.11mm(=78.5/360/2)となる。
なお、本実施例においては、レバーを止め具に掛けることによって、球磨きカートリッジ251を押さえつけて固定する方法としているが、固定の方法については、この方法に限られたものではなく、他の固定方法を用いることもできる。
また、本実施例においては、球磨き布263を遊技球に押さえつける手段として、コイル状の球磨き布押さえバネ264を用いているが、押さえ手段としてはこれに限られたものではなく、他の形状のバネや、その他の弾性部材等を用いることもできる。
なお、本実施例においては、球磨きカートリッジ251を遊技機の最下部に配置しているが、球磨きカートリッジ251の配置位置はこの位置に限ったものではなく、遊技機の中間部や上部に配置することもできる。その場合には、球揚送装置22における球磨きカートリッジ251と対向する部分に設ける開口部についても、球磨きカートリッジ251の配置位置に対応する箇所に変更すればよい。
また、本実施例においては、球揚送装置による遊技球の搬送方向と、球磨きカートリッジ251の球磨き布263の巻き取り方向を異ならせる手法として、球磨きカートリッジ251の球磨き布263を鉛直方向に搬送し、球磨き布263と対向する部分の球揚送装置22の遊技球の搬送方向を、鉛直方向から傾けた方向に搬送するようにしているが、方法としてはこれに限ったものではなく、球揚送装置22の遊技球の搬送方向を鉛直方向にして、球磨きカートリッジ251の球磨き布263の搬送方向を鉛直方向から傾けた方向としたり、両者いずれも傾けた方向とするなど、種々の方法を選択することができる。