JP6932356B2 - 脱細胞化処理液及び洗浄組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、組織の脱細胞化処理液に関する。
移植医療分野において他人や他種の生体組織由来の移植片を移植する場合、被移植者側組織による移植片の拒絶反応が問題となっている。そこで、近年脱細胞化組織に大きな期待が寄せられている。脱細胞化技術は、拒絶反応を引き起こす細胞を生体組織から除去し、残存する支持組織である脱細胞化組織をそのままあるいは再細胞化した後、移植片として使用する手法である。
脱細胞化組織の製造方法としては、界面活性剤を含有する処理液及び洗浄液を用いて、生体組織を脱細胞化する方法が知られている(例えば、特許文献1〜4参照)。しかし、界面活性剤を用いて脱細胞化処理を行った生体組織では、細胞外マトリックス成分(以下、細胞外マトリックスをExtracellular matrix;以下ECMと省略する場合がある。)を構成するたんぱく質が劣化しており、生体適合性が低い。そのため再細胞化効率が悪く、組織内で血栓ができやすいこと等の課題がある。
また、従来の界面活性剤を利用する方法は、ミセル形成する性質を有する界面活性剤が二相界面に強く吸着し、界面の自由エネルギーを著しく下げることによってタンパク質、脂質などの物質を除去していた。このような除去は、非選択的に可溶化し洗い流すことになり、細胞外マトリックスタンパク質にも影響をもたらし、組織強度が劣化する課題が残っているうえ、界面活性剤が組織内に残留することで再細胞化や、移植時に影響をもたらし、脱細胞化の制御が難しい。さらに、洗浄時に界面活性剤を使用すると、脱細胞化した細胞外マトリックスタンパク質を非選択的に除去する課題がある。
一方、ソホロースリピッド(Sophorose lipids;以下SLと省略する場合がある。)は、P.A.Gorinらによってスターメレラ(キャンディダ)・ボンビコーラ(Starmerella(Candida)bombicola)の培養液から発見されている(非特許文献1参照)。生物由来の界面活性剤であるバイオサーファクタントの一つとして知られるソホロリピッドは、酵母の発酵から得られる発酵産物である。特許文献5には、SLの用途として泡安定性にすぐれる住居用洗浄剤としての使用が記載されている。特許文献6には、SLの用途として医薬品、化粧品及び食品としての使用が記載されている。しかしながらこれら文献にはSLの用途としての脱細胞化処理への使用について記載も示唆も無い。
特表2005−514971号公報 特表2006−507851号公報 特表2005−531355号公報 特開2015−160040号公報 特開2017−145408号公報 再表2015/137357号公報
カナデアン ジャーナル オブ ケミストリー(Can.J.Chem.),39巻,p846-855(1961).
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、細胞外マトリックス成分を構成するたんぱく質を劣化させることなく高い機械的な強度を維持しつつ効率的な組織の脱細胞化を可能とする脱細胞化処理液を提供することを目的とする。
本発明にかかる脱細胞化処理液は、動物由来組織の脱細胞化に用いる脱細胞化処理液であり、0.01重量%以上20重量%以下のソホロースリピッド含むことを特徴とする。
本発明によれば、細胞外マトリックス成分を構成するたんぱく質を劣化させることなく効率的な組織の脱細胞化を可能とする脱細胞化処理液が得られる。
SLによるラット新生仔の肺の脱細胞化効果を確認する写真図である。 他の薬剤と比較したSLによるラット新生仔の肺の脱細胞化効果を確認する写真図である。 脱細胞化後のDNA残量の測定結果を示す図である。 脱細胞化後の共焦点レーザー顕微鏡による観察結果を示す図である。 脱細胞化後の肺胞腔の面積の測定結果を示す図である。 脱細胞化後、細胞外マトリックスの主要構成成分であるコラーゲンの免疫染色の結果を示す図である。 脱細胞化後の共焦点レーザー顕微鏡による観察結果を示す図である。 脱細胞化後の肺胞腔の面積の測定結果を示す図である。 脱細胞化後、細胞外マトリックスの主要構成成分であるコラーゲンの免疫染色の結果を示す図である。 脱細胞化後、細胞外マトリックスの主要構成成分であるコラーゲンの免疫染色の結果を示す図である。 脱細胞化後の血管内腔の面積の測定結果を示す図である。 脱細胞化後の血管内腔の面積の測定結果を示す図である。 SLによるラット新生仔の肝臓の脱細胞化効果を確認する写真図である。 SLによるラット新生仔の心臓の脱細胞化効果を確認する写真図である。 SLによるラット新生仔の腎臓の脱細胞化効果を確認する写真図である。 他の薬剤と比較したSLによるラット新生仔の腎臓の脱細胞化効果を確認する写真図である。 SLによるラット新生仔の皮膚の脱細胞化効果を確認する写真図である。 他の薬剤と比較したSLによるラット新生仔の皮膚の脱細胞化効果を確認する写真図である。 SLによるラット新生仔の腸の脱細胞化効果を確認する写真図である。 SLによるラット新生仔の脾臓の脱細胞化効果を確認する写真図である。 他の薬剤と比較したSLによるラット新生仔の脾臓の脱細胞化効果を確認する写真図である。 SLによるラット新生仔の心臓への脱細胞化効果及びECMの形状維持効果を確認する写真図である。 SLによるラット新生仔の心臓への脱細胞化後のECM構成成分への影響を確認する写真図である。 SLによるラット新生仔の心臓への脱細胞化後の容積の変化を確認する写真図である。 他の薬剤と比較したSLによるラット新生仔の心臓への脱細胞化効果及びECMの形状維持効果を確認する写真図である。
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態について具体的に説明するが、当該実施形態は本発明の原理の理解を容易にするためのものであり、本発明の範囲は、下記の実施形態に限られるものではなく、当業者が以下の実施形態の構成を適宜置換した他の実施形態も、本発明の範囲に含まれる。
1.脱細胞化処理液
界面活性剤はタンパク質、脂質などの物質を非選択的に除去するため、界面活性剤を用いて脱細胞化処理を行った生体組織では、細胞外マトリックス成分を構成するたんぱく質が劣化しており、脱細胞化組織の強度劣化や細胞の再接着性能悪化につながり、生体適合性が低い。そのため界面活性剤の一種であるソホロースリピッドを使用して脱細胞化処理を行った場合も、他の界面活性剤と同様に、細胞外マトリックス成分を構成するたんぱく質が劣化し、生体適合性が低いものと予想される。しかしながら本発明者はこの予想に反してソホロースリピッドを動物由来組織の脱細胞化に用いた場合、細胞のみを除去し、細胞外マトリックス成分を構成するたんぱく質を劣化させることなく組織の脱細胞化が可能であることを新知見として見出し、かかる事実に基づいて本発明を完成させた。
なお、本発明における脱細胞化では、細胞外マトリックス等へは影響を与えず細胞のみを選択的に除去するが、そのメカニズムとしては以下のように考えられうる。通常、界面活性剤の脱細胞効果は膜タンパクの変性作用により、細胞外マトリックスから細胞を除去する作用、及び細胞膜を可溶化し、細胞のDNAを溶解させる性質を利用している。しかし、タンパク質である細胞外マトリックスにも同様な変性作用をもたらし、組織内に残存すると細胞毒性などの懸念があると想定される。SLの脱細胞化は、脂質にのみ特異的に作用する性質があると推察する。その作用は細胞膜のみに作用し、細胞を崩壊させる作用である。それにより細胞外マトリックスおよびその立体構造にも影響をしない状態で脱細胞化を行うことができると考えられる。SLは細胞毒性に対しても低いため脱細胞化後の臓器及び組織の利用に懸念はないと考えられる。
本実施形態にかかる脱細胞化処理液は、動物由来組織の脱細胞化に用いる脱細胞化処理液であり、0.01重量%以上20重量%以下のソホロースリピッド含む。
ソホロースリピッドは、ソホロースまたはヒドロキシル基が一部アセチル化したソホロースと、ヒドロキシル脂肪酸とからなる糖脂質である。なお、ソホロースとは、β1→2結合とした2分子のブドウ糖からなる糖である。ヒドロキシル脂肪酸とは、ヒドロキシル基を有する脂肪酸である。
以下の実施例で使用するソホロースリピッドは特開2016−160244号公報の記載に従って調製した。
脱細胞化の対象となる動物由来組織は、特に限定されるものではないが例えば、ブタ、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ウサギ、カンガルー、サル及びヒト等の哺乳類動物から得られた上皮組織、結合組織、神経組織及び筋組織からなる群から選ばれる少なくとも1種の組織であることが好ましく、具体的には、心臓、腎臓、肺、肝臓、脳、腸、子宮、大網及び小口径血管等が挙げられる。
本実施形態にかかる脱細胞化処理液は、0.1重量%以上20重量%以下のソホロースリピッド含む。ソホロースリピッドの含有量が0.1重量%よりも少ない場合は脱細胞化の処理に時間を要する場合があるからである。一方でソホロースリピッドの含有量が20重量%よりも多い場合は溶液中に溶解しにくいからである。なお本実施形態にかかる脱細胞化処理液は、0.1重量%、1重量%、10重量%又は20重量%から任意の数値を2つ選択してそれら選択された数値間のソホロースリピッド含むものとすることが可能である。
本実施形態にかかる脱細胞化処理液は、0.1重量%以上20重量%以下のソホロースリピッドに加えて、更に0.1重量%以上10重量%以下の界面活性剤を含むことで、従来の界面活性剤の脱細胞化処理を短時間に行えることが可能であり、従来の界面活性剤の細胞外マトリックスへの影響を低減することもできる。界面活性剤の含有量が0.1重量%よりも少ない場合は動物由来組織への浸透力が劣る場合があるからであり、一方で界面活性剤の含有量が10重量%よりも多い場合は動物由来組織に存在する細胞を損傷させる恐れがあるからである。
界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、又は、非イオン性界面活性剤が挙げられる。陰イオン性界面活性剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、ラウリルリン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸トリエタノールアミン、オレイルザルコシンナトリウム、ラウリルザルコシンナトリウム、パルミチルザルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸ザルコシンナトリウム、オレイルグルタミン酸ナトリウム、ラウリルグルタミン酸ナトリウム、パルミチルグルタミン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸グルタミン酸トリエタノールアミン、ヤシ油脂肪酸グルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム、(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩、(ポリ)オキシアルキレンアルキルスルホコハク酸塩等が挙げられる。陽イオン性界面活性剤としては、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド乳酸塩、ジラウリルアミン塩酸塩、オレイルアミン乳酸塩等が挙げられる。両性界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油アルキルジヒドロキシエチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルアミノ酢酸ベタイン、デシルジヒドロキシプロピルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、オクチルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ヤシ油アルキルアミノプロピオン酸ナトリウム、ミリスチルアミノプロピオン酸ナトリウム、パルミチルアミノプロピオン酸ナトリウム、ステアリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノ酢酸ナトリウム及びラウリルアミノ酪酸ナトリウム、2−[N,N−ジ(アルキルベンジル)−N−メチルアンモニウム]−エチルサルフェート、N−ステアリルタウリンナトリウム、N−ラウリルタウリンナトリウム等が挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸エチレングリコール、モノラウリン酸ソルビタン、ジオレイン酸メチルグルコシド、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアミノエーテル、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。
なお、本実施形態にかかる脱細胞化処理液には、緩衝剤、キレート剤、防腐剤、殺菌剤及び酸化防止剤を包含させることが可能である。
また、本実施形態にかかる脱細胞化処理液には、水を含むことが可能であり、水としては、超純水、イオン交換水、蒸留水、水道水及び工業用水等が挙げられる。
2.脱細胞化洗浄液
脱細胞化処理を行った生体組織には、組織の残分やその脱細胞化処理に使用した界面活性剤などの物質が残存しているため、脱細胞化組織を再細胞化する前に残存している物質を洗浄することが好ましい。
本実施形態にかかる洗浄組成物は、脱細胞化処理後の動物由来組織の洗浄に使用する洗浄組成物であり、0.01重量%以上10重量%以下のソホロースリピッドを含むことで、細胞外マトリックスに損傷なく、残存物質のみを除去することが可能である。ソホロースリピッドの含有量が0.01重量%よりも少ない場合は洗浄効果が十分でない場合があるからであり、一方でソホロースリピッドの含有量が10重量%よりも多い場合は動物由来組織に不要なソホロースリピッドが残存する場合があるからである。好ましくは本実施形態にかかる洗浄組成物は、0.1重量%以上5重量%以下のソホロースリピッドを含み、より好ましくは0.5重量%以上1重量%以下のソホロースリピッドを含む。
本実施形態にかかる洗浄組成物は、更に、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、酒石酸緩衝液、トリス緩衝液、HEPES緩衝液及びMES緩衝液から少なくとも一つを含む緩衝液を含むことが可能である。
3. 脱細胞化組織の製造方法
下記に本実施形態にかかる脱細胞化処理液を使用する脱細胞化組織の製造方法の一実施形態を説明する。
まず動物由来組織内の血管に緩衝溶液を浸漬または潅流させることで動物由来組織を洗浄する。洗浄に使用する緩衝溶液は、緩衝剤を水に溶解したものであり、溶液内のpHを一定に保つ緩衝作用のあるものであれば特に限定されないが、好ましくはリン酸緩衝溶液であり、緩衝溶液はヘパリン等の抗凝固薬を含んでいることが更に好ましい。緩衝溶液のpHは4.0〜9.0であることが好ましい。
次に、0.01重量%以上20重量%以下のソホロースリピッド含む脱細胞化処理液に動物由来組織を浸漬させる。動物由来組織を浸漬する時間は、脱細胞効果が生じる限り特に限定されるものではないが例えば12時間以上20日以下であり、好ましくは1日以上15日以下であり、より好ましくは2日以上10日以下である。なお、本実施形態にかかる脱細胞化処理液に動物由来組織を浸漬させるのではなく、動物由来組織内の血管に脱細胞化処理液を潅流させることで脱細胞化させることも可能である。
次に、脱細胞化工程後の動物由来組織を洗浄するが、脱細胞化処理液にソホロースリピッド以外の界面活性剤が含まれていない又は含まれていてもその含有量が少ない場合は脱細胞化工程後の動物由来組織の洗浄は不要とすることが可能である。
(実施例1)SLによるラット新生仔の肺の脱細胞化効果確認
超純水、10重量%、20重量%のSL溶液中にラット新生仔の肺を浸漬し、振とうした。1日後、2日後、5日後、10日後に実体顕微鏡を用いて脱細胞化効果を確認した。結果を表1及び図1に示す。
Figure 0006932356
表1及び図1に示されるように、10重量%又は20重量%のSL溶液中にラット新生仔の肺を浸漬して振とうした場合は、脱細胞効果が良好であった。
(実施例2)他の薬剤と比較したSLによるラット新生仔の肺の脱細胞化効果確認
0.1 重量%、1.0 重量%、10 重量%のSL溶液、SDS(ラウリル硫酸ナトリウム) 溶液、Triton 溶液、APG(アルキルポリグリコシド) 溶液中にラット新生仔の肺を浸漬し、振とうした。2日、4日、6日後に脱細胞化状態として実体顕微鏡を用いて透明性の割合で評価、細胞外マトリックスへの影響として目視により臓器の縮小状態(大きさ)や臓器の崩壊状態、ピンセットで掴んだ際の強度で総合的に評価した。また、より詳細な細胞外マトリックスへの影響評価として、共焦点レーザー顕微鏡を用いての直接観察及び細胞外マトリックスの主要成分であるコラーゲンの免疫染色により内部構造への影響を確認した。脱細胞化状態の評価結果を表2−1,表2−2,表2−3に示す。細胞外マトリックスへの影響の評価結果を表3−1,表3−2,表3−3に示す。表3の結果は表2の非常に良好になった日数で確認した。図2の写真は浸漬後6日目の写真である。
また、0.01 重量%SL 溶液、0.1 重量%SL 溶液、0.5 重量%SL 溶液、1.0 重量%SL 溶液、0.1 重量%SDS 溶液、1.0 重量%SDS 溶液及び、SL 溶液+SDS 溶液の混合溶液(混合溶液の組み合わせは下記表に示した)を用いて上記同様に新生仔の肺を浸漬し、振とうした。2日、4日、6日後に脱細胞化状態として実体顕微鏡を用いて透明性の割合で評価、細胞外マトリックスへの影響として目視により臓器の縮小状態(大きさ)や臓器の崩壊状態、ピンセットで掴んだ際の強度で総合的に評価した。脱細胞化状態の評価結果を表2−4に示す。細胞外マトリックスへの影響の評価結果を表3−4に示す。表3の結果は表2の非常に良好になった日数で確認した。また、より詳細な細胞外マトリックスへの影響評価として、共焦点レーザー顕微鏡を用いての直接観察及び細胞外マトリックスの主要成分であるコラーゲンの免疫染色により内部構造への影響を確認した。また脱細胞化の状態について、DNA残存量の測定を行い確認した。
表2−4に示されるように、従来の界面活性剤へソホロースリピッドを混合することで脱細胞化を短時間で完了させることを確認した。
実施例では4日以降に細胞による赤みが消失し、脱細胞化効果が良好であった。DNA 残存量は50ng/mg 以下が基準であると報告もあることから、図3に示されるように脱細胞化が良好であることを確認した。
細胞外マトリックスへの影響については、実施例においては、大きさ、崩壊状態、強度について変化はなく、影響は見られなかった。比較例においては、いずれかの項目で影響が見られた。これによりSLを用いた脱細胞化した臓器では細胞外マトリックスに影響がないことを確認された。
またSLとSDSとを混合する場合でも、細胞外マトリックスへの影響は見られなかった。また、SLとSDSとを混合した場合では、SLの濃度が高くなるにつれて細胞外マトリックスへの影響が低下していることが確認できた。特にSL1.0 重量%と混合するとSL単独の場合と同様に細胞外マトリックスへの影響は見られなくなった。
Figure 0006932356
Figure 0006932356
Figure 0006932356
Figure 0006932356
Figure 0006932356
Figure 0006932356
Figure 0006932356
Figure 0006932356
また、共焦点レーザー顕微鏡により、肺の内部構造について確認を行った結果を図4に示す。さらに肺胞腔の面積測定した結果を図5に示す。図4、図5から肺胞腔の大きさに違いが見られた。SLはコントロールと同等の大きさを維持しているのに対し、SDSやTritonでは肺胞腔が小さくなることが確認できた。また、APGについてもSLよりは小さくなることが確認された。免疫染色で細胞外マトリックスの主要構成成分であるコラーゲンの観察を行った結果を図6に示した。コントロールと比較して、SL処理では大きな変化は見られていないのに対して、SDS及びTritonでは全体的に顕著な縮みが見られ、APGでは肺胞腔の崩壊が見られた。
また、SL溶液とSDS溶液を混合した溶液で脱細胞化処理を行った肺について、共焦点レーザー顕微鏡により肺の内部構造について確認を行った結果を図7に示す。さらに肺胞腔の面積測定を行った結果を図8に示す。図7及び図8から0.1%SDSや1.0%SDSのみの処理では肺胞腔は大きくなるが、0.1%以上のSL を添加することで未処理のコントロールの肺胞腔の面積と同程度また肺胞腔の広がりを抑制することが可能であることを確認した。これらにより肺の脱細胞化についてSDS 単独よりもSL を添加により形状維持効果を確認した。
脱細胞化効果として望ましいのは、細胞のみを除去し、臓器の骨格である細胞外マトリックスへの影響が少ないことである。細胞外マトリックスへの影響として、形状観察から細胞外マトリックス構造評価まで実施した。その結果、SL は他の界面活性剤と比較すると脱細胞化処理において外観の変化はなく内部構造への影響もないことが確認できる。細胞のみを選択的に除去していることがわかった。
肺胞腔が縮小すると、再細胞化する際の細胞の侵入に影響するため、細胞が侵入しない可能性が考えられる。また、細胞外マトリックス構造が崩れている場合には細胞侵入しても十分再生着しないと考えられ、臓器や組織としての機能として働くことができないと考えられる。SLで処理した臓器に関しては、大きさが維持され、細胞外マトリックスの構造も崩れず影響していないことから他の薬剤での処理に比べ、再細胞化時の細胞侵入及び細胞接着が良好であり、元臓器と同様の機能として働くと言える。
肺以外の臓器についても、外観はSLでの処理は変化していない。また、各臓器を構成する細胞外マトリックスの主要成分はコラーゲンであり、肺の観察と同様にSL以外で処理した場合は細胞外マトリックス構造が崩れていると考えられるため、SLでの脱細胞化処理が優位であると言える。
(実施例3)SLによるラット新生仔の血管の細胞外マトリックスへの影響確認
各処理液で脱細胞化処理後の血管について、1 次抗体:Anti-CollagenIV、2 次抗体: Anti-Rabbit 488 を用いて免疫染色を行い観察した。また血管の内腔について面積測定により評価し、細胞外マトリックスへの影響を確認した。免疫染色の観察写真を図9、図10に、面積測定結果を図11、図12に示した。
各溶液10重量%で脱細胞化した血管については、SL を用いた場合は未処理の血管と変化はほぼなかったのに対して、SDS及びTritonで処理した血管は内腔が縮小した、またAPGで処理した血管は内腔の広がりが確認された。このことからSL以外の溶液は、血管の細胞外マトリックスに対して、縮小又は拡張の影響があることが確認できる。また、SL溶液とSDS溶液の混合溶液で処理した場合、脱細胞化後の血管の内腔はSL濃度が高くなるほど未処理の血管の内腔に近づくことが確認され、SLを添加することでSDS 単独では縮小が見られた血管に対しても、縮小が抑制され、形状維持効果が確認された。
(実施例4)SLによるラット新生仔の肝臓の脱細胞化効果確認
超純水、10重量%、20重量%のSL溶液中にラット新生仔の肝臓を浸漬し、振とうした。1日後、2日後、5日後、10日後に実体顕微鏡を用いて脱細胞化効果を確認した。結果を表4及び図13に示す。
Figure 0006932356
表4及び図13に示されるように、10重量%又は20重量%のSL溶液中にラット新生仔の肝臓を浸漬して振とうした場合は、超純水に浸漬した場合と比較すると、脱細胞効果は良好であった。
(実施例5)SLによるラット新生仔の心臓の脱細胞化効果確認
超純水、1重量%、10重量%、20重量%のSL溶液中にラット新生仔の心臓を浸漬し、振とうした。1日後、2日後、5日後、10日後に実体顕微鏡を用いて脱細胞化効果を確認した。結果を表5及び図14に示す。
Figure 0006932356
表5及び図14に示されるように、1重量%、10重量%又は20重量%のSL溶液中にラット新生仔の心臓を浸漬して振とうした場合は、超純水に浸漬した場合と比較すると、脱細胞効果は良好であった。
(実施例6)SLによるラット新生仔の腎臓の脱細胞化効果確認
超純水、10重量%、20重量%のSL溶液中にラット新生仔の腎臓を浸漬し、振とうした。1日後、2日後、5日後、10日後に実体顕微鏡を用いて脱細胞化効果を確認した。結果を表6及び図15に示す。
Figure 0006932356
表6及び図15に示されるように、10重量%又は20重量%のSL溶液中にラット新生仔の心臓を浸漬して振とうした場合は、脱細胞効果は良好であった。
次に、0.1 重量%、1.0 重量%、10 重量%のSL 溶液、SDS 溶液、Triton 溶液、APG 溶液中にラット新生仔の腎臓を浸漬し、振とうした。2日、4日、6日、8日、10日後に脱細胞化状態として実体顕微鏡を用いて透明性の割合で評価、細胞外マトリックスへの影響として目視により臓器の縮小状態(大きさ)や臓器の崩壊状態、ピンセットで掴んだ際の強度で総合的に評価した。結果を表7、表8に示す。表8の結果は表7の非常に良好になった日数で確認した。脱細胞化は良好となった。図16は浸漬後10日目の写真を掲載した。
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実施例は、大きさ、崩壊状態、強度のすべてで変化はなく、影響は見られなかった。比較例はいずれかの項目で影響があった。全ての濃度において、大きさ、崩壊、強度に変化がなかったのは実施例のSLを用いた脱細胞化したサンプルのみであった。
(実施例7)SLによるラット新生仔の皮膚の脱細胞化効果確認
超純水、0.1重量%、1重量%、10重量%、20重量%のSL溶液中にラット新生仔の皮膚を浸漬し、振とうした。1日後、2日後、5日後、10日後に実体顕微鏡を用いて脱細胞化効果を確認した。結果を表9及び図17に示す。
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表9及び図17に示されるように、0.1重量%、1重量%、10重量%又は20重量%のSL溶液中にラット新生仔の皮膚を浸漬して振とうした場合は、超純水に浸漬した場合と比較すると、脱細胞効果は良好であった。
0.1 重量%、1.0 重量%、10 重量%のSL 溶液、SDS 溶液、Triton 溶液、APG 溶液中にラット新生仔の皮膚を浸漬し、振とうした。2日、4日、6日、8日、10日後に実体顕微鏡を用いて透明性の割合で評価、細胞外マトリックスへの影響として目視により臓器の縮小状態(大きさ)や臓器の崩壊状態、ピンセットで掴んだ際の強度で総合的に評価した。結果を表10、表11に示す。表11の結果は表10の非常に良好になった日数で確認した。図18は浸漬後10日目の写真を掲載した。表11の結果は表10の非常に良好になった日数で確認した。浸漬後4日目には細胞の赤みが焼失し、脱細胞化は良好となった。
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細胞外マトリックスへの影響については、実施例は、大きさ、崩壊状態、強度のすべてで変化はなく、影響は見られなかった。比較例はいずれかの項目で影響があった。全ての濃度において、大きさ、崩壊、強度に変化がなかったのは実施例のSLを用いた脱細胞化したサンプルのみであった。
(実施例8)SLによるラット新生仔の腸の脱細胞化効果確認
超純水、0.1重量%、1重量%、10重量%、20重量%のSL溶液中にラット新生仔の腸を浸漬し、振とうした。1日後、2日後、5日後、10日後に実体顕微鏡を用いて脱細胞化効果を確認した。結果を表12及び図19に示す。
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表12及び図19に示されるように、0.1重量%、1重量%、10重量%又は20重量%のSL溶液中にラット新生仔の腸を浸漬して振とうした場合は、超純水に浸漬した場合と比較すると、脱細胞効果は良好であった。
(実施例9)SLによるラット新生仔の脾臓の脱細胞化効果確認
超純水、1重量%、10重量%、20重量%のSL溶液中にラット新生仔の脾臓を浸漬し、振とうした。1日後、2日後、5日後、10日後に実体顕微鏡を用いて脱細胞化効果を確認した。結果を表13及び図20に示す。
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表13及び図20に示されるように、1重量%、10重量%又は20重量%のSL溶液中にラット新生仔の腸を浸漬して振とうした場合は、脱細胞効果は良好であった。
次に、0.1 重量%、1.0 重量%、10 重量%のSL 溶液、SDS 溶液、Triton 溶液、APG 溶液中にラット新生仔の脾臓を浸漬し、振とうした。2日、4日、6日、8日、10日後に脱細胞化状態として実体顕微鏡を用いて透明性の割合で評価、細胞外マトリックスへの影響として目視により臓器の縮小状態(大きさ)や臓器の崩壊状態、ピンセットで掴んだ際の強度で総合的に評価した。結果を表14、表15に示す。表15の結果は表14の非常に良好になった日数で確認した。図21は浸漬後10日目の写真を掲載した。
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脱細胞化状態については、10日目で赤みが消失し、脱細胞化は非常に良好となった。
細胞外マトリックスへの影響については、実施例は、大きさ、崩壊状態、強度のすべてで変化はなく、影響は見られなかった。比較例は、いずれかの項目で影響があった。全ての濃度において、大きさ、崩壊、強度に変化がなかったのは実施例のSLを用いた脱細胞化したサンプルのみであった。
(実施例10)ラット新生仔の心臓へのSL添加による脱細胞化効果及びECM(細胞外マトリックス)の形状維持効果確認
ラット新生仔心臓を摘出し、室温において溶液に含浸・振盪処理を5日間行った。実体顕微鏡にて透過光と実体画像により、心臓の透明性を確認することで脱細胞化及び形状維持を目視にて評価した。結果を表16及び図22に示す。図22において、同じ心臓を上段は実体画像による観察した写真図であり、下段は透過光による観察した写真図である。
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表16及び図22に示されるように、本実施例にかかる脱細胞化処理液の場合は、脱細胞効果は良好であり、またECMの形状維持も良好であった。
(実施例11)ラット新生仔の心臓へのSL添加時の脱細胞化後のECM構成成分への影響
ラット新生仔の心臓を25℃(室温)で溶液中に24時間含浸・振盪処理後、細胞外マトリックス構成蛋白(フィブロネクチン)の存在と分布を蛍光実体顕微鏡、共焦点顕微鏡で観察した。結果を表17及び図23に示す。
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表17及び図23に示されるように、本実施例にかかる脱細胞化処理液の場合は、脱細胞化後のECM構成成分の維持は良好であった。
(実施例12)ラット新生仔の心臓へのSL添加時の脱細胞化後の再細胞化への影響
ラット新生仔の心臓を25℃(室温)で各溶液に24時間含浸・振盪処理後の心臓を6時間洗浄した。その後、新生仔ラット心筋細胞(2 x 106)を上から添加培養した。播種7日目の心臓の拍動を形態観察により確認した。
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表18に示されるように、本実施例にかかる脱細胞化処理液の場合は、脱細胞化後の再細胞化が成功していた。
(実施例13)ラット新生仔の脱細胞化心臓に対するSL添加による洗浄への影響
ラット新生仔の心臓を25℃(室温)で1%SDSに24時間含浸・振盪処理後の心臓を表11の組成にて6時間洗浄した。その後、新生仔ラット心筋細胞(2 x 106)を上から添加培養した。播種7日目の心臓の拍動を確認した。
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表19に示されるように、本実施例にかかる脱細胞化処理液の場合は、脱細胞化後の再細胞化が成功していた。
(実施例14)ラット新生仔の脱細胞化心臓に対するSL添加による洗浄への影響
ラット新生仔の心臓を25℃(室温)で1%SDS+0.5%SLに24時間含浸・振盪処理後の心臓を表20の組成にて6時間洗浄した。その後、新生仔ラット心筋細胞(2x106)を上から添加培養した。播種7日目の心臓の拍動を確認した。
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(実施例15)ラット新生仔の心臓へのSL添加時の脱細胞化後の心臓の容積の変化
ラット新生仔の心臓を25℃(室温)で表21に示す溶液中に24時間含浸・振盪処理後、心臓の容積比を観察した。結果を表21及び図24に示す。図24において、同じ心臓を上段は実体画像による観察した写真図であり、下段は透過光による観察した写真図である。
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本実施例にかかる脱細胞化処理液の場合は、動物細胞の臓器の容積を減少させるものではないことが判明した。
(実施例16)SLによる脱細胞化処理後の観察画像とSDSによる脱細胞化処理後の観察画像との比較
ラット新生仔の心臓を25℃(室温)で1.0%SLに24時間含浸・振盪処理後、蛍光顕微鏡により観察をした。図25上段に示されるように、collagen type1、type4 ともに生体心臓と同様の鱗状構造が保持されていた。また、α-actinin 陽性細胞(心筋細胞)は検出されず、脱細胞化が確認された。
ラット新生仔の心臓を25℃(室温)で1.0%SDSに24時間含浸・振盪処理後、蛍光顕微鏡により観察をした。図25下段に示されるように、ヒト心臓の代表的細胞外マトリックスである1型・4型コラーゲンは、蛋白の3次元構造が大きく変形しており、一部は間隙が消失していた。このように脱細胞化工程における生体構造の保持において、SLが優れた効果を示すことが確認できた。
組織移植に利用できる。

Claims (6)

  1. 動物由来組織の脱細胞化に用いる脱細胞化処理液であり、0.1重量%以上10重量%以下のソホロースリピッド含む脱細胞化処理液。
  2. 更に0.1重量%以上10重量%以下の界面活性剤を含む請求項1に記載の脱細胞化処理液。
  3. 前記界面活性剤はラウリル硫酸ナトリウムである請求項2記載の脱細胞化処理液。
  4. 0.1重量%以上1.0重量%以下のソホロースリピッドを含むとともに0.1重量%以上1.0重量%以下のラウリル硫酸ナトリウムを包含する請求項3に記載の脱細胞化処理液。
  5. 脱細胞化処理後の動物由来組織の洗浄に使用する洗浄組成物であり、0.1重量%以上10重量%以下のソホロースリピッドを含む洗浄組成物。
  6. 酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、酒石酸緩衝液、トリス緩衝液、HEPES緩衝液及びMES緩衝液から少なくとも一つを含む緩衝液を含む請求項5に記載の洗浄組成物。
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