JP6932078B2 - 水中油型乳化組成物及びエアゾル化粧料 - Google Patents
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Description
むくみ改善用のマッサージ化粧料として、シリコンと高級アルコールとを含む組成物であって、液化天然ガスと共に容器に充填して用いる、下肢などのマッサージに好適とされるエアゾル製剤が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、有効成分であるアスタキサンチンを含む乳化物と炭酸ガスを含み、噴射前後の濁度安定性に優れたエアゾル化粧料が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
これらエアゾル化粧料は、LPG(液化石油ガス)、炭酸ガスなどの溶解性噴射ガスを含む。噴射ガスのなかでも、炭酸ガスを利用したエアゾル化粧料は、炭酸ガスによる血行促進効果、温熱効果、マッサージ効果などが期待され、注目されている。
噴射後には、例えば、皮膚上に使用された化粧料中に、微細な泡状の炭酸ガスが含まれて、皮膚上に一定時間留まることで、皮膚に吸収される炭酸ガスによる血行促進、有効成分の浸透促進などが期待される。
一方で、くすみ、くまなどの問題が出やすい目元において、炭酸ガスによる血行促進効果によるこれらの症状の改善が期待されている。
特許文献2に記載の化粧料は、主として下肢などの皮膚の厚い部分に適用され、滑りによるマッサージ効果を期待する製剤であって、炭酸ガスを用いる点については検討もされていない。
特許文献3は、有効成分であるアスタキサンチン乳化物を含む水性化粧料組成物と噴射剤とを組み合わせたエアゾル化粧料であって、濁度安定性に着目した化粧料を記載するが、皮膚、特に目の周りの皮膚に適用した場合における刺激については検討されていない。
本発明の別の実施形態が解決しようとする課題は、炭酸ガスによる血行促進効果を目的とした化粧料であって、皮膚刺激が抑制され、保湿性があり、べたつきがなく、泡質が良好なエアゾル化粧料を提供することである。
<1> シリコーン、高級アルコール、及び常温で固体の炭化水素を含有する油性成分と、水性成分と、を含む水中油型乳化組成物であり、水中油型乳化組成物の全量に対する油性成分の総含有量が6質量%以上であり、炭酸ガスを噴射剤として含むエアゾル化粧料用である水中油型乳化組成物。
<3> 常温で固体の炭化水素が、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィン、及びキャンデリラロウから選ばれる少なくとも1種を含む<1>又は<2>に記載の水中油型乳化組成物。
<5> 有機概念図で表される無機性/有機性比(以下、「I/O値」と称する。)が2.5以上の保湿剤をさらに含む<1>〜<4>のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物。
本発明の別の実施形態によれば、炭酸ガスによる血行促進効果を目的とした化粧料であって、皮膚刺激が抑制され、保湿性があり、べたつきがなく、泡質が良好なエアゾル化粧料を提供することができる。
本明細書において組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において、「水相」との語は、溶媒の種類にかかわらず、「油相」に対する語として使用する。
本開示の水中油型乳化組成物(以下、乳化組成物と称することがある)は、シリコーン、高級アルコール、及び常温で固体の炭化水素を含有する油性成分と、水性成分と、を含む水中油型乳化組成物であり、水中油型乳化組成物の全量に対する油性成分の総含有量が6質量%以上であり、炭酸ガスを噴射剤として含むエアゾル化粧料用の乳化組成物である。
本開示の乳化組成物は、常温で固体の炭化水素(以下、「固体炭化水素」と称する。)を含む。
常温で固体の炭化水素とは、通常、化粧料が使用される温度である15℃〜40℃の温度範囲において固体状態を維持する炭化水素である。
より具体的には、固体炭化水素としては、軟化点が40℃を超える炭化水素が挙げられる。
固体炭化水素の軟化点は、常法により測定することができる。
乳化組成物が固体炭化水素を含むことで、その作用は明確ではないが、炭酸ガスと共存する保湿剤とに起因する刺激が抑制される。
固体炭化水素は、乳化組成物においては油性成分に包含され、油相に含まれる。固体炭化水素は、油相中では、液状油に固体状態又は半固体状態で分散されて存在すると推定される。なお、半固形状態とは、常温では流動性を有しないが、応力を受けると形状が変化しうる状態を示す。
乳化組成物における固体炭化水素の含有量は、乳化組成物全量に対して0.1質量%〜10質量%の範囲が好ましく、0.3質量%〜8質量%の範囲がより好ましく、0.4質量%〜7質量%の範囲がさらに好ましい。
なお、油性成分の総含有量に対する固体炭化水素の含有量の上限値としては、例えば、50質量%とすることができ、30質量%以下であることが好ましい。
本開示の乳化組成物は、シリコーンを含む。
シリコーンは、通常化粧料に使用されるシリコーンであれば特に制限なく使用することができる。
なかでも、シリコーンとしては、ジメチコン、シクロペンタシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、メチルトリメチコン、ジフェニルジメチコン、アモジメチコン、フェニルトリメチコン、等が好ましく挙げられる。
製剤化の容易性の観点から、シリコーンとしては、常温で液状のシリコーン、所謂シリコーンオイルを使用することができる。
乳化組成物がシリコーンを含むことで、乳化組成物を用いて得られるエアゾル化粧料は、べとつかず、さらっとした感触を有し、さらに皮膚に塗布する際になめらかに塗り拡げ易くなる。
シリコーンは、乳化組成物においては油性成分に包含され、油相に含まれる。
乳化組成物におけるシリコーンの含有量は、乳化組成物全量に対して0.1質量%〜5質量%の範囲が好ましく、0.5質量%〜4質量%の範囲がより好ましい。
本開示の乳化組成物は、高級アルコールを含む。
高級アルコールは、炭素数12〜24の炭化水素基を有するアルコールを含み、通常化粧料に使用される高級アルコールであれば、特に制限なく使用することができる。
刺激を抑制しうるとの観点から、高級アルコールは、炭素数14以上である炭化水素基を有するアルコールを含むことが好ましい。また、泡持ちの観点から、高級アルコールは、炭素数22以下である炭化水素基を有するアルコールを含むことが好ましい。
高級アルコールとしては、ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、セチルアルコール(セタノール)、2−オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、ラウリルアルコール等が挙げられ、なかでも、ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール、セタノール、及びミリスチルアルコールが好ましい。
乳化組成物が高級アルコールを含むことで、高級アルコールによる保湿感が得られ、且つ、疎水的な炭化水素基と水酸基とを有する高級アルコールが、水中油型乳化組成物における油相の界面に偏在しやすくなり、乳化組成物の安定性が向上し、乳化組成物を用いて得られるエアゾル化粧料において、炭酸ガスを含む微細な泡の泡持ちが向上する。
高級アルコールは、乳化組成物においては油性成分に包含され、油相に含まれる。
本開示の乳化組成物の全量に対する油性成分の総含有量は6質量%以上である。
本明細書における「油性成分」とは、25℃における水への溶解度が0.1質量%未満(1g/L未満)であり、化粧料の分野で一般に油性成分として使用される成分を意味する。
乳化組成物における油性成分の総含有量は、上述の固体炭化水素、シリコーン及び高級アルコールの含有量に加え、さらに、乳化組成物において任意成分として含まれる、上述の固体炭化水素、シリコーン及び高級アルコール以外の液状油、固形油(以下、「その他の油性成分」と称することがある。)の含有量を含む値である。
油性成分の含有量が、6質量%以上であることで、本開示の乳化組成物及び乳化組成物を含むエアゾル化粧料は、良好な保湿性を有する。
油性成分の含有量は、乳化組成物全量に対して6質量%以上であり、8質量%以上であることが好ましい。
油性成分の含有量の上限には特に制限はないが、乳化組成物の乳化安定性、及び、乳化組成物を用いて得られるエアゾル化粧料がべたつきのない良好な使用感が得られるという観点からは、30質量%以下であることが好ましい。
乳化組成物が含みうるその他の油性成分としては、油脂、常温で液状の炭化水素、常温で液状の高級脂肪酸、及び高級脂肪酸エステル等が挙げられる。
乳化組成物は、その他の油性成分を1種のみ含んでもよく、2種以上含んでいてもよい。
また、常温で液体とは、融点又は軟化点が15℃未満であることを意味する。
油脂としては、アボガド油、アーモンド油、オリーブ油、カカオ油、牛油、ゴマ油、小麦胚芽油、サフラワー油、シアバター、タートル油、椿油、パーシック油、ヒマシ油、ブドウ油、マカデミアナッツ油、ミンク油、卵黄油、ヤシ油、ローズヒップ油、ダイズ油、メドウフォーム油等が挙げられる。また、後述するように、アスタキサンチンなどの機能性油性成分もその他の油性成分に含まれる。他方、疎水的な炭化水素基を有していても、分子内に親水性基を有し、界面活性能を有する界面活性剤は本明細書における油性成分には含まれない。
より具体的には、高級脂肪酸と低級(炭素数2以上4以下)アルコールとのエステルとしては、リノール酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸イソプロピル等を例示することができる。
高級脂肪酸と中級(炭素数5以上11以下)又は高級(炭素数12以上)アルコールとのエステルとしては、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、オレイン酸オクチルドデシル、パルミチン酸セチル等を例示することができる。
高級脂肪酸と多価アルコールとのエステルとしては、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、エチルヘキサン酸セチル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリル、ジオレイン酸プロピレングリコール、トリイソステアリン酸グリセリル等を例示することができる。
オキシ酸と高級アルコールとのエステルとしては、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、リンゴ酸ジイソステアリル等を例示することができる。
環状アルコール脂肪酸エステルとしては、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル等を例示することができる。
油性成分としての防腐剤としては、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルなどが挙げられる。
油性成分となる抗炎症剤としては、グリチルレチン酸ステアリル、グリチルレチン酸などが挙げられる。
油性成分となる抗酸化剤としては、アスタキサンチンなどのカロテノイド、β−カロテン、リコピン、ビタミンA(レチノール)、レチノイン酸、トコフェロール、トコトリエノールなどが挙げられる。カロテノイドが含まれるヘマトコッカスプルビアリス油も、その他の油性成分として好ましい。
油性成分となる香料としては、例えば、天然香料及び合成香料等が挙げられる。天然香料としては、例えば、草根、木皮、花、果実、果皮、又はその他動植物を素材として常法に従って調製された香油等が挙げられる。天然香料には、天然素材を、水蒸気蒸留法、圧搾法、又は抽出法等によって処理して分離した精油等も含まれる。
油性成分として、その他の油性成分を含む場合の好ましい組み合わせとしては、例えば、オレフィンオリゴマー、メドウフォーム油、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、エチルヘキサン酸セチル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル等の油性成分と、抗酸化性の油性成分であるトコフェロール、ヘマトコッカスプルビアリス油等との組み合わせが挙げられる。
本開示の乳化組成物は水性成分を含む。
水性成分は、水を含み、さらに、25℃における水への溶解度が1質量%以上、つまり、10g/L以上である成分を含んでもよい。
乳化組成物に含まれる水としては、化粧料に適用しうる水であれば特に制限はない。精製水、蒸留水、イオン交換水、純水、ミリQ水等の超純水のいずれも使用することができる。
なお、ミリQ水とは、メルク社の超純水製造装置であるミリQ水製造装置により得られる超純水である。
水は水相を構成する成分の1つとなる。
水の含有量は、乳化組成物全量に対し、50質量%以上94質量%以下であることが好ましく、60質量%以上90質量%以下がより好ましく、70質量%以上85質量%以下が更に好ましい。
乳化組成物は、レシチンを含むことができる。
レシチンとしては、グリセリン骨格と脂肪酸残基及びリン酸残基とを必須構成成分とし、これに、塩基や多価アルコール等が結合したもので、リン脂質とも称されるものが挙げられる。
レシチンは、分子内に親水基と疎水基を有していることから、従来、食品、医薬品、化粧品分野で、広く、乳化剤として使用されている。
レシチン純度は、レシチンがトルエンに溶解しやすくアセトンに溶解しない性質を利用して、トルエン不溶物とアセトン可溶物の重量を差し引くことにより求められる。
このようなレシチンの具体例としては、例えば、大豆、トウモロコシ、落花生、ナタネ、麦等の植物や、卵黄、牛等の動物、及び大腸菌等の微生物等に由来する各種レシチンを挙げることができる。
このようなレシチンを化合物名で示すと、例えば、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルメチルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ビスホスファチジン酸、ジホスファチジルグリセリン(カルジオリピン)等のグリセロレシチン;スフィンゴミエリン等のスフィンゴレシチン等が挙げられる。
レシチンは、1種のみを含有してもよく、2種以上を含有してもよい。
乳化剤としては、ノニオン界面活性剤が好ましい。
これらのノニオン界面活性剤は、蒸留などで高度に精製されたものであることは必ずしも必要ではなく、反応混合物であってもよい。
ポリグリセリン脂肪酸エステルの好ましい例としては、ステアリン酸ポリグリセリル−2、オレイン酸ポリグリセリル−2、イソステアリン酸ポリグリセリル−2、ステアリン酸ポリグリセリル−4、オレイン酸ポリグリセリル−10、ジイソステアリン酸ポリグリセリル−10、ミリスチン酸ポリグリセリル−10、ステアリン酸ポリグリセリル−10等が挙げられる。
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、単独で又は2種以上で用いることができる。
グリセリン脂肪酸エステルの例としては、ステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル等が挙げられる。
ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルは、1分子中のエステル結合が1個である化合物(すなわち、モノ脂肪酸エステル)であってもよく、1分子中のエステル結合が2個以上である化合物(すなわち、ジ脂肪酸エステル、トリ脂肪酸エステル等)であってもよく、エステル結合の数が異なる2種以上の化合物の混合物であってもよい。ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルの例としては、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、ジイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリル、ジオレイン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリオレイン酸ポリオキシエチレングリセリル、ステアリン酸PEG−5グリセリル、イソステアリン酸PEG−20グリセリル、イソステアリン酸PEG−60グリセリル等が挙げられる。
ショ糖脂肪酸エステルの好ましい例としては、ショ糖ジオレイン酸エステル、ショ糖ジステアリン酸エステル、ショ糖ジパルミチン酸エステル、ショ糖ジミリスチン酸エステル、ショ糖ジラウリン酸エステル、ショ糖モノオレイン酸エステル、ショ糖モノステアリン酸エステル、ショ糖モノパルミチン酸エステル、ショ糖モノミリスチン酸エステル、ショ糖モノラウリン酸エステル等が挙げられる。
乳化組成物がショ糖脂肪酸エステルを含む場合、ショ糖脂肪酸エステルを1種のみ含んでもよく2種以上含んでもよい。
(安定化剤)
乳化組成物は、アスコルビン酸、及びアスコルビン酸誘導体から選ばれる安定化剤を含有してもよい。
アスコルビン酸、及びアスコルビン酸誘導体として、具体的には、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム、アスコルビン酸カルシウム、硫酸アスコルビル、硫酸アスコルビル2ナトリウム塩、アスコルビル−2−グルコシド、パルミチン酸アスコルビルリン酸3ナトリウム、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸リン酸ナトリウム等が挙げられる。
これらの中でも、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、及びアスコルビン酸リン酸ナトリウムが好ましく、アスコルビン酸リン酸マグネシウムが特に好ましい。
乳化組成物は、香料などの油性成分を乳化組成物中に安定的に配合させる目的で、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含むことができる。
また、乳化組成物がポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含むことで、エアゾル化粧料の噴射後において、乳化組成物の濁度上昇を抑制するという効果も得ることができる。
乳化組成物は、使用感、特に保湿性を高める点から、無機性/有機性比、即ち、I/O値が2.5以上である保湿剤(以下、「特定保湿剤」と称することがある。)を含んでいてもよい。
無機性値とは、有機化合物が有している種々の置換基や結合等の沸点への影響力の大小を、水酸基を基準に数値化したものである。また、有機性値とは、分子内のメチレン基を単位とし、そのメチレン基を代表する炭素原子の沸点への影響力を基準にして定めたものである。
特定保湿剤として有用な多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ポリグリセリン、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、を挙げることができる。
特定保湿剤として有用な糖類としては、例えば、グルコース、スクロース、ソルビトール、トレハロース、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、マルトース、マンニトール、マルトトリオースを挙げることができる。糖類は誘導体でもよく、例えば、ポリオキシエチレン(POE)修飾した糖を用いてもよい。POE修飾した糖としては、POE−10メチルグルコシド、POE−20メチルグルコシド等が挙げられる。
特定保湿剤として有用な糖アルコール類としては、例えば、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクトース、マルトトリイトール、キシリトール等を挙げることができる。
特定保湿剤として有用なタンパク質としては、例えば、カゼイン、アルブミン、メチル化コラーゲン、加水分解コラーゲン、水溶性コラーゲン、ゼラチン等の分子量5000超のタンパク質等が挙げられる。
特定保湿剤として有用な合成高分子としては、例えば、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
乳化組成物が特定保湿剤を含む場合、1種のみを含んでもよく、2種以上を含んでもよい。
マルチトールなどの糖アルコールを用いる場合は、糖アルコールの含有量は、乳化組成物全量に対し0.5質量%〜5質量%とすることが好ましく、1質量%〜3質量%とすることがより好ましい。
ポリエチレングリコールを用いる場合は、ポリエチレングリコールの含有量は、乳化組成物全量に対し0.5質量%〜5質量%とすることが好ましく、1質量%〜3質量%とすることがより好ましい。
また、乳化組成物に対する特定保湿剤の総含有量は、0.5質量%〜20質量%とすることが好ましく、1.0質量%〜15質量%とすることがより好ましい。
乳化組成物は、効果を損なわない範囲で、上記の成分以外に、必要に応じて、添加剤を含有していてもよい。
添加剤としては、通常、化粧料として配合可能な各種の成分を目的に応じて使用することができる。
添加剤の一部として具体的には、カッパーカラギーナン、ローカストビーンガム、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアガム、キサンタンガム、カラヤガム、タマリンド種子多糖、アラビアガム、トラガカントガム、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、デキストリン等の単糖類又は多糖類;チアミン等のビタミンB1化合物;リボフラビン等のビタミンB2化合物;ニコチン酸、ニコチン酸アミド等のビタミンB3化合物;ナイアシン、パントテン酸、パントテニルエチルエーテル等のビタミンB5化合物、ピリドキシン等のビタミンB6化合物、ビオチン等のビタミンB7化合物、コバラミン等のビタミンB12化合物、葉酸等のビタミンB群;γ−オリザノール、オロチン酸、グルクロノラクトン、グルクロン酸アミド、ヨクイニンなどの水溶性ビタミン化合物;塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムなどの無機塩;グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、シスチン、メチオニン、リジン、ヒドロキシリジン、アルギニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アセチルヒドロキシプロリン等のアミノ酸及びそれらの誘導体;酸化エチレン/酸化プロピレンブロック共重合体等の合成高分子;ヒドロキシエチルセルロース/メチルセルロース等の水溶性セルロース誘導体;フラボノイド類(カテキン、アントシアニン、フラボン、イソフラボン、フラバン、フラバノン、ルチン);フェノール酸化合物(クロロゲン酸、エラグ酸、没食子酸、没食子酸プロピル等);リグナン化合物、クルクミン化合物、クマリン化合物、プテロスチルベン等を含むヒドロキシスチルベン;などを挙げることができる。
乳化組成物のpHは、5.0以上7.5以下が好ましく、6.5以上7.5以下であることがより好ましい。
このpH範囲とすることによって、乳化組成物の保存安定性、特に室温(25℃)での保存安定性を良好なものにすることができる。
なお、本明細書におけるpHは、例えば、東亜ディーケーケー社、HM−30R型(商品名)などを用いて測定でき、25℃にて測定した値を採用している。
乳化組成物は、固体炭化水素、シリコーン、及び高級アルコールを少なくとも含む油相組成物と、水相組成物と、を混合し、常法により乳化することを含む製造方法により、製造することができる。
水相組成物中には、水、乳化剤、及び特定保湿剤が含まれることが好ましい。
例えば、a)水、さらに所望により、好ましい併用成分である特定保湿剤、及び乳化剤等を混合し溶解して、水相組成物を得る、b)固体炭化水素、シリコーン、及び高級アルコールを少なくとも含む油性成分を混合し溶解して、油相組成物を得る、そして、c)撹拌下で水相組成物と油相組成物とを混合して、乳化分散を行うという調製方法をとることができる。
均質バルブ型高圧ホモジナイザーは、処理液の流路の幅を容易に調節することができるので、操作時の圧力及び流量を任意に設定することができ、その操作範囲が広いため、乳化組成物の調製に好ましく用いることができる。
操作の自由度は低いが、圧力を高める機構が作りやすいため、超高圧を必要とする用途にはチャンバー型高圧ホモジナイザーも好適に用いることができる。
均質バルブ型高圧ホモジナイザーとしては、ゴーリンタイプホモジナイザー(APV社製)、ラニエタイプホモジナイザー(ラニエ社製)、高圧ホモジナイザー(ニロ・ソアビ社製)、ホモゲナイザー(三和機械(株)製)、高圧ホモゲナイザー(イズミフードマシナリ(株)製)、超高圧ホモジナイザー(イカ社製)等が挙げられる。
乳化分散された乳化組成物は、チャンバー通過直後30秒以内、好ましくは3秒以内に何らかの冷却器を通して冷却することが、乳化粒子の粒子径保持の観点から好ましい。
本開示のエアゾル化粧料は、シリコーン、高級アルコール、及び常温で固体の炭化水素を含有する油性成分と、水性成分と、を含む水中油型乳化組成物であり、水中油型乳化組成物の全量に対する油性成分の総含有量が6質量%以上である水中油型乳化組成物、並びに、炭酸ガスを含む噴射剤を含有する。
エアゾル化粧料には、炭酸ガスを含む噴射剤が用いられる。
噴射剤には、効果を損なわない範囲で、炭酸ガスの他、エアゾル化粧料に用いられる噴射剤を併用してもよい。
炭酸ガスと併用可能な噴射剤としては、圧縮窒素、圧縮空気、液化石油ガス(LPG)、イソブタン、ジメチルエーテルなどが挙げられる。
炭酸ガスを主たる噴射剤として含むことで、炭酸ガスの血行促進効果に加え、従来汎用のLPGを噴射剤として含む場合に比較して、微細な油相粒子を含む乳化組成物がより安定となり、乳化組成物に期待される効果が、内容物である乳化組成物と同じレベルで得られるものと考えられる。
具体的には、噴射剤の充填の際の容器内圧は、0.1MPa以上1.5MPa以下が好ましく、0.2MPa以上1.0MPa以下がより好ましく、0.3MPa以上0.85MPa以下が更に好ましい。
本開示のエアゾル化粧料が充填されるエアゾル容器としては、耐圧容器であればよく、金属、ガラス、プラスチック等の素材を用いた容器が使用できる。
また、エアゾル容器へのエアゾル化粧料の充填方法としては、公知の方法を使用することができる。具体的には、ガッサーシェイカー法、サチュレーター法、スルーバルブ法、アンダーカップ法等が挙げられる。
エアゾル化粧料の充填方法として、ガッサーシェイカー法等を利用する場合、耐圧性能の高い、アルミニウムのインパクト缶、アルミニウムのDI(Drawing and Ironing)缶、及びブリキ・モノブロック缶が好ましい。
また、エアゾル容器が内容物(乳化組成物)を充填する内袋を備えた2重容器の場合は、内袋は、ガス透過性をある程度確保するために、ポリエチレン、ポリプロピレン等の素材を用いたものが好ましい。
エアゾル化粧料の用途には特に制限はない。非限定的な用途として、例えば、皮膚化粧料(スキンケア化粧料:化粧水、美容液、パックなどを含む)、日焼け止めスプレー等のUVケア化粧料、ボディ用化粧料、頭髪化粧料などを挙げることができる。
なお、本開示のエアゾル化粧料は、上記構成としたため、皮膚刺激が抑制され、皮膚に適用した際の保湿性が良好で、べたつきがなく、良好な泡を形成しうる。即ち、泡立ち、泡持ちがよく、皮膚に適用した場合の液だれが生じ難いため、炭酸ガスを含む微細な泡が皮膚上に留まる時間がより長くなる。
このため、皮膚、特に皮膚が薄く刺激を受け易く、血行促進と保湿による効果が望まれる目元、又は目の周りに適用して、その効果が著しい。
なお、特に断らない限り、以下、「部」及び「%」はいずれも質量基準である。
〔乳化組成物の調製〕
表2〜表3に記載の油相組成物に含まれる各成分を、80℃のウォーターバスにて、1時間加熱し、撹拌して油相組成物を得た。
なお、表2〜表3においては、各成分を既述の略称で記載する場合がある。「常温で固体の炭化水素」は「固体炭化水素」と、「I/O値が2.5以上の保湿剤」は「特定保湿剤」と、それぞれ記載した。
エアゾル容器(アルミニウム製エアゾル用耐圧容器、容量100mL)に、49.0gの乳化組成物(1)と、1.0gの炭酸ガス(容器内圧が0.65MPa程度)と、を充填して、実施例1のエアゾル化粧料を得た。
実施例2〜実施例7及び比較例1〜比較例6についても、表2〜表3に記載の処方に従い、油相組成物、水相組成物A及び水相組成物Bを調製した。得られた油相組成物、水相組成物A及び水相組成物Bを用いて、実施例1と同様にして乳化組成物及びエアゾル化粧料を得た。
得られたエアゾル化粧料について、以下の評価を行ない、評価結果を下記表2〜表3に記載した。
得られたエアゾル化粧料を手のひらに直径2cm位の円形に噴射し、手指にて顔の皮膚に塗り拡げた。
顔の皮膚に適用した場合の使用感として、(1)保湿感、(2)べたつきのなさ、及び(3)刺激について、以下に示す基準にて評価した。
なお、使用感の評価は、モニター10名により行い、結果を表2〜表3に記載した。
顔の皮膚表面に皮膜のような残り感があるかどうかを確認し、皮膜のような残り感がある化粧料をしっとりすると評価した。
(1−1)以下に記載の基準に従い、それぞれのモニターが、保湿感の評価を行った。
1:しっとりしない
2:しっとりをわずかに感じる
3:しっとりする
4:しっとりをやや強く感じる
5:しっとりを強く感じる
(1−2)モニター10名分の(1−1)の評価結果の評点を算術平均し、以下の基準に沿って評価した。
S:4.0以上5.0以下
A:3.0以上4.0未満
B:2.0以上3.0未満
C:1.0以上2.0未満
なお、S、A及びBが製品として許容範囲である。
顔の肌を手で触って手を放したときの感触により、さらさらとした感触がある場合をべたつかないと評価し、油分が肌に残る感触がある場合をべたつくと評価した。
(2−1)以下に記載の基準に従い、それぞれのモニターが、べたつきの評価を行った。
1:べたつきを感じない
2:べたつきをわずかに感じる
3:べたつきを感じる
4:べたつきをやや強く感じる
5:べたつきを強く感じる
(2−2)モニター10名分の(2−1)の評価結果の評点を算術平均し、以下の基準に沿って評価した。
S:1.0以上1.5未満
A:1.5以上2未満
B:2以上3未満
C:3以上5.0以下
なお、S、A及びBが製品として許容範囲である。
顔の皮膚表面に塗布した場合、ピリピリするような感触があるかどうかを確認して評価した。
(3−1)以下に記載の基準に従い、それぞれのモニターが、刺激の評価を行った。
1:刺激を感じない
2:刺激をわずかに感じる
3:刺激を感じるが、使い続けることができる
4:刺激をやや強く感じ、使い続けることが難しい
5:刺激を強く感じ、使い続けることが困難
(3−2)モニター10名分の(3−1)の評価結果の評点を算術平均し、以下の基準に沿って評価した。
S:1.0以上1.5未満
A:1.5以上2未満
B:2以上3未満
C:3以上5.0以下
なお、S、A及びBが製品として許容範囲である。
(1)起泡性
エアゾル化粧料を、ビューラックス社バイオスキンの面上に1秒間噴射させ、起泡状態を目視にて観察して、下記の基準で評価した。
A:立体的な泡を形成した(バイオスキンの面上から高さ5mm以上の泡塊)
B:平面的な泡を形成した(バイオスキンの面上から高さ1mm以上5mm未満の泡塊)
C:ほとんど泡を形成せず、すぐに液状になった
エアゾル化粧料を、ビューラックス社バイオスキンに、長さ5cm〜8cmに帯状に噴射させて、帯状の泡塊の長さ方向に厚さ1000μmのドクターブレードを押しつけ、帯状の泡塊の長さ方向とは垂直な方向に、一気にドクターブレードを引き、薄く拡げられた膜状の泡の態を目視で観察して、下記の基準で評価した。なお、きめ細かい泡の存在する箇所は、泡塊を薄い膜状に拡げても、泡の存在による光の乱反射で白く見える。一方、泡が結合して大きくなったり、泡が破壊された液状となったりした場合には、透明性が増して、膜状の泡を介してバイオスキンが透けて見える。
A:膜状の泡の全体が白く均一に見える
B:膜状の泡の一部が不均一になり、一部に膜を通してバイオスキンが見える部分がある
C:塗布膜全体が不均一になり、全体的に膜を通してバイオスキンが見える
上記(2)泡のキメ評価で作製した膜状の泡を25℃にて1分間放置し、膜状の泡の状態を目視で観察して、下記の基準で評価した。
A:膜全体が泡の状態を維持している
B:膜の一部が消泡している
C:膜全体が消泡している
他方、固体炭化水素を含まない比較例1及び比較例2のエアゾル化粧料は、刺激感があり、べとついた感触で使用感に劣っていた。
比較例3のエアゾル化粧料は、水溶性保湿剤の含有量が少ないためか、刺激は緩和されているが、べたつきがあり使用感に劣っていた。
高級アルコールを含まない比較例4のエアゾル化粧料は、泡質が劣り、実用上問題となるレベルであった。乳化組成物における油性成分の含有量が少なすぎる比較例5のエアゾル化粧料は、保湿感が十分に得られず、シリコーンを含まない比較例6のエアゾル化粧料は、べたついた感触であり、保湿感にもやや劣っていた。
表3の結果より、実施例2〜実施例5のエアゾル化粧料は、例えば、シリコーンの種類又は含有量、高級アルコールの含有量が変化しても、いずれの化粧料も、刺激が抑制され、使用感及び泡質ともに良好であった。
なお、乳化組成物に対する油性成分の含有量はほぼ同等の実施例2〜実施例4において、固体炭化水素の含有量が多い実施例4は保湿性、べとつきのなさがより良好であることがわかる。乳化組成物の全量に対する油性成分の含有量が多い実施例5は、保湿性がより良好であった。
Claims (4)
- シリコーン、高級アルコール、及び常温で固体の炭化水素を含有する油性成分と、水性成分と、を含む水中油型乳化組成物であり、
水中油型乳化組成物の全量に対する油性成分の総含有量が6質量%以上であり、
炭酸ガスを噴射剤として含むエアゾル化粧料用である水中油型乳化組成物であって、
常温で固体の炭化水素を含有する油性成分が、ワセリン及びマイクロクリスタリンワックスを含む油性成分である、水中油型乳化組成物。 - 油性成分の総含有量に対する常温で固体の炭化水素の含有量が10質量%以上である請求項1に記載の水中油型乳化組成物。
- 有機概念図で表される無機性/有機性比が2.5以上である保湿剤をさらに含む請求項1又は請求項2に記載の水中油型乳化組成物。
- シリコーン、高級アルコール、及び常温で固体の炭化水素を含有する油性成分と、水性成分と、を含む水中油型乳化組成物であり、水中油型乳化組成物の全量に対する油性成分の総含有量が6質量%以上である水中油型乳化組成物、並びに、
炭酸ガスを含む噴射剤、を含有するエアゾル化粧料であって、
常温で固体の炭化水素を含有する油性成分が、ワセリン及びマイクロクリスタリンワックスを含む油性成分である、エアゾル化粧料。
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