JP6931543B2 - 排熱利用システム、アルコール蒸留設備及び排熱利用方法 - Google Patents
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Description
特許文献1には、蒸留塔の負荷変動に関する記述はなく、従って、蒸留塔の負荷変動に対して加熱源として必要な水蒸気を安定供給する手段も開示されていない。
アルコール蒸留塔から得られるアルコールベーパの凝縮熱を回収するための排熱利用システムであって、
前記アルコールベーパと熱回収水とを熱交換する熱交換器で前記熱回収水が気化した水蒸気を前記アルコール蒸留塔を含むアルコール蒸留装置に供給する供給路と、
前記供給路に直列に設けられ前記水蒸気を昇圧させる圧縮機及び容量可変型エジェクタと、を備え、
前記圧縮機及び前記容量可変型エジェクタで昇圧した前記水蒸気を前記供給路を介して前記アルコール蒸留装置の加熱源として供給する。
上記(1)の構成によれば、上記供給路に直列に設けられた圧縮機及び容量可変型エジェクタによって、上記熱交換器でアルコールベーパと熱交換して得られる水蒸気量を蒸留塔へ供給する過程で制御する。これによって、蒸留塔の負荷変動に対して、蒸留塔への水蒸気の安定供給が可能となり、蒸留塔の稼動を安定化できる。
前記圧縮機及び前記容量可変型エジェクタで昇圧された前記水蒸気を熱源として前記アルコール蒸留塔のアルコール水溶液を加熱する流下液膜式加熱器を備え、
前記流下液膜式加熱器は、前記アルコール水溶液を前記流下液膜式加熱器の伝熱面に流下させて前記水蒸気と前記アルコール水溶液とを熱交換させるように構成される。
上記(2)の構成によれば、上記流下液膜式加熱器を備えることで、水蒸気とアルコール水溶液との熱交換効率を向上できる。これによって、蒸留塔の負荷変動に追従して水蒸気とアルコール水溶液との熱交換量を安定化できるので、蒸留塔の稼働を安定化できる。
前記供給路において、前記容量可変型エジェクタは前記圧縮機の下流側に設けられる。
上記(3)の構成によれば、上記熱交換器で生成した水蒸気をまず圧縮機で昇圧した後、容量可変型エジェクタでさらに昇圧して蒸留塔に供給する。容量可変型エジェクタを圧縮機の下流側に設けることで、容量可変型エジェクタに供給される駆動流体の流量を可変することができるので、所望の水蒸気流量に調整できる。また、圧縮機は容量可変型エジェクタの上流側に設けられるので、駆動流体は圧縮機に流入しない。従って、圧縮機の吸込み量が増加しないので、圧縮機の動力を増加させずに、所望の吐出圧を得ることができる。
前記圧縮機の接ガス部は無給油式の容量可変型容積圧縮機である。
上記(4)の構成によれば、圧縮機の接ガス部は無給油式であるので、蒸留塔のアルコール水溶液に潤滑油などが混入せず、そのため、アルコールベーパの品質に影響を与えない。また、圧縮機は容量可変型容積圧縮機であるので、水蒸気量が変動してもそれに追従した運転が可能であり、圧縮性能が低下しない。
前記供給路は、前記圧縮機及び前記容量可変型エジェクタの下流側で、第1アルコール蒸留塔に前記水蒸気を供給する精留塔供給路と、第2アルコール蒸留塔に前記水蒸気を供給する抽出塔供給路と、を有し、
前記流下液膜式加熱器は前記精留塔供給路又は前記抽出塔供給路の一方に設けられる。
上記(5)の構成によれば、第1アルコール蒸留塔及び第2アルコール蒸留塔に水蒸気を供給できる。また、負荷変動がある蒸留塔に熱交換効率が高い流下液膜式加熱器を設けるので、負荷変動がある蒸留塔の稼働を安定化できる。
前記第1アルコール蒸留塔はアルコール抽出塔であって、前記第2アルコール蒸留塔はアルコール精留塔であり、
前記流下液膜式加熱器は、前記精留塔供給路又は前記抽出塔供給路のうち、前記アルコール抽出塔に前記水蒸気を供給する分岐路に設けられる。
上記(6)の構成によれば、アルコール精留塔(以下、単に「精留塔」とも言う。)は負荷変動は発生しない。流下液膜式加熱器を負荷変動が起こり得る抽出塔に設けることで、抽出塔の負荷変動に追従してアルコール水溶液と水蒸気との熱交換量を安定化できるので、抽出塔の運転稼働を安定化できる。
前記精留塔供給路及び前記抽出塔供給路の各々に流量調整弁を備える。
上記(7)の構成によれば、精留塔供給路及び抽出塔供給路の各々に流量調整弁を備えることで、第1アルコール蒸留塔又は第2アルコール蒸留塔の負荷変動に対応してこれらの蒸留塔に供給する水蒸気量を調整可能である。これによって、これら蒸留塔の稼働を安定化できる。
前記精留塔供給路及び前記抽出塔供給路の分岐部に設けられ、前記供給路、前記精留塔供給路及び前記抽出塔供給路が接続されるヘッダと、
前記駆動流体として前記容量可変型エジェクタに供給される水蒸気の駆動流体流路と、
前記駆動流体流路から分岐し前記駆動流体の一部を前記ヘッダに供給する分岐流路と、
前記分岐流路に設けられる圧力調整弁と、
を備える。
また、上記分岐流路を備えることで、ヘッダ内の水蒸気の圧力が足りないときに、上記駆動流体としての水蒸気をヘッダに供給することで、ヘッダ内水蒸気の圧力を高めることができる。
少なくとも1個のアルコール蒸留塔と、
上記(1)〜(8)の何れかの構成を有する排熱利用システムと、
を備える。
上記(9)の構成によれば、上記(1)〜(8)の何れかの構成を有する排熱利用システムを備えることで、上記圧縮機及び上記容量可変型エジェクタによって、上記熱交換器でアルコールベーパと熱交換して得られる水蒸気量を蒸留塔へ供給する過程で制御する。これによって、蒸留塔の負荷変動に対して、蒸留塔への水蒸気の安定供給が可能となり、蒸留塔の稼動を安定化できる。
アルコール蒸留塔から得られるアルコールベーパの凝縮熱を回収するための排熱利用方法であって、
前記アルコールベーパと熱回収水とを熱交換して前記熱回収水を気化する熱交換ステップと、
前記熱交換ステップで前記熱回収水が気化した水蒸気を前記アルコール蒸留塔を含むアルコール蒸留装置に加熱源として供給する排熱供給ステップと、
前記水蒸気を前記アルコール蒸留装置に供給する供給路に直列に設けられた圧縮機及び容量可変型エジェクタで、前記水蒸気を昇圧させる昇圧ステップと、
を含む。
前記水蒸気が飽和水蒸気である。
上記(11)の方法によれば、熱源として飽和水蒸気を用いることで、蒸留塔におけるアルコール水溶液の加熱効率を向上できる。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一つの構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
一実施形態では、蒸留塔12は、抽出塔12(12A)、精留塔12(12B)及びメチル塔12(12C)を含む。抽出塔12(12A)に供給された粗留アルコールは加熱され、不純物を含むアルコールベーパが塔頂から流出し、メチル塔12(12C)に付設された加熱器14の加熱源として利用された後、塔頂凝縮器16で凝縮される。塔頂凝縮器16で凝縮した凝縮液の一部は抽出塔内のアルコール水溶液のアルコール濃度を増加させるために抽出塔12(12A)に還流され、残りはアルコール副産物として抜出される。
図1において、蒸留塔12から流出したアルコールベーパは熱交換器18で冷却水wと熱交換して凝縮する。冷却水wは水蒸気Swとなり、供給路32を介して1個又は2個以上の蒸留塔12に熱源として供給される。
供給路32には圧縮機34及び容量可変型エジェクタ36が直列に設けられている。供給路32に流入した水蒸気Swは圧縮機34及び容量可変型エジェクタ36によって昇圧された後、蒸留塔12のどれかに加熱源として供給される。
流下液膜式加熱器38を備えることによって、水蒸気とアルコール水溶液との熱交換効率を向上できる。そのため、水蒸気が供給される蒸留塔12に負荷変動があっても、負荷変動に追従して水蒸気とアルコール水溶液との熱交換量を安定化できる。これによって、蒸留塔12の稼働を安定化できる。
図2において、流下液膜式加熱器38は内部に密閉空間を有するチャンネルカバー40を有する。流下液膜式加熱器38が設けられた蒸留塔内のアルコール水溶液Ltは循環路42を介しポンプ44によってチャンネルカバー40に循環される。チャンネルカバー40の内部には複数の伝熱管46が並列に設けられる。伝熱管46は上下管板48に固定される。
アルコール水溶液Ltは伝熱管46の内部を流下する際に、伝熱管46の内壁面に液膜を形成するため、水蒸気Swとの熱交換効率を向上できる。
例えば、105℃の水蒸気Swと100℃のアルコール水溶液Ltとの間で高い熱交換効率が可能になり、抽出塔12(12A)に負荷変動があり、水蒸気Swの流量が変動しても、抽出塔12(12A)の稼働を安定化できる。
一実施形態では、熱交換器18の下部にはタンク50が設けられ、冷却水wが気化した水蒸気Swはタンク50に貯留される。タンク50は供給路32を介して圧縮機34の吸入口に連通しており、タンク内の水蒸気は圧縮機34に吸引されるためタンク内は負圧となる。例えば、熱交換器18に流入するアルコールベーパが80℃であったとしても、タンク内が負圧となるため、冷却水wは気化可能である。
供給路32に流入した水蒸気Swはまず圧縮機34で昇圧され、次に、容量可変型エジェクタ36でさらに昇圧されて蒸留塔12に供給される。容量可変型エジェクタ36を圧縮機34の下流側に設けることで、容量可変型エジェクタ36に供給される駆動流体は圧縮機34に流入しない。そのため、圧縮機34の吸込み量が増加しないので、圧縮機34の動力を増加させずに、所望の吐出圧を得ることができる。
圧縮機34は、例えば、スクリュー圧縮機、遠心圧縮機等を用いることができる。また、図1に示すように、駆動部としてこれら圧縮機の回転数を可変とするインバータモータ34aを備えることで、圧縮容量を可変とすることができる。
上記構成によれば、2個の蒸留塔12に水蒸気Swを供給できると共に、負荷変動がある蒸留塔に熱交換効率が高い流下液膜式加熱器38を設けることで、負荷変動がある蒸留塔の稼働を安定化できる。
負荷変動が発生する可能性がある抽出塔12(12A)に水蒸気Swを供給する抽出塔供給路54に流下液膜式加熱器38を設けることで、抽出塔に負荷変動があっても抽出塔の稼働を安定化できる。
精留塔供給路52及び抽出塔供給路54の各々に流量調整弁56又は58を備え、好ましくは、さらに、流量センサ57又は59を備え、流量センサ57又は59の検出値に基づいて流量調整弁56又は58の開度を制御することで、少なくとも2個の蒸留塔12の負荷変動に対応してこれら蒸留塔に供給する水蒸気量を調整可能である。これによって、これら蒸留塔の稼働を安定化できる。
また、分岐流路68を備えることで、ヘッダ60内の水蒸気の圧力が足りないときに、駆動流体としての水蒸気の一部をヘッダ60に供給することで、ヘッダ内の水蒸気の圧力を高めることができる。
一実施形態では、流下液膜式加熱器38に供給され、アルコール水溶液Ltとの熱交換に供された後の水蒸気Swは、温水タンク(不図示)などを経てボイラ72に戻される。
圧力センサ62、温度センサ64及び流量センサ78、80の検出値を監視することで、少なくとも2個の蒸留塔12に供給する水蒸気の圧力、温度及び流量を最適値に調整できる。
上記構成により、ボイラ72で生成した高圧の水蒸気をヘッダ82及び60で段階的に減圧できるので、蒸留塔12に供給する水蒸気の流量調整が容易になる。
一実施形態では、駆動流体流路66の入口付近に開閉弁74を設け、排熱利用システム30の稼働開始時又は稼働終了時に開閉弁74を開閉する。
制御部84を設けることで、排熱利用システム30の自動運転が可能になる。
図4に示すように、少なくとも1個の蒸留塔12で得られるアルコールベーパと冷却水wとを熱交換して冷却水wを気化する(熱交換ステップS10)。
熱交換ステップS10の後、熱交換ステップS10で冷却水wが気化した水蒸気Swを、少なくとも1個の蒸留塔12を含むアルコール蒸留装置に加熱源として供給する(排熱供給ステップS12)。
また、排熱供給ステップS12において、水蒸気Swをアルコール蒸留装置に供給する供給路32に直列に設けられた圧縮機34及び容量可変型エジェクタ36で、水蒸気Swを昇圧させる(昇圧ステップS14)。
なお、蒸留塔12に供給する加熱源として、飽和水蒸気をさらに加熱した過熱水蒸気でもよい。
12 蒸留塔
12A 抽出塔
12B 精留塔
12C メチル塔
14 加熱器
16 塔頂凝縮器
18 熱交換器
20 サイフォン式加熱器
30 排熱利用システム
32 供給路
34 圧縮機
34a インバータモータ
36 容量可変型エジェクタ
37、56、58、 流量調整弁
38 流下液膜式加熱器
40 チャンネルカバー
42 循環路
44 ポンプ
46 伝熱管
48 管板
50 タンク
52 精留塔供給路
54 抽出塔供給路
60、82 ヘッダ
62 圧力センサ
64 温度センサ
66 駆動流体流路
68 分岐流路
70、76 圧力調整弁
72 ボイラ
74 開閉弁
57,59、78、80 流量センサ
84 制御部
Lt アルコール水溶液
Sw 水蒸気
w 冷却水
Claims (11)
- アルコール蒸留塔から得られるアルコールベーパの凝縮熱を回収する排熱利用システムであって、
前記アルコールベーパと熱回収水とを熱交換する熱交換器で前記熱回収水が気化した水蒸気を前記アルコール蒸留塔を含むアルコール蒸留装置に供給する供給路と、
前記供給路に設けられ前記水蒸気を昇圧させる圧縮機と、
前記圧縮機と直列に前記供給路に設けられて前記水蒸気を昇圧させるとともに、前記水蒸気の吐出流量を調整可能に構成されたエジェクタと、を備え、
前記圧縮機及び前記エジェクタで昇圧した前記水蒸気を前記供給路を介して前記アルコール蒸留装置に熱源として供給することを特徴とする排熱利用システム。 - 前記圧縮機及び前記エジェクタで昇圧された前記水蒸気を熱源として前記アルコール蒸留塔のアルコール水溶液を加熱する流下液膜式加熱器を備え、
前記流下液膜式加熱器は、前記アルコール水溶液を前記流下液膜式加熱器の伝熱面に流下させて前記水蒸気と前記アルコール水溶液とを熱交換させるように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の排熱利用システム。 - 前記供給路において、前記エジェクタは前記圧縮機の下流側に設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の排熱利用システム。
- 前記圧縮機は無給油式の容量可変型容積圧縮機であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の排熱利用システム。
- 前記供給路は、前記圧縮機及び前記エジェクタの下流側で、第1アルコール蒸留塔に前記水蒸気を供給する第1供給路と、第2アルコール蒸留塔に前記水蒸気を供給する第2供給路と、を有し、
前記流下液膜式加熱器は前記第1供給路又は前記第2供給路の一方に設けられることを特徴とする請求項2乃至4の何れか一項に記載の排熱利用システム。 - 前記第1アルコール蒸留塔はアルコール抽出塔であって、前記第2アルコール蒸留塔はアルコール精留塔であり、
前記流下液膜式加熱器は、前記アルコール抽出塔に前記水蒸気を導く前記第1供給路に設けられることを特徴とする請求項5に記載の排熱利用システム。 - 前記第1供給路及び前記第2供給路の各々に流量調整弁を備えることを特徴とする請求項5又は6に記載の排熱利用システム。
- 前記第1供給路及び前記第2供給路の分岐部に設けられ、前記供給路、前記第1供給路及び前記第2供給路が接続されるヘッダと、
駆動流体として前記エジェクタに供給される水蒸気の駆動流体流路と、
前記駆動流体流路から分岐して前記駆動流体の一部を前記ヘッダに供給する分岐流路と、
前記分岐流路に設けられる圧力調整弁と、
を備えることを特徴とする請求項5乃至7の何れか一項に記載の排熱利用システム。 - 少なくとも1個のアルコール蒸留塔と、
請求項1乃至8の何れか一項に記載の排熱利用システムと、
を備えることを特徴とするアルコール蒸留設備。 - アルコール蒸留塔から得られるアルコールベーパの凝縮熱を回収する排熱利用方法であって、
前記アルコールベーパと熱回収水とを熱交換して前記熱回収水を気化する熱交換ステップと、
前記熱交換ステップで前記熱回収水が気化した水蒸気を前記アルコール蒸留塔を含むアルコール蒸留装置に加熱源として供給する排熱供給ステップと、
前記水蒸気を前記アルコール蒸留装置に供給する供給路に直列に設けられた圧縮機、及び、該圧縮機と直列に前記供給路に設けられて前記水蒸気を昇圧させるとともに、前記水蒸気の吐出流量を調整可能に構成されたエジェクタで、前記水蒸気を昇圧させる昇圧ステップと、
を含むことを特徴とする排熱利用方法。 - 前記水蒸気が飽和水蒸気であることを特徴とする請求項10に記載の排熱利用方法。
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