JP6930254B2 - 位置判定システム - Google Patents

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Description

本開示は、ユーザによって携帯される通信装置である携帯端末と、車両に搭載された通信装置とが無線通信を実施する車両用無線通信システム、及び当該車両用無線通信システムを援用してなる位置判定システムに関する。
従来、車両のユーザによって携帯される通信装置である携帯端末と、車両に搭載された通信装置である車載通信機とが無線通信を実施する車両用無線通信システムを援用したシステムとして、車載通信機が携帯端末から送信される信号を受信することで、車両に対する携帯端末の位置を判定するシステム(以降、位置判定システム)がある。
例えば特許文献1には、携帯端末が送信した電波を、車室外に設けられたアンテナ(以降、車室外アンテナ)と車室内に設けられたアンテナ(以降、車室内アンテナ)で受信した結果に基づいて携帯端末が車室内外のどちらに存在するのかを判定する位置判定システムが開示されている。具体的には、車室外アンテナでの受信強度(以降、車室外強度)と車室内アンテナでの受信強度(以降、車室内強度)とを比較し、車室外強度のほうが車室内強度よりも高い場合には携帯端末は車室外に存在すると判定する。また、車室内強度のほうが車室外強度よりも高い場合には携帯端末は車室内に存在すると判定する。
特開2012−231号公報
しかしながら、発明者らは特許文献1に対応する構成において、携帯端末の位置と各アンテナでの受信強度の大小関係について試験したところ、次のような知見が得られた。
携帯端末が車室外に存在する場合、車室外の多くの領域では、車室外アンテナでの受信強度(以降、車室外強度)のほうが、車室内アンテナでの受信強度(以降、車室内強度)よりも高くなる。しかしながら、携帯端末が車室外に存在する場合であっても、マルチパスによって生じた複数の電波が互いに強め合うように作用し、車室内強度のほうが車室外よりも高くなってしまう場合があることを発見した。特に、携帯端末が窓際付近に存在する場合では、車室内強度も相対的に高いレベルとなりやすく、特許文献1の構成では正確に車室内外を判定することができない場合があるという知見を得た。
また、携帯端末が車室内に存在する場合であっても、マルチパスによって生じた複数の電波が互い弱め合うように作用し、車室内強度が車室外強度を下回る場合が存在する。なお、携帯端末が車室内に存在する場合に観測される車室外強度とは、窓等を介して車室外に漏れでた電波に対する車室外アンテナでの受信強度であり、携帯端末が車室外に存在する場合に観測される車室内強度とは、窓等を介して車室内に入り込んだ電波に対する車室内アンテナでの受信強度である。
このように特許文献1に例示される従来構成では、車室外に存在する携帯端末からの信号が車室内に入り込んだり、車室内に存在する携帯端末からの信号が車室外に漏れたりすることに由来して、位置判定システムが実際の位置とは異なる位置に携帯端末が存在すると誤判定してしまう場合がある。
本開示は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、携帯端末の位置の判定精度を向上させることが可能な車両用無線通信システム、位置判定システムを提供することにある。
記目的を達成するための第1の位置判定システムは携帯端末から発せられる2.4GHz以上の所定の周波数帯の電波を反射又は所定レベル以上減衰させる電波遮蔽部材(122)がサイドウインドウの窓ガラス部(12)に設けられた車両で使用される、携帯端末からの信号の受信状況に基づいて車両に対する携帯端末の位置を判定する位置判定システムであって、車両の車室内に設置された、携帯端末から発せられる信号を受信するための車室内アンテナ(151)と、車室内アンテナで受信した信号を取得する車室内信号受信部(152、223)と、車室内信号受信部での携帯端末からの信号の受信強度である車室内強度を検出する車室内強度検出部(153、224)と、車両の車室外領域に搭載された、携帯端末から発せられる信号を受信するための車室外アンテナ(141)と、車室外アンテナで受信した信号を取得する車室外信号受信部(142、221)と、車室外信号受信部及び車室内信号受信部のそれぞれでの携帯端末からの信号の受信状況に基づいて、携帯端末が車両の車室内に存在するか否かを判定する位置判定部(F5)と、車両に搭載されたセンサからの信号に基づき車両の全てのドア及び窓が閉じられている密閉状態であるか否かを判定する密閉状態判定部(S101)と、を備え、位置判定部は、車室内強度が所定の閾値以上であるか否かに基づいて携帯端末が車室内に存在するか否かを判定するものであって、密閉状態判定部によって車両は密閉状態であると判定されているか否かに応じて、携帯端末が車室内に存在すると判定するための閾値を変更する。
上記目的を達成するための第2の位置判定システムは、携帯端末から発せられる2.4GHz以上の所定の周波数帯の電波を反射又は所定レベル以上減衰させる電波遮蔽部材(122)がサイドウインドウの窓ガラス部(12)に設けられた車両で使用される、携帯端末からの信号の受信状況に基づいて車両に対する携帯端末の位置を判定する位置判定システムであって、車両の車室外領域に搭載された、携帯端末から発せられる信号を受信するための車室外アンテナ(141)と、車室外アンテナで受信した信号を取得する車室外信号受信部(142、221)と、車室外信号受信部での携帯端末からの信号の受信強度である車室外強度を検出する車室外強度検出部(143、222)と、車両の車室内に設置された、信号を受信するための車室内アンテナ(151)と、車室内アンテナで受信した信号を取得する車室内信号受信部(152、223)と、車室内信号受信部での携帯端末からの信号の受信強度である車室内強度を検出する車室内強度検出部(153、224)と、車室外信号受信部及び車室内信号受信部のそれぞれでの携帯端末からの信号の受信状況に基づいて、携帯端末が車両の車室内に存在するか否かを判定する位置判定部(F5)と、車両に搭載されたセンサからの信号に基づき車両の全てのドア及び窓が閉じられている密閉状態であるか否かを判定する密閉状態判定部(S101)と、を備え、位置判定部は、密閉状態判定部によって車両は密閉状態であると判定されているか否かに応じて、携帯端末の位置を判定するアルゴリズムを変更するように構成されている。
記の構成によれば、携帯端末からの信号の強度は窓ガラス部の電波遮蔽部材によって所定のレベル以上減衰されるため、車室内での信号強度と車室外での信号強度との間には有意な差が生じる。故に、位置判定部は、車室外信号受信部及び車室内信号受信部のそれぞれでの携帯端末からの信号の受信状況に基づいて、携帯端末が車両の車室内に存在するか否かを精度良く判定することができる。
なお、特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
位置判定システム100の全体構成を表した図である。 車両Hvの構成を説明するための図である。 サイドウインドウの窓ガラス部12の断面構造を概念的に表した図である。 車載システム10の電気的な構成を示すブロック図である。 車室外通信機14の概略的な構成の一例を示すブロック図である。 車室外アンテナ141の搭載位置の一例を示すブロック図である。 車室外通信機14の概略的な構成の一例を示すブロック図である。 ボディECU13の概略的な構成の一例を示すブロック図である。 比較構成において車室内アンテナ151から送信される信号の電界強度を実測した結果を示す図である。 比較構成での携帯端末90の位置に応じた車室内強度と車室外強度の分布を概念的に示す図である。 密閉状態に設定した車両Hvでの車室内アンテナ151から送信される信号の電界強度を実測した結果を示す図である。 密閉状態に設定した車両Hvでの携帯端末90の位置に応じた車室内強度と車室外強度の分布を概念的に示す図である。 位置判定部F5の作動を示すフローチャートである。 携帯端末90と通信するための構成の変形例を示す図である。 各種アンテナの搭載位置の変形例を示す図である。
[実施形態]
以下、本開示の実施形態について図を用いて説明する。図1は、本開示に係る車両用無線通信システムが適用された位置判定システム100の概略的な構成の一例を示す図である。図1に示すように位置判定システム100は、車両Hvに搭載された車載システム10と、当該車両Hvのユーザによって携帯される通信端末である携帯端末90と、を備えている。
携帯端末90は、所定の周波数帯の電波を用いて車載システム10と直接的に双方向無線通信する機能を備えた通信端末である。携帯端末90と車載システム10との無線通信の規格としては、例えばBluetooth Low Energy(Bluetoothは登録商標)や、Wi-Fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)等を採用することができる。ここでは一例として携帯端末90と車載システム10はBluetooth Low Energyの規格に準拠して通信を実施するように構成されているものとする。
なお、携帯端末90と車載システム10は超広帯域(UWB:Ultra Wide Band)通信で使用されるインパルス信号を用いて無線通信を実施するように構成されていても良い。UWB通信で用いられるインパルス信号とは、パルス幅が極短時間(例えば2ns)であって、かつ、500MHz以上の帯域幅(つまり超広帯域幅)を有する信号である。UWB通信に利用できる周波数帯(以降、UWB帯)としては、3.1GHz〜18GHzや、3.4GHz〜4.8GHz、7.25GHz〜18GHz、22GHz〜29GHz等がある。
携帯端末90と車載システム10とが無線通信を実施するための規格や、無線通信に使用される電波(以降、システム使用電波)の周波数は適宜選定されればよい。ここでは一例として携帯端末90と車載システム10は2.4GHzの電波を用いて通信を実施するものとするがこれに限らない。他の態様としてシステム使用電波は、上述したように3GHz〜10GHzの電波であってもよい。
携帯端末90は、上述の通信機能を備えていればよく、例えばスマートフォンを携帯端末90として用いることができる。もちろん、携帯端末90は、タブレット端末、ウェアラブルデバイス、携帯用音楽プレーヤ、携帯用ゲーム機、無線タグ等であってもよい。ウェアラブルデバイスは、脈拍等の生体情報をセンシングする機能を備えるものであっても良い。また、携帯端末90は、一般的にFOBとも称される、車両Hvの鍵としての機能を備える通信装置であってもよい。
車載システム10もまた、上述の通信機能を備えており、所定のタイミングで携帯端末90に対して応答信号の返送を要求する信号(以降、応答要求信号)を送信する。携帯端末90は、車載システム10から送信される応答要求信号を受信した場合には応答信号を返送する。携帯端末90が送信する信号には、より好ましい態様として、送信元情報が含まれているものとする。送信元情報は、例えば携帯端末90に割り当てられた識別情報(以降、端末IDとする)である。端末IDは他の通信端末と携帯端末90とを識別するための情報として機能する。
また、携帯端末90は、送信元情報を含む通信パケットを所定の送信間隔で無線送信することで、周囲の通信端末に対して、自分自身の存在を通知する(つまりアドバタイズする)。以降では便宜上、アドバイズを目的として定期的に送信される通信パケットのことをアドバタイズパケットと称する。
車載システム10は、応答要求信号に対する応答信号以外にも、携帯端末90から送信される種々の信号(例えばアドバタイズパケット)を受信することによって、携帯端末90が車載システム10と通信可能な範囲内に存在することを検出する。以降では、車載システム10が携帯端末90と通信可能な範囲のことを通信エリアとも記載する。車載システム10が請求項に記載の車載器に相当する。
<車両Hvの構成について>
ここではまず、車両Hvの構成について図2を用いて説明する。車両Hvは、オープンカーではない車両、すなわち、屋根を有し、全てのドアが閉じられ且つ全ての窓が閉められることによって密閉された車室内空間が形成される車両である。ここでは一例として車両Hvは自家用車とするが、他の態様として、タクシーや、バス、トラック等であってもよい。乗員の移動以外を主目的とする車両であってもよい。
車両Hvは金属製のボディ11を備える。金属板は電波を反射する性質を有するため、車両Hvのボディ11はシステム使用電波を反射する。すなわち、車両Hvは、システム使用電波の直進的な伝搬を遮断するボディを備える。
なお、ここでの遮断とは、理想的には反射であるが、これに限らない。システム使用電波を所定のレベル(以降、目標減衰レベル)以上減衰できる構成が、システム使用電波の伝搬を遮断する構成に相当する。目標減衰レベルは、車室内外で電波の信号強度に有意な差が生じる値とすればよく、例えば5dBとする。車両Hvのボディ11は、カーボン系樹脂を用いて形成されていてもよい。ただし、その場合、ボディの材料となるカーボン系樹脂は、システム使用電波の伝搬を5dB以上減衰させるほど十分にカーボンが充填された組成となっているものとする。
また、車両Hvのボディ11がカーボンを含まない汎用樹脂を用いて形成されている場合であっても、ボディ11の表面にシステム使用電波の伝搬を遮断する機能を奏する特定の金属パターンが設けられることによって、システム使用電波の伝搬を遮断するように構成されていればよい。システム使用電波の伝搬を遮断する機能を奏する金属パターン(以降、シールドパターン)とは、例えば銀ナノワイヤなどの細線導体をシステム使用電波の1/4波長以下の間隔で格子状に配置したパターンなどである。ここでの細線とは、線幅が50μm以下のものを指すこととする。
また、シールドパターンは、周知のメタ・サーフェス構造を援用して実現することができる。メタ・サーフェス構造は、ユニットセル(Unit Cell)と呼ばれる人工構造を繰り返し配列した構造である。メタ・サーフェス構造によれば特定の周波数帯の電波(ここではシステム使用電波)のみを選択的に反射したり減衰させたり(すなわち遮断)することができる。また、車両Hvのボディ11は、汎用樹脂製のボディの上に、金属粉やカーボン粉末を含む塗料が塗られることによってシステム使用電波の伝搬を遮断するように構成されていてもよい。
車両Hvのドア等に設けられている窓ガラス部12もまた、システム使用電波の直進的な伝搬を遮断するように構成されている。なお、ここでの窓ガラス部12とは、例えばフロントウインドウや、車両Hvの側面部分に設けられている窓(いわゆるサイドウインドウ)、リアウインドウなどの、車両Hvに設けられている窓を塞ぐ透明な部材である。すなわち、窓ガラス部12は、風防として機能する透明な部材である。
ここでは一例として窓ガラス部12は、図3に示すようにガラス基板121の一方の面に、電波吸収層122を積層した部材とする。ガラス基板121の素材としては、例えばソーダライムガラスや石英ガラスなどを用いることができる。なお、ガラス基板121の素材としては、可視波長領域(450〜600nm)の光を、電波吸収層122と合わせた状態において十分に透過するものを適宜採用することができる。
電波吸収層122は、所定の透明樹脂(例えばアクリル樹脂)に、システム使用電波の伝搬を遮断すべく、微量のニッケル、コバルト、鉄などの金属粉末が所定の比率で充填された層である。窓ガラス部12は、全体として、可視光線領域での透明度(換言すれば透過率)が70%以上となるように形成されている。窓ガラス部12の透過率は、電波吸収層122における金属粉末の充填量によって調整されれば良い。このような構成によれば、運転席乗員の視界を確保することができる。電波吸収層122が請求項に記載の電波遮蔽部材に相当する。
なお、窓ガラス部12の表面にはガラス基板121等を保護するための保護層などが形成されていても良い。また、窓ガラス部12は、ガラス組成に直接的に所定の金属粉末を加えてなるガラスを用いて実現されていてもよい。その場合には、ガラス組成に添加される金属粉末が請求項に記載の電波減衰部材に相当する。さらに、窓ガラス部12はガラス基板121を備えなくともよい。つまり、窓ガラス部12は電波吸収層122を主体として構成されていても良い。
他の態様として窓ガラス部12は、車両Hvの設けられた窓ガラスの表面に、システム使用電波の伝搬を遮断するフィルム(以降、シールドフィルム)を、例えば車両Hvの製造工場やディーラーショップの従業員等が貼り付けることによって実現されても良い。シールドフィルムは、システム使用電波の伝搬を遮断するための金属層を備える透明なフィルムである。シールドフィルムは、例えば導電性組成物として酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide;ITO)を用いたITO膜や、導電性組成物として酸化亜鉛にガリウムをドープしたGZOを用いたGZO膜などの、透過性を有する導電膜を用いて実現することができる。
シールドフィルムの金属層は、例えば前述のシールドパターンと同様の構成を採用することもできる。シールドフィルムは、ガラス板と合わせた可視光線の透過率が70%以上となるように形成されている。窓ガラス部12としてガラス板の表面にシールドフィルムを貼り付けた構成は、ガラス板の表面にシールドパターンを形成した構成に相当する。シールドフィルムもまた、請求項に記載の電波減衰部材の一例に相当する。
なお、電波吸収層122やシールドフィルム等の電波遮蔽部材は、システム使用電波を遮断できればよく、その他の電波(例えばラジオ電波)については通過させるように構成されていることが好ましい。そのような構成は、前述のメタ・サーフェス構造を援用することで実現できる。また、窓ガラス部12の主素材はガラスに限らない。所定の透過率を達成する樹脂製であってもよい。つまり、窓ガラス部12はいわゆる樹脂ガラスを用いて実現されていても良い。
このように車両Hvは全体として、全てのドアが閉じられ且つ全ての窓が閉められている場合に、システム使用電波が車室外から車室内に進入したり、車室内から車室外に漏洩したりすることを遮断するように構成されている。つまり、システム使用電波の伝搬を遮断するように構成されている。
なお、本実施形態では車両Hvが備える全ての窓ガラス部12が電波遮蔽部材を備えるものとするが、これに限らない。少なくともサイドウインドウの窓ガラス部12が電波遮蔽部材を備えていれば良い。
<車載システム10の構成について>
次に、車載システム10の電気的な構成及び作動について述べる。車載システム10は、図4に示すように、ボディECU13、車室外通信機14、車室内通信機15、タッチセンサ16、始動ボタン17、施錠ボタン18、カーテシスイッチ19、パワーウインドウユニット20、及びエンジンECU21を備える。なお、部材名称中のECUは、Electronic Control Unitの略であり、電子制御装置を意味する。
車室外通信機14、車室内通信機15、パワーウインドウユニット20、及びエンジンECU21はそれぞれボディECU13と、車両内に構築された通信ネットワーク又は専用の信号線を介して双方向通信可能に接続されている。また、タッチセンサ16、始動ボタン17、施錠ボタン18、及びカーテシスイッチ19はそれぞれ、出力信号が直接的又は間接的にボディECU13に入力されるように構成されている。
ボディECU13は、概略的に、車室外通信機14などの他の構成との連携(換言すれば協働)によって、車両Hvに対する携帯端末90の位置を推定し、その推定結果に応じた車両制御を実施するECUである。このボディECU13は、コンピュータを用いて実現されている。すなわち、ボディECU13は、CPU13a、RAM13b、フラッシュメモリ13cなどを備えている。CPU13aは、種々の演算処理を実行する演算処理装置である。RAM13bは揮発性の記憶媒体であり、フラッシュメモリ13cは、書き換え可能な不揮発性の記憶媒体である。
フラッシュメモリ13cには、ユーザが所有する携帯端末90に割り当てられている端末IDが登録されている。便宜上以降では、携帯端末90の端末IDとしてフラッシュメモリ13cに登録されている端末IDのことを登録IDとも記載する。また、フラッシュメモリ13cには、通常のコンピュータをボディECU13として機能させるためのプログラム(以降、位置判定プログラム)等が格納されている。なお、上述の位置判定プログラムは、非遷移的実体的記録媒体(non- transitory tangible storage medium)に格納されていればよい。CPU13aが位置判定プログラムを実行することは、位置判定プログラムに対応する方法が実行されることに相当する。
このボディECU13の詳細については別途後述する。なお、車両Hvの走行用電源(例えばイグニッション電源)がオフになっている場合も、ボディECU13には、後述する位置判定処理を実施するために必要十分な電力が車載バッテリから供給されるように構成されている。
車室外通信機14は、携帯端末90と無線通信を実施するための通信モジュールである。車室外通信機14は、より細かい構成要素として図5に示すように、車室外アンテナ141、送受信部142、強度検出部143、及び通信マイコン144を備える。
車室外アンテナ141は、携帯端末90との通信に用いられる周波数帯の電波(つまりシステム使用電波)を送受信するためのアンテナである。本実施形態では一例として車室外アンテナ141は無指向性アンテナとする。他の態様として車室外アンテナ141は指向性を備えるものであってもよい。
車室外アンテナ141は、例えば、運転席用ドアの外側面や、車両Hvの屋根部、ボンネット等に配置される。本実施形態では一例として車室外アンテナ141は屋根部に1つ設けられているものとする。なお、車室外アンテナ141は、変形例として後述するように複数設けられていても良い。
車室外アンテナ141は、後述する送受信部142との協働によって、図6に示すように車室外に所定の通信エリアを形成する。図6中の破線領域は、車室外通信機14にとっての通信エリアの境界を示している。車室外通信機14にとっての通信エリアとは、携帯端末90と車載システム10(より具体的にはボディECU13)とが車室外通信機14を介して相互に通信可能な範囲に相当する。つまり、携帯端末90から送信された信号を車室外通信機14が復調可能なレベルで受信でき、かつ、車室外通信機14が送信した信号が携帯端末90において復調可能な強度を維持して到達する範囲である。
送受信部142は、車室外アンテナ141で受信した信号を復調し、通信マイコン144に提供する。また、通信マイコン144を介してボディECU13から入力された信号を変調して、車室外アンテナ141に出力し、電波として放射させる。受信信号の増幅率や、送信信号の送信電力によって車室外通信機14にとっての通信エリアが定まる。もちろん、送信電力や増幅率が大きいほど通信エリアは大きくなる。ここでは車室外アンテナ141から5m以内が通信エリアとなるように車室外通信機14は構成されているものとする。送受信部142が請求項に記載の車室外信号受信部に相当する。
強度検出部143は、送受信部142が車室外アンテナ141を介して受信した信号の強度を示すデータ(いわゆるRSSI:Received Signal Strength Indication)を逐次出力する構成である。強度検出部143が検出した強度(以降、受信強度)は、受信データに含まれる端末IDと対応付けられて通信マイコン144に逐次提供される。なお、受信強度は、例えば電力の単位[dBm]で表現されればよい。便宜上、受信強度と端末IDとを対応づけたデータを受信強度データと称する。強度検出部143が請求項に記載の車室外強度検出部に相当する。
通信マイコン144は、ボディECU13とのデータの受け渡しを制御するマイクロコンピュータであり、MPUやRAM等を用いて実現されている。通信マイコン144は、送受信部142から入力された受信データを順次又はボディECU13からの要求に基づいてボディECU13に提供する。つまり、送受信部142が受信したデータは、通信マイコン144を介してボディECU13に提供される。
また通信マイコン144は、強度検出部143から受信強度データを取得すると、図示しないRAMに蓄積していく。逐次取得される受信強度データは、例えば、最新の受信データの受信強度が先頭となるように時系列順にソートされてRAMに保存されれば良い。保存されてから一定時間経過したデータは順次破棄されていけば良い。つまり、受信強度データはRAMに一定時間保持される。通信マイコン144は、ボディECU13からの要求に基づいてRAMに蓄積されている受信強度データを提供する。なお、ボディECU13に提供した受信強度データについてはRAMから削除されれば良い。通信マイコン144における受信強度データの保存期間は、適宜設計されれば良い。
なお、本実施形態では送受信部142が出力する受信強度データはRAMにいったん保持され、通信マイコン144がボディECU13からの要求に基づいてRAMに蓄積されている受信強度データをボディECU13に提供するものとするが、これに限らない。受信強度データは、ボディECU13に逐次提供される構成を採用しても良い。
車室内通信機15は、車室外通信機14と同様に、携帯端末90と無線通信を実施するための通信モジュールである。ただし、車室外通信機14が車室外に存在する携帯端末90と通信することを目的とする通信モジュールであるのに対し、車室内通信機15は車室外に存在する携帯端末90と通信することを目的とする通信モジュールである点で相違する。これに伴い、車室内通信機15は車室外通信機14とは設置位置の観点でも相違する。車室外通信機14は、車室内空間が通信エリアとなるように車室内に設けられている。
本実施形態では一例として車室内通信機15は、車室内空間の全域が通信エリアとなるように、インストゥルメントパネルの車幅方向中央部付近において、ドアハンドルと同程度の高さとなる位置に配置されているものとする。もちろん、車室内通信機15の設置位置は、これに限らない。センターコンソールとインストゥルメントパネルとの境界付近に配置されていても良い。例えば運転席の足元や、運転席用のドアの車室内側の側面に配置していても良い。また、車室内通信機15は、車室内天井部分の中央に配置してもよい。なお、車室外通信機14は車室内に複数設けられていても良い。
車室内通信機15の通信モジュールとしての構成自体は車室外通信機14と同一とすることができる。すなわち車室内通信機15は、より細かい構成要素として図7に示すように、システム使用電波を送受信するためのアンテナ(以降、車室内アンテナ)151、送受信部152、強度検出部153、及び通信マイコン154を備える。これらの種々の構成の機能は、車室外通信機14が備える構成と同様であるため説明は省略する。送受信部152が請求項に記載の車室内信号受信部に相当する。強度検出部143が請求項に記載の車室内強度検出部に相当する。
便宜上以降では、車室外通信機14と車室内通信機15とを区別しない場合には、通信機とも記載する。送受信部142、152についても、これらを互いに区別しない場合には送受信部と記載する。強度検出部143、153や通信マイコン144、154についても同様である。さらに、車室外アンテナ141と車室内アンテナ151とを区別しない場合にはアンテナと記載する。
タッチセンサ16は、車両Hvの各ドアハンドルに装備されており、ユーザがそのドアハンドルを触れていることを検出する。各タッチセンサ16の検出結果は、ボディECU13に逐次出力される。始動ボタン17は、ユーザが駆動源(例えばエンジン)を始動させるためのプッシュスイッチである。始動ボタン17は、ユーザによってプッシュ操作がされると、その旨を示す電気信号をボディECU13に出力する。なお、ここでは一例として車両Hvは、エンジンを動力源として備える車両とするがこれに限らない。車両Hvは、電気自動車やハイブリッド車であってもよい。車両Hvがモータを駆動源として備える車両である場合には、始動ボタン17は駆動用のモータを始動させるためのスイッチである。
施錠ボタン18は、ユーザが車両Hvのドアを施錠するためのボタンである。車両Hvの各ドアのハンドルに設けられればよい。施錠ボタン18は、ユーザによって押下されると、その旨を示す電気信号を、ボディECU13に出力する。カーテシスイッチ19は、ドアの開閉を検出するセンサであって、ドアの開閉に応じた信号を出力する。カーテシスイッチ19は各ドアに対して設けられている。
パワーウインドウユニット20は、ユーザのスイッチ操作等に基づいて、ドアに設けられた窓ガラス部12の高さ(換言すれば開き度合い)を制御するユニットである。パワーウインドウユニット20は、窓ガラス部12の高さを変えるための駆動力を出力するモータ(以降、ウインドウモータ)や、当該モータの作動を制御する制御ユニットなどを備える。パワーウインドウユニット20は、開閉可能な窓毎に(例えばドア毎に)配置されている。パワーウインドウユニット20は、ボディECU13からの要求に基づいて窓の開き度合いを示すデータを提供する。窓の開き度合いは、ウインドウモータの回転角によって特定されればよい。
なお、本実施形態ではより好ましい態様として、パワーウインドウユニット20は、窓の開き度合いを示すデータをボディECU13に提供するものとするが、これに限らない。パワーウインドウユニット20がボディECU13に提供するデータは、窓が空いているか完全に閉まっているかを示すデータであってもよい。窓が閉まっていることは、ウインドウモータの回転角だけでなく、ウインドウモータの出力トルクに基づいても判別できる。例えばパワーウインドウユニット20は、窓を開ける方向にウインドウモータを微作動させ、所定の閾値以上のトルクがかかった場合には窓が完全に閉まっていると判定するとともに、出力トルクが閾値を超過しなかった場合には窓が開いていると判定すればよい。このような態様によれば、ウインドウモータの回転角を保持する記憶部を備えていなくとも、ボディECU13からの要求に対して、窓が空いているか完全に閉まっているかを報告することができる。エンジンECU21は、車両Hvに搭載されたエンジンの動作を制御するECUである。
なお、ボディECU13は上述したデバイス以外にも、例えば、各ドアのロック機構を構成するドアロックモータや、座席位置を調整するためのアクチュエータ(以降、シートアクチュエータ)など、種々の車載アクチュエータとも通信可能に接続されている。ボディECU13は、前述の車両制御の一例として、例えば位置判定結果に基いて車両Hvの各ドアに設けられたドアロックモータに所定の制御信号を出力することで各ドアを施錠したり開錠したりする。
<ボディECU13の機能について>
次に、図8を用いてボディECU13の機能について説明する。ボディECU13は、CPU13aが上述した位置判定プログラムを実行することで、図8に示す種々の機能ブロックに対応する機能を提供する。すなわち、ボディECU13は機能ブロックとして、車両情報取得部F1、送信処理部F2、受信処理部F3、受信強度取得部F4、位置判定部F5、及び車両制御部F6を備えている。
なお、ボディECU13が実行する機能の一部又は全部は、論理回路等を用いたハードウェアとして実現されていてもよい。ハードウェアとして実現される態様には1つ又は複数のICを用いて実現される態様も含まれる。また、ボディECU13が備える機能ブロックの一部又は全部は、CPU13aによるソフトウェアの実行と電子回路の組み合わせによって実現されていてもよい。
車両情報取得部F1は、車両Hvに搭載された種々のセンサやデバイス(例えばタッチセンサ16)から、車両Hvの状態を示す種々の情報(以降、車両情報)を取得する。車両情報としては、例えば、ドアの開閉状態や、窓の開閉状態、各ドアの施錠/開錠状態、ドアハンドルへのタッチの有無、始動ボタン17の押下の有無等が該当する。車両情報取得部F1は、サブ機能として、カーテシスイッチ19の出力信号に基づいて車両Hvに設けられる各ドアの開閉状態を判定するドア開閉判定部F11を備える。また、パワーウインドウユニット20の出力信号に基づいて車両Hvに設けられる各窓の開閉状態を判定する窓開閉判定部F12を備える。
なお、車両情報に含まれる情報は、上述したものに限らない。図示しないシフトポジションセンサが検出するシフトポジションや、ブレーキペダルが踏み込まれているか否かを検出するブレーキセンサの検出結果なども車両情報に含まれる。車両情報取得部F1が取得した車両情報は、取得時刻を示すタイムスタンプが付与されて、RAM13b等に保存される。なお、車両情報の保存先はフラッシュメモリ13cであってもよい。
送信処理部F2は、携帯端末90宛のデータを生成し、車室外通信機14及び車室内通信機15の少なくとも何れか一方に出力する。これにより、所望のデータに対応する信号を電波として送信させる。例えば送信処理部F2は、後述する受信強度取得部F4からの要求に基づいて応答要求信号を生成し、各通信機から送信させる。受信処理部F3は、車室外通信機14及び車室内通信機15のそれぞれから受信データを取得する構成である。
受信強度取得部F4は、車室外通信機14及び車室内通信機15のそれぞれから受信強度データを取得する構成である。本実施形態の受信強度取得部F4は、送信処理部F2に対して所定のサンプリング周期で応答要求信号の送信を要求する。これにより応答要求信号は所定のサンプリング周期で各通信機から定期送信される。
また受信強度取得部F4は、応答要求信号の送信を要求してから所定の応答待機時間経過したタイミングで、各通信機に対して、受信強度データの提供を要求する。応答待機時間は、送信処理部F2が応答要求信号を送信してから受信処理部F3が携帯端末90からの応答信号を受信するまでにかかる時間に応じて決定されるパラメータである。受信強度取得部F4は、車室外通信機14から提供された受信強度データの中に携帯端末90から送信された信号の受信強度が含まれている場合には、その受信強度を車室外強度としてRAM13bに保存する。
同様に、受信強度取得部F4は、車室内通信機15から提供された受信強度データの中に、携帯端末90から送信された信号の受信強度が含まれている場合には、その受信強度を車室内強度としてRAM13bに保存する。つまり、受信強度取得部F4は、携帯端末90から送信されてくる信号の各アンテナでの受信強度を取得する。
なお、携帯端末90から送信された信号の受信強度であるか否かは、当該受信強度と対応付けられている端末ID、及び、登録IDに基づいて判定される。携帯端末90以外からの信号の受信強度は破棄されれば良い。携帯端末90以外からの信号の受信強度を破棄する処理は、通信機内で実施されても良い。その場合、通信機にも携帯端末90の端末IDが登録されているものとする。複数の携帯端末90が車載システム10に登録されている場合であって、かつ、複数の携帯端末90からの受信強度を取得できている場合には、受信強度取得部F4は各携帯端末90の受信強度を端末ID毎に区別して保存していけばよい。
位置判定部F5は、受信強度取得部F4が取得した携帯端末90の受信強度に基づいて、携帯端末90の位置、例えば、車室内に存在するのか、車室外領域のうちの車両Hvの周辺領域(以降、車両周辺領域)に存在するのか等を判定する構成である。この位置判定部F5の作動の詳細については別途後述する。位置判定部F5の判定結果は車両制御部F6に提供される。なお、ここでの車両周辺領域とは、例えば車室外領域のうち、車両Hvの近傍であって、所定の車両制御を実行する範囲とすればよい。ここでは一例として車室外通信機14にとっての通信エリアを車室外周辺領域として採用するものとする。換言すれば、車室外周辺領域と見なす範囲が通信エリアとなるように、本実施形態の車室外通信機14は構成されている。車両周辺領域と見なす範囲は後述する車両制御部F6が実行する車両制御の内容に応じて適宜設計されれば良い。
なお、本実施形態ではボディECU13は、応答要求信号を送信することによって携帯端末90から送信される応答信号の受信強度を取得し、当該受信強度を用いて位置判定処理を実施することとするが、これに限らない。携帯端末90が所定の信号(例えばアドタイズパケット)を逐次送信するように構成されている場合には、当該定期的に送信される信号の受信強度を用いて携帯端末90の位置を判定してもよい。
車両制御部F6は、位置判定部F5の判定結果と、車両Hvに対するユーザ操作に基づいて、当該ユーザ操作に応じた車両制御を実施する構成である。例えば車両制御部F6は、車両Hvのドアが施錠されており、且つ、位置判定部F5によって携帯端末90は車室外の車両周辺に存在すると判定されているときに、タッチセンサ16によってユーザによるハンドルにタッチする操作が検出された場合には、ドアロックモータと連携してドアを開錠する。また、例えばエンジンが停止しており、且つ、位置判定部F5によって携帯端末90が車室内に存在すると判定されているときに、始動ボタン17がユーザによって押下された場合には、エンジンECU21と連携してエンジンを始動させる。その他、車両制御部F6が実施する車両制御の内容は、実施条件と合わせて適宜設計されれば良い。
なお、車両制御の実行条件には、別途、ユーザが正規のユーザであるか否かの認証を実施した結果も用いられることが好ましい。つまり、ユーザの認証が成功している場合にのみ、車両制御を実施するように構成されていることが好ましい。ユーザの認証自体は、ユーザの指紋や虹彩、静脈パターンなどの生体情報を用いて実施されれば良い。また、ユーザ自体を直接認証せずに、携帯端末90を認証することによって、間接的にユーザを認証してもよい。無線通信による携帯端末90の認証は、チャレンジレスポンス方式など、周知の方式に則って実施されれば良い。ユーザの認証を行う機能(以降、ユーザ認証機能)はボディECU13が備えていても良いし、別のECU(以降、認証ECU)が備えていても良い。
<車両Hvの構成に由来する受信強度の分布>
ここでは車両Hvのサイドウインドウの窓ガラス部12が電波吸収層122を備えることによる効果について、比較構成としてサイドウインドウの窓ガラス部が電波吸収層122を備えない構成を導入し、説明する。
図9は、比較構成において、サイドウインドウの中心を通って、車両高さ方向に直交する平面での、車室内アンテナ151から放射される電波の受信強度(具体的には電界強度)を実測試験した結果である。なお、図9では、車両左側の測定結果の図示は省略している。車両左側においても車両右側と同様の強度分布となる。
図9に示すように、比較構成ではサイドウインドウを中心に車室内アンテナ151からの電波が車室外へ漏れ出てしまう。つまり、サイドウインドウが電波の通り道として作用してしまう。また、車室外領域であっても、マルチパスによって生じた複数の電波が互いに強め合うように作用し、受信強度が相対的に強いレベルとなる場合がある。例えばサイドウインドウ近傍においてはその傾向が顕著である。
その結果、比較構成では図10の(A)に示すように、携帯端末90が車室内に存在する場合であっても、車室内強度が車室外強度を下回る場合が存在する。なお、図10は各アンテナでの受信強度の観測確率を概念的に表した図であって、縦軸が受信強度を、横軸が観測確率を表している。実線は車室内アンテナ151での受信強度分布を、破線は車室外アンテナ141での受信強度分布を概念的に表している。
また、無線信号の伝搬経路には可逆性があるため、車室内アンテナ151からの電波が車室外へ漏れ出し得るということは、車室外アンテナ141からの電波が車室内に入り込みうることを意味する。そして、携帯端末90が車室外に存在する場合であっても、車室内に入り込んだ電波がマルチパスによって互いに強めあうように作用し、車室内アンテナ151での受信強度が相対的に強いレベルとなる場合がある。その結果、比較構成では図10の(B)に示すように、携帯端末90が車室外に存在する場合であっても、車室外強度が車室内強度を下回る場合が存在する。
そのように、比較構成では携帯端末90の実際の位置に対して車室内強度と車室外強度とが逆転しうる領域(以降、逆転領域)が存在するため、特許文献1と同様の判定アルゴリズムでは、携帯端末90の位置を誤判定しうる。なお、特許文献1と同様の判定アルゴリズムとは、車室内強度が車室外強度よりも大きい場合に携帯端末90が車室内に存在すると判定し、車室外強度が車室内強度よりも大きい場合に携帯端末90は車室外に存在すると判定するものである。
図10の(A)に示すP1aは、携帯端末90が車室内に存在する場合において、携帯端末90の実際の位置に対して車室内強度と車室外強度とが逆転しうる領域(以降、逆転領域)の上側境界値を表しており、P2aは逆転領域の下側境界値を表している。また、図10の(B)に示すP1bは、携帯端末90が車室外に存在する場合における逆転領域の上側境界値を表しており、P2bは逆転領域の下側境界値を表している。
なお、図9に示す逆転領域の上側境界値P1a、P1bや下側境界値P2a、P2bはあくまでも概念的なものである。上側境界値P1a、P1bや下側境界値P2a、P2bは、車両Hvの形状や周辺環境に応じて変化する。そのためこれらの厳密な値を理論的に算出することは困難である。ただし、実試験によって上側境界値P1aと見なすことができる受信強度や、下側境界値P2aと見なすことができる受信強度を特定することはできる。上側境界値P1bや下側境界値P2bも同様である。上側境界値P1aは携帯端末90が車室内に存在し且つサイドウインドウが全開となっている状態において車室外強度として観測される値の最大値に相当する。また、上側境界値P1bは、携帯端末90が車室外に存在し且つサイドウインドウが全開となっている状態において車室内強度として観測される値の最大値に相当する。
便宜上、以降では上側境界値P1aと上側境界値P1bの大きい方の値を上側境界値P1と記載するとともに、下側境界値P2aと下側境界値P2bの小さい方の値を下側境界値P2と記載する。
ところで、このような比較構成は、本実施形態においてサイドウインドウを全開にした状態(以降、全開放状態)に対応するものである。故に、車両Hvを全開放状態した場合には、比較構成と同様に、図10に示す逆転領域が生じる。
一方、図11は、本実施形態の車両Hvにおいて、全てのドアが閉じ且つ全ての窓が閉めた状態(以降、密閉状態)での車室内アンテナ151から放射される電波の受信強度を実測試験した結果である。受信強度を測定した平面は、図9と同様に、サイドウインドウの中心を通って車両高さ方向に直交する平面としている。
図11に示すように本実施形態の構成によれば、サイドウインドウとしての窓ガラス部12が車室内アンテナ151からの電波の伝搬を遮断する。そのため車室内アンテナ151からの電波が車室外に漏れ出ることを抑制することができる。また、車室外への電波の漏洩が抑制された結果、電磁波エネルギーが車室内に充満し、全体として車室内での受信強度が高くなる。
このように本実施形態の車両Hvを密閉状態に設定している場合には、車室内強度が相対的に高いレベルとなる一方、車室外強度は相対的に低いレベル(受信できないレベルを含む)に抑制される。そのため、図12の(A)に示すように、車室内強度分布と車室外強度分布との間にギャップが生じる。また、携帯端末90が車室内に存在するにも関わらず、携帯端末90と車室外通信機14とが無線通信を実施することも抑制できる。
携帯端末90が車室外に存在する場合も同様に、サイドウインドウとしての窓ガラス部12によって携帯端末90からの電波が車室内に入り込むことを抑制できる。その結果、図12の(B)に示すように、車室内強度は相対的に低いレベル(受信できない)に低減され、車室内強度分布と車室外強度分布との間にギャップが形成される。また、携帯端末90が車室外に存在するにも関わらず、携帯端末90と車室内通信機15とが無線通信を実施することも抑制できる。
このように本実施形態の構成によれば、携帯端末90の実際の位置に対する車室内強度と車室外強度の逆転現象が発生しにくくなるため、車室内強度と車室外強度の大小比較によっても携帯端末90の位置をより精度良く判定できるようになる。
<位置判定処理>
次に図13に示すフローチャートを用いて、位置判定部F5が実施する位置判定処理について説明する。図13に示すフローチャートは、受信強度取得部F4が各通信機から受信強度を取得する度に実行されれば良い。つまり、所定のサンプリング間隔で定期的に実行されればよい。図13に示す各ステップは位置判定部F5によって実行される。
まずステップS101では、車両情報取得部F1によって取得されている車両情報を読み出してステップS102に移る。ステップS102では、ステップS101で読み出した車両情報に基づき、車両Hvの状態が、全てのドアが閉じられ且つ全ての窓が閉められた状態(つまり密閉状態)であるか否かを判定する。
車両Hvが密閉状態である場合には、ステップS102を肯定判定してステップS103に移る。一方、車両Hvが密閉状態ではない場合には、ステップS102を否定判定してステップS104に移る。なお、以降では便宜上、車両Hvの状態として、密閉状態ではない状態のことを開放状態と称する。1つ又は全部のサイドウインドウが開いている状態や、1つ又は全部のドアが開いている状態に相当する。なお、本実施形態ではサイドウインドウが完全に閉じていない場合には当該サイドウインドウは開いているものとして取り扱うが、これに限らない。例えばサイドウインドウが開き度合いが所定の閾値(例えば10%)未満である場合には、当該サイドウインドウは閉じているものとして取り扱っても良い。ステップS102を実行する位置判定部F5が請求項に記載の密閉状態判定部に相当する。
ステップS103では、密閉状態用の判定アルゴリズムを適用して携帯端末90の位置を判定する。密閉状態用の判定アルゴリズムは、予め位置判定プログラムの一部としてフラッシュメモリ13cに登録されている。具体的には、車室外強度が車室内強度よりも高い場合に、携帯端末90は車室外の車両周辺領域に存在すると判定する。また、位置判定部F5は、車室内強度が車室外強度よりも高い場合に、携帯端末90は車室内に存在すると判定する。本実施形態の位置判定部F5は、車室外強度及び車室内強度の両方が、携帯端末90は車両周辺に存在しないと判定するための所定の検出レベル未満である場合には、携帯端末90は、車両Hvから離れたところに存在すると判定する。
なお、他の態様として位置判定部F5は、車室外強度と車室内強度の大小比較ではなく、受信強度に対して設定されている所定のデフォルト閾値を用いて携帯端末90の位置を判定しても良い。そのような構成において位置判定部F5は、車室外強度がデフォルト閾値以上であり、且つ、車室内強度がデフォルト閾値未満である場合には、携帯端末90は車室周辺領域に存在すると判定する。また、車室外強度がデフォルト閾値未満であり、且つ、車室内強度がデフォルト閾値以上である場合には、携帯端末90は車室内に存在すると判定する。さらに、車室外強度及び車室内強度の両方がデフォルト閾値以上である場合には、携帯端末90の位置は不明であると判定すればよい。
デフォルト閾値は、位置判定部F5が携帯端末90の受信強度に基づいて携帯端末90が車室内に存在するか否かを判定するための閾値である。デフォルト閾値は、密閉状態において、携帯端末90を車室内に配置した場合の車室内強度と車室外強度の試験結果、及び、携帯端末90を車両周辺領域に配置した場合の車室内強度と車室外強度の試験結果の少なくとも何れか一方に基づいて設計されればよい。デフォルト閾値はフラッシュメモリ13cに登録されていればよい。
なお、車室外通信機14で携帯端末90からの信号を受信できていない場合、換言すれば車室外強度のデータが存在しない場合には、車室外強度は、受信強度として表現可能な範囲の最小値であると見なして取り扱えばよい。同様に、車室内通信機15で携帯端末90からの信号を受信できていない場合、すなわち車室内強度のデータが存在しない場合には、車室内強度は、受信強度として表現可能な範囲の最小値であると見なして取り扱えばよい。ステップS103での処理が完了するとステップS105に移る。
ステップS104では、開放状態用の判定アルゴリズムを適用して携帯端末90の位置を判定する。開放状態用の判定アルゴリズムもまた予め位置判定プログラムの一部としてフラッシュメモリ13cに登録されている。
開放状態用の判定アルゴリズムの一例は以下の通りである。位置判定部F5は、車室外強度が逆転領域の上側境界値P1に相当するハイレベル閾値以上であり、且つ、車室内強度が逆転領域の下側境界値P2に相当するローレベル閾値未満である場合に、携帯端末90は車両周辺領域に存在すると判定する。また、車室内強度がハイレベル閾値以上であり、且つ、車室外強度がローレベル閾値未満である場合に、携帯端末90は車室内に存在すると判定する。その他の場合には、携帯端末90の位置は不明であると判定する。
ハイレベル閾値やローレベル閾値は、実試験等によって予め決定され、フラッシュメモリ13cに登録されているものとする。ハイレベル閾値は、逆転領域の上側境界値P1よりも高い値であってもよい。ハイレベル閾値が請求項に記載の開放状態用閾値に相当する。ローレベル閾値は、逆転領域の下側境界値P2よりも低い値であってもよい。ハイレベル閾値を逆転領域の上側境界値P1よりも高い値に設定したり、ローレベル閾値を下側境界値P2よりも低い値に設定することで、携帯端末90の位置を誤判定する恐れを低減することができる。ただし、ハイレベル閾値を逆転領域の上側境界値P1よりも高くすればするほど、携帯端末90からの電波の受信強度がハイレベル閾値を超過しにくくなる。その結果、誤判定は抑制できるものの、携帯端末90の位置が不明と判定されやすくなってしまう。故に、ハイレベル閾値は、上側境界値P1近傍の値に設定されていることが好ましい。
なお上記の例では、開放状態用の判定アルゴリズムとして、ハイレベル閾値とローレベル閾値の2つの閾値を用いて携帯端末90の位置を判定する態様を開示したが、これに限らない。例えば、ハイレベル閾値のみを用いて携帯端末90の位置を判定しても良い。すなわち、位置判定部F5は、車室外強度がハイレベル閾値以上であり、且つ、車室内強度がハイレベル閾値未満である場合に、携帯端末90は車両周辺領域に存在すると判定する。また、車室内強度がハイレベル閾値以上であり、且つ、車室外強度がハイレベル閾値未満である場合に、携帯端末90は車室内に存在すると判定する。その他の場合には、携帯端末90の位置は不明であると判定する。
ステップS104での判定処理が完了するとステップS105に移る。ステップS105では以上の処理によって特定された携帯端末90の位置を示す情報を車両制御部F6等の所定のアプリケーションに出力して本フローを終了する。
<実施形態の効果>
本実施形態では、電波の伝搬を遮断する素材で構成されているボディ11を有する車両Hvにおいて、電波の出入り口となりうる窓ガラス部12(特にサイドウインドウの窓ガラス部12)に電波吸収層122を設けることで窓ガラス部12に電波遮蔽機能を持たせた。上記構成によれば、車両Hvを密閉状態とすることで、車室内アンテナ151の通信エリアを車室内に限定できるとともに、車室外アンテナ141の通信エリアは車室外に限定できる。
また、上記構成によれば、車両Hvが密閉状態となっている場合、車室外に存在する携帯端末90からの電波は車室内アンテナ151まで到達しない可能性が高く、携帯端末90からの信号を受信できたかによって携帯端末90の位置を判定できる。さらに、車室外に存在する携帯端末90からの電波が車室内アンテナで受信できた場合であっても、信号強度は窓ガラス部12によって大きく減衰されているため、図12に示すように車室内強度と車室外強度との間には有意な差が生じる。携帯端末90が車室内に存在する場合についても同様に車室内強度と車室外強度との間には有意な差が生じる。
故に、本実施形態の構成によれば、車両Hvが密閉状態である場合には、仮に車室外強度と車室内強度の大小比較によって携帯端末90の位置を判定する場合であっても、判定精度を高めることができる。また、1つの閾値(つまりデフォルト閾値)を用いて携帯端末90の位置を判定する場合であっても、精度良く携帯端末90の位置を判定することができる。つまり、複雑な判定アルゴリズムを用いずに携帯端末90の位置を精度良く判定することができる。加えて、携帯端末90の位置が不明であると判定するケースを低減することもできる。
また、車両Hvが開放状態である場合には、図10に示すように、携帯端末90の実際の位置に対して車室内強度と車室外強度とが逆転する場合がある。そこで、車両Hvが開放状態である場合には、逆転領域の上側境界値P1に相当する閾値(つまり、ハイレベル閾値)を用いて携帯端末90の位置を判定する。このような態様によれば、携帯端末90の位置を誤判定する恐れを低減できる。
このように位置判定部F5は、車両Hvが密閉状態であるか開放状態であるかによって判定アルゴリズムを使い分けることで、携帯端末90の位置を誤判定したり、携帯端末90の位置が不明であると判定したりするケースを抑制することができる。
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく、以降で述べる種々の変形例も本開示の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
なお、前述の実施形態で述べた部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。また、構成の一部のみに言及している場合、他の部分については先に説明した実施形態の構成を適用することができる。
[変形例1]
上述した実施形態の位置判定部F5は、携帯端末90から送信された受信強度を用いて携帯端末90の位置を判定する態様を開示したがこれに限らない。携帯端末90からの応答信号を受信できたか否かの2レベルによって携帯端末90の位置を判定してもよい。
例えば、車室外通信機14で携帯端末90からの信号を受信できており、かつ、車室内通信機15で携帯端末90からの信号を受信できなかった場合には、携帯端末90は車両周辺領域に存在すると判定する。また、車室内通信機15で携帯端末90からの信号を受信できており、かつ、車室外通信機14で携帯端末90からの信号を受信できなかった場合には、携帯端末90は車室内に存在すると判定する。車室外通信機14と車室内通信機15の両方で携帯端末90からの信号を受信できている場合には、携帯端末90は車室内又は車両周辺領域に存在すると判定すればよい。車室外通信機14と車室内通信機15の両方で携帯端末90からの信号を受信できなかった場合には、携帯端末90は車室内及び車両周辺領域に存在しない、換言すれば、車両Hvから離れた地点に存在すると判定すればよい。
また、位置判定部F5は、携帯端末90からの応答信号を受信できたか否かに加えて、送信処理部F2が応答要求信号を送信してから応答信号を受信するまでの時間である到来時間(いわゆるTOA:Time Of Arrival)を利用して、携帯端末90の位置を推定してもよい。例えば、車室外通信機14と車室内通信機15の両方で携帯端末90からの信号を受信できている場合において、車室内通信機15でのTOAが、車室外通信機14でのTOAよりも短い場合には、携帯端末90は車室内に存在すると判定すればよい。
なお、前提として応答要求信号は、車室外通信機14及び車室内通信機15のそれぞれから同時に又はタイミングをずらして送信されるものとする。車室外通信機14でのTOAは、車室外通信機14自身が計測しても良いし、ボディECU13が計測しても良い。車室内通信機15でのTOAも同様である。
その他、後述するように車両Hvに車室外アンテナ141が複数配置されている場合には、複数の車室外アンテナ141での携帯端末90からの信号の受信状況に基づいて、携帯端末90のより詳細な位置を判定しても良い。ここでの受信状況には、受信できているか否かの他、受信強度、TOAなどが含まれる。
[変形例2]
上述した実施形態では、通信機の構成として、図5及び図7に示すように携帯端末90と無線通信するためのアンテナを、送受信部等の信号処理系と一体的に備える構成を開示したが、これに限らない。アンテナは、送受信部等を備える通信機の外部に配置されていてもよい。
さらに、図14に示すように、車室外アンテナ141と車室内アンテナ151といった複数のアンテナは1つの通信機(以降、統合通信機)110に接続されていても良い。統合通信機22は、各アンテナを集中管理する構成である。例えば統合通信機22は、各アンテナに対応する送受信部221、223、及び、強度検出部222、224、並びに、1つの通信マイコン225を備えていれば良い。
[変形例3]
上述した実施形態では車室外アンテナ141を1つだけ配置した態様を開示したが、携帯端末90と無線通信するためのアンテナの配置態様はこれに限らない。車両Hvにおいては、携帯端末90が車両Hvのドア付近にいる場合においてのみ、車両制御部F6にドアの施開錠を行わせたい場合もある。そのため、例えば図15に示すように、車両右側のドア付近に通信エリアを形成する車室外アンテナ141と、車両左側のドア付近に通信エリアを形成する車室外アンテナ141と、を配置してもよい。図15においてドットパターンのハッチングを施している領域が各車室外アンテナ141の通信エリアを表している。
また、車両Hvにおいては、携帯端末90が車両Hvのトランクドア付近にいる場合においてのみ、車両制御部F6にトランクドアの施開錠を行わせたい場合もある。故に、車室外においてトランクドア周辺に通信エリアを形成する車室外アンテナ141を配置しても良い。
このような配置例においては、位置判定部F5は、各車室外アンテナ141での携帯端末90からの信号の受信状況に基づいて、車室外周辺領域における携帯端末90の詳細な位置(例えば車両右側方か否か)などを特定できる。その結果、車両制御部F6は携帯端末90の位置に応じた車両制御を実施することで、当該車両制御に対応するサービスをユーザに提供することができる。
また、車両Hvにおいては、トランク内に携帯端末90が存在することを検知して、ドアの施錠を禁止したり、エンジンの始動を禁止したりするサービスを提供する場合がある。そのため、図15に示すように、トランクの内部空間のみを通信エリアとするトランク内部用アンテナ161を配置してもよい。なお、前提として座席が設けられている空間(つまり車室内)とトランク内部空間とはシステム使用電波が行き来しないように、電波遮蔽部材によって区画されているものとする。図15において縦破線模様のハッチングを施している領域が車室内アンテナ151の通信エリアを概念的に表しており、横破線模様のハッチングを施している領域がトランク内部用アンテナ161の通信エリアを表している。
[変形例4]
上述した実施形態では、車両Hvが開放状態となっている場合における携帯端末90の位置の判定精度を向上させるために、車両Hvが開放状態である場合には開放状態用の閾値を用いて携帯端末90の位置を判定する態様を開示したが、これに限らない。
例えば位置判定部F5は、車両Hvが密閉状態である場合には一回の判定結果をそのまま携帯端末90の位置として採用する一方、車両Hvが開放状態である場合には、複数回の判定結果に基づいて携帯端末90の現在位置を最終的に決定するように構成されていても良い。複数回の判定結果に基づいて最終的な位置を決定する構成とは、例えば位置判定部F5は、複数回の判定結果を母集団とした多数決によって決定する構成である。また、所定回数(例えば3回)連続して同じ判定結果が得られた場合に、当該判定結果を採用する構成も、複数回の判定結果に基づいて最終的な位置を決定する構成に該当する。
このような構成によれば、ユーザが駐車中の車両Hvに接近して乗車する場面においては、携帯端末90の位置を速やかに逐次判定することができる。通常、車両Hvが駐車されている場合には、車両Hvは密閉状態となっていることが期待できるためである。具体的には、携帯端末90を携帯したユーザが車両周辺領域に進入した場面や、車室内に持ち込まれてドアが閉じられた場面においては携帯端末90の位置を逐次速やかに特定することができる。
また、開放状態においては複数回(例えば3回)の判定結果に基づいて最終的な位置を決定するため、電波漏れ等の偶発的な要因に由来して携帯端末90の位置を誤判定する恐れを低減することができる。換言すれば、位置判定部F5による判定結果の信頼度を高めることができる。
[変形例5]
上述した実施形態では携帯端末90は、車載システム10と双方向通信可能に構成されている態様を例示したがこれに限らない。位置判定部F5が、携帯端末90が自発的に定期送信する信号の受信強度を用いて携帯端末90の位置を判定するように構成されている場合には、携帯端末90は所定の周波数帯の電波の信号を送信可能に構成されていればよい。つまり、携帯端末90は、受信機能を備えていなくても良い。これに伴い、車載システム10もまた送信機能を備えていなくともよい。
100 位置判定システム、10 車載システム、11 ボディ、12 窓ガラス部、13 ボディECU、14 車室外通信機、15 車室内通信機、22 統合通信機、90 携帯端末、141 車室外アンテナ、151 車室内アンテナ、142・221 送受信部(車室外信号受信部)、152・223 送受信部(車室内信号受信部)、143・222 強度検出部(車室外強度検出部)、153・224 強度検出部(車室内強度検出部)、F1 車両情報取得部、F11 ドア開閉判定部、F12 窓開閉判定部、F4 受信強度取得部、F5 位置判定部、F6 車両制御部、S101 密閉状態判定部

Claims (15)

  1. 携帯端末から発せられる2.4GHz以上の所定の周波数帯の電波を反射又は所定レベル以上減衰させる電波遮蔽部材(122)がサイドウインドウの窓ガラス部(12)に設けられた車両で使用される、前記携帯端末からの信号の受信状況に基づいて前記車両に対する前記携帯端末の位置を判定する位置判定システムであって、
    前記車両の車室内に設置された、前記携帯端末から発せられる信号を受信するための車室内アンテナ(151)と、
    前記車室内アンテナで受信した信号を取得する車室内信号受信部(152、223)と、
    前記車室内信号受信部での前記携帯端末からの信号の受信強度である車室内強度を検出する車室内強度検出部(153、224)と、
    前記車両の車室外領域に搭載された、前記携帯端末から発せられる信号を受信するための車室外アンテナ(141)と、
    前記車室外アンテナで受信した信号を取得する車室外信号受信部(142、221)と、
    前記車室外信号受信部及び前記車室内信号受信部のそれぞれでの前記携帯端末からの信号の受信状況に基づいて、前記携帯端末が前記車両の車室内に存在するか否かを判定する位置判定部(F5)と、
    前記車両に搭載されたセンサからの信号に基づき車両の全てのドア及び窓が閉じられている密閉状態であるか否かを判定する密閉状態判定部(S101)と、を備え、
    前記位置判定部は、
    前記車室内強度が所定の閾値以上であるか否かに基づいて前記携帯端末が車室内に存在するか否かを判定するものであって、
    前記密閉状態判定部によって前記車両は前記密閉状態であると判定されているか否かに応じて、前記携帯端末が車室内に存在すると判定するための前記閾値を変更する位置判定システム。
  2. 請求項1に記載の位置判定システムであって、
    前記位置判定部は、
    前記密閉状態判定部によって前記密閉状態であると判定されている場合には所定のデフォルト閾値を用いて前記携帯端末が車室内に存在するか否かを判定する一方、
    前記密閉状態判定部によって前記密閉状態ではないと判定されている場合には、前記デフォルト閾値とは異なるハイレベル閾値を用いて、前記携帯端末が車室内に存在するか否かを判定するように構成されている位置判定システム。
  3. 携帯端末から発せられる2.4GHz以上の所定の周波数帯の電波を反射又は所定レベル以上減衰させる電波遮蔽部材(122)がサイドウインドウの窓ガラス部(12)に設けられた車両で使用される、前記携帯端末からの信号の受信状況に基づいて前記車両に対する前記携帯端末の位置を判定する位置判定システムであって、
    前記車両の車室外領域に搭載された、前記携帯端末から発せられる信号を受信するための車室外アンテナ(141)と、
    前記車室外アンテナで受信した信号を取得する車室外信号受信部(142、221)と、
    前記車室外信号受信部での前記携帯端末からの信号の受信強度である車室外強度を検出する車室外強度検出部(143、222)と、
    前記車両の車室内に設置された、前記信号を受信するための車室内アンテナ(151)と、
    前記車室内アンテナで受信した信号を取得する車室内信号受信部(152、223)と、
    前記車室内信号受信部での前記携帯端末からの信号の受信強度である車室内強度を検出する車室内強度検出部(153、224)と、
    前記車室外信号受信部及び前記車室内信号受信部のそれぞれでの前記携帯端末からの信号の受信状況に基づいて、前記携帯端末が前記車両の車室内に存在するか否かを判定する位置判定部(F5)と、
    前記車両に搭載されたセンサからの信号に基づき車両の全てのドア及び窓が閉じられている密閉状態であるか否かを判定する密閉状態判定部(S101)と、を備え、
    前記位置判定部は、前記密閉状態判定部によって前記車両は前記密閉状態であると判定されているか否かに応じて、前記携帯端末の位置を判定するアルゴリズムを変更するように構成されている位置判定システム。
  4. 請求項3に記載の位置判定システムであって、
    前記位置判定部は、
    前記密閉状態判定部が前記密閉状態であると判定している場合には、前記車室外強度と前記車室内強度の大小比較によって前記携帯端末が車室内に存在するか否かを判定する一方、
    前記密閉状態判定部が前記密閉状態ではないと判定している場合には、前記携帯端末からの信号の受信強度に対して設定されている所定の開放状態用閾値を用いて前記携帯端末が車室内に存在するか否かを判定するように構成されている位置判定システム。
  5. 請求項3又は4に記載の位置判定システムであって、
    前記位置判定部は、
    前記密閉状態判定部が前記密閉状態であると判定している場合には、前記車室内強度が前記車室外強度よりも高いことに基づいて前記携帯端末は車室内に存在すると判定する一方、
    前記密閉状態判定部が前記密閉状態ではないと判定している場合には、前記車室内強度が所定の開放状態用閾値以上であり、且つ前記車室外強度が前記開放状態用閾値未満であることに基づいて前記携帯端末が車室内に存在すると判定する位置判定システム。
  6. 請求項3に記載の位置判定システムであって、
    前記位置判定部は、
    前記密閉状態判定部が前記密閉状態であると判定している場合には、前記車室内強度が前記車室外強度よりも高いことに基づいて前記携帯端末は車室内に存在すると判定する一方、
    前記密閉状態判定部が前記密閉状態ではないと判定している場合には、前記車室内強度が所定のハイレベル閾値以上であり、且つ前記車室外強度が前記ハイレベル閾値よりも小さい所定のローレベル閾値未満であることに基づいて前記携帯端末が車室内に存在すると判定する位置判定システム。
  7. 請求項3に記載の位置判定システムであって、
    前記位置判定部は、
    前記密閉状態判定部が前記密閉状態であると判定している場合には、1つの閾値であるデフォルト閾値を用いて前記携帯端末が車室内に存在するか否かを判定する一方、
    前記密閉状態判定部が前記密閉状態ではないと判定している場合には、大きさが異なるハイレベル閾値とローレベル閾値の2つの閾値を用いて前記携帯端末が車室内に存在するか否かを判定するように構成されている位置判定システム。
  8. 請求項3又は7に記載の位置判定システムであって、
    前記位置判定部は、
    前記密閉状態判定部が前記密閉状態であると判定している場合には、前記車室内強度が所定のデフォルト閾値以上であって且つ前記車室外強度が前記デフォルト閾値未満であることに基づいて前記携帯端末は車室内に存在すると判定する一方、
    前記密閉状態判定部が前記密閉状態ではないと判定している場合には、前記車室内強度が所定のハイレベル閾値以上であり、且つ前記車室外強度が前記ハイレベル閾値よりも小さい所定のローレベル閾値未満であることに基づいて前記携帯端末の位置を判定する位置判定システム。
  9. 請求項8に記載の位置判定システムであって、
    前記位置判定部は、前記車室外強度及び前記車室内強度の両方が前記デフォルト閾値以上である場合には、前記携帯端末の位置は不明であると判定することを特徴とする位置判定システム。
  10. 請求項3から9の何れか1項に記載の位置判定システムであって、
    前記位置判定部は、
    前記密閉状態判定部によって前記車両は前記密閉状態であると判定されている場合には、1回の判定結果をそのまま前記携帯端末の位置として採用する一方、前記密閉状態判定部によって前記車両は前記密閉状態ではないと判定されている場合には、複数回の判定結果に基づいて前記携帯端末の位置を最終的に決定する位置判定システム。
  11. 請求項3から10の何れか1項に記載の位置判定システムであって、
    前記位置判定部は、前記車室外強度及び前記車室内強度の両方が、所定の検出レベル未満である場合には、前記携帯端末は前記車両の周辺には存在しないと判定する位置判定システム。
  12. 請求項1から11の何れか1項に記載の位置判定システムであって、
    前記車室外アンテナは、車室外においてそれぞれ異なる領域を通信エリアとするように複数配置されており、
    前記位置判定部は、複数の前記車室外アンテナでの前記携帯端末からの信号の受信状況に基づいて、前記携帯端末の位置を判定することを特徴とする位置判定システム。
  13. 請求項1から12の何れか1項に記載の位置判定システムであって、
    前記車両が備えるドアの開閉状態に応じた信号を出力するカーテシスイッチの出力信号に基づいて前記ドアの開閉状態を判定するドア開閉判定部(F11)と、
    前記車両が備える窓が空いているか否かを判定する窓開閉判定部(F12)と、を備え、
    前記密閉状態判定部は、
    前記ドア開閉判定部及び前記窓開閉判定部のそれぞれの判定の結果に基づいて、前記車両が前記密閉状態であるか否かを判定するように構成されている位置判定システム。
  14. 請求項1から13の何れか1項に記載の位置判定システムであって、
    前記車両に設けられている全ての窓の前記窓ガラス部に前記電波遮蔽部材が備えられており、
    前記車両は、屋根を有し、全てのドアが閉じられ且つ全ての窓が閉められることによって密閉された車室内空間が形成される車両であって、
    前記車両のボディは、前記周波数帯の電波を反射又は所定レベル以上減衰させる部材を用いて実現されていることを特徴とする位置判定システム。
  15. 請求項1から14の何れか1項に記載の位置判定システムであって、
    前記位置判定部の判定結果に基づいて、前記車両のエンジンの始動、前記車両のドアの開錠、及び前記ドアの施錠の少なくとも何れか1つを実施する車両制御部(F6)を備えることを特徴とする位置判定システム。
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