以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るマニピュレータについて説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、各構造における縮尺および数等を、実際の構造における縮尺および数等と異ならせる場合がある。
<第1実施形態>
図1は、本実施形態のマニピュレータ1を示す斜視図である。図2は、マニピュレータ1の部分を示す断面図である。図3は、肩部40と駆動ユニット10Aの部分とを示す斜視図である。図3においては、肩部40の一部を破断して示している。図4は、駆動ユニット10Aを示す斜視図である。
図1に示すように、マニピュレータ1は、肩部40と、上腕部43と、前腕部46と、手部47と、駆動ユニット10A,10B,10Cと、を備えている。駆動ユニット10Aは、肩部40と上腕部43とを連結し、肩部40に対して上腕部43を駆動する。駆動ユニット10Bは、上腕部43と前腕部46とを連結し、上腕部43に対して前腕部46を駆動する。駆動ユニット10Cは、前腕部46と手部47とを連結し、前腕部46に対して手部47を駆動する。
なお、駆動ユニット10A〜10Cは、基本的に同様の構成を有するため、各ユニットに共通する構成については、代表して駆動ユニット10Aについてのみ説明する場合がある。
以下の説明においては、肩部40の位置および姿勢が固定されているものとして、図1から図4に示すマニピュレータ1の姿勢を「基準姿勢」とする。また、各図に示した3次元直交座標系(XYZ座標系)を適宜参照しつつ、各部の位置関係について説明する。Z軸方向は、後述する第2回転中心軸J2と平行な方向とする。X軸方向は、Z軸方向と直交し、肩部40の後述する底部41の一辺と平行な方向とする。Y軸方向は、Z軸方向とX軸方向との両方と直交する方向とする。
また、以下の説明においては、Z軸方向を「上下方向」と呼ぶ場合があり、X軸方向を「前後方向」と呼ぶ場合があり、Y軸方向を「左右方向」と呼ぶ場合がある。Z軸方向の正の側(+Z側)を「上側」と呼ぶ場合があり、Z軸方向の負の側(−Z側)を「下側」と呼ぶ場合がある。X軸方向の正の側(+X側)を「前側」と呼ぶ場合があり、X軸方向の負の側(−X側)を「後側」と呼ぶ場合がある。Y軸方向の正の側(+Y側)を「右側」と呼ぶ場合があり、Y軸方向の負の側(−Y側)を「左側」と呼ぶ場合がある。また、ある対象に対して、左右方向における後述する第2回転中心軸J2に近い側を「左右方向内側」と呼ぶ場合があり、左右方向における第2回転中心軸J2から遠い側を「左右方向外側」と呼ぶ場合がある。
なお、上下方向、前後方向、左右方向、上側、下側、前側、後側、右側および左側は、単に各部の位置関係を説明するための名称であり、実際の各部の位置関係および実際のマニピュレータの使用態様および姿勢を限定しない。
肩部40は、図2および図3に示すように、底部41と、側壁部42と、を備えている。底部41は、正方形板状である。図2に示すように、底部41には、底部41を上下方向に貫通するワイヤ貫通孔41aが形成されている。図示は省略するが、ワイヤ貫通孔41aは、底部41の中央を挟んで前後方向両側(±X側)および左右方向両側(±Y側)にそれぞれ2つずつ、計8つ形成されている。底部41の上面の中央には、下側に窪む凹部41bが形成されている。凹部41bの底面の中央には、底部41を上下方向に貫通する底部中央貫通孔41cが形成されている。
側壁部42は、図2および図3に示すように、底部41の上面に固定されている。側壁部42は、底部41の上面の外縁から上側に立ち上がり、上側に開口する矩形枠状の壁部である。側壁部42には、後述する張力調整機構50が設けられている。
駆動ユニット10Aは、図1および図2に示すように、肩部40の下側に接続されている。駆動ユニット10Aは、上腕部43を肩部40に対して、第1回転中心軸J1周り(±θ1方向)および第2回転中心軸J2周り(±θ2方向)に回転させる。
第1回転中心軸J1は、基準姿勢において、左右方向(Y軸方向)と平行な軸である。第2回転中心軸J2は、上述したように、上下方向(Z軸方向)と平行な軸である。本実施形態において第2回転中心軸J2の方向は、マニピュレータ1の各部の相対移動に関わらず、変化しない。第2回転中心軸J2は、第1回転中心軸J1と異なる。本実施形態において第2回転中心軸J2は、第1回転中心軸J1と直交する軸である。
駆動ユニット10Aは、図2および図4に示すように、支持部材(第1部材)20と、第1モータ(第1駆動装置)21と、第2モータ(第2駆動装置)22と、第1プーリ(第1回転部材)31と、第2プーリ(第2回転部材)32と、第3プーリ(第3回転部材)33と、中央ボルト29aと、第1ワイヤ(第1伝達部材)81と、第2ワイヤ(第2伝達部材)82と、張力調整機構50と、を備えている。
なお、以下の駆動ユニット10Aの構成の説明においては、マニピュレータ1が基準姿勢にあるものとして、各部の位置関係等について説明する。
支持部材20は、第1モータ21、第2モータ22、第1プーリ31および第2プーリ32を、第1回転中心軸J1周り(±θ1方向)に回転可能に支持している。支持部材20は、第1板部材23と、第2板部材24と、第3板部材25と、ブッシュ28と、軸受保持部材26a,26bと、第1出力軸受26cと、第2出力軸受26dと、第1補助プーリ支持部27aと、第2補助プーリ支持部27bと、第1補助プーリ34a,34bと、第2補助プーリ35a,35bと、を備えている。
第1板部材23は、第1プーリ支持部23aと、第1上板部23bと、を備えている。第1プーリ支持部23aは、左右方向と直交する平面(ZX平面)に拡がる板状である。第1プーリ支持部23aの左右方向(Y軸方向)に沿って視た(以下、側面視と呼ぶ)形状は、上下方向に長い長方形状である。第1プーリ支持部23aは、第1モータ21および第1プーリ31よりも左右方向外側(−Y側)に位置している。図2に示すように、第1プーリ支持部23aには、第1プーリ支持部23aを左右方向に貫通する第1出力軸貫通孔23dが形成されている。
第1上板部23bは、第1プーリ支持部23aの上端から左右方向内側(+Y側)に延びた板状である。第1上板部23bを上側から下側に向かって視た(以下、平面視と呼ぶ)形状は、左右方向(Y軸方向)に長い略長方形状である。第1上板部23bには、第1上板部23bを上下方向に貫通する第1中央貫通孔23cが形成されている。第1中央貫通孔23cは、中心を第2回転中心軸J2が通る円形状である。
第2板部材24は、第2プーリ支持部24aと、第2上板部24bと、を備えている。第2プーリ支持部24aは、左右方向と直交する平面(ZX平面)に拡がる板状である。第2プーリ支持部24aの側面視形状は、上下方向に長い長方形状である。第2プーリ支持部24aは、第2モータ22および第2プーリ32よりも左右方向外側(+Y側)に位置している。第2プーリ支持部24aには、第2プーリ支持部24aを左右方向に貫通する第2出力軸貫通孔24dが形成されている。第1プーリ支持部23aと第2プーリ支持部24aとは、左右方向(Y軸方向)に対向して設けられている。
第2上板部24bは、第2プーリ支持部24aの上端から左右方向内側(−Y側)に延びた板状である。第2上板部24bの平面視形状は、左右方向(Y軸方向)に長い略長方形状である。第2上板部24bの左側(−Y側)の部分は、第1上板部23bの右側(+Y側)部分と上下方向(Z軸方向)に重なり合っている。第2上板部24bの左側の部分における上面は、第1上板部23bの右側の部分における下面と接触して、固定されている。
第2上板部24bには、第2上板部24bを上下方向に貫通する第2中央貫通孔24cが形成されている。第2中央貫通孔24cは、中心を第2回転中心軸J2が通る円形状である。第2中央貫通孔24cは、第1中央貫通孔23cと上下方向に重なり合っている。
第3板部材25は、第1板部材23における第1上板部23bの上面に固定されている。図2および図4に示すように、第3板部材25は、上下方向と直交する平面(XY平面)に拡がる板状である。第3板部材25の平面視形状は、正方形状である。
図2に示すように、第3板部材25の中央には、第3板部材25を上下方向に貫通する第3中央貫通孔25aが形成されている。第3中央貫通孔25aは、第1中央貫通孔23cおよび第2中央貫通孔24cと同心の円形状である。第3中央貫通孔25aの内径は、第1中央貫通孔23cの内径および第2中央貫通孔24cの内径よりも小さい。第3板部材25の上面には、下側に窪む凹部25bが形成されている。凹部25bは、第3中央貫通孔25aの内縁から径方向外側に拡がる円環状である。
第1板部材23と第2板部材24と第3板部材25とは、各部材を上下方向に貫通するボルトと、そのボルトの下端に螺合されたナットと、によって互いに固定されている。
ブッシュ28は、ブッシュ本体28aと、フランジ部28bと、を備えている。ブッシュ本体28aは、上下方向両端に開口し、第2回転中心軸J2を中心とする円筒状である。ブッシュ本体28aの下部は、第2中央貫通孔24c、第1中央貫通孔23c、および第3中央貫通孔25aの内側に挿入されている。ブッシュ本体28aは、第3中央貫通孔25aの内側に嵌め合わされている。
フランジ部28bは、ブッシュ本体28aの下端から第2回転中心軸J2の径方向外側に拡がる円環状である。フランジ部28bは、第1中央貫通孔23cおよび第2中央貫通孔24cの内側に嵌め合わされている。フランジ部28bの上面は、第3板部材25の下面と接触している。
軸受保持部材26a,26bは、左右方向両側(±Y側)に開口し、第1回転中心軸J1を中心とする円筒状の部材である。軸受保持部材26aは、第1プーリ支持部23aの左右方向外側(−Y側)の面にネジで固定されている。軸受保持部材26aは、第1プーリ支持部23a側(+Y側)の端部に、径方向外側に拡がる鍔部を有している。軸受保持部材26aの内側は、第1出力軸貫通孔23dと左右方向(Y軸方向)に重なり合っている。
軸受保持部材26bは、第2プーリ支持部24aの左右方向外側(+Y側)の面にネジで固定されている。軸受保持部材26bは、第2プーリ支持部24a側(−Y側)の端部に径方向外側に拡がる鍔部を有している。軸受保持部材26bの内側は、第2出力軸貫通孔24dと左右方向(Y軸方向)に重なり合っている。
第1出力軸受26cは、左右方向両側(±Y側)に開口し、第1回転中心軸J1を中心とする円筒状である。第1出力軸受26cは、軸受保持部材26aの内側と第1出力軸貫通孔23dとによって構成された孔の内部に設けられている。第1出力軸受26cの外周面は、ネジによって軸受保持部材26aの内周面と固定されている。
第2出力軸受26dは、左右方向両側(±Y側)に開口し、第1回転中心軸J1を中心とする円筒状である。第2出力軸受26dは、軸受保持部材26bの内側と第2出力軸貫通孔24dとによって構成された孔の内部に設けられている。第2出力軸受26dの外周面は、ネジによって軸受保持部材26bの内周面と固定されている。
第1補助プーリ支持部27aは、図2および図4に示すように、第1上板部23bの上面における左側(−Y側)の部分に固定されている。図4に示すように、第1補助プーリ支持部27aは、前後方向(X軸方向)に長い直方体状の部材である。図2に示すように、第1補助プーリ支持部27aには、第1補助プーリ支持部27aを前後方向に貫通する複数(図では6つ)の軸固定孔27cが形成されている。
複数の軸固定孔27cのうちの一つには、第1補助プーリ軸34cが挿入され、固定されている。第1補助プーリ軸34cは、前後方向(X軸方向)に延びる円柱状である。第1補助プーリ軸34cの前後方向の両端は、軸固定孔27cから突出している。
第1補助プーリ34aは、図4に示すように、第1補助プーリ軸34cの前側(+X側)の端部に回転可能に接続されている。第1補助プーリ34bは、第1補助プーリ軸34cの後側(−X側)の端部に回転可能に接続されている。これにより、第1補助プーリ34a,34bは、互いに独立して第1補助プーリ軸34c周りに回転可能である。本実施形態において、第1補助プーリ34a,34bが設けられる位置は、第1補助プーリ軸34cが挿入される軸固定孔27cを変更することで容易に調整することができる。
第2補助プーリ支持部27bは、図2および図4に示すように、第2上板部24bの上面における右側(+Y側)の部分に固定されている。図4に示すように、第2補助プーリ支持部27bは、前後方向(X軸方向)に長い直方体状の部材である。第2補助プーリ支持部27bの上面は、第1補助プーリ支持部27aの上面よりも下側に位置している。図2に示すように、第2補助プーリ支持部27bには、第2補助プーリ支持部27bを前後方向に貫通する複数(図では4つ)の軸固定孔27dが形成されている。
複数の軸固定孔27dのうちの一つには、第2補助プーリ軸35cが挿入され、固定されている。第2補助プーリ軸35cは、前後方向(X軸方向)に延びる円柱状である。第2補助プーリ軸35cの前後方向の両端は、軸固定孔27dから突出している。
第2補助プーリ35aは、図4に示すように、第2補助プーリ軸35cの前側(+X側)の端部に回転可能に接続されている。第2補助プーリ35bは、第2補助プーリ軸35cの後側(−X側)の端部に回転可能に接続されている。これにより、第2補助プーリ35a,35bは、互いに独立して第2補助プーリ軸35c周りに回転可能である。本実施形態において、第2補助プーリ35a,35bが設けられる位置は、第2補助プーリ軸35cが挿入される軸固定孔27dを変更することで容易に調整することができる。
第1モータ21および第2モータ22は、例えば、サーボモータである。本実施形態において第1モータ21および第2モータ22は、上腕部43に固定されている。駆動ユニット10Aとの関係において、上腕部43は、第2部材に相当する。第1モータ21と第2モータ22とは、それぞれの出力軸が左右方向(Y軸方向)の反対側を向くように、互いに固定されている。
第1モータ21は、図2に示すように、第2モータ22の左側(−Y側)に固定されている。第1モータ21は、左側に突出する第1プーリ受部21bを備えている。第1プーリ受部21bは、第1回転中心軸J1を中心とする円柱状である。第1モータ21の第1出力軸21aは、第1プーリ受部21bから左側に延びている。第1出力軸21aは、第1回転中心軸J1を中心とする円柱状である。第1出力軸21aは、第1出力軸受26cの内側に回転可能に支持されている。これにより、第1モータ21の第1出力軸21aは、支持部材20に対して第1回転中心軸J1周り(±θ1方向)に回転可能である。
第2モータ22は、第1モータ21の右側(+Y側)に固定されている。第2モータ22は、右側に突出する第2プーリ受部22bを備えている。第2プーリ受部22bは、第1回転中心軸J1を中心とする円柱状である。第2モータ22の第2出力軸22aは、第2プーリ受部22bから右側に延びている。第2出力軸22aは、第1回転中心軸J1を中心とする円柱状である。すなわち、本実施形態において第1モータ21の第1出力軸21aと第2モータ22の第2出力軸22aとは、同軸上に配置されている。第2出力軸22aは、第2出力軸受26dに回転可能に支持されている。これにより、第2モータ22の第2出力軸22aは、支持部材20に対して第1回転中心軸J1周り(±θ1方向)に回転可能である。
第1プーリ31は、第1板部材23の第1プーリ支持部23aと第1モータ21との左右方向(Y軸方向)の間に配置されている。第1プーリ31は、第1モータ21の第1出力軸21aに固定されている。これにより、第1モータ21は、第1プーリ31を第1回転中心軸J1周り(±θ1方向)に回転させることができる。第1プーリ31は、第1プーリ本体部31aと、円板部31bと、固定部31cと、を備えている。
第1プーリ本体部31aは、第1ワイヤ81が巻かれている円柱状の部分である。円板部31bは、第1プーリ本体部31aの左右方向両端から第1回転中心軸J1の径方向外側に拡がる円板状の部分である。固定部31cは、左右方向外側(−Y側)の円板部31bから左右方向外側に突出する円筒状の部分である。固定部31cの外径は、第1プーリ本体部31aの外径よりも小さい。
第1プーリ31には、固定部31cの内側と連通して第1プーリ31を左右方向(Y軸方向)に貫通する貫通孔が形成されており、この貫通孔に第1出力軸21aが通されている。固定部31cの外周面から第1出力軸21aの外周面にネジが締め込まれることで、固定部31cが第1出力軸21aに固定されている。
第1プーリ31の左右方向内側(+Y側)の面には、左右方向外側(−Y側)に窪む嵌合凹部31dが形成されている。嵌合凹部31dには、第1モータ21の第1プーリ受部21bが嵌め合わされている。第1プーリ31は、第1プーリ受部21bに第1回転中心軸J1周り(±θ1方向)に回転可能に支持されている。第1プーリ31は、支持部材20と第1モータ21が固定された上腕部43との両方に対して、第1回転中心軸J1周り(±θ1方向)に回転可能に取り付けられている。
第2プーリ32は、第2板部材24の第2プーリ支持部24aと第2モータ22との左右方向(Y軸方向)の間に配置されている。第2プーリ32は、第2モータ22の第2出力軸22aに固定されている。これにより、第2モータ22は、第2プーリ32を第1回転中心軸J1周り(±θ1方向)に回転させることができる。第2プーリ32は、第2プーリ本体部32aと、円板部32bと、固定部32cと、を備えている。
第2プーリ本体部32aは、第2ワイヤ82が巻かれている円柱状の部分である。円板部32bは、第2プーリ本体部32aの左右方向両端から第1回転中心軸J1の径方向外側に拡がる円板状の部分である。固定部32cは、左右方向外側(+Y側)の円板部32bから左右方向外側に突出する円筒状の部分である。固定部32cの外径は、第2プーリ本体部32aの外径よりも小さい。
第2プーリ32には、固定部32cの内側と連通して第2プーリ32を左右方向(Y軸方向)に貫通する貫通孔が形成されており、この貫通孔に第2出力軸22aが通されている。固定部32cの外周面から第2出力軸22aの外周面までネジが締め込まれることで、固定部32cが第2出力軸22aに固定されている。
第2プーリ32の左右方向内側(−Y側)の面には、左右方向外側(+Y側)に窪む嵌合凹部32dが形成されている。嵌合凹部32dには、第2モータ22の第2プーリ受部22bが嵌め合わされている。第2プーリ32は、第2プーリ受部22bに第1回転中心軸J1周り(±θ1方向)に回転可能に支持されている。第2プーリ32は、支持部材20と第2モータ22が固定された上腕部43との両方に対して、第1回転中心軸J1周り(±θ1方向)に回転可能に取り付けられている。
第3プーリ33は、肩部40の底部41の下面に固定されている。より詳細には、底部41の凹部41bの底面から第3プーリ33の上面にネジが締め込まれることで、第3プーリ33は、底部41に固定されている。第3プーリ33は、上側本体部33aと、下側本体部33bと、上側円板部33cと、中央円板部33dと、下側円板部33eと、を備えている。
上側本体部33aは、第1ワイヤ81が巻かれている部分である。上側本体部33aは、第2回転中心軸J2を中心とする円柱状である。下側本体部33bは、上側本体部33aの下側に位置している。下側本体部33bは、第2ワイヤ82が巻かれている部分である。下側本体部33bは、第2回転中心軸J2を中心とする円柱状である。上側本体部33aの外径と下側本体部33bの外径とは、同じである。
上側円板部33cは、上側本体部33aの上端から第2回転中心軸J2の径方向外側に拡がる円板状の部分である。上側円板部33cの上部は、肩部40における底部41の下面に形成された窪みに嵌め合わされている。
上側円板部33cには、上側円板部33cを上下方向に貫通するワイヤ貫通孔33fが形成されている。図示は省略するが、ワイヤ貫通孔33fは、第2回転中心軸J2を挟んで前後方向両側(±X側)および左右方向両側(±Y側)にそれぞれ2つずつ、計8つ形成されている。複数のワイヤ貫通孔33fは、底部41における複数のワイヤ貫通孔41aと連通している。複数のワイヤ貫通孔33fは、底部41における複数のワイヤ貫通孔41aと平面視において重なり合っている。
中央円板部33dは、上側本体部33aと下側本体部33bとの上下方向の中央に位置している。中央円板部33dは、第2回転中心軸J2の径方向外側に拡がる円板状の部分である。中央円板部33dには、中央円板部33dを上下方向に貫通するワイヤ貫通孔33gが形成されている。図示は省略するが、ワイヤ貫通孔33gは、第2回転中心軸J2を挟んで前後方向両側(±X側)および左右方向両側(±Y側)にそれぞれ2つずつ、計8つ形成されている。複数のワイヤ貫通孔33gは、上側円板部33cにおける複数のワイヤ貫通孔33fと平面視において重なり合っている。
下側円板部33eは、下側本体部33bの下端から第2回転中心軸J2の径方向外側に拡がる円板状の部分である。下側円板部33eには、下側円板部33eを上下方向に貫通するワイヤ貫通孔33hが形成されている。図示は省略するが、ワイヤ貫通孔33hは、第2回転中心軸J2を挟んで前後方向両側(±X側)および左右方向両側(±Y側)にそれぞれ2つずつ、計8つ形成されている。複数のワイヤ貫通孔33hは、上側円板部33cにおける複数のワイヤ貫通孔33fおよび中央円板部33dにおける複数のワイヤ貫通孔33gと平面視において重なり合っている。
上側円板部33cの外径と中央円板部33dの外径と下側円板部33eの外径とは、例えば、互いに同じである。上側円板部33cと中央円板部33dと下側円板部33eとは、第3板部材25の凹部25bと平面視において重なっている。
第3プーリ33の下面には、上側に窪む凹部33iが形成されている。凹部33iの下側から視た形状は、中心を第2回転中心軸J2が通る円形状である。凹部33iの内部には、ブッシュ28におけるブッシュ本体28aの上端が挿入されている。凹部33iの天面の中央には、第3プーリ33を上下方向に貫通するプーリ中央貫通孔33jが形成されている。プーリ中央貫通孔33jの平面視形状は、中心を第2回転中心軸J2が通る円形状である。
中央ボルト29aは、第2板部材24における第2上板部24bの下側から、第2中央貫通孔24cに挿入されている。中央ボルト29aは、第2中央貫通孔24cから、ブッシュ28の内側、プーリ中央貫通孔33j、底部中央貫通孔41c、および凹部41bを介して、肩部40の内部に挿入されている。
中央ボルト29aは、第3プーリ33の上側本体部33aの外周面および下側本体部33bの外周面から中央ボルト29aの外周面に対して締め込まれたネジによって、第3プーリ33と固定されている。中央ボルト29aの上端には、緩み止めナット29dが螺合されている。
中央ボルト29aの頭部側(−Z側)の部分の外周面には、ガイド部材29bが装着されている。ガイド部材29bは、上下方向両端に開口する円筒状である。ガイド部材29bは、ブッシュ28の内側に挿入されており、ブッシュ28の内側面に対して回転可能に支持されている。
中央ボルト29aの頭部とガイド部材29bおよびブッシュ28との上下方向の間には、ワッシャ29cが設けられている。ワッシャ29cの上面は、ガイド部材29bの下面およびブッシュ28の下面と接触している。中央ボルト29aの頭部は、ワッシャ29cを介して、ブッシュ28を下側から支持している。ブッシュ28のフランジ部28bの上面には、第1板部材23および第2板部材24と固定された第3板部材25の下面が接触している。そのため、中央ボルト29aの頭部は、ワッシャ29cを介して、支持部材20を下側から支持している。これにより、中央ボルト29aを介して、肩部40および第3プーリ33と、支持部材20と、が連結されている。
支持部材20は、ブッシュ28がガイド部材29bに対して回転可能に支持されているため、中央ボルト29a、第3プーリ33および肩部40に対して、第2回転中心軸J2周り(±θ2方向)に回転可能である。したがって、第3プーリ33は、支持部材20に対して、第2回転中心軸J2周りに回転可能に取り付けられている。
第1ワイヤ81は、図4に示すように、第1プーリ31と第3プーリ33とを連結している。第1ワイヤ81は、張力を介して、第1プーリ31の回転を第3プーリ33に伝達する。第1ワイヤ81は、例えば、ステンレス製のワイヤである。本実施形態において第1ワイヤ81は、前側第1ワイヤ81aと、後側第1ワイヤ81bと、の2本のワイヤで構成されている。
前側第1ワイヤ81aは、第1プーリ31に数回(例えば2回)巻かれて、第1プーリ31の前側(+X側)から上側に引き出されている。上側に引き出された前側第1ワイヤ81aは、第1補助プーリ34aに掛けられることで左右方向内側(+Y側)に導かれ、第3プーリ33の上側本体部33aに対して、前側から数回(例えば2回)巻かれている。
後側第1ワイヤ81bは、第1プーリ31に数回(例えば2回)巻かれて、第1プーリ31の後側(−X側)から上側に引き出されている。上側に引き出された後側第1ワイヤ81bは、第1補助プーリ34bに掛けられることで左右方向内側(+Y側)に導かれ、第3プーリ33の上側本体部33aに対して、後側から数回(例えば2回)巻かれている。
図示は省略するが、前側第1ワイヤ81aは、第1プーリ31に巻かれている途中で第1プーリ31の円板部31bに形成された2つの孔を介して第1プーリ31の左右方向外側に引き出されている。左右方向外側に引き出された前側第1ワイヤ81aの部分には、クランプ管が取り付けられている。これにより、前側第1ワイヤ81aは、第1プーリ31に固定されている。後側第1ワイヤ81bは、第1プーリ31に固定されている。後側第1ワイヤ81bの第1プーリ31に対する固定方法は、前側第1ワイヤ81aと同様である。
図2に示すように、後側第1ワイヤ81bの第3プーリ33側の端部は、第3プーリ33の上側円板部33cにおけるワイヤ貫通孔33f内および底部41のワイヤ貫通孔41a内を通って、肩部40の内部に引き出されている。そして、後側第1ワイヤ81bの第3プーリ33側の端部は、張力調整機構50の後述する巻軸53に巻かれて固定されている。
図示は省略するが、前側第1ワイヤ81aの第3プーリ33側の端部は、後側第1ワイヤ81bが通されたワイヤ貫通孔33f,41aとは異なるワイヤ貫通孔33f,41aを介して肩部40の内部に引き出されている。そして、前側第1ワイヤ81aの第3プーリ33側の端部は、後側第1ワイヤ81bが巻かれた巻軸53とは異なる巻軸53に巻かれて固定されている。
以上のように、第1ワイヤ81が第1プーリ31と第3プーリ33とに巻かれていることで、第1ワイヤ81は、第1プーリ31に第1回転中心軸J1周りの正の向き(一方向き,+θ1向き)の回転トルクが加えられた際に、第3プーリ33に対して、第2回転中心軸J2周りの正の向き(一方向き,+θ2向き)の回転トルクを伝達する。
第2ワイヤ82は、図4に示すように、第2プーリ32と第3プーリ33とを連結している。第2ワイヤ82は、張力を介して、第2プーリ32の回転を第3プーリ33に伝達する。第2ワイヤ82は、例えば、ステンレス製のワイヤである。本実施形態において第2ワイヤ82は、前側第2ワイヤ82aと、後側第2ワイヤ82bと、の2本のワイヤで構成されている。
前側第2ワイヤ82aは、第2プーリ32に数回(例えば2回)巻かれて、第2プーリ32の前側(+X側)から上側に引き出されている。上側に引き出された前側第2ワイヤ82aは、第2補助プーリ35aに掛けられることで左右方向内側(−Y側)に導かれ、第3プーリ33の下側本体部33bに対して、前側から数回(例えば2回)巻かれている。
後側第2ワイヤ82bは、第2プーリ32に数回(例えば2回)巻かれて、第2プーリ32の後側(−X側)から上側に引き出されている。上側に引き出された後側第2ワイヤ82bは、第2補助プーリ35bに掛けられることで左右方向内側(−Y側)に導かれ、第3プーリ33の下側本体部33bに対して、後側から数回(例えば2回)巻かれている。
前側第2ワイヤ82aの第2プーリ32側の端部は、第2プーリ32に固定されている。後側第2ワイヤ82bの第2プーリ32側の端部は、第2プーリ32に固定されている。前側第2ワイヤ82aおよび後側第2ワイヤ82bの第2プーリ32に対する固定方法は、前側第1ワイヤ81aの第1プーリ31に対する固定方法と同様である。
図2に示すように、後側第2ワイヤ82bの第3プーリ33側の端部は、第3プーリ33の中央円板部33dにおけるワイヤ貫通孔33g内、上側円板部33cにおけるワイヤ貫通孔33f内および底部41のワイヤ貫通孔41a内を通って、肩部40の内部に引き出されている。そして、後側第2ワイヤ82bの第3プーリ33側の端部は、張力調整機構50の後述する巻軸53に巻き回されて固定されている。後側第2ワイヤ82bが通されたワイヤ貫通孔33f,41aは、第1ワイヤ81が通されたワイヤ貫通孔33f,41aとは異なるワイヤ貫通孔33f,41aである。後側第2ワイヤ82bが巻かれた巻軸53は、第1ワイヤ81が巻かれた巻軸53とは異なる巻軸53である。
図示は省略するが、前側第2ワイヤ82aの第3プーリ33側の端部は、後側第2ワイヤ82bが通されたワイヤ貫通孔33g,33f,41aとは異なるワイヤ貫通孔33g,33f,41aを介して肩部40の内部に引き出されている。そして、前側第2ワイヤ82aの第3プーリ33側の端部は、後側第2ワイヤ82bが巻かれた巻軸53とは異なる巻軸53に巻かれて固定されている。
以上のように、第2ワイヤ82が第2プーリ32と第3プーリ33とに巻かれていることで、第2ワイヤ82は、第2プーリ32に第1回転中心軸J1周りの正の向き(+θ1向き)の回転トルクが加えられた際に、第3プーリ33に対して、第2回転中心軸J2周りの負の向き(他方向き,−θ2向き)の回転トルクを伝達する。すなわち、第1プーリ31と第2プーリ32とに対して、第1回転中心軸J1周りの同じ向きに回転トルクが加えられた場合、第1ワイヤ81によって第3プーリ33に伝達される回転トルクの向きと、第2ワイヤ82によって第3プーリ33に伝達される回転トルクの向きとは、互いに異なる。
駆動ユニット10Aにおける張力調整機構50は、図3に示すように、肩部40の側壁部42に4つ設けられている。4つの張力調整機構50は、側壁部42の4つの外側面にそれぞれ設けられている。
以下の説明においては、側壁部42の外側面のうち前側(+X側)の外側面42aに設けられた張力調整機構50を例として、張力調整機構50の各部の位置関係について説明する。張力調整機構50は、保持部材51と、調整部材52と、巻軸53と、ウォームホイール54と、を備えている。
保持部材51は、張力調整機構50が設けられた側壁部42の外側面42aに固定されている。保持部材51は、固定板部51aと、保持部51bと、を備えている。固定板部51aは、側壁部42の外側面42aに沿って拡がる板状である。固定板部51aは、ネジによって側壁部42に固定されている。
保持部51bは、固定板部51aの左右方向(Y軸方向)の両端から、張力調整機構50が設けられた側壁部42の外側面42aと直交する前後方向(X軸方向)に突出する板状である。保持部51bの側面視形状は、上側に開口するU字形状である。
調整部材52は、ウォーム部52aと、摘み部52bと、を備えている。ウォーム部52aは、左右方向(Y軸方向)に延びている。ウォーム部52aの外側面には、ネジ状の歯車部が形成されている。ウォーム部52aは、左右方向の両端が保持部51bの開口に嵌められて保持されている。ウォーム部52aは、左右方向に延びるウォーム部52aの中心軸周りに回転可能である。摘み部52bは、ウォーム部52aの左右方向一方側の端部に固定されている。
巻軸53は、ウォーム部52aが延びる方向と直交する前後方向(X軸方向)に沿って延びている。巻軸53は、肩部40の内部に設けられている。巻軸53の前側(+X側)の端部は、側壁部42および保持部材51の固定板部51aを前後方向に貫通している。巻軸53は、前後方向に延びる巻軸53の中心軸周りに回転可能に保持されている。巻軸53の後側(−X側)の端部には、外径が小さくなる括れた部分が設けられており、この括れた部分には、後側第2ワイヤ82bが巻かれて固定されている。
ウォームホイール54は、巻軸53の前側(+X側)の端部に固定されている。ウォームホイール54は、固定板部51aの前側の面に位置している。ウォームホイール54の外側面には、はす歯の歯車部が形成されており、ウォーム部52aの歯車部と噛み合っている。ウォームホイール54と巻軸53とは、共に巻軸53の中心軸周りに回転可能である。
調整部材52の摘み部52bを介してウォーム部52aを回転させることで、ウォーム部52aと噛み合ったウォームホイール54が回転し、巻軸53が回転する。これにより、巻軸53に巻かれた後側第2ワイヤ82bを巻軸53にさらに巻き取ることで、後側第2ワイヤ82bの張力を大きくすることができる。一方、巻軸53に巻かれた後側第2ワイヤ82bが解ける向きに巻軸53を回すことで、後側第2ワイヤ82bの張力を小さくすることができる。このようにして、張力調整機構50によって、後側第2ワイヤ82bの張力を調整することができる。
前側第1ワイヤ81a、後側第1ワイヤ81bおよび前側第2ワイヤ82aは、後側第2ワイヤ82bが固定された張力調整機構50とは異なる各張力調整機構50の巻軸53にそれぞれ巻かれて固定されている。これにより、各張力調整機構50を操作することで、各ワイヤの張力を互いに独立して調整可能である。
上腕部43は、図1に示すように、駆動ユニット10Aを介して、肩部40と接続されている。上腕部43は、上腕部本体44と、接続部45と、を備えている。上腕部本体44は、第1回転中心軸J1と直交する方向に延びた細長の角筒状である。上腕部本体44が延びている方向は、駆動ユニット10Bにおける第2回転中心軸J4と平行な方向である。基準姿勢において上腕部本体44が延びている方向は、上下方向(Z軸方向)である。
上腕部本体44には、図4に示すように、第1モータ21および第2モータ22が固定されている。上腕部43の駆動ユニット10A側(+Z側)の端部には、二股に分かれた挟持部44aが形成されている。第1モータ21および第2モータ22は、挟持部44aによって、各モータの出力軸と直交する方向(X軸方向)に挟まれて、上腕部本体44に固定されている。上述したように、第1モータ21および第2モータ22は、支持部材20に対して第1回転中心軸J1周り(±θ1方向)に回転可能に取り付けられている。そのため、上腕部43は、支持部材20に対して第1回転中心軸J1周りに回転可能に取り付けられている。
図1に示すように、上腕部本体44の外側面には、駆動ユニット10Bの張力調整機構50が4つ設けられている。図示は省略するが、駆動ユニット10Bの各ワイヤは、上腕部本体44の内部において、各張力調整機構50の巻軸53に巻かれて固定されている。接続部45は、上腕部本体44の駆動ユニット10Aと反対側(−Z側)に固定されている。接続部45には、駆動ユニット10Bが接続されている。
駆動ユニット10Bは、上腕部43に対して、前腕部46を第1回転中心軸J3周りおよび第2回転中心軸J4周りに回転させる。駆動ユニット10Bとの関係において、前腕部46は、第2部材に相当する。基準姿勢において第1回転中心軸J3は、第1回転中心軸J1と平行である。基準姿勢において第2回転中心軸J4は、第2回転中心軸J2と平行で、かつ、同軸上にある。
前腕部46は、駆動ユニット10Bを介して、上腕部43と接続されている。前腕部46は、駆動ユニット10Bの第1回転中心軸J3と直交する方向と平行に延びた細長の角筒状である。前腕部46が延びている方向は、駆動ユニット10Cにおける第2回転中心軸J6と平行な方向である。基準姿勢において前腕部46が延びている方向は、前後方向(X軸方向)である。
前腕部46の外側面には、駆動ユニット10Cの張力調整機構50が4つ設けられている。4つの張力調整機構50は、前腕部46が延びる方向(X軸方向)に沿って並んで配置されている。図示は省略するが、駆動ユニット10Cの各ワイヤは、前腕部46の内部において、各張力調整機構50の巻軸53に巻かれて固定されている。
駆動ユニット10Cは、前腕部46に対して、手部47を第1回転中心軸J5周りおよび第2回転中心軸J6周りに回転させる。基準姿勢において第1回転中心軸J5は、第1回転中心軸J1と平行である。基準姿勢において第2回転中心軸J6は、第2回転中心軸J2と垂直である。
図5は、駆動ユニット10Cを示す斜視図である。図5は、手部47が基準姿勢から第1回転中心軸J5周りに回転された場合について示している。図5においては、手部47の図示を省略している。また、図5に示す駆動ユニット10Cにおいて、駆動ユニット10Aと同様の構成については、同一の符号を付している。
駆動ユニット10Cは、図5に示すように、駆動ユニット10Aに対して、各モータの配置が異なる。駆動ユニット10Cにおいて、第1モータ121および第2モータ122は、第1回転中心軸J5と直交する方向に重ねられて互いに固定されている。第1モータ121の出力軸および第2モータ122の出力軸は、第1回転中心軸J5と平行である。第1モータ121の出力軸と第2モータ122の出力軸とは、互いに異なる位置に配置され、かつ、第1回転中心軸J5とも異なる位置に配置されている。第1モータ121の出力軸には、第1出力プーリ121aが固定されている。第2モータ122の出力軸には、第2出力プーリ122aが固定されている。
駆動ユニット10Cは、モータ挟持部材124a,124bと、接続部材124cと、をさらに備えている。モータ挟持部材124a,124bは、第1回転中心軸J5と直交する方向に拡がる板状である。モータ挟持部材124aとモータ挟持部材124bとは、第1モータ121と第2モータ122とを第1回転中心軸J5と平行な方向に挟んで固定している。接続部材124cは、モータ挟持部材124aとモータ挟持部材124bとを連結している。
駆動ユニット10Cの第1プーリ131は、モータ挟持部材124aに対して、第1回転中心軸J5周りに回転可能に接続されている。駆動ユニット10Cの第2プーリ132は、モータ挟持部材124bに対して、第1回転中心軸J5周りに回転可能に接続されている。
駆動ユニット10Cの第1ワイヤ181は、第1出力プーリ121aに数回(例えば2回)巻かれて固定された後、第1出力プーリ121aから引き出されて第1プーリ131と第1補助プーリ34a,34bとを介して、第3プーリ33に巻かれて固定されている。これにより、第1モータ121によって第1プーリ131が第1回転中心軸J5周りに回転させられ、第1プーリ131の回転が、第1ワイヤ181によって第3プーリ33に伝達される。第1ワイヤ181は、駆動ユニット10Aの第1ワイヤ81と同様に、例えば、2本のワイヤで構成されている。
駆動ユニット10Cの第2ワイヤ182は、第2出力プーリ122aに数回(例えば2回)巻かれて固定された後、第2出力プーリ122aから引き出されて第2プーリ132と第2補助プーリ35a,35bとを介して、第3プーリ33に巻かれて固定されている。これにより、第2モータ122によって第2プーリ132が第1回転中心軸J5周りに回転させられ、第2プーリ132の回転が、第2ワイヤ182によって第3プーリ33に伝達される。第2ワイヤ182は、駆動ユニット10Aの第2ワイヤ82と同様に、例えば、2本のワイヤで構成されている。
手部47は、図1に示すように、駆動ユニット10Cを介して、前腕部46と接続されている。手部47は、駆動ユニット10Cにおける第1モータ121、第2モータ122およびモータ挟持部材124a,124bに固定されている。駆動ユニット10Cとの関係において、手部47と、モータ挟持部材124a,124bと、接続部材124cとは、第2部材に相当する。
次に、駆動ユニット10Aによる上腕部43の駆動方法について説明する。図6および図7は、駆動ユニット10Aによる上腕部43の駆動方法について説明するための斜視図である。図6は、基準姿勢から、上腕部43を肩部40に対して第2回転中心軸J2周りに回転させた場合を示している。図7は、基準姿勢から、上腕部43を肩部40に対して第1回転中心軸J1周りに回転させた場合を示している。
上腕部43を肩部40に対して第2回転中心軸J2周り(±θ2方向)に回転させる場合、図6に示すように、第1モータ21と第2モータ22とによって、第1プーリ31と第2プーリ32とに第2回転中心軸J2周り逆向きの回転トルクを加える。これにより、第3プーリ33には、第1ワイヤ81と第2ワイヤ82とを介して、第2回転中心軸J2周りの同じ向きに回転トルクが加えられる。したがって、支持部材20と第3プーリ33とが第2回転中心軸J2周りに相対的に回転する。本実施形態では、第3プーリ33が固定された肩部40の位置が固定されているため、第3プーリ33に対して支持部材20が第2回転中心軸J2周りに回転する。これにより、肩部40に対して上腕部43を第2回転中心軸J2周りに回転させることができる。
具体的に図6の例では、第1モータ21が第1プーリ31に第1回転中心軸J1周りの正の向き(+θ1向き)の回転トルクを加え、第2モータ22が第2プーリ32に第1回転中心軸J1周りの負の向き(−θ1向き)の回転トルクを加えている。この場合、第3プーリ33には、第2回転中心軸J2周りの正の向き(+θ2向き)に回転トルクが加えられる。しかし、本実施形態において第3プーリ33の位置は固定されているため、支持部材20が、第3プーリ33に対して、第3プーリ33に加えられる回転トルクの向きと逆向き(−θ2向き)に回転する。
上腕部43を肩部40に対して第1回転中心軸J1周り(±θ1方向)に回転させる場合、図7に示すように、第1モータ21と第2モータ22とによって、第1プーリ31と第2プーリ32とに同じ向きの回転トルクを加える。これにより、第1ワイヤ81と第2ワイヤ82とを介して、それぞれ第3プーリ33に加えられる第2回転中心軸J2周り回転トルクは、互いに逆向きとなる。したがって、第1ワイヤ81と第2ワイヤ82とによって第3プーリ33に伝達される回転トルクの絶対値が同じ場合、各回転トルクが互いに打ち消し合って、第3プーリ33と支持部材20とは第2回転中心軸J2周りに回転しない。
この場合、第1プーリ31と第2プーリ32とに加えられる回転トルクが、第1ワイヤ81と第2ワイヤ82とを介して、第3プーリ33に第1回転中心軸J1周り(±θ1方向)の回転トルクを加える。そのため、第3プーリ33と第1モータ21および第2モータ22とが第1回転中心軸J1周りに相対的に回転する。本実施形態においては、第3プーリ33の位置が固定されているため、第1モータ21および第2モータ22が、第3プーリ33に対して回転する。これにより、肩部40に対して上腕部43を第1回転中心軸J1周りに回転させることができる。
具体的に図7の例では、第1モータ21と第2モータ22とが、第1プーリ31と第2プーリ32とに、第1回転中心軸J1周りの負の向き(−θ1向き)の回転トルクを加えている。第1モータ21による回転トルクと第2モータ22による回転トルクとは、互いに同じである。この場合、第3プーリ33には、第1回転中心軸J1周りの負の向きの回転トルクが加えられる。しかし、本実施形態において第3プーリ33の位置は固定されているため、第1モータ21および第2モータ22が第3プーリ33に加えられる回転トルクの向きと逆向き(+θ1向き)に回転する。
上記説明した各モータによって加えられる各プーリの回転トルクと、各回転中心軸周りの回転トルクとの関係は、以下の式(1)で示される。τ1は、第1モータ21によって加えられる第1プーリ31の回転トルクである。τ2は、第2モータ22によって加えられる第2プーリ32の回転トルクである。T1は、第1回転中心軸J1周りの回転トルクである。T2は、第2回転中心軸J2周りの回転トルクである。
ここで、各係数a11〜a22を1とすると、各回転中心軸に加えられる回転トルクは、以下の式(2),(3)で表される。
式(2),(3)から、回転トルクτ1,τ2の絶対値が同じ場合、第1プーリ31の回転トルクτ1の向きと第2プーリ32の回転トルクτ2の向きとを同じとすれば、第2回転中心軸J2周りの回転トルクT2は0となることが分かる。また、第1回転中心軸J1周りの回転トルクT1が各プーリの回転トルクの2倍となることが分かる。また、第1プーリ31の回転トルクτ1の向きと第2プーリ32の回転トルクτ2の向きとを逆向きとすれば、第1回転中心軸J1周りの回転トルクT1は0となり、第2回転中心軸J2周りの回転トルクT2が各プーリの回転トルクの2倍となることが分かる。
また、例えば、第1プーリ31の回転トルクτ1と第2プーリ32の回転トルクτ2とのうちの一方を0とすれば、第1回転中心軸J1周りおよび第2回転中心軸J2周りの両方に回転トルクを加えることができる。この場合、上腕部43は、肩部40に対して第1回転中心軸J1周りに回転すると同時に、第2回転中心軸J2周りに回転する。なお、この場合、回転トルクを0とされたプーリは、そのプーリを駆動するモータとの第1回転中心軸J1周りの相対位置関係が保持されたまま、モータと共に第1回転中心軸J1周りに回転する。
以上に説明したように、本実施形態によれば、2つのモータの駆動力を、第1回転中心軸J1と第2回転中心軸J2との2つの回転中心軸周りに分配することができ、第1回転中心軸J1周りの回転と第2回転中心軸J2周りの回転とを独立に制御することができる。また、各モータによって駆動される第1プーリ31の回転および第2プーリ32の回転は、張力を介してワイヤによって第3プーリ33に伝達される。そのため、第1回転中心軸J1と第2回転中心軸J2との配置関係、および第1モータ21と第2モータ22との配置される位置によらず、各モータの駆動力を各回転中心軸に伝達および分配させやすい。したがって、本実施形態によれば、回転中心軸およびモータの配置自由度を確保しつつ、複数の回転中心軸を複数のモータによって独立に制御できるマニピュレータ1が得られる。
また、例えば、従来のマニピュレータでは、上腕部等のアームを回転中心軸周りに回転させる場合には、1つの回転中心軸ごとに1つのモータが設置されていた。そのため、1つの回転中心軸周りに加えることができる回転トルクは、1つのモータの出力に依存しており、回転中心軸周りに大きなトルクを加えるためには、例えば、モータを大型化して出力を大きくする必要があった。
これに対して、本実施形態によれば、1つの回転中心軸周りの回転に2つのモータの駆動力を利用できるため、従来と同じ大きさのモータを従来と同じ数だけ配置した場合でも、1つの回転中心軸周りの出力を2倍にできる。したがって、マニピュレータ1の出力を大きくすることができる。一方、マニピュレータ1の出力を従来の出力と同じにする場合には、各モータの出力を小さくできるため、モータを小型化することができる。
また、各モータの駆動力がギアで伝達されている場合、マニピュレータに大きな外力が加えられた際、外力によって加えられる負荷でギアが破損する場合がある。これに対して、本実施形態によれば、第1モータ21の駆動力および第2モータ22の駆動力が第1ワイヤ81および第2ワイヤ82で伝達されている。そのため、マニピュレータ1に大きな外力が加えられた際に、第1ワイヤ81および第2ワイヤ82が伸縮して、外力によって加えられる負荷を吸収することができる。これにより、駆動ユニット10Aが破損することを抑制でき、信頼性の高いマニピュレータ1が得られる。
また、上記実施形態では、1つの駆動ユニットにおいて、2つのモータによって2つの回転中心軸を制御する構成としたが、これに限られない。1つの駆動ユニットにおいて、2つのモータによって3つ以上の回転中心軸を制御する構成としてもよいし、3つ以上のモータによって2つの回転中心軸を制御する構成としてもよい。また、1つの駆動ユニットにおいて、3つ以上のモータによって3つ以上の回転中心軸を制御する構成としてもよい。
図8は、3つのモータによって3つの回転中心軸を制御する一例の原理を説明するための模式図である。図8では、3つのモータによって3つの回転中心軸を制御する一例を、4つのリンクが接続されたリンクマニピュレータLM1として示している。図8に示すように、リンクマニピュレータLM1は、3つのモータMA,MB,MCと、ベースリンクBLと、第1リンクL1と、第2リンクL2と、第3リンクL3と、を備える。ベースリンクBLと第1リンクL1とは、回転中心軸JA周りに互いに回転可能に接続されている。第1リンクL1と第2リンクL2とは、回転中心軸JB周りに互いに回転可能に接続されている。第2リンクL2と第3リンクL3とは、回転中心軸JC周りに互いに回転可能に接続されている。リンクマニピュレータLM1において、3つのモータMA,MB,MCは、ベースリンクBLに固定されている。回転中心軸JA,JB,JCは、互いに平行である。
モータMAとモータMBとモータMCとによって、回転中心軸JAと回転中心軸JBと回転中心軸JCとをそれぞれ独立に制御する場合について考える。この場合、一例として、モータMAによって駆動されるワイヤWA1,WA2と、モータMBによって駆動されるワイヤWB1,WB2と、モータMCによって駆動されるワイヤWC1,WC2とは、各リンクおよび各回転中心軸に対して図8に示すように取り回せばよい。
ワイヤWA1,WA2は、モータMAと第3リンクL3とに固定されている。ワイヤWB1,WB2は、モータMBと第3リンクL3とに固定されている。ワイヤWC1,WC2は、モータMCと第3リンクL3とに固定されている。より詳細には、各ワイヤは、各モータによって回転トルクを受けて回転させられるプーリに固定されている。各ワイヤは、各モータを介してベースリンクBLに固定されている。図8において、各回転中心軸の周囲を通る各ワイヤは、各回転中心軸に対して回転トルクを与えることができることを示している。
具体的には、例えば、回転中心軸JAの上側を通るワイヤWA1が図8の右向きに移動する場合、回転中心軸JAには、時計回りの向きに回転トルクが加えられる。一方、回転中心軸JAの下側を通るワイヤWA2が図8の右向きに移動する場合、回転中心軸JAには、反時計回りの向きに回転トルクが加えられる。
図8の場合、各モータによって加えられる各プーリの回転トルクと、各回転中心軸周りの回転トルクとは、以下の式(4)で示される。τAは、モータMAによって加えられるプーリの回転トルクである。τBは、モータMBによって加えられるプーリの回転トルクである。τCは、モータMCによって加えられるプーリの回転トルクである。TAは、回転中心軸JA周りの回転トルクである。TBは、回転中心軸JB周りの回転トルクである。TCは、回転中心軸JC周りの回転トルクである。
ここで、各係数a11〜a33を1とすると、各回転中心軸に加えられる回転トルクは、以下の式(5)〜(7)で表される。
式(5)〜(7)から、回転トルクτA,τCの絶対値が同じ場合、回転トルクτBを0として、回転トルクτAの向きと回転トルクτCの向きとを逆向きとすれば、回転中心軸JAの回転トルクTAおよび回転中心軸JBの回転トルクTBは0となることが分かる。また、回転中心軸JCの回転トルクTCの絶対値が回転トルクτA,τCの2倍となることが分かる。これにより、回転中心軸JC周りにのみ回転トルクを加えることができる。この場合、第3リンクL3のみを第2リンクL2に対して回転中心軸JC周りに回転駆動させることができる。同様にして、他の回転中心軸も独立して制御することが可能であり、各リンクを独立して駆動することが可能である。上記の式(4)に基づいて、モータ、プーリおよび回転中心軸を増やすことで、上述したマニピュレータ1を、3つのモータによって3つの回転中心軸を制御可能なマニピュレータに拡張することができる。
具体的には、回転中心軸JAと回転中心軸JBとの間のワイヤWA1,WA2、および回転中心軸JBと回転中心軸JCとの間のワイヤWB1,WB2のように、回転中心軸に加える回転トルクの向きが逆転するように、ワイヤの取り回しが交差する箇所を設ける。これにより、式(1)における係数a22、および式(4)における係数a22,a33のように、係数行列内の係数にマイナス符号が付く箇所が生じ、上述したような各回転中心軸の独立制御が可能となる。
上述した各モータMA,MB,MCと回転中心軸JA,JB,JCとの配置関係は、各ワイヤの各リンクに対する固定関係を変更しない範囲で、適宜変更可能である。図9および図10は、3つのモータによって3つの回転中心軸を制御する他の例の原理を説明するための模式図である。
図9に示すリンクマニピュレータLM2は、図8に示すリンクマニピュレータLM1に対して、モータMAの軸、すなわちモータMAによって回転させられるプーリの回転軸が回転中心軸JAと一致している点において異なる。モータMAは、ベースリンクBLに固定されている。リンクマニピュレータLM2のその他の構成は、図8に示すリンクマニピュレータLM1の構成と同様である。リンクマニピュレータLM2においても、各モータによって加えられる各プーリの回転トルクと、各回転中心軸周りの回転トルクとは、上述した式(4)で示される。
図10に示すリンクマニピュレータLM3は、図9に示すリンクマニピュレータLM2に対して、モータMBの軸、すなわちモータMBによって回転させられるプーリの回転軸が回転中心軸JBと一致し、モータMCの軸、すなわちモータMCによって回転させられるプーリの回転軸が回転中心軸JCと一致している点において異なる。
リンクマニピュレータLM3において、モータMBは、第2リンクL2に固定されており、モータMCは、第3リンクL3に固定されている。ワイヤWB1,WB2は、第3リンクL3とベースリンクBLとに直接固定されている。ワイヤWB1,WB2は、それぞれモータMB、より詳細にはモータMBによって回転させられるプーリに一周巻かれて、モータMBに接続されている。これにより、モータMBによってワイヤWB1,WB2を駆動することができる。ワイヤWB1,WB2をモータMBの周りに巻きつかせることで、各リンクの相対姿勢が変化してワイヤWB1,WB2が取り回される経路長が変化する場合に、ワイヤWB1,WB2が撓むことを抑制できる。
ワイヤWC1,WC2は、モータMC、より詳細にはモータMCによって回転させられるプーリとベースリンクBLとに固定されている。リンクマニピュレータLM3のその他の構成は、図9に示すリンクマニピュレータLM2の構成と同様である。リンクマニピュレータLM3においても、各モータによって加えられる各プーリの回転トルクと、各回転中心軸周りの回転トルクとは、上述した式(4)で示される。
図8に示したリンクマニピュレータLM1および図9に示したリンクマニピュレータLM2のように、ベースリンクBLに各モータMA,MB,MCが固定されている場合、ベースリンクBLを固定して第1リンクL1、第2リンクL2および第3リンクL3を駆動する際に、モータMA,MB,MCの自重をモータMA,MB,MCによって補償する必要が無い。そのため、各リンクを駆動するための各モータMA,MB,MCの回転トルクを小さくできる。
また、図9に示したリンクマニピュレータLM2のように、モータMAを回転中心軸JAと一致させる場合、図8に示したリンクマニピュレータLM1と比べて、ワイヤWA1,WA2の長さを短くできる。そのため、ワイヤWA1,WA2全体の伸縮量を小さくでき、ワイヤWA1,WA2を介して各リンクに精度よく駆動力を伝達できる。これにより、駆動させる各リンクの位置の誤差を小さくでき、位置精度よく各リンクを駆動できる。図10に示したリンクマニピュレータLM3のように、各モータを各回転中心軸に配置する場合には、各ワイヤの全長を短くしやすく、各ワイヤ全体の伸縮量を小さくできる。したがって、より位置精度よく各リンクを駆動できる。
また、図10に示したリンクマニピュレータLM3のように、各リンクに各モータをばらけさせて配置すると、ワイヤの取り回しが複雑化しにくく、リンクを駆動させる機構をユニット化しやすい。
3つのモータによって3つの回転中心軸を制御する例としては、図8から図10のそれぞれに示した各例の他、例えば、図10に示すリンクマニピュレータLM3に対して、モータMBが図8に示すリンクマニピュレータLM1と同様にベースリンクBLに固定された点のみが異なるリンクマニピュレータを挙げることもできる。
上記の各リンクマニピュレータLM1,LM2,LM3を例として示した原理に基づいて、制御できる回転中心軸を増やすことで、例えば、人間の腕の関節の軸数と同じ数(26軸)の回転中心軸をワイヤによって互いに干渉させて、複数のモータを用いて回転を制御する構成に拡張することもできる。したがって、本実施形態のマニピュレータ1は、義手および人間型のロボットの腕等に適用される場合に、特に有用である。
なお、図8から図10において各ワイヤWA1,WA2は、1本のワイヤで構成されていてもよい。各ワイヤWB1,WB2は、1本のワイヤで構成されていてもよい。各ワイヤWC1,WC2は、1本のワイヤで構成されていてもよい。
また、本実施形態によれば、プーリとワイヤとを用いて各モータの駆動力を複数の回転中心軸に伝達および分配する構成である。そのため、第1モータ21の負荷および第2モータ22の負荷が大きくなるのに従って、回転中心軸周りの出力を大きくできる負荷感応機構を組み込むことができる。詳細については、後述する第2実施形態から第4実施形態において説明する。
また、例えば、本実施形態のようにマニピュレータ1を多関節マニピュレータとする場合に、各関節を駆動する複数のモータを同じ箇所にまとめて配置すると、関節数が多くなるほどワイヤの取り回しが複雑化しやすい問題があった。
これに対して、本実施形態によれば、第1モータ21および第2モータ22は、上腕部43に固定されている。そのため、肩部40に対して上腕部43を駆動させる装置を駆動ユニット10Aとして、ユニット化することができる。これにより、相対駆動させたい2つの対象を駆動ユニット10Aで繋ぐことによって、容易に、駆動ユニット10Aが有する回転中心軸の数の自由度で2つの対象を相対駆動させることができる。また、各ワイヤの取り回しは、駆動ユニット10A内で完結するため、マニピュレータの関節数を多くしても、ワイヤの取り回しが複雑化することがない。したがって、マニピュレータの関節数を多くしやすく、また、関節の追加も容易である。
上記のような多関節マニピュレータは、例えば、狭い場所に入って作業を行うマニピュレータとして利用されることが考えられる。一例としては、配管内を通って配管検査を行うマニピュレータ、災害現場等の瓦礫の隙間に入り込んで探査・捜索を行うマニピュレータ等が挙げられる。本実施形態のマニピュレータ1は、これらのような多関節マニピュレータに適用される場合に、特に有用である。
また、例えば、マニピュレータ1を義手として利用する場合について考える。この場合、例えば、固定される肩部40に第1モータ21および第2モータ22が取り付けられていると、肩部40を利用者の身体に接続する際に各モータが邪魔となり、利用者の身体に義手を装着しにくい。
これに対して、本実施形態によれば、第1モータ21および第2モータ22は、肩部40に対して駆動される上腕部43に固定され、上腕部43の姿勢の変化と共に、第1モータ21および第2モータ22が移動する。そのため、肩部40にモータが固定されておらず、マニピュレータ1を義手として利用する際に、利用者の身体に肩部40を接続しやすい。したがって、本実施形態のマニピュレータ1は、義手として利用される場合に、特に有用である。
また、本実施形態の駆動ユニット10Aにおいては、第1モータ21の第1出力軸21aおよび第2モータ22の第2出力軸22aは、第1回転中心軸J1を中心とする。そのため、第1出力軸21aに第1プーリ31を固定することで、第1モータ21の出力を直接的に第1プーリ31に伝達することができる。また、同様に、第2出力軸22aに第2プーリ32を固定することで、第2モータ22の出力を直接的に第2プーリ32に伝達することができる。これにより、第1モータ21の出力および第2モータ22の出力を、容易に第1プーリ31および第2プーリ32に伝達することができる。
また、本実施形態の駆動ユニット10Cにおいては、第1モータ121の出力軸と第2モータ122の出力軸とが第1回転中心軸J5からずれて配置され、第1モータ121と第2モータ122とが第1回転中心軸J5と直交する方向に重ねられて配置されている。これにより、第1プーリ131と第2プーリ132との間における第1回転中心軸J5と平行な方向の寸法を小さくできる。これにより、駆動ユニット10Cの第1回転中心軸J5と平行な方向の寸法を小さくでき、駆動ユニット10Cを小型化しやすい。
また、本実施形態によれば、第1ワイヤ81の張力および第2ワイヤ82の張力を調整する張力調整機構50が設けられている。これにより、第1ワイヤ81および第2ワイヤ82に弛みが生じて、第1ワイヤ81の張力および第2ワイヤ82の張力が低下した場合であっても、第1ワイヤ81および第2ワイヤ82に張力を加えることができる。また、第1ワイヤ81の張力および第2ワイヤ82の張力を調整することで、第1モータ21の回転および第2モータ22の回転に対する各回転中心軸周りの回転の進み角または遅れ角を調整することができる。
なお、本発明は上述の実施形態に限られず、他の構成を採用することもできる。以下の説明において上記説明と同様の構成については、適宜同一の符号を付す等により説明を省略する場合がある。
第1プーリ31と第3プーリ33とを連結する第1ワイヤ81は、例えば、1本のワイヤであってもよい。この場合、第1ワイヤ81は、各プーリに巻かれるのみで、プーリに直接固定されない構成であってもよい。また、第1ワイヤ81は、3本以上のワイヤで構成されていてもよい。第2プーリ32と第3プーリ33とを連結する第2ワイヤ82は、例えば、1本のワイヤであってもよい。この場合、第2ワイヤ82は、各プーリに巻かれるのみで、プーリに直接固定されない構成であってもよい。また、第2ワイヤ82は、3本以上のワイヤで構成されていてもよい。
また、伝達部材は、張力を介して、プーリ同士の間で回転を伝達できるならば、特に限定されない。伝達部材は、ロープであってもよいし、チェーンであってもよいし、ベルトであってもよい。また、伝達部材の材質は、特に限定されない。
また、回転部材は、各部に対して回転可能に取り付けられるならば、特に限定されず、プーリでなくてもよい。
また、第1モータ21の配置および第2モータ22の配置は、特に限定されず、第1モータ21および第2モータ22は、上腕部43以外の箇所に固定されていてもよい。
また、張力調整機構50は、第1ワイヤ81の張力または第2ワイヤ82の張力を調整できるならば、特に限定されない。また、張力調整機構50は、第1ワイヤ81と第2ワイヤ82とのうちのいずれか一方のみに対して設けられていてもよい。
また、駆動ユニット10Cにおいて、第1出力プーリ121aと第1プーリ131とを連結するワイヤは、第1ワイヤ181とは別のワイヤであってもよい。第2出力プーリ122aと第2プーリ132とを連結するワイヤは、第2ワイヤ182とは別のワイヤであってもよい。
また、第1回転中心軸J1と第2回転中心軸J2との関係は、互いに異なれば、特に限定されない。例えば、第1回転中心軸J1と第2回転中心軸J2とは、直交せずに交差してもよいし、互いにねじれの位置にあってもよいし、平行であってもよい。
また、例えば、駆動ユニット10Aの各ワイヤを駆動ユニット10Bの各プーリに巻いて、駆動ユニット10Bの各ワイヤを駆動ユニット10Aの各プーリに巻いて、互いに干渉させてもよい。これにより、4つのモータで4つの回転中心軸を制御する構成とできる。また、駆動ユニット10A〜10Cを互いに干渉させてもよい。
<第2実施形態>
第2実施形態は、第1実施形態に対して、負荷感応機構としての可変機構230が設けられている点において異なる。図11および図12は、本実施形態の第1プーリ231を示す斜視図である。
第1プーリ231は、図11および図12に示すように、第1円板部231aと、第2円板部231bと、支持軸231cと、圧縮バネ231dと、連結ワイヤ231eと、を備えている。本実施形態において第1プーリ231の各部は、可変機構230を構成している。
第1円板部231aと第2円板部231bとは、第1回転中心軸J1を中心として第1回転中心軸J1の径方向外側に拡がる円板状である。第1円板部231aと第2円板部231bとは、第1回転中心軸J1と平行な方向に対向して配置されている。
支持軸231cは、第1回転中心軸J1を中心として、第1回転中心軸J1の軸方向に延びた円柱状である。支持軸231cの一端は、第1円板部231aに固定されている。第2円板部231bは、支持軸231cの他端側に、支持軸231cに対して第1回転中心軸J1の軸方向に移動可能に接続されている。
圧縮バネ231dは、第1円板部231aと第2円板部231bとの間に配置されている。圧縮バネ231dの内側には、支持軸231cが通されている。圧縮バネ231dの一端は、第1円板部231aの第2円板部231b側の面と接触している。圧縮バネ231dの他端は、第2円板部231bの第1円板部231a側の面と接触している。圧縮バネ231dは、第1円板部231aと第2円板部231bとに対して、第1円板部231aと第2円板部231bとを第1回転中心軸J1の軸方向に離す向きに力を加えている。
連結ワイヤ231eは、第1円板部231aと第2円板部231bとの間において、第1円板部231aと第2円板部231bとを連結するワイヤである。連結ワイヤ231eは、第1回転中心軸J1の周方向に沿って、複数設けられている。複数の連結ワイヤ231eは、第1回転中心軸J1を周方向に囲んでいる。連結ワイヤ231eの直径は、例えば、第1ワイヤ81の直径よりも大きい。
本実施形態においては、第1プーリ231の第1プーリ本体部は、複数の連結ワイヤ231eによって構成されている。すなわち、本実施形態において第1ワイヤ81は、複数の連結ワイヤ231eの束の外側に巻かれている。
ここで、図11は、第1モータ21の負荷が比較的小さく、第1ワイヤ81の張力が比較的小さい場合について示している。図12は、第1モータ21の負荷が比較的大きく、第1ワイヤ81の張力が比較的大きい場合について示している。
第1ワイヤ81の張力が比較的大きくなると、連結ワイヤ231eの束に巻かれている第1ワイヤ81の締め付け力が大きくなる。これにより、図12に示すように、連結ワイヤ231eが撓んで、第1プーリ231の直径D1が小さくなる。第1プーリ231の直径D1は、巻かれた第1ワイヤ81の内径に相当する。なお、連結ワイヤ231eが撓むと共に、第2円板部231bは、第1円板部231aに近づく向きに移動する。
第1ワイヤ81の張力が比較的小さくなると、第1ワイヤ81の締め付け力が小さくなる。これにより、図11に示すように、圧縮バネ231dによって第2円板部231bが第1円板部231aから離れる向きに移動して、連結ワイヤ231eが張られる。したがって、第1プーリ231の直径D1が大きくなる。
以上のように、本実施形態の第1プーリ231は、第1ワイヤ81の張力が大きいほど第1プーリ231の直径D1を小さくする可変機構230を備えている。
本実施形態によれば、第1モータ21の負荷が大きくなって、第1ワイヤ81の張力が大きくなった場合に、第1プーリ231の直径D1が小さくなる。そのため、第1プーリ231の直径D1と第3プーリ33の直径との比が大きくなり、第1プーリ231と第3プーリとの間の減速比を大きくできる。したがって、第1モータ21の負荷が大きくなるのに従って、第2回転中心軸J2周りの出力を大きくできる負荷感応機構が得られる。
なお、可変機構230は、第2プーリ32に設けられていてもよい。これにより、第2モータ22の負荷に応じて、第2プーリ32の直径を変化させることができる。可変機構230は、第1プーリ31と第2プーリ32との両方に設けられていてもよいし、いずれか一方のみに設けられていてもよい。
また、例えば、第2円板部231bを、第1円板部231aに対して第1回転中心軸J1周りに回転可能に、支持軸231cに接続してもよい。この場合、第1ワイヤ81の張力が大きくなった際に、第2円板部231bが回転して連結ワイヤ231eが斜めに傾くことで、第1プーリ231の直径D1が小さくなってもよい。このとき、連結ワイヤ231eは撓んでいてもよいし、撓んでいなくてもよい。
また、連結ワイヤ231eの代わりに、多関節のリンクを用いて第1円板部231aと第2円板部231bとを連結してもよい。
また、上記の可変機構230の代わりに、例えば、渦巻バネを用いて第1プーリ231の直径D1が変化する構成としてもよい。
<第3実施形態>
第3実施形態は、第1実施形態に対して、負荷感応機構としての移動機構390a,390bが設けられている点において異なる。図13および図14は、本実施形態の駆動ユニット310を左側(−Y側)から右側(+Y側)に向かって視た模式的な側面図である。
駆動ユニット310は、図13および図14に示すように、移動機構390a,390bを備えている。移動機構390aは、支持部材20の前側(+X側)に設けられている。移動機構390aは、可動プーリ391aと、引張バネ392aと、を備えている。可動プーリ391aは、支持部材20に対して移動可能に設けられている。可動プーリ391aには、前側第1ワイヤ81aが掛けられている。可動プーリ391aは、前側第1ワイヤ81aに前側から接触している。
引張バネ392aは、可動プーリ391aと支持部材20とを接続している。引張バネ392aは、支持部材20から前方斜め下側に延びており、先端に可動プーリ391aが接続されている。引張バネ392aは、可動プーリ391aに対して、後方斜め上向きの力を加えている。これにより、可動プーリ391aは、前側第1ワイヤ81aに前側から押し付けられている。
移動機構390bは、支持部材20の後側(−X側)に設けられている。移動機構390bは、可動プーリ391bと、引張バネ392bと、を備えている。可動プーリ391bは、支持部材20に対して移動可能に設けられている。可動プーリ391bには、後側第1ワイヤ81bが掛けられている。可動プーリ391bは、後側第1ワイヤ81bに後側から接触している。
引張バネ392bは、可動プーリ391bと支持部材20とを接続している。引張バネ392bは、支持部材20から後方斜め下側に延びており、先端に可動プーリ391bが接続されている。引張バネ392bは、可動プーリ391bに対して、前方斜め上向きの力を加えている。これにより、可動プーリ391bは、後側第1ワイヤ81bに後側から押し付けられている。
ここで、図13は、第1モータ21の負荷が比較的小さく、第1ワイヤ81の張力が比較的小さい場合について示している。図14は、第1モータ21の負荷が比較的大きく、第1ワイヤ81の張力が比較的大きい場合について示している。
第1ワイヤ81の張力が比較的大きくなると、図14に示すように、第1ワイヤ81の張力によって可動プーリ391aと可動プーリ391bとが移動する。可動プーリ391aは、前方斜め下側に移動する。可動プーリ391bは、後方斜め下側に移動する。これにより、可動プーリ391aに前側(+X側)から押されていた前側第1ワイヤ81aが前側に移動し、可動プーリ391bに後側(−X側)から押されていた後側第1ワイヤ81bが後側に移動する。これにより、前側第1ワイヤ81aおよび後側第1ワイヤ81bが第2回転中心軸J2から離れる向きに移動する。
第1ワイヤ81の張力が比較的小さくなると、図13に示すように、引張バネ392aの弾性力によって可動プーリ391aが後方斜め上側に移動すると共に、引張バネ392bの弾性力によって可動プーリ391bが前方斜め上側に移動する。これにより、前側第1ワイヤ81aが可動プーリ391aに押されて後側(−X側)に移動し、後側第1ワイヤ81bが可動プーリ391bに押されて前側(+X側)に移動する。したがって、前側第1ワイヤ81aおよび後側第1ワイヤ81bが第2回転中心軸J2に近づく向きに移動する。
以上のように、移動機構390a,390bは、第1ワイヤ81を、第1ワイヤ81の張力が大きいほど第2回転中心軸J2から離れた位置に移動させる。
本実施形態によれば、第1ワイヤ81の張力が大きくなるほど、第1ワイヤ81が第2回転中心軸J2から離れるため、第1ワイヤ81を介して支持部材20に加えられる第2回転中心軸J2周りの回転モーメントのモーメントアームを大きくできる。したがって、第1モータ21の負荷が大きくなるのに従って、第2回転中心軸J2周りの出力を大きくできる負荷感応機構が得られる。
<第4実施形態>
第4実施形態は、第3実施形態に対して、負荷感応機構としての移動機構の構成が異なる。図15および図16は、本実施形態の駆動ユニット410を左側(−Y側)から右側(+Y側)に向かって視た模式的な側面図である。
本実施形態において第1ワイヤ481は、図15および図16に示すように、前側第1ワイヤ81aと、後側第1ワイヤ481bと、で構成されている。さらに、後側第1ワイヤ481bは、2本の分割ワイヤ481c,481dによって構成されている。分割ワイヤ481cは、第1プーリ31に巻かれて固定されている。分割ワイヤ481dは、第3プーリ33に巻かれて固定されている。分割ワイヤ481cと分割ワイヤ481dとは、後述する下側ワイヤ支持部材491a、上側ワイヤ支持部材491bおよび圧縮バネ495を介して接続されている。
駆動ユニット410は、移動機構490を備えている。移動機構490は、支持部材20に設けられている。移動機構490は、下側ワイヤ支持部材491aと、上側ワイヤ支持部材491bと、圧縮バネ495と、リンク機構492と、可動プーリ494と、を備えている。
下側ワイヤ支持部材491aと上側ワイヤ支持部材491bとは、互いに上下方向に対向する板状部材である。下側ワイヤ支持部材491aと上側ワイヤ支持部材491bとは、支持部材20に対して後側(−X側)に設けられている。
下側ワイヤ支持部材491aには、下側ワイヤ支持部材491aを上下方向に貫通する貫通孔491cが形成されている。貫通孔491cには、第1プーリ31から引き出された分割ワイヤ481cが下側から通されている。貫通孔491cに通された分割ワイヤ481cの上端は、上側ワイヤ支持部材491bの下面に固定されている。
上側ワイヤ支持部材491bは、下側ワイヤ支持部材491aの上側に位置している。上側ワイヤ支持部材491bには、上側ワイヤ支持部材491bを上下方向に貫通する貫通孔491dが形成されている。貫通孔491dは、平面視において、下側ワイヤ支持部材491aの貫通孔491cとずれた位置に形成されている。貫通孔491dには、第3プーリ33から引き出された分割ワイヤ481dが上側から通されている。貫通孔491dに通された分割ワイヤ481dの下端は、下側ワイヤ支持部材491aの上面に固定されている。
圧縮バネ495は、下側ワイヤ支持部材491aと上側ワイヤ支持部材491bとの上下方向の間に配置され、下側ワイヤ支持部材491aと上側ワイヤ支持部材491bとを接続している。圧縮バネ495は、下側ワイヤ支持部材491aと上側ワイヤ支持部材491bとに対して、下側ワイヤ支持部材491aと上側ワイヤ支持部材491bとを互いに離す向きに力を加えている。
リンク機構492は、下側ワイヤ支持部材491aと上側ワイヤ支持部材491bとに固定されている。リンク機構492は、全体として下側ワイヤ支持部材491aおよび上側ワイヤ支持部材491bから前側(+X側)に延びている。リンク機構492は、第1リンク492a,492bと、第2リンク493a,493bと、を備えている。
第1リンク492aは、下側ワイヤ支持部材491aの前側(+X側)の端部に回転可能に接続されている。第1リンク492aは、下側ワイヤ支持部材491aの前側(+X側)の端部から、前方斜め上側に延びている。第1リンク492bは、上側ワイヤ支持部材491bの前側の端部に回転可能に接続されている。第1リンク492bは、上側ワイヤ支持部材491bの前側の端部から、前方斜め下側に延びている。第1リンク492aと第1リンク492bとは、交差して配置され、その交差する箇所において接続軸492cを介して互いに回転可能に接続されている。
第2リンク493aは、第1リンク492aの前側(+X側)の端部に回転可能に接続されている。第2リンク493aは、第1リンク492aの前側の端部から前方斜め下側に延びている。第2リンク493bは、第1リンク492bの前側の端部に回転可能に接続されている。第2リンク493bは、第1リンク492bの前側の端部から前方斜め上側に延びている。第2リンク493aの前側の端部と第2リンク493bの前側の端部とは、互いに回転可能に接続されている。
可動プーリ494は、リンク機構492の前側(+X側)の端部に接続されている。より詳細には、可動プーリ494は、第2リンク493a,493b同士が接続される箇所に接続されている。可動プーリ494には、前側第1ワイヤ81aが掛けられている。可動プーリ494は、前側第1ワイヤ81aに後側(−X側)から接触している。
ここで、図15は、第1モータ21の負荷が比較的小さく、第1ワイヤ481の張力が比較的小さい場合について示している。図16は、第1モータ21の負荷が比較的大きく、第1ワイヤ481の張力が比較的大きい場合について示している。
第1ワイヤ481の張力が比較的大きくなると、図16に示すように、下側ワイヤ支持部材491aと上側ワイヤ支持部材491bとが、分割ワイヤ481cと分割ワイヤ481dとによって引っ張られ、互いに近づく向きに移動する。これにより、リンク機構492の各リンクの前後方向(X軸方向)に対する傾きが小さくなり、リンク機構492の前後方向の寸法が大きくなる。したがって、リンク機構492の前側(+X側)の端部に接続された可動プーリ494が前側に移動し、前側第1ワイヤ81aを前側に押す。その結果、前側第1ワイヤ81aが前側、すなわち、第2回転中心軸J2から離れる向きに移動する。
第1ワイヤ481の張力が比較的小さくなると、図15に示すように、圧縮バネ495の弾性力によって下側ワイヤ支持部材491aと上側ワイヤ支持部材491bとが上下方向に離れる向きに移動する。これにより、リンク機構492の前後方向(X軸方向)の寸法が小さくなり、可動プーリ494が後側(−X側)に移動する。その結果、前側第1ワイヤ81aが後側、すなわち、第2回転中心軸J2に近づく向きに移動する。
以上のように、移動機構490は、第1ワイヤ481(前側第1ワイヤ81a)を、第1ワイヤ481の張力が大きいほど第2回転中心軸J2から離れた位置に移動させる。
本実施形態によれば、第1ワイヤ481の張力が大きくなるほど、第1ワイヤ481が第2回転中心軸J2から離れるため、第1ワイヤ481を介して支持部材20に加えられる第2回転中心軸J2周りの回転モーメントのモーメントアームを大きくできる。したがって、第1モータ21の負荷が大きくなるのに従って、第2回転中心軸J2周りの出力を大きくできる負荷感応機構が得られる。
また、本実施形態によれば、第1ワイヤ481の張力を利用して可動プーリ494を押し出すリンク機構492を備えているため、第3実施形態に比べて、可動プーリ494をより第2回転中心軸J2から離れた位置に移動させることができる。そのため、第1モータ21の負荷が大きくなるのに従って、第2回転中心軸J2周りの出力をより大きくできる。
なお、上記説明においては、移動機構490は一つのみ設けられ、前側第1ワイヤ81aのみを移動させる構成としたが、これに限られない。例えば、移動機構490を2つ設けて、後側第1ワイヤ481bを後側に移動させてもよい。また、例えば、第1ワイヤ481の張力が大きくなった場合に、下側ワイヤ支持部材491aおよび上側ワイヤ支持部材491bが後側に移動する構成としてもよい。この場合、1つの移動機構490で、前側第1ワイヤ81aと後側第1ワイヤ481bとを共に第2回転中心軸J2から離す向きに移動させることができる。
また、上述した本実施形態の移動機構490は、第3実施形態の移動機構390a,390bと互いに組み合わされていてもよい。また、各移動機構は、第2ワイヤ82に対して設けられていてもよい。
なお、上述した各実施形態のマニピュレータは、いかなる機器、装置等に用いられてもよい。また、駆動ユニットおよび駆動ユニットによって連結されるアームの数は、特に限定されない。
また、上記の各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。