JP6928931B2 - 計測用デバイス及び計測センサ - Google Patents

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Description

本発明は、計測用デバイス及び計測センサに関する。
表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance:以下、SPR)は、誘電体金属の界面において光を全反射させることで生じるエバネッセント波が金属の表面の自由電子の共鳴振動に結合する現象として知られている。SPRの共鳴条件は、光の入射角度と波長、金属の誘電率、金属と接する誘電体の誘電率等に依存し、特に誘電体の誘電率の変化により敏感に変化する。そのため、SPRは金属膜の表面の化学物質の密度を誘電体の変化として捉えることができ、化学的測定又は生物学的測定やこれらの測定時に使用するセンサ等に用いられている。
例えば、特許文献1には、以下の構成;
(1)第1の主面及び第2の主面を有する導電体膜
(2)励起光の入射面、反射面及び出射面を有し、入射面へ入射した励起光が反射面に反射され反射光となって出射面から出射するように入射面、反射面及び出射面が配置され、反射面が第1の主面に密着する誘電体媒体
(3)接合面を有し、接合面に露出する流路が形成され、接合面が前記第2の主面に接合される流路形成体
(4)流路の内部に設けられ、第2の主面に定着し、反応物が反応する反応場を提供する反応場提供物
(5)誘電体媒体に励起光を照射し、反射面へ共鳴角で励起光を入射させる照射機構
(6)反応場から放射される表面プラズモン励起蛍光の光量を測定する第1の光量センサー
(7)反射光の光量を測定する第2の光量センサー
(8)第2の光量センサーから反射光の光量の測定結果を取得し、反射光の光量が基準を超えて増加した場合に流路への気泡の混入を検出する気泡検出部
を備えた計測装置が開示されている。
特開2015−99166号公報
上述の特許文献1に開示されているように、反応光の光量を測定することによって所望の計測を行う計測装置では、以下の構成;
[1]全反射条件を満たすように入射面及び反射面を配置するための所定の程度の大きさを有するプリズム
[2]反射光の角度変化及び光量を検出するために、回転光学系(即ち、光の反射位置を中心として受光器の角度を変化させつつ受光することを可能とする光学系)と、安定した測定を行うための回転光学系の操作技術
が必要とされる。従って、従来のSPRに基づいた計測装置では、安定した測定を実施可能とし、且つ小型化を図ることが難しいという問題があった。
本発明者は、基材として半導体を選択し、半導体基板の表面に金属膜を形成し、半導体基板における金属膜とは反対側の面(以下、裏面とする)から近赤外を入射することによって、プリズムが不要になることに着目した。また、本発明者は、次に述べるように、
・半導体基板の表面に金属膜を形成し、金属膜内の自由電子をSPRによって励起することで半導体基板の表面に沿って表面電流を発生させること
・金属膜の表面と半導体基板の裏面との間に接続された電極部に表面電流を取り出すことによって回転光学系が不要となるうえに、計測用デバイスの構成要素を容易にワンチップ化することができること
を新たに見出し、本発明を完成させた。
本発明は、上述の事情を勘案したものであって、安定した測定を実施可能とし、且つ小型化を容易に図ることができる計測用デバイス及び計測センサを提供する。
本発明に係る計測用デバイスは、所定の波長の光を透過可能な半導体基板と、前記半導体基板の表面に積層され、前記半導体基板との界面でショットキー障壁を構成し、前記所定の波長の光が照射された際に表面プラズモン共鳴を起こすアンテナ部を有する金属層と 、前記アンテナ部の表面に形成され、特定の検出物質と反応可能に構成された反応層と、を備え、前記半導体基板の価電子帯のエネルギー準位と伝導帯のエネルギー準位とのエネルギー差は前記表面プラズモン共鳴によって前記金属層の自由電子が励起される励起エネルギーよりも高く、且つ前記励起エネルギーは前記ショットキー障壁のエネルギー高さよりも高いことを特徴とする
本発明に係る計測用デバイスは、前記半導体基板の表面とは反対側の面と前記金属層に電気的に接続された電極部を備えてもよい。
本発明に係る計測用デバイスは、前記半導体基板と前記電極部との界面で構成されるショットキー障壁の幅及びエネルギー高さは前記金属層で励起されてから前記半導体基板に拡散した前記自由電子が前記電極部に向かってトンネリング可能に設定され、前記電極部の材質は前記半導体基板における不純物のドーピングの高さに応じて選ばれていてもよい。
上述の計測用デバイスによれば、所定の波長の光が半導体基板側から金属層に照射され、且つ反応層において特定の検出物質との反応が生じた際に、この反応及びSPRに応じて金属層における表面電流が変化するので、電極部に取り出された電流値を確認することで、反応層における特定の検出物質の有無や検出物質の量を容易に計測することができる。上述の計測用デバイスの構成では、半導体基板、金属層がワンチップに積層可能となるため、これらの構成の相対配置が容易に固定される。また、特定の波長の光が半導体基板側から金属層に照射されるので、赤外光のように比較的波長の長い光(即ち、可視光より長い波長の光)を用いることができ、特定の波長の光と反応層や特定の検出物質及び試料等との干渉を抑えられるので、より安定した測定を実施可能となる。また、前述の各構成をワンチップに積層・装着可能となることで、回転光学系等の大型な装置を必要とせず、計測用デバイスの小型化が容易に図られる。
本発明に係る計測センサは、所定の波長の光を発する光源と、前記光源に積層され、且つ前記所定の波長の光を透過可能な半導体基板と、前記半導体基板における前記光源とは反対側の表面に積層され、前記半導体基板との界面でショットキー障壁を構成し、前記所定の波長の光が照射された際に表面プラズモン共鳴を起こすアンテナ部を有する金属層と 、前記アンテナ部の表面に形成され、特定の検出物質と反応可能に構成された反応層と、前記半導体基板の表面とは反対側の面と前記金属層に電気的に接続された電極部と、を備え、前記半導体基板の価電子帯のエネルギー準位と伝導帯のエネルギー準位とのエネルギー差は前記表面プラズモン共鳴によって前記金属層の自由電子が励起される励起エネルギーよりも高く、且つ前記励起エネルギーは前記ショットキー障壁のエネルギー高さよりも高いことを特徴とする。
上述の計測センサによれば、上述の計測用デバイスと同様の作用効果が得られる。また、上述の計測センサによれば、半導体基板における金属層とは反対側の面(裏面)に光源が積層されると共に、金属層と半導体基板の裏面側との接続する電極部が設けられているため、特定の波長の光の照射から特定の検出物質の計測までを単体で実現可能な計測センサが得られる。また、上述の計測センサの構成では、光源、半導体基板、金属層、反応層、及び電極部がワンチップに積層及び装着可能となるため、これらの構成の相対配置が容易に固定されると共に、計測センサの小型化が容易に図られる。
本発明に係る計測用デバイス及び計測センサにおいて、前記金属層は、前記半導体基板の表面に沿って形成された共鳴部と、複数の前記共鳴部に接続された集電部と、を備えていてもよい。
上述の計測用デバイス及び計測センサによれば、所定の波長の光が金属層のアンテナ部に照射され、反応層において特定の検出物質との反応が生じた際に、各々の共鳴部における共鳴とSPRが結合し、強め合うため、表面電流の変化が大きくなり、高感度の計測が行われる。
本発明に係る計測用デバイス及び計測センサにおいて、前記所定の波長は1μm以上10μm以下であり、前記半導体基板はn型シリコンで構成され、前記共鳴部の幅は0.5μm以上5μm以下であってもよい。
上述の計測用デバイス及び計測センサによれば、1μm以上10μm以下の波長の光がn型シリコンからなる半導体基板を良好に透過し、金属層における半導体基板側の面(即ち、金属膜における表面とは反対側の面)から金属層及びアンテナ部に光が照射される。また、共鳴部の幅が0.5μm以上5μm以下の範囲内であることにより、共鳴部の幅方向における共鳴とアンテナ部におけるSPRとが良好に結合する。これにより、反応層における反応の有無による金属膜の表面電流の変化が大きく計測され、計測の精度が向上する。
本発明に係る計測用デバイス及び計測センサにおいて、前記半導体基板の表面には回折格子が形成され、前記金属層及び前記アンテナ部は前記回折格子の表面に設けられていてもよい。
上述の計測用デバイス及び計測センサによれば、アンテナ部が回折格子の表面(即ち、上面側及び側面側)に沿って設けられることで拡大され、計測速度及び感度が高くなる。
本発明に係る計測用デバイス及び計測センサにおいて、前記金属層の表面には回折格子が形成され、前記アンテナ部は前記金属層の表面側に設けられていてもよい。
上述の計測用デバイス及び計測センサによれば、アンテナ部が回折格子の表面(即ち、アンテナ部の上面側及び側面側)に沿って設けられることで拡大され、計測速度及び感度が高くなる。さらに、反応層20が直接接する金属層10に回折格子を直接形成することで、設計通りの形状及び所望の計測精度及びセンサ性能が容易に達成される。
本発明に係る計測用デバイス及び計測センサにおいて、前記アンテナ部の表面に微細な凹部及び凸部の少なくとも一方が形成されていてもよく、前記凹部及び前記凸部の幅は前記所定の波長の1/1000以上1/10以下であることが好ましい。
上述の計測用デバイス及び計測センサによれば、アンテナ部の凹部の内壁面や凸部の表面に反応層を形成可能となることで、アンテナ部が拡大され、計測速度及び感度が高くなる。
本発明に係る計測用デバイス及び計測センサにおいて、前記半導体基板の表面にはピラーが形成され、前記金属層及び前記アンテナ部は前記ピラーの表面に設けられていてもよい。
上述の計測用デバイス及び計測センサによれば、ピラーの高さ方向における電磁波の共鳴とSPRが結合可能になり、反応層における反応の有無による金属膜の表面電流の変化が計測される。また、金属層及び反応層がピラーの表面全体に設けられているので、アンテナ部が拡大され、計測用デバイス及び計測センサの計測速度及び感度が高くなる。
本発明によれば、安定した測定を実施可能とし、且つ小型化を容易に図ることができる計測装置を提供することができる。
本発明に係る第一実施形態の計測用デバイスの平面図である。 本発明に係る第一実施形態の計測用デバイスの図であり、図1に示すX1−X1線で矢視した断面図である。 本発明に係る第一実施形態の計測用デバイスのエネルギーバンド図であり、反応層における反応が生じる前の状態を示す図である。 本発明に係る第一実施形態の計測用デバイスのエネルギーバンド図であり、反応層における反応が生じたときの状態を示す図である。 本発明に係る第一実施形態の計測センサの図であり、図1に示すX1−X1線で矢視した場合に対応する断面図である。 本発明に係る第二実施形態の計測用デバイスの図であり、図1に示すX1−X1線で矢視した場合に対応する断面図である。 本発明に係る第二実施形態の変形例の計測用デバイスの図であり、図1に示すX1−X1線で矢視した場合に対応する断面図である。 本発明に係る第三実施形態の計測用デバイスの図であって、(a)は斜視図であり、(b)は(a)に示す領域Zの拡大斜視図である。 本発明に係る第四実施形態の計測用デバイスの斜視図である。 本発明に係る第四実施形態の計測用デバイスの図であり、図9に示すX2−X2線で矢視した断面図である。 実施例におけるシミュレーションモデルを表す模式図である。 実施例におけるシミュレーションモデルの光吸収特性を示すグラフである。 実施例におけるシミュレーションモデルの応答及びエネルギーの波長依存性を表すグラフである。 実施例におけるシミュレーションモデルの共鳴点(1.94×1014Hz)における電場強度を示すプロット図である。 実施例におけるシミュレーションモデルと類似する先行モデルにおける電場強度を示すプロット図である。 実施例におけるシミュレーションモデルの共鳴点(2.6×1014Hz)における光吸収特性を示すグラフである。 実施例におけるシミュレーションモデルの共鳴点(2.6×1014Hz)における電場強度を示すプロット図である。 実施例におけるシミュレーションモデルの誘電体(Air)の屈折率を変化させた際の光吸収特性を示すグラフである。 実施例におけるシミュレーションモデルの誘電体(Air)の屈折率を変化させた際の電場強度を示すプロット図である。 実施例におけるシミュレーションモデルの誘電体(Air)の屈折率を変化させた際の電場強度を示す別のプロット図である。 実施例におけるシミュレーションモデルの誘電体(Air)の屈折率を変化させた際の電場強度を示すさらに別のプロット図である。
以下、本発明に係る計測用デバイス及び計測センサの実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いる図面は模式的なものであり、長さ、幅、及び厚みの比率等は実際のものと同一とは限らず、適宜変更することができる。
(第一実施形態)
[計測用デバイスの構成]
図1及び図2に示すように、第一実施形態の計測用デバイス100Aは、少なくとも、所定の波長の光Lを透過可能な半導体基板5と、半導体基板5の表面5bに積層された金属層10と、金属層10の表面10bに形成された反応層20と、を備えている。また、計測用デバイス100Aは、金属層10と誘電体基板5の裏面(誘電体基板における光源側の面)5aとを電気的に接続する電極部30を備えている。
半導体基板5は、所定の波長の光Lを透過可能な半導体から構成されている。詳しくは、半導体基板5における光Lの透過率は、例えば90%以上であることが好ましく、92%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましい。半導体基板5は、計測用デバイス100Aにおいて、
<1>光Lの伝搬領域を構成する
<2>金属層10との間でSPRの共鳴条件を決める
<3>金属層10との界面8においてショットキー障壁を形成する
の主な三つの機能を兼ね備えている。また、計測用デバイス100Aが電極部30を備えることで、半導体基板5は、電極部30を構成する役割も担っている。
金属層10は、半導体基板5を通して裏面10a側から金属層10に光Lが照射された際にSPRを起こすアンテナ部15を有する。アンテナ部15は、金属層10の表面10b側に設けられている。アンテナ部15は、反応層20との間に生じるSPRを捕捉するアンテナとして機能し、金属層10において反応層20側の部分に形成されている。
第一実施形態の金属層10は、半導体基板5の表面5bに沿ってD2方向に間隔sをあけて複数形成された共鳴部11と、共鳴部11に連結された集電部12と、を備えている。このような構成では、光Lが照射されることによってそれぞれの共鳴部11の内部の電子が励起され、D2方向(又は、D2方向とは逆の方向)に沿って共鳴が生じ、この共鳴(以下、ダイポール的共鳴とする)と、アンテナ部15と反応層20との間で生じるSPRとが結合する。
共鳴部11は、D2方向において所定の幅dを有するように形成されている。即ち、D2方向において、幅dの金属層10が互いに間隔sをあけて複数形成されている。集電部12は、複数の共鳴部11のD1方向における一方の端部(図1では、紙面上側の端部)をD2方向に沿って連結するように形成されている。即ち、図1に示すように、第一実施形態の金属層10は、平面視において櫛状に形成されている。
金属層10の材質は、上述のようにSPRによる表面電流を生じることができる金属であれば特に限定されない。なお、金属膜10の好適な材質として、金(Au)が挙げられる。金は、導電性に優れていると共に、例えば抗体22等のように反応層20を構成する物質を表面10bに成膜する技術が成熟している点から、好適である。
反応層20は、特定の検出物質(即ち、測定対象物質)と反応可能に構成されているものである。反応層20を構成する物質・材質には、特定の検出物質に合わせて、金属層10の表面10bに成膜可能なものが適宜採用されている。
第一実施形態では、特定の検出物質として例えば抗原Pを想定する。反応層20は、抗原Pと抗原抗体反応を生じる抗体22で構成されている。抗体22の一端は金属層10の表面10b、即ちアンテナ部15に固定されると共に、抗体22の他端は開放されている。具体的には、抗体22の一端側の定常領域が金属層10の表面10bに当接した状態で、少なくとも一以上の抗体22が表面10bに沿って並べて固定され、抗体22の他端側として可変領域(即ち、抗原Pを認識して特異的に結合し、抗原抗体反応を生じる領域)が開放されている。
上述のような構成では、反応部20に試料Qが滴下され、試料Qに抗原Pが含まれていると、抗原Pが抗体22の可変領域に結合することで抗原抗体反応が生じる。抗原抗体反応が生じた抗体22及びアンテナ部15の屈折率は変化し、共鳴部11におけるダイポール的共鳴とSPRに作用する。このように、アンテナ部15は前述の屈折率の変化を捕捉する。
電極部30は、金属層10の集電部12からD2方向に沿って延設された端子32と、半導体基板5の裏面5aに配設された端子34と、端子32,34を連結する回線36と、を有する。金属層10の集電部12に集められた表面電流(ISC)は、回線36に設けられた電流計38やモニタ等に表示可能とされている。
[計測用デバイスの原理]
第一実施形態の計測用デバイス100Aでは、D1方向に前進する方向に沿って電極部30の端子34、半導体基板5、電極部30の端子32が順次積層されていることで、図3に示すエネルギーバンド構造ができている。なお、図3及び図4において、半導体基板5はn型半導体であるものと想定している。エネルギーE,E,E,VLは、それぞれ価電子帯のエネルギー準位、フェルミ準位、伝導帯のエネルギー準位、真空準位を表す。
電極部30の端子32(即ち、金属層10)と半導体基板5との接合による界面8には、ショットキー障壁W1が形成されているため、金属層10において励起されていない自由電子eは、ショットキー障壁1を越えることができず、金属層10の内部に溜まっている。
抗原Pが抗体22に結合し(図2参照)、反応層20と金属層10との間でSPR(図2等におけるS)が起こると、図4に示すように、金属層10の内部の自由電子eが励起され、ショットキー障壁W1を乗り越え、D1方向とは逆の方向(即ち、金属層10から半導体基板5に向かう方向)に拡散する。
半導体基板5と電極部30の端子34との接合による界面には、ショットキー障壁W2が形成されている。SPRで励起され、且つショットキー障壁W1を乗り越えた自由電子eは、ショットキー障壁W2に向けて拡散する。基本的には、自由電子eはショットキー障壁W2の高さに応じたエネルギーで励起されないとショットキー障壁W2を矢印Y1のように乗り越えられない。そこで、第一実施形態の半導体基板5における金属層10とは反対側(即ち、裏面5a側)には不純物がドーピングされ、半導体基板5と端子34とはオーミック接触されている。また、半導体基板5には不純物が高くドーピングされているので、自由電子eにとって、ショットキー障壁W2の幅kは狭くなっている。さらに、端子34の材質に半導体基板5との間のショットキー隔壁W2が低くなる材質が選ばれていることで、自由電子eは、矢印Y2のようにショットキー障壁W2をトンネリングすることができる。
自由電子eの拡散に応じて、正孔hは、半導体基板5の価電子帯から金属層10の内部に向けて拡散する。このような原理により、SPRが起こった際に、金属層10に表面電流が生じる(または、変化する)。電極部30に取り出された表面電流の増減を計測することにより、抗原抗体反応の有無、及び試料Q中の抗原Pの有無や濃度等が検出される。
抗原抗体反応の有無、試料Q中の抗原Pの有無や濃度、及びSPRの共鳴条件等に応じて、金属層10の表面電流の大きさは、光Lの波長によって異なる。従って、予め前述の条件等を考慮して波長毎の表面電流の大きさを数値シミュレーションにより予測し、光Lの波長を調整することができる。言い換えれば、前述の数値シミュレーションの結果等を考慮して光Lの波長(所定の波長)を調整し、表面電流の変化を計測することができる。
上述の構成要素及び原理をふまえ、計測用デバイス100Aの各構成要素の好適な条件等について説明する。
計測用デバイス100Aにおいて、各構成要素の材質や形状等の条件は、次に述べるフローで適宜設定される。
(F1);計測の対象となる抗原Pに合わせて抗体22を選定し、抗体22を成膜可能、且つSPRを起こすことができるアンテナ部15及び金属層10の金属を選定する
(F2);反応層20(抗体22)とアンテナ部15との間でSPRを起こさせる光Lの波長(波長帯)を設定する
(F3);光Lを透過可能、且つ金属層10を構成する金属と、SPRを起こし、ショットキー障壁W1をなす半導体基板5の材質を選定する
(F4);各構成要素の長さ、幅、厚さ等の寸法を適宜設定する
但し、(F2)と(F3)のフローについては、順序が入れ替わる場合がある。また、(F4)のフローについては、(F1),(F2),(F3)の各フローで行う場合がある。
フロー(F1)の観点で、前述のように反応層20を構成する抗体22を金属層10の表面10bに容易に成膜可能であることから、金属層10の金属としては、Auが好ましい。金属層10をAuで構成した場合、アンテナ部15と、界面8を形成する金属層10とを同じ金属Auで構成することができる。
金属層10の共鳴部11の幅dは、例えば0.5μm以上5μm以下とすることが好ましい。共鳴部11の幅dが前述の範囲内であることにより、SPRの励起条件、及び、SPRと結合するダイポール的共鳴の程度が良好になる。金属層10の厚さは、50nm以上200nm以下とすることが好ましい。
フロー(F2)及び(F3)の観点で、光Lの所定の波長としては、例えば1μm以上10μm以下であることが好ましい。なお、光Lの波長は、前述のように反応層20とアンテナ部15との間でSPRを起こさせることができれば、特に制限されない。半導体基板5の好適な材質には、n型半導体であって、1μm以上10μmの波長の光Lを透過可能なものとして、シリコン(Si)が挙げられる。
電極部30の端子34は、図3及び図4に示すように、半導体基板5との界面でショットキー障壁W2を形成する。n型Siからなる半導体基板5に対し、自由電子eのトンネリングを可能とし、金属層10の表面電流を円滑に取り出し可能とする点から、端子34の材質としては、例えばアルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)等が挙げられる。
また、自由電子eのトンネリングを可能とし、金属層10の表面電流を円滑に取り出し可能とする点から、前述のように半導体基板5の裏面5a側には不純物がドーピングされている。不純物としては、n型半導体のドーパントとして公知なものを採用することができ、例えばリン(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)等が挙げられる。ドープ濃度は例えば1020atoms/cm程度とすることができるが、ショットキー障壁W2の高さ等を考慮して適宜調整することができる。半導体基板5の厚さが数100μm程度である場合、不純物が裏面5aからしみ込む深さ(即ち、図2から図4に示すドープ領域5dの厚さ)は、例えば100nm程度で構わない。
[計測センサの構成]
続いて、第一実施形態の計測センサについて説明する。なお、第一実施形態の計測センサにおいて、第一実施形態の計測用デバイス100Aに共通する内容についてはその説明を省略し、互いに異なる内容について、以下に説明する。また、第一実施形態の計測センサの構成要素のうち、第一実施形態の計測用デバイス100Aの構成要素と共通するものについては、同一の符号を付す。
図5に示すように、第一実施形態の計測センサ102は、計測用デバイス100Aの構成要素に加えて、半導体基板5の裏面5aに積層された光源3を備えている。
光源3は、発光面3mからD1方向に沿って所定の波長の光Lを発するものである。光源3の発光面3mと半導体基板5の裏面5aの中央部5mとは隙間なく当接している。光源3は、所定の波長の光Lを発するものであれば特に限定されない。なお、光源3としては、例えば垂直共振器面発光型レーザー(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)が好適である。光源3にVCSELを用いることで、誘電体基板5に積層し易く、発光面3mがD2方向に沿うと共に光Lの発光方向がD1方向に沿うので、D1方向における光源3の厚みを薄くすることができる。
図5に例示した計測センサ102では、光源3から発せられる光LのD2方向(即ち、D1方向に直交し、且つ半導体基板5の底面5a、表面5bのそれぞれに沿う方向)における幅が発光面3mからD1方向に進むに従って拡大すると想定されている。そのため、D2方向における光源3の発光面3mの幅は、半導体基板5の底面5aの幅よりも狭く設定されている。
[計測センサの原理]
計測センサ102の原理については、光Lが光源3から照射され、裏面5aから直接、半導体基板5に入射する点以外は、計測用デバイス100Aと同様である。
また、計測センサ102における各構成要素の好適な条件等は、計測用デバイス100Aと同様である。
[計測用デバイス及び計測センサの作用効果]
以上説明した第一実施形態の計測用デバイス100A及び計測センサ102によれば、アンテナ部15に光Lが照射された際に共鳴部11におけるダイポール的共鳴とSPRが結合し、互いに強め合い、金属層10の共鳴部11に生じた表面電流が集電部12に効率良く集められる。電極部30に取り出された電流値を確認することで、反応層20において反応した抗原Pの有無や抗原Pの濃度を容易に計測することができる。
また、計測用デバイス100A及び計測センサ102によれば、半導体基板5、金属層10、反応層20をワンチップに積層し、これらの構成要素の相対配置を容易に固定することができる。そのうえ、光Lを裏面10b側から金属層10に照射するため、光Lと反応層20や抗原P及び試料Q等との干渉を殆ど起こさせることなく、より安定した計測を実施することができる。さらに、半導体基板5、金属層10及び反応層20をワンチップに積層・装着することで、回転光学系等の大型な装置を付設せずに済み、計測用デバイス100A及び計測センサ102の小型化を容易に図ることができる。
計測用デバイス100Aでは、電極部30を設けることによって、金属層10に生じた表面電流を端子32,34を介して回線36に取り出し、電流計38や、回線36に設けられたモニタ装置を用いて計測することができる。
計測センサ102によれば、半導体基板5の裏面5bに光源3が積層されると共に、金属層10と半導体基板5の裏面5aとを接続する電極部30を設けることによって、光Lの照射から抗原Pに関する計測までを単体で実現することができる。また、計測センサ102によれば、計測用デバイス100Aと共通する構成要素に加えて光源3及び電極部30をワンチップに積層及び装着することで、これらの構成要素の相対配置を容易に固定すると共に、計測センサ102の小型化を容易に図ることができる。
また、計測用デバイス100A及び計測センサ102によれば、金属層10が複数の共鳴部11と集電部12とを備えているので、抗体22と抗原Pとの抗原抗体反応が生じた際に、各々の共鳴部11におけるダイポール的共鳴と反応層20におけるSPRを結合させることができる。これにより、共鳴現象が互いに強め合うため、表面電流の変化を大きくし、高感度の計測を行うことができる。
特に、計測用デバイス100A及び計測センサ102によれば、光Lの波長を1μm以上10μm以下の範囲内にし、半導体基板5をn型Siで構成することで、光Lを半導体基板5で良好に透過させ、裏面10aから金属層10及びアンテナ部15に光Lを照射することができる。また、共鳴部11の幅dを0.5μm以上5μm以下の範囲内にすることにより、共鳴部11のD2方向における共鳴とアンテナ部15におけるSPRとを良好に結合させることができる。これにより、反応層20における抗原抗体反応が有る場合とない場合による表面電流の変化を大きくし、計測の精度を向上させることができる。
従って、計測用デバイス100A及び計測センサ102によれば、安定した測定を実施可能とし、且つ小型化を容易に図ることができる。
[変形例]
以上、本発明を適用した第一実施形態について詳述したが、第一実施形態の計測用デバイス100A及び計測センサ102については、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。なお、第一実施形態の変形例は、以下の内容に限定されない。
例えば、本発明に係る計測用デバイス及び計測センサにおいて、反応層20は抗体22が多数配列されたものとして説明したが、特定の検出物質の変更等に応じて、反応層20は、Nafion等のイオン認識物質や、脂質、自己組織化単分子(Self-Assembled Monolayer:SAM)等に変更されてもよい。前述のように、反応層20を構成する物質は、特定の検出物質に合わせて、金属層10の表面10bに成膜可能なものが適宜採用されている。
また、アンテナ部15を構成する金属の種類と、半導体基板5との界面8でショットキー障壁W1を構成する金属(金属層10におけるアンテナ部15以外の部分、以下、ショットキー障壁構成金属、とする)の種類と、を異ならせてもよい。一例として、ショットキー障壁構成金属としてCrやTiを採用し、アンテナ部15を構成する金属としてAuを採用し、金属層10をCrやTiとAuとの積層体で構成してもよい。これにより、界面8におけるショットキー障壁W1のエネルギーの高さを低くし、小さなSPRも計測可能にすることができる。
また、共鳴部11は、半導体基板5の表面5bに沿って単体で形成されていてもよい。
また、電極部30の端子34は省略可能であり、回線36の半導体基板5側の端部が半導体基板5に直接接続されていてもよい。また、電極部30の構成は適宜変更可能であって、金属層10の表面電流を検出することができればよい。例えば回線36が、計測用デバイスや計測センサとは別の装置等の回線や受電部に接続されていてもよい。
さらに、電極部30に替えて、計測用デバイスや計測センサとは別の装置等の回線や受電部が直接計測用デバイス100Aや計測センサ102の半導体基板5及び端子32(即ち、金属層10)のそれぞれに接続されていてもよい。
また、半導体基板5はp型半導体で構成されていてもよい。半導体基板5がp型半導体で構成された場合は、図3及び図4における多数キャリアが自由電子eではなく正孔hになる。
また、半導体基板5の裏面5a(計測センサ102でいえば、光源3の発光面3mと半導体基板5の裏面5aの中央部5mとの間)には、所望の機能を有する光学的積層構造が設けられていてもよい。このような光学的積層構造としては、バンドパスフィルタや増幅フィルタ、波長変換フィルタの機能を有するものが挙げられるが、特にこれらに限定されない。一例として、光Lを発する光源の発光機構により、半導体基板5の裏面5aに照射される光の波長が所定の波長を含んで広帯域にわたる場合には、半導体基板5の裏面5aにおいて光が照射される領域(且つ、電極部30の端子34が配置される端部5fを除く領域)に、光源から発せられる光から所定の波長の光Lのみを透過させる機能を有する誘電体多層膜を設けることができる。
また、図1及び図2に例示した計測用デバイス100の構成では、半導体基板5の裏面5aは表面5bに対して平行し、光Lは裏面5a側から半導体基板5の内部を伝搬し、表面5b側に達するものとしている。しかしながら、半導体基板5の裏面5aは、図2と同様の断面視において表面5bに対して傾斜し、D2方向に沿って裏面5aの一方から他方に向けて進むに従って表面5bから離間するように形成されていてもよい。そして、光Lが半導体基板5において前述の断面視で表面5bと裏面5aとが大きく離間している側の側面から入射され、半導体基板5の内部を伝搬しつつ、傾斜した裏面5aで反射された後に、表面5b側に達するものとしてもよい。このような構成において、光Lを裏面5aで高い反射率で反射させる観点から、裏面5aにAl等の金属膜や誘電体多層膜からなるミラーが設けられていてもよい。
また、図5に例示した計測センサ102の構成では、半導体基板5の底面5aの中央部5mのD2方向の幅(即ち、光源3の発光面3mに当接する幅)は、光Lの幅や発光分布等を考慮して適切に設定されている。なお、光LのD2方向における幅が発光面3mからD1方向に進むに従って殆ど変化しない場合には、光源3の発光面3mは誘電体基板5の裏面5aの(端部5fを除く)略全体に亘って当接していることが好ましい。
(第二実施形態)
次いで、第二実施形態の計測用デバイス及び計測センサについて説明する。なお、第二実施形態の計測用デバイス及び計測センサの構成要素において、第一実施形態の計測用デバイス100A及び計測センサ102と同一の構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
[計測用デバイスの構成]
図6に示すように、第二実施形態の計測用デバイス100Bは、第一実施形態の計測用デバイス100Aと同様の構成要素を備えている。但し、半導体基板5の表面5bは平滑面ではなく、表面5bにはD2方向に沿って回折格子14が設けられている。
第二実施形態において、金属層10は、複数の共鳴部を備えずに、略均一の厚さを持って半導体基板5の表面5bの全体に亘って設けられている。アンテナ部15は、金属層10と略重なっており、半導体基板5の表面5bの全体に亘って設けられている。また、反応層20は、金属層10の表面10bの全体に亘って成膜されている。これにより、反応層20を構成する抗体22は、金属層10の上面に加えて側面にも設けられている。
[計測用デバイスの原理]
計測用デバイス100Bの原理において、第一実施形態で説明したように図3に示すエネルギーバンド構造ができている点は、同様である。但し、図6に示す計測用デバイス100Bの金属層10は共鳴部11を備えていないので、ダイポール的共鳴は発生しない。それに替えて、半導体基板5の表面5b側に回折格子14が形成されているので、後述する条件の成立等によってアンテナ部15と反応層20との間で生じるSPRが励起される。
ここで、SPRの波数kは、金属層10を構成する金属(例えば、Au)の誘電率ε(ω)で定まり、次に示す(1)式で表される。
Figure 0006928931
なお、(1)式において、ωは光Lの角振動数、εは反応層20を構成する抗体22の誘電率を表す。
回折格子14に入射角度θ(図6に示す光Lの矢印のようにD1方向に平行する場合はθ=0°)で入射した光LのD2方向(即ち、回折格子14の表面と平行な方向)の波数kは、次に示す(2)式で表される。
Figure 0006928931
なお、(2)式において、cは光速度を表す。回折を受けて入射光の波数は回折次数nによって増減するので、SPRに関与する回折光の次数は、次に示す(3)式によって表される。
Figure 0006928931
なお、(3)式において、tは回折格子14のピッチを表す。
回折格子14による回折光とSPRとの波数が同一周波数で一致するときにSPRが生じるので、回折光とSPRとの結合条件は、次に示す(4)式で表される。
Figure 0006928931
上述の結合条件が成立するときに、SPRが起き、特定の検出物質、即ち抗原Pの誘電率の違いがSPRのアンテナ部15への入射角度及びSPRの波長の変化として現れ、金属層10の表面電流に反映される。
従って、抗原Pが抗体22に結合し、反応層20と金属層10との間でSPRが起こると、図4に示したように、金属層10の内部の自由電子eが励起され、ショットキー障壁W1を乗り越え、D1方向とは逆の方向(即ち、金属層10から半導体基板5に向かう方向)に拡散する。このような原理により、SPRが起こった際に、金属層10に表面電流が生じる(または、変化する)。第一実施形態と同様に、電極部30に取り出された表面電流の増減を計測することにより、抗原抗体反応の有無、及び試料Q中の抗原Pの有無や濃度等が検出される。
計測的デバイス100Bにおける各構成要素の好適な条件等については、計測的デバイス100Aと共通する各構成要素の好適な条件と基本的に同様である。但し、回折格子14のピッチtは、光Lの波長が1μm以上10μm以下の範囲内であれば、0.5μm以上5μm以下であることが好ましい。回折格子14のピッチtが前述の範囲内であることにより、回折格子14による回折光とSPRとが良好に結合する。回折格子14の高さ(厚さ)は、50nm以上200nm以下とすることが好ましい。
金属層10の厚さは、50nm以上200nm以下とすることが好ましい。
[計測センサの構成]
図示していないが、第二実施形態の計測センサは、図6に示す計測用デバイス100Bの半導体基板5の裏面5aに第一実施形態の計測センサ102の光源3と同様の光源を備えているものである。
[計測センサの原理]
第二実施形態の計測センサの原理については、光Lが半導体基板5の裏面5aに設けられた光源から照射され、裏面5aから半導体基板5に直接入射する点以外は、計測用デバイス100Bと同様である。
[計測用デバイス及び計測センサの作用効果]
以上説明した第二実施形態の計測用デバイス100B及び計測センサによれば、第一実施形態の計測用デバイス100A及び計測センサ102の作用効果と略同様の効果が得られる。但し、上述のように計測用デバイス100B及び第二実施形態の計測センサの構成では、計測用デバイス100A及び計測センサ102ではダイポール的共鳴とSPRとを結合させることで自由電子eを励起し、ショットキー障壁W1を越えさせるのに対し、回折格子14による回折光とSPRとを結合させることで自由電子eを励起し、ショットキー障壁W1を越えさせる。
また、本発明を適用した計測用デバイス及び計測センサでは、基本的に、反応膜20に抗原P(特定の検出物質)が吸着する速度は、反応膜20と抗原Pとが接する表面積の広さ、即ちアンテナ部15の広さに依存する。第二実施形態の計測用デバイス100B及び計測センサによれば、金属層10及び反応層20が回折格子14の全面に設けられているので、アンテナ部15が計測用デバイス100A及び計測センサ102に比べて拡大される。これにより、反応膜20に抗原Pが吸着する速度を高め、第二実施形態の計測用デバイス100B及び計測センサの計測速度及び感度を高くすることができる。
[変形例]
以上、本発明を適用した第二実施形態について詳述したが、第二実施形態の計測用デバイス100B及び計測センサについては、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、第一実施形態の計測用デバイス100A及び計測センサ102と同様の種々の変形・変更が可能である。
また、反応膜20と抗原Pとが接する表面積を拡大するという同じ観点から、図7に示すように、半導体基板5の表面5bは平滑面とし、金属層10の表面10bを凹凸形状とすることで回折格子14を設けてもよい。このように構成された計測用デバイス100Cや不図示の計測センサでは、金属層10の上面側及び側面側がアンテナ部15になっている。従って、計測用デバイス100Cや第二実施形態の変形例の計測センサによれば、第二実施形態の計測用デバイス100B及び計測センサと同様に、回折格子14の凹凸形状に応じてアンテナ部15を拡大することができるので、計測速度および感度を高くすることができる。
さらに、製造面では、第二実施形態の計測用デバイス100B及び計測センサに比べて、計測用デバイス100Cや第二実施形態の変形例の計測センサは、設計通りの形状を実現し易いという利点を有する。例えば、光学シミュレーションを用いて、計測目的に合わせて、各構成要素の材質や形状・寸法等を調整し、設計通りに加工することで、所望の計測精度及びセンサ性能を容易に達成することができる。
(第三実施形態)
次いで、第三実施形態の計測用デバイス及び計測センサについて説明する。なお、第三実施形態の計測用デバイス及び計測センサの構成要素において、第一実施形態及び第二実施形態の計測用デバイス100A,100B及び計測センサ102と同一の構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
[計測用デバイスの構成]
図8(a),(b)に示すように、第三実施形態の計測用デバイス100Dは、第二実施形態の計測用デバイス100Bと同様の構成要素を備えている。但し、半導体基板5の表面5bには、微細な凹部40が複数設けられている。具体的には、半導体基板5の表面5bに微細な凹部40が形成されており、金属層10及びアンテナ部15は凹部40の内壁面42を含む表面5bの全体に亘って略均一な厚さで設けられている。これにより、アンテナ部15の表面に微細な凹部40が形成されている。
第三実施形態では、図8(b)に示すように、反応層20を構成する抗体22は、金属層10の上面や側面に加えて凹部40の内壁面42(即ち、アンテナ部15の表面全体)に設けられている。なお、図8(a)では、反応層20を構成する個々の抗体22の図示は省略している。また、図8(b)では、複数のうち少なくとも一部の抗体22に吸着する抗原Pや試料Qの図示を省略している。
凹部40は円形の開口部を有し、D1方向とは逆方向に進む(即ち、凹部40の底部に向かう)に従って凹部40の開口径が縮小するように窄まっている。凹部40は、回折格子14による光Lの回折に大きな影響を与えずにアンテナ部15を拡大する目的で形成された微細構造である。前述の目的から、凹部40の開口径r40は、製造上の制約から光Lの波長の1/1000以上であることが好ましく、光Lの散乱や回折を防ぐために光Lの波長の1/10以下であることが好ましい。光Lの波長が前述のように1μm以上10μm以下の範囲内であれば、開口径r40は1nm以上1μm以下であることが好ましい。また、平面視において、隣り合う凹部40の中心間の距離(間隔)g40は2nm以上20μm以下であることが好ましい。凹部40の深さは、抗体22の成膜可能な最小寸法や成膜方法等を勘案して適切に設定されている。
[計測用デバイスの原理]
計測用デバイス100Dの原理は、第二実施形態で説明した計測用デバイス100Bと同様である。なお、前述のように微細な凹部40は光Lの波長に比べて大変小さいものであるから、凹部40による光Lの回折等の影響はなく、前述した(4)式の結合条件が成立するときに、SPRが起き、特定の検出物質の誘電率の違いがSPRのアンテナ部15への入射角度及びSPRの波長の変化として現れ、金属層10の表面電流に反映される。
計測的デバイス100Dにおける各構成要素の好適な条件等については、計測的デバイス100Bと共通する各構成要素の好適な条件と基本的に同様である。微細な凹部40の好適な寸法等についても上述の通りである。
[計測センサの構成]
図示していないが、第三実施形態の計測センサは、図8(a)に示す計測用デバイス100Dの半導体基板5の裏面5aに第一実施形態の計測センサ102の光源3と同様の光源を備えているものである。
[計測センサの原理]
第三実施形態の計測センサの原理については、光Lが半導体基板5の裏面5aに設けられた光源から照射され、裏面5aから半導体基板5に直接入射する点以外は、第二実施形態の計測用デバイス100Bと同様である。
[計測用デバイス及び計測センサの作用効果]
以上説明した第三実施形態の計測用デバイス100D及び計測センサによれば、第二実施形態の計測用デバイス100A及び計測センサ102の作用効果と略同様の効果が得られる。
また、第三実施形態の計測用デバイス100D及び計測センサによれば、半導体基板5の表面5bに複数の微細な凹部40が形成され、金属層10及び反応層20が半導体基板5の表面5bに加えて凹部40の内壁面にも設けられているので、アンテナ部15が計測用デバイス100B及び第二実施形態の計測センサに比べてさらに拡大される。これにより、反応膜20に抗原Pが吸着する速度を計測用デバイス100B及び第二実施形態の計測センサより高め、第三実施形態の計測用デバイス100D及び計測センサの計測速度及び感度をさらに高くすることができる。
[変形例]
以上、本発明を適用した第三実施形態について詳述したが、第三実施形態の計測用デバイス100D及び計測センサについては、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、第一実施形態の計測用デバイス100A及び計測センサ102、第二実施形態の計測デバイス100Bおよび計測センサと同様の種々の変形・変更が可能である。
また、凹部40は、上述したように円形の開口部と底部に進む程窄まるものに限らず、アンテナ部15及び反応層20、即ち抗体22を成膜する面積を拡大可能とするものであれば、特に制限されない。例えば、凹部40の開口部の平面視形状は、矩形、多角形や星形等であってもよい。凹部40の開口幅は、D1方向に沿って凹部40の上端から底端まで略一定であってもよく、上述の第三実施形態の例とは逆に、底部に進むに従って拡がってもよい。
また、アンテナ部15の表面15bには、凹部40に替えてD1方向に突出する凸部が形成されていてもよい。但し、凸部の幅は、製造上の制約から光Lの波長の1/1000以上であることが好ましく、光Lの散乱や回折を防ぐために光Lの波長1/10以下であることが好ましい。さらに、アンテナ部15の表面15bには、凹部40や凸部が混在していてもよい。
また、凹部40又は凸部は、第一実施形態の計測用デバイス100A及び計測センサ102のアンテナ部15の表面(即ち、金属層10の表面10b)や次に説明する第四実施形態の計測用デバイス100E及び計測センサのアンテナ部15の表面に形成されていてもよい。即ち、単位面積当たりの抗体22の成膜数が略同じであれば、凹部40や凸部が形成されていない場合に比べて凹部40や凸部が形成されている場合の方がアンテナ部15及び反応層20の表面積が拡大されるので、計測速度及び感度を高める効果が得られるのであって、凹部40や凸部が形成される金属層10の凹凸の有無や金属層10の形状等は特に制限されない。第一実施形態のように金属層10が共鳴部11を備えている構成であっても、凹部40や凸部は光Lに回折等の影響を及ぼさない方が好適であるため、凹部40や凸部の好ましい形状や寸法の好ましい範囲は、上述した第三実施形態及び変形例で説明した内容と同様である。
(第四実施形態)
次いで、第四実施形態の計測用デバイス及び計測センサについて説明する。なお、第四実施形態の計測用デバイス及び計測センサの構成要素において、第一実施形態の計測用デバイス100A及び計測センサ102と同一の構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
[計測用デバイスの構成]
図9及び図10に示すように、第四実施形態の計測用デバイス100Eは、第一実施形態の計測用デバイス100Aと同様の構成要素を備えている。但し、半導体基板5の表面5bには、ピラー18が複数設けられている。具体的には、半導体基板5の表面5bに複数のピラー18が形成されており、金属層10及びアンテナ部15はピラー18の表面を含む表面5bの全体に亘って略均一な厚さで設けられている。これにより、計測用デバイス100Eの上部に複数のピラー48が形成されている。
ピラー48は略円柱状に形成されている。ピラー48の高さは、適宜設定され、例えば(光Lの所定の波長/ピラー48を構成する材料の屈折率)の値の1/6以上2/3以下とすることができる。
[計測用デバイスの原理]
計測用デバイス100Eの原理において、第一実施形態で説明したように図3に示すエネルギーバンド構造ができている点は、同様である。但し、第四実施形態では、ダイポール的共鳴に替えて、ピラー48における高さ方向(即ち、D1方向)での電磁波の共鳴によってアンテナ部15と反応層20との間で生じるSPRが励起される。
ピラー48における高さ方向の電磁波の共鳴が起きると共に、SPRが起きたときに、金属層10の表面電流が変化する。
従って、光Lがピラー48に照射され、抗原Pが抗体22に結合し、反応層20と金属層10との間でSPRが起こると、図4に示したように、金属層10の内部の自由電子eが励起され、ショットキー障壁W1を乗り越え、D1方向とは逆の方向(即ち、金属層10から半導体基板5に向かう方向)に拡散する。このような原理により、SPRが起こった際に、金属層10に表面電流が生じる(または、変化する)。第一実施形態と同様に、電極部30に取り出された表面電流の増減を計測することにより、抗原抗体反応の有無、及び試料Q中の抗原Pの有無や濃度等が検出される。
[計測用デバイス及び計測センサの作用効果]
以上説明した第四実施形態の計測用デバイス100E及び計測センサによれば、第一実施形態の計測用デバイス100A及び計測センサ102の作用効果と略同様の効果が得られる。但し、上述のように計測用デバイス100E及び第四実施形態の計測センサの構成では、ピラー48における電磁波の共鳴とSPRとを結合させることで自由電子eを励起し、ショットキー障壁W1を越えさせる。
また、第四実施形態の計測用デバイス100E及び計測センサによれば、金属層10及び反応層20がピラー48の表面全体に設けられているので、アンテナ部15が例えば計測用デバイス100A及び計測センサ102に比べて拡大される。これにより、反応膜20に抗原Pが吸着する速度を高め、第四実施形態の計測用デバイス100E及び計測センサの計測速度及び感度を高くすることができる。
[計測センサの構成]
図示していないが、第四実施形態の計測センサは、図9及び図10に示す計測用デバイス100Eの半導体基板5の裏面5aに第一実施形態の計測センサ102の光源3と同様の光源を備えているものである。
[計測センサの原理]
第四実施形態の計測センサの原理については、光Lが半導体基板5の裏面5aに設けられた光源から照射され、裏面5aから半導体基板5に直接入射する点以外は、第四実施形態の計測用デバイス100Eと同様である。
[変形例]
以上、本発明を適用した第四実施形態について詳述したが、第四実施形態の計測用デバイス100E及び計測センサについては、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、第一実施形態の計測用デバイス100A及び計測センサ102、第二実施形態の計測デバイス100Bおよび計測センサと同様の種々の変形・変更が可能である。
例えば、ピラー48は、高さ方向に沿って電磁波を共鳴させることができれば、円柱状のものに限定されず、多角柱のものや、その他の形状のものであってもよい。また、ピラー48は、図9及び図10に例示されているように複数且つ平面視で規則的に配列されている必要はなく、単数設けられていてもよく、平面視で不規則に複数配置されていてもよい。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
続いて、本発明に係る計測用デバイスの有効性を確認するための実施例について説明する。なお、本発明に係る計測用デバイスの構成及び作用効果は、以下の実施例に限定されるものではない。
先ず、Au回析格子を試作し、Au回析格子で実際にSPRの共鳴が起きることを実験で確認した。使用したAu回折格子のピッチは3.4μmとし、レーザ源から波長1100nmの近赤外光を照射し、ポラライザを通して、TM波に変換したものをAu回折格子に照射する。回転角度はAu回折格子の表面に垂直な角度を0°として、0°から30°までの計測を行った。なお、Au回折格子には電流取り出し用の配線を設け、そこから光照射により、発生する電流を計測した。その結果、入射角度22.0°において、電流が負の方向に大きく流れた。この角度は、前述の(4)式等から求められる角度θ=21.4°とほぼ一致する。このことから、SPRにより光吸収が促進されたために、内部光電効果の量子効率が高まり、大きな電流が発生したと解釈することができる。以上のことから試作したAu回折格子によってSPRが発生し、SPRをショットキー障壁により電流として計測することができたと結論付けられた。
次に、試作したAu回折格子が背面照射によりSPRを励起することができるか検証するために、シミュレーションを行った。シミュレーションには有限要素法解析(Finite Element Method:FEM)ソフトであるCOMSOLを使用した。本シミュレーションでは、入射光路が試料と干渉しないように、Si側から光を照射する配置を「背面配置」とした。
作成したシミュレーションの概要を図11に示す。本シミュレーションでは、Si上にAuの回析格子が存在している構造を想定した。図11に示すように、回折格子のピッチは1200nm、Au回折格子の幅は950nmとした。上述の試作及び実験とは異なり、回折格子がAu同士で連結されておらず、隣り合うAu(第一実施形態における共鳴部)の間はSiが露出しているものとした。この構造に対して、Si側から光を照射する設定とした。偏光は、TM偏光とした。また、入射光の波長変化によってSPRを励起することを想定し、シミュレーションにおいても図11に示すモデルに入射する光の波長を変化させた。そして、SPRセンサとしての有効性を検証するために、Au回折格子が接している誘電体の屈折率を1.0と1.1の二つの条件で計算した。
上述のようにAu回折格子の幅が950nmである場合(図12における“W950nm”の実線)と、別のパターンとして900nm(図12における“W900nm”の一点破線)である場合を比較すると、図12に示すように、幅(W)が小さくなると、光吸収のピークが短波長側にシフトしていることがわかる。
図11に示すモデルへの入射光の波長の変化に対する応答の変化とモデル寸法との相関関係を図13に示す。Au回折格子の幅が950nmである場合は、図13に示すグラフのAu回折格子の幅D(図1に示す幅dに対応)=950nmの場合に対応する。一方、Au回折格子の幅が900nmである場合は、図13に示すグラフのAu回折格子の幅D=900nmの場合に対応する。
図11に示すモデルの共鳴点である1.94×1014Hzにおける電場強度をプロットしたものを図14に示す。図15に示す類似の先行例(Ali Sobhani, et al., "Narrowband photodetection in the near-infrared with a plasmon-induced hot electron device," Nature Communications, vol. 4, 1643, 2013.)の結果と同様の部分が見受けられるが、Airの部分の場の状態に差が見られる。
図11に示すモデルの光吸収特性を図16に示し、図14にプロットした共鳴点とは別の共鳴点である2.6×1014Hzにおける電場強度をプロットしたものを図17に示す。図16に示すピーク(P1)はシャープではないので、複数のピークが隣接して出ていると推測される。図11に示すモデルの各種寸法を変えれば、ピーク形状や位置が変化するとも推察される。また、図17の下側のポートから光を入射させる配置は、背面配置であり、本発明に係る計測用デバイスの構成と類似する。図17において、スペクトルが異なるのは、入射する光の振動数は同じだが、高い屈折率を通って光が界面に入射するので、運動量が高いためと考えられる。
さらに、誘電体(Air)の屈折率を変えた場合の挙動についてシミュレーションを行った。誘電体(Air)の屈折率を1.0としたときの共鳴点:2.6×1014Hzにおける電場強度をプロットしたものを図19に示す。誘電体(Air)の屈折率を1.1としたときの共鳴点:2.6×1014Hzにおける電場強度をプロットしたものを図20に示す。誘電体(Air)の屈折率を1.1としたときの共鳴点:1.95×1014Hzにおける電場強度をプロットしたものを図21に示す。これらの条件における図11のモデルの光吸収特性を図18に示す。図18に示すように、Air/Au界面に強く局在するモード共鳴において変化が大きいことが推測される。
以上のシミュレーション結果から総合的に考察すると、図11に示すモデルに類似する構成において、背面照射型のSPRセンサとして利用可能であることが確認された。
100A,100B,100C,100D,100E 計測用デバイス
102 計測センサ

Claims (16)

  1. 所定の波長の光を透過可能な半導体基板と、
    前記半導体基板の表面に積層され、前記半導体基板との界面でショットキー障壁を構成し、前記所定の波長の光が照射された際に表面プラズモン共鳴を起こすアンテナ部を有する金属層と、
    前記金属層の表面に形成され、特定の検出物質と反応可能に構成された反応層と、
    を備え
    前記半導体基板の価電子帯のエネルギー準位と伝導帯のエネルギー準位とのエネルギー差は前記反応層と前記金属層との間で生じる前記表面プラズモン共鳴によって前記金属層の自由電子が励起される励起エネルギーよりも高く、且つ前記励起エネルギーは前記ショットキー障壁のエネルギー高さよりも高いことを特徴とする計測用デバイス。
  2. 前記半導体基板の表面とは反対側の面と前記金属層に電気的に接続された電極部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の計測用デバイス。
  3. 前記半導体基板と前記電極部との界面で構成されるショットキー障壁の幅及びエネルギー高さは前記金属層で励起されてから前記半導体基板に拡散した前記自由電子が前記電極部に向かってトンネリング可能に設定され、
    前記電極部の材質は前記半導体基板における不純物のドーピングの高さに応じて選ばれている、
    請求項2に記載の計測用デバイス。
  4. 前記金属層は、前記半導体基板の表面に沿って形成された共鳴部と、複数の前記共鳴部に接続された集電部と、を備えていることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の計測用デバイス。
  5. 前記所定の波長は1μm以上10μm以下であり、
    前記半導体基板はn型シリコンで構成され、
    前記共鳴部の幅は0.5μm以上5μm以下であることを特徴とする請求項に記載の計測用デバイス。
  6. 前記半導体基板の表面には回折格子が形成され、
    前記金属層及び前記アンテナ部は前記回折格子の表面に設けられていることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の計測用デバイス。
  7. 前記金属層の表面には回折格子が形成され、
    前記アンテナ部は前記金属層の表面側に設けられていることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の計測用デバイス。
  8. 前記アンテナ部の表面に微細な凹部及び凸部の少なくとも一方が形成され、
    前記凹部及び前記凸部の幅は前記所定の波長の1/1000以上1/10以下であることを特徴とする請求項1からの何れか一項に記載の計測用デバイス。
  9. 前記半導体基板の表面にはピラーが形成され、
    前記金属層及び前記アンテナ部は前記ピラーの表面に設けられていることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の計測用デバイス。
  10. 所定の波長の光を発する光源と、
    前記光源に積層され、且つ前記所定の波長の光を透過可能な半導体基板と、
    前記半導体基板における前記光源とは反対側の表面に積層され、前記半導体基板との界面でショットキー障壁を構成し、前記光源から発せられた光が照射された際に表面プラズモン共鳴を起こすアンテナ部を有する金属層と、
    前記金属層の表面に形成され、特定の検出物質と反応可能に構成された反応層と、
    前記半導体基板における光源側の面と前記金属層に電気的に接続された電極部と、
    を備え
    前記半導体基板の価電子帯のエネルギー準位と伝導帯のエネルギー準位とのエネルギー差は前記反応層と前記金属層との間で生じる前記表面プラズモン共鳴によって前記金属層の自由電子が励起される励起エネルギーよりも高く、且つ前記励起エネルギーは前記ショットキー障壁のエネルギー高さよりも高いことを特徴とする計測センサ。
  11. 前記金属層は、前記半導体基板の表面に沿って形成された共鳴部と、複数の前記共鳴部に接続された集電部と、を備えていることを特徴とする請求項10に記載の計測センサ。
  12. 前記所定の波長は1μm以上10μm以下であり、
    前記半導体基板はn型シリコンで構成され、
    前記共鳴部の幅は0.5μm以上5μm以下であることを特徴とする請求項11に記載の計測センサ。
  13. 前記半導体基板の表面には回折格子が形成され、
    前記金属層及び前記アンテナ部は前記回折格子の表面に設けられていることを特徴とする請求項10に記載の計測センサ。
  14. 前記金属層の表面には回折格子が形成され、
    前記アンテナ部は前記金属層の表面側に設けられていることを特徴とする請求項10に記載の計測センサ。
  15. 前記アンテナ部の表面に微細な凹部及び凸部の少なくとも一方が形成され、
    前記凹部及び前記凸部の幅は前記所定の波長の1/1000以上1/10以下であることを特徴とする請求項10から14の何れか一項に記載の計測センサ。
  16. 前記半導体基板の表面にはピラーが形成され、
    前記金属層及び前記アンテナ部は前記ピラーの表面に設けられていることを特徴とする請求項10に記載の計測センサ。
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