JP6927390B2 - 照明器具 - Google Patents
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Description
したがって、車両の運転者は、かかる道路照明の環境下において、高輝度箇所と低輝度箇所とが交互に連続的に変化する路面上を走行することになる。
また特許文献2には、このS/P比を調整することで、周辺視の視認性を向上させる技術が示されている。
そこで、例えば光源の上記S/P比を高めて周辺視の視認性を向上させることで、周辺視野に位置する低輝度箇所に障害物が存在する場合でも、当該障害物を視認するまでの時間遅延の抑制が期待できる。
しかしながら、光源のS/P比が高くなると、光源から直接眼に入射する短波長の放射エネルギーが多くなることから、不快な眩しさも同様に感じやすくなる、という問題がある。
道路照明器具1は、車両2が走行する道路4の路面4Aを照明するものであり、道路脇5に立設された照明柱6の上端部に取り付けられている。道路4には、車両2の進行方向Aに沿って複数の道路照明器具1が間隔をあけて設けられている。
なお、図1に示す道路4は、あくまでも例示であって、道路4の構成、及び道路照明器具1の配置の態様は、道路4の種類や目的に応じて適宜に変更可能である。
道路照明器具1は、器具本体10と、グローブ12と、を備え、器具本体10には、光源部14が設けられている。
光源部14は、発光素子の一例である複数のLED16A、及びLED16Bを光源に備えている。これらLED16A、及びLED16Bは、道路4の照明に必要な出力を有し、複数のLED16Aは、道路照明器具1からみて道路4の進行方向Aに照明光を照射する。これとは逆に複数のLED16Bは逆走方向Bに照明光を照射する。光源部14は、鉛直方向下方側や、道路照明器具1の正面側(道路4の横断方向)などに照明光を照射するLEDも備え、これらの照明光によって、図1に示す路面4Aの照明範囲Rを照明する。
この路面輝度分布は、幅員Dが7メートルであり、2車線を含む道路4に、40メートルの間隔Eで道路照明器具1が設置された状態において、進行方向Aの60メートル先に道路照明器具1が位置する位置を測定位置Oとし、当該測定位置Oから進行方向Aを測定したときの路面輝度分布を示したものである。なお、測定位置Oは、道路4の第一車線(走行車線)の中心で、路面4Aから1.5メートルの高さに設けられている。
このため、車両2の運転者が路面上の高輝度箇所である逆走側範囲RBを中心視で見ている場合、その周辺視野に位置する低輝度箇所である進行側範囲RAに存在する障害物Tを運転者が周辺視で視認するまでのタイミングが、障害物Tが逆走側範囲RBに存在したときよりも遅くなる。
明所視は、分光視感効率のピーク波長が555nmであるのに対し、暗所視は、分光視感効率のピーク波長が507nmであり、暗所視は、明所視よりも短波長の光に対する高い感度を有している。
この暗所視輝度は、暗所視の分光視感度に、道路照明器具1の発光部18の分光特性を積算して算出される値であり、明所視輝度は、明所視の分光視感度に発光部18の分光特性を積算して算出される値である。
したがって、S/P比が大きい場合、暗所視輝度が明所視輝度よりも大きいため、発光部18から放射される照明光には短波長の放射エネルギーが多く含まれる。これとは逆に、S/P比が小さくなると、暗所視輝度が明所視輝度よりも相対的に小さくなるため、この照明光には短波長の放射エネルギーが相対的に少なくなる。
すなわち、周辺視では桿体が大きく寄与するので、短波長の光に対する感度が特に高まり、照明光に短波長の放射エネルギーが多く含まれるほど、周辺視の視認性が高められる。そして、S/P比が大きくなるほど、照明光には短波長の放射エネルギーが相対的に多く含まれるので、道路照明器具1のS/P比を大きくすることで、周辺視における視認性を高めることができるのである。このように、周辺視の視認性が高められることで、周辺視野に存在する障害物の検出の輝度弁別閾や応答時間、認識率などといった視作業性の向上も得られることとなる。
なお、この図において、道路照明器具1の鉛直方向の下方向が鉛直角θ=0°、逆走方向Bが鉛直角θ=90°、及び進行方向Aが鉛直角θ=270°である。また、鉛直角θ1(270°≦θ1≦0°)の範囲Saは、路面4Aの進行側範囲RAを照らす照明光の出射範囲に対応する。一方、鉛直角θ2(0°≦θ2≦90°)の範囲Sbは、路面4Aの逆走側範囲RBを照らす照明光の出射範囲に対応する。ただし、進行側範囲RA、及び逆走側範囲RBのそれぞれを照らす照明光の出射範囲に対応する鉛直角θの範囲は、あくまでも具体例であって道路照明器具1の設計等によって変わり得るものである。
具体的には、図4に示すように、鉛直面内のS/P比分布において、所定の鉛直角θ3の方向におけるS/P比の値を、少なくとも逆走方向Bの側のS/P比の中で最小のS/P比(以下、「最小S/P比」と言う)としている。この鉛直角θ3は、グレアゾーンに対応する範囲である。グレアゾーンとは、視野の中で特にまぶしさを感じる範囲である。この道路照明器具1では、鉛直角θ3には、70°≦θ3≦80°が相当している。
そして、このS/P比分布において、逆走方向Bの側では、鉛直角θ3の範囲のS/P比のみを最小S/P比にし、残余の部分のS/P比が最小S/P比よりも大きな値に維持されることで、グレアゾーン以外での誘目性の低下を抑えつつ、グレアゾーンにおける不快な眩しさを抑えることができる。
そして、この道路照明器具1によれば、眩しさを抑えつつも、逆走方向Bの側に位置する運転者からみた発光部18の誘目性が維持されるので、不快な眩しさを感じさせることなく、かつ誘導効果が得られる道路照明が実現できる。
したがって、発光部18の発光面において、この範囲の輝度を高めても、車両2で走行中の運転者に眩しさを感じさせないようにしつつ、遠方からの発光部18の視認性を高め、誘導効果を高めることができる。
これにより、一般的な対称配光の道路照明器具よりも高い誘導効果が実現されている。
さらに、鉛直角θ4(80°≦θ4≦90°)の範囲の輝度を高めることで、誘導効果が大きく高められる。
また、鉛直角θ4の範囲の発光面において、対応するグローブ12の範囲の光透過性を、当該範囲に対し鉛直方向について対称な関係にある進行方向Aの側に位置するグローブ12の範囲の光透過性より高め、鉛直角θ4の範囲の発光面の輝度を高めている。
これにより、進行方向Aの側が最大S/P比の照明光で照明されるので、運転者の周辺視野に進行側範囲RAが位置する場合でも、当該進行側範囲RAでの視認性が高められる。したがって、進行側範囲RAに障害物Tが存在した場合でも、この障害物Tを運転者が視認するまでの時間の遅延を抑えることができる。
一方、逆走方向Bの側は、S/P比が最大S/P比よりも小さいので、不快な眩しさが抑えられる。
これにより、グレアゾーンにおける不快な眩しさを抑えられる。
これにより、不快な眩しさを抑えつつ、発光部18の発光による道路4の誘導効果を、一般の対称配光の道路照明器具より大きく高めることができる。
これにより、進行方向Aの側に対する周辺視での視認性向上と、逆走方向Bの側における眩しさ抑制との適切なバランスが得られる。
この場合、鉛直角θ4の範囲のS/P比には、鉛直角θ3のS/P比よりも大きい値、または進行方向Aの側に設定されている最大S/P比を用いることができる。
さらにまた、進行方向Aに面する範囲(上述した実施形態では、270°≦鉛直角θ≦0°)のうち、鉛直角θ4に対し鉛直方向について対称な関係にある箇所のS/P比を、鉛直角θ4の範囲のS/P比に用いることもできる。
2 車両
4 道路
4A 路面
10 器具本体
12 グローブ
14 光源部
18 発光部
A 進行方向
B 逆走方向
R 照明範囲
RA 進行側範囲
RB 逆走側範囲
T 障害物
θ 鉛直角
θ1 鉛直角(進行方向の側に面した範囲)
θ2 鉛直角(逆走方向の側に面した範囲)
θ3 鉛直角(グレアゾーンに対応する範囲)
θ4 鉛直角(グレアゾーンよりも鉛直方向の上側に位置した範囲)
Claims (3)
- 車両が走行する道路を照らす照明器具において、
前記車両の進行方向、及び当該進行方向と逆方向を照らす発光部を備え、
前記発光部の暗所視輝度と明所視輝度との比をS/P比としたときに、
前記発光部は、
前記進行方向を含む鉛直面内のS/P比が、前記進行方向を照らす光の出射範囲で最大になっており、
前記鉛直面内においてグレアゾーンに対応する所定範囲のS/P比が、少なくとも前記逆方向の側に面する範囲の中で最小のS/P比になっており、
前記発光部の発光面は、
前記鉛直面内において前記グレアゾーンに対応する所定範囲よりも鉛直方向上側の範囲の輝度が、当該範囲に対し鉛直方向について対称な関係にある前記進行方向の側の箇所の輝度より大きい
ことを特徴とする照明器具。 - 車両が走行する道路を照らす照明器具において、
前記車両の進行方向、及び当該進行方向と逆方向を照らす発光部を備え、
前記発光部の暗所視輝度と明所視輝度との比をS/P比としたときに、
前記発光部は、
前記進行方向を含む鉛直面内のS/P比が、前記進行方向を照らす光の出射範囲で最大になっており、
前記鉛直面内においてグレアゾーンに対応する所定範囲のS/P比が、少なくとも前記逆方向の側に面する範囲の中で最小のS/P比になっており、
前記鉛直面内において前記グレアゾーンに対応する所定範囲よりも鉛直方向上側の範囲のS/P比が、前記グレアゾーンに対応する所定範囲のS/P比より大きい値、前記最大のS/P比と等しい値、または、当該範囲に対し鉛直方向について対称な関係にある前記進行方向の側の箇所のS/P比と等しい値である
ことを特徴とする照明器具。 - 車両が走行する道路を照らす照明器具において、
前記車両の進行方向、及び当該進行方向と逆方向を照らす発光部を備え、
前記発光部の暗所視輝度と明所視輝度との比をS/P比としたときに、
前記発光部は、
前記進行方向を含む鉛直面内のS/P比が、前記進行方向を照らす光の出射範囲で最大になっており、
前記逆方向の側に面する範囲のうち、前記鉛直面内においてグレアゾーンに対応する所定範囲よりも鉛直方向上側の範囲を除く範囲のS/P比が、1.0〜2.2である、
ことを特徴とする照明器具。
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