JP6927141B2 - シリコンウエハの評価方法及びそのエッチング液 - Google Patents
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Description
本発明は、シリコンウエハの結晶欠陥の検出方法及び結晶欠陥の検出に用いるエッチング液に関する。
シリコン単結晶中に存在するAs−grown欠陥のうち、V−rich領域にはフローパターン欠陥(Flow Pattern Defect;以下FPDという)が、I−rich領域にはLEP(Large Etching Pit;ディスロケーションループと呼ばれることもある)と呼ばれる転位クラスター欠陥が観察されることが知られている。このFPD、LEPを測定することで、結晶がV−rich領域かI−rich領域か、それともN領域にあるのかを調べることができる。
As−grown欠陥の測定には、VoidをLST(Laser Scattering Tomography)で測定する方法も知られているが、測定に時間がかかるため、エッチング液を使用した選択エッチング法が広く採用されている。これは、シリコンウエハの表面をエッチング液でエッチングし、結晶欠陥のあるところとないところのエッチング速度の差を利用した選択エッチングを行うことで、シリコンウエハの表面に現れた結晶欠陥を検出する方法である。この時、欠陥部分がさざ波模様で観察されるため、FPD(フローパターン欠陥)と呼ばれている。従来、FPDやLEPは、6価クロムを含むSECCOエッチング液を使用したエッチングにより測定していた。図3には、FPD評価の例として、SECCOエッチング液を使用してエッチング処理したシリコンウエハのFPDの観察例を示す。
しかし、SECCOエッチング液は有害な物質である6価クロムを含有しているため、地球環境、人体に及ぼす影響や廃液処理への配慮という問題があり、SECCOエッチング液を使用するのは困難になった。このため、近年は、クロム(Cr)を含まずかつ選択性のあるエッチング液を用いたエッチングによる測定が行われている。これに関連して、これまでにいくつかの特許が出願されている(特許文献1−3)。
特許文献1には、シリコンウエハのFPDを評価する場合に、HFが50重量%、HNO3が61重量%、CH3COOHが99.7重量%のとき、組成比(容量比)がHF:HNO3:CH3COOH:H2O=400:2〜4(但し4を除く):10〜50:80であり、かつヨウ素またはヨウ化物を含有する選択エッチング液を用い、両面を3〜50μmエッチオフすることが記載されている。
特許文献2には、HFが50重量%、HNO3が61重量%、CH3COOHが99.7重量%のとき、組成比(容量比)がHF:HNO3:CH3COOH:H2O=400:4〜5:0〜40:80であり、かつヨウ素またはヨウ化物を含有するエッチング液を用いてFPDの評価を行うことが記載されている。
特許文献3には、シリコンウエハのLEPを評価するためのエッチング液であって、HFが50重量%、HNO3が61重量%、CH3COOHが99.7重量%のとき、組成比(容量比)がHF:HNO3:CH3COOH:H2O=400:5〜10:10〜50:80〜120であり、かつヨウ素またはヨウ化物を含有するエッチング液が記載されている。
特許文献1には、シリコンウエハのFPDを評価する場合に、HFが50重量%、HNO3が61重量%、CH3COOHが99.7重量%のとき、組成比(容量比)がHF:HNO3:CH3COOH:H2O=400:2〜4(但し4を除く):10〜50:80であり、かつヨウ素またはヨウ化物を含有する選択エッチング液を用い、両面を3〜50μmエッチオフすることが記載されている。
特許文献2には、HFが50重量%、HNO3が61重量%、CH3COOHが99.7重量%のとき、組成比(容量比)がHF:HNO3:CH3COOH:H2O=400:4〜5:0〜40:80であり、かつヨウ素またはヨウ化物を含有するエッチング液を用いてFPDの評価を行うことが記載されている。
特許文献3には、シリコンウエハのLEPを評価するためのエッチング液であって、HFが50重量%、HNO3が61重量%、CH3COOHが99.7重量%のとき、組成比(容量比)がHF:HNO3:CH3COOH:H2O=400:5〜10:10〜50:80〜120であり、かつヨウ素またはヨウ化物を含有するエッチング液が記載されている。
近年、主面の面方位が(100)であるMOS(Metal Oxide Semiconductor)用ウエハだけでなく、主面の面方位が(111)であるパワー半導体向けウエハに関しても低欠陥結晶が求められている。
なお、本発明において「主面の面方位が(111)である」とは、(111)ジャスト面(オフ角0°)のみならず、この面に対し、オフ角が±4.5°の範囲内にあるものを意味する。
なお、本発明において「主面の面方位が(111)である」とは、(111)ジャスト面(オフ角0°)のみならず、この面に対し、オフ角が±4.5°の範囲内にあるものを意味する。
本発明者が調査した結果、主面の面方位が(111)であるウエハ(以下、「(111)ウエハ」という)のLEP評価には、特許文献3に記載される従来の薬液組成比のエッチング液(HF:HNO3:CH3COOH:H2O=400:5〜10:10〜50:80〜120)と同等のエッチング液、具体的には、HF:HNO3:CH3COOH:H2O=400:3.1〜9.3:33.6:80のエッチング液を使用できることがわかった。
しかしながら、本発明者は、(111)ウエハのFPD評価を行う場合、特許文献1、2に記載されたエッチング液を用いても、結晶欠陥判定が困難であり、正確に評価が行えないという新たな問題点を見出した。例えば、FPDを測定するため、特許文献1に記載されたエッチャントで(111)ウエハを処理すると、ウエハ表面の粗さが大きくなり、フローパターンの判定が困難であることがわかった。図4に、特許文献1に記載されたエッチング液(HF:HNO3:CH3COOH:H2O=400:3.1:10〜50:80)を用いて(111)ウエハのFPD評価を行った時の、ウエハ表面の画像を示す。図4に示されるように、表面の荒れが大きく、FPDを判定することは困難であった。
つまり、従来は低欠陥結晶の(111)ウエハのFPDを評価するために最適化された適切なエッチング液がなく、(111)ウエハについてはエッチング液を用いたFPD評価ができないという問題点がある。
つまり、従来は低欠陥結晶の(111)ウエハのFPDを評価するために最適化された適切なエッチング液がなく、(111)ウエハについてはエッチング液を用いたFPD評価ができないという問題点がある。
ウエハ表面の粗さが大きくなる原因は、以下のように考えられる。ウエハのエッチングにおいては、(111)面より(100)面の方が、エッチング速度が早い。(111)ウエハでは、表面と平行な(111)面よりも、表面に対し傾斜した(100)面の方がエッチングスピードが速いため、エッチングの進行により表面に対し傾斜した面が現れることで凹凸が発生しやすい。
図5に、エッチングスピードの面方位依存性の違いによる面粗さ発生機構を示す。図5(a)は(111)ウエハの場合である。斜め方向のエッチングスピードが早い場合、最終的に表面の凹凸が大きくなる。図5(b)は(100)ウエハの場合である。表面に対して水平方向にエッチングされるスピードが速いので、最終的な表面は平らになる。
以上述べたように、(111)ウエハを、従来使用されていた(100)ウエハ用のエッチング液で選択エッチングすると、表面の荒れが大きくなり欠陥の判定が困難となってしまうのである。
図5に、エッチングスピードの面方位依存性の違いによる面粗さ発生機構を示す。図5(a)は(111)ウエハの場合である。斜め方向のエッチングスピードが早い場合、最終的に表面の凹凸が大きくなる。図5(b)は(100)ウエハの場合である。表面に対して水平方向にエッチングされるスピードが速いので、最終的な表面は平らになる。
以上述べたように、(111)ウエハを、従来使用されていた(100)ウエハ用のエッチング液で選択エッチングすると、表面の荒れが大きくなり欠陥の判定が困難となってしまうのである。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、Crを含まない選択エッチング用エッチング液を用いて(111)ウエハのFPD判定を行う方法、及び、Crを含まず、かつ(111)ウエハの結晶欠陥判定が可能な選択エッチング用エッチング液を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を達成するためになされたものであり、主面の面方位が(111)のシリコン単結晶ウエハの評価方法であって、HFが50wt%、HNO3が61wt%、CH3COOHが99.7wt%のときに、HF:HNO3:CH3COOH:H2O=400:1〜2(ただし2を除く):10〜50:80〜120の容量比で配合した成分組成比を有するエッチング液を用いて、主面の面方位が(111)のシリコン単結晶ウエハをエッチングすることにより、FPDを評価することを特徴とするシリコン単結晶ウエハの評価方法を提供する。
このようなシリコン単結晶ウエハの評価方法によれば、(111)ウエハのFPD欠陥の評価、判定が可能となる。
このとき、前記エッチング時間を10〜60分とすることができる。
これにより、(111)ウエハの表面を、過不足なくFPD評価を行うためのエッチングを行うことができる。
このとき、前記エッチングの取り代を5μm以上12μm以下とすることができる。
これにより、エッチング痕を見えやすくするとともに、ウエハ表面の面荒れをより確実に抑制することができる。
このとき、前記エッチング液にヨウ素またはヨウ化物を添加することができる。
これにより、ウエハ表面に付着するステイン膜(しみ)の発生を防止し、欠陥の検出を安定して行うことができる。ステイン膜の発生を防止することで、フローパターンを明瞭且つ安定して確認できるとともに、反応開始時間の短縮、エッチング代の均一化につながり、評価精度が向上する。
また、本発明では、主面の面方位が(111)のシリコン単結晶ウエハのFPDを検出するために用いられるエッチング液であって、HFが50wt%、HNO3が61wt%、CH3COOHが99.7wt%のときに、HF:HNO3:CH3COOH:H2O=400:1〜2(ただし2を除く):10〜50:80〜120の容量比で配合された成分組成比を有するものであることを特徴とするエッチング液を提供する。
このようなエッチング液とすることにより、重クロム酸カリウムのような地球環境や人体に影響の強いクロムを含まないエッチング液となり、廃液の処理が簡単になる。また、本発明のエッチング液は、(111)ウエハのFPD欠陥を明瞭且つ安定して確認できるものとなる。
以上のように、本発明のシリコン単結晶ウエハの評価方法によれば、(111)ウエハのFPD欠陥の評価、判定が可能となる。また、本発明のエッチング液によれば、廃液の処理が簡単になるとともに、(111)ウエハのFPD欠陥を明瞭且つ安定して確認することが可能になる。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
上述のように、Crを含まない選択エッチング用エッチング液を用いて(111)ウエハのFPD判定を行う方法、及び、(111)ウエハの結晶欠陥判定が可能なCrを含まない選択エッチング用エッチング液が求められていた。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、主面の面方位が(111)のシリコン単結晶ウエハの評価方法であって、HFが50wt%、HNO3が61wt%、CH3COOHが99.7wt%のときに、HF:HNO3:CH3COOH:H2O=400:1〜2(ただし2を除く):10〜50:80〜120の容量比で配合した成分組成比を有するエッチング液を用いて、主面の面方位が(111)のシリコン単結晶ウエハをエッチングすることにより、FPDを評価することを特徴とするシリコン単結晶ウエハの評価方法により、(111)ウエハのFPD判定を行うことができることを見出し、本発明を完成した。
また、主面の面方位が(111)のシリコン単結晶ウエハのFPDを検出するために用いられるエッチング液であって、HFが50wt%、HNO3が61wt%、CH3COOHが99.7wt%のときに、HF:HNO3:CH3COOH:H2O=400:1〜2(ただし2を除く):10〜50:80〜120の容量比で配合された成分組成比を有するものであることを特徴とするエッチング液により、地球環境や人体に影響の強いクロムを含まないエッチング液となり、廃液の処理が簡単になるとともに、(111)ウエハのFPD欠陥を明瞭且つ安定して確認できることを見出し、本発明を完成した。
また、主面の面方位が(111)のシリコン単結晶ウエハのFPDを検出するために用いられるエッチング液であって、HFが50wt%、HNO3が61wt%、CH3COOHが99.7wt%のときに、HF:HNO3:CH3COOH:H2O=400:1〜2(ただし2を除く):10〜50:80〜120の容量比で配合された成分組成比を有するものであることを特徴とするエッチング液により、地球環境や人体に影響の強いクロムを含まないエッチング液となり、廃液の処理が簡単になるとともに、(111)ウエハのFPD欠陥を明瞭且つ安定して確認できることを見出し、本発明を完成した。
以下、図面を参照して説明する。
まず、FPD評価に用いるエッチング液について説明する。
本発明においてFPDを検出するために用いられるエッチング液は、HFが50wt%、HNO3が61wt%、CH3COOHが99.7wt%のときに、HF:HNO3:CH3COOH:H2O=400:1〜2(ただし2を除く):10〜50:80〜120の容量比で配合した成分組成比を有するエッチング液である。
本発明においてFPDを検出するために用いられるエッチング液は、HFが50wt%、HNO3が61wt%、CH3COOHが99.7wt%のときに、HF:HNO3:CH3COOH:H2O=400:1〜2(ただし2を除く):10〜50:80〜120の容量比で配合した成分組成比を有するエッチング液である。
ここで、エッチング液作製に用いる薬液は、市販の半導体グレードの薬液を用いることができ、例えば、フッ酸(50wt%)はダイキン工業株式会社の半導体用を、硝酸(61wt%)は関東化学株式会社のEL級を、酢酸(99.7wt%)は関東化学株式会社の特級をそのまま前記容量比で混合して作製できる。また、水については、エッチング処理時にゴミや汚れなどがウエハへ付着することを考慮すると、半導体工業で使われている超純水を用いることが好ましい。
また、上記の各薬液と異なる濃度の薬液を配合してエッチング液を作製する場合には、HFが50wt%、HNO3が61wt%、CH3COOHが99.7wt%のときに、HF:HNO3:CH3COOH:H2O=400:1〜2(ただし2を除く):10〜50:80〜120の容量比で配合した成分組成比と同等の成分組成比となるように、配合する容量を適宜変更して用いることは当然のことであり、そのようにして得られるエッチング液も、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
本発明は、特に、エッチング液中の硝酸配合量の点に特徴がある。HFが50wt%、CH3COOHが99.7wt%のときに、HF:CH3COOH:H2O=400:10〜50:80〜120の容量比で配合する場合に、61wt%のHNO3を1〜2(ただし2を除く)とする点に特徴がある。61wt%のHNO3が1未満の場合、エッチング量が少ないためFPDの判定が困難となる。61wt%のHNO3が2以上の場合、表面が荒れることでFPDの判定が困難となる。
このようなエッチング液に、ヨウ素またはヨウ化物を添加することが好ましい。ヨウ素またはヨウ化物により、ウエハ表面に付着するステイン膜の発生が防止され、欠陥の検出を安定して行うことができる。ステイン膜の発生を防止することで、フローパターンを明瞭かつ安定して確認できるとともに、反応開始時間の短縮、エッチング代の均一化につながり、評価精度が向上する。ヨウ素またはヨウ化物としては、例えば、ヨウ化カリウム(KI)が使用できる。
本発明で規定される容量比の薬液に配合するヨウ素またはヨウ化物は、1規定濃度の薬液のときに、容量比で1〜5とすることができる。ヨウ素またはヨウ化物の容量比を1以上とすれば欠陥の検出がより安定し、一方、容量比が5以下とすれば泡切れが悪くなったり、フローパターンが丸くなってカウントし辛くなることもない。
本発明で規定される容量比の薬液に配合するヨウ素またはヨウ化物は、1規定濃度の薬液のときに、容量比で1〜5とすることができる。ヨウ素またはヨウ化物の容量比を1以上とすれば欠陥の検出がより安定し、一方、容量比が5以下とすれば泡切れが悪くなったり、フローパターンが丸くなってカウントし辛くなることもない。
本発明におけるFPD評価方法においては、上記の選択エッチング液を使用する。測定すべきウエハを、液温が10〜30℃の本発明の前記エッチング液に攪拌せずに浸漬して放置し、結晶欠陥部分を選択的にエッチングして、ウエハの表面に現れたFPDを観察する。
本発明におけるFPD評価方法をウエハの品質評価に適用する場合には、例えば、FPDの数を結晶欠陥の密度として計測し評価することが挙げられる。
本発明におけるFPD評価方法をウエハの品質評価に適用する場合には、例えば、FPDの数を結晶欠陥の密度として計測し評価することが挙げられる。
このとき、エッチング時間を10分以上60分以下とすることが好ましい。これにより、過不足なくFPD評価を行うためのエッチングをすることができる。FPDの観察例を図1(a)に示す。エッチング時間が10分以上とすれば、十分にエッチングがされ、図1(b)に示すように、特にFPD密度が低い場合でも十分にFPDの検出ができる。エッチング時間は60分もすれば十分であり、過度にエッチングされることによる、図1(c)に示すような面荒れによりFPDが不明瞭になることもない。
また、取り代は5μm以上12μm以下とすることが好ましい。これにより、エッチング痕を見えやすくするとともに、ウエハ表面の面荒れを抑制することができる。取り代が5μm以上であればエッチング量が十分となり、エッチング痕、すなわちFPDが明瞭になる。取り代は12μmもすれば十分である。
以下、実施例を挙げて本発明について詳細に説明するが、これは本発明を限定するものではない。
まず、本発明を実証するために使用するFPD欠陥評価用のシリコンウエハを作製した。
FPDを有する(100)ウエハの製造条件は知られていたが、FPDを有する(111)ウエハの製造条件は明らかではなく、結晶軸方位が異なる場合、例えば<100>と<111>とで、同じ引き上げ速度であれば同じ欠陥領域になるかどうかは確かめられていなかったため、以下の方法でFPD領域を含む(111)ウエハを作製した。
シリコン単結晶インゴットの引き上げによる育成において、高速で引き上げた場合はFPDが観察されるV−rich領域が、低速で引き上げた場合はLEPが観察されるI−rich領域が形成されることが知られており、引き上げ速度を調整することによって、FPD、NPC、LEPの欠陥領域を作り分けることができる。
FPDを有する(100)ウエハの製造条件は知られていたが、FPDを有する(111)ウエハの製造条件は明らかではなく、結晶軸方位が異なる場合、例えば<100>と<111>とで、同じ引き上げ速度であれば同じ欠陥領域になるかどうかは確かめられていなかったため、以下の方法でFPD領域を含む(111)ウエハを作製した。
シリコン単結晶インゴットの引き上げによる育成において、高速で引き上げた場合はFPDが観察されるV−rich領域が、低速で引き上げた場合はLEPが観察されるI−rich領域が形成されることが知られており、引き上げ速度を調整することによって、FPD、NPC、LEPの欠陥領域を作り分けることができる。
図2には、FPD、LEP評価用サンプルの作製方法を示す。図2(a)に示すように、軸方位が<111>の単結晶を、引き上げ速度を徐々に変化させながら引き上げた。次に、図2(b)に示すように、その単結晶を軸方向に半分に切り出し、縦割りサンプルに加工した。この縦割りサンプルを用い、熱処理後のBMD密度測定、ライフタイム測定などにより欠陥領域の判定を行うことで、引き上げ速度と結晶欠陥領域の関係を求めた。縦割りサンプルでV−rich領域、OSF領域、N領域、I−rich領域が確認できたら、図2(c)に示すように、各領域の位置と同じ位置の断面半円形状の結晶サンプルから半円状の(111)ウエハを切り出し、FPD、LEP評価用サンプルとした。
まず、エッチング液を作製した。HF(50wt%)はダイキン工業株式会社の半導体用を、HNO3(61wt%)は関東化学株式会社のEL級を、CH3COOH(99.7wt%)は関東化学株式会社の特級を使用した。H2Oは半導体工業で使われている超純水を用いた。
(実施例1)
以下に示す容量比で配合してエッチング液を作製した。
HF(50wt%) :400cc
HNO3(61wt%) :1.0cc
CH3COOH(99.7wt%) :33.6cc
H2O :80.1cc
KI :2.4cc
エッチング時間 :10、15、30、60分。
FPD評価用の(111)ウエハを、作製したエッチング液に、攪拌せずに縦向きに浸漬して室温(25℃)で放置し、結晶欠陥部分を選択的にエッチングした。取り出したウエハは、純水で洗浄を行い、薬液を除去した。
以下に示す容量比で配合してエッチング液を作製した。
HF(50wt%) :400cc
HNO3(61wt%) :1.0cc
CH3COOH(99.7wt%) :33.6cc
H2O :80.1cc
KI :2.4cc
エッチング時間 :10、15、30、60分。
FPD評価用の(111)ウエハを、作製したエッチング液に、攪拌せずに縦向きに浸漬して室温(25℃)で放置し、結晶欠陥部分を選択的にエッチングした。取り出したウエハは、純水で洗浄を行い、薬液を除去した。
(実施例2)
HNO3(61wt%)の配合量1.5ccとした以外は、実施例1と同様な構成のエッチング液を使用した。
HNO3(61wt%)の配合量1.5ccとした以外は、実施例1と同様な構成のエッチング液を使用した。
(比較例1)
HNO3(61wt%)の配合量0.5ccとした以外は、実施例1と同様な構成のエッチング液を使用した。
HNO3(61wt%)の配合量0.5ccとした以外は、実施例1と同様な構成のエッチング液を使用した。
(比較例2)
HNO3(61wt%)の配合量2.0ccとした以外は、実施例1と同様な構成のエッチング液を使用した。
HNO3(61wt%)の配合量2.0ccとした以外は、実施例1と同様な構成のエッチング液を使用した。
(比較例3)
HNO3(61wt%)の配合量3.1ccとした以外は、実施例1と同様な構成のエッチング液を使用した。
HNO3(61wt%)の配合量3.1ccとした以外は、実施例1と同様な構成のエッチング液を使用した。
実施例1、2、比較例1、2、3で得られたウエハの表面に現れたFPDを観察した。FPDの観察は、レーザー顕微鏡(キーエンス社製、型式KVX200)を用い、倍率100〜1000倍として、目視で行った。
評価結果を表1に示す。
表1において、「×(a)」は、エッチング量が少ないためにFPDが見えず判定ができなかったこと、「〇(b)」は、FPDの判定ができたこと、「△(b)」は、表面の荒れが目立ち始めFPDが見えづらくなったこと、「×(c)」は、表面が荒れたためにFPDが見えず判定ができなかったことを意味する。
実施例1、実施例2では、FPDの判定ができたのに対し、比較例1ではエッチング量が少ないためにFPDが見えず、判定ができなかった。比較例2では、エッチング時間が60分のときに表面の面荒れが目立つようになり、FPDが不明瞭になり始めた。比較例3では表面が荒れたためにFPDが見えず、判定ができなかった。
以上のことから、HNO3(61wt%)の配合量を、1〜2(ただし2を除く)としたエッチング液を用いれば、安定して(111)ウエハのFPDを判定できることがわかる。
実施例1、実施例2では、FPDの判定ができたのに対し、比較例1ではエッチング量が少ないためにFPDが見えず、判定ができなかった。比較例2では、エッチング時間が60分のときに表面の面荒れが目立つようになり、FPDが不明瞭になり始めた。比較例3では表面が荒れたためにFPDが見えず、判定ができなかった。
以上のことから、HNO3(61wt%)の配合量を、1〜2(ただし2を除く)としたエッチング液を用いれば、安定して(111)ウエハのFPDを判定できることがわかる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
Claims (5)
- 主面の面方位が(111)のシリコン単結晶ウエハの評価方法であって、
HFが50wt%、HNO3が61wt%、CH3COOHが99.7wt%のときに、HF:HNO3:CH3COOH:H2O=400:1〜2(ただし2を除く):10〜50:80〜120の容量比で配合した成分組成比を有するエッチング液を用いて、主面の面方位が(111)のシリコン単結晶ウエハをエッチングすることにより、FPDを評価することを特徴とするシリコン単結晶ウエハの評価方法。 - 前記エッチング時間を10〜60分とすることを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶ウエハの評価方法。
- 前記エッチングの取り代を5μm以上12μm以下とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシリコン単結晶ウエハの評価方法。
- 前記エッチング液にヨウ素またはヨウ化物を添加することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のシリコン単結晶ウエハの評価方法。
- 主面の面方位が(111)のシリコン単結晶ウエハのFPDを検出するために用いられるエッチング液であって、HFが50wt%、HNO3が61wt%、CH3COOHが99.7wt%のときに、HF:HNO3:CH3COOH:H2O=400:1〜2(ただし2を除く):10〜50:80〜120の容量比で配合された成分組成比を有するものであることを特徴とするエッチング液。
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