JP6922727B2 - タイヤの評価方法 - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤの評価方法に関する。詳細には、タイヤの接地状態の評価方法に関する。
タイヤは路面と接地する。タイヤの接地状態は、操縦安定性、耐摩耗性、騒音性能等のタイヤの性能に影響を与える。タイヤの接地状態を知ることは重要である。タイヤの接地状態として、接地面に生じる応力、並びに接地面の形状及び大きさが例示される。
タイヤの接地状態を測定する方法についての検討が、特開2005−265748公報及び特開2005−153686公報に開示されている。特開2005−265748公報の方法では、タイヤの踏面に生じる応力及び踏面内の滑り量が測定されている。特開2005−153686公報では、タイヤの接地形状を精度良く測定する方法が検討されている。
特開2005−265748公報 特開2005−153686公報
より精度よくタイヤの性能を見積もるためのタイヤの接地状態の評価方法が求められている。
本発明の目的は、より精度よくタイヤの性能を見積もるためのタイヤの接地状態の評価方法の提供である。
本発明に係るタイヤの評価方法は、
(1)所定の荷重、所定の速度、所定のスリップ角及び所定のキャンバー角でタイヤが走行するときの、このタイヤの接地面に生じるこの接地面に平行な方向の応力の分布を得る工程、
(2)荷重、速度、スリップ角及びキャンバー角のうちの少なくとも一つが上記(1)の工程とは異なる上記タイヤが走行するときの、このタイヤの接地面に生じるこの接地面に平行な方向の応力の分布を得る工程
及び
(3)上記(1)で得た応力と上記(2)で得た応力との差の分布を表示する工程
を含む。
好ましくは、上記(1)の工程での接地面及び上記(2)の工程での接地面において、いずれか一方のみが接地している位置では、その位置で接地していない方の当該位置における応力を0として、上記(3)の工程において応力の差が求められる。
好ましくは、上記(3)の工程においては、上記(1)の工程での接地面及び上記(2)の工程での接地面が包含される範囲に、表示範囲が設定される。
好ましくは、上記接地面に平行な応力が、軸方向の応力又は周方向の応力である。
好ましくは、上記(3)の工程での差の分布の表示においては、この差より得られた応力の向きにより、表示する色が異なる。
好ましくは、上記(1)及び(2)の工程においては、走行部及び応力測定器を備える走行試験機が使用される。上記応力測定器は上記走行部に埋没されている。上記タイヤをこの走行部上で走行させることで、接地面に生じる接地面に平行な方向の応力が計測される。
上記(1)及び(2)の工程においては、有限要素法での計算により、接地面に生じるこの接地面に平行な方向の応力が得られてもよい。
上記(1)及び(2)の工程においては、上記タイヤを車両の左右の前輪の両方又は左右の後輪の両方に装着し、この車両を応力測定器が埋没された走行面上を走行させることでこれら左右のタイヤについて接地面に生じる接地面に平行な方向の応力が計測されてもよい。この場合、上記(3)の工程においては、左側のタイヤ及び右側のタイヤのそれぞれについて、上記(1)で得た応力と上記(2)で得た応力との差の分布を求め、上記左右のタイヤのうちの一方のタイヤについて得られた応力の差の分布を左右反転させ、他方のタイヤの応力の差の分布との平均を求め、この結果が表示される。
発明者らは、タイヤの性能を精度よく見積もるための接地状態の評価方法について検討した。その結果、これまで接地状態の評価で考慮されていなかった「接地面における接地面に平行な方向の応力の変化」が、タイヤの性能に影響を与えるトレッドの部分の特定のために、重要であることを見出した。例えば、直進から旋回に転じたとき、接地面に生じる旋回内側方向の応力の変化が、トレッドの旋回性能に影響を与える部分の特定に重要となる。
本発明に係る評価方法では、一つの走行条件(所定の荷重、所定の速度、所定のスリップ角及び所定のキャンバー角)でタイヤが走行するときのこのタイヤの接地面に生じるこの接地面に平行な方向の応力の分布を得る工程、これと異なる走行条件でタイヤが走行するとき接地面に生じるこの接地面に平行な方向の応力の分布を得る工程、及びこれらの応力の差の分布を表示する工程を備える。この方法では、ある走行条件から別の走行条件に移行するときの、タイヤの接地面での応力の変化が容易に確認できる。この方法では、タイヤの性能に影響を与えるトレッドの部分が、精度良く特定できる。これは、精度の良いタイヤ性能の見積もりに寄与しうる。
図1は、本発明に係るタイヤの接地状態の評価フローである。 図2は、本発明の一実施形態における、図1の(1)の工程及び(2)の工程で使用される試験機が示された正面図である。 図3は、図2のIII−III線に沿った拡大断面図である。 図4は、図1の(1)の工程で得られた応力分布の例である。 図5は、図1の(2)の工程で得られた応力分布の例である。 図6は、図1の(3)の工程で得られた応力の差の分布の例である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1に、本発明に係るタイヤの接地状態の評価方法を示すフローが示されている。このフローは、
(1)一つの走行条件(図1の走行条件1)での接地面における、接地面に平行な方向の応力の分布を得る工程、
(2)上記(1)の走行条件とは異なる走行条件(図1の走行条件2)での接地面における、接地面に平行な方向の応力の分布を得る工程
及び
(3)上記(1)の工程で得られた応力と上記(2)の工程で得られた応力との差の分布を表示する工程
を備えている。
上記(1)の工程では、一つの走行条件でタイヤが走行するときの、このタイヤの接地面に生じるこの接地面に平行な方向の応力の分布が得られる。ここで走行条件とは、タイヤに負荷される縦荷重、タイヤの走行速度、スリップ角及びキャンバー角を指す。これらの値は、例えば、正規荷重が負荷されたタイヤが直進走行している状態を反映するように設定される。
この実施形態では、上記(1)の工程においては、タイヤを走行試験機で走行させることで、タイヤの接地面に生じる応力が測定される。図2には、この測定に使用される試験機2の一例が示されている。この試験機2は、タイヤ支持部4と、一対のドラム6と、ベルト8と、データ処理部10と表示部12とを備えている。これは、フラットベルト式のタイヤ走行試験機2である。この図には、接地状態が評価されるタイヤ14も併せて示されている。図3には、図2のIII−III線に沿った断面の一部が拡大されて示されている。この図には、タイヤ14の断面の一部及びベルト8の断面の一部が示されている。図3において、上下方向がタイヤ14の半径方向であり、左右方向がタイヤ14の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ14の周方向である。
タイヤ支持部4には、タイヤ14が回転可能に取り付けられる。タイヤ支持部4は、所望の荷重で、タイヤ14をベルト8の走行面16に接触させることができる。すなわち、タイヤ支持部4は、タイヤ14に所望の縦荷重を負荷することができる。タイヤ支持部4は、走行面16に対するタイヤ14の角度を変更することができる。これにより、所望のスリップ角及びキャンバー角を設定することができる。
一対のドラム6は、タイヤ支持部4の両側に位置している。これらのドラム6には、ベルト8が架け渡されている。ドラム6は所望の速度で回転することができる。これにより、ベルト8は所望の速度で旋回する。
ベルト8は、この走行試験機2の走行部を構成する。ベルト8の外面は、このベルト8の走行面16である。図3に示されるように、ベルト8には、その走行面16側に応力測定器18が埋め込まれている。複数の応力測定器18が、タイヤ14の幅方向に並列されている。応力測定器18の幅方向の長さ及び周方向の長さは、いずれも通常10mm以下である。それぞれの応力測定器18は、その上面にタイヤ14が接触したとき、タイヤ14から負荷される軸方向、周方向及び半径方向の力を測定することができる。これにより、タイヤ14の接地面に生ずる軸方向、周方向及び半径方向の応力が測定できる。応力測定器18は、測定した応力を蓄積して保持することができる。蓄積されたデータは、測定後にデータ処理部10に渡される。応力測定器18が無線通信機能を有しており、測定した応力を逐次データ処理部10に送信してもよい。
データ処理部10は、応力測定器18が測定した応力のデータに対して種々の処理を行いうる。例えば、複数の応力測定器18が測定した応力のデータから、接地面における応力分布を構成することができる。応力の値に対して、加減算をすることができる。データ処理部10は、処理後のデータを表示部12にて表示させることができる。
表示部12は、データ処理部10から送付されたデータを表示する。表示部12は、典型的にはモニターである。表示部12がプロジェクタ又はプリンタであってもよい。
上記(1)の工程では、上記の装置を使用して、以下の方法でタイヤ14の接地面における応力分布が得られる。
リムに装着され空気が充填されたタイヤ14が、走行試験機2のタイヤ支持部4に取り付けられる。このタイヤ14が、所望の縦荷重、スリップ角及びキャンバー角でベルト8の走行面16に接触される。ドラム6が回転してベルト8が所望の速度で旋回される。これにより、タイヤ14が、走行面16上を走行する。タイヤ14は、その赤道が所定の応力測定器18上を通過するように、走行される。例えば、タイヤ14の赤道が、中央に位置する応力測定器18上を通過するように、タイヤ14は走行される。
タイヤ14が応力測定器18上を通過したとき、応力測定器18は、タイヤ14から負荷される力を測定する。それぞれの応力測定器18は、その上にタイヤ14が接地し始めてから、その上からタイヤ14が離れるまでの間の、タイヤ14から負荷される力を測定して蓄える。タイヤ14から負荷された力の反対方向の力が、タイヤ14の接地面に生じている応力である。測定されたデータは、データ処理部10に送られる。データ処理部10では、それぞれの応力測定器18が測定した接地面に平行な方向の応力のデータから、応力分布のデータを形成する。これにより、例えば、軸方向の応力の分布が得られる。
図4は、得られた軸方向の応力の分布を表示部12で表示した例である。それぞれの応力測定器18で測定された応力が、時間順に縦方向に並べられている。タイヤ14は周方向に回転しているため、縦軸はトレッド面の周方向の位置に対応する。図4では、左の応力測定器18で測定された応力から順に、左から並べられて表示されている。従って、横軸は、トレッド面の軸方向の位置に対応する。すなわち、図4は、接地面での軸方向の応力の分布を示している。換言すれば、データ処理部10は、それぞれの応力測定器18が測定した応力を、図4で示される接地面での応力の分布となるように繋ぎ合わせている。
図4では色は分からないが、図2の装置で表示された画像では、応力の向きにより表示する色が異なっている。すなわち、図4の右向きに働く応力と左向きに働く応力とは、異なる色で表示されている。例えば、左向きの応力は青色で表示され、右向きの応力は赤色で表示される。色が濃い部分ほど、大きな応力が発生していることを示す。
なお、図4では、分かり易いように、矢印が付加されている。この矢印は、その矢印の位置における応力の方向と大きさを表す。例えば右向きの矢印は、その位置において図4の右方向に働く応力が発生していることを示す。左向きの矢印は、その位置において図4の左方向に働く応力が発生していることを示す。矢印の大きさは、応力の大きさに対応している。大きい矢印ほど、大きな応力が発生していることを示す。
上記(2)の工程では、上記(1)とは異なる走行条件でタイヤ14が走行するときの、このタイヤ14の接地面に生じるこの接地面に平行な方向の応力の分布が得られる。ここで走行条件は、例えば、タイヤ14が旋回走行している状態を反映するように設定される。
この実施形態では、上記(2)の工程では、上記(1)の工程で使用した走行試験機2を使用し、上記(1)の工程と同じ方法で、タイヤ14の接地面に生じる応力が測定される。タイヤ14を走行面16に接触させるときの縦荷重、スリップ角及びキャンバー角、タイヤ14を走行させるときの走行速度のいずれかまたは全てが、上記(1)の工程とは異なる値に設定される。図5は、得られた軸方向の応力分布を表示部12で表示した例である。
上記(3)の工程では、上記(1)の工程で得られた応力と上記(2)の工程で得られた応力との差の分布が得られ、この結果が表示される。それぞれの接地面の全面を対象として、この差は求められる。これは、以下の(3−1)、(3−2)及び(3−3)の手順で実施される。
(3−1) 上記(1)の工程で得られた応力分布の位置と、上記(2)の工程で得られた応力分布の位置との対応がとられる。同じ応力測定器18で測定された応力は、同じ横座標とされる。それぞれの接地面の周方向の中央の位置は、同じ縦座標とされる。
(3−2) 上記(1)の工程で得られた応力分布及び上記(2)の工程で得られた応力分布において、対応する位置での応力の差がとられる。対応する位置において、上記(2)の工程で得られた応力から上記(1)の工程で得られた応力が減じられる。ここでは、この差をとった結果の応力は、「差分応力」と称される。
この計算において、応力の正負は、その応力の向きを表す。例えば、左向きの応力が正の値とされ、右向きの応力が負の値とされる。差分応力が正の値のとき、これは、上記(1)の工程での走行状態から上記(2)の工程での走行状態に移行したとき、この位置において応力が左方向に大きくなるように変化したことを意味する。差分応力が負の値のとき、これは、応力が右方向に大きくなるように変化したことを意味する。上記(1)の工程での接地面の全面及び上記(2)の工程での接地面の全面に対して、差分応力が計算される。これにより、上記(1)で得た応力と上記(2)で得た応力との応力の差の分布、すなわち差分応力の分布が求められる。
なお、上記(3−2)の工程で差がとられるとき、それぞれの応力分布において、応力が測定されていない位置(接地しなかった位置)での応力は0とされる。いずれか一方のみが接地している位置では、その位置で接地していない方の当該位置における応力を0として、差分応力が計算される。
(3−3) 上記(3−2)で求めた応力の差の分布が表示される。差分応力の分布が表示される。このとき、表示範囲は、上記(1)の工程での接地面及び上記(2)の工程での接地面が包含される範囲に設定される。図6は、上記(3)の工程で得られた差分応力の分布の表示例である。この表示の方法は、図4で説明された応力の表示方法と同じである。すなわち、差分応力の向きにより、表示する色が異なっている。差分応力が左向きのときと、差分応力が右向きのときとは、異なる色で表示がされている。色が濃い部分ほど、差分応力が大きいことを示す。この図においても、分かり易いように、矢印が付加されている。矢印は、その矢印の位置における差分応力の方向と大きさを表す。
上記の実施形態では、上記(1)及び(2)の工程において、応力の分布はフラットベルト8式のタイヤ走行試験機2を用いて計測された。ドラム式のタイヤ走行試験機を用いて応力の分布を計測してもよい。この場合、ドラムが走行部となる。ドラムに、応力測定器が埋め込まれる。また、走行部と応力測定器とを備える専用の接地面応力測定装置を用いて、応力の分布を計測してもよい。
本発明における他の実施形態として、上記(1)及び(2)の工程において、応力の分布が、FEM(有限要素法)での計算によって求められてもよい。この方法では、それぞれの走行条件において、FEMによって、接地面での応力の分布が求められる。
本発明におけるさらに他の実施形態として、上記(1)及び(2)の工程において、タイヤ14を車両の左右の前輪の両方又は左右の後輪の両方に装着し、この車両を応力測定器が埋没された走行面上を走行させてもよい。この方法では、左側のタイヤ14及び右側のタイヤ14が、それぞれ並列された複数の応力測定器の上を走行する。この方法では、上記(1)の工程において、右側のタイヤ14及び左側のタイヤ14のそれぞれについて、接地面に発生する接地面に平行な方向の応力の分布が計測される。上記(2)の工程において、(1)の工程とは異なる走行条件において、右側のタイヤ14及び左側のタイヤ14のそれぞれについて、接地面に発生する接地面に平行な方向の応力の分布が計測される。
上記(3)の工程において、左側のタイヤ14及び右側のタイヤ14のそれぞれについて、上記(1)の工程で得た応力の分布と上記(2)の工程で得た応力の分布とから、差分応力の分布が求められる。この方法では、左右のタイヤ14のうちの一のタイヤ14について、差分応力の分布が、赤道を中心にして左右反転される。例えば、右側のタイヤ14について、差分応力の分布が、左右反転される。反転された差分応力の分布と、他方のタイヤ14の差分応力の分布との平均が求められる。すなわち、対応する位置における差分応力が平均される。この平均の分布が、上記(1)で得た応力と上記(2)で得た応力との差の分布として、表示される。なお、ここでは二つの差分応力が平均されたが、二つ差の差分応力の和を計算して表示させてもよい。これらは、応力の絶対値が異なるが、同等の差分応力の分布を示している。
以下、本発明の作用効果が説明される。
発明者らは、タイヤの性能を精度よく見積もるための接地状態の評価方法について検討した。その結果、これまで接地状態の評価で考慮されていなかった「接地面における接地面に平行な方向の応力の変化」が、タイヤの性能に影響を与えるトレッドの部分の特定のために、重要であることを見出した。例えば、直進から旋回に転じたとき、接地面に生じる旋回内側方向の応力の変化が、トレッドのうちの旋回性能に影響を与える部分の特定に重要となる。
本発明に係る評価方法では、一つの走行条件(所定の荷重、所定の速度、所定のスリップ角及び所定のキャンバー角)でタイヤ14が走行するときこの接地面に生じるこの接地面に平行な方向の応力の分布を得る工程、これと異なる走行条件でタイヤ14が走行するとき接地面に生じるこの接地面に平行な方向の応力の分布を得る工程、及びこれらの応力の差の分布を表示する工程を含む。この方法では、ある走行条件から別の走行条件に移行するときの、タイヤ14の接地面での応力の変化が容易に確認できる。この方法では、タイヤ14の性能に影響を与えるトレッドの部分が、精度良く特定できる。これは、精度の良いタイヤ14性能の見積もりに寄与しうる。
なお、通常のタイヤでは、そのプロファイルや方向性を持ったベルトの影響等により、直進時においても、タイヤの接地面には軸方向の応力が生じている。従来のように、特定の走行条件(例えば旋回の走行条件)における接地面の応力を計測するだけでは、直進からこの走行条件での走行に転じる場合においても、軸方向の応力の変化を得ることはできない。例えば直進から旋回に転じる場合の軸方向の応力の変化を得る場合においても、それぞれの走行条件での応力の分布を得る工程及びこれらの応力の差の分布を得る工程が必要である。
上記の(1)から(3)の工程で、その分布が測定され差分応力が表示されるのは、軸方向の応力又は周方向の応力であるのが好ましい。軸方向又は周方向の応力の差の分布は、特に操縦安定性に大きく影響を与えうる。このようにすることで、精度のよいタイヤ14の操縦安定性の見積もりが実現されうる。さらに軸方向の差分応力の分布又は周方向の差分応力の表示においては、差分応力の向きにより、表示する色が異なっているのが好ましい。このようにすることで、容易に応力の変化の方向が確認できる。
上記(3)の工程における表示では、前述のとおり、上記(1)の工程で得られた応力分布と上記(2)の工程で得られた応力分布において、応力が測定されていない位置(接地しなかった位置)での応力は0とされて、上記(3)の工程において差が計算されるのが好ましい。このようにすることで、いずれかの走行状態でのみ接地している位置においても、応力の変化が確認できる。
上記(3)の工程における表示では、前述のとおり、表示範囲は、上記(1)の工程での接地面及び上記(2)の工程での接地面が包含される範囲に設定されるのが好ましい。このようにすることで、いずれかの走行状態でのみ接地している位置においても、応力の変化が確認できる。
図3において、両矢印Pは、並列された応力測定装置間のピッチである。ピッチPは、10mm以下が好ましい。ピッチPを10mm以下とすることで、精度良く接地面の応力の分布が計測される。この観点から、ピッチPは8mm以下がより好ましい。
なお、本明細書において正規リムとは、タイヤ14が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規荷重とは、タイヤ14が依拠する規格において定められた荷重を意味する。JATMA規格における「最高負荷能力」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITSAT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「LOAD CAPACITY」は、正規荷重である。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例]
図1に示された方法でタイヤの接地状態の評価を実施した。評価に使用したタイヤのサイズは、205/65R15である。このタイヤには、溝が刻まれていない。このタイヤは正規リムに装着され、その内圧が220kPaとなるように空気が充填された。
上記(1)の工程では、図2に示された走行試験機が使用された。この試験機の走行部には、19個の応力測定器18が、7.5mmピッチで軸方向に並列されて埋め込まれている。上記のタイヤが、この走行試験機に取り付けられた。タイヤが以下の走行条件で走行された。
縦荷重:4.2kN
走行速度:20km/h
スリップ角:0.06°
キャンバー角:0.90°
これは、直進走行の走行条件である。この走行条件で、接地面の軸方向の応力の分布が測定された。前述の図4は、これにより測定された応力の分布である。
上記(2)の工程では、上記(1)の工程と同じ走行試験機が使用された。上記のタイヤが、この走行試験機に取り付けられた。タイヤが以下の走行条件で走行された。
縦荷重:3.6kN
走行速度:20km/h
スリップ角:0.64°
キャンバー角:1.73°
これは、左旋回をしているときの走行条件である。この走行では、Gが重力加速度とされたとき、接地面には、全体として(縦荷重×0.2G)の左方向(旋回内側方向)の応力が生じている。この走行条件における接地面の軸方向の応力分布が測定された。前述の図5は、これにより測定された応力の分布である。
上記(3)の工程では、上記(1)の工程での応力分布と、上記(2)の工程での応力分布との差が計算され、表示された。対応する位置において、上記(2)の工程での応力から、上記(1)の工程での応力が減ぜられた。前述の図6は、これにより計算された応力の差の分布である。この図6の分布からタイヤの接地状態が評価された。
[比較例]
特定の一つの走行条件における接地面での応力分布から、その走行条件でのタイヤの接地状態を評価する方法が、比較例である。この比較例では、図5の分布から、タイヤの接地状態が評価された。
[旋回性能に影響を与えるトレッドの部分の特定]
実施例の結果(図6)を見ると、直進走行から左旋回したときに、接地面の中央付近で左向きの応力の変化が大きくなっている。トレッドのクラウン部が、左旋回に最も大きく寄与していると判断される。トレッドのクラウン部が、最も大きく旋回性能に影響を与えていると判断される。接地面の右側(旋回外側)も左向きの応力の変化があり、トレッドの旋回外側部分も旋回に寄与していると判断される。接地面の左側(旋回内側)は右向きに応力が変化しており、トレッドの旋回内側部分は、旋回性能に与える影響が小さいと判断される。
比較例の結果(図5)では、最も大きな左向きの応力が生じているのは、接地面の左側(旋回内側)である。この結果からは、トレッドの旋回内側部分が、最も大きく旋回性能に影響を与えると判断される。この結果では、接地面の中央近辺で生じた左向きの応力は小さい。クラウン部が旋回性能に影響を与える影響は大きくないと判断される。さらに、接地面の右側には右向きの応力が働いており、トレッドの旋回外側部分が、ほとんど旋回性能に影響を与えないと判断される。
上記のとおり、本接地状態の評価方法では、トレッドのうち旋回性能に影響を与える部分が精度良く特定できている。この方法では、タイヤの性能に影響を与えるトレッドの部分が、精度良く特定できている。この結果から、本評価方法の優位性は明らかである。
以上説明された方法は、種々のタイヤの接地状態の評価に用いられうる。
2・・・走行試験機
4・・・タイヤ支持部
6・・・ドラム
8・・・ベルト
10・・・データ処理部
12・・・表示部
14・・・タイヤ
16・・・走行面
18・・・タイヤ支持部

Claims (8)

  1. (1)所定の荷重、所定の速度、所定のスリップ角及び所定のキャンバー角でタイヤが走行するときの、このタイヤの接地面に生じるこの接地面に平行な方向の応力の分布を得る工程、
    (2)荷重、速度、スリップ角及びキャンバー角のうちの少なくとも一つが上記(1)の工程とは異なる上記タイヤが走行するときの、このタイヤの接地面に生じるこの接地面に平行な方向の応力の分布を得る工程
    及び
    (3)上記(1)で得た応力と上記(2)で得た応力との差の分布を表示する工程
    を含むタイヤの評価方法。
  2. 上記(1)の工程での接地面及び上記(2)の工程での接地面において、いずれか一方のみが接地している位置では、その位置で接地していない方の当該位置における応力を0として、上記(3)の工程において応力の差が求められる請求項1に記載の評価方法。
  3. 上記(3)の工程においては、上記(1)の工程での接地面及び上記(2)の工程での接地面が包含される範囲に、表示範囲が設定される請求項1又は2に記載の評価方法。
  4. 上記接地面に平行な応力が、軸方向の応力又は周方向の応力である請求項1から3のいずれかに記載の評価方法。
  5. 上記(3)の工程での差の分布の表示においては、この差より得られた応力の向きにより、表示する色が異なる請求項4に記載の評価方法。
  6. 上記(1)及び(2)の工程においては、走行部及び応力測定器を備える走行試験機を使用し、
    上記応力測定器が上記走行部に埋没されており、
    上記タイヤをこの走行部上で走行させることで、接地面に生じる接地面に平行な方向の応力が計測される請求項1から5のいずれかに記載の評価方法。
  7. 上記(1)及び(2)の工程においては、有限要素法での計算により、接地面に生じるこの接地面に平行な方向の応力が得られる請求項1から5のいずれかに記載の評価方法。
  8. 上記(1)及び(2)の工程においては、上記タイヤを車両の左右の前輪の両方又は左右の後輪の両方に装着し、この車両を応力測定器が埋没された走行面上を走行させることでこれら左右のタイヤについて接地面に生じる接地面に平行な方向の応力を計測し、
    上記(3)の工程においては、左側のタイヤ及び右側のタイヤのそれぞれについて、上記(1)で得た応力と上記(2)で得た応力との差の分布を求め、
    上記左右のタイヤのうちの一方のタイヤについて得られた応力の差の分布を左右反転させ、他方のタイヤの応力の差の分布との平均を求め、この結果が表示される請求項1から5のいずれかに記載の評価方法。
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