JP6922244B2 - 半導体物理量センサ装置の製造方法および半導体物理量センサ装置の試験方法 - Google Patents

半導体物理量センサ装置の製造方法および半導体物理量センサ装置の試験方法 Download PDF

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Description

この発明は、半導体物理量センサ装置の製造方法および半導体物理量センサ装置の試験方法に関する。
自動車や産業用機器には多数の半導体物理量センサ装置が用いられている。例えば、自動車用の半導体圧力センサ装置では、一般にセンサ素子としてピエゾ抵抗効果を利用した半導体圧力センサチップが用いられる。半導体圧力センサ装置は、単結晶シリコン(Si)など、ピエゾ抵抗効果を有する材料からなるダイアフラムに複数の半導体歪ゲージを形成し、これらの半導体歪ゲージをブリッジ接続した構成となっている。この半導体圧力センサ装置は、圧力変化に応じたダイアフラムの変形により半導体歪ゲージのゲージ抵抗が変化し、その変化量をブリッジ回路から電圧信号として取り出すことにより、圧力を検出する。
半導体圧力センサ装置は、半導体圧力センサユニットを収納容器本体に形成された凹状のセンサ搭載部に収納した構成となっている。半導体圧力センサユニットは、半導体圧力センサチップをガラス台座の一方の面に接合した構造を備え、ガラス台座の他方の面が収納容器本体のセンサ搭載部の底面に接着されることで当該センサ搭載部に収納されている。また、半導体圧力センサユニットは、収納容器本体の内部に充填されたゲル状保護材で被覆され、被測定圧力媒体に含まれる汚染物質などの付着物から保護されている(例えば、下記特許文献1(第0003〜0005段落、第5図)参照。)。
また、別の半導体圧力センサ装置として、複数の保護材のうち、少なくとも、センサチップの圧力受圧面に接する第1保護材に含まれるフリーオイルの量よりも、この第1保護材に接する第2保護材に含まれるフリーオイルの量を多くした装置が提案されている(例えば、下記特許文献2(第0008,00045段落)参照。)。下記特許文献2では、第1,2保護材層間において第1,2保護材層に含まれる硬化防止のためのフリーオイルに濃度勾配を設けて、第2保護材層を第1保護材層のオイル供給源とすることで、第1保護材層のオイル混合量が減少することを防止している。
また、別の半導体圧力センサ装置として、少なくともターミナルの上部をフッ素接着剤で被覆し、フッ素接着剤、センサチップおよびボンディングワイヤのすべてが埋没するように、収納容器本体の内部にフッ素系接着剤と同種のフッ素系ゲルを充填した装置が提案されている(例えば、下記特許文献3参照。)。下記特許文献3では、ターミナルの上部をフッ素系接着剤で被覆することで、ガソリン蒸気、水蒸気、酸性排気ガス等の雰囲気の悪影響を受けにくくしている。また、温度変化や圧力変化を受ける状況下に置かれても、封止剤中に気泡の発生やクラック発生を防止して耐久寿命を向上させている。
特許第5884921号公報 特許第4893529号公報 特開2001−099737号公報
従来の半導体圧力センサ装置では、半導体圧力センサユニットと収納容器本体とを接着する接着剤層と、半導体圧力センサユニットを保護するゲル状保護材層と、が接触する構成となる場合がある。この場合、ゲル状保護材層に含まれるフリーオイル(無官能のオイル)が接着剤層へ拡散し、接着剤層は当該拡散したフリーオイルを吸収して膨潤することがある。
このフリーオイルの拡散により、接着剤層およびゲル状保護材層の弾性率、針入度および硬度などの物性が経時的に変化することが想定される。これによって、半導体圧力センサユニットの周辺部材間の応力バランスが初期状態から変化し、半導体圧力センサ装置の圧力検知精度に悪影響をもたらす虞がある。この問題は、当該半導体圧力センサ装置と同じ構成を備えた他の半導体物理量センサ装置にも同様に生じる。
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、物理量出力特性が初期状態から変動することを抑制することができる半導体物理量センサ装置の製造方法および半導体物理量センサ装置の試験方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる半導体物理量センサ装置の製造方法は、次の特徴を有する。まず、物理量を電気信号に変換するセンサチップを有するセンサユニットを、フリーオイルを含む接着剤層を介して樹脂ケースの内部に接合して収納する第1工程を行う。次に、前記接着剤層を構成する材料と同系統のゲル材料からなり、かつフリーオイルを含む保護材層を、前記樹脂ケースの内部に充填して当該保護材層で前記センサユニットを覆う第2工程を行う。次に、前記第2工程の後、前記センサチップの出力特性を調整する第3工程を行う。
また、この発明にかかる半導体物理量センサ装置の製造方法は、上述した発明において、前記第2工程では、前記接着剤層と同じフリーオイル濃度を有する前記保護材層を前記樹脂ケースの内部に充填することを特徴とする。
また、上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる半導体物理量センサ装置の製造方法は、次の特徴を有する。まず、物理量を電気信号に変換するセンサチップを有するセンサユニットを、フリーオイルを含む接着剤層を介して樹脂ケースの内部に接合して収納する第1工程を行う。次に、前記接着剤層を構成する材料と同系統のゲル材料からなり、かつフリーオイルを含む保護材層を、前記樹脂ケースの内部に充填して当該保護材層で前記センサユニットを覆う第2工程を行う。次に、前記センサチップの出力特性を調整する第3工程を行う。前記第2工程の後、前記第3工程の前に、前記接着剤層と前記保護材層との間において前記保護材層から前記接着剤層へフリーオイルを拡散させて、前記接着剤層と前記保護材層とのフリーオイル濃度差を前記第2工程の終了後の時点よりも小さくする第4工程を行う。予め取得した半導体物理量センサ装置を放置する時間に対応する半導体物理量センサ装置の出力変動量から、半導体物理量センサ装置の1時間ごとの出力変動量の差分を取得する。半導体物理量センサ装置の出力変動量の前記差分が1%以下となった時点の出力変動量を100%とする。前記第4工程では、半導体物理量センサ装置の出力変動量が100%未満となる所定時間で放置する。
また、この発明にかかる半導体物理量センサ装置の製造方法は、上述した発明において、前記第4工程では、予め求めた半導体物理量センサ装置の出力変動量、前記第2工程の終了後の時点から50%以上増大させる所定温度および前記所定時間放置することを特徴とする。
また、この発明にかかる半導体物理量センサ装置の製造方法は、上述した発明において、前記第4工程では、予め求めた半導体物理量センサ装置の出力変動量、前記第2工程の終了後の時点から90%以上増大させる所定温度および前記所定時間放置することを特徴とする。
また、この発明にかかる半導体物理量センサ装置の製造方法は、上述した発明において、予め取得した半導体物理量センサ装置を放置する時間に対応する前記接着剤層の重量増大率が100%になるときの設定経過時間を予め取得し、前記第4工程では、前記所定時間で放置して前記接着剤層の重量増大を前記第2工程の終了後の時点よりも増大させて、前記所定時間が前記設定経過時間になったことをもって前記接着剤層と前記保護材層とフリーオイル濃度同じになったとみなすことを特徴とする。
また、この発明にかかる半導体物理量センサ装置の製造方法は、上述した発明において、前記第4工程では、前記樹脂ケースに収納され前記保護材層で覆われた前記センサユニットを、所定温度の雰囲気で前記所定時間放置することを特徴とする。
また、この発明にかかる半導体物理量センサ装置の製造方法は、上述した発明において、前記所定温度は、室温であることを特徴とする。
また、この発明にかかる半導体物理量センサ装置の製造方法は、上述した発明において、前記所定温度は、130℃以上であることを特徴とする。
また、この発明にかかる半導体物理量センサ装置の製造方法は、上述した発明において、前記所定温度は、前記物理量を受ける環境の温度以上の雰囲気であることを特徴とする。
また、この発明にかかる半導体物理量センサ装置の製造方法は、上述した発明において、前記第4工程では、まず、予め所定温度において、前記センサユニットの放置時間に対する前記接着剤層の重量増大率を予め取得する第1取得工程を行う。次に、前記第1取得工程の結果に基づいて、前記接着剤層の重量増大が飽和したときの重量増大率を飽和値MSと規定し、前記センサチップの出力変動量が前記第2工程の終了後の時点からY%になるまでの前記接着剤層の重量増大率を、前記飽和値MSを基準とした割合(=MS×Z、Z<1)で取得する第2取得工程を行う。次に、前記第4工程では、前記第2取得工程の結果に基づいて、前記第1取得工程により得られた放置時間を前記所定時間とすることを特徴とする。
また、この発明にかかる半導体物理量センサ装置の製造方法は、上述した発明において、前記第2取得工程では、150℃で500時間加熱後の前記接着剤層の重量増大率を前記飽和値MSと規定することを特徴とする。
また、上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる半導体物理量センサ装置の試験方法は、センサユニット、樹脂ケースおよび保護材層を備えた半導体物理量センサ装置の試験方法であって、次の特徴を有する。前記センサユニットは、物理量を電気信号に変換するセンサチップを有する。前記樹脂ケースは、接着剤層を介して前記センサユニットを内部に接合して収納する。前記接着剤層は、フリーオイルを含む。前記保護材層は、前記樹脂ケースの内部に充填されて前記センサユニットを覆う。前記保護材層は、前記接着剤層を構成する材料と同系統のゲル材料からなり、前記接着剤層と異なる濃度でフリーオイルを含む。前記保護材層は、前記接着剤層に接触している。まず、前記樹脂ケースに収納され前記保護材層で覆われた前記センサユニットを所定温度の雰囲気で所定時間放置して、前記接着剤層と前記保護材層との間において前記接着剤層へ前記保護材層からフリーオイルを拡散させ、放置時間に対する前記接着剤層の重量増大率を取得する第1取得工程を行う。次に、前記第1取得工程の結果に基づいて、前記接着剤層の重量増大が飽和したときの重量増大率を飽和値MSと規定し、前記センサチップの出力変動量が初期状態からY%になるまでの前記接着剤層の重量増大率を、前記飽和値MSを基準とした割合(=MS×Z、Z<1)で取得する第2取得工程を行う。前記第2取得工程では、100%未満となる前記接着剤層の重量増大率を取得する。
また、この発明にかかる半導体物理量センサ装置の試験方法は、上述した発明において、前記第2取得工程では、150℃で500時間加熱後の前記接着剤層の重量増大率を前記飽和値MSと規定することを特徴とする。
上述した発明によれば、接着剤層と保護材層との間でのフリーオイルの単位時間当たりの拡散量を低減することができる。このため、フリーオイルの拡散により、接着剤層および保護材層の弾性率、針入度および硬度などの物性が経時的に変化することを抑制することができる。
本発明にかかる半導体物理量センサ装置の製造方法および半導体物理量センサ装置の試験方法によれば、物理量出力特性が初期状態から変動することを抑制することができ、物理量検知精度を向上させることができるという効果を奏する。
一般的な半導体物理量センサ装置の構造を示す断面図である。 図1の半導体物理量センサ装置を上方から見たレイアウトを示す平面図である。 実施の形態にかかる半導体物理量センサ装置の製造方法の概要を示すフローチャートである。 実施例1の検証に用いた試験片を模式的に示す断面図である。 実施例1の接着剤層の重量変化率の時間依存性を示す特性図である。 実施例1の接着剤層の重量変化率のフリーオイル配合比率依存性を示す特性図である。 実施例1の接着剤層の重量変化率の温度依存性を示す特性図である。 実施例1の接着剤層の重量変化率の温度依存性を示す特性図である。 実施例2の半導体物理量センサ装置の出力変動量の時間依存性を示す特性図である。 実施例3の接着剤層の重量変化率の時間依存性を示す特性図である。 図9の経過時間初期の特性を拡大して示す特性図である。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる半導体物理量センサ装置の製造方法および半導体物理量センサ装置の試験方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
(実施の形態)
実施の形態にかかる半導体物理量センサ装置の構成について説明する。図1は、一般的な半導体物理量センサ装置の構造を示す断面図である。図2は、図1の半導体物理量センサ装置を上方から見たレイアウトを示す平面図である。図1に示す半導体物理量センサ装置は、樹脂ケース1、センサ搭載部2、外部導出用のリード端子(リードフレーム)3、ボンディングワイヤ4、ゲル状保護材層5およびセンサユニット10を備えた一般的な構成の例えば半導体圧力センサ装置である。センサユニット10は、半導体センサチップ11および台座部材12を備える。
樹脂ケース1は、センサユニット10を収納する収納容器本体であり、内部にセンサユニット10を収納する凹状のセンサ搭載部2を有する。樹脂ケース1には、複数のリード端子3が一体的にインサート成形されている。リード端子3の一方の端部は樹脂ケース1の内部に露出され、他方の端部は樹脂ケース1の外側に露出されている。センサユニット10は、半導体センサチップ11が台座部材12の一方の面に接合されてなり、接着剤層13を介して台座部材12の他方の面がセンサ搭載部2の底面にダイボンディング(固着)されている。
半導体センサチップ11は、圧力によって撓む感圧部(ダイアフラム)11aと、抵抗ブリッジ(不図示)と、抵抗ブリッジの出力を増幅および補正する回路部(不図示)と、を備える。ダイアフラム11aは、半導体センサチップ11の裏面の例えば中央部に設けた凹部11bにより薄板化された部分である。抵抗ブリッジは、ピエゾ抵抗効果を有する材料(例えばイオン注入等によりダイアフラム11aに形成した拡散領域)で形成された複数の半導体歪ゲージをブリッジ接続したブリッジ回路である。なお、回路部は半導体センサチップ11に集積しなくてもよい。この場合、別の半導体チップ(不図示)に形成し、複数のリード端子3により半導体センサチップ11と電気的に接続する。
半導体センサチップ11は、ダイアフラム11aを配置した部分に形成された凹部11bを台座部材12で塞ぐように、台座部材12の一方の面に例えば静電接合(陽極接合)されている。台座部材12は、例えば耐熱ガラスでできている。台座部材12の他方の面は、樹脂ケース1のセンサ搭載部2の底面に接着剤層13を介してダイボンディングされている。接着剤層13は、フリーオイルを含む高分子材料からなる。フリーオイルは、弾性率、針入度および硬度などの物性を調整するための添加剤である。接着剤層13は、例えば、耐薬品性の高いフッ素系接着剤であってもよい。
半導体センサチップ11のおもて面上の電極パッド6(図2参照)は、ボンディングワイヤ4を介してリード端子3に電気的に接続されている。半導体センサチップ11、リード端子3の樹脂ケース1の内部に露出された部分、およびボンディングワイヤ4は、ゲル状保護材層5に埋設され、ゲル状保護材層5により被測定圧力媒体に含まれる汚染物質などの付着から保護されている。ゲル状保護材層5は、凹状のセンサ搭載部2を埋め込むように、樹脂ケース1の内部に充填され、接着剤層13の側面13aに接触している。ゲル状保護材層5は、センサユニット10に圧力を伝達する圧力媒体である。
ゲル状保護材層5は、フリーオイルを含むゲルからなる。また、本発明においては、ゲル状保護材層5は、接着剤層13と同系統の材料からなる。本発明において同系統の材料とは、構成する成分の主鎖が同じ材料である。かつ、ゲル状保護材層5と接着剤層13とのフリーオイル濃度差は、半導体圧力センサ装置の出力特性を調整する前に予め可能な限り小さく設定される。好ましくは、ゲル状保護材層5のフリーオイル濃度および接着剤層13のフリーオイル濃度は、半導体圧力センサ装置の出力特性を調整する前に予め同程度に設定されることがよい。例えば、組立工程時に、フリーオイル濃度差の小さいまたはほぼ同じゲル状保護材層5および接着剤層13を形成してもよい。ゲル状保護材層5と接着剤層13とのフリーオイル濃度差が小さいほど、ゲル状保護材層5と接着剤層13との間でのフリーオイルの単位時間当たりの拡散量を低減することができ、圧力センサ装置の出力特性の経時的変化を抑制することができる。
ゲル状保護材層5と接着剤層13との間でのフリーオイルの拡散が抑制されることで、拡散したフリーオイルを吸収して接着剤層13が膨潤することが抑制される。このため、この膨潤現象により接着剤層13およびゲル状保護材層5の物性が経時的に変化することを防止することができ、半導体圧力センサ装置の圧力検知精度を向上させることができる。ゲル状保護材層5と接着剤層13とのフリーオイル濃度差を小さくするには、例えば、ゲル状保護材層5と同程度のフリーオイル濃度となるようにフリーオイルを配合した接着剤を用いてセンサユニット10と樹脂ケース1とを接着する。
さらに、フリーオイル濃度の異なるゲル状保護材と接着剤を用いて、半導体圧力センサ装置を組立工程後、半導体圧力センサ装置の出力特性調整前に、ゲル状保護材層5と接着剤層13との間でフリーオイルの拡散を予め進行させることで、ゲル状保護材層5と接着剤層13とのフリーオイル濃度差を小さくしてもよい。この拡散現象は、接着剤層13およびゲル状保護材層5の重量変化が飽和する(膨潤した部材の重量増大率を100%にする)程度に進行させることが好ましいが、この拡散現象による重量変化が半導体圧力センサ装置の出力特性調整前に初期状態(重量変化率=0%)から少しでも進行していれば、接着剤層13にフリーオイルを含まない構成の従来構造よりも半導体圧力センサ装置の出力特性変動を抑制することができる。
この拡散現象において、ゲル状保護材層5および接着剤層13のうち、相対的にフリーオイル濃度の低い接着剤層13は、ゲル状保護材層5から拡散したフリーオイルを吸収して膨潤する。このため、当該相対的にフリーオイル濃度の低い接着剤層13の重量は、急速に増大した後、緩やかに増大して飽和しほぼ変化しなくなる。ゲル状保護材層5のフリーオイルは、接着剤層13へ拡散される。このため、ゲル状保護材層5の重量は、急速に減少した後、緩やかに減少して飽和しほぼ変化しなくなる。
このようにゲル状保護材層5と接着剤層13との間でフリーオイルの拡散による重量変化が生じる。このため、半導体圧力センサ装置の出力特性調整前に、ゲル状保護材層5および接着剤層13の重量変化が急速に進行する期間を経過させて、ゲル状保護材層5と接着剤層13とのフリーオイル濃度差を小さくすることが好ましい。例えば、接着剤層13の重量増大率は、半導体圧力センサ装置の出力特性調整前に初期状態(=0%)から少なくとも50%以上にすることがよく、好ましくは90%以上にすることがよい。
図2に示すように、センサユニット10および接着剤層13は、例えば、略同一寸法の略矩形状の平面形状を有する。樹脂ケース1のセンサ搭載部2は、センサユニット10を収納可能な程度にセンサユニット10よりも一回り大きい寸法の例えば略矩形状の平面形状を有する。ゲル状保護材層5(ハッチング部分)は、半導体センサチップ11のおもて面を覆うとともに、センサ搭載部2の側壁2aとセンサユニット10の側面10aとの間に充填され、センサユニット10の側面10aおよび接着剤層13の側面13aに接触している。すなわち、ゲル状保護材層5は、例えば略矩形状の平板状の接着剤層13の4辺に相当する側面13aに接触している。
この図1に示す半導体圧力センサ装置において、樹脂ケース1のゲル状保護材層5側の空間部分が圧力検出部であり、ゲル状保護材層5の表面に被測定圧力媒体が接触して、半導体センサチップ11に圧力が印加される。圧力変化に応じたダイアフラム11aの変形により、半導体歪ゲージが変形して半導体歪ゲージのゲージ抵抗が変化し、このゲージ抵抗の変化量をブリッジ回路から電圧信号として取り出すことで圧力が検出される。上述したように、半導体圧力センサ装置の出力特性調整前に、ゲル状保護材層5と接着剤層13とのフリーオイル濃度差が予め調整されるため、ゲル状保護材層5と接着剤層13とが接触していても、出力特性調整後の半導体圧力センサ装置の出力特性変動は小さい。
次に、実施の形態にかかる半導体物理量センサ装置の製造方法について説明する。図3は、実施の形態にかかる半導体物理量センサ装置の製造方法の概要を示すフローチャートである。まず、半導体ウエハ(不図示)のおもて面の、個々の半導体センサチップ11となる各領域に、それぞれ抵抗ブリッジや当該抵抗ブリッジの出力を増幅および補正する回路部等の集積回路(IC:Integrated Circuit)を形成する(ステップS1)。次に、半導体ウエハの裏面を研磨する(ステップS2)。
次に、半導体ウエハの裏面の、個々の半導体センサチップ11となる各領域にそれぞれウエハ裏面から所定深さの凹部11bを形成することで、半導体センサチップ11となる各領域の一部をそれぞれ薄板化してダイアフラム11aを形成する(ステップS3)。次に、台座部材12となる例えばガラスウエハ(不図示)を半導体ウエハの凹部11bを塞ぐように配置し、当該ガラスウエハの一方の面に、半導体ウエハの裏面を接合(静電接合)する(ステップS4)。
次に、ガラスウエハに静電接合した状態の半導体ウエハに対して、一般的な電気特性試験を行う(ステップS5)。次に、半導体ウエハをガラスウエハごとダイシング(切断)して個々の半導体センサチップ11に個片化する(ステップS6)。このステップS1〜S6までの処理により、台座部材12の一方の面に半導体センサチップ11を静電接合したセンサユニット10が作製される。次に、センサユニット10の外観検査を行う(ステップS7)。
次に、センサユニット10の台座部材12の他方の面を、接着剤層13により樹脂ケース1のセンサ搭載部2の底面にダイボンディングする(ステップS8)。次に、ワイヤボンディングにより、半導体センサチップ11のおもて面の電極パッド6と、樹脂ケース1に一体成形されたリード端子3と、をボンディングワイヤ4で電気的に接続する(ステップS9)。ステップS8の処理とステップS9の処理とは、自動搬送による連続処理が可能である。
次に、樹脂ケース1の内部にゲル状保護材を塗布して、ゲル状保護材の内部にセンサユニット10、リード端子3およびボンディングワイヤ4を埋設する(ステップS10)。次に、熱処理(キュア)により、ゲル状保護材を硬化することでゲル状保護材層5を形成する(ステップS11)。ステップS11までの処理で、実施の形態にかかる半導体圧力センサ装置の組立工程が終了する。次に、センサユニット10に温度および電圧の負荷をかけて初期不良チップを選別して取り除くバーンイン試験を行う(ステップS12)。
次に、ゲル状保護材層5のフリーオイル濃度と接着剤層13のフリーオイル濃度とが異なる場合、ゲル状保護材層5と接着剤層13との間で生じるフリーオイルの拡散を進行させて、ゲル状保護材層5と接着剤層13とのフリーオイル濃度差を小さくする(ステップS13)。ステップS13の処理においては、例えば、室温(例えば25℃程度)または高温(例えば実使用時の半導体圧力センサ装置の周囲の環境の温度)の雰囲気中でセンサユニット10を所定時間保管することで、ゲル状保護材層5と接着剤層13との間でフリーオイルの拡散を進行させる。
実使用時の半導体圧力センサ装置の周囲の環境の温度とは、例えば半導体圧力センサ装置を自動車のエンジンの排気系部品として用いる場合、自動車の排気ガスの温度である130℃〜150℃程度であってもよい。ゲル状保護材層5のフリーオイル濃度と接着剤層13のフリーオイル濃度とが異なる場合に、半導体物理量センサ装置に与える熱履歴条件を決定する方法や、ゲル状保護材層5と接着剤層13とのフリーオイル配合比率については後述する。
ステップS13の処理は、ステップS11の処理の後、ステップS12の処理の前に行ってもよい。また、ステップS13の処理はステップS12の処理と同時に行ってもよい。すでにゲル状保護材層5のフリーオイル濃度と接着剤層13のフリーオイル濃度とがほぼ同じ場合には、ステップS13の処理を省略して、ステップS14の処理へ進む。
次に、半導体圧力センサ装置の所定の出力特性が得られるトリミングデータに調整してから当該トリミングデータをEPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)等のメモリに書き込む(ステップS14)。ステップS14の処理においては、ステップS13の処理後の半導体圧力センサ装置の出力変動量(ゲル状保護材層5および接着剤層13の重量変化率)を基準(=0)として出力特性を調整することができる。
なお、ステップS12をステップS14の後に行うこともできる。この場合、ステップS13は、ステップS11終了後、ステップS14を行う前に行う。よって、ステップS11終了後、ステップS14を行う前に、所定温度で所定時間放置する必要がある。
次に、半導体圧力センサ装置の周囲の温度変化に対する出力特性試験(温度特性試験)を行う(ステップS15)。ステップS14の処理とステップS15の処理とは、自動搬送による連続処理が可能である。次に、半導体圧力センサ装置の周囲の気圧変動に対する出力特性検査(大気圧出力検査)を行う(ステップS16)。次に、半導体圧力センサ装置の最終的な外観検査を行うことで(ステップS17)、半導体圧力センサ装置が完成する。
(実施例1)
次に、ゲル状保護材層5および接着剤層13の重量変化率の時間依存性および温度依存性について検証した。図4は、実施例1の検証に用いた試験片を模式的に示す断面図である。図4に示すように、硬化済みの接着剤片21の両面(両平板面)それぞれを覆うように硬化済みのゲル状保護材シート22を接触させた状態の試験片20について、接着剤片21の重量変化を検証した。接着剤片21は、薄板状で略矩形状の平面形状を有する。ゲル状保護材シート22は、シート状で略矩形状の平面形状を有する。接着剤片21およびゲル状保護材シート22は、それぞれ図1の接着剤層13およびゲル状保護材層5に相当する。試験片20は、図1において接着剤層13の対向する2辺に相当する側面をゲル状保護材層5で覆った状態に相当する。
まず、接着剤片21およびゲル状保護材シート22の材料について検証した。試験片20について、接着剤片21とゲル状保護材シート22とが同じ系統の材料で構成されている場合の、接着剤片21の重量変化率を図5に示す(ゲル−接着剤:同種)。この試験片20は、接着剤片21およびゲル状保護材シート22ともに主鎖中にパーフルオロポリエーテル構造を有するフッ素系化合物(合成高分子化合物)とした。フッ素系化合物としては、例えば、信越化学工業株式会社製SIFEL(登録商標)を用いることができる。また、比較として、試験片20について、接着剤片21とゲル状保護材シート22とが異なる系統の材料で構成されている場合の、接着剤片21の重量変化率も示す(ゲル−接着剤:異種)。この試験片20は、接着剤片21をフッ素系接着剤として、ゲル状保護材シート22をシリコーンとした。半導体物量センサ装置においてゲル状保護材層5の重量が接着剤層13の重量に比べて十分大きい場合、ゲル状保護材層5は接着剤層13に対してフリーオイルの無限供給源であると考えられる。試験片20においても無限供給源を実現するために、ゲル状保護材シート22の厚さは接着剤片21の10倍以上とすることが望ましい。また、接着剤片21の厚さを変えた場合の試験片20を複数作成し、接着剤片21の重量変化率の接着剤片厚さ依存性から、各接着剤片厚さにおける所定の重量変化率に達するまでの時間を取得する。前記取得データを用いて、半導体物理量センサ装置の接着剤層13の平面形状において、その中心を通り2つの端部を結ぶ直線の最短距離における接着剤の重量変化率の時間依存性を取得する(図5)。
図5は、実施例1の接着剤の重量変化率の時間依存性を示す特性図である。図5の横軸は、接着剤片21とゲル状保護材シート22とを接触させた時点(経過時間=0h:初期状態)から、試験片20を放置した経過時間(h:hour)である。図5の縦軸は、ゲル状保護材シート22のフリーオイル濃度が接着剤片21のフリーオイル濃度よりも高い場合における接着剤片21の重量変化率(%)である。図5の縦軸は、重量変化率=0%を境に上側が重量増大を示し、下側が重量減少を示している(図6,7A,7Bの横軸・縦軸も図5と同様)。すなわち、重量変化率=0%とは、ゲル状保護材シート22と接触させる前の接着剤片21を示している。試験片20の周囲の温度は150℃とした。
図5に示す結果より、接着剤片21とゲル状保護材シート22とが同じ系統の材料で構成されている場合、時間経過に伴ってフリーオイルの拡散による膨潤が生じ、相対的にフリーオイル濃度の低い部材の重量が増大することが確認された。ここでは、接着剤片21が膨潤して、接着剤片21の重量が増大した。一方、接着剤片21とゲル状保護材シート22とが異なる系統の材料で構成されている場合、時間経過に依らず接着剤片21の重量はほぼ変化しないことが確認された。したがって、フリーオイルの拡散によるゲル状保護材層5および接着剤層13の重量変化は、同じ系統の材料で構成されたゲル状保護材層5と接着剤層13との間に生じることがわかる。
次に、接着剤片21とゲル状保護材シート22とが同じ系統の材料で構成されている場合の、接着剤片21とゲル状保護材シート22とのフリーオイルの配合比率について検証した。図6は、実施例1の接着剤の重量変化率のフリーオイル配合比率依存性を示す特性図である。試験片20について、フリーオイルを含まない従来の接着剤Aで構成した接着剤片21と、ゲル状保護材シート22と、のフリーオイル濃度差が生じている場合において、接着剤片21の重量変化率を図6に示す。この試験片20では、[ゲル状保護材シート22に含まれるフリーオイル]:[接着剤Aで構成された接着剤片21に含まれるフリーオイル]=X:0である(Xは正数)。
また、比較として、試験片20について、ゲル状保護材シート22と同じ分量でフリーオイルを含む接着剤Bで接着剤片21を構成した場合の、接着剤片21の重量変化率を示す。この試験片20では、[ゲル状保護材シート22に含まれるフリーオイル]:[接着剤Bで構成された接着剤片21に含まれるフリーオイル]=X:Xである(Xは正数)。接着剤片21を接着剤A,Bで構成した試験片20ともに、接着剤片21およびゲル状保護材シート22は同じ系統の材料で構成されている。試験片20の周囲の温度は150℃とした。
図6に示す結果より、接着剤片21が従来の接着剤Aで構成されている場合、時間経過に伴ってフリーオイルの拡散による膨潤が生じ、相対的にフリーオイル濃度の低い部材の重量が増大することが確認された。ここでは、接着剤片21が膨潤して、接着剤片21の重量が増大した。一方、ゲル状保護材シート22とのフリーオイル濃度差のない接着剤Bで構成された接着剤片21においては、時間経過に依らず接着剤片21の重量はほぼ変化しないことが確認された。したがって、同じ系統の材料で構成されたゲル状保護材層5と接着剤層13とにフリーオイル濃度差がない場合、フリーオイルの拡散はほぼ生じないことがわかる。
次に、試験片20を放置する環境の温度について検証した。図7A,7Bは、実施例1の接着剤の重量変化率の温度依存性を示す特性図である。試験片20を放置する環境の温度を−40℃、25℃および150℃としたときの、接着剤片21の重量変化率を図7Aに示す。また、試験片20を放置する環境の温度を130℃、150℃および170℃としたときの、接着剤片21の重量変化率を図7Bに示す。各試験片20ともに、接着剤片21およびゲル状保護材シート22は同じ系統の材料で構成され、かつゲル状保護材層5のフリーオイル濃度を接着剤層13のフリーオイル濃度よりも高くしている。
図7Aに示す結果より、試験片20を放置する環境の温度が高いほど、時間経過に伴ってフリーオイルの拡散による膨潤が速く進行し、接着剤片21の重量増大が速く進行することが確認された。また、試験片20を放置する環境の温度が−40℃と低すぎる場合、時間が経過しても接着剤片21の重量はほぼ変化しないことが確認された。また、図7Bに示す結果より、試験片20を放置する環境の温度が130℃以上である場合、試験片20を放置した環境の温度によらず、接着剤片21の重量増大の進行度はほぼ同じになることが確認された。このため、上述したステップS13の処理における熱履歴条件を、130℃以上とすることが好ましい。
なお、接着剤片21のフリーオイル濃度がゲル状保護材シート22のフリーオイル濃度よりも高い場合には、実施例1において接着剤片21とゲル状保護材シート22とを入れ替えた内容の特性が得られる。
(実施例2)
次に、上述したステップS13の処理において実施の形態にかかる半導体物理量センサ装置に与える熱履歴条件を決定する方法について説明する。ここでは、ゲル状保護材層5のフリーオイル濃度を接着剤層13のフリーオイル濃度よりも高くしている。半導体物理量センサ装置を保管する環境の温度を150℃とし、接着剤層13の膨潤が生じない−40℃で半導体物理量センサ装置の出力特性を測定した。このときの半導体物理量センサ装置の出力特性の一例を図8に示す。図8は、実施例2の半導体物理量センサ装置の出力変動量の時間依存性を示す特性図である。
図8の横軸は、ステップS11終了時点(経過時間=0h:初期状態)から、半導体物理量センサ装置を放置した経過時間(h:hour)である。図8の縦軸は、実施例2にかかる半導体物理量センサ装置の出力変動量ΔVoutである。図8の縦軸は、ステップS11終了時点の出力変動量(以下、初期出力変動量とする)ΔV0から下側に向かうほど、ステップS13の処理直後の半導体物理量センサ装置の出力変動量ΔVoutが大きくなっていることを示している。ステップS13の処理直後の半導体物理量センサ装置の出力変動量ΔVoutを大きくするほど、ステップS13の処理以降の半導体物理量センサ装置の出力変動量ΔVoutが小さくなる。
まず、半導体物理量センサ装置を保管する環境の温度を決定し、この温度環境で半導体物理量センサ装置を放置したときの半導体物理量センサ装置の出力変動量ΔVoutを取得する(図8参照)。そして、n時間後の出力変動量ΔVnと(n−1)時間後の出力変動量ΔV(n-1)との差がΔVnに対して1%以下((ΔVn−ΔV(n-1))/ΔVn≦1%)となった時点の出力変動量ΔVoutを100%とし、その時の出力変動量をΔV4と規定する。例えば、図8に示す一例においては、熱履歴条件を150℃の温度環境で15時間放置としたときの半導体物理量センサ装置の出力変動量ΔVoutを100%と規定する。
この半導体物理量センサ装置の出力変動量ΔVoutが100%となる熱履歴条件は、ステップS13の処理以降(15時間超)に、半導体物理量センサ装置の出力変動量ΔVoutがほぼ生じない最も好適な熱履歴条件である。この最も好適な熱履歴条件を基準にして、ステップS13の処理において半導体物理量センサ装置に与える熱履歴条件を決定する。例えば、ステップS13の処理後の半導体物理量センサ装置の出力変動量ΔVoutを100%に設定する場合には、上述した最も好適な熱履歴条件でステップS13の処理を行えばよい。
また、ステップS13の処理直後の半導体物理量センサ装置の出力変動量ΔVoutが100%未満となるような熱履歴条件でステップS13の処理を行ってもよい。この場合、ステップS13の処理以降に、半導体物理量センサ装置の出力変動量ΔVoutが100%になるまで出力変動することになるが、ステップS13の処理を行っているため、半導体物理量センサ装置の出力変動量ΔVoutは従来よりも小さい。
具体的には、例えば、ステップS13の処理直後の半導体物理量センサ装置の出力変動量ΔVoutを50%にするとする。すなわち、ステップS13の処理以降に、半導体物理量センサ装置の出力変動量ΔVoutが最大50%変動する(出力変動量ΔVoutが50%から100%になる)とする。この場合、例えば、150℃以上の温度環境において、半導体物理量センサ装置の出力変動量ΔVoutが初期出力変動量ΔV0に対して50%(ΔVout/ΔV4=50%)の出力変動量ΔV1となるのは、ステップS13の処理において半導体物理量センサ装置を2時間放置したときである。このため、ステップS13の処理における熱履歴条件(以下、第1条件とする)を、温度環境を150℃以上とし、かつ経過時間を2時間以上とすればよい。
さらに、ステップS13の処理直後の半導体物理量センサ装置の出力変動量ΔVoutを75%にするとする。すなわち、ステップS13の処理以降に、半導体物理量センサ装置の出力変動量ΔVoutが最大25%変動する(出力変動量ΔVoutが75%から100%になる)とする。この場合、例えば、150℃以上の温度環境において、半導体物理量センサ装置の出力変動量ΔVoutが初期出力変動量ΔV0に対して75%(ΔVout/ΔV4=75%)の出力変動量ΔV2となるのは、ステップS13の処理において半導体物理量センサ装置を4時間放置したときである。このため、ステップS13の処理における熱履歴条件(以下、第1条件とする)を、温度環境を150℃以上とし、かつ経過時間を4時間以上とすればよい。図8に示すように、4時間以上(出力変動量75%以上)とするとその後の変動量の傾きが小さくなるため好ましい。
また、ステップS13の処理以降に生じる半導体物理量センサ装置の出力変動量ΔVoutを上記第1条件の場合よりも小さくするには、ステップS13の処理直後の半導体物理量センサ装置の出力変動量ΔVoutを上記第1条件の場合よりも高く設定すればよい。例えば、ステップS13の処理直後の半導体物理量センサ装置の出力変動量ΔVoutを90%にまで高くするとする。すなわち、ステップS13の処理以降に、半導体物理量センサ装置の出力変動量ΔVoutが最大10%変動する(出力変動量ΔVoutが90%から100%になる)とする。この場合、例えば、150℃以上の温度環境において、半導体物理量センサ装置の出力変動量ΔVoutが初期出力変動量ΔV0に対して90%(ΔVout/ΔV4=90%)の出力変動量ΔV3となるのは、ステップS13の処理において半導体物理量センサ装置を10時間放置したときである。このため、ステップS13の処理における熱履歴条件(以下、第2条件とする)を、温度環境を150℃以上とし、かつ経過時間を10時間以上とすればよい。
このように、ステップS13の処理以降に許容され得る半導体物理量センサ装置の出力変動量ΔVoutを考慮して、ステップS13の処理直後の半導体物理量センサ装置の出力変動量ΔVoutを設定し、当該出力変動量ΔVoutに基づいて、ステップS13の処理における熱履歴条件を決定すればよい。
(実施例3)
次に、製品として許容される半導体物理量センサ装置の出力変動量ΔVout(仕様)を考慮して、ゲル状保護材層5と接着剤層13とのフリーオイル配合比率を決定するための試験方法について説明する。図9は、実施例3の接着剤の重量変化率の時間依存性を示す特性図である。図10は、図9の経過時間初期(経過時間=0h〜16h)の特性を拡大して示す特性図である。図9,10では、ゲル状保護材層5のフリーオイル濃度は、接着剤層13のフリーオイル濃度よりも高くしている。
図9,10の横軸は、接着剤層13とゲル状保護材層5とを接触させた時点(経過時間=0h)から、半導体物理量センサ装置を放置した経過時間(h:hour)である。図9,10の縦軸は、接着剤層13の重量変化率(%)である。図9,10の縦軸は、重量変化率=0%を境に上側が重量増大を示し、下側が重量減少を示している。すなわち、重量変化率=0%とは、ゲル状保護材層5と接触させる前の接着剤層13を示している。図8〜10の時間依存性は、ゲル状保護材層5と接着剤層13とのフリーオイル配合比率を取得するための基準となるものであり、当該試験を行う前にシミュレーションまたは上記試験片20を用いた測定により予め取得される。
まず、半導体物理量センサ装置を例えば品質保証規格に基づく所定温度で所定時間の熱履歴条件で放置したときの、半導体物理量センサ装置の出力変動量ΔVoutの時間依存性(図8)と、接着剤層13の重量変化率の時間依存性(図9,10)と、を取得する。次に、図9から、上記熱履歴条件における接着剤層13の重量変化率が飽和したときの数値を、接着剤層13の重量変化率の飽和値MSと規定する。ここでは、150℃の温度環境で500時間の熱履歴条件のときの接着剤層13の重量変化率を飽和値MSと規定している。
次に、半導体物理量センサ装置の出力変動量ΔVoutが初期出力変動量ΔV0に対してY%に達したときの接着剤層13の重量変化率を、飽和値MSを基準とした割合(=飽和値MS×Z、Z<1)で取得する。接着剤層13の重量変化率が飽和するまでに(100−Y)%以下の出力変動量ΔVoutで変動する半導体物理量センサ装置を作製するには、ゲル状保護材層5と接着剤層13とのフリーオイル配合比率を、[ゲル状保護材層5に含まれるフリーオイル]:[接着剤層13に含まれるフリーオイル]=X:ZXに設定する。このゲル状保護材層5と接着剤層13とのフリーオイル配合比率は、半導体物理量センサ装置の組立工程時にゲル状保護材層5および接着剤層13の構成材料の配合により設定してもよいし、当該組立工程後のステップS13の処理により設定してもよい。
半導体物理量センサ装置の出力変動量ΔVoutが飽和するまでに要する経過時間は、例えば図8に示す半導体物理量センサ装置の出力変動量ΔVoutの時間依存性から取得する。時間経過に対する接着剤層13の重量変化率の値は、時間経過に対する半導体物理量センサ装置の出力変動量ΔVoutの値F%と等しい。このため、図9,10に示す接着剤層13の重量変化率の時間依存性から、半導体物理量センサ装置の出力変動量ΔVoutが初期出力変動量ΔV0に対してF%に到達したときの放置時間を取得してもよい。
具体的には、例えば、図8に示す基準となる半導体物理量センサ装置の出力変動量ΔVoutの時間依存性から、半導体物理量センサ装置の出力変動量ΔVoutが初期出力変動量ΔV0に対して50%に到達したときの放置時間(経過時間=2時間)を取得する。そして、図9,10に示す基準となる接着剤層13の重量変化率の時間依存性から、半導体物理量センサ装置の放置時間が2時間であるときの接着剤層13の重量変化率を、飽和値MSを基準とした割合(=0.15MS)で取得する(すなわちY=50%、Z=0.15)。したがって、半導体物理量センサ装置の残りの出力変動量ΔVoutを50%程度にする場合、ゲル状保護材層5と接着剤層13とのフリーオイル配合比率は、[ゲル状保護材層5に含まれるフリーオイル]:[接着剤層13に含まれるフリーオイル]=X:0.15Xとなる。
また、図8に示す基準となる半導体物理量センサ装置の出力変動量ΔVoutの時間依存性から、半導体物理量センサ装置の出力変動量ΔVoutが初期出力変動量ΔV0に対して75%にまで到達したときの放置時間(経過時間=4時間)を取得する。そして、図9,10に示す基準となる接着剤層13の重量変化率の時間依存性から、半導体物理量センサ装置の放置時間が4時間であるときの接着剤層13の重量変化率を、飽和値MSを基準とした割合(=0.32MS)で取得する(すなわちY=75、Z=0.32)。したがって、半導体物理量センサ装置の残りの出力変動量ΔVoutを25%程度にする場合、ゲル状保護材層5と接着剤層13とのフリーオイル配合比率は、[ゲル状保護材層5に含まれるフリーオイル]:[接着剤層13に含まれるフリーオイル]=X:0.32Xとなる。
また、図8に示す基準となる半導体物理量センサ装置の出力変動量ΔVoutの時間依存性から、半導体物理量センサ装置の出力変動量ΔVoutが初期出力変動量ΔV0に対して90%にまで到達したときの放置時間(経過時間=10時間)を取得する。そして、図9,10に示す基準となる接着剤層13の重量変化率の時間依存性から、半導体物理量センサ装置の放置時間が10時間であるときの接着剤層13の重量変化率を、飽和値MSを基準とした割合(=0.55MS)で取得する(すなわちY=90、Z=0.55)。したがって、半導体物理量センサ装置の残りの出力変動量ΔVoutを10%程度にする場合、ゲル状保護材層5と接着剤層13とのフリーオイル配合比率は、[ゲル状保護材層5に含まれるフリーオイル]:[接着剤層13に含まれるフリーオイル]=X:0.55Xとなる。
なお、接着剤層13のフリーオイル濃度がゲル状保護材層5のフリーオイル濃度よりも高い場合には、実施例2,3において接着剤層13とゲル状保護材層5とを入れ替えた内容の特性が得られる。
以上、説明したように、実施の形態によれば、センサユニットを樹脂ケースに接着する接着剤層にフリーオイルが含まれていることで、当該接着剤層と、樹脂ケースの内部に充填されたフリーオイルを含むゲル状保護材層と、の間でのフリーオイルの拡散を抑制することができる。このため、フリーオイルの拡散による接着剤層またはゲル状保護材層の膨潤により、接着剤層およびゲル状保護材層の弾性率、針入度および硬度などの物性が経時的に変化することを抑制することができる。このため、接着剤層にフリーオイルを含まない構成の従来構造よりも半導体圧力センサ装置の出力特性変動を抑制することができ、半導体圧力センサ装置の物理量検知精度を向上させることができる。
また、実施の形態によれば、フリーオイル濃度の同じ接着剤層およびゲル状保護材層を形成することで、半導体物理量センサ装置の組立工程後に、接着剤層とゲル状保護材層との間でのフリーオイルの拡散がほぼ生じない。または、半導体物理量センサ装置の出力特性調整前に室温または高温環境で半導体物理量センサ装置を放置することで、接着剤層とゲル状保護材層との間のフリーオイル濃度差を調整することができる。このため、半導体物理量センサ装置の出力特性調整後に、接着剤層とゲル状保護材層との間でのフリーオイルの拡散を抑制することができる。これによって、半導体圧力センサ装置の出力特性変動をさらに抑制することができる。
また、実施の形態によれば、ゲル状保護材層と接着剤層とが同系統の材料で構成することができるため、ゲル状保護材層と接着剤層との劣化度合いをほぼ等しくすることができ、安定して半導体物理量センサ装置の出力特性を維持することができる。
以上において本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上述した実施例2,3では、半導体物理量センサ装置を150℃の温度環境で放置する場合を例に説明しているが、これに限らず、半導体物理量センサ装置を放置する温度環境は種々変更可能であり、半導体物理量センサ装置を室温で放置してもよい。また、上述した実施の形態に限らず、加速度、ジャイロ(角度や角速度)および流量など温度および圧力以外の物理量を検出する場合にも適用可能である。
以上のように、本発明にかかる半導体物理量センサ装置の製造方法および半導体物理量センサ装置の試験方法は、ゲル状保護材層と接着剤層とが同系統の材料からなる半導体物理量センサ装置に有用であり、特に半導体圧力センサ装置に適している。
1 樹脂ケース
2 センサ搭載部
2a センサ搭載部の側壁
3 リード端子
4 ボンディングワイヤ
5 ゲル状保護材層
6 電極パッド
10 センサユニット
10a センサユニットの側面
11 半導体センサチップ
11a ダイアフラム
11b 半導体センサチップの凹部
12 台座部材
13 接着剤層
13a 接着剤の側面
20 試験片
21 接着剤片
22 ゲル状保護材シート
ΔV0 半導体物理量センサ装置の初期出力変動量
ΔV1〜ΔV4 半導体物理量センサ装置の出力変動量

Claims (1)

  1. 物理量を電気信号に変換するセンサチップを有するセンサユニットを、フリーオイルを含む接着剤層を介して樹脂ケースの内部に接合して収納する第1工程と、
    前記接着剤層を構成する材料と同系統のゲル材料からなり、かつフリーオイルを含む保護材層を、前記樹脂ケースの内部に充填して当該保護材層で前記センサユニットを覆う第2工程と、
    前記第2工程の後、前記センサチップの出力特性を調整する第3工程と、
    を含み、
    前記第2工程では、前記接着剤層と同じフリーオイル濃度を有する前記保護材層を前記樹脂ケースの内部に充填することを特徴とする半導体物理量センサ装置の製造方法。
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