JP6921502B2 - 音響視覚化装置および音響視覚化方法 - Google Patents

音響視覚化装置および音響視覚化方法 Download PDF

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Description

本発明は、例えばホテルのロビーやビルの中庭、パブリックスペースなどのように多くの人が集まる場所に設置され、場内に流れる音楽などとリンクした表面重力波を水槽の静水面に生成させ、その形や大きさ、発生タイミングなどによって音楽を視覚的に表現可能とした音響視覚化装置および音響視覚化方法に関するものである。
都市部のホテルのロビーやビルの中庭、パブリックスペースなどのように多くの人が集まる場所には、水槽や人工池、噴水などのような水辺をテーマとした展示物や構造物が設置されている場合が多い。このような水辺をテーマとした展示物や構造物はいわゆるリラクゼーション効果があるといわれ、自然が少ない都市部では公園だけでなく多くの屋内施設で活用されている。しかし、これらの静的な展示物は時間と共に新鮮味が薄れ、飽きられやすいといった傾向がある。その一方、設置費用が高額であるため、頻繁に入れ替えることは困難であり、せいぜい照明や配置を工夫する程度しかできない。
そのため、例えば以下の特許文献1では、水槽内にスピーカーなどの振動体を設置すると共に、その近傍に人感知センサーを複数設置した波紋発生装置が提案されている。この装置によれば、その人感知センサーが近づいてきた人を感知すると、その人感知センサーに近いスピーカーから音が出ると同時にその振動が水面に伝わってその直上に波紋を発生させる。そして、この波紋は他の人感知センサーで検知された他のスピーカーからも発生するため、それらの波紋はその干渉状態などを水面上に視覚的に表現することで対人コミュニケーションを演出するというものである。
特開2001−13899号
ところで、本発明者は聴覚障害者らでも音楽が楽しめるようにその音楽を視覚的に表現することはできないかと長年試行錯誤した結果、音に基づく振動によって静水面で発生する水面重力波を利用できないかとの着想に至った。しかしながら、前記特許文献1のように単にスピーカーで発生する振動を静水面に伝えるだけでは、リズム(律動)はともかく複数の音が重なり合ったハーモニー(和音)や、音が連続的に変化するメロディ(旋律)を視覚的に表現することは困難であることが分かった。
そこで、本発明はこれらの課題を解決するために案出されたものであり、その目的は、静水面に表面重力波を生成させ、その表面重力波の形や大きさ、発生タイミングなどによってリズムだけでなくハーモニーやメロディなどの音楽を視覚的に表現できる新規な音響視覚化装置および音響視覚化方法を提供するものである。
前記のように本発明者は音の振動に伴って水面に発生する波を用いた音楽の視覚化に際し、特許文献1のように単にスピーカーで発生する振動を水面に伝えるだけでは、リズム(律動)も忠実なものでなく、まして複数の音が重なり合ったハーモニー(和音)や、音が連続的に変化するメロディ(旋律)を視覚的に表現することは困難であることが分かった。
これは、音楽そのものが様々な音階の組み合わせ、すなわち様々な周波数の音(低音から高音)が同時または連続的に流れるものであるが、このうち低周波数域の音、例えば周波数が200Hz以下の低音は、比較的聴き取りにくいものの、その音に基づく振動エネルギーが大きいうえに波長が長いため水面を効率良く波動させることができる。一方、高周波数域の音、例えば周波数が200Hz超える高音は、空気中では聴き取りやすいものの、その音に基づく振動エネルギーが小さいうえに波長が短いため、その振動を水面に伝えても水の粘性によって殆ど水面を波動させることができないことがわかった。従って、ハーモニー(和音)の場合は、低音に対応する波しか認識できず、またメロディ(旋律)の場合は、高音に対応する波が殆ど発生しないため、これを視覚で確認することは難しかった。
また、これらの音は水面に接した音源(振動源)を中心に波紋となって周囲に放射状に広がっていくが、異なる複数の周波数の音(振動)を同時に加えた場合、その組み合わせによっては干渉波が発生し、この干渉波は放射状に広がることなく、その発生位置に留まったり、はっきりと目視できる程度にゆっくり動いたりすることが分かった。すなわち、この干渉波はある周波数の表面重力波の速度に比較してはるかに遅い速度で動くか、止まっているような状態で発生することが分かった。そして、さらにこの干渉波は、波の高さが他の音による波よりも一段と高く、視認性に優れていることから、表面重力波のみならずこの干渉波を利用することで従来にない音楽の視覚化が可能となることが分かった。
そこで、前記課題を解決するために第1の発明は、水槽に貯留された水の静水面に振動を与えてその水面に表面重力波を生成する振動子と、前記振動子に音楽振動を付与する振動発生器と、前記振動発生器を駆動する音響波信号を供給する音源と、当該音源の音響波信号を増幅して前記振動発生器に供給する増幅回路と、増幅する前記音響波信号のうち、所定周波数以上の音響波信号を、所定周波数未満の音響波信号よりも大きく増幅させるイコライザーとを備えたことを特徴とする音響視覚化装置である。
このような構成によれば、所定周波数以上の音響波信号、すなわち高音に対応する音響波を増幅することで高音に対応する表面重力波を水面に発生させることができる。そして、この高音に対応する表面重力波と低音に対応する表面重力波とが干渉することで大きな干渉波が発生するため、この干渉波を利用して音楽を視覚化できる。
第2の発明は、第1の発明において、前記所定周波数が200〜500Hzであることを特徴とする音響視覚化装置である。このように200〜500Hz以上の音響波信号を増幅することにより、高音に対する表面重力波が生成されやすくなるため、干渉波を効率良く発生させることができる。
第3の発明は、水槽に貯留された水の静水面に振動を与えてその水面に表面重力波を生成する振動子と、前記振動子に音楽振動を付与する振動発生器と、前記振動発生器を駆動する音響波信号を供給する音源と、当該音源の音響波信号を増幅して前記振動発生器に供給する増幅器と、前記音響波信号を微分して微分波信号を生成する微分回路とを備えたことを特徴とする音響視覚化装置である。
このように音響波信号を微分すると、その微分波の振幅は変わらず波長のみが短くなって高周波になるほど波形が急峻化するため、その音に基づく振動エネルギーが小さい高音であってもこれを増幅したときと同じような大きさの表面重力波を発生させることができるため、視認性に優れた干渉波を効率良く発生させることができる。
第4の発明は、第1乃至第3のいずれかの発明において、前記水槽の水面にその下方向あるいは上方向から光を照射する光源と、前記光源からの水面を通した光の波像を投影するスクリーンとをさらに備えたことを特徴とする音響視覚化装置である。このような構成によれば、水槽の水面に発生した表面重力波を直接みるだけでなく、水槽の水面の下方向あるいは上方向から光を照射し、その水面を通した光の波像をスクリーンに投影することで別の見方やより多くの人に見せることができる。さらに、その光の色や照射方法などを適宜変化させることにより、より幻想的で芸術的な演出を行うことも可能となる。
第5の発明は、音源の音響波信号を増幅して振動発生器を駆動すると共に、当該振動発生器の振動を振動子を介して静水面に伝達してその静水面を振動してその水面に表面重力波を生成する音響視覚化方法であって、前記音響波信号を増幅するに際して、前記音響波信号のうち、所定周波数以上の音響波信号を、所定周波数未満の音響波信号よりも大きく増幅させることを特徴とする音響視覚化方法である。このような方法によれば、第1の発明と同様な作用・効果が得られる。
第6の発明は、音源の音響波信号を増幅して振動発生器を駆動すると共に、当該振動発生器の振動を振動子を介して静水面に伝達してその静水面を振動してその水面に表面重力波を生成する音響視覚化方法であって、前記音響波信号を微分してその波形を急峻化させることを特徴とする音響視覚化方法である。このような方法によれば、第2の発明と同様な作用・効果が得られる。
本発明によれば、所定周波数以上の音響波信号、すなわち高音に対応する波を視認できる程度の大きさに増幅するか、あるいは音響波信号を微分してその波形を急峻化させることで高音に対応する表面重力波を水面に発生させることができる。また、同時に発生する他の音による波との干渉によって発生する干渉波も大きくなって視認性が向上するため、音楽の視覚化が可能となる。
本発明に係る音響視覚化装置100の実施の一形態を示す構成図である。 振動子20の一例を示す斜視図である。 振動子20の振動によって水面に干渉波Wが発生した状態を示す概念図である。 振動子20の他の実施の形態を示す斜視図である。 振動子20の他の実施の形態を示す斜視図である。 振動発生器30に取り付けた振動子20の一例を示す説明図である。 振動子20の振動によって水面に干渉波Wが発生した状態を示す平面図である。 本発明に係る音響視覚化装置100による処理の流れを示すフローチャート図である。 音響波とその周波数との関係を示す説明図である。 低周波の表面重力波w1と高周波の表面重力波w2とによって生成される干渉波Wを示す説明図である。 音響波とその微分波との関係を示す説明図である。 本発明に係る音響視覚化装置100による処理の流れを示すフローチャート図である。 本発明に係る音響視覚化装置100の応用例を示す説明図である。 水槽10の他の実施形態を示す斜視図である。 水槽10の他の実施形態を示す斜視図である。 水槽10の他の実施形態を示す斜視図である。
次に、本発明の実施の形態を添付図面を参照しながら説明する。図1は本発明に係る音響視覚化装置100の実施の一形態を示したものである。図示するようにこの音響視覚化装置100は、水が貯留された水槽10と、この水槽10に貯留された水の静水面に接するように位置する振動子20と、この振動子20に振動を付与する振動発生器30と、この振動発生器30を駆動する音響波信号を供給する音源40と、この音源40の音響波信号を増幅して振動発生器30に供給する増幅器50とから主に構成されている。
この水槽10は、水などの液体を静置して溜められるものであって、その静水面が周囲から容易に視認できるものであれば特に限定されるものではないが、例えば図示するように上方が開口した円筒状の透明アクリル製の容器11を複数の脚部12で支持したものが望ましい。また、その容器11の大きさなども特に限定されるものでないが、小さな子どもでもその水面が見えるように例えば地上から水面の高さが30cm〜50cm程度で、直径は約50cm前後が望ましい。
また、この水槽10に溜める液体としては、水道水のような無色透明で無害な水が望ましいが、それ以外に海水やその他の液体を用いることも可能であり、また、染料を混ぜてその水を任意の色に着色しても良い。さらに、その水面に油などからなる油層を形成したり、その油層に親油性の蛍光材料や染色材を混ぜて発光させたり着色させても良い。
振動子20は、図2に示すようにこの水槽10の静水面に浮かぶように接する振動部21と、この振動部21を垂直上方から支持する支持ロッド22とから構成されている。この振動部21は、音響周波数範囲(80Hz〜数kHz)での振動を水面に伝えることができる程度の剛性(3〜9×10Pa)を有するものであれば特に限定されるものでないが、例えば図3に示すような断面三角形をした合成樹脂(ポリプロピレン樹脂)製の棒体などを用いることが望ましい。また、支持ロッド22もこれと同様な振動伝達性能を有する材料で構成することが望ましい。そして、スピーカー電力が3wの場合、約20g前後が望ましく、また、水面に接する面積は1cm以下が望ましい。
この振動子20はこの形態の他に例えば図4(A)に示すように先端が球体のガラス棒や、同図(B)に示すように先端が鋭角に尖ったガラス棒、同図(C)に示すように先端が枝分かれしたガラス棒などを用いることもできる。さらに、図5に示すように針金のような線状体を渦巻き状に加工したり、線状体を平面状に加工したアート作品(形状自体が意味を持つもの)であっても良い。この線状の振動子20の場合は、例えば太さ0.4〜2mmの金属線(ステンレス鋼)などで構成することができ、その渦巻き部分20aを水面ぎりぎりの位置または水面に浮かべるように接して(0〜3mm)用いることになる。また、この振動子20を2つ以上組み合わせて用いることもできる。
振動発生器30は、音響に関する電気信号(音楽的電気信号)を力学的縦振動に変換するものであり、具体的には指向性スピーカーから構成されている。そして、例えば図6(A)に示すようにこの指向性スピーカーの振動板31にゴム台座32を介して振動子20の支持ロッド22が取り付けられており、その振動板31の振動がゴム台座32と支持ロッド22を介して振動部21側に伝達するようになっている。
なお、この指向性スピーカーは市販のものをそのまま用いることができ、本発明の効果実験には株式会社エフピーエス社製の製品(FPS0202N3R2-3W-8Ω)を用いた。また、線状の振動子20の場合は、同図(B)に示すように振動板31に貼り付けられたブロック状の硬質ゴム33にその金属線の端部を差し込むようにすることで取り付けられる。なお、この振動発生器30は、スピーカーの他に電気的音響信号を力学的振動に変換する素子、例えば、Giant Magnetostrictive Material(GMMエキサイター:製造元 有限会社ジグボ)、通称GMMなどを使用することもできる。
図1に戻り、音源40は音楽の音響波信号を発生するものであり、具体的にはCDプレーヤーやDVDプレーヤー、MP3プレーヤーなどのデジタルオーディオプレーヤー(DAP)などの公知の製品からなっている。また、この音源40は、レコード盤や磁気テープなどのアナログ音源であっても良く、さらに実際の生演奏や歌唱、動物の鳴き声などをマイクで集音したものでも良い。また、PCに記録した音源ファイルを再生してアナログ出力するものであっても良い。
増幅器50は、音響波信号を増幅する増幅回路51と、音響波信号の周波数特性を変更するイコライザー(音響機器)52とから構成されている。増幅回路51は、音源40から送られた微弱な音響波信号を前記振動発生器30を駆動できる程度まで増幅するものであり、音源がデジタルの場合はデジタル増幅とデジタル−アナログ(D/A)変換によってその機能を発揮する。なお、音源がアナログの場合にはデジタル増幅のまえにアナログ−デジタル(A/D)変換機能を備えたものが用いられる。
イコライザー(音響機器)52は、増幅回路51で増幅された数10Hz〜数10kHzの範囲の音響周波数を複数の帯域にわけ、そのうちの所定周波数帯域を選択的に増幅する機能を有するものである。そして、このイコライザー52は、増幅された音響周波数のうち、少なくとも200〜500Hz以上の高周波数帯域の音響波信号をさらに選択的に増幅して前記振動発生器30に出力する機能を有する。このイコライザー52も市販のものをそのまま用いることができ、本発明の効果実験には株式会社モリダイラ社の製品(TenBandGraphicEQ M108)を用いた。
次に、このような構成をした本発明に係る音響視覚化装置100による音響視覚化方法(作用)の一例を説明する。まず、図8のフローに示すように音源40から発生した広帯域の音響波信号は、増幅器50の増幅回路51によってその全域に亘って増幅(一次増幅)されると共に、増幅された音響波成分のうち、200〜500Hz以上の高周波数帯域の音響波信号をイコライザー52でさらに選択的に増幅(二次増幅)する。この増幅器50で増幅された音響波信号はアナログの電気信号として振動発生器(指向性スピーカー)30に送られてこれを駆動し、音と共に機械的な縦振動を発生する。
そして、この振動発生器30で発生した縦振動は、振動子20に伝達してこれを振動する。振動子20が振動すると図2および図7に示すように静水面に接する振動部21がその静水面を振動してこれを発生源とする表面重力波wが生成される。この表面重力波wは、この振動部21を中心として水面を放射状に広がっていくような波紋を形成するが、そのうち視認できるのは、200〜500Hz以下の低周波(低音)のものであり、200〜500Hz以上の高周波(高音)に対応する表面重力波wを視認することが難しい。
これは図3(A)に示すように低周波帯域(低音)の場合は、その音に基づく振動エネルギーが大きいうえに波長が長いため、水面を効率良く波動させることが可能となるからであり、その結果、肉眼で視認できる程度の大きさの表面重力波wが発生する。ただし、その波長は10cm〜0.1cmで、波の移動速度は18cm/sec〜1cm/secであり、しかもその波紋は瞬時に広がって消失するため、この表面重力波wだけで複雑な音楽を表現するのは難しい。
また、図3(B)に示すように高周波数域(高音)の場合は、空気中では聴き取りやすいものの、その音に基づく振動エネルギーが小さいうえに波長が短いため、その振動を水面に伝えても水の粘性によって殆ど水面を波動させることができず、表面重力波wが発生してもそれを肉眼で視認することは難しい。これは図9(A)に示すように周波数が高くなる(波長が短くなる)に従ってその音の振動エネルギーの大きさを示す振幅(波高)yが小さくなるからである。
そこで、本発明の音響視覚化装置100では、同図(B)に示すように振幅(波高)yが小さくなる約200Hz以上の高音域の音響波を増幅し、その振幅(波高)yが小さくなることを回避したところ、図10に示すように和音となる周波数の波同士が交差する位置に干渉波Wが同心円状に多重に発生した。しかも、この干渉波Wは、それ自体の波高yが高いため、目視でもはっきりと視認できる上に、その位置でとまっているか、ゆっくりと動くようにみえる。
そして、この干渉波Wの大きさや発生位置、タイミング、発生時間などは、振動の性質、すなわち音響波信号によって表現されるリズム(律動)やハーモニー(和音)、メロディ(旋律)によって微妙に変化する。例えば、和音に相当する440Hzと880Hzとの干渉波Wではほとんど止まっているような状態で発生する。従って、この干渉波Wを視認できる表面重力波wと共に積極的に発生させることによって複雑な音楽の視覚化が可能となる。
また、このような干渉波Wは、前記のように高音域の音響波信号をイコライザー52で増幅する方法の他に、増幅回路51で一次増幅した音響波全域をオペアンプのような微分回路53によって微分し、その微分波によって振動発生器30を駆動することによっても可能である。すなわち、図11(A)に示すよう音源40で発生する可聴域の音響波信号は、通常数10Hz〜数10kHzのサイン波の合成からなっているが、これを微分回路53で微分すると同図(B)に示すように高音になっても振幅(波高y)が変化しない。この結果、波長が短くなるにつれてその波形の変化が急峻となり、この急峻化の結果、前記のように高音域ではこれを増幅した場合と同じような効果が得られる。
しかも、この微分処理によれば、周波数の波長にかかわらず連続した線形に処理できるため、より自然な干渉波Wを生成することができる。このように増幅した音響波全域を微分する場合には、イコライザー52に代わって、あるいはイコライザー52と共にオペアンプ微分回路53を用いることになる。また、処理の流れとしては、図12に示すように増幅回路51による増幅の後、あるいはその前に微分処理して微分波信号を生成することになる。
そして、このような構成をした本発明の音響視覚化装置100は、その水槽10の周囲から直接目視することでも楽しめるが、照明などの光を駆使すれば、より多くの人に同時に見せることができる上により幻想的で芸術的な演出を行うことも可能となる。例えば図13に示すように水槽10を配置した室内の天井や壁面、あるいは床面にそれぞれスクリーンS1,S2,S3を設置し、その反対側の上下に光源(照射ランプ)L1,L2を配置してこれら光源(照射ランプ)L1,L2から水槽10の水面に光を照射する。
すると、例えば上側の光源L1から水槽10の水面に対して下方向に光を照射した場合には、その光の一部はその水面で反射して壁側のスクリーンS2に達し、残りの光はその水面を通過して床側のスクリーンS3に達する。また、光の照射角度によっては天井側のスクリーンS1にも反射させることができる。これによって、水面で発生した干渉波Wおよび表面重力波wは直接目視する他に、その波像がスクリーンS1〜S3にも投影されるため、その変化の状態をより多くの人に同時に観賞させることができる。
これは水槽10の下側に位置する光源L2から水面に向かって上方向に光を照射した場合も同じである。また、さらに各光源L1,L2からの光の色を変化させたり、異なる光を交互に照射したり、その明るさを時間と共に変化させるなどすれば、より幻想的で芸術的な演出を行うことも可能となる。
また、水面上あるいは水面下からビデオカメラやデジタルカメラでその波像を撮影し、その映像を、撮影と同時にあるいは記録したものを後日プロジェクターでスクリーンに映写するようにしても良い。また、水槽10の形状は単なる円筒形だけでなくその形状を工夫してより見やすくすることも可能である。例えば図14および図15に示すようにその水槽10の底面を斜めにしてその底面に水面を反射させるようにすれば、側面からもその水面に発生した波像を見ることができる。さらに、図16に示すように背の小さい子ども向けに地面に直置き式の水槽10であっても良い。
100…音響視覚化装置
10…水槽
20…振動子
21…振動部
22…支持ロッド
30…振動発生器
40…音源
50…増幅器
51…増幅回路
52…イコライザー
53…微分回路
L1,L2…光源
S1,S2,S3…スクリーン
W…干渉波
w,w1,w2…表面重力波

Claims (3)

  1. 水槽に貯留された水の静水面に振動を与えてその水面に表面重力波を生成する振動子と、
    前記振動子に振動を付与する振動発生器と、
    前記振動発生器を駆動する音響波信号を供給する音源と、
    当該音源の音響波信号を増幅して前記振動発生器に供給する増幅回路と、
    前記音響波信号のうち、所定周波数以上の音響波信号を、所定周波数未満の音響波信号よりも大きく増幅させるイコライザーとを備え、
    前記振動子は、一端が前記振動発生器に接続され、他端部に前記静水面に浮かぶように接する渦巻き部分を有する金属線からなることを特徴とする音響視覚化装置。
  2. 水槽に貯留された水の静水面に振動を与えてその水面に表面重力波を生成する振動子と、
    前記振動子に振動を付与する振動発生器と、
    前記振動発生器を駆動する音響波信号を供給する音源と、
    当該音源の音響波信号を増幅して前記振動発生器に供給する増幅回路と、
    前記音響波信号を微分して微分波信号を生成する微分回路とを備え、
    前記振動子は、一端が前記振動発生器に接続され、他端部に前記静水面に浮かぶように接する渦巻き部分を有する金属線からなることを特徴とする音響視覚化装置。
  3. 請求項1または2に記載の音響視覚化装置において、
    前記水槽の水面にその下方向あるいは上方向から光を照射する光源と、
    前記光源からの水面を通した光の波像を投影するスクリーンとをさらに備えたことを特徴とする音響視覚化装置。
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