JP6921403B2 - 吸入用水素含有ガスの製造装置 - Google Patents
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Description
また、血管梗塞後の虚血再灌流障害に対する医学的研究などを背景に、例えば、特許文献1のように医療分野に特化した水素混合ガス供給装置の研究開発が展開されてきた経緯もある。
また、これらの水電解法により発生したガスについては、これを水素ガスと酸素ガスとに分離させる方式のほか、未分離のまま(非分離)とする方式もある。
分離方式においては水素濃度が99%以上に設定された高濃度水素ガスの供給とされることが多く、非分離方式では約5%から約75%の範囲内で選択して固定化された水素濃度で水素ガスを吸引させる機器が実用化されている。
このように、高濃度水素ガス(約99%)の製造と、それ以外の固定した水素濃度での水素酸素混合ガスの製造とに、二極分化される吸入用水素含有ガスの製造装置の現状において、よりきめ細かで柔軟に、かつ、簡易で迅速に、ガス流量と水素濃度を適宜に変更可能な吸入用水素含有ガスの製造方法と、それを活用したコンパクトで扱いやすい、新たな水素含有ガスの製造装置が実現できれば、使用者にとっては非常に有用である。
また、このように、製造装置が状況に応じてきめ細かに利用される場合の各種データ、例えば、水素濃度の変更履歴等の経時的データなどを随時細やかに収集し集積することができて、装置の使用状況と健康増進効果等との関連などについても分析可能なシステムであることが望ましい。更に、サロンや医療機関などにおいては、遠隔操作や多数の装置の集中管理等が可能になれば、我々の社会生活の様々な場面において、更に有用な効果が得られるものと思われる。
また、本装置を外部との通信が可能なものとした。これにより、ネットワークを通じたリアルタイムの情報収集や各種データの相互通信、本装置の遠隔管理や集中管理が可能になり、本装置の利点がより活かされるものとなる。
更に本装置では、水素ガス及び酸素ガスのそれぞれを任意のガス流量に調整し、この調整後の水素ガス及び酸素ガスのいずれについても有効に活用することになる。そして、これらを、又は、これらに更に外気を取り入れて適宜に混合することで、使用目的や使用状況に応じてガス流量及び水素濃度が様々に異なる吸入用水素含有ガスを、簡易かつ迅速に調製できるものとなる。
また、本装置の使用状況等に関するデータの収集や遠隔操作、多数の装置の集中管理等が可能になることで、本装置はより多方面での活用が期待できるものとなる。
本件発明は、吸入用の水素ガスを任意の水素濃度に即時調製して利用できる吸入用水素含有ガスの製造方法及び製造装置である。
本件発明においては、主要成分となる水素ガスの製造と、同時に発生して有効活用される酸素ガスの製造とに関し、イオン交換膜を用いた水の電気分解を利用する。この場合、非特許文献1のように、固体高分子イオン交換膜を電解質とする水電解が想定される。また、これに関連して活用が想定されるものとしては、例えば、非特許文献2に記載のように、株式会社GSユアサによる電解質膜形水電解セルが既に商品化されている。
なお、この場合、第四工程において外気を導入しない方法、外気を導入する方法の2種類の製造方法が考えられる。
ここでは更に必要に応じて、分離された水素ガス及び酸素ガスについて、追加的な除湿やオゾン除去等の付加的処理を行っても良い。
なお、外気を取り込んで、水素含有ガスの調製に用いることは、水素ガスと酸素ガスの混合促進と、水電解により生じるガスの発生量や発生比の制限を超えて、本装置のガス流量や水素濃度の調整範囲を拡大することに寄与する効果がある。
また、第三工程の流量調整工程において、水素ガス及び酸素ガスのそれぞれを任意の指定されたガス流量に調整し、更には外気を導入して、これらを適宜混合することで、使用目的や使用状況に応じて様々なガス流量及び水素濃度に調整した吸入用水素含有ガスを簡易かつ迅速に得ることができる。
図2は、吸入用水素含有ガス製造装置の構成機関の相互関係を簡略化して図示したものである。すなわち、本装置は基本的な構成要素としては、次の6つの機関、いわば6つの機能を備えるものである。
これについては、図5にも概要を示しているが、制御機関100によって電子制御される水素ガス調整部410と酸素ガス調整部440とを備えているものである。気液分離機関300で気体として分離された水素ガスは水素ガス調整部410に送られ、同じく気体として分離された酸素ガスは酸素ガス調整部440に送られる。そして水素ガスは、制御機関100により制御される水素ガス調整部410で任意かつ指定のガス流量に調整される。同様に、酸素ガスは、制御機関100により制御される酸素ガス調整部440で任意かつ指定のガス流量に調整される。また、それぞれ指定のガス流量を超えて余剰となる水素ガスや酸素ガスは、水素ガス拡散部420と酸素ガス拡散部450において装置外部に排出される。
吸入に適した状態に調製された吸入用水素含有ガスを、混合機関500から利用者が着用する吸入具等まで、すなわち本装置外に導き出す導出機能を担う。
図3が本装置の全体構成の概要図である。
これには、電源スイッチや運転ランプ等が付いた電源部120が付属する。これを介して、本装置の駆動のために必要な電力が供給され、スイッチやボタン等の操作で運転開始や運転終了を切り換える。
そして、制御機関100には、使用目的等に応じた吸入用水素含有ガスのガス流量や水素濃度の変更、運転開始時間・停止時間など、本装置の動作を選択して指定するための入力手段としての入力部130が付属する。具体的には、操作用ボタンや操作用タッチパネル、吸入時間など本装置の動作を細かく設定するためのタイマーなどである。
また、本装置の運転の現況や推移等を確認するためのモニター画面、メーター、スピーカーなどの出力部140が付属する。
このうち、水電解機関200には、水を補給可能な水タンク221、純水の利用に替えて水道水等を利用する場合にこれを濾過するための逆浸透膜等を利用した精製水製造フィルタ222、水を送出するための水ポンプ223が付属する。しかし、これらの位置関係や使用する水の種類等によっては、精製水製造フィルタ222と水ポンプ223は必須ではなく、以下においては、これらを一括して水貯留送出部220と表記する。
この水タンク221には、図3のように、タンク内の水位を適正に管理するための水位センサ224を設置することも考えられる。そして、この水位センサ224は制御機関100に接続されて、その出力部140に水タンク221の水位の状態を示したり、水位低下時には補給注水を促すための警報を発したりと、水位モニタの役割を果たす。
図5のように、この水素管(気液分離−流量調整)311は流量調整機関400の水素ガス調整部410に接続され、同じく、この酸素管(気液分離−流量調整)321は流量調整機関400の酸素ガス調整部440に接続される。
また、図4の水電解部210と気液分離部(水素)310との間、水電解部210と気液分離部(酸素)320との間には、それぞれ水素管(水電解−気液分離)211と酸素管(水電解−気液分離)212とが図示されている。しかし、水電解機関200と気液分離機関300を一体的に成形する場合など、必ずしも水素管(水電解−気液分離)211や酸素管(水電解−気液分離)212のような独立した経路としての管の存在は必須のものではない。
そして、水素ガス調整部410及び酸素ガス調整部440は、それぞれ制御機関100に接続されて、そのコントロール下にある。いずれも制御機関100の指示に従って動作するガス流量調整バルブ(図示されていない。)を備え、気液分離機関300から送られた水素ガス及び酸素ガスの流量を指定値に調整するガス流量調整機能を果たす。
そして、この段階において既に、これらの流量調整された水素ガスと酸素ガスを混合することにより、利用者が求めるガス流量及び水素ガス濃度の水素含有ガスが調製可能な状態となっている。
混合機関500は、図5の流量調整機関400の水素ガス調整部410と酸素ガス調整部440とから、水素管(流量調整−混合)430及び酸素管(流量調整−混合)460を経由して、前記の水素系及び酸素系の各経路から送出されてきたガス流量調整後の水素ガスと酸素ガスを、1つの経路すなわち混合ガス系の1系統に統合して水素含有ガスを生成する、ガスの混合機能を果たすものである。
またこの時に、水素ガスと酸素ガスとが効率的に混合されるように、水素管(流量調整−混合)430と酸素管(流量調整−混合)460とを捻るように相互に絡み合わせながら混合ガス管510に繋がるようにするなど、図3とは異なる形状とすることも考えられる。更には、水素管(流量調整−混合)430と酸素管(流量調整−混合)460とが、図6のような混合タンク520を介して混合ガス管510に繋がるものであっても良い。
なお、前述したように、この外気の取入れは、吸入用水素含有ガスのガス流量や水素濃度に対する外気量の影響を事前に計算して設定されている必要があるが、本装置の流量調整や濃度調整のレンジを拡大する点での効果もある。
この場合、利用者の更なる安全向上のため、導出機関600の吸入ガス管610にエアフィルタ(吸入前)620を追加設置することが考えられる。吸入前の最終的な吸入用ガスの清浄化を担うものである。
そして、吸入に適した状態に加工された吸入用水素含有ガスは、吸入ガス管610に接続される吸入管等を経由して、本装置の利用者によって吸入されることとなる。
この場合、この流量センサ640と流量調整機関400の水素ガス調整部410及び酸素ガス調整部440、水素ガス拡散部420及び酸素ガス拡散部450が連携して動作するように、予め制御機関100のプログラムを設定する必要がある。
そして、制御機関100のコンピュータ制御システム110には、詳細な計算を経て決定された、この吸入用水素含有ガスの調製データに基づいて本装置を制御するためのコンピュータプログラムが予め登録してある。
そして、利用目的や稼働状況に応じて、コンピュータ制御システム110が必要となる調製データを随時呼び出し、吸入用水素含有ガス中の水素濃度やガス流量が指定の数値になるように流量調整機関400の水素ガス調整部410及び酸素ガス調整部440の流量調整バルブ等を適確に動作させる。これにより利用者は、吸入用水素含有ガスのガス流量や水素濃度を細かく、又は、連続的に変更させながら、本装置を簡易かつ多様に利用できるようになる。
例えば、有線又は無線によって、本装置とネットワークコンピュータが接続され、予め設定された利用者毎のデータに基づき、本装置の使用場所から離れた箇所で集中管理を行うようなケースである。そして同時に、本装置の稼働状況に関するデータも継続的に集積されるような状況である。更には、例えば、同じくネットワークコンピュータに接続され、本装置とも連動するようなウェアラブル端末から、本装置の稼働状況に対応するように、利用者の脈拍数や血圧値、血流状況などの身体データなども、同時に収集集積されるような仕組みである。
そして、そのようにして集約された各種データ間の関連性等については、後日の詳細かつ専門的な分析を経て、本装置の効果検証や次の更なる研究開発等に有効活用されることになるものと考えられる。
110 コンピュータ制御システム
120 電源部
130 入力部
140 出力部
150 通信部
200 水電解機関
210 水電解部
211 水素管(水電解−気液分離)
212 酸素管(水電解−気液分離)
213 圧力センサ
220 水貯留送出部
221 水タンク
222 精製水製造フィルタ
223 水ポンプ
224 水位センサ
300 気液分離機関
310 気液分離部(水素)
311 水素管(気液分離−流量調整)
320 気液分離部(酸素)
321 酸素管(気液分離−流量調整)
330 還水管
340 エアフィルタ(気液分離後)
400 流量調整機関
410 水素ガス調整部
420 水素ガス拡散部
430 水素管(流量調整−混合)
440 酸素ガス調整部
450 酸素ガス拡散部
460 酸素管(流量調整−混合)
500 混合機関
510 混合ガス管
520 混合タンク
530 外気導入部
531 空気ポンプ
532 空気取入口
600 導出機関
610 吸入ガス管
620 エアフィルタ(吸入前)
630 湿度調整部
640 流量センサ
700 筐体
Claims (3)
- コンピュータ制御システム・電源部・入力部・出力部を備え、目標値とするガス流量及び水素濃度に調製した吸入用水素含有ガスを得るために予め計算して定めた水素ガス及び酸素ガスの混合に関する調製データに基づき、本装置の全体的な制御機能を担う制御機関と、
水電解部・水貯留送出部を備え、前記水貯留送出部から送られる水を、前記水電解部において、両面に電極を接合したイオン交換膜を用いて水の電気分解を行うことにより、陰極側に水素ガス、陽極側に酸素ガスを発生させる水電解機能を担う水電解機関と、
それぞれに気液分離部を持つ水素系及び酸素系の2系統の処理経路を備え、前記気液分離部において、水素ガスと水、及び、酸素ガスと水、にそれぞれ気液分離して、前記水電解機関で発生した水素ガス及び酸素ガスを抽出する気液分離機能を担う気液分離機関と、
水素ガス調整部・水素ガス拡散部・水素管による水素系、及び、酸素ガス調整部・酸素ガス拡散部・酸素管による酸素系の2系統の処理経路を備え、前記調製データに基づき、前記気液分離機関により抽出された水素ガス及び酸素ガスの混合により、任意に指定するガス流量及び水素濃度の水素含有ガスとなるように、前記水素ガス調整部及び前記酸素ガス調整部により、その水素ガス及び酸素ガスのガス流量をそれぞれ調整し、前記水素ガス拡散部及び前記酸素ガス拡散部により、余剰の水素ガス及び酸素ガスを外部に放出する流量調整機能を担う流量調整機関と、
前記流量調整機関の前記水素管及び前記酸素管が統合されて混合ガス系の1系統の処理経路となる混合ガス管を備え、前記流量調整機関によりガス流量が調整された水素ガス及び酸素ガスを前記混合ガス管に導き混合することにより、任意に指定するガス流量及び水素濃度の水素含有ガスを製造する混合機能を担う混合機関と、
前記混合ガス管に続く吸入ガス管を備え、前記水素含有ガスを外部に導く導出機能を担う導出機関と、
これらの各機関を内部に格納する筐体と、を有し、
ガス流量及び水素濃度を任意に変更可能な吸入用水素ガスの製造装置。 - コンピュータ制御システム・電源部・入力部・出力部を備え、目標値とするガス流量及び水素濃度に調製した吸入用水素含有ガスを得るために予め計算して定めた水素ガス及び酸素ガスと外気の混合に関する調製データに基づき、本装置の全体的な制御機能を担う制御機関と、
水電解部・水貯留送出部を備え、前記水貯留送出部から送られる水を、前記水電解部において、両面に電極を接合したイオン交換膜を用いて水の電気分解を行うことにより、陰極側に水素ガス、陽極側に酸素ガスを発生させる水電解機能を担う水電解機関と、
それぞれに気液分離部を持つ水素系及び酸素系の2系統の処理経路を備え、前記気液分離部において、水素ガスと水、及び、酸素ガスと水、にそれぞれ気液分離して、前記水電解機関で発生した水素ガス及び酸素ガスを抽出する気液分離機能を担う気液分離機関と、
水素ガス調整部・水素ガス拡散部・水素管による水素系、及び、酸素ガス調整部・酸素ガス拡散部・酸素管による酸素系の2系統の処理経路を備え、前記調製データに基づき、前記気液分離機関により抽出された水素ガス及び酸素ガスに外気を取り入れて混合することにより、任意に指定するガス流量及び水素濃度の水素含有ガスとなるように、前記水素ガス調整部及び前記酸素ガス調整部により、その水素ガス及び酸素ガスのガス流量をそれぞれ調整し、前記水素ガス拡散部及び前記酸素ガス拡散部により、余剰の水素ガス及び酸素ガスを外部に放出する流量調整機能を担う流量調整機関と、
前記流量調整機関の前記水素管及び前記酸素管が統合されて混合ガス系の1系統の処理経路となる混合ガス管・前記外気量を調整して取り入れる外気導入部を備え、前記流量調整機関によりガス流量が調整された水素ガス及び酸素ガスと前記外気とを前記混合ガス管に導き混合することにより、任意に指定するガス流量及び水素濃度の水素含有ガスを製造する混合機能を担う混合機関と、
前記混合ガス管に続く吸入ガス管を備え、前記水素含有ガスを外部に導く導出機能を担う導出機関と、
これらの各機関を内部に格納する筐体と、を有し、
ガス流量及び水素濃度を任意に変更可能な吸入用水素ガスの製造装置。 - 前記制御機関に通信部を備え、前記調製データを保存する外部システムとのデータ通信可能なことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の吸入用水素ガスの製造装置。
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