JP6920712B2 - 燃料電池の診断装置、燃料電池システム及び診断方法 - Google Patents

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Description

本発明は、交流インピーダンスをもとに内部状態を推定する機能を有する燃料電池の診断装置、燃料電池システム及び診断方法に関する。
燃料電池の一種である固体高分子形燃料電池(PEFC)は、例えば、複数のセルを積層させて構成される。各セルは、高分子電解質膜、多孔質支持層と触媒層を接合させた燃料極、空気極電極(触媒電極)、セパレーターにより構成される。一般に、高分子電解質膜の両面に触媒電極が接し一体化したMEA(膜・電極接合体)を有する。
この種の燃料電池では、発電性能に与える影響は、主に内部抵抗に起因するものである。その内部抵抗は主に燃料電池内部の電解質膜の湿潤度に影響される。安定した運転のため燃料電池発電システムには起動前及び起動時における内部状態推定が望まれる。特に長期間停止の後に起動させる必要のある非常用電源用途システムにとっては重要である。
通常、燃料電池の内部水分量が少なく電解質膜が乾燥している場合には、内部抵抗が大きくなり燃料電池の出力電圧が低下する。そのため、燃料電池を高効率で運転させるためには、燃料電池の内部を湿潤状態に維持することが望ましい。一方で、燃料電池の停止時、特に非常用電源をその用途とする場合、外部環境によっては低温になり、湿潤状態における内部が凍結し、電解質膜の劣化を引き起こすことがある。凍結が想定される環境における起動時には、慎重な起動が求められるが、早期に定常運転に移行することも要求されている。したがって、内部状態が慎重な運転が必要な環境であるか否かを判断することで、起動時の運転制御を適切に行うことができる。
燃料電池の内部湿潤状態の変化は、燃料電池の複素インピーダンス変化と相関関係がある。そこで、燃料電池の交流インピーダンスを測定することで、間接的に燃料電池内部の湿潤状態を把握する技術が用いられる。この技術では、燃料電池に交流電圧を印加し、燃料電池から出力される交流電流を検出する(例えば、特許文献1〜4参照)。
例えば、特許文献1に開示の技術では、二つの周波数に対応する交流インピーダンスを複素平面上に示し、電解質膜の抵抗に相当する値と、活性化過電圧と拡散過電圧を抵抗換算した値とを算出し、燃料電池内部が乾燥状態にある旨や水過剰状態である旨を判断する。
特許文献2に開示の技術では、演算負荷を軽減するため、燃料電池から出力される2つの異なる低周波数(数Hz〜数百Hz)の交流信号に基づいて算出される内部インピーダンスを用いて、燃料電池の電解質膜抵抗を算出する。
特許文献3に開示の技術では、予め定められた電流密度で駆動される燃料電池に対し、少なくとも3つの測定周波数の交流信号を印加することにより、各々対応する少なくとも3つの複素インピーダンス(交流インピーダンス)を取得し、異なる時刻に得られている基準値と比較することで、劣化を診断する。
同様に、特許文献4に開示の技術では、スタックに印加する周波数を5Hzと40Hzとで切り替えて交流インピーダンスを測定し、それらを所定の基準値と比較して、故障判定を行う。
特許第5119565号公報 特開2016−24852号公報 特開2005−285614号公報 特開2002−367650号公報
ところで、現状の交流インピーダンス法では、精密に測定する場合、印加する正弦波の周波数を変化させながら多数の点でインピーダンスを計測する。このため、一回の計測に数分〜数十分を要する。起動時の燃料電池内部状況は、このような精密な測定を行う計測時間内において経時的に変化する。そのため、経時的に変化する起動時の燃料電池のインピーダンスを計測することは困難であり、起動時における燃料電池内部の湿潤状態を効率的且つ高精度に把握することが難しかった。
特許文献1に開示の技術では、水不足または水過剰を判別するもので、判別できる内部状態に限りがあり、別の技術が求められていた。特許文献2に開示の技術では、2つの異なる低周波数(数Hz〜数百Hz)の交流信号に基づく演算のみで判断しているが、電解質膜抵抗は高周波数における交流信号に基づく計測が望ましい。すなわち、低周波数(数Hz〜数百Hz)の交流信号に基づく値は、いわゆる反応抵抗及び電気二重層容量の影響を受けた値として算出され、これらの値だけでは高精度な内部湿潤状態を得るには、十分とは言えない。特許文献3に開示の技術では、最も高い周波数F1は、電解質膜抵抗を計測するために、予め経験則もしくは実測に基づき固定されている周波数を用いる必要があり、設置環境の面で適用性に欠ける。
このため、従来技術では、停止時保管状態で大きく変わってしまう燃料電池内部状況の推定に課題があった。
本発明は、このような状況に鑑みなされたものであって、上記課題を解決する技術を提供することにある。
本発明は、電極が電解質の両側に設けられた電解質・電極構造体とセパレーターとが積層された燃料電池の診断装置であって、前記燃料電池の交流インピーダンスを3つの周波数について取得する交流インピーダンス取得部と、前記交流インピーダンス取得部が取得した交流インピーダンスを複素平面上に展開し、直列抵抗成分と電気化学反応抵抗成分とを算出する抵抗値演算部と、前記抵抗値演算部が算出した前記直列抵抗成分と前記電気化学反応抵抗成分とを、所定の基準値と比較して電池内部状態を診断する診断部と、を備え、前記3つの周波数は、10Hz以上の第1周波数帯、10Hz〜0.1Hzの第2周波数帯、及び0.1Hz以下の第3周波数帯で少なくともそれぞれ1点選択され、前記第2周波数帯で選択される周波数は、前記第1周波数帯で選択された周波数で最も低い周波数と1桁以上離れて、また、前記第3周波数帯で選択された周波数で最も高い周波数と1桁以上離れており、前記抵抗値演算部は、前記交流インピーダンスの実数成分、虚数成分をそれぞれZ、Z’とした場合において、前記3つの周波数のそれぞれで認識されたZ、Z’を用いて、以下の式(A)より、前記直列抵抗成分Rsと前記電気化学反応抵抗成分Roを算出する。
Figure 0006920712
また、前記診断部が電池内部状態を診断する際に用いる前記基準値を格納する基準値格納部を備えてもよい。
前記診断部は、前記直列抵抗成分が増加で前記電気化学反応抵抗成分が一定であれば高分子膜の異常であると推定し、前記直列抵抗成分が一定で前記電気化学反応抵抗成分が増加であればMEAの触媒劣化が生じていると推定し、前記直列抵抗成分が増加で前記電気化学反応抵抗成分が増加であれば燃料電池内部の乾燥が生じていると推定してもよい。
本発明の燃料電池システムは、上記の診断装置と、前記燃料電池と、を備える。
本発明は、電極が電解質の両側に設けられた電解質・電極構造体とセパレーターとが積層された燃料電池の診断方法であって、前記燃料電池の交流インピーダンスを3つの周波数について取得する交流インピーダンス取得工程と、取得された前記交流インピーダンスを複素平面上に展開し、直列抵抗成分と電気化学反応抵抗成分とを算出する抵抗値演算工程と、前記直列抵抗成分と前記電気化学反応抵抗成分とを、所定の基準値と比較して電池内部状態を診断する診断工程と、を備え、前記3つの周波数は、10Hz以上の第1周波数帯、10Hz〜0.1Hzの第2周波数帯、及び0.1Hz以下の第3周波数帯で少なくともそれぞれ1点選択され、前記第2周波数帯で選択される周波数は、前記第1周波数帯で選択された周波数で最も低い周波数と1桁以上離れて、また、前記第3周波数帯で選択された周波数で最も高い周波数と1桁以上離れており、前記抵抗値演算工程において、前記交流インピーダンスの実数成分、虚数成分をそれぞれZ、Z’とした場合において、前記3つの周波数のそれぞれで認識されたZ、Z’を用いて、以下の式(A)より、前記直列抵抗成分Rsと前記電気化学反応抵抗成分Roを算出する。
Figure 0006920712
また、前記診断工程は、前記直列抵抗成分が増加で前記電気化学反応抵抗成分が一定であれば高分子膜の異常であると推定し、前記直列抵抗成分が一定で前記電気化学反応抵抗成分が増加であればMEAの触媒劣化が生じていると推定し、前記直列抵抗成分が増加で前記電気化学反応抵抗成分が増加であれば燃料電池内部の乾燥が生じていると推定してもよい。
本発明によると、高コストを招くことなく、短時間において燃料電池の電解質膜抵抗及び反応抵抗を算出し内部状態を適切に推定する技術を提供できる。
本実施形態に係る、燃料電池システムの概要構成を示す図である。 本実施形態に係る、内部抵抗診断装置の概略ブロック図である。 本実施形態に係る、燃料電池スタックの等価回路とその等価回路におけるインピーダンス関係式を示す図である。 本実施形態に係る、直列抵抗成分と電気化学反応抵抗成分を算出する手順を示す図である。 本実施形態に係る、直列抵抗成分と電気化学反応抵抗成分の変化に基づく診断例を示すテーブルである。 本実施形態に係る、湿潤状態及び乾燥状態におけるインピーダンス実測結果ならびに周波数特性曲線の演算結果を示す図である。 本実施形態に係る、直列抵抗成分と電気化学反応抵抗成分の算出結果を示す図である。 本実施形態に係る、図7に示す直列抵抗成分と電気化学反応抵抗成分の算出結果をもとに、湿潤状態を基準とした乾燥状態の抵抗値の変化率を示す図である。 本実施形態に係る、乾燥状態と湿潤状態を初期状態として、燃料電池スタックを起動、運転を行った際における、燃料電池スタックのセル電圧推移を示す図である。
次に、本発明を実施するための形態(以下、単に「実施形態」という)を、図面を参照して具体的に説明する。
本実施形態の概要は、次の通りである。
3つ以上の周波数(以下では3つの周波数で例示する。)における燃料電池スタックまたは燃料電池スタックを構成するセルの内部インピーダンス算出結果をもとに、燃料電池等価回路を用いた演算により複素平面上における特性近似曲線を算出する。その特性近似曲線に基づいて複素平面状の実軸との交点から抵抗成分(直列抵抗成分、電気化学反応抵抗成分)を算出する。それら抵抗成分を内部状態診断要素として燃料電池スタック全体またはセルの内部状態を推定する。
図1は、本実施形態に係る燃料電池システム1の概要構成を示す図である。図2は、燃料電池スタック10の内部状態を推定する内部抵抗診断装置20の概略ブロック図である。
燃料電池システム1は、モータやインバータ、電装装置等の外部の負荷90に電力を供給する燃料電池スタック10(図中「スタック」と表記する。)と、燃料電池スタック10の内部状態を推定する内部抵抗診断装置20とを備える。
燃料電池スタック10は、例えば、一般的な固体高分子形燃料電池(PEFC)であって、複数のセル11を直列積層して構成されている。各セル11は、燃料極、空気極という2枚の電極が、電解質(高分子電解質膜)を挟む。燃料極及び空気極は、高分子電解質膜、多孔質支持層と触媒層を接合させた構成を有する。また、高分子電解質膜の両面に触媒電極が接し一体化したMEA(膜・電極接合体)を有する。セル11を挟みこむように、セパレーターが配置されている。セパレーターは、電気を通す性質を持った炭素板等でできており、表面に刻まれた細かい溝を水素や空気が通り、電極に供給される。
内部抵抗診断装置20は、交流インピーダンス取得部22と、基準値格納部24と、電池内部判定部26と、抵抗値演算部30とを備える。
交流インピーダンス取得部22は、燃料電池スタック10が発電状態において、正弦波を印加した場合に得られる交流インピーダンス値を、3つ以上の周波数について算出する。本実施形態では、3つの周波数(第1周波数f1、第2周波数f2、第3周波数f3)の交流インピーダンス値を用いる。第1周波数f1、第2周波数f2、第3周波数f3の関係は、f1>f2>f3とする。また、3つ以上の周波数とは、多数の周波数を想定するものではなく、離散的に設定される周波数であって、演算時間や装置のコストの制限から4つや5つ程度を上限として想定する。
抵抗値演算部30は、Rs/Ro算出部32を備え、交流インピーダンス取得部22が算出した交流インピーダンス値ならびに取得したインピーダンス値と燃料電池等価回路を用いた等価回路演算によって、直列抵抗成分Rsとその他の抵抗成分(電気化学反応抵抗成分Ro)を分離して算出する。直列抵抗成分Rsと電気化学反応抵抗成分Roの算出種手順及び具体例については、図4、5で後述する。
電池内部判定部26は、抵抗値演算部30が求めた各抵抗値(直列抵抗成分Rs、電気化学反応抵抗成分Ro)の変化により燃料電池内部状態推定を行う。ここでは、変化率を見ることで内部推定を行うが、これに限る趣旨ではなく、変化量を参照してもよい。
基準値格納部24は、比較対象基準とする条件、例えば設置初期における標準とする条件での燃料電池運転において取得したインピーダンス値を基準インピーダンス値とし、抵抗値演算部30が算出した各抵抗値を、基準インピーダンス値とともに格納する。
図3は燃料電池スタック10の等価回路(図3(a))とその等価回路におけるインピーダンス関係式(図3(b))を示している。
図3(a)に示すように、直列抵抗成分Rsに、電気化学反応抵抗成分Roと遅延成分(容量C)が並列に接続された構成が接続される回路構成と等価と見なす。図3(b)のインピーダンス関係式(1)〜(3)を用いて、図3(a)の等価回路に対応したインピーダンス値Z(実数成分)、Z’(虚数成分)が算出される。ただし、ω=2πfとする。
印加する正弦波電流の周波数が無限に大きい場合(ω=∞)のインピーダンスは、図3(b)における直列抵抗成分Rsとなる。また、正弦波電流の周波数が非常に小さい場合(ω=0)のインピーダンスは、Rs+Roとなる。高周波から低周波の間で周波数を変化させたときのインピーダンスは、半円を描く(後述の図4(b)の半円C0を参照)。
これらのことより、交流インピーダンス法を用いることで、燃料電池スタック10の等価回路における直列抵抗成分Rsと電気化学反応抵抗成分Roとを分離して計測することが可能となる。
図4は、直列抵抗成分Rsと電気化学反応抵抗成分Roを算出する手順を示す図である。図4(a)は取得インピーダンス値の複素平面上へのプロット例を示し、図4(b)は図4(a)を用いた半円C0の周波数特性曲線、直列抵抗成分Rs及び電気化学反応抵抗成分Roの算出例を示す。
図4(a)に示すように、基準インピーダンス値や対象状態のインピーダンス値を測定する場合、それぞれ実数部(実数成分Z[Ω])を横軸に、虚数部(虚数成分Z’[Ω])を縦軸とした仮想的な複素平面上にプロットされる。
これらの基準インピーダンス値ならびに対象状態のインピーダンス値をもとに、実数成分Zと虚数成分Z’より、上述の図3(b)のインピーダンス関係式(1)〜(3)に基づき、図4(b)の半円C0の周波数特性曲線が得られる。その結果、直列抵抗成分Rs、電気化学反応抵抗成分Roが算出される。具体的には、実数軸と半円C0の二つの交点のうち、原点側の交点の値が直列抵抗成分Rsとして算出される。また、他の交点の値が、直列抵抗成分Rsと電気化学反応抵抗成分Roとの和として算出され、その和から直列抵抗成分Rsを減算することで、すなわち半円C0の半径を求めることで、電気化学反応抵抗成分Roとして算出される。
電池内部判定部26は、抵抗値演算部30において算出した各抵抗値を、基準値格納部24に格納してある基準抵抗値と比較し、燃料電池スタック10の内部状況を推定する。例えば、基準抵抗値に対して各抵抗値がどのように変化しているかを比較して、判断を行う。
なお、交流インピーダンスを取得する際の3つ以上の周波数の値は、対象物により変化させても構わない。ただし、インピーダンス関係式(1)〜(3)を用いた演算精度の面から、10Hz以上(第1周波数帯)、10Hz〜0.1Hz(第2周波数帯)、及び0.1Hz以下(第3周波数帯)で少なくともそれぞれ1点選択される。また、第2周波数帯で選択される周波数は、第1周波数帯で選択された周波数で最も低い周波数と1桁程度以上離れていることが望ましく、また、第3周波数帯で選択された周波数で最も高い周波数と1桁程度以上離れていることが望ましい。
図5は、直列抵抗成分Rsと電気化学反応抵抗成分Roの変化に基づく診断例を示すテーブルである。診断において、例えば、「Rs増加、Ro一定」であれば、燃料電池セル内の高分子膜の異常であると推定する。「Rs一定、Ro増加」であれば、燃料電池セル内のMEAの触媒劣化が生じていると推定する。「Rs増加、Ro増加」であれば、燃料電池内部の乾燥が生じていると推定する。なお、「一定」とは所定の基準値以内であり、「増加」とは所定の基準値以上であることを意味する。
また、新品MEA製造時のコンディショニング時に使用することで、Ro値の変化率を用いてコンディショニングの実施期間などを最適化することができる。例えば、コンディショニングによって触媒が活性化することで電気化学反応抵抗成分Roに含まれる電荷移動抵抗の減少が生じ、電気化学反応抵抗成分Roの減少が止まり一定となった時点でコンディショニングが完了したと判断できる。
具体的な実施例について図6〜図9を参照して説明する。
ここでは、燃料電池スタック10の停止保管条件を2種類設定した。具体的には、運転後空気極を封じ燃料電池スタック内部を運転に伴う生成水が滞留している湿潤状態(Wet)と、運転停止時に燃料電池スタック空気極に空気ガスを流しスタック内滞留水の排水と乾燥を行った乾燥状態(Dry)を生じさせ、起動時内部状態推定を行う燃料電池内部状況条件とした。
それぞれの状態について、第1〜第3周波数f1〜f3(1kHz、0.35Hz、0.07Hz)において計測し取得されたインピーダンス値の実数成分と虚数成分に基づき、抵抗値演算部30が等価回路演算により周波数特性曲線を得る。
図6は、湿潤状態(Wet)及び乾燥状態(Dry)におけるインピーダンス実測結果ならびに周波数特性曲線の演算結果を示す。
湿潤状態(Wet)に関して、実測した第1〜第3周波数f1〜f3のインピーダンス値(P11、P12、P13)を、複素平面上にプロットし、上述の図3(b)のインピーダンス値関係式(1)〜(3)を用いてフィッティングすることで、周波数特性曲線(半円C1)が得られる。
同様に、乾燥状態(Dry)に関して、実測した第1〜第3周波数f1〜f3のインピーダンス値(P21、P22、P23)を複素平面上にプロットし、上述の図3(b)のインピーダンス値関係式(1)〜(3)を用いたフィッティングすることで、周波数特性曲線(半円C2)が得られる。
抵抗値演算部30は、演算によって得られた周波数特性曲線(半円C1、C2)から、湿潤状態(Wet)及び乾燥状態(Dry)での燃料電池スタックの直列抵抗成分Rs、電気化学反応抵抗成分Roを算出する。算出結果を図7に示す。なお、直列抵抗成分Rs、電気化学反応抵抗成分Roの出力において、図6で示したような周波数特性曲線(半円C1、C2)の描画出力は不要であり、演算値のみの出力でよい。
さらに、図8に、図7に示す各抵抗値(直列抵抗成分Rsと電気化学反応抵抗成分Ro)の算出結果をもとに、湿潤状態(Wet)を基準とした乾燥状態(Dry)の各抵抗値の変化率を算出した結果を示す。
図8に示すように、直列抵抗成分Rs、電気化学反応抵抗成分Roのいずれも増大している。特に直列抵抗成分Rsの変化率大きく増大しており、ここでは700%を超えている。このことから、図5の診断基準に当てはめると、燃料電池スタック10の電解質膜が乾燥状態にあることに起因する膜抵抗増大が生じていることが判断できる。すなわち、乾燥状態(Dry)を適切に診断することができる。
図9は、乾燥状態(Dry)と湿潤状態(Wet)を初期状態として、燃料電池スタック10を起動、運転を行った際における、燃料電池スタック10のセル電圧推移を示す。ここでは、燃料電池スタック10の内部を乾燥状態(Dry)と湿潤状態(Wet)において運転停止し保管がなされていた状態を初期状態としている。
乾燥状態(Dry)では、運転開始後150秒程度経過するまで、燃料電池スタック10の電解質膜の乾燥に起因すると想定される電圧降下(0.6V程度まで低下)が見られる。その後の運転での生成水発生に伴う膜の湿潤化と膜抵抗減少に起因すると想定される電圧回復(湿潤状態と同程度のセル電圧まで回復)が見られる。
従来の高精度な多点インピーダンス計測では少なくとも計測に400秒程度の時間が必要であり、このような経時変化を伴う現象を計測することができない。しかし、本実施形態で提案する技術によると、計測時間を数十秒程度に短縮することができる。すなわち、早いタイミングでの燃料電池スタック10の内部状況推定が可能となり、素早く安定した起動性を向上させることができる。特に、早い起動が求められる非常用電源に燃料電池システム1が適用される場合に、このような起動安定性を担保できる技術は有効である。
以上、本実施形態によると、3つ以上の周波数における交流インピーダンス値を取得し燃料電池内部状態を定量的に診断することができる。上記の技術では、検査対象とする燃料電池スタック10に内部抵抗診断装置20を追加実装することで、設備設置上の大きな変更を加えずに、構成することができる。
さらに、印加する正弦波の周波数を変化させながら多数の点でインピーダンス計測を実施することなく、計測時間の短縮が実現できる。その結果、起動後安定運転に移行する前の非定常状態における内部状態判定が可能となる。従来では、燃料電池の電気化学インピーダンス測定には高コストな測定機器を用いる必要があり、実際にシステムに実装することは極めて困難であったが、実装が現実的に容易になる。
また、起動安定性向上に寄与することで、燃料電池システム1を非常用電源としての利用拡大を促進し、環境負荷の低減に寄与することができる。さらに、燃料電池システム1の運用時のみならず、製造における燃料電池スタック組立時においても、MEA(膜電極接合体)のコンディショニング過程の進行状況の把握に用いることが可能であり、製造時検査の高精度化ならびに短時間化に貢献することができる。
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、また、そうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。例えば、内部抵抗診断装置20がネットワークを介して所定のサーバに接続され、そのサーバで各種基準値はプログラムがアップデートされる構成であってもよい。また、そのようなサーバに基準値格納部24やその他の構成の一部が内部抵抗診断装置20とは別体に備わってもよい。
1 燃料電池システム
10 燃料電池スタック
11 セル
20 内部抵抗診断装置
22 交流インピーダンス取得部
24 基準値格納部
26 電池内部判定部
30 抵抗値演算部
32 Rs/Ro算出部
90 負荷
Rs 直列抵抗成分
Ro 電気化学反応抵抗成分

Claims (6)

  1. 電極が電解質の両側に設けられた電解質・電極構造体とセパレーターとが積層された燃料電池の診断装置であって、
    前記燃料電池の交流インピーダンスを3つの周波数について取得する交流インピーダンス取得部と、
    前記交流インピーダンス取得部が取得した交流インピーダンスを複素平面上に展開し、直列抵抗成分と電気化学反応抵抗成分とを算出する抵抗値演算部と、
    前記抵抗値演算部が算出した前記直列抵抗成分と前記電気化学反応抵抗成分とを、所定の基準値と比較して電池内部状態を診断する診断部と、
    を備え、
    前記3つの周波数は、10Hz以上の第1周波数帯、10Hz〜0.1Hzの第2周波数帯、及び0.1Hz以下の第3周波数帯で少なくともそれぞれ1点選択され、前記第2周波数帯で選択される周波数は、前記第1周波数帯で選択された周波数で最も低い周波数と1桁以上離れて、また、前記第3周波数帯で選択された周波数で最も高い周波数と1桁以上離れており、
    前記抵抗値演算部は、前記交流インピーダンスの実数成分、虚数成分をそれぞれZ、Z’とした場合において、前記3つの周波数のそれぞれで認識されたZ、Z’を用いて、以下の式(A)より、前記直列抵抗成分Rsと前記電気化学反応抵抗成分Roを算出する
    ことを特徴とする診断装置。
    Figure 0006920712
  2. 前記診断部が電池内部状態を診断する際に用いる前記基準値を格納する基準値格納部を備えることを特徴とする請求項に記載の診断装置。
  3. 前記診断部は、
    前記直列抵抗成分が増加で前記電気化学反応抵抗成分が一定であれば高分子膜の異常であると推定し、
    前記直列抵抗成分が一定で前記電気化学反応抵抗成分が増加であればMEAの触媒劣化が生じていると推定し、
    前記直列抵抗成分が増加で前記電気化学反応抵抗成分が増加であれば燃料電池内部の乾燥が生じていると推定する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の診断装置。
  4. 請求項1〜までのいずれかに記載の診断装置と、前記燃料電池と、を備えることを特徴とする燃料電池システム。
  5. 電極が電解質の両側に設けられた電解質・電極構造体とセパレーターとが積層された燃料電池の診断方法であって、
    前記燃料電池の交流インピーダンスを3つの周波数について取得する交流インピーダンス取得工程と、
    取得された前記交流インピーダンスを複素平面上に展開し、直列抵抗成分と電気化学反応抵抗成分とを算出する抵抗値演算工程と、
    前記直列抵抗成分と前記電気化学反応抵抗成分とを、所定の基準値と比較して電池内部状態を診断する診断工程と、
    を備え、
    前記3つの周波数は、10Hz以上の第1周波数帯、10Hz〜0.1Hzの第2周波数帯、及び0.1Hz以下の第3周波数帯で少なくともそれぞれ1点選択され、前記第2周波数帯で選択される周波数は、前記第1周波数帯で選択された周波数で最も低い周波数と1桁以上離れて、また、前記第3周波数帯で選択された周波数で最も高い周波数と1桁以上離れており、
    前記抵抗値演算工程において、前記交流インピーダンスの実数成分、虚数成分をそれぞれZ、Z’とした場合において、前記3つの周波数のそれぞれで認識されたZ、Z’を用いて、以下の式(A)より、前記直列抵抗成分Rsと前記電気化学反応抵抗成分Roを算出する
    ことを特徴とする診断方法。
    Figure 0006920712
  6. 前記診断工程は、
    前記直列抵抗成分が増加で前記電気化学反応抵抗成分が一定であれば高分子膜の異常であると推定し、
    前記直列抵抗成分が一定で前記電気化学反応抵抗成分が増加であればMEAの触媒劣化が生じていると推定し、
    前記直列抵抗成分が増加で前記電気化学反応抵抗成分が増加であれば燃料電池内部の乾燥が生じていると推定する
    ことを特徴とする請求項に記載の診断方法。
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