JP6920473B2 - オンライン基準較正 - Google Patents

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Description

背景
本開示は、電気化学センサ用オンライン較正システムに関する。オンライン較正システムは、電気化学センサの参照セル内に配置され、その中の参照溶液に接触するように構成された較正電極を備える。較正電極は、pH/水素イオン濃度に感受性を有し、かつ較正電極の近くに存在する参照溶液のpHを設定するように構成された酸化還元種を含み、電気化学的/ボルタンメトリック信号が較正電極に印加されると、較正電極が、較正電極の近くに存在する参照溶液の設定pHに対応する一定の特徴を有する電気化学的/ボルタンメトリック応答(ピーク電位等)を生じるように構成されている。参照セルによって生じた電気化学センサの参照電位は、電気化学センサが配置及び/又は使用されている間に、較正電極の電気化学的/ボルタンメトリック応答の一定の特徴と、参照電位と、の差を比較することによって較正される。この差を繰り返し処理することによって、手動操作を介さずに、参照電位をオンラインで較正することができる。
一般に、3つのタイプの電気化学センサ、すなわち、ボルタンメトリックセンサ、電位差センサ及び/又は電流測定センサがある。
電流測定センサは、通常、少なくとも第1の電極及び参照電極を備える。使用時には、第1の電極と参照電極との間に電圧が印加され、第1の電極と参照電極との間に生じる電流が測定される。電流は、センサが検出するように構成された化学種の酸化/還元によって生じ、測定された電流は、化学種の濃度を示す。
測定された電流を意味のあるものとするためには、第1の電極と参照電極との間に印加される電位が既知の電位である必要がある。多くの電流測定センサでは、参照電極の電位を一定に維持するために、参照電極を、塩化カリウム(KCl)溶液、塩化ナトリウム(NaCl)溶液等の塩化物イオンを含む溶液である参照溶液と接触させる。しかし、使用時には、参照溶液が希釈され、Clイオンの濃度が低下し、汚染される可能性があり、その結果、第1の電極と参照電極との間に印加される電位がドリフトし、基準システムの精度が低下することがある。
ボルタンメトリック/電位差センサは、最も一般的なタイプの電気化学センサのいくつかである。電位差センサは、ガラス電極(pH、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、リチウム(Li)等を測定するために使用される)、固体膜電極(Xのための化学プロセスAgXに基づく)、液体膜電極(例えば、M錯化のためのリガンドを含み、カルシウム(Ca)及びKセンサで使用される)、pHメータベースのガス検出器(例えば、二酸化炭素(CO)センサ、アンモニア(NH)センサ等)、及びいくつかの固体酸化物センサ(例えば、ジルコニアベースの酸素(O)センサ)の基礎となっている。ボルタンメトリックセンサは、pH、グルコース、酸素、硫化水素、バイオセンシング、医薬品センシング等を測定するために使用され得る。電位差/ボルタンメトリックセンサは、所望の分析対象物に感受性を有する電極又は環境と、分析対象物に感受性を有しない電極又は環境との間の電位差を測定する。このようなセンサでは、分析対象物に感受性を有する電極又は環境が感知電極として知られ、分析対象物に感受性を有しない電極又は環境が参照電極として知られている。
イオン感受性電界効果トランジスタ(ISFET)は、新しい世代の固体電位差センサである。ISFETでは、感知電極がイオン選択電界効果トランスミッタに置き換えられており、イオン選択電界効果トランスミッタは、測定される溶液中の検体の濃度に依存するソースとドレインとの間の電圧を測定する。分析対象物の特性を処理するために、このソース−ドレイン電圧は、明確に定義された環境中に収容された参照電極からの出力に対して測定される。
従来の電位差及びISFETセンサの両方について、異なる分析対象物/イオンを測定するために、及び/又はイオン/分析対象物の感知のための精度/感度を改善するために、新規な感知電極を開発するために多くの研究が行われてきた。この研究は、様々な分析対象物/イオンを測定するための所望の選択性及び感度を達成することが可能な様々な市販のセンサの開発をもたらした。
しかし、電位差及びISFETセンサの豊富さ及び重要性にもかかわらず、参照電極の不安定性によって、センサの動作には問題がある。典型的には、参照電極は、センサが測定している溶液への導電性を可能にする多孔質フリットの背後に、参照溶液を含む規定された環境内に保持される銀/塩化銀(Ag/AgCl)電極を含む。
典型的な銀−塩化銀(Ag/AgCl)基準システムの場合、電極は乾燥雰囲気中に保持されたときに乾燥し得るので、Ag/AgCl電極は、動作中でないときには既知の特性を有する溶液中に保存される。また、電極の化学的性質が変化する可能性があり、及び/又はイオンがフリットを通過し、環境を混乱させる可能性があるため、参照電極電位のドリフトに起因して、Ag/AgClセンサは周期的な再較正を必要とする。さらに、電位差測定システムは、典型的には、連続単一点測定モードで動作され、このモードは、既知の電流が参照電極と感知電極との間に保持され(典型的には0)、電位差が絶えず測定されるモードである。
ドリフトを検出する方法がなく、その結果、ドリフトが分析対象物濃度の変動に誤って割り当てられる可能性があるので、使用中に参照電極内のドリフトを監視することが困難であるということが、この測定手段の本質である。典型的には、ドリフトの補正は使用後にセンサが再較正されるときに行われ、使用前後に示される較正の任意の変化は直線的に外挿され、この外挿に従ってセンサからのデータは修正される。しかし、このような仮定は、センサは不正確な結果をもたらす可能性があり、センサ動作には手動入力が必要であることを意味する。例えば、規制目的のためには、標準化された測定を確実にするために標準的な外挿プロセスの使用を必要とするセンサを較正可能とすることが必要である。より重要なことは、較正要件とは、センサが費用化かかり得る定期的な較正を必要とするか、かつ/又はユーザによる介入を必要とし、オンラインプロセスにおいて及び/又は自律的にセンサを正確に使用することができないことを意味する。
何人かの研究者は、参照電極の安定性を向上させるという課題に取り組んでおり、この問題を解決するために多くの方法が提案されている。
米国特許第5,419,826号には、電位差測定システムと共に使用するように適合されたイオン選択性参照プローブが記載されている。参照プローブは非塩化物系であり、イオン活性について可逆的である特別に適合された電解質を使用している。
米国特許公開第2003/0024812号には、2つ以上の電極を含む固体電気化学基準システムが開示されており、ここで、少なくとも1つの電極の半電池電位は、全ての試験溶液中に存在すると予想される特定のイオンの濃度によって決定される。第1の電気分析技術によってセル内で測定されたイオン濃度は、既知の参照電極電位に依存せず、その結果、上記電極の半セル電位は測定されたイオン濃度から計算可能であり、上記電極は、既知の参照電極電位に依存する1つ又は複数の後続の電気分析技術において参照電極として機能することができ、上記後続の技術は同じセル内で実行される。
米国特許第6,398,931号には、電極体、参照電極、及びイオン感知電極を含む改良された組合せイオン選択性電極装置が詳述されている。参照電極はイオン透過性接合部を含み、取り外し可能な膜キャップはイオン選択性膜を含む。膜キャップは、参照電極の完全性を危険にさらすことなくイオン選択性電極装置から取り外すことができ、イオン透過性接合部とは異なる。
欧州特許第2932249号には、内部基準素子を含む電気化学センサ用参照電極が記載されており、内部基準素子は、固体の電気化学的に活性な複合材料に埋め込まれている。
米国特許第7,462,267号には、アニオン又はカチオンを含有する電解質と接触している金属からなる参照電極が記載されており、ここで、アニオン又はカチオンの濃度が電極の酸化還元電位を部分的に決定している。この電解質は、化学カチオン又はアニオンを部分的かつ可逆的に結合する高分子電解質を含み、したがって、単純な塩として存在する場合の同じ濃度のカチオン又はアニオンの浸透圧と比較して、カチオン又はアニオンの自由濃度を低下させる。高分子電解質は、酸化還元電極の化学的性質に応じてアニオン性又はカチオン性であってもよく、増粘剤を電解質に添加してもよい。
しかし、今日まで、参照電極を安定化/較正するための技術は複雑であり、手動操作の介入及び定期的な保守を必要とし、電位差測定操作を使用するので、安定性エラーを複雑化/覆い隠してしまう可能性がある。ほとんどの電気化学センサでは基準システムを再較正する必要があるため、長期間の動作ではセンサを正確に使用することができず、自律的/ネットワーク化されたシステムでセンサを使用することができず、高価な手動較正が必要である。
発明の概要
本開示の実施形態では、ボルタンメトリック/電気化学的測定を行うために使用される、作用電極を含み得る較正電極を含む較正システムが提供され、この測定は、電位差センサの参照電極の電気化学ポテンシャルを検証/較正するために使用される。このようにして、上記較正システムは、手動介入無しで、参照電極のドリフトに対する補正を提供することを可能とする。さらに、イオン選択センサ及び/又は電流測定センサについては、較正測定は電気化学的/ボルタンメトリック測定であるので、ドリフトは、電気化学的センサの電位差測定動作によって覆い隠されず、且つ/又は電気化学的センサの電位差測定動作から独立している。
本開示の目的のために、「電気化学的」及び「ボルタンメトリック」という用語は、酸化還元種に電位を印加することに関して互換的に使用される。例えば、本開示の実施形態では、較正電極を渡って電位が掃引され、この掃引された電位が、ボルタンメトリック若しくは電気化学的信号、又はボルタンメトリック若しくは電気化学的掃引と呼ばれ得る。「ボルタンメトリック」という用語は、一般的に電位掃引に使用され、「電気化学的」という用語は、電気化学的プロセスであるので、化学種に印加される電位、及び/又は電位の印加の結果として生じる電気信号を指すために使用される。
本開示の目的のために、較正電極は、電気化学セル内の作用電極であるように構成される。
本開示の目的のために、較正電極を有する電気化学セル内のその他の電極は、カウンター電極、参照電極及び/又は補助電極と称され得る。
本開示の実施形態では、較正電極は、ボルタンメトリック応答を生成するための、カウンター電極及び参照/補助電極を含み得る電気化学的/ボルタンメトリックシステムにおいて使用される。較正電極の電気化学的/ボルタンメトリック応答は、参照電位を生成する電気化学センサの基準システムを較正するために使用され、参照電位は参照セルを備える基準システムによって生成される。
本開示の実施形態では、較正電極は、pH(pH/水素イオン濃度に対して変化する酸化/還元電流)に感受性であり、較正電極の近くに存在する参照溶液のpHを制御するように構成された酸化還元活性種(電流/電位が印加されると酸化/還元を受ける種)を含む。酸化還元活性種は、以下のようにして、較正電極に近接する局所環境のpHを制御し得る。まず、酸化還元活性種は、酸若しくは塩基のいずれかを含み得、及び/又は酸若しくは塩基部分を含み得る。このように、緩衝能が低い参照溶液は酸性又は塩基性酸化還元活性種の効果を緩衝することができないので、酸化還元活性種の酸性又は塩基性の性質により、参照溶液の局所環境のpHが設定される。次に、酸化還元活性種は、酸化還元活性種に電位が印加された場合にプロトンを参照溶液に消費又は供与することによって、参照溶液の局所環境のpHを誘発し得る。さらに、参照溶液はプロトン消費又は供与の効果を緩衝することができないので、酸化還元活性種は較正電極に近接する参照溶液の局所pHを設定する。
参照溶液は電気化学センサの参照チャンバに収容される溶液であり、上述したように、通常、塩化カリウム溶液等を含む。参照溶液は、一定の参照電位を維持するための飽和塩化物イオン溶液を提供する。塩化カリウム、塩化ナトリウム等は、緩衝剤を含まず、緩衝能の低い溶液である。これらの参照溶液は緩衝能が低いか又は緩衝剤を含まない(bufferless)ので、酸化還元種の局所的効果を緩衝する緩衝能がないので、酸化還元種が、酸化還元種に近接する参照溶液の局所環境に影響を及ぼすこととなる。本開示の実施形態では、pH感受性である酸化還元活性種は、水素イオン濃度に影響を及ぼす(酸化/還元中にプロトンを消費又は生成する)化学物質、塩基、酸、塩基部分、酸部分等を含んでよく、参照溶液の局所pHを7より大きいか又は小さい値に設定することが可能である。例として、酸化還元種は、アントラキノン、フェロセン、サリチル酸等を含み得る。実際、pH感受性である全ての酸化還元活性系は、酸化/還元中に低緩衝能溶液の局所pHを設定することとなり、本質的にこの効果を打ち消す酸化還元活性系を使用することによってのみこの効果を防止することが可能である。本開示の実施形態は、参照溶液の局所pHを7に設定する酸化還元種を使用することが可能であるが、較正処理を複雑にする可能性があるので、これは好ましい実施形態ではない。
本開示の実施形態では、電気化学的/ボルタンメトリック掃引が較正(作用)電極に付与されて較正電極から電気化学的/ボルタンメトリック応答が生じるが、ここで、電気化学的/ボルタンメトリック応答は酸化還元活性種の酸化/還元を含む。ボルタンメトリック応答は、酸化/還元電流における特異点/ピークを含み、これらのピーク/特異点に対応する電位はピーク電位として知られている。pH感受性である酸化還元活性種のピーク電位は、較正電極が接触している溶液のpHによって設定される。
本開示の実施形態では、較正電極に局所的な参照溶液のpHが、酸化還元活性種によって設定される。したがって、較正電極によって生成されるピーク電位は一定値である。動作中、電気化学的/ボルタンメトリック掃引が酸化還元活性種に付与されると、酸化還元活性種は酸化/還元を受ける。この酸化/還元の間、酸化還元活性種は、この酸化還元活性種の化学的性質に応じてプロトンを供与又は消費するが、接触した溶液の緩衝能は低いので、この効果は溶液によって緩衝されず、その結果、酸化還元種は、較正電極から生じ、較正電極に近接するプロトン/水素イオン濃度によって支配される電気化学的/ボルタンメトリック応答を生成する。
本開示の実施形態では、この一定のピーク電位、及び/又は電気化学的/ボルタンメトリック応答における関連電位は、電気化学センサの参照電位を較正するための参照/較正値として使用される。したがって、本開示の実施形態では、電気化学物質が展開/使用中であり、決定されたピーク電位が参照電位を較正するために使用されている間に、手動操作の介入無しで、較正/作用電極は定期的に掃引されてもよい。
いくつかの実施形態では、参照電極電位の較正が、参照電極の電位と、較正電極によって生成されるピーク電位等との差を測定することによって行われ、ここで、ピーク電位は一定の電位であり、任意の変化は参照電位のドリフトに起因するので、上記差の任意の変化がセンサからの出力を補正/較正するために使用される。ほとんどの電気化学センサの参照溶液は塩化物イオンを含むので、較正電極の酸化還元活性種は、塩化物イオン濃度に影響されないように選択される。このように、較正電極及びこの較正電極によって生成されるピーク電位は、参照溶液の塩化物イオンの濃度とは無関係である。
驚くべきことに、本願の出願人は、広範な試験から、参照溶液の局所pHを制御する酸化還元活性種の効果を見出し、酸化還元活性種の酸化/還元によって生じる一定のピーク電位が、参照溶液の大きな希釈(50%希釈まで);参照溶液中の酸又は塩基の存在;参照溶液中の活性化学物質の存在;炭酸塩、例えば硬水(炭酸塩は溶液の緩衝能に影響を及ぼし、それによって酸化還元活性種の局所pH設定能力を低下させるので問題がある)等によって乱されないことを見出した。
ピーク電位、つまり、較正電極によって生成された電気化学的/ボルタンメトリック信号のピークは、参照電位を較正するために使用されてもよいが、電気化学的/ボルタンメトリック応答におけるその他の電位(生成された掃引信号の方向の変化、掃引信号の最大変化率、又は信号処理によって確認され得るその他の特性等)を較正電極の較正電位を取得するために使用してもよく、次いで、これを参照電極を較正するために使用してもよい。いくつかの実施形態では、較正電極の電気化学的/ボルタンメトリック掃引応答の複数の点を分析して、較正電位を生成してもよい。さらに、参照溶液中の酸化還元活性種によって設定されるpHは既知であり、計算可能であり、又は試験/実験から決定することが可能であるので、シグナルプロセッサは、この知識を使用して、印加された電位掃引に対する電気化学的/ボルタンメトリック応答を分析することが可能である。
ボルタンメトリック/電気化学的測定は、参照電極からの測定とは異なり、電位差測定ではないので、この測定により、真に独立した較正が提供される。さらに、ボルタンメトリック/電気化学的測定は、連続的/高頻度測定に伴う問題/メンテナンス要件を定期的に低減するようにすることが可能である。また、較正システムをAg/AgCl基準システム等のロバスト基準システムと共に使用してもよく、イオンの存在を電位差測定によって測定することに依存しない。
本開示の実施形態では、較正電極は、電極に近接する電気化学センサの参照溶液の局所環境を制御する酸化還元活性種を含む。局所環境のこの制御は、いくつかの実施形態では、電極を低緩衝液/低イオン強度溶液(水、海水、塩化ナトリウム溶液、銀、塩化カリウム溶液等)と接触させることによって提供され得る。そのような環境では、分析対象物の緩衝/イオン強度が低いため、較正電極は、酸化還元活性種自体によって制御される環境を「見る」。例えば、電気化学センサのための一般的な酸化還元活性種であるアントラキノンは、ボルタンメトリック信号が印加されると、アントラキノンが還元中にプロトンを消費して、センサによって測定される局所環境におけるpHの変化を誘発するので、約10又は11のpHを測定する。酸化還元種と接触する分析対象物が低緩衝/低イオン強度分析対象物である場合、酸化還元種のこの効果は、それらが特別に構成されていない限り、ほとんどの酸化還元活性種について起こるであろう。
他の実施形態では、サリチル酸等の酸基、又はアミン基を含有する種等のアルカリ基を含有する酸化還元種は、感知される流体の酸性度/アルカリ度にかかわらず、酸性又はアルカリ性の局所環境を生成する。このような実施形態では、酸化還元種と接触する分析対象物の緩衝/イオン強度が低くない場合であても、局所環境は酸性/アルカリ性酸化還元種によって制御される。本発明のいくつかの実施形態では、酸基又はアルカリ基を有する酸化還元種を使用して、局所環境のpHを中性の読み取り値(pH7)から移動させ、ボルタンメトリック信号が較正電極に印加されたときに、較正電極から既知の参照電位出力を提供する。
このようなアプローチは、安定した参照電極システムを必要とする全ての電気化学システムにおいて利用することが可能である。カリウムイオンセンサは、標準的なAg/AgCl電極と共に、バリノマイシン修飾膜を利用して、イオン選択的応答を提供する。このようなシステムの寿命はしばしば、参照電極の不安定性によって損なわれる。このようなシステムでは、制御された環境を有する電極を使用する較正掃引システムを追加することにより、参照電極におけるドリフトに伴う寿命の問題が回避される。
センサは、試験される溶液の特性ではなく、酸化還元種によって制御される局所環境の特性を測定するため、これまで、センサから不正確な出力が生じるので、局所環境を制御する酸化還元種の効果は電気化学センサ動作の弱点として識別されてきた。しかし、本明細書に記載されるように、この効果は局所環境の支配のために、較正のために使用され得る既知の出力を有する電極を提供する。
低緩衝/低イオン強度溶液(例えば、水/海水等)に使用するように設計されたセンサでは、較正電極を低緩衝/低イオン強度流体と直接接触させて、酸化還元種が局所環境を制御して、較正電極から既知の/安定した電位出力を生成してもよい。未知の特性及び/又は高いイオン強度/緩衝強度を有する流体と共に使用され得るセンサでは、較正電極は、フリット等の背後に保持される分析対象物(例えば、低いイオン強度/緩衝強度を有する水溶液)等の既知の分析対象物と接触していてもよい。いくつかの実施形態では、較正電極は、参照電極と同じ流体環境、すなわち、試験/分析される溶液との電気/イオン伝導性を可能にするフリットの後ろのリザーバ内に保持された参照溶液と接触していてもよい。
いくつかの実施形態では、較正システムは、既存の参照電極チャンバ内に配置される追加の電気化学セルを含んでいてもよい。このような構成では、既存の参照電極チャンバ内の参照電極が、較正システムの参照電極として使用され得る。
図面の簡単な説明
図面において、同様の構成要素及び/又は特徴は、同じ参照符号を有し得る。さらに、同じタイプの様々な構成要素は、ダッシュ及び類似の構成要素を区別する第2のラベルによって参照ラベルに従うことによって区別され得る。第1の参照ラベルのみが本明細書で使用される場合、説明は、第2の参照ラベルに関係なく、同じ第1の参照ラベルを有する類似の構成要素のいずれか1つに適用可能である。
図1Aは、参照電極を有するガラス電極pHセンサを示す。 図1Bは、参照電極/基準システムを備える電気化学センサの概略型の図である。 図2Aは、本開示のいくつかの実施形態に係る較正システムを備える電気化学センサを示す。 図2Bは、本開示のいくつかの実施形態に係る較正システムを備える電気化学センサを示す。 図2Cは、本開示のいくつかの実施形態に係る較正システムと、較正システムからの出力とを備える電気化学センサを示す。 図3は、本開示のいくつかの実施形態に係る電気化学センサの基準システムのオンライン較正のための方法のフローチャートである。
説明
以下の説明は本発明のいくつかの実施形態を説明するためのものであり、本発明の範囲、用途又は構成を限定することを意図するものではない。本明細書に記載されている本発明の範囲から逸脱することなく、要素の機能及び配置に様々な変更を加えてもよい。いくつかの実施形態は、全ての具体的詳細無しで実施され得る。例えば、不必要な詳細において実施形態を不明瞭にしないために、回路をブロック図で示してもよい。他の例では、実施形態を不明瞭にすることを避けるために、不必要な詳細無しで、周知の回路、プロセス、アルゴリズム、構造及び技法を示すことができる。
いくつかの実施形態は、フローチャート、フロー図、データフロー図、構造図又はブロック図として示されるプロセスとして説明されてもよい。フローチャートは動作を順次プロセスとして説明することができるが、動作の多くは並列に又は同時に実行することができる。さらに、動作の順序は、再構成されてもよい。プロセスはその動作が完了したときに終了するが、図に含まれない追加のステップを有することができ、任意のステップ又はブロックで開始又は終了されてもよい。プロセスは、メソッド、関数、プロシージャ、サブルーチン、サブプログラム等に対応し得る。プロセスが関数に対応する場合、その終了は、関数が呼び出し関数又はメイン関数へ戻ることに対応する。
さらに、本明細書で開示されるように、「記憶媒体」という用語は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気RAM、コアメモリ、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス及び/又は情報を記憶するためのその他の機械可読媒体を含む、データを記憶するための1つ又は複数のデバイスを表し得る。「コンピュータ可読媒体」という用語は、ポータブル又は固定記憶デバイス、光記憶デバイス、ワイヤレスチャネル並びに指示及び/又はデータを格納、包含又は搬送することが可能な様々なその他の媒体を含むが、これらに限定されない。
さらに、実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語、又はそれらの任意の組合せによって実施され得る。ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア又はマイクロコードで実施される場合、必要なタスクを実行するためのプログラムコード又はコードセグメントは、記憶媒体等の機械可読媒体に格納され得る。プロセッサが、必要なタスクを実行してもよい。コードセグメントは、プロシージャ、関数、サブプログラム、プログラム、ルーチン、サブルーチン、モジュール、ソフトウェアパッケージ、クラス、又は指示、データ構造若しくはプログラムステートメントの任意の組合せを表し得る。コードセグメントは、情報、データ、引数、パラメータ又はメモリ内容を渡す、及び/又は受信することによって、別のコードセグメント又はハードウェア回路に結合され得る。情報、引数、パラメータ、データ等は、メモリシェアリング、メッセージパッシング、トークンパッシング、ネットワークトランスミッション等を含む任意の好適な手段を介して、渡され、転送され、又は送信され得る。
ここで、実施形態を詳細に参照し、その例を添付の図面に示す。以下の詳細な説明では、本明細書の主題の完全に理解するために、多数の具体的詳細が述べられる。しかし、これらの具体的詳細無しでも主題を実行し得ることは、当業者には明らかであろう。他の例では、実施形態の特徴を不必要に不明瞭にしないように、周知の方法、手順、構成要素及びシステムは詳細には説明されていない。以下の説明では、1つの実施形態の特徴は、その特徴に互換性がない別の実施形態からの特徴と組み合わせて使用されてもよいことを理解されたい。
「第1」、「第2」等の用語は、様々な要素を説明するために本明細書で使用され得るが、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきではないことも理解されるのであろう。これらの用語は、1つの要素を別の要素から区別するためにのみ使用される。例えば、第1のオブジェクト又はステップは、第2のオブジェクト又はステップと呼ぶことができ、同様に、第2のオブジェクト又はステップは、第1のオブジェクト又はステップと呼ぶことができる。第1のオブジェクト又はステップ、及び第2のオブジェクト又はステップはそれぞれ、両方のオブジェクト又はステップであるが、それらは同じオブジェクト又はテップと見なされるべきではない。
本明細書の開示の説明で使用される用語は特定の実施形態を説明するためだけのものであり、主題を限定することを意図するものではない。この説明及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」及び「the」は文脈が明確に沿わないことを示さない限り、複数形も含むことが意図される。本明細書で使用される「及び/又は」という用語は、関連する列挙された項目のうちの1つ又は複数の任意の可能な組合せ及び全ての可能な組合せを指し、包含することも理解されよう。さらに、「含む」、「含んでいる」、「備える」及び/又は「備えている」という用語は、本明細書で使用される場合、述べられた特徴、整数、ステップ、動作、要素及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素及び/又はそれらの群の存在又は追加を排除するものではない。
本明細書で使用されるように、「場合(if)」という用語は、文脈に応じて、「いつ」又は「上に」又は「決定に応答して」又は「検出に応答して」を意味すると解釈されてもよい。同様に、文脈に応じて、「それが決定されるかどうか」又は「[述べられた条件又は事象]が検出されるかどうか」という句は、「決定すると」又は「[述べられた条件又は事象]を検出すると」又は「[述べられた条件又は事象]を検出すると」を意味すると解釈されてもよい。
本開示の目的のために、以下の用語は以下の意味を有する。
「酸化還元種」は、酸化及び還元され得る化合物又は組成物である。「酸化還元活性」は、これらのプロセスのいずれか又は両方を指す。
「レドックス感受性種」は、これらのユーザ定義用途に特異的な許容範囲内での、サンプル中の分析対象物の存在若しくは濃度に対して感受性であるか、又は実質的に感受性である酸化還元種である。分析対象物に対して「実質的に感受性」とは、エンドユーザによって定義されるように、所与の用途に必要とされる許容範囲内で感受性であることを意味するために使用される。
「酸化還元活性物質」は、酸化及び還元され得る化合物又は組成物である。「酸化還元活性」は、これらのプロセスのいずれか又は両方を指す。
「参照電極」(RE)は、作用電極(WE)に印加される電位差を確立するために使用される電極である。従来のREは、ある一定の化学組成を有し、したがって、一定の電気化学ポテンシャルを有し、したがって、既知の制御された方法で、WEに印加されるポテンシャル差の測定を可能にする。REは、典型的には、固定された化学組成及びイオン強度の電解質と接触するレドックス対の2つの半分を含む。レドックス対の半分の両方が存在し、含まれる全ての種の組成が固定されるので、システムは平衡に維持され、REの電極−電解質界面を横切る電位降下(すなわち、測定された電圧)は、次いで、熱力学的に固定され、一定となる。例えば、一般的に使用されるRE系は、KCl濃度が規定され且つ一定であるAg/AgCl/KCl系である。したがって、2つの半電池反応は以下のようになる:Ag++e−→Ag;AgCl+e−→Ag+Cl。したがって、全体のセル反応は、以下のようになる:AgCl→Ag+++Cl−;ここで、ネルンスト平衡電位はE=E0−(RT/F)*ln[Cl−]として与えられ、Eは測定されたRE電位であり、E0は、単位活性における全ての種を有する標準水素電極(慣例により、標準水素電極は0.0Vの電位を有すると定義される)に対するAg/AgCl対の標準電位であり;R、T及びFはそれぞれ、適切なユニット中における一般気体定数、温度及びファラデー定数である。したがって、このシステムの電位は、存在するClイオンの濃度(より厳密に言えば活性)のみに依存し、これが固定される場合、安定した固定電位が提供される。多くのその他のREシステムが当技術分野で知られている。REの組成が一定のままであることが必須であり、したがって、電流をほとんどREに流すべきではない(そうでない場合には電気分解が起こり、REの組成が変化する)が、これは、回路を完成させるために第3の電極(カウンター電極(CE))の使用が必要となる。しかし、WEが典型的には100μmよりも小さい少なくとも1つの寸法を有する微小電極である特別な場合には、2電極構成を使用することが可能である。この場合、WEで流れる電流は小さいので、CEを必要とせずに、2電極セルをREと共に使用することが可能である。
「センサ」は、分析対象物の存在に応答して信号を生成する電極又は電極集合体である。センサは、例えば、作用電極、カウンター電極及び参照電極(従来の参照電極又は擬似参照電極のいずれか)を含むことが可能である。センサは、例えば、作用電極、カウンター電極及び分析対象物不感受性電極を含むことが可能である。
「電極」はセンサの構成要素であり、金属、炭素等を含み得る。様々なカーボン基材が、本発明の電極における基材材料として使用するのに適しており、その例としては、黒鉛(熱分解黒鉛及び等方性黒鉛を含む)、アモルファスカーボン、カーボンブラック、単層又は多層カーボンナノチューブ、グラフェン、ガラス状カーボン、ホウ素ドープダイヤモンド、熱分解フォトレジストフィルム及び当技術分野で知られているその他のものが含まれるが、これらに限定されない。
「作用電極」は、目的の分析対象物を検出するための電気化学的プロセスが起こる電極である。センサにおいて、作用電極は、試験試料中の1つ以上の分析対象物に感受性であってもよいか、又は分析対象物感受性種/材料で化学的に修飾されてもよい。作用電極の電気化学的応答は、検査中のシステムにある程度の摂動が加えられた後に測定される。例えば、摂動は、電子移動を生じさせる作用電極への電位差の印加であってもよく、作用電極でその結果得られる電流は、印加された電位の関数として記録される(ボルタンメトリックモード)。多くの他のモードが当技術分野で知られているので、この動作モードの例は例示であり、網羅的ではない。作用電極は、試料溶液中の分析対象物(pHメータの場合は水素イオン;他の分析対象物感知装置の場合は他の検体)の濃度及び印加電位に応じて、可逆的な電気化学的酸化還元反応を受けることが可能な酸化還元種を含み得る。例えば、試料溶液中に高濃度の水素イオンが存在する場合、酸化還元反応はより低い電位で起こる。逆に、試料溶液中に存在する水素イオンの濃度が低い場合には、より高い電位で酸化還元反応が起こる。これらの特性電位と試料溶液pHとの関係は、酸化還元種の化学的性質の関数である。アルゴリズムは、電位をpH値に変換して、未知の試料のpHを決定する手段を提供する。
図1Aは、ガラス電極pHセンサを示す。ガラス電極は、最も一般的な電気化学センサのいくつかである。ガラス電極は、イオン選択性電極/センサの一例である。
ガラス電極pHセンサは、基本的な特性であるpHを測定するために十分に確立された技術を使用するので、最も普遍的な電気化学センサのいくつかである。ガラス電極は、測定チャンバ12内に収容された内部電極10を含む。ガラス電極は試験溶液20中に配置され、内部電極10はガラス膜15を介して試験溶液20と電気的に連通している。ガラス膜15は、測定チャンバ12内の流体と試験溶液20との間のイオン交換を提供する。
ほとんどの電気化学センサと同様に、ガラス電極は参照電極25を含む。参照電極25は、参照溶液25を含む参照チャンバ22内に配置される。参照溶液25は、多孔質フリット27を介して試験溶液20と電気的に連通するように構成され、これにより、2つの溶液の電気的特性の均等化が可能になっている。参照電極22の参照電位に対する測定電極10の電位を測定することによって、試験溶液20のイオン濃度によって設定される出力電位をpH計に伝達することができる。
ガラス電極は本質的に、ガラス膜15、内部電極10、参照電極25及びガラスステムの4つの主要な構成要素からなる。内部電極10及び参照電極25は、いずれも溶液中に配置されている。一般に、これらの溶液は同じ溶液であり、塩化カリウム、塩化ナトリウム等の塩化物イオンで飽和された溶液を含んでいてよい。最良の結果を得るためには、対称液体セルをガラス膜の両側に設置する。対称セルをセットアップするために、ガラス中の内部充填溶液と参照充填溶液とは、それらの構成において類似している。対称性は、2つの解の温度曲線が近く、それによって互いの温度効果を相殺するように重要である。
参照電極は、測定される溶液と電気的に接触し、予測可能な電圧を生成する化学成分を有する電池のように作用する。参照出力は一定電圧であり、したがって、ガラスに、ガラス膜を横切る電位として見られる水素イオン濃度の変化を区別するための基準点を与える。
図1Bは、電気化学センサの模式図である。
図1Bにおいて、電気化学センサ30は、感知システム35及び基準システム33を備える。感知システム35は、作用電極を備えてよく、試験溶液45と接触するように構成されていてもよい。感知システム35は、感知システム35に電気信号が印加された場合に、酸化/還元を受けるように構成された化学物質を含む。化学物質は、電気化学センサが検出/測定するように設計された特定のイオン/化学種の濃度に応じて、酸化/還元電流の振幅及び/又は酸化/還元電流のピークに関連する電位が変更するように選択される。
電気化学センサ30では、関心のあるイオン/化学物質の濃度を決定することを可能とする反応が、感知システム35の作用電極35の表面で起こる。動作中、作用電極35の表面と試験溶液45(すなわち、界面電位)との間の界面を横切る電位降下は、電気化学センサ30において制御される。しかし、試験溶液45中に別の電極、つまりカウンター電極(図示せず)を配置することなく、この界面電位を制御又は測定することは不可能である。カウンター電極及び作用電極35を使用することによって、2つの界面電位が生成され得、いずれも独立して測定することができない。作用電極35の界面電位を測定することを可能とするためには、カウンター電極の必要条件がその界面電位が一定のままであり、その結果、セル電位の変化が作用電極界面電位の同一の変化を生じることである。
電位が電流と共に変化しない電極は、理想的な非分極性電極と呼ばれ、電流対電位プロット上の垂直領域によって特徴付けられる。しかし、この理想的な方法で挙動する電極は存在していない。その結果、非理想的な挙動として、上述の2電極システムにおけるカウンター電極の界面電位は、電流がセルを通過することにつれて変化してしまう。この問題は、カウンター電極の機能が参照電極36と1つ以上の補助電極(図示せず)との間で分割される3電極システムを使用することによって克服される。この構成では、作用電極35と参照電極36と1つ以上の補助電極との間の電位が制御され、作用電極35と1つ以上の補助電極との間に電流が流れる。参照電極36を流れる電流は、参照電極を流れる電流を有することが望ましくないので、参照電極36への入力として高入力インピーダンス演算増幅器を使用することによって低減される。
電気化学センサにおいて、基準システム33は、参照チャンバ34を含み得る。参照チャンバ34は、参照溶液39及び参照電極36を含む。参照電極36は、参照溶液39内に少なくとも部分的に配置される。最も一般的な基準システムの1つは、参照電極が塩化銀のコーティングを有する銀から形成される銀−塩化銀基準システムである。銀−塩化銀参照溶液の参照溶液は、塩化カリウム溶液又は塩化ナトリウム溶液等の塩化物イオンを含有する溶液を含む。
銀−塩化銀基準システムの酸化還元プロセス方程式は、以下の通りである:
AgCl+e <=> Ag+Cl
参照溶液39は、3モルオーダーの塩化ナトリウム又は塩化カリウムを含み得る。
任意の電極の電位Eは、Eを標準電位E0及び酸化還元成分の活性(標準電位が標準条件下での単位活性での電極の電位である)に関連させるネルンスト方程式によって決定される。銀/塩化銀電極のネルンスト方程式は以下の通りである。
Figure 0006920473

一般に、活性よりも濃度を考慮する方が好都合である。これらのパラメータは、アクティビティ係数gによって関連づけられる。
Figure 0006920473

したがって、ネルンスト方程式は、以下のように書き換えることができる:
Figure 0006920473

ここで、E0’は公式ポテンシャルであり、次式によって標準ポテンシャルに関連する:
Figure 0006920473

25℃での銀/塩化銀酸化還元反応のための参照酸化還元電位(E0)は+0.222V(対NHE)であるが、この温度でのBASi銀/塩化銀参照電極の酸化還元電位(E)は+0.206V(対NHE)である。
基準システム33において、参照チャンバ39は多孔質フリット37を含む。多孔質フリット37は、参照チャンバ36の内側と試験溶液45との間の電気経路をイオン伝導する。これは、作用電極35と参照電極36の電気的状態を均一にするために必要である
しかし、銀−塩化銀基準システムのネルンスト方程式は、参照チャンバ34内の塩化物イオン濃度の変化が基準システム33の酸化還元電位を変化させる参照ことを示している。電気化学センサの動作中、塩化物イオンは多孔質フリット37を通って参照チャンバ34から出ることが可能であり、且つ/又は試験溶液45は、多孔質フリット37を通って参照チャンバ34に入ることが可能である。いずれの場合も、参照チャンバ34内の塩化物イオン濃度が変化し、その結果、基準システム33の参照電位が変化する。この参照電位の変化は、しばしばドリフトと呼ばれる。参照電極ドリフトの結果、対象となる化学物質/イオンの測定における不正確さにつながる。参照電極のドリフトに対処するためには、電気化学センサは、定期的に再較正されなければならない。電気化学センサの再較正は、電気化学センサのオペレータが既知の濃度の対象イオン/化学物質を含む少なくとも3つの異なる溶液中で電気化学センサからの出力を測定することを含み、その結果、電気化学センサからの出力を、センサが既知の濃度について生成したはずである既知の応答と比較することができ、センサは、比較において見出される任意の差を説明するように再較正される。
例として、水道業界では、規制を満たし、水資源を管理するために、複数の電気化学的pHセンサ、一般的にはガラス電極がpHを監視するために水管理インフラストラクチャ中に配置されている。pHセンサを動作させるためには、技術者は電気化学的pHセンサの各々を定期的に訪問し、基準システムを再較正しなければならない。これは、既存の電気化学センサを動作させるのに必要であるが、時間がかかり高価である。水道業界において、センサ製造業者は、3ヶ月程度毎に再較正が行われ得るセンサを製造している。
しかし、この延長された再較正持続時間を得るために、センサ精度は大幅に低下してしまい、その結果、±20%オーダーの精度となってしまう。この長い持続時間は、予想される/補間されたドリフトがプログラムされ、参照電位がそれに応じて調整され得るソフトウェア処理を使用することによって可能となっている。しかし、基準システムの動作を実際に監視することは不可能であり、再較正間に行われる測定の精度は特に再較正間の時間が長い場合には疑問であり、多くのセンサ操作者がより頻繁な再較正を利用することにつながる。さらに、化学処理及び/又は化学廃棄物監視等、水道業界よりも困難な産業で使用される電気化学センサは、より反応性が高い化学物質/イオンが多孔質フリット37を通過して参照チャンバ34に入り、基準システム33によって生成される参照電位に影響を及ぼすことがある条件で動作する。さらに、既存の電気化学センサは一般に、センサ動作に関する品質保証、品質管理データを提供することができない「ダム(dumb)」センサである。頻繁な手動再較正及び/又はダム動作が必要であるということは、ガラス電極を含む多くの電気化学センサがネットワーク動作できないことを意味する。
図2Aは、本開示のいくつかの実施形態に係るオンライン較正システムを備える電気化学センサを示す。
図2Aに示すように、電気化学センサ130は、感知システム135及び参照システム133を備える。センサシステム135は、試験溶液145中のイオン/化学種の濃度に依存する、印加された電子信号に対する電気的応答を提供するように構成された感知/作用電極等を備えていてもよい。電気化学センサ130は、例えばガラス電極、電流測定センサ、酸化還元センサ、ISFET等のイオン選択電極であってよい。
処理回路を含むプロセッサ140は、感知システム135と通信して、感知システム135に信号を印加し、印加された信号に対する感知システム136の応答を処理するように構成される。図1A及び図1Bに関して説明したように、感知システム135の応答を処理するためには、電気化学センサのプロセッサ140に参照電位を提供する必要がある。
図2Aに示すように、基準システム133は、参照チャンバ134を含む。参照チャンバ134は、参照溶液139及び参照電極136を含む。参照電極136及び参照溶液139は、参照電極136に参照信号が印加されると、参照電極136が一定の参照電位を生成するように構成される。例えば、参照電極136は銀−塩化銀電極を含んでいてもよく、参照溶液139は塩化ナトリウム溶液、塩化カリウム溶液等の塩化物イオンを含有する溶液を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、参照溶液139は、ペースト、ゲル等を含んでもよい。
本開示のいくつかの実施形態では、3電極システムを備える較正システムが、参照チャンバ134内に提供される。図示するように、3電極システムは、作用電極120、カウンター電極123及び参照電極126を含む。いくつかの実施形態では、較正システムは、単一の作用電極、2電極システム、又は4つ以上の電極を含むシステムを含み得る。本開示のいくつかの実施形態では、較正システムの電極のうちの1つが参照電極136を含んでいてよい。
本開示の実施形態において、作用電極120は酸化還元種121を含む。酸化還元種121は、pH感受性であるように構成され、すなわち、酸化還元種は、作用電極120によって接触した溶液のpHに応じて変化する、印加される電気信号に対する応答信号を生成するように構成される。本開示の実施形態では、酸化還元種121は、作用電極120が配置されている参照溶液139の局所環境のpHを設定し、較正信号が較正システムに印加されると、この設定されたpHを感知するように構成されている。
pH/水素イオン濃度に感受性を有し、較正電極に局所的な参照溶液のpHを設定する適切な酸化還元種としては、限定されないものの、例えば、アントラキノン(AQ)、フェナントレンキノン(PAQ)、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(DPPD)、アントラセン、ナフタキノン、パラ−ベンゾキノン、ジアゾ含有化合物、ポルフィリン、NADH、NAD+及びN−メチルニコチンアミドを含むニコチンアミド、キノンチオール、モノ第四級化N−アルキル−4,4’−ビピリジニウム、RuO、及びNi(OH)、フェロセンカルボキシレート、並びにこれらの化合物の誘導体;CO感受性ASM;フェロセニルフェラゼチンジスルフィド;鉄ポルフィリン類;アルカリ金属カチオン感受性ASM;1,1’−(1,4,10,13−テトラオキサ−7,1−ジアザシクロオクタデカン−7,16−ジイルジメチル)、フェロセニルチオール、その他の共有結合したクリプタンド含有フェロセン誘導体、及びFe2+/Fe3+、Co2+/Co3+、Cu/Cu2+との特定金属錯体、フェロセニルフェラゼチン及びフェロセニルクリプタンド、置換アントラキノン、モノ−、ジ−又はポリ−ヒドロキシ置換AQ;モノ−、ジ−又はポリ−アミノ置換AQ、エチレングリコール又はポリエチレングリコール修飾AQ等が含まれ得る。当業者は、特別に構成されていない限り、酸化還元種が酸化/還元される場合、参照溶液の低い緩衝能のために、pH感受性の任意の酸化還元種が参照溶液の局所pHを設定することを理解するであろう。
前述したように、pH感受性である酸化還元活性種を含む作用電極を使用する電気化学的pHセンサの問題とは、低緩衝能/緩衝剤非含有(bufferless)溶液と接触したときに、酸化還元活性種が、作用電極に近接した低緩衝能/緩衝剤非含有溶液の局所環境のpHを設定することである。本質的に、上記溶液は緩衝能が低く、及び/又は緩衝剤を含まないので、この溶液に対する酸化還元活性種の局所的効果を緩衝することができない。これは、酸化還元種の特性に依存してプロトンpHを有する酸化還元活性種に近い領域をもたらす。この問題は、低緩衝能又は緩衝剤非含有溶液(水、海水、塩化ナトリウム溶液、塩化カリウム溶液等)中でpHを測定するために酸化還元活性種を使用する電気化学センサの使用を制限するものとして認識されてきた。この問題を克服するために、酸化還元化学物質が、酸化還元種によって設定された局所環境のpHではなく、接触した溶液のpHに感受性であるように、加速された応答を提供する、特殊化された酸化還元化学が開発されてきた。
本開示の実施形態では、酸化還元種121が、低緩衝能/緩衝剤非含有溶液中の局所pH設定の効果を克服するように構成されていない、pH感受性の任意の酸化還元種を含んでいてもよい。好ましい実施形態では、酸化還元活性種121が、参照溶液139の局所環境のpHを、pH7よりも1pH単位高いか又は低いpH値に設定するように選択される。出願人は、酸化還元活性種121がpH7ではない又はpH7に近くないpHを設定する場合に、較正処理が最適化されることを見出した。いくつかの実施形態では、酸化還元活性種121は、酸、塩基、酸部分又は塩基部分を含んでいてもよい。
本願出願人は、pH感受性を有する一般に使用される酸化還元種のほとんど全てを使用して、局所環境のpHを設定し、この設定されたpHに対する応答を生じさせることができることを見出したが、これはpH感受性を有する酸化還元活性種の非常に少ないものが、低緩衝能の問題を克服するために提供するからである。例として、本願出願人は、最も一般的に使用されるpH感受性の酸化還元種のいくつかであるアントラキノン及びその誘導体を、酸化還元活性種121として使用することが可能であることを見出した。例として、アントラキノンは、参照溶液の局所環境のpHを約10のpH値に設定する。
本開示の実施形態では、酸化還元種121は、pH感受性であり、作用電極120に近接する参照溶液139の局所pHを設定するように構成される。酸化還元種121のこれらの特徴、及び酸化還元種121は塩化物イオン濃度に感受性でないという事実は、酸化還元種の応答は、塩化物濃度に対する変化にかかわらず一定の値であることをもたらす。
本開示の実施形態では、参照溶液139は、低緩衝容量/緩衝剤非含有溶液を含む。上述のように、基準システム133の最も一般的な参照溶液は、塩化ナトリウム、塩化カリウム等を含む。塩化カリウム溶液及び塩化ナトリウム溶液はいずれも、低緩衝能/緩衝剤非含有溶液を含む。塩化カリウム(KCl)参照溶液は、参照溶液中に緩衝剤を含まないので、本発明の実施形態での使用によく適している。
本開示のいくつかの実施形態では、較正プロセッサ150が、作用電極120に電気化学的/ボルタンメトリック信号を印加してもよい。ボルタンメトリック信号は、方形波ボルタンメトリック信号、傾斜ボルタンメトリック信号等の、可変電子信号を含み得る。較正システムが3電極システムを含む本開示の実施形態では、ボルタンメトリック信号が作用電極120、カウンター電極123及び参照電極126の間で掃引されてもよい。
ボルタンメトリック信号の印加に応答して、作用電極は、電気化学的/ボルタンメトリック応答を生成する。この応答は、酸化還元種121によって生成される酸化/還元電流に依存する。酸化還元種121はpH感受性であるので、酸化還元種121によって生成される酸化/還元電流は、参照溶液139のpHに依存するであろう。本開示の実施形態では、酸化還元種121が作用電極120/酸化還元種121に近接する参照溶液のpHを設定するように構成されているので、ボルタンメトリック応答は、設定されたpHに対応する一定の特徴、例えば、酸化/還元電流のピーク/特異点に対応するピーク電位を有することとなる。本開示の実施形態では、ボルタンメトリック応答は、較正プロセッサによって、ボルタンモグラム及び/又は作用電極電位対酸化還元電流を示す表現に処理されてもよい。
本開示の実施形態では、酸化還元種121及び参照溶液139は、pH感受性である酸化還元種121が酸化還元種121に対して局所的に参照溶液139のpHを設定するように選択される。このようにすると、本開示の実施形態では、ボルタンメトリック応答におけるピーク電位は一定である。本開示のいくつかの実施形態では、較正プロセッサ150及び/又はプロセッサ140がピーク電位を使用して、基準システム133の参照電位を較正する。単に一例として、いくつかの実施形態では、参照電位とピーク電位との間の差が較正プロセッサ150及び/又はプロセッサ140のうちの少なくとも1つによって決定され、記憶され得る。この差は、基準システム133及び/又は較正システムからの測定値を使用して、電気化学センサ130が最初にユーザによって展開されたときに測定されてもよく、経験的計算から計算されてもよく、電気化学センサの製造されたバッチ内の1つ又は複数の電気化学センサ上で行われたバッチ測定値から決定されてもよく、及び/又は同様のものであってもよい。
単なる例として、いくつかの実施形態では、参照溶液139の局所環境で生成された設定pHに対する酸化還元種121のピーク電位は、実験及び/又は試験等から測定、計算、決定されてもよく、較正プロセッサ150及び/又はプロセッサ140に入力されてもよい。その後、ユーザが基準システム133を較正するときに、較正プロセッサ150及び/又はプロセッサ140が、ピーク電位と参照電位との間の差を記録してもよい。
動作中、上述したように、電気化学センサ130の参照電位は、参照溶液139に対する変化(参照溶液139内の塩化物イオン濃度の低下等)の結果としてドリフトする。本開示の実施形態では、ピーク電位を生成するために、ボルタンメトリック信号を較正システムに繰り返し印加する。上述したように、このピーク電位と、ピーク電位と参照電位との間の既知/記録された差とは、較正係数を処理して、参照溶液139の変化に起因する参照電位のあらゆる変化を較正するために使用される。印加されるボルタンメトリック信号の周期性は、電気化学センサ130の使用に依存してもよく、較正プロセッサ150及び/又はプロセッサ140によって設定されてもよく、ユーザによって設定されてもよく、及び/又は製造業者によって設定されてもよい。例えば、電気化学センサ130がガラス電極を含み、数週間/数ヶ月の展開に使用される場合、周期性は、数時間又は数日オーダーであってもよい。数時間又は数日のセンサ展開では、周期性は、数秒、数分又は数時間オーダーであってもよい。
本開示の実施形態では、酸化還元種121に関連するピーク電位を繰り返し測定することによって、較正システムは、基準システム133の参照電位のオンライン較正を提供するように構成される。前述のように、基準システム133は、参照チャンバ134の内部と試験溶液145との間にイオン伝導性の電気経路を提供する多孔質フリット137を備える。この多孔質フリット137は、参照溶液139の希釈及び/又は参照溶液139への化学種の侵入を可能にする。試験において、出願人は、較正システムが、一定であり、かつ1モル未満の塩化ナトリウム又は塩化カリウムから約10モルまでの塩化ナトリウム又は塩化カリウムの参照溶液中の設定pHのみに依存する安定なピーク電位を生成することを見出した。これは、本開示の実施形態がほとんどの市販の参照システムにおいて使用可能であることを示す。
また、出願人は、参照溶液139が50%まで希釈された場合、較正システムのピーク電位が安定/一定であることを見出した。驚くべきことに、本願出願人は、塩酸等の酸;水酸化ナトリウム等の塩基;硬水等の炭酸塩;反応性化学物質、及びその他の反応性化学物質が参照溶液139に添加される場合、較正システムのピーク効力が安定/一定であることを見出した。本開示では、印加されたボルタンメトリック信号に応答して作用電極120によって生成されるピーク電位について述べる。このピーク電位は、酸化還元種121によって生成される酸化還元電流のピーク/トラフに対応する。いくつかの実施形態では、参照電位を較正するために、ピーク電位の代わりにボルタンメトリック応答の他の特徴を使用してもよい。例えば、ピーク電位ではなく、ボルタンメトリック応答における最大変化率に対応する電位/位置等の、ボルタンメトリック応答における別の特徴に対応する電位を使用してもよい。本開示の実施形態では、ピークピッキングアルゴリズム等を使用して、ボルタンメトリック応答のピークを識別してもよい。いくつかの実施形態では、参照溶液139と接触したときの酸化還元種121のピーク電位は既知である/計算可能であるので、ボルタンメトリック応答からピーク電位を決定するときに、この既知/計算されたピーク電位を使用してボルタンメトリック応答を処理してもよい。
図2Bは、本開示のいくつかの実施形態による較正システムを備える電気化学センサを示す。
電気化学センサは、センサ電極150及び参照システム160を含む。参照システム160は、参照溶液165及び参照電極151を含む参照チャンバ162を備える。参照電極151は、参照溶液165と少なくとも部分的に接触している。参照溶液165は、塩化ナトリウム、塩化カリウム等を含んでいてよい。
センサ電極150は、ガラス膜等を備えたガラス電極を含んでいてよい。センサ電極150は、試験溶液155と電気的に連絡/接触するように構成される。参照溶液165は、多孔質フリット167を介して試験溶液155と電気的に連通するように構成される。参照電極151は、電気化学センサのための参照電位を生成するように構成される。
典型的な参照電極は塩化銀電極である。塩化銀参照電極は、参照電極の銀金属と参照溶液のその塩(塩化銀)との間に平衡が提供される酸化還元電極として機能する。参照電位は、参照電極及び参照溶液の一定条件を前提として一定である。しかし、参照チャンバ内の塩化銀の濃度が変化すると、参照電位はドリフトすることとなる。参照溶液は、多孔質フリット167を介して試験溶液と流体連通しているので、濃度は電気化学センサの使用中に変化することとなる。
本開示の実施形態では、追加の電気化学セルの較正電極163が、既存の参照電極チャンバ内に配置される。電気化学セルは、カウンター電極161及び補助電極164を含んでよい。いくつかの実施形態では、参照電極151を、電気化学セルにおける参照電極/補助電極164としても使用してもよい。較正電極163は、電気化学セルの作用電極であり、較正電極163上に固定化され、酸化還元活性であり、pH感受性を有し、較正電極163の表面に近い参照溶液165の局所環境も制御する酸化還元種を含む。
いくつかの実施形態では、固定化された酸化還元種が、較正電極163上に溶媒キャストされてもよいか、較正電極163上に電気重合されてもよいか、又は較正電極163内に浸漬されてもよい。ポリマー層内に結合したレドックス対は、新しい安定レドックス対として作用する一方、局所環境を制御する層の能力は、電極が浸漬されているバルク溶液中で観察されるあらゆる変動から保護するための第2の層として作用する。この付加的な電気化学サーキットは、参照電極において現場で観察されるあらゆるずれを補正する手段として作用する。
いくつかの実施形態では、デバイスは、分析対象物感知電極と参照電極との間の電位差感知モード下で動作する。セルは、多孔質フリットの背後に収容された作用電極に対してボルタンメトリック掃引を周期的に実行する。作用電極上に固定された酸化還元活性種の電位は、参照電極内で生じるドリフトを補正するために使用される。いくつかの実施形態では、ボルタンメトリック掃引の周波数は、電気化学センサが適用される用途に依存する。
図2Cは、様々なボルタンメトリック掃引プロファイルを使用する、本開示のいくつかの実施形態に係る較正システムを備える電気化学センサからのセンサ出力の概略図を示す。図示されている構成では、較正システムは、センサの参照電極のQA/QCを提供することが可能である。図示されているセンサは、一体化された電気化学セル及びポテンショスタットを含み、システムは、ポテンショスタットからのボルタンメトリック信号を使用して、一体化された電気化学セル内の参照電極と較正電極との間に掃引を生成し、センサの動作中に参照電極のQA/QCに使用され得る電位を生成する。いくつかの実施形態では、センサは、修正されたバイポテンショスタットシステムを使用して動作されてもよい。このようなセットアップは、現在市販されているISEの場合のような、配置前の参照センサ較正の必要性を不要にする。本開示の実施形態では、配置前に、内部回路を測定することが可能であり、これを使用して、基準システムのパラメータを設定してもよい。
本発明の実施形態によっては、作用電極上に以下の化学構造を使用してもよく、ここで、分子の酸化還元活性成分は、カルボン酸、スルホン酸及び/又はアミノ部分を有する。
Figure 0006920473
サリチル酸(左上の構造)のような場合には、カルボン酸部分を含有する酸化還元活性pH活性ポリマー層を形成することが可能であり、提案されたセットアップにおいて、酸化還元活性成分は分子のpKa一致する溶液のpHを観察するだけである。
特定の実施形態では、新しい電気化学セル内の作用電極は単層を有することができ、この単層において、酸化還元活性成分は局所環境を直接制御するために付着した部分を有し、また、他の実施形態では、作用電極システムは、局所環境を制御するために使用される種から酸化還元活性成分が分離/独立している二重層を有することができる。他の実施形態では、作用電極システム内で使用される酸化還元活性種が、その酸化又は還元によって、プロトン、カチオン又はアニオンの放出/損失又は獲得を通して、表面への局所環境を制御することができる。
図3は、本開示のいくつかの実施形態に係る、電気化学センサの参照電極のオンライン較正方法のフローチャートである。
310では、電気化学センサの基準システムの参照溶液に接触するように較正電極が設けられている。基準システムは、参照溶液及び参照電極を含む参照チャンバを備える。参照電極は、金属、炭素等を含んでいてよく、参照溶液は、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の塩を含んでいてよい。
参照電極は、pH/プロトン濃度に感受性を有する酸化還元活性種を含む。参照溶液は、塩化カリウム、塩化ナトリウム等の緩衝剤非含有/低緩衝能溶液を含む。酸化還元活性種は、酸化還元活性種に対して局所的な/近傍に存在する参照溶液のpHを設定するように構成されている。酸化還元活性種は、較正電極上に固定されてもよく、較正電極に共有結合されてもよく、及び/又は同様のものであってもよい。較正電極は、炭素、炭素誘導体、金属等を含んでいてよい。酸化還元活性種は、塩化物イオン/塩化物イオン濃度に感受性を有しないように選択される。
320では、ボルタンメトリック信号/電位掃引が較正電極に印加される。較正電極は、カウンター電極を備える較正システムの一部であってもよく、ボルタンメトリック信号は、作用電極を備えてもよい較正電極とカウンター電極との間で掃引されてもよい。ボルタンメトリック信号は、方形波、ランプ信号/波等の電位掃引を含み得る。
印加されたボルタンメトリック信号は、酸化還元活性種を酸化/還元させる。酸化還元活性種は、接触している参照溶液のpH/プロトン濃度に感受性を有するので、酸化/還元電流は参照溶液のpHによって決定される。さらに、参照溶液は緩衝剤非含有/低緩衝能溶液であるので、酸化還元種に近接する参照溶液のpHは、酸化還元活性種の特性によって設定される。いくつかの実施形態では、酸化還元活性種は、酸、塩基、酸部分及び/又は塩基部分等を含んでいてよい。他の実施形態では、電気化学的/ボルタンメトリック信号/電位掃引が酸化還元活性種に印加されると、プロトンを供与又は消費することによって、酸化還元活性種が局所環境のpHを誘発し得る。例えば、いくつかの実施形態では、酸化還元活性種はアントラキノンを含んでもよく、アントラキノンはプロトンを消費することによって、参照溶液の局所pHを約10のpHに設定し得る。酸化還元活性種は、参照溶液のpHを酸化還元活性種に局所的に設定するように選択されるので、還元/酸化電流のピーク電位は酸化還元活性種によって設定されるpHによって決定されることとなる。
330では、印加されたボルタンメトリック信号に対する較正電極のボルタンメトリック応答が処理されて、較正電位が決定される。いくつかの実施形態では、較正電位は、印加されたボルタンメトリック信号に応答して酸化還元活性種によって生成されるピーク電位である。いくつかの実施形態では、ボルタンメトリック応答は電流対電位であってもよく、ボルタンメトリック応答は酸化還元活性種の酸化還元電流のピーク/谷に対応するピーク/特異点を含んでもよい。この酸化還元電流のピーク/特異点に対応する電位がピーク電位である。いくつかの実施形態では、ピーク/特異点の他の特徴を較正電位として使用してもよい。酸化還元活性種の酸化還元電流及びピーク電位は、酸化還元活性種によって見られる参照溶液のpHに対応し、酸化還元活性種は、参照溶液のpHを酸化還元活性種に局所的に設定するので、酸化還元電流及びピーク電位は一定である。本開示の実施形態では、酸化還元活性種は、その酸化還元応答が参照溶液中の塩化物濃度によって影響されないように選択される。このこと、及び本願発明者が見出した事実、つまり、本発明の構成における酸化還元活性種の応答は参照液中の酸、塩基、硬水、反応性化学物質等に対して感受性ではないということは、校正電極が、広範囲な困難な化学的用途にわたって、印加されたボルタンメトリック信号に対して一定/安定した応答を提供することを意味している。
340では、較正電位が、電気化学センサの参照電位を較正するために使用される。いくつかの実施形態では、較正電位と参照電位との間の決定された差が電気化学センサのオンライン較正のために使用される。例えば、電気化学センサの参照電位は、センサが新しいか、配置されているか、及び/又は較正されているか等のときに決定されてもよい。このとき、参照電位と較正電位との差を求めて記憶してもよい。較正電位自体は、計算され、測定され、実験から決定され、電気化学センサ等の製造中に測定されてもよい。動作中、電気化学センサが使用されているときに、較正電位の周期的測定が処理され、参照電位と比較される。較正電位と参照電位との間の差が記憶された差に対して変化した場合、参照電位は、この変化を埋め合わせるために再較正される。このようにして、電気化学センサを配置して測定を行いつつ、電気化学センサの参照電位をオンラインで再較正することが可能となる。
本開示の原理を、特定の装置及び方法に関連して上述したが、この説明は例としてのみなされ、本発明の範囲を限定するものではないことを明確に理解されたい。
本発明の態様の例を以下に記載する。
<1> 酸化還元種を含み、電気化学センサの参照溶液と接触するように構成された較正電極を備える、電気化学センサ用オンライン較正システムであって、
前記酸化還元種は、前記較正電極の近傍における前記参照溶液の局所環境において、前記参照溶液のpHを設定するように構成され、
前記酸化還元種は、電気化学的信号が前記較正電極に印加されると、酸化及び/又は還元を受けるように構成され、
前記酸化還元種はpH感受性であり、前記較正電極の近傍における前記参照溶液の局所環境のpHに依存する、印加された電気化学的信号に対する応答を生じる、前記オンライン較正システム。
<2> 前記酸化還元種は、酸、塩基、酸性部分、及び塩基部分のうちの少なくとも1つを含む、<1>に記載のオンライン較正システム。
<3> 前記酸化還元種は、前記電気化学的信号が前記較正電極に印加されるとプロトンを消費又は供与するように構成されている、<1>に記載のオンライン較正システム。
<4> 前記電気化学的信号が、電位掃引及び/又はボルタンメトリック信号を含む、<1>〜<3>のいずれか1項に記載のオンライン較正システム。
<5> 前記酸化還元種がアントラキノン又はその誘導体を含む、<3>に記載のオンライン較正システム。
<6> 前記参照溶液が、塩化ナトリウム又は塩化カリウムを含む、<1>〜<5>のいずれか1項に記載のオンライン較正システム。
<7> 前記電気化学センサの前記較正電極及び参照電極と連絡し、電気化学的応答を用いて前記参照電極の参照電位を較正するように構成されたプロセッサをさらに備える、<1>〜<6>のいずれか1項に記載のオンライン較正システム。
<8> 前記電気化学的応答が、酸化還元種によって生成される酸化電流の最大値又は還元電流の最小値に対応するピーク電位を含む、<1>〜<7>のいずれか1項に記載のオンライン較正システム。
<9> 前記電気化学的信号を生成するように構成されたポテンショスタットをさらに備える、<1>〜<8>のいずれか1項に記載のオンライン較正システム。
<10> 前記電気化学的信号が、方形波、傾斜波、及び/又はパルス波のうちの1つを含む、<1>〜<9>のいずれか1項に記載のオンライン較正システム。
<11> カウンター較正電極及び参照較正電極のうちの少なくとも1つをさらに備える、<1>〜<10>のいずれか1項に記載のオンライン較正システム。
<12> 前記電気化学的信号が、前記較正電極と、前記カウンター較正電極及び前記参照較正電極のうちの少なくとも1つと、の間に印加される、<11>に記載のオンライン較正システム。
<13> 前記参照較正電極が、前記電気化学センサの参照電極を含む、<11>に記載のオンライン較正システム。
<14> 前記較正電極が、微小電極及び微小電極アレイのうちの少なくとも1つを含む、<1>〜<13>のいずれか1項に記載のオンライン較正システム。
<15> 前記電気化学センサが、前記参照溶液及び前記較正電極を収容した参照セルを備える、<1>〜<14>のいずれか1項に記載のオンライン較正システム。
<16> 前記参照セルが、前記電気化学センサによって感知される流体に接触するように構成されたフリットを含む、<15>に記載のオンライン較正システム。
<17> <1>〜<16>のいずれか1項に記載の較正システムを備える電気化学センサ。
<18> 前記電気化学センサが、ガラス電極、ISFET、及び特定のイオンの濃度又は存在を測定するための電位差センサのうちの1つを含む、<17>に記載の電気化学センサ。
<19> 較正電極を電気化学センサの参照溶液と接触させること、ここで、前記較正電極は、電極近傍における参照溶液の局所環境のpHを制御するように構成された酸化還元種を含む;
ボルタンメトリック信号を前記較正電極に印加して、酸化還元種の酸化及び/又は還元を生じさせること;及び
酸化還元種によって生じる酸化又は還元電流の特徴に対応する較正電位を使用して、前記電気化学センサの参照電位を較正すること、
を含む、電気化学センサのオンライン較正方法。
<20> 前記特徴が、前記酸化又は還元電流の最大値、前記酸化又は還元電流の最小値、前記酸化又は還元電流の最大変化の位置、及び前記酸化又は還元電流の転換点のうちの1つを含む、<19>に記載の方法。
<21> 前記較正電位を使用して前記電気化学センサを較正することが、参照電極の参照電位と前記較正電位との差を使用して、前記参照電位を較正することを含む、<19>又は<20>に記載の方法。
<22> 前記較正電極にボルタンメトリック信号を印加することが、前記較正電極と較正参照電極との間にボルタンメトリック掃引を印加することを含む、<19>〜<21>のいずれか1項に記載の方法。
<23> 前記較正参照電極が、電位差センサの参照電極を含む、<22>に記載の方法。
<24> 前記参照溶液が、前記電気化学センサの参照セルに収容されている、<19>〜<23>のいずれか1項に記載の方法。
<25> 前記ボルタンメトリック信号が、前記較正電極に周期的に印加される、<19>〜<24>のいずれか1項に記載の方法。
<26> 電位差センサが、流体の特性を感知するために使用されるのと同時に較正される、<19>〜<25>のいずれか1項に記載の方法。
<27> 前記酸化還元種が、前記局所環境のpHを6未満のpH値又は8を超えるpH値に設定するように構成される、<19>〜<26>のいずれか1項に記載の方法。
<28> 前記参照溶液が、塩化カリウム及び塩化ナトリウムのうちの1つを含む、<19>〜<27>のいずれか1項に記載の方法。

Claims (28)

  1. 酸化還元種を含み、電気化学センサの参照溶液と接触するように構成され、電気化学センサの参照電極を較正するために使用される較正電極を備える、電気化学センサ用オンライン較正システムであって、
    前記酸化還元種は、前記較正電極の近傍における前記参照溶液の局所環境において、前記参照溶液のpHを設定するように構成され、
    前記酸化還元種は、電気化学的信号が前記較正電極に印加されると、酸化及び/又は還元を受けるように構成され、
    前記酸化還元種はpH感受性であり、前記較正電極の近傍における前記参照溶液の局所環境のpHに依存する、印加された電気化学的信号に対する応答を生じる、前記オンライン較正システム。
  2. 前記酸化還元種は、酸、塩基、酸性部分、及び塩基部分のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のオンライン較正システム。
  3. 前記酸化還元種は、前記電気化学的信号が前記較正電極に印加されるとプロトンを消費又は供与するように構成されている、請求項1に記載のオンライン較正システム。
  4. 前記電気化学的信号が、電位掃引及び/又はボルタンメトリック信号を含む、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のオンライン較正システム。
  5. 前記酸化還元種がアントラキノン又はその誘導体を含む、請求項3に記載のオンライン較正システム。
  6. 前記参照溶液が、塩化ナトリウム又は塩化カリウムを含む、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のオンライン較正システム。
  7. 前記電気化学センサの前記較正電極及び参照電極と連絡し、前記電気化学的信号に対する応答を用いて前記参照電極の参照電位を較正するように構成されたプロセッサをさらに備える、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のオンライン較正システム。
  8. 前記電気化学的信号に対する応答が、酸化還元種によって生成される酸化電流の最大値又は還元電流の最小値に対応するピーク電位を含む、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のオンライン較正システム。
  9. 前記電気化学的信号を生成するように構成されたポテンショスタットをさらに備える、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のオンライン較正システム。
  10. 前記電気化学的信号が、方形波及び/又は傾斜波のうちの1つを含む、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のオンライン較正システム。
  11. カウンター電極及び参照電極のうちの少なくとも1つをさらに備える、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のオンライン較正システム。
  12. 前記電気化学的信号が、前記較正電極と、前記カウンター電極及び前記参照電極のうちの少なくとも1つと、の間に印加される、請求項11に記載のオンライン較正システム。
  13. 前記参照電極が、前記電気化学センサの参照電極を含む、請求項11に記載のオンライン較正システム。
  14. 前記較正電極が、微小電極及び微小電極アレイのうちの少なくとも1つを含む、請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載のオンライン較正システム。
  15. 前記電気化学センサが、前記参照溶液及び前記較正電極を収容した参照セルを備える、請求項1〜請求項14のいずれか1項に記載のオンライン較正システム。
  16. 前記参照セルが、前記電気化学センサによって感知される流体に接触するように構成されたフリットを含む、請求項15に記載のオンライン較正システム。
  17. 請求項1〜請求項16のいずれか1項に記載の較正システムを備える電気化学センサ。
  18. 前記電気化学センサが、ガラス電極、ISFET、及び特定のイオンの濃度又は存在を測定するための電位差センサのうちの1つを含む、請求項17に記載の電気化学センサ。
  19. 較正電極を電気化学センサの参照溶液と接触させること、ここで、前記較正電極は、電極近傍における参照溶液の局所環境のpHを制御するように構成された酸化還元種を含む;
    ボルタンメトリック信号を前記較正電極に印加して、酸化還元種の酸化及び/又は還元を生じさせること;及び
    酸化還元種によって生じる酸化又は還元電流の特徴に対応する較正電位を使用して、前記電気化学センサの参照電位を較正すること、
    を含む、電気化学センサのオンライン較正方法。
  20. 前記特徴が、前記酸化又は還元電流の最大値、前記酸化又は還元電流の最小値、前記酸化又は還元電流の最大変化の位置、及び前記酸化又は還元電流の転換点のうちの1つを含む、請求項19に記載の方法。
  21. 前記較正電位を使用して前記電気化学センサを較正することが、参照電極の参照電位と前記較正電位との差を使用して、前記参照電位を較正することを含む、請求項19又は請求項20に記載の方法。
  22. 前記較正電極にボルタンメトリック信号を印加することが、前記較正電極と参照電極との間にボルタンメトリック掃引を印加することを含む、請求項19〜請求項21のいずれか1項に記載の方法。
  23. 記参照電極が、電位差センサの参照電極を含む、請求項22に記載の方法。
  24. 前記参照溶液が、前記電気化学センサの参照セルに収容されている、請求項19〜請求項23のいずれか1項に記載の方法。
  25. 前記ボルタンメトリック信号が、前記較正電極に周期的に印加される、請求項19〜請求項24のいずれか1項に記載の方法。
  26. 電位差センサが、流体の特性を感知するために使用されるのと同時に較正される、請求項19〜請求項25のいずれか1項に記載の方法。
  27. 前記酸化還元種が、前記局所環境のpHを6未満のpH値又は8を超えるpH値に設定するように構成される、請求項19〜請求項26のいずれか1項に記載の方法。
  28. 前記参照溶液が、塩化カリウム及び塩化ナトリウムのうちの1つを含む、請求項19〜請求項27のいずれか1項に記載の方法。
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