JP6917163B2 - 小胞体ストレス軽減用組成物及び該組成物を含む食品、医薬品、飼料 - Google Patents

小胞体ストレス軽減用組成物及び該組成物を含む食品、医薬品、飼料 Download PDF

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Description

本発明は、小胞体ストレス軽減用組成物及び該組成物を含む食品、医薬品、飼料に関する。
小胞体とは、細胞内に存在する膜の約半分を占める小器官であり、タンパク質合成、膜脂質合成、カルシウム貯蔵など、多岐にわたる生理機能を有している。
分泌タンパク質や膜タンパク質は小胞体膜に結合したリボソームにおいて合成され、小胞体に挿入される。これらのタンパク質は、小胞体において分子シャペロンなどの作用により様々な化学修飾を受け、糖鎖の付与、ジスルフィド結合の形成などを経て適正な立体構造が与えられる。
このとき、正常な立体構造を持ったタンパク質のみがゴルジ装置以降の分泌経路に進み、細胞膜や細胞外へと輸送され、異常な立体構造を持ったタンパク質は小胞体関連分解により処分される。
虚血、低酸素、熱ショック、遺伝子変異などの要因により、小胞体内に正常な高次構造を持たないタンパク質(unfolded protein)が蓄積し、小胞体の機能障害を引き起こすことが知られている(小胞体ストレス)。
細胞はこの小胞体ストレスに対して、小胞体の状態を正常に向かわせるための防御システムである小胞体ストレス応答(unfolded protein response)を働かせる。
小胞体ストレス応答は、ストレスが軽度のときは、タンパク質翻訳の抑制による小胞体への流入量の抑制、分子シャペロンの誘導による変性タンパク質の修復、修復できないタンパク質の小胞体外への排出と分解を行うことにより細胞機能を維持する方向へと向かわせるが、過度なストレスを受けたときにはアポトーシスが誘導され個体の保護が優先される。
近年、小胞体ストレスおよび小胞体ストレス応答の破綻は、パーキンソン病やアルツハイマー病、ポリグルタミン病、プリオン病、筋萎縮生側索硬化症(ALS)等に代表される神経変性疾患、糖尿病、脂肪肝など非常に多様な疾患の発症に関わっていることが報告されている。
従って、小胞体ストレスを軽減することは、上記疾患の予防または治療に有効であることが期待される。
上記のことから、小胞体ストレスを軽減する食品、医薬品、飼料の開発が望まれている。特許文献1は黒米を有効成分とする小胞体ストレス軽減剤を開示している。特許文献2はポリヌクレオチドを有効成分とする小胞体ストレス調節剤を開示している。
また、非特許文献1は、乳由来リン脂質混合物が小胞体ストレスにより誘導される神経細胞死を抑制することを開示している。
しかし、小胞体ストレスを軽減する組成物として、ホエイタンパク質の一種であるβ‐ラクトグロブリンとリン脂質とを含む組成物を開示した文献等はない。さらに該組成物を含む食品、医薬品、飼料を開示した文献等もない。
特開2013−151459号公報 WO2013/047815号パンフレット
Nagai,J.Biosci.Bioeng.,114,466−471,2012
本発明は、新たな小胞体ストレスを軽減する組成物、該組成物を含む食品、医薬品、及び飼料を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明者らは、小胞体ストレスを軽減する有用な方法について検討を進めた結果、β‐ラクトグロブリンとリン脂質を組み合せることで生体内の小胞体ストレスを効果的に軽減させることが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明には以下の構成が含まれる。
(1)β‐ラクトグロブリン及び/又はβ−ラクトグロブリン加水分解物と、リン脂質とを有効成分として含む小胞体ストレス軽減用組成物。
(2)前記β‐ラクトグロブリン及び/又はβ−ラクトグロブリン加水分解物と、前記リン脂質との合計が1重量%以上100重量%以下である(1)に記載の小胞体ストレス軽減用組成物。
(3)前記β‐ラクトグロブリン及び/又はβ−ラクトグロブリン加水分解物の重量%の値を、前記リン脂質の重量%の値で除することで得られる値が0.1以上10以下である(1)に記載の小胞体ストレス軽減用組成物。
(4)(1)から(3)のいずれかに記載した小胞体ストレス軽減用組成物を含む小胞体ストレス軽減用食品。
(5)(1)から(3)のいずれかに記載した小胞体ストレス軽減用組成物を含む小胞体ストレス軽減用医薬品。
(6)(1)から(3)のいずれかに記載した小胞体ストレス軽減用組成物を含む小胞体ストレス軽減用飼料。
本発明は、新たな小胞体ストレスを軽減する組成物として、β‐ラクトグロブリンとリン脂質とを含む組成物と該組成物を含む食品、医薬品、及び飼料を提供することを提供するものである。本発明の組成物の摂取により小胞体ストレスを安全かつ簡易に軽減することが可能となった。
ヒト肝癌由来細胞を各培地で処理した場合の細胞生存率(%)を示すグラフである。左からNormal(無血清培地)。Control(小胞体ストレス誘導剤(ツニカマイシン)+無血清培地)。ツニカマイシン+無血清培地+βラクトグロブリン(0.25mg/ml)+ホスファチジルコリン(0,0.125,0.25,0.5,1mg/ml)。ツニカマイシン+無血清培地+ホスファチジルコリン(0.25mg/ml)+βラクトグロブリン(0,0.125,0.25,0.5,1mg/ml)。 ヒト肝癌由来細胞を各培地で処理した場合の細胞生存率(%)を示すグラフである。左からNormal(無血清培地)。Control(ツニカマイシン+無血清培地)。ツニカマイシン+無血清培地+ホスファチジルエタノールアミン(0.25mg/ml)+βラクトグロブリン(0,0.125,0.25,0.5,1mg/ml)。ツニカマイシン+無血清培地+βラクトグロブリン(0.25mg/ml)+ホスファチジルエタノールアミン(0,0.125,0.25,0.5,1mg/ml)。 (A)各試験群の肝臓総脂質濃度(mg/g肝臓)を示すグラフである。(B)各試験群の肝臓トリグリセリド濃度(mg/g肝臓)を示すグラフである。各グラフともに、左からツニカマイシン非添加、普通食投与群。ツニカマイシン非添加、β‐ラクトグロブリンとリン脂質の混合食(以下、P+bLG食とする)投与群。ツニカマイシン投与、普通食投与群。ツニカマイシン投与、P+bLG食投与群。 各試験群のマウス肝臓脂質のCHOPタンパク質の発現をウエスタンブロッディングにより検出した写真を示す。左からツニカマイシン非添加、普通食投与群。ツニカマイシン非添加、P+bLG食投与群。ツニカマイシン投与、普通食投与群。ツニカマイシン投与、P+bLG食投与群。 図4のCHOPタンパク質の発現量を測定した結果を示す。
本発明の小胞体ストレス軽減用組成物について以下に詳細に説明する。
(小胞体ストレス軽減用組成物)
本発明の小胞体ストレス軽減用組成物は、β‐ラクトグロブリンとリン脂質とを含むものである。
小胞体ストレス軽減用組成物におけるβ‐ラクトグロブリンとリン脂質の含量は、β‐ラクトグロブリンとリン脂質との合計が小胞体ストレス軽減用組成物の1重量%以上100重量%以下であればよく、10重量%以上100重量%以下が好ましく、20重量%以上100重量%以下がさらに好ましく、30重量%以上100重量%以下が最も好ましい。
また、小胞体ストレス軽減用組成物に含まれるβ−ラクトグロブリンは0.1重量%以上90重量%以下が好ましく、3%以上80%以下が最も好ましい。また、小胞体ストレス軽減用組成物に含まれるリン脂質は0.1重量%以上90重量以下が好ましく、3%以上70%以下が最も好ましい。
また、小胞体ストレス軽減用組成物に含まれるβ‐ラクトグロブリンとリン脂質との重量比は、小胞体ストレス軽減用組成物中のβ‐ラクトグロブリンの重量%を小胞体ストレス軽減用組成物中のリン脂質の重量%で除した値が0.1以上10以下であればよく、0.2以上8以下が好ましく、0.3以上5以下が最も好ましい。
本発明の小胞体ストレス軽減用組成物は、後述するβ‐ラクトグロブリンを含む素材とリン脂質を含む素材を用いて上記した組成物を調製することができる。また、乳などから上記した組成となるよう調製した組成物をそのまま用いてもよい。
(β‐ラクトグロブリン)
本発明の小胞体ストレス軽減用組成物に用いるβ‐ラクトグロブリンについて説明する。
本発明の小胞体ストレス軽減用組成物に用いるβ‐ラクトグロブリンは、ウシ、馬、羊、山羊等の獣乳中に存在するβ‐ラクトグロブリンを用いることができ、前記獣乳から得られたもの、合成したもののいずれも用いることができる。
また、β‐ラクトグロブリンをタンパク質分解酵素で処理したβ‐ラクトグロブリン分解物も用いることができる。β‐ラクトグロブリン分解物の分子量は200Da程度以上10KDa程度以下であればよく、200Da程度以1KDa上程度以下がより好ましい。
本発明の小胞体ストレス軽減用組成物に用いるβ‐ラクトグロブリンは、不純物の少ない試薬グレードのβ‐ラクトグロブリンだけでなく、β‐ラクトグロブリンを含む乳素材をそのまま用いることもできる。
前記乳素材はβ‐ラクトグロブリンを含むものであればどのようなものでも用いることができ、脱脂粉乳、甘性ホエイ粉、酸ホエイ粉、脱塩ホエイ粉、ホエイタンパク質濃縮物(WPC、Whey Protein Concentrate)、ホエイタンパク質精製物(WPI、Whey Protein Isolate)などを例示できる。このうち、β‐ラクトグロブリンの含量が高いWPCやWPIを用いることが好ましい。
β‐ラクトグロブリンの分解物は、不純物の少ない試薬グレードのβ‐ラクトグロブリン、β‐ラクトグロブリンを含む乳素材をタンパク質分解酵素で処理したものを用いればよい。タンパク質分解酵素はβ‐ラクトグロブリンのペプチド結合を加水分解できるものであればどのようなものでも用いることができるが、食品製造に用いられるペプシン、トリプシン、パパイン等が好ましい。
(リン脂質)
本発明の小胞体ストレス軽減用組成物に用いるリン脂質は、グリセロリン脂質、スフィンゴリン脂質であればどのようなものでも用いることができるが、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴミエリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトールから選択される1種類以上を用いることが好ましい。
本発明の小胞体ストレス軽減用組成物に用いるリン脂質は試薬グレードのものだけでなく、鶏卵、大豆、乳等から調製したリン脂質をそのまま用いることもできる。
本発明の小胞体ストレス軽減用組成物に用いるリン脂質は、鶏卵、大豆由来のものが好ましく、獣乳由来のリン脂質がさらに好ましい。
(小胞体ストレス軽減用組成物の摂取量)
本発明の小胞体ストレス軽減用組成物の有効摂取量は、β‐ラクトグロブリンとリン脂質の合計量として摂取量が2mg/日以上となるように摂取すればよい。
また、本発明の小胞体ストレス軽減用組成物は、以下に記載のとおり、食品、医薬品、飼料に添加することができるが、その際の小胞体ストレス軽減用組成物の添加量は前記した有効量が摂取できるよう適宜調製すればよい。
(小胞体ストレス軽減用組成物を含む食品、医薬品、及び飼料)
本発明の小胞体ストレス軽減用組成物はそのまま使用してもよいが、食品、医薬品、及び飼料に通常含まれる他の原材料とともに使用できることから、常法に従い、粉末剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、ドリンク剤等に用いることも出来る。また、ヨーグルト、乳飲料、ウエハース等の飲食品、及び飼料に配合することも可能である。
(小胞体ストレス軽減用組成物中のβ‐ラクトグロブリンの定量方法)
本発明の小胞体ストレス軽減用組成物中のβ‐ラクトグロブリン含量は、Bordinらの方法(Journal of Chromatography A.(2001)928、1、63―76)により測定することができる。
(小胞体ストレス軽減用組成物中のリン脂質の定量方法)
本発明の小胞体ストレス軽減用組成物中のリン脂質含量と組成は、春田らの方法(Bioscience, Biotechnology, & Biochemistry(2008)72、8、2151-2157)により測定することができる。
(小胞体ストレス軽減用組成物の小胞体ストレス軽減作用の評価)
本発明の小胞体ストレス軽減用組成物の小胞体ストレス軽減作用は、例えば、小胞体ストレス誘導体等により試験対象となる動物や細胞にストレスを与えた場合において、本発明組成物を付与した場合と付与しなかった場合におけるストレス応答を比較することにより評価できる。小胞体ストレス誘導剤には、例えばツニカマイシンが挙げられる。ツニカマイシンはタンパク質への糖鎖の付与を阻害することで、小胞体内に構造が異常なタンパク質を蓄積させ、小胞体ストレスを引き起こすことが知られており、小胞体ストレスを対象とした研究で広く用いられる。ストレス応答の評価指標は、細胞障害性、細胞生存率、小胞体ストレス応答関連遺伝子の発現などが挙げられる。より具体的には、実施例に示したin vitro、およびin vivoにおける方法で評価することができる。
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔試験例1〕小胞体ストレス軽減効果確認試験(1)
小胞体ストレス誘導剤により細胞にストレスを負荷した場合に、本発明組成物により、前記ストレスによる細胞の障害性が抑制されることを確認するための試験を行った。
1.試験方法
ヒト肝癌由来細胞を1×10cells/wellの密度で96ウェルプレートに播種し、37℃で24時間培養後、
(i)血清1%添加培地(Normal)、
(ii)小胞体ストレス誘導剤(ツニカマイシン(20μg/ml))を混合した血清1%添加培地(Control)、
(iii)ツニカマイシン(20μg/ml)およびβ‐ラクトグロブリン(シグマ-アルドリッチ)0.25mg/mlにホスファチジルコリン(シグマ-アルドリッチ;0mg/ml、0.125mg/ml(β‐ラクトグロブリン+ホスファチジルコリン=0.375mg/ml、β‐ラクトグロブリン/ホスファチジルコリン=2)、0.25mg/ml(β‐ラクトグロブリン+ホスファチジルコリン=0.5mg/ml、β‐ラクトグロブリン/ホスファチジルコリン=1)、0.5mg/ml(β‐ラクトグロブリン+ホスファチジルコリン=0.75mg/ml、β‐ラクトグロブリン/ホスファチジルコリン=0.5)、1mg/ml(β‐ラクトグロブリン+ホスファチジルコリン=0.125mg/ml、β‐ラクトグロブリン/ホスファチジルコリン=0.25))を混合した血清1%添加培地、
(iv)ホスファチジルコリン0.25mg/mlにβ‐ラクトグロブリン(0、0.125mg/ml(β‐ラクトグロブリン+ホスファチジルコリン=0.375、β‐ラクトグロブリン/ホスファチジルコリン=0.5)、0.25mg/ml(β‐ラクトグロブリン+ホスファチジルコリン=0.5mg/ml、β‐ラクトグロブリン/ホスファチジルコリン=1)、0.5mg/ml(β‐ラクトグロブリン+ホスファチジルコリン=0.75mg/ml、β‐ラクトグロブリン/ホスファチジルコリン=2)、1mg/ml(β‐ラクトグロブリン+ホスファチジルコリン=1.25mg/ml、β‐ラクトグロブリン/ホスファチジルコリン=4))を混合した血清1%添加培地、
(v)β‐ラクトグロブリン0.25mg/mlにホスファチジルエタノールアミン(0、0.125mg/ml(β‐ラクトグロブリン+ホスファチジルエタノールアミン=0.375mg/ml、β‐ラクトグロブリン/ホスファチジルエタノールアミン=2)、0.25mg/ml(β‐ラクトグロブリン+ホスファチジルエタノールアミン=0.5mg/ml、β‐ラクトグロブリン/ホスファチジルエタノールアミン=1)、0.5mg/ml(β‐ラクトグロブリン+ホスファチジルエタノールアミン=0.75mg/ml、β‐ラクトグロブリン/ホスファチジルエタノールアミン=0.5)、1mg/ml(β‐ラクトグロブリン+ホスファチジルエタノールアミン=1.25mg/ml、β‐ラクトグロブリン/ホスファチジルエタノールアミン=0.25))を混合した血清1%添加培地、
(vi)ホスファチジルエタノールアミン0.25mg/mlにβ‐ラクトグロブリン(0、0.125mg/ml(β‐ラクトグロブリン+ホスファチジルエタノールアミン=0.375mg/ml、β‐ラクトグロブリン/ホスファチジルエタノールアミン=0.5)、0.25mg/ml(β‐ラクトグロブリン+ホスファチジルエタノールアミン=0.5mg/ml、β‐ラクトグロブリン/ホスファチジルエタノールアミン=1)、0.5mg/ml(β‐ラクトグロブリン+ホスファチジルエタノールアミン=0.75mg/ml、β‐ラクトグロブリン/ホスファチジルエタノールアミン=2)、1mg/ml(β‐ラクトグロブリン+ホスファチジルエタノールアミン=1.25mg/ml、β‐ラクトグロブリン/ホスファチジルエタノールアミン=4))を混合した血清1%添加培地、にそれぞれ培地交換した。
その後、37℃で24時間培養し、CellTiter-Blue Cell Viability Assay(CellTiter-Blue Cell Viability Assayキット、promega)に供し、細胞生存率を評価した。
細胞生存率(%)は、ツニカマイシンを添加していないNormal培地における細胞生存率を100とした場合の各試験培地での細胞生存率を示す(各群n=3)。
結果は、統計処理ソフトを用いて処理し、Dunnett型の多重比較によりコントロール群とそれ以外の群との差をそれぞれ検定した。実験結果を図1と図2に示す。
2.試験結果
図1に示したホスファチジルコリンとβ‐ラクトグロブリンを添加した系では、小胞体ストレス誘導剤であるツニカマイシンの添加により減少した細胞生存率が、ホスファチジルコリン0.25mg/mlの添加により改善したが、β‐ラクトグロブリンを加えることでさらに改善した。また、細胞生存率はβ‐ラクトグロブリン0.25mg/mlの添加により改善したが、ホスファチジルコリンを加えることでさらに改善した。
特に、ホスファチジルコリン0.25mg/mlとβ‐ラクトグロブリン0.5mg/mlを添加した試料の効果が高かった(β‐ラクトグロブリン+ホスファチジルコリン=0.75mg/ml、β‐ラクトグロブリン/ホスファチジルコリン=2)。
図2に示したホスファチジルエタノールアミンとβ‐ラクトグロブリンを添加した系では、小胞体ストレス誘導剤であるツニカマイシンの添加により減少した細胞生存率が、ホスファチジルエタノールアミン0.25mg/mlの添加により改善したがβ‐ラクトグロブリンを加えることでさらに改善した。
また、細胞生存率はβ‐ラクトグロブリン0.25mg/mlの添加により改善したが、ホスファチジルエタノールアミンを加えることでさらに改善した。
特に、ホスファチジルエタノールアミン0.5mg/mlとβ‐ラクトグロブリン0.25mg/mlを添加した試料の効果が高かった(β‐ラクトグロブリン+ホスファチジルエタノールアミン=0.75mg/ml、β‐ラクトグロブリン/ホスファチジルエタノールアミン=0.5)。
〔実施例品1〕乳由来リン脂質濃縮物の調製方法
乳由来リン脂質濃縮物はバターミルク粉(雪印メグミルク社製)より原らの方法(成蹊大学理工学研究報告、2007年、44、2、65−73)により得た。乳由来リン脂質濃縮物は固形当たりリン脂質を97.6重量%、中性脂肪を2.4重量%含有していた。また、前記リン脂質中にホスファチジルエタノールアミンは31.1重量%、ホスファチジルイノシトールは15.7重量%、ホスファチジルセリンは13.3重量%、ホスファチジルコリンは19.5重量%、スフィンゴミエリンは20.4重量%含有されていた。
〔実施例品2〕β‐ラクトグロブリン精製物の調製方法
β‐ラクトグロブリン精製物はWPI8855(Fonterra社製)よりAlomirahらの方法(International Dairy Journal、(2004) 14、411-419)により得た。β‐ラクトグロブリン精製物は固形あたり99.9重量%以上のβ‐ラクトグロブリンを含有していた。
〔試験例2〕小胞体ストレス軽減効果確認試験(2)
試験例1は細胞を用いた試験であるが、本試験では、動物を用いて本発明組成物の効果を確認するための試験を行った。
1.試験方法(1)飼料の調製
(i)Normal食
AIN−93G食(表1)を用いた。表中の数値は配合重量比を示す。
(ii)β‐ラクトグロブリンとリン脂質の混合食(以下、P+bLG食とする)(本発明組成物)
AIN−93G食をベースに実施例品1を3.78%、実施例品2を1.19%となるように添加した(表1)。
(2)マウスの飼育方法
下記の手順により動物実験を行なった。
6週齢のC57BL/6Jマウス(日本SLC株式会社)を20匹入手し、1週間の予備飼育後、5匹ずつ4群に分け、下記条件で11日間本飼育を行った。
(i)Vehicle−Normal群:飼料としてNormal食を投与。ツニカマイシンを投与しない。
(ii)Vehicle−P+bLG群:飼料としてP+bLC食を投与。ツニカマイシンを投与しない。
(iii)ツニカマイシン−Normal群:飼料としてNoraml食投与。本飼育開始8日目から11日目にツニカマイシンを 400μg/kg体重の濃度で毎日腹腔投与した。
(iv)ツニカマイシン−P+bLG群:飼料としてP+bLC食を投与。本飼育開始8日目から11日目にツニカマイシンを 400μg/kg体重の濃度で毎日腹腔投与した。
(2)各種測定方法
全群、本飼育開始12日目に解剖を行い、肝臓を採取し、以下の測定を行った。
(i)肝臓中脂質の測定
肝臓は一定重量サンプリングしてホモジナイズし、Folch法を用いて全脂質を抽出して重量を測定した。さらに、抽出した脂質をイソプロパノールに溶解し、トリアシルグリセロール濃度を測定キット(E−テストワコー、和光純薬工業株式会社)を使って測定した。
(ii)アポトーシス関連遺伝子(CHOP)発現量の測定
肝臓よりタンパク質を抽出し、ウェスタンブロッド法により小胞体ストレス応答関連アポトーシスの指標であるCHOPの発現量を測定した。発現量は、ツニカマイシン−Normal群の発現量を1とした場合の比率を示す。
結果は、統計処理ソフトを用いて処理し、二元配置分散分析を行い、交互作用があった場合にTukey−Kramer型の多重比較により全群間の差をそれぞれ検定した。
Figure 0006917163
2.試験結果
ツニカマイシン投与群において、P+bLG摂食により肝臓総脂質量(図3(A))、肝臓トリアシルグリセロール量(図3(B))、CHOPのタンパク発現量が減少した(図4、図5)。これより、乳由来リン脂質とβ−ラクトグロブリンの摂食が小胞体ストレス誘導性の脂肪肝および肝細胞のアポトーシスを抑制することが明らかとなった。
〔実施例品4〕小胞体ストレス軽減用カプセル剤の調製
表2に示す配合で原材料を混合後、常法により造粒し、カプセルに充填して、本発明の小胞体ストレス軽減用カプセル剤を製造した。
Figure 0006917163
〔実施例品5〕
(小胞体ストレス軽減用錠剤の調製)
表3に示す配合で原材料を混合後、常法により1gに成型、打錠して本発明の小胞体ストレス軽減用錠剤を製造した。
Figure 0006917163
〔実施例品6〕小胞体ストレス軽減用ゲル状食品の調製
リン脂質濃縮物(実施例品1)2.5gとβ‐ラクトグロブリン精製物(実施例品2)7.5gを700gの脱イオン水に溶解し、50℃まで加熱後、ウルトラディスパーサー(ULTRA−TURRAX T−25;IKAジャパン社製)にて、9500rpmで30分間撹拌混合した。この溶液に、ソルビトール40g、酸味料2g、香料2g、ペクチン5g、乳清タンパク質濃縮物5g、乳酸カルシウム1g、脱イオン水235gを添加して、撹拌混合した後、200mlのチアパックに充填し、85℃、20分間殺菌後、密栓し、本発明の小胞体ストレス軽減用ゲル状食品5袋(200g入り)を調製した。このようにして得られた小胞体ストレス軽減用ゲル状食品は、すべて沈殿等は認められず、風味に異常は感じられなかった。
なお、この小胞体ストレス軽減用ゲル状食品には、100gあたり乳由来リン脂質が244mgとβ‐ラクトグロブリンが750mg含まれていた。
〔実施例品7〕小胞体ストレス軽減用飲料の調製
酸味料2gを700gの脱イオン水に溶解した後、リン脂質濃縮物(実施例品1)1.0gとβ‐ラクトグロブリン精製物(実施例品2)9.0gを溶解し、50℃まで加熱後、ウルトラディスパーサー(ULTRA−TURRAX T−25;IKAジャパン社製)にて、9500rpmで30分間撹拌混合した。マルチトール100g、還元水飴20g、香料2g、脱イオン水166gを添加した後、100mlのガラス瓶に充填し、90℃、15分間殺菌後、密栓し、小胞体ストレス軽減用飲料10本(100ml入り)を調製した。このようにして得られた小胞体ストレス軽減用飲料は、すべて沈殿は認められず、風味に異常は感じられなかった。
なお、この小胞体ストレス軽減用飲料には、100gあたり乳由来リン脂質が97.6mgとβ‐ラクトグロブリンが900mg含まれていた。
〔実施例品8〕小胞体ストレス軽減用飼料の調製
リン脂質濃縮物(実施例品1)1.8kgとβ‐ラクトグロブリン精製物(実施例品2)0.2kgを98kgの脱イオン水に溶解し、50℃まで加熱後、TKホモミクサー(MARKII 160型;特殊機化工業社製)にて、3600rpmで40分間撹拌混合して乳由来リン脂質1757mg/100g、β‐ラクトグロブリン200mg/mlの混合溶液を得た。この溶液10kgに大豆粕12kg、大豆タンパク質14kg、大豆油4kg、コーン油2kg、パーム油23.2kg、トウモロコシ澱粉14kg、小麦粉9kg、ふすま2kg、ビタミン混合物5kg、セルロース2.8kg、ミネラル混合物2kgを配合し、120℃、4分間殺菌して、本発明の小胞体ストレス軽減用イヌ飼育飼料100kgを製造した。
なお、この小胞体ストレス軽減用イヌ飼育飼料には、100gあたり乳由来リン脂質が175.7mgとβ‐ラクトグロブリンが20.0mg含まれていた。
本発明は、新たな小胞体ストレスを軽減する組成物として、β−グロブリンとリン脂質を含む組成物と、該組成物を含む食品、医薬品、及び飼料を提供する。本発明の組成物等を摂取することにより小胞体ストレスを安全かつ簡易に軽減することが期待できる。

Claims (6)

  1. β‐ラクトグロブリンと、リン脂質を有効成分として含む小胞体ストレス軽減用組成物。
  2. 前記β‐ラクトグロブリンと、前記リン脂質との合計が1重量%以上100重量%以下である請求項1に記載の小胞体ストレス軽減用組成物。
  3. 前記β‐ラクトグロブリンの重量%の値を、前記リン脂質の重量%の値で除することで得られる値が0.1以上10以下である請求項1に記載の小胞体ストレス軽減用組成物。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載した小胞体ストレス軽減用組成物を含む小胞体ストレス軽減用食品。
  5. 請求項1から請求項3のいずれかに記載した小胞体ストレス軽減用組成物を含む小胞体ストレス軽減用医薬品。
  6. 請求項1から請求項3のいずれかに記載した小胞体ストレス軽減用組成物を含む小胞体ストレス軽減用飼料。
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