JP6914447B2 - 電機子コイルおよび電機子 - Google Patents

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Description

本願は、電機子コイルおよび電機子に関するものである。
タービン発電機など大型の回転電機の固定子に用いられる大型のコイルは、一般にコイルを複数の素線群に分割し、固定子の軸方向両端部でこれら素線群を短絡して構成されている。この場合、素線群を構成する素線間に鎖交磁束の差が発生すれば、この鎖交磁束差による誘起電圧差が素線間に発生し、軸方向端部の短絡部を迂回する循環電流が流れる。この循環電流を抑制するために、素線群を捩ることにより素線の径方向位置を変化させるレーベル転位という方法がとられる(以後、転位と略して記載する)。
一般的な単位コイルの転位構成は、素線群が収納される固定子鉄心のスロット内において転位を構成し、鉄心の軸方向両端部から外側となるコイルエンド部においては転位無しで構成される。しかしながら、コイルエンド部においても素線群は磁束の影響を受けるため、コイルエンド部の素線間において誘起電圧差が生じる。この誘起電圧差を抑制するために、スロット内とスロット外とでそれぞれ素線の転位を構成し、更に、スロット内において一部転位されない箇所を有するように構成した、以下のような電機子コイルとしてのステータ巻線バーが開示されている。
即ち、ステータ巻線バーは、個々の導体素線がアクティブパートではスロット内において各ポジションを占めている(=360°転位)に対して、端部クリップでは90°転位されている。アクティブパートの真ん中に空所(=転位されない区分)を有している(例えば、特許文献1参照)。
また、転位される素線は、スロット内ですべての素線位置を経験する上記のようなスロット内360°転位だけではなく、スロットの軸方向両端において素線端部の位置が互いに180°異なるように設定するスロット内540°転位を構成することで、更に循環電流損失を低減できることが知られている。
しかしながら、スロット内540°転位を用いた場合でも、コイルエンド部における素線間の誘起電圧差を完全には除去することができない。このため、スロット内540°転位を構成しつつ、且つ、スロットの軸方向の寸法により決定される理論的な転位の角度より、転位の角度を緩やかにする箇所をスロット内において構成することで、循環電流損失を低減する以下のような電機子コイルが開示されている。
即ち、アクティブパートA、B、C内でそれぞれ180°転位を構成することで、540°転位を構成する。区分22b、23b、24bにおいて、素線の転位ピッチが長くなるように構成する(例えば、特許文献2参照)。
特開平9−182339号公報(段落[0013]〜[0014]、図2、図3) 米国特許公開US2007/0222321A1(段落[0006]〜[0023]、図2、図3)
上記特許文献1に示した電機子コイルでは、スロット内において360°転位を構成し、軸方向両端のコイルエンド部においてそれぞれ90°の転位を構成し、さらに、スロット内において一部転位されない箇所を有するように構成している。これにより、コイルエンド部における誘起電圧差を抑制して循環電流損失を低減させているが、循環電流低減効果が更に高い、スロット内540°転位に対応した構成ではない。
また、上記特許文献2に示した電機子コイルでは、スロット内において540°転位を構成し、コイルエンド部においては転位しない構成とし、さらに、スロット内において一部転位の角度を緩やかにする箇所を有するように構成することで、循環電流損失を低減させている。しかしながらこの構成では、コイルエンド部において生じる素線間誘起電圧差を効果的に抑制できない場合があり、従って循環電流損失を低減できない場合があるという課題がある。
本願は、上記のような課題を解決するための技術を開示するものであり、電機子コイルにおける素線間誘起電圧差を最小化して循環電流損失を効果的に低減可能な、電機子コイルと当該電機子コイルを備えた電機子とを提供することを目的とする。
本願に開示される電機子コイルは、
電機子のスロットに収容される単位コイルを複数個備え、
前記単位コイルは、それぞれ転位される複数の素線から成り、該素線が前記スロットの軸方向両端において前記スロットから延出し、それぞれ電気的に接続されてコイルエンド部を形成する電機子コイルにおいて、
各前記単位コイルを構成する各前記素線は、
前記スロット内の軸方向の両端間において転位角度540度の転位をした構成であって、
前記スロット内の軸方向の一端側から他端側に向けて、軸方向に連続して、軸方向に第1幅を有する第1区間、軸方向に第2幅を有する第2区間、軸方向に第3幅を有する第3区間とに該素線を区分すると、前記第1区間、前記第2区間、前記第3区間においてそれぞれ転位角度180度の転位が行われ、且つ、前記コイルエンド部において第1転位角度θの転位をした構成であって、
前記スロット内の各前記区間において、該素線の転位の変化率が変化する変位部を有し、
各前記単位コイルの前記素線の内、少なくとも一つの前記素線である第1素線の各前記区間における前記変位部の軸方向中間点は、
各前記区間における転位角度90度の位置と、前記転位角度90度に前記第1素線の前記第1転位角度θを加算した位置との間に設けられた、
ものである。
また、本願に開示される電機子は、
前記スロットが形成された鉄心と、
上記のように構成された電機子コイルとを備え、
前記鉄心の前記スロット内に前記電機子コイルを配設して形成された、
ものである。
本願に開示される電機子コイルによれば、素線間誘起電圧差を最小化して循環電流損失を効果的に低減可能な電機子コイルを提供できる。
また、本願に開示される電機子によれば、循環電流損失を効果的に低減可能な電機子コイルを備えたものなので、高性能の電機子を提供できる。
実施の形態1による単位コイルを構成する素線の、固定子鉄心の軸方向各位置における転位位置を示す概念図である。 実施の形態1による単位コイルの、軸方向に垂直な断面の模式図である。 実施の形態1による単位コイルの、軸方向に垂直な断面の模式図である。 比較例による単位コイルを構成する素線の、固定子鉄心の軸方向各位置における転位位置を示す概念図である。 比較例による単位コイルの、軸方向に垂直な断面の模式図である。 比較例による単位コイルを構成する素線の、固定子鉄心の軸方向各位置における転位位置を示す概念図である。 比較例による単位コイルの素線の転位状態を示す概念図である。 比較例による単位コイルを構成する素線の、固定子鉄心の軸方向各位置における転位位置を示す概念図である。 比較例の単位コイルのコイルエンド部において生じる素線間の誘起電圧の分布を示す図である。 比較例の単位コイルのスロット内において生じる素線間の誘起電圧の分布を示す図である。 実施の形態1による単位コイルのコイルエンド部において生じる素線間の誘起電圧の分布を示す図である。 実施の形態1による単位コイルのスロット内において生じる素線間の誘起電圧の分布を示す図である。 実施の形態1による変位部の軸方向の幅を変化させた場合の、スロット内誘起電圧の分布を示す図である。 実施の形態1による単位コイルを構成する素線の、固定子鉄心の軸方向各位置における転位位置を示した概念図である。 実施の形態2による単位コイルを構成する素線の、固定子鉄心の軸方向各位置における転位位置を示す概念図である。 実施の形態2による単位コイルのスロット内とコイルエンド部の合計の素線間の誘起電圧の分布を示す図である。 実施の形態2による単位コイルのスロット内において生じる素線間の誘起電圧の分布を示す図である。 実施の形態2による単位コイルのコイルエンド部において生じる素線間の誘起電圧の分布を示す図である。
実施の形態1.
発電機などの大型の回転電機の電機子(固定子)に用いられる、本実施の形態の電機子コイルについて、図3を用いて説明する。
図3は、実施の形態1による電機子コイルを構成する単位コイル50の、軸方向に垂直な断面の模式図である。
なお、以降の説明において、円環状の固定子における各方向を、周方向S、軸方向G、径方向Kとしてそれぞれを示す。また、径方向Kの内側は、径方向内側K1(径方向最内側K1)とし、径方向Kの外側は、径方向外側K2(径方向最外側K2)としてそれぞれを示す。
固定子に用いられる電機子コイルは、固定子の固定子鉄心のスロット内にそれぞれ収納される複数の単位コイル50から構成される。
図3に示すように各単位コイル50は、複数の素線Xから成る型巻コイルであり、本実施の形態では、固定子の周方向Sに対して2列、径方向Kに対して54段、の計108本(素線番号No.1〜54、素線番号No.55〜108)の素線Xを積層して構成される。
図3において、径方向内側K1が、固定子鉄心の軸中心側に設けられる、図示しない回転子を配設するための空隙側であり、径方向外側K2が、固定子鉄心のコアバック側となる。
各素線Xの軸方向Gの両端は、固定子鉄心の軸方向両端において、スロット内からそれぞれ延出されて互いに電気的に接続され、固定子鉄心の軸方向両端においてコイルエンド部を形成する。
次に、従来から用いられる電機子コイルにおいて循環電流損失を低減する技術と、以降の説明において用いる本分野の専門的な用語とについて、比較例による単位コイルを用いて説明する。
図4は、比較例による単位コイルを構成する素線の、固定子鉄心の軸方向Gの各位置における転位位置を示す概念図である。
図5は、図4に示した比較例による単位コイルの、軸方向に垂直な断面の模式図である。
図6は、比較例による単位コイルを構成する複数の素線の内、2本の素線(素線No.1、No.2)の、固定子鉄心の軸方向Gの各位置における転位位置を示す概念図である。
図7は、比較例による単位コイルの素線の転位状態を示す概念図である。
図4は、単位コイルを構成する複数の素線の内、1本の素線のみの転位位置を示したものであり、図5においてNo.1として示された素線が、図4に示された素線に対応している。この素線No.1は、固定子鉄心の軸方向一端部(図4においてG1と示された軸方向位置)における単位コイルの断面における位置が、図5に示すように径方向最内側K1に位置する素線である。
また、図4において、素線を軸方向Gに対してA部、B部、C部、D部、E部と区分すると、A部、B部、C部が、固定子鉄心のスロット内に収納される部分であり、D部、E部が、固定子鉄心の軸方向外側のコイルエンド部を形成する部分である。
素線No.1は、図4に示すA部において、固定子鉄心の軸方向Gに対して斜めに、単位コイルの径方向最内側K1から径方向最外側K2までその径方向位置を変位させる180°転位が行われ、図5において、転位開始した位置P1から単位コイルの中心Oに対して点対称となる位置に転位される。
次にこの素線No.1は、図4に示すB部において、固定子鉄心の軸方向Gに対して斜めに、単位コイルの径方向最外側K2から径方向最内側K1までその径方向位置を変位させる180°転位が行われ、図5において、位置P1と同じ位置に戻る。
さらに素線No.1は、図4に示すC部において、固定子鉄心の軸方向Gに対して斜めに単位コイルの径方向最内側K1から径方向最外側K2までその径方向位置を変位させる180°転位が行われ、図5において、位置P1から単位コイルの中心Oに対して点対称となる位置に転位される。
よって、素線No.1は、固定子鉄心の軸方向一端部G1と軸方向他端部G2とにおいて、単位コイルの中心Oに対して点対称となる位置に配置される転位構成となる、スロット内540°転位を構成する。
なお、図4に示す実線は、図5における図中右側の位置を、点線は図中左側の位置を示している。
また、素線No.1は、コイルエンド部(D部、E部)においては、径方向Kの位置を変位させる転位は構成されていない。
図6は、単位コイルを構成する複数の素線の内、図5に示す素線No.1とNo.2の転位位置を示している。
図5および図6に示すように、素線No.2は、固定子鉄心の軸方向一端部G1において、素線No.1よりも径方向外側K2に位置する素線である。図6に示すように、素線No.2も素線No.1と同様に、スロット内において素線No.1に沿って540°転位が構成される。単位コイルを構成するその他の素線についても、同様に隣接する素線に沿って転位が構成される。
図7は、単位コイルにおいて径方向Kに隣接する素線が、径方向最内側K1あるいは径方向最外側K2においてクランク曲げされる状態を概念的に示している。ここで言うクランク曲げとは、図6に示したように、素線が単位コイルの径方向最外側K2あるいは径方向最内側K1で折り返される際に素線を捩ることをいう。なお、図7は、クランク曲げを概念的に示すための図であって、図中に示される素線Q1、Q2は、比較例の素線No.1、No.2に対応させて図示したものではない。
図7に示すように、径方向Kに隣接する素線Q1、Q2が径方向最内側K1あるいは径方向最外側K2においてクランク曲げされる際、その周方向Sの位置を変化させるように捩られていることが判る。図6に示した素線No.1、No.2もこれと同様に、例えば箇所R3においてその周方向Sの位置が入れ替わるように捩れてクランク曲げされる。
次に、図4に示した単位コイルとは異なる他の比較例による、素線の転位構成について説明する。
図8は、他の比較例による単位コイルを構成する素線の、固定子鉄心の軸方向Gの各位置における転位位置を示す概念図である。
図8に示す単位コイルは、図4に示した単位コイルと比較して、A部、B部、C部の各部に一部転位を行わない箇所(ボイド:Void)を設けたところが異なる。ボイドは、各A部、B部、C部における転位角度90°の位置に構成され、B部におけるボイドの軸方向Gの幅は、A部及びC部におけるボイドの軸方向Gの幅の2倍程度の幅に構成される。
ここで、単位コイルを構成する素線の循環電流について説明する。
電機子コイルを構成する素線に流れる循環電流は、単位コイルの各素線の軸方向の両端がそれぞれ短絡されているために、各素線間に誘起電圧差が生じた場合にこの差を埋めるように流れる。循環電流は往復電流であるため、インピーダンスが小さく少しの電圧差であっても電流値が大きくなり、損失を発生させる。すなわち、素線間の誘起電圧差を抑制することで循環電流損失を低減できる。
なお、単位コイルを構成する素線間の誘起電圧差は、コイルエンド部において生じる素線間の誘起電圧差と、スロット内における素線間の誘起電圧差との合計となる。
次に、図4、図8において示した比較例の単位コイルにおいて生じる素線間の誘起電圧差について説明する。
図9は、コイルエンド部において転位を構成しない単位コイル、即ち、上記図4、図8において示した比較例の単位コイルにおいて、コイルエンド部において生じる素線間の誘起電圧の分布を示す図である。
図において、横軸は素線番号を示し、素線番号毎の誘起電圧の分布を示している。なお、縦軸の1メモリは、0.5Vに相当する。
ここで、図4に示した比較例の単位コイルの場合、スロット内において540°転位を構成しているため、スロット内においては誘起電圧差は理論上発生しない。しかしながら、コイルエンド部においては、上記図9に示すような誘起電圧差が生じている。前述のように、単位コイルにおける素線間の誘起電圧差は、コイルエンド部とスロット内との素線間誘起電圧差の合計となるため、図4に示す比較例の単位コイルの場合、循環電流が生じて電流損失が発生する。
図8に示した比較例の単位コイルの場合では、スロット内においてボイドを構成した540°転位を行っている。この場合、以下図10に示すような誘起電圧差がスロット内において生じる。
図10は、図8に示した比較例の転位構成の単位コイルにおいて、スロット内において生じる素線間の誘起電圧の分布を示す図である。
この場合、図8に示した比較例の単位コイルの素線間の誘起電圧差は、図9と図10の合計となる。図9のコイルエンド部の誘起電圧の2つの山の部分に対応する位置において、図10に示すスロット内の誘起電圧が谷になっており、合計することで誘起電圧が相殺され、素線間の誘起電圧差が低減できることがわかる。このように、コイルエンド部において生じる誘起電圧を相殺するような誘起電圧の分布を、スロット内に意図的に生じさせることが、スロット内においてボイドを構成することの効果である。
以上、従来から用いられる比較例による単位コイルにおいて、循環電流損失を低減する技術を説明した。
以下、本実施の形態1の固定子および電機子コイルにおける循環電流損失を低減する技術について説明する。
図1は、実施の形態1による単位コイル50を構成する素線Xの、固定子1の固定子鉄心2の軸方向各位置における転位位置を示す概念図である。
図2は、実施の形態1による単位コイル50の、軸方向Gに垂直な断面の模式図である。
なお、図2に示すP1〜P9の箇所は、図1に示すP1〜P9の箇所に対応している。
図1に示すように、本実施の形態の単位コイル50を構成する素線Xを、固定子鉄心2(鉄心)のスロット3内の軸方向一端部G1側から軸方向他端部G2側に向けて、軸方向Gに連続して、第1区間としてのA部と、第2区間としてのB部と、第3区間としてのC部とに区分して定義する。これら区間A部、B部、C部のそれぞれの軸方向Gの幅を、第1幅A1、第2幅B2、第3幅C3とする。
各素線Xは、これら区間A部、B部、C部においてそれぞれ転位角度180度の転位が行われて、スロット3の軸方向一端部G1と軸方向他端部G2との間において、転位角度540度の転位を構成する。
なお、図1に示した素線Xは、単位コイル50を構成する複数の素線Xの内、固定子鉄心2の軸方向一端部(G1と示す軸方向位置)における単位コイル50の断面における位置が、図2に示すように径方向最内側K1に位置する素線(以降、第1素線X1と称す)である。
また、コイルエンド部(D部、E部)において、素線Xは、180°未満の第1転位角度θの転位が構成されており、更に、区間A部、B部、C部のそれぞれにおいて、素線Xの転位の変化率が変化する変位部Hが構成されている。変位部Hの転位の変化率(傾き)は、180°を各区間の幅により除算して得られる値よりも小さい値に設定されるものであり、本実施の形態1では、変位部Hにおいては転位が行われない変化率0が設定されている。
変位部Hは、その軸方向Gの中間点HMの位置が、スロット3内のA部およびC部において、(θ+180)/2°の位置で形成され、区間B部においては(θ+180)/2+180°の位置で形成されている。
なお、B部における変位部Hの位置を、A部およびB部と同様に、(θ+180)/2°と示してもこれは同義である。
従って、各区間A部、B部、C部における変位部Hの中間点HMのそれぞれの位置は、誤差を加味した所定のマージンを含めると、以下(式1)により表される。
各区間の変位部Hの中間点HMの位置=(θ+180°)/2±第1マージンM°
=(θ/2+90°)±第1マージンM°・(式1)
但し、第1マージンMは、素線X1本分の径方向Kの厚みに相当する転位角度
上記(式1)から明らかなように、変位部Hの中間点HMは、各区間A部、B部、C部における転位角度90°に対して、コイルエンド部における第1転位角度θ/2を加算した角度の位置近辺に設けられる。
また、本実施の形態においては、素線Xの区間A部、B部、C部の軸方向Gの幅は、
第2幅B2=第1幅A1+第3幅C3
の関係を有するように構成されている。
上記のように構成された本実施の形態の単位コイル50の素線間の誘起電圧差について説明する。
図11は、実施の形態1による単位コイル50のコイルエンド部において生じる素線X間の誘起電圧の分布を、コイルエンド部での転位がない場合の比較例の誘起電圧分布と比較して示した図である。
図12は、実施の形態1による単位コイル50のスロット3内において生じる素線X間の誘起電圧の分布を示す図である。
図11では、コイルエンド部における第1転位角度θを、0°(転位無し)、60°、90°と変化させて示している。また、図12では、スロット3内における変位部Hの位置を、約90°、120°、135°と変化させてそれぞれの分布を示している。
なお、図11、図12の両図共、縦軸の1メモリは、0.5Vに相当する。
図11より、コイルエンド部において転位(第1転位角度θ=60°、90°)を構成すると、転位がない構成に比較して、コイルエンド部における素線X間の誘起電圧の大きさ(誘起電圧の最大値と最小値との差)が小さくなるだけでなく、誘起電圧が最小となる波形の谷の部分の急峻さが緩和されることが判る。更に、コイルエンド部における第1転位角度θを60°から90°に大きくすると、誘起電圧の山谷の位置が、図11における左方側にシフトするように変化することが判る。
また、図12により、変位部Hが設けられる転位角度を大きくするに従い、スロット内における誘起電圧分布の山谷の位置が、図12における左方側にシフトするように変化することが判る。
以上より、コイルエンド部において転位を構成させると、転位させない構成に比較して誘起電圧が小さくなり、電圧波形の急峻さが緩和されることから、素線間の誘起電圧の抑制を容易かつ効率良く行えることが判る。そしてその上で、コイルエンド部における誘起電圧分布の山の部分に、スロット3内における誘起電圧分布の谷の部分が位置するように、スロット3内における変位部Hの中間点HMの位置を調整すればよいことが判る。
これら電圧波形から、第1転位角度θを60°とした場合の、コイルエンド部における誘起電圧の山の部分に対して、スロット3内における誘起電圧の谷が位置するような電圧波形を生じさせる変位部Hの位置は、図12により120,300°である事が判る。
また、第1転位角度θを90°とした場合の、コイルエンド部における誘起電圧の山の部分に対して、スロット3内における誘起電圧の谷が位置するような電圧波形を生じさせる変位部Hの位置は、図12により135,315°である事が判る。
以上より、スロット3内における変位部Hの位置を、上記式(1)により導出して定めることで、コイルエンド部における素線X間の誘起電圧と、スロット3内における素線X間の誘起電圧とを相殺させ、素線X間の誘起電圧差を最小化できることが証明された。
次に、変位部Hの軸方向Gの、第4幅としての幅(H1、H2、H3)の設定方法について説明する。
図13は、実施の形態1による変位部Hの軸方向Gの幅H1、H2、H3を変化させた場合の、スロット3内の誘起電圧の分布を示す図である。
本図において、変位部Hの幅は、各区間(A部、B部、C部)の幅(第1幅A1、第2幅B2、第3幅C3)に対する、各変位部Hの幅H1、H2、H3の割合で示す。
変位部Hの幅H1、H2、H3を大きくするに従い、スロット3内の誘起電圧の大きさ(最大値と最小値との差)が大きくなることが判る。よって、スロット3内の誘起電圧の大きさが、コイルエンド部において転位を構成した場合のコイルエンド部の素線X間の誘起電圧の大きさに対応するように、スロット3内における変位部Hの幅H1、H2、H3を調整すればよいことが判る。
図11に示したコイルエンド部における誘起電圧を効果的に低減するには、図13より、変位部Hの幅H1、H2、H3を各区間に対して20%前後の割合に設定すればよいことが判る。
なお、図12に示したスロット3内の誘起電圧の分布図は、変位部Hの幅を20%とした場合を示した。
次に、上記(式1)における第1マージンMの値の設定方法について説明する。
図14は、実施の形態1による単位コイル50を構成する複数の素線Xの内、図3に示す素線No.1、No.2、および、No.55について、固定子鉄心2の軸方向各位置における転位位置を示した概念図である。
隣接する素線X(No.1)に沿って転位される素線X(No.2)は、例えば図14のR1として示す箇所において、隣接する素線Xを径方向外側K2に押し下げるように、且つ、周方向Sに捩られてクランク曲げされる。即ち、素線No.2がこの箇所R1においてクランク曲げされる際、素線No.1を、当該素線No.2の径方向Kの厚み分だけ、矢印R2に示されるように、径方向外側K2側に押し下げる。
さらに、図14において図示しない素線X(No.3)が箇所R1においてクランク曲げされると、素線No.1は、素線No.2と素線No.3の厚みの合計分、径方向外側K2に押し下げられる。即ち、実際の単位コイル50において、区間A部における変位部Hの、径方向最内側K1からの距離Z(転位角度)は、素線Xの径方向Kの厚みにより定まる。
ここで、図3に示したように、単位コイル50は、108本の素線X(2列54段)から構成され、単位コイル50の径方向Kの本数は54本である。
単位コイル50の、径方向最内側K1から径方向最外側K2までの転位角度180°を、素線Xの径方向Kの段数54により除算すると、素線Xの1本当たりの厚みに相当する転位角度は、180°/54=10/3°となる。即ち、素線Xのクランク曲げを1回行うあたりに第1素線X1(素線No.1)が転位される転位角度は、10/3°となる。
ここで例えば、コイルエンド部における第1転位角度θを60°とすると、上記(式1)により導出される変位部Hの理論上の位置は、転位角度120°となる。
第1転位角度θを60°とし、素線Xが108本(2列54段)の単位コイル50を用いる場合では、実際の単位コイル50において箇所R1における素線Xのクランク曲げ回数を36回とすると、3/10°×36=120°となり、上記(式1)から導出される理論上の転位角度120°と一致する。
また、例えば、コイルエンド部における第1転位角度θを60°とし、素線Xが110本(2列55段)の単位コイルを用いる場合では、素線Xの1本当たりの厚みに相当する転位角度は、180°/55=36/11°となる。この場合、実際の単位コイル50において箇所R1における素線Xのクランク曲げ37回にて、36/11°×37=121.1°となり、上記(式1)から導出される理論上の転位角度120°に一致はしないが近い値となる。
箇所R1における素線Xのクランク曲げ36回にて、36/11°×36=117.8°となり、この場合においても、理論上の転位角度120°に一致はしないが、近い値となる。
このように実際の単位コイル50の転位角度が、理論上の転位角度120°に一致せずにずれが生じる場合では、理論上の転位角度120°に近いクランク曲げ回数37回(転位角度121.1°)の方が、クランク曲げ回数36回の117.8°よりも循環電流損失が小さくなり、電流損失が低くなる。
このように、実際の単位コイル50において、変位部Hの位置(転位角度)は、単位コイル50を構成する素線Xの径方向Kの段数により定まる。ここで、単位コイル50の素線Xの段数が20本以上であればクランク曲げ1回あたりの転位角度は小さく、循環電流に与える影響も小さい。よって、本実施の形態では、変位部Hに対する第1マージンMを、単位コイル50の径方向Kの段数を20とした場合の、素線Xの1本分の厚み分に相当する角度以下と設定する。180°/20本=9°であるから、第1マージンMは、10°とすると良い。
次に、コイルエンド部D部(E部)における第1転位角度θの値の設定方法について説明する。
上記(式1)により得られる理論上の変位部Hの位置(180+θ)/2となる、実際の単位コイル50における素線Xのクランク曲げ回数は、単位コイル50の径方向Kの段数をYとすると、下記式(2)で得られる値が整数となるような値を設定すると良い。
クランク曲げ回数=(180+θ)/2/(180/Y)
=Y・(180+θ)/360 ・・・(式2)
前述したように、(式1)により導出される理論上の変位部Hの位置に、実際の単位コイル50の変位部Hの位置が近くなるほうが、循環電流損失の低減効果が高い。よって、上記(式2)により定まる値が、整数となるような値に、第1転位角度θを設定すればよい。
例えば、素線108本(2列54段)の単位コイル50の場合では、第1転位角度θに60°あるいは90°を設定することで、上記(式2)の値が整数となる。
あるいは、予め第1転位角度θの値が定まっている場合では、上記(式2)が整数となるような単位コイル50の素線Xの段数Yを決定してもよい。
以上により、本実施の形態において、径方向Kの段数が54段の単位コイル50を用いる場合、好適な第1素線X1の第1転位角度θの値は、60度±10度、あるいは、90度±10度、である。
なお、上記では、スロット3内において変位部Hの中間点HMを設ける位置を、(θ/2+90°)±第1マージンM°としたが、これに限定するものではない。コイルエンド部に転位を構成した場合、図11に示したように、コイルエンド部における誘起電圧は、転位が構成されない場合に比較して、図11の左側にシフトする。スロット3内において生じる誘起電圧の分布についても、変位部Hを90°よりも角度が増加する方向に設けることで、図12の左側にシフトできる。しかしながら、変位部Hを設ける位置が転位角度90°の位置から大きくずれると、スロット3内における誘起電圧の分布もシフトしすぎるおそれがある。よって、変位部Hを、各区間における転位角度90度の位置と、転位角度90度に第1素線X1の第1転位角度θを加算した位置との間の範囲(90°<変位部Hの位置<90°+θ)に設ければ、コイルエンド部における誘起電圧の分布のシフト方向に伴うように、スロット3内で生じる誘起電圧の分布のシフト方向を移動させつつ、意図しない過度なシフトを抑制して循環電流低減効果を得ることができる。
また、上記では、単位コイル50を構成する108本の素線Xの内、固定子鉄心2の軸方向一端部G1において、径方向最内側K1に位置する素線(素線番号No.1)を第1素線X1とした。そして、この指定された第1素線X1におけるコイルエンド部での第1転位角度θと、第1素線X1のスロット3内の変位部Hの転位角度を設定した。
しかしながら、第1素線X1は、このように単位コイル50内で径方向最内側K1に位置する素線に限定するものではなく、例えば、図3に示す素線Xのうち、径方向最外側K2に位置する素線(素線番号No.55)でもよい。図14に示すように、素線番号No.55においても、素線番号No.1と同様の転位構成となる。
さらには、図6に示したように、素線No.1に隣接する素線No.2を第1素線X1としてもよい。単位コイル50の径方向Kの段数が多い場合では、素線No.1の転位角度と、素線番号.2の転位角度との値は近く、素線No.2においても素線No.1と同様の変位部Hの位置関係が成立するためである。
上記のように構成された本実施の形態の電機子コイルを構成する単位コイルによると、単位コイルを構成する各素線は、スロット内において転位角度540度の転位をした構成であり、且つ、コイルエンド部において第1転位角度θの転位をした構成である。
さらに、素線は、スロット内の各区間において、転位の変化率が変化する変位部を有しており、この変位部の軸方向中間点は、各区間における転位角度90度の位置と、転位角度90度に第1転位角度θを加算した位置との間に設けられている。
このように、コイルエンド部において転位を構成することにより、コイルエンド部において生じる誘起電圧の最大値と最小値の電圧差を小さくし、電圧波形の急峻さを緩和することができる。このように、抑制対象の誘起電圧の波形を簡略化させることで、循環電流の抑制を容易かつ効率良く行うことができる。そしてさらに、スロット内において540°転位を構成することで、スロット内における循環電流損失を低減しつつ、コイルエンド部における誘起電圧を相殺するような波形を有する誘起電圧を意図的にスロット内において生じさせるように変位部Hの位置を調整することで、単位コイルを構成する素線間の誘起電圧差を最小化させ、循環電流損失を効果的に低減することができる。
さらには、スロット内において変位部を設ける位置を、((90°+θ/2)±素線の径方向の厚み分の転位角度の位置に設けることで、コイルエンド部における誘起電圧分布の山の部分に、スロット3内における誘起電圧分布の谷の部分を精度よく位置させることができる。これにより、さらに素線間の誘起電圧差を最小化させ、循環電流損失を更に低減することができる。
また、素線の軸方向に区分した各区間における第1幅と第2幅と第3幅との関係を、第2幅=第1幅+第3幅、の関係を有するように構成することで、変位部を用いて、スロット内において確実に所望の誘起電圧波形を生じさせることができ、安定した循環電流損失の低減効果が得られる。
また、変位部の転位の変化率を0とすることで、素線の転位構成が簡素化されるため、製造工程を簡略化できる。
また、コイルエンド部における第1転位角度θを、単位コイルの径方向の段数Yを考慮した上で、Y×(180+θ)/360、の値が、整数となる値に設定すると、(式1)において導出される理論上の変位部Hの転位角度に、実際の単位コイルの変位部Hの転位角度を一致させることができる。これにより更に高い循環電流低減効果を得ることができる。
また、スロット内の変位部の軸方向の幅を、コイルエンド部における素線間の誘起電圧値に応じて設定する。これにより、スロット内において生じる誘起電圧の最大値と最小値の電圧差を、コイルエンド部における誘起電圧の最大値と最小値との電位差に一致させて、更に高い循環電流低減効果を得ることができる。
また、上記のように構成された単位コイルを有する電機子コイルを、大型の回転電機において用いられる固定子に用いることで、固定子の高性能化と高い信頼性を確保できる。
また、コイルエンド部における第1転位角度θは、180°未満の角度としている。通常、スロット内において540°の転位を構成し、軸方向両端のコイルエンド部においてそれぞれ180°の転位角を構成すると、素線間における誘起電圧差は生じず、この場合、スロット内において変位部は不要となる。しかしながら、第1素線X1がコイルエンド部において180°の転位を構成した場合、例えば図14に示すコイルエンド部(E部)における軸方向Gの幅は、隣り合う素線Xのクランク曲げのピッチ(図14の転位ピッチt1)に対して、各素線のクランク曲げ回数を乗算した値よりも長くなければ成立しない。よって、コイルエンド部において第1素線が180°転位を構成すると、単位コイルの素線段数が多い場合では、コイルエンド部における軸方向の長さを長く確保する必要があり、固定子が軸方向に大型化する。また、転位ピッチt1の距離には、素線のクランク曲げによる絶縁破損を抑止するため、短縮可能な限界がある。
本実施の形態では、第1転位角度θを180°より小さい値、好適には、60°および90°と、90°以下の値に構成することで、コイルエンド部における軸方向の幅を短く構成し、電機子コイルおよび固定子の不必要な大型化を防止している。
これにより、発電設備などにおける省スペース化、コスト削減等を図ることが可能となる。
実施の形態2.
以下、本願の実施の形態2を、上記実施の形態1と異なる箇所を中心に図を用いて説明する。上記実施の形態1と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。
図15は、実施の形態2による単位コイルを構成する素線Xの、固定子鉄心2の軸方向各位置における転位位置を示す概念図である。
図16は、実施の形態2による単位コイルのスロット3内とコイルエンド部の合計において生じる素線X間の誘起電圧の分布を、実施の形態1に示した単位コイル50におけるスロット3内の分布と比較して示す図である。
図17は、実施の形態2による単位コイルのスロット3内において生じる素線X間の誘起電圧の分布を示す図である。
図18は、実施の形態2による単位コイルのコイルエンド部において生じる素線X間の誘起電圧の分布を示す図である。
なお、図16〜図18の縦軸の1メモリは、0.5Vに相当する。
本実施の形態2に示す単位コイルは、実施の形態1に示した単位コイル50に比較して、変位部Hの転位の変化率が異なり、180°を各区間の幅により除算して得られる値より小さい値であり、且つ、0より大きい値に設定されている。
即ち、区間A部における変位部Hの転位の変化率は、180度を第1幅A1により除算して得られる値よりも小さい値で、且つ0より大きく設定される。
また、区間B部における変位部Hの転位の変化率は、180度を第2幅B2により除算して得られる値よりも小さい値で、且つ、0より大きく設定される。
また、区間C部における変位部Hの転位の変化率は、180度を第3幅C3により除算して得られる値よりも小さい値で、且つ、0より大きく設定される。
よって、図に示すように、変位部Hの転位は、変位部Hの前後の転位よりも緩やかに構成される。
図17により、変位部Hの転位の変化率を、0°より大きい角度に設定することで、スロット3内の素線間の誘起電圧分布の谷の部分の急峻な部分が穏やかに変化することが判る。
コイルエンド部において転位を構成すると、実施の形態1において説明したように、コイルエンド部における電圧波形の急峻な箇所を緩和することができる。そこで、スロット3内において生じる誘起電圧波形についても、このように急峻な箇所を緩和するよういに、変位部Hの転位の変化率を調整することで、コイルエンド部における素線X間の誘起電圧と、スロット3内における素線X間の誘起電圧とを更に効率的に相殺させ、素線X間の誘起電圧差を最小化できる。
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
1 固定子(電機子)、2 鉄心(固定子鉄心)、3 スロット、50 単位コイル、X 素線、X1 第1素線、H 変位部。

Claims (10)

  1. 電機子のスロットに収容される単位コイルを複数個備え、
    前記単位コイルは、それぞれ転位される複数の素線から成り、該素線が前記スロットの軸方向両端において前記スロットから延出し、それぞれ電気的に接続されてコイルエンド部を形成する電機子コイルにおいて、
    各前記単位コイルを構成する各前記素線は、
    前記スロット内の軸方向の両端間において転位角度540度の転位をした構成であって、
    前記スロット内の軸方向の一端側から他端側に向けて、軸方向に連続して、軸方向に第1幅を有する第1区間、軸方向に第2幅を有する第2区間、軸方向に第3幅を有する第3区間とに該素線を区分すると、前記第1区間、前記第2区間、前記第3区間においてそれぞれ転位角度180度の転位が行われ、且つ、前記コイルエンド部において第1転位角度θの転位をした構成であって、
    前記スロット内の各前記区間において、該素線の転位の変化率が変化する変位部を有し、
    各前記単位コイルの前記素線の内、少なくとも一つの前記素線である第1素線の各前記区間における前記変位部の軸方向中間点は、
    各前記区間における転位角度90度の位置と、前記転位角度90度に前記第1素線の前記第1転位角度θを加算した位置との間に設けられた、
    電機子コイル。
  2. 前記第1区間における前記変位部の転位の変化率は、180度を前記第1幅により除算して得られる値よりも小さい値、
    前記第2区間における前記変位部の転位の変化率は、180度を前記第2幅により除算して得られる値よりも小さい値、
    前記第3区間における前記変位部の転位の変化率は、180度を前記第3幅により除算して得られる値よりも小さい値、
    にそれぞれ設定された、
    請求項1に記載の電機子コイル。
  3. 前記第1素線は、前記単位コイルを構成する前記素線の内、前記スロットの軸方向両端において径方向最外側あるいは径方向最内側に位置する素線であり、
    前記第1素線の各前記区間における前記変位部の軸方向中間点は、
    ((各前記区間における転位角度90度+前記第1転位角度θ/2)±前記素線の径方向の厚み分の転位角度)の位置に設けられた、
    請求項2に記載の電機子コイル。
  4. 前記第1幅と前記第2幅と前記第3幅とは、
    前記第2幅=前記第1幅+前記第3幅、
    の関係を有するように構成された、
    請求項2または請求項3に記載の電機子コイル。
  5. 各前記区間における前記変位部の転位の変化率は、0より大きい値である、
    請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の電機子コイル。
  6. 各前記区間における前記変位部の転位の変化率は、0である、
    請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の電機子コイル。
  7. 前記単位コイルは、前記素線が径方向にY本積層されて構成され、
    前記Yの値と、前記第1素線の前記第1転位角度θの値は、
    Y×(180+θ)/360、の値が、整数となる値にそれぞれ設定された、
    請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の電機子コイル。
  8. 前記Yの値は54本であり、
    前記第1素線の前記第1転位角度θは、60度±10度、あるいは、90度±10度、
    に設定された、
    請求項7に記載の電機子コイル。
  9. 前記変位部の軸方向の第4幅は、前記コイルエンド部における前記素線間の誘起電圧値に応じて設定された、
    請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の電機子コイル。
  10. 前記スロットが形成された鉄心と、
    請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の電機子コイルとを備え、
    前記鉄心の前記スロット内に前記電機子コイルを配設して形成された、
    電機子。
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