JP6912764B2 - 電力変換装置の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は電力変換装置の制御装置に関し、特に、スイッチングによる転流を行う電力変換装置の制御装置に関する。
再生可能電源の大量導入に向けた電力系統の安定化のために蓄電池を用いる場合、電力系統と蓄電池の間に電力変換装置を使用することが多くなっている。この種の電力変換装置としては、現在、三相単相マトリックスコンバータ(MC)を適用した高周波絶縁形AC/DCコンバータが注目されている(非特許文献1を参照)。これは双方向絶縁形AC/DCコンバータの一種であり、変換回数が少なく高効率化を達成できることや、電解コンデンサなしで構成でき、システムの小型化、長寿命化に有利であることから注目され、盛んに研究されている。
非特許文献1には、三相単相マトリックスコンバータを適用した高周波絶縁形AC/DCコンバータの具体的な構成例として、三相単相マトリックスコンバータとフルブリッジ型のAC/DCコンバータとをトランスを挟んで相互に接続してなるMC式デュアルアクティブブリッジ(DAB)型双方向絶縁形AC/DCコンバータが開示されている。このMC式DAB型双方向絶縁形AC/DCコンバータは、トランスの漏れインダクタンスに起因するサージが発生しないことや、全半導体素子でソフトスイッチングが可能、大型の連系リアクトルが不要といった特徴があるため、小型化、高効率化、低コスト化などの観点で特に有利であると考えられている。
繁内宏治、外4名、「マトリックスコンバータを適用した双方向絶縁形AC/DCコンバータの入力電流波形改善」、電気学会研究会資料、一般社団法人電気学会、2016年、Vol.SPC−16−153、p.25−30
ところで、電力変換装置を構成する各スイッチは通常トランジスタによって構成されており、各スイッチがスイッチングする際には、ゲートの活性化により切り替えが始まってから完全に切り替わった状態となるまでにある程度の時間を要する。その結果として、転流時に電源の短絡やインダクタの電流の遮断が起きるおそれがあるため、従来、これを防止すべく各スイッチのスイッチングタイミングに工夫が行われている。
具体的に説明すると、例えばフルブリッジ型のAC/DCコンバータにおいては、転流元のスイッチ状態(上アームを構成する2つのスイッチの一方と、下アームを構成する2つのスイッチの一方とが導通している状態)から転流先のスイッチ状態(上アームを構成する2つのスイッチの他方と、下アームを構成する2つのスイッチの他方とが導通している状態)に遷移するまでの間に、上アームと下アームのすべてのスイッチをオフとするデッドタイムが設けられる。
また、三相単相マトリックスコンバータにおいては、転流元のスイッチ状態(転流元の相に対応する4つのスイッチ(上アームと下アームとで2つずつ)がいずれもオンの状態)から転流先のスイッチ状態(転流先の相に対応する4つのスイッチ(上アームと下アームとで2つずつ)がいずれもオンの状態)に遷移するまでの間に、転流元及び転流先のそれぞれについて一部のスイッチのみがオンとなる3種類のスイッチ状態を経由する転流シーケンスが設けられる。
このように転流元のスイッチ状態から転流先のスイッチ状態に遷移するまでの間に設けられる過渡的なスイッチ状態を、以下では「転流中状態」と称する。三相単相マトリックスコンバータの場合においては、転流シーケンスを構成する3種類のスイッチ状態のそれぞれがこの転流中状態に相当する。
転流中状態を使用すると、電源の短絡とインダクタの電流の遮断は回避できる。しかしながら一方で、転流中状態を設けることは出力電力誤差や入力電流歪みが発生する原因になるので、これらを抑制することが求められている。
したがって、本発明の目的の一つは、転流中状態を使用しつつも出力電力誤差や入力電流歪みを低減できる電力変換装置の制御装置を提供することにある。
本発明による電力変換装置の制御装置は、互いに磁気結合する第1及び第2のコイルを有するトランスと、一端が直流電源の一端を構成する第5のノードに接続され、他端が前記第2のコイルの一端を構成する第3のノードに接続された第1の片方向スイッチ素子、一端が前記直流電源の他端を構成する第6のノードに接続され、他端が前記第3のノードに接続された第2の片方向スイッチ素子、一端が前記第5のノードに接続され、他端が前記第2のコイルの他端を構成する第4のノードに接続された第3の片方向スイッチ素子、及び、一端が前記第6のノードに接続され、他端が前記第4のノードに接続された第4の片方向スイッチ素子を有するAC/DCコンバータと、一端が三相交流の第1相に対応する第7のノードに接続され、他端が前記第1のコイルの一端を構成する第1のノードに接続された第1の双方向スイッチ素子、一端が前記三相交流の第2相に対応する第8のノードに接続され、他端が前記第1のノードに接続された第2の双方向スイッチ素子、一端が前記三相交流の第3相に対応する第9のノードに接続され、他端が前記第1のノードに接続された第3の双方向スイッチ素子、一端が前記第7のノードに接続され、他端が前記第1のコイルの他端を構成する第2のノードに接続された第4の双方向スイッチ素子、一端が前記第8のノードに接続され、他端が前記第2のノードに接続された第5の双方向スイッチ素子、及び、一端が前記第9のノードに接続され、他端が前記第2のノードに接続された第6の双方向スイッチ素子を有するマトリックスコンバータと、前記第1のノードと前記第1のコイルとの間に挿入されたリアクトルとを有する電力変換装置が転流元のスイッチ状態から第1の転流中状態を含む1以上の転流中状態を経て転流先のスイッチ状態に遷移することとなるよう前記第1乃至第4の片方向スイッチ素子及び前記第1乃至第6の双方向スイッチ素子の状態制御を行う前記電力変換装置の制御装置であって、前記電力変換装置が前記第1の転流中状態にある間に前記リアクトルを流れる電流がゼロクロスするタイミングである第1のゼロクロス発生タイミングと、前記第1の転流中状態の終了タイミングとに基づいて第1の延長量を算出する延長量算出部と、前記第1の延長量に基づいて、前記第1の転流中状態の終了後に前記第1乃至第4の片方向スイッチ素子及び前記第1乃至第6の双方向スイッチ素子の状態制御を行うタイミングを遅延させる制御部とを備える制御装置である。
上記制御装置において、電力指令値、前記三相交流の第1相乃至第3相それぞれの電圧値、及び前記直流電源の電圧値に基づいて、第1及び第2の操作パラメータを算出する数値処理部と、前記第1及び第2の操作パラメータに基づき、前記第1乃至第4の片方向スイッチ素子及び前記第1乃至第6の双方向スイッチ素子の状態制御を行うタイミングを示す複数の変調率を算出する変調部と、前記三相交流の第1相乃至第3相それぞれの電圧値、前記直流電源の電圧値、及び前記複数の変調率に基づいて、前記第1の転流中状態の開始タイミングで前記リアクトルを流れる電流の値である第1の電流値と、前記第1の転流中状態が終了した後、力行時には前記第3のノードと前記第4のノードの間の電圧の極性が初めて切り替わるタイミング、回生時には前記第1のノードと前記第2のノードの間の電圧の極性が初めて切り替わるタイミングで前記リアクトルを流れる電流の値である第2の電流値とを算出するリアクトル電流算出部とをさらに備え、前記延長量算出部は、前記第1及び第2の電流値に基づいて前記リアクトルを流れる電流がゼロクロスするか否かを判定し、ゼロクロスすると判定した場合にさらに、前記第1及び第2の電流値及び前記複数の変調率のうちの対応するものに基づいて算出される前記第1のゼロクロス発生タイミングが前記第1の転流中状態内のタイミングか否かを判定し、記第1の転流中状態内のタイミングであると判定した場合に、前記第1の転流中状態の終了タイミングと前記第1のゼロクロス発生タイミングとに基づいて前記第1の延長量を算出し、前記制御部は、前記複数の変調率のうち前記第1の転流中状態の終了後に対応するものに前記第1の延長量を加算することにより、前記第1乃至第4の片方向スイッチ素子及び前記第1乃至第6の双方向スイッチ素子の状態制御を行うタイミングを遅延させることとしてもよい。
また、上記各制御装置において、前記第1の転流中状態は、前記第1乃至第4の片方向スイッチ素子のすべてがオフである状態であることとしてもよいし、前記第1の転流中状態は、前記第1及び第6の双方向スイッチ素子がそれぞれ片方向にのみ電流を流し、前記第2乃至第5の双方向スイッチ素子のすべてがオフである状態であることとしてもよい。
本発明の他の一側面による電力変換装置の制御装置は、互いに磁気結合する第1及び第2のコイルを有するトランスと、一端が直流電源の一端を構成する第5のノードに接続され、他端が前記第2のコイルの一端を構成する第3のノードに接続された第1の片方向スイッチ素子、一端が前記直流電源の他端を構成する第6のノードに接続され、他端が前記第3のノードに接続された第2の片方向スイッチ素子、一端が前記第5のノードに接続され、他端が前記第2のコイルの他端を構成する第4のノードに接続された第3の片方向スイッチ素子、及び、一端が前記第6のノードに接続され、他端が前記第4のノードに接続された第4の片方向スイッチ素子を有するAC/DCコンバータと、一端が三相交流の第1相に対応する第7のノードに接続され、他端が前記第1のコイルの一端を構成する第1のノードに接続された第1の双方向スイッチ素子、一端が前記三相交流の第2相に対応する第8のノードに接続され、他端が前記第1のノードに接続された第2の双方向スイッチ素子、一端が前記三相交流の第3相に対応する第9のノードに接続され、他端が前記第1のノードに接続された第3の双方向スイッチ素子、一端が前記第7のノードに接続され、他端が前記第1のコイルの他端を構成する第2のノードに接続された第4の双方向スイッチ素子、一端が前記第8のノードに接続され、他端が前記第2のノードに接続された第5の双方向スイッチ素子、及び、一端が前記第9のノードに接続され、他端が前記第2のノードに接続された第6の双方向スイッチ素子を有するマトリックスコンバータと、前記第1のノードと前記第1のコイルとの間に挿入されたリアクトルとを有する電力変換装置が第1の転流元のスイッチ状態から第1の転流中状態を含む1以上の転流中状態を経て第1の転流先のスイッチ状態に遷移し、さらに、第2の転流元のスイッチ状態から第2の転流中状態を含む1以上の転流中状態を経て第2の転流先のスイッチ状態に遷移することとなるよう前記第1乃至第4の片方向スイッチ素子及び前記第1乃至第6の双方向スイッチ素子の状態制御を行う前記電力変換装置の制御装置であって、前記電力変換装置が前記第1の転流中状態にある間に前記リアクトルを流れる電流がゼロクロスするタイミングである第1のゼロクロス発生タイミングと、前記第1の転流中状態の終了タイミングとに基づいて第1の延長量を算出するとともに、前記電力変換装置が前記第2の転流中状態にある間に前記リアクトルを流れる電流がゼロクロスするタイミングである第2のゼロクロス発生タイミングと、前記第2の転流中状態の終了タイミングとに基づいて第2の延長量を算出する延長量算出部と、前記第1の延長量に基づいて、前記第1の転流中状態の終了後に前記第1乃至第4の片方向スイッチ素子及び前記第1乃至第6の双方向スイッチ素子の状態制御を行うタイミングを遅延させ、前記第2の延長量に基づいて、前記第2の転流中状態の終了後に前記第1乃至第4の片方向スイッチ素子及び前記第1乃至第6の双方向スイッチ素子の状態制御を行うタイミングを遅延させる制御部とを備える制御装置である。
上記制御装置において、電力指令値、前記三相交流の第1相乃至第3相それぞれの電圧値、及び前記直流電源の電圧値に基づいて、第1及び第2の操作パラメータを算出する数値処理部と、前記第1及び第2の操作パラメータに基づき、前記第1乃至第4の片方向スイッチ素子及び前記第1乃至第6の双方向スイッチ素子の状態制御を行うタイミングを示す複数の変調率を算出する変調部と、前記三相交流の第1相乃至第3相それぞれの電圧値、前記直流電源の電圧値、及び前記複数の変調率に基づいて、前記第1の転流中状態の開始タイミングで前記リアクトルを流れる電流の値である第1の電流値と、前記第1の転流中状態が終了した後、力行時には前記第3のノードと前記第4のノードの間の電圧の極性が初めて切り替わるタイミング、回生時には前記第1のノードと前記第2のノードの間の電圧の極性が初めて切り替わるタイミングで前記リアクトルを流れる電流の値である第2の電流値と、前記第2の転流中状態の開始タイミングで前記リアクトルを流れる電流の値である第3の電流値と、前記第2の転流中状態が終了した後、力行時には前記第3のノードと前記第4のノードの間の電圧の極性が初めて切り替わるタイミング、回生時には前記第1のノードと前記第2のノードの間の電圧の極性が初めて切り替わるタイミングで前記リアクトルを流れる電流の値である第4の電流値とを算出するリアクトル電流算出部とをさらに備え、前記延長量算出部は、前記第1及び第2の電流値に基づいて前記リアクトルを流れる電流がゼロクロスするか否かを判定し、ゼロクロスすると判定した場合にさらに、前記第1及び第2の電流値及び前記複数の変調率のうちの対応するものに基づいて算出される前記第1のゼロクロス発生タイミングが前記第1の転流中状態内のタイミングか否かを判定し、記第1の転流中状態内のタイミングであると判定した場合に、前記第1の転流中状態の終了タイミングと前記第1のゼロクロス発生タイミングとに基づいて前記第1の延長量を算出し、前記延長量算出部は、前記第3及び第4の電流値に基づいて前記リアクトルを流れる電流がゼロクロスするか否かを判定し、ゼロクロスすると判定した場合にさらに、前記第3及び第4の電流値及び前記複数の変調率のうちの対応するものに基づいて算出される前記第2のゼロクロス発生タイミングが前記第2の転流中状態内のタイミングか否かを判定し、記第2の転流中状態内のタイミングであると判定した場合に、前記第2の転流中状態の終了タイミングと前記第2のゼロクロス発生タイミングとに基づいて前記第2の延長量を算出し、前記制御部は、前記複数の変調率のうち前記第1の転流中状態の終了後に対応するものに前記第1の延長量を加算するとともに、前記複数の変調率のうち前記第2の転流中状態の終了後に対応するものに前記第2の延長量を加算することにより、前記第1乃至第4の片方向スイッチ素子及び前記第1乃至第6の双方向スイッチ素子の状態制御を行うタイミングを遅延させることとしてもよい。
また、上記各制御装置において、前記第1及び第2の転流中状態はそれぞれ、前記第1乃至第4の片方向スイッチ素子のすべてがオフである状態であることとしてもよいし、前記第1の転流中状態は、前記第1及び第6の双方向スイッチ素子がそれぞれ片方向にのみ電流を流し、前記第2乃至第5の双方向スイッチ素子のすべてがオフである状態であり、前記第2の転流中状態は、前記第3及び第4の双方向スイッチ素子がそれぞれ片方向にのみ電流を流し、前記第1,第2,第5,第6の双方向スイッチ素子のすべてがオフである状態であることとしてもよい。
電力変換装置が転流中状態であるときにリアクトル電流のゼロクロスが発生するような場合、転流先のスイッチ状態が終了するタイミングでリアクトル電流が所望の値(例えば、転流中状態の無い理想的な動作時と同じ値)となっているようにするためには、ゼロクロス後にもリアクトル電流の変化が継続することが必要である。しかしながら、電力変換装置が転流中状態である間には逆方向の電流の流れが抑制されるため、ゼロクロス後のリアクトル電流の変化が不十分となり、上記所望の値にまでリアクトル電流を変化させることができなくなる。電力変換装置は、リアクトル電流が所望の値になっていることを前提として電力の制御や入力電流の正弦波化制御を行うため、このようにリアクトル電流の変化が不十分になると、これらの制御に誤差が発生し、その結果として出力電力誤差や入力電流歪みが生じる。
本発明によれば、算出した延長量に基づいて、第1の転流中状態の終了後における第1乃至第4の片方向スイッチ素子及び第1乃至第6の双方向スイッチ素子の状態制御タイミングを遅延させるので、電力変換装置が第1の転流中状態である間に抑制されたリアクトル電流の変化分を、第1の転流中状態の終了後に取り戻すことができる。したがって、転流中状態を使用しつつも、出力電力誤差や入力電流歪みを低減することが可能になる。
本発明の好ましい実施の形態による電力変換装置1及びその制御装置4の構成を示す図である。 図1に示した電圧e,e,e,v,v及び電流ieu,iev,iew,i,iの力行時の波形のシミュレーション結果を示す信号波形図である。 図2に示した領域Aの拡大図である。 図1に示した電圧v,v及びリアクトル電流iの力行時の波形を模式的に示す信号波形図である。 図1に示した電圧v,v及びリアクトル電流iの回生時の波形を模式的に示す信号波形図である。 デッドタイム近傍におけるスイッチ素子G11,G21の状態遷移を示す図である。 転流シーケンス近傍における双方向スイッチ素子Sup(=Gpu,Gup),Svp(=Gpv,Gvp)の状態遷移を示す図である。 回生時のデッドタイムにおけるリアクトル電流iの変化の一例を示す図である。 (a)は、図8のD10<t<D20におけるスイッチ素子G11,G21,G12,G22及びリアクトル電流iの状態を示す図であり、(b)は、図8のD20<t<tにおけるスイッチ素子G11,G21,G12,G22及びリアクトル電流iの状態を示す図であり、(c)は、図8のt<t<tにおけるスイッチ素子G11,G21,G12,G22及びリアクトル電流iの状態を示す図である。 回生時のデッドタイムにおけるリアクトル電流iの変化の他の一例を示す図である。 (a)は、図10のD10<t<D20におけるスイッチ素子G11,G21,G12,G22及びリアクトル電流iの状態を示す図であり、(b)は、図10のD20<t<tにおけるスイッチ素子G11,G21,G12,G22及びリアクトル電流iの状態を示す図であり、(c)は、図10のt<t<tにおけるスイッチ素子G11,G21,G12,G22及びリアクトル電流iの状態を示す図である。 力行時の転流シーケンスにおけるリアクトル電流iの変化の一例を示す図である。 (a)は、図12のD10<t<tにおける双方向スイッチ素子Sup,Svp,Swp,Sun,Svn,Swn及びリアクトル電流iの状態を示す図であり、(b)は、図12のt<t<tにおける双方向スイッチ素子Sup,Svp,Swp,Sun,Svn,Swn及びリアクトル電流iの状態を示す図である。 (a)は、図12のt<t<D11における双方向スイッチ素子Sup,Svp,Swp,Sun,Svn,Swn及びリアクトル電流iの状態を示す図であり、(b)は、図12のD11<t<tにおける双方向スイッチ素子Sup,Svp,Swp,Sun,Svn,Swn及びリアクトル電流iの状態を示す図である。 (a)は、図12のt<t<tにおける双方向スイッチ素子Sup,Svp,Swp,Sun,Svn,Swn及びリアクトル電流iの状態を示す図であり、(b)は、図12のt<t<D21における双方向スイッチ素子Sup,Svp,Swp,Sun,Svn,Swn及びリアクトル電流iの状態を示す図である。 図1に示した制御装置4の機能ブロックを示す略ブロック図である。 図16に示したリアクトル電流算出部102の処理で用いる関数func(D)の説明図である。 図16に示した延長量算出部103が行う延長量算出処理を示すフロー図である。 図16に示した延長量算出部103が行う延長量算出処理を示すフロー図である。 図16に示した延長量算出部103が回生時に算出する延長量Dcom1,Dcom2を示す図である。 図16に示した延長量算出部103が力行時に算出する延長量Dcom1,Dcom2を示す図である。 (a)は伝送電力Pの測定結果を示す図であり、(b)は入力電流ieuの歪み率の測定結果を示す図である。 (a)(b)はそれぞれ、図21(a)に示した動作点A(実施例)における電圧e及び入力電流ieuの測定結果を示す図である。 (a)(b)はそれぞれ、図21(a)に示した動作点B(比較例)における電圧e及び入力電流ieuの測定結果を示す図である。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態による電力変換装置1及びその制御装置4の構成を示す図である。
図1に示すように、本実施の形態による電力変換装置1は、三相単相マトリックスコンバータ10と、トランス20と、フルブリッジ型のAC/DCコンバータ30と、保護回路40とを有するMC式DAB型双方向絶縁形AC/DCコンバータである。マトリックスコンバータ10、トランス20、及びAC/DCコンバータ30は、系統電源2と負荷3の間にこの順で接続される。以下では、系統電源2に接続されるマトリックスコンバータ10の3つの端部をそれぞれ第7のノードn、第8のノードn、第9のノードnと称し、トランス20に接続されるマトリックスコンバータ10の2つの端部をそれぞれ第1のノードn、第2のノードnと称し、トランス20に接続されるAC/DCコンバータ30の2つの端部をそれぞれ第3のノードn、第4のノードnと称し、負荷3に接続されるAC/DCコンバータ30の2つの端部をそれぞれ第5のノードn、第6のノードnと称する。また、第2のノードnの電圧に対する第1のノードnの電圧を電圧vと称し、第4のノードnの電圧に対する第3のノードnの電圧を電圧vと称する。
トランス20は、互いに磁気結合する2つのコイル20a,20b(第1及び第2のコイル)を有して構成される。コイル20a,20bの巻き数は、それぞれN及びNである。コイル20aの一端はリアクトルLを介して第1のノードnでマトリックスコンバータ10に接続され、コイル20aの他端は第2のノードnでマトリックスコンバータ10に接続される。コイル20bの一端は第3のノードnでAC/DCコンバータ30に接続され、コイル20bの他端は第4のノードnでAC/DCコンバータ30に接続される。以下では、リアクトルLを流れる電流をリアクトル電流iと称する。
AC/DCコンバータ30は、単相交流電圧(コイル20b側)と直流電圧(負荷3側)とを相互に変換する装置である。負荷3は、例えば蓄電池やハイブリッドカーのモーターを駆動するための電力変換器であり、電力変換装置1から供給される直流電力によって動作する(充電される)場合(力行)と、逆に電力変換装置1に対して直流電力を供給する場合(回生)とがある。詳しくは後述するが、制御装置4は、力行の場合と回生の場合とで異なる動作を行う。負荷3の一端は第5のノードnでAC/DCコンバータ30に接続され、負荷3の他端は第6のノードnでAC/DCコンバータ30に接続される。また、第6のノードnの電圧に対する第5のノードnの電圧を電圧Vdcと称する。
AC/DCコンバータ30は、一端が第5のノードnに接続され、他端が第3のノードnに接続されたスイッチ素子G11(第1の片方向スイッチ素子)と、一端が第6のノードnに接続され、他端が第3のノードnに接続されたスイッチ素子G21(第2の片方向スイッチ素子)と、一端が第5のノードnに接続され、他端が第4のノードnに接続されたスイッチ素子G12(第3の片方向スイッチ素子)と、一端が第6のノードnに接続され、他端が第4のノードnに接続されたスイッチ素子G22(第4の片方向スイッチ素子)と、一端が第5のノードnに接続され、他端が第6のノードnに接続されたキャパシタC1とを有して構成される。
スイッチ素子G11,G21,G12,G22はそれぞれ、例えばMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などの半導体素子と、この半導体素子と並列に接続されたダイオードとを含んで構成される片方向スイッチである。スイッチ素子G11は、ダイオードのアノードが第3のノードnに接続されるように回路に組み込まれ、スイッチ素子G21は、ダイオードのカソードが第3のノードnに接続されるように回路に組み込まれ、スイッチ素子G12は、ダイオードのアノードが第4のノードnに接続されるように回路に組み込まれ、スイッチ素子G22は、ダイオードのカソードが第4のノードnに接続されるように回路に組み込まれる。
スイッチ素子G11,G21,G12,G22を構成する半導体素子の制御電極のそれぞれには、制御装置4から個別の制御信号が供給される。各制御信号は、それぞれハイ又はローいずれかの値を取る信号である。制御装置4は、これらの制御信号の値を個別に制御することにより、スイッチ素子G11,G21,G12,G22それぞれのオンオフ状態を個別に制御する。
マトリックスコンバータ10は、三相交流電圧(系統電源2側)と単相交流電圧(コイル20a側)とを相互に変換する装置である。系統電源2は、互いに2π/3ずつ位相のずれた正弦波信号によって表される交流電圧e,e,eを生成する三相交流電源であり、例えば商用電源である。図1に示すように、u相(第1相)に対応する交流電圧eに対応する系統電源2の出力端は第7のノードnでマトリックスコンバータ10に接続され、v相(第2相)に対応する交流電圧eに対応する系統電源2の出力端は第8のノードnでマトリックスコンバータ10に接続され、w相(第3相)に対応する交流電圧eに対応する系統電源2の出力端は第9のノードnでマトリックスコンバータ10に接続される。以下では、第7乃至第9のノードn〜nを流れる電流をそれぞれ電流ieu,iev,iewと称する。
マトリックスコンバータ10は、一端が第7のノードnに接続され、他端が第1のノードnに接続されたスイッチ素子Sup(第1の双方向スイッチ素子)と、一端が第8のノードnに接続され、他端が第1のノードnに接続されたスイッチ素子Svp(第2の双方向スイッチ素子)と、一端が第9のノードnに接続され、他端が第1のノードnに接続されたスイッチ素子Swp(第3の双方向スイッチ素子)と、一端が第7のノードnに接続され、他端が第2のノードnに接続されたスイッチ素子Sun(第4の双方向スイッチ素子)と、一端が第8のノードnに接続され、他端が第2のノードnに接続されたスイッチ素子Svn(第5の双方向スイッチ素子)と、一端が第9のノードnに接続され、他端が第2のノードnに接続されたスイッチ素子Swn(第6の双方向スイッチ素子)と、交流リアクトルLfと、ダンピング抵抗Rfと、入力キャパシタCfとを有して構成される。
交流リアクトルLfは、第7のノードnとスイッチ素子Sup,Sunの接続点である第10のノードn10との間に挿入されたインダクタと、第8のノードnとスイッチ素子Svp,Svnの接続点である第11のノードn11との間に挿入されたインダクタと、第9のノードnとスイッチ素子Swp,Swnの接続点である第12のノードn12との間に挿入されたインダクタとによって構成される。ダンピング抵抗Rfは、これらのインダクタのそれぞれと並列に接続された3つの抵抗素子によって構成される。入力キャパシタCfは、デルタ結線又はスター結線によって互いに接続された3つのキャパシタによって構成されており、その3つの接続点はそれぞれ第10乃至第12のノードn10〜n12に接続される。以下では、第10乃至第12のノードn10〜n12を流れる電流をそれぞれ電流i,i,iと称する。
スイッチ素子Sup,Svp,Swp,Sun,Svn,Swnはそれぞれ、直列に接続された2つのスイッチ素子によって構成される双方向スイッチである。具体的には、スイッチ素子Supはスイッチ素子Gpu,Gupによって構成され、スイッチ素子Svpはスイッチ素子Gpv,Gvpによって構成され、スイッチ素子Swpはスイッチ素子Gpw,Gwpによって構成され、スイッチ素子Sunはスイッチ素子Gnu,Gunによって構成され、スイッチ素子Svnはスイッチ素子Gnv,Gvnによって構成され、スイッチ素子Swnはスイッチ素子Gnw,Gwnによって構成される。これらスイッチ素子Gpu,Gup,Gpv,Gvp,Gpw,Gwp,Gnu,Gun,Gnv,Gvn,Gnw,Gwnはそれぞれ、上述したスイッチ素子G11,G21,G12,G22と同様、例えばMOSFETやIGBTなどの半導体素子と、この半導体素子と並列に接続されたダイオードとを含んで構成される片方向スイッチである。
スイッチ素子Gpu,Gupは、第1のノードnと第10のノードn10との間にこの順で、かつ、それぞれのダイオードのアノードが相互に接続される向きで接続される。スイッチ素子Gpv,Gvpは、第1のノードnと第11のノードn11との間にこの順で、かつ、それぞれのダイオードのアノードが相互に接続される向きで接続される。スイッチ素子Gpw,Gwpは、第1のノードnと第12のノードn12との間にこの順で、かつ、それぞれのダイオードのアノードが相互に接続される向きで接続される。スイッチ素子Gnu,Gunは、第2のノードnと第10のノードn10との間にこの順で、かつ、それぞれのダイオードのアノードが相互に接続される向きで接続される。スイッチ素子Gnv,Gvnは、第2のノードnと第11のノードn11との間にこの順で、かつ、それぞれのダイオードのアノードが相互に接続される向きで接続される。スイッチ素子Gnw,Gwnは、第2のノードnと第12のノードn12との間にこの順で、かつ、それぞれのダイオードのアノードが相互に接続される向きで接続される。なお、双方向スイッチを構成する2つのスイッチ素子の接続について、ここではそれぞれのダイオードのアノードが相互に接続される向きで接続されるとしたが、それぞれのダイオードのカソードが相互に接続される向きで接続されることとしてもよい。
スイッチ素子Gpu,Gup,Gpv,Gvp,Gpw,Gwp,Gnu,Gun,Gnv,Gvn,Gnw,Gwnを構成する半導体素子の制御電極のそれぞれには、制御装置4から個別の制御信号が供給される。各制御信号は、それぞれハイ又はローいずれかの値を取る信号である。制御装置4は、これらの制御信号の値を個別に制御することにより、スイッチ素子Gpu,Gup,Gpv,Gvp,Gpw,Gwp,Gnu,Gun,Gnv,Gvn,Gnw,Gwnそれぞれのオンオフ状態を個別に制御する。
保護回路40は、転流失敗時のリアクトル電流iを吸収するための回路であり、フルブリッジ接続された4つのダイオードからなる整流回路と、この整流回路と並列に接続された平滑コンデンサ及び負荷とによって構成される。負荷の両端電圧はVである。整流回路の2つの入力端はそれぞれ、第1のノードn及び第2のノードnに接続される。
図2は、電圧e,e,e,v,v及び電流ieu,iev,iew,i,iの力行時の波形のシミュレーション結果を示す信号波形図である。同図には、電圧e,e,eによって表される三相交流の1周期分を示している。また、図3は、図2に示した領域Aの拡大図である。ただし、このシミュレーションは転流中状態の使用による影響を考慮せずに行ったものであるため、後に説明する図12に示すリアクトル電流iの歪みは図2及び図3には現れていない。
三相交流の1周期は、電圧e,e,eの位相に応じて、図3に示すように12個の空間I〜XIIに分けることができる。具体的には、電圧eの位相が0以上π/6未満である空間I、π/6以上π/3未満である空間II、π/3以上π/2未満である空間III、π/2以上2π/3未満である空間IV、2π/3以上5π/6未満である空間V、5π/6以上π未満である空間VI、π以上7π/6未満である空間VII、7π/6以上4π/3未満である空間VIII、4π/3以上3π/2未満である空間IX、3π/2以上5π/3未満である空間X、5π/3以上11π/6未満である空間XI、11π/6以上2π未満である空間XIIに分けることができる。図3に示した領域Aは、空間IV内の領域となっている。
空間I〜XIIそれぞれにおける制御装置4の動作は、電圧e,e,eの大小関係に応じて制御対象となるスイッチ素子が入れ替わること、及び、電圧e,e,eのうち中間の値を取るものの符号に応じて出力電圧が変わる場合があることのほかは、基本的に同一である。そこで以下では、空間I〜XIIに共通の説明を行う場合に、電圧e,e,eを各空間内で大きいものから順に電圧emax,emid,eminと表記することとする。また、電流ieu,iev,iewを各空間内で大きいものから順に電流imax,imid,iminと表記することとする。さらに、電圧e及び電流im_mvを以下の式(1)(2)に示すように定義して、説明のために用いることとする。ただし、電流im_mv,imax_mv,imid_mvに符号「_mv」は、それぞれ電流i,imax,imidの平均値であることを示している。
Figure 0006912764
図4は、電圧v,v及びリアクトル電流iの力行時の波形を模式的に示す信号波形図であり、図5は、電圧v,v及びリアクトル電流iの回生時の波形を模式的に示す信号波形図である。以下、これらの図を参照しながら、まず制御装置4による基本的なスイッチング制御について説明し、次いで、転流中状態について詳しく説明する。
初めに、図4及び図5に示したキャリア信号Cは、制御装置4の内部信号である。制御装置4は、最大値AMPに達するまで一定の割合で増加し続けた後、0に戻るという変化を繰り返すようキャリア信号Cを生成する。そして、キャリア信号Cが0であるタイミングを基準として、電力変換装置1の制御を行う。
また、以下の説明では、キャリア信号Cの半周期を規格化してなる値により時間の経過を表現する。この表現によれば、キャリア信号Cの1周期は2となる。制御装置4の動作タイミングは、図示した変調率D10,D11,D12,D20,D21によって定義される。これら変調率D10,D11,D12,D20,D21は、基準タイミング(キャリア信号Cが0であるタイミング)からの経過時刻によって表され、図4に示した力行時には次の式(3)で、図5に示した力行時には次の式(4)でそれぞれ算出される。ただし、d,dは操作パラメータと呼ばれる数値であり、その算出方法については後述する。
Figure 0006912764
基準タイミング及び変調率D10,D11,D12のそれぞれにより示されるタイミングは、制御装置4がスイッチ素子Gpu,Gup,Gpv,Gvp,Gpw,Gwp,Gnu,Gun,Gnv,Gvn,Gnw,Gwnの状態を制御するタイミングである。具体的に説明すると、制御装置4は、図4に示す力行時においては、基準タイミングで電圧vが−eからemax−eminに変化するよう各スイッチ素子を制御し、変調率D10により示されるタイミングで電圧vがemax−eminからeに変化するよう各スイッチ素子を制御し、変調率D11により示されるタイミングで電圧vがeからemin−emaxに変化するよう各スイッチ素子を制御し、変調率D12により示されるタイミングで電圧vがemin−emaxから−eに変化するよう各スイッチ素子を制御する。一方、図5に示す回生時においては、制御装置4は、基準タイミングで電圧vが−eからeに変化するよう各スイッチ素子を制御し、変調率D10により示されるタイミングで電圧vがeからemax−eminに変化するよう各スイッチ素子を制御し、変調率D11により示されるタイミングで電圧vがemax−eminから−eに変化するよう各スイッチ素子を制御し、変調率D12により示されるタイミングで電圧vが−eからemin−emaxに変化するよう各スイッチ素子を制御する。
また、変調率D20,D21のそれぞれにより示されるタイミングは、制御装置4がスイッチ素子G11,G21,G12,G22の状態を制御するタイミングである。具体的に説明すると、制御装置4は、図4に示す力行時においては、変調率D20により示されるタイミングで電圧vが−VdcからVdcに変化するよう各スイッチ素子を制御し、変調率D21により示されるタイミングで電圧vがVdcから−Vdcに変化するよう各スイッチ素子を制御する。一方、図5に示す回生時においては、制御装置4は、変調率D20により示されるタイミングで電圧vがVdcから−Vdcに変化するよう各スイッチ素子を制御し、変調率D21により示されるタイミングで電圧vが−VdcからVdcに変化するよう各スイッチ素子を制御する。
制御装置4が以上のようなスイッチ素子の制御を行うことにより、電力変換装置1内において転流が発生する。その際、各スイッチ素子の動作遅延に起因して電源短絡やインダクタの電流の遮断が発生してしまうことを防止するため、制御装置4は、各スイッチ素子を瞬時に切り替えるのではなく、所定の転流中状態を経由して切り替えるようにしている。図4及び図5においては、図示した転流シーケンス及びデッドタイムがこの転流中状態に相当する。以下、これらについて詳しく説明する。
図6は、デッドタイム近傍におけるスイッチ素子G11,G21の状態遷移を示す図である。なお、ここではスイッチ素子G11がオンの状態からスイッチ素子G21がオンの状態に切り替える場合を取り上げて説明するが、他の場合(例えば、スイッチ素子G21がオンの状態からスイッチ素子G11がオンの状態に切り替える場合、スイッチ素子G12がオンの状態からスイッチ素子G22がオンの状態に切り替える場合など)についても同様である。
図6に示す例では、スイッチ素子G11がオン、スイッチ素子G21がオフとなっている状態が転流元のスイッチ状態Saであり、スイッチ素子G11がオフ、スイッチ素子G21がオンとなっている状態が転流先のスイッチ状態Sbである。制御装置4はこれらスイッチ状態Sa,Sbの間に、図6に示すように、スイッチ素子G11,G21の両方をオフとする転流中状態Stを介在させる。なお、転流中状態Stの継続時間は所定時間ddtとする。これにより、各スイッチ素子の動作遅延に起因して第5のノードnと第6のノードnが短絡し、その結果として負荷3が短絡してしまう、という事態の発生を防止することが可能になる。
次に図7は、転流シーケンス近傍における双方向スイッチ素子Sup(=Gpu,Gup),Svp(=Gpv,Gvp)の状態遷移を示す図である。なお、ここでは双方向スイッチ素子Supがオンの状態から双方向スイッチ素子Svpがオンの状態に切り替える場合を取り上げて説明するが、他の場合(双方向スイッチ素子Svpがオンの状態から双方向スイッチ素子Supがオンの状態に切り替える場合、双方向スイッチ素子Sunがオンの状態から双方向スイッチ素子Svnがオンの状態に切り替える場合など)についても同様である。
図7に示す例では、スイッチ素子Gpu,Gupがともにオン、スイッチ素子Gpv,Gvpがともにオフとなっている状態が転流元のスイッチ状態Saであり、スイッチ素子Gpu,Gupがともにオフ、スイッチ素子Gpv,Gvpがともにオンとなっている状態が転流先のスイッチ状態Sbである。制御装置4はこれらスイッチ状態Sa,Sbの間に、図7に示すように、3つの転流中状態St1〜St3をこの順で介在させる。なお、転流中状態St1〜St3それぞれの継続時間は、いずれも同じ所定時間dcsとする。
転流中状態St1は、スイッチ素子Gupがオン、スイッチ素子Gpu,Gpv,Gvpがオフという状態である。転流中状態St2は、スイッチ素子Gup,Gvpがオン、スイッチ素子Gpu,Gpvがオフという状態である。転流中状態St3は、スイッチ素子Gvpがオン、スイッチ素子Gpu,Gup,Gpvがオフという状態である。これにより、各スイッチ素子の動作遅延に起因して第7のノードn、第8のノードn、第9のノードnが相互に短絡し、その結果として系統電源2が短絡してしまう、という事態の発生を防止することが可能になる。また、すべてのスイッチ素子Gpu,Gup,Gpv,Gvpをすべて同時にオフするわけではないので、詳しくは後述するが、転流中状態St1〜St3においてもある程度リアクトル電流iを流すことが可能になる。つまり、電流経路が常に確保されており、インダクタの電流遮断の発生を防止することができる。
このように、所定の転流中状態を経由してスイッチ素子の切り替えを行うことにより、電流経路を確保したうえで電源短絡を防止することができるが、一方で、転流中状態を設けることは、リアクトル電流iの誤差を発生させ、それによって出力電力誤差や入力電流歪みを発生させる。以下、リアクトル電流iに誤差が発生する原理について、3つの例を挙げて詳しく説明する。
図8は、回生時のデッドタイムにおけるリアクトル電流iの変化の一例を示す図である。また、図9(a)は、図8のD10<t<D20におけるスイッチ素子G11,G21,G12,G22及びリアクトル電流iの状態を示す図であり、図9(b)は、図8のD20<t<tにおけるスイッチ素子G11,G21,G12,G22及びリアクトル電流iの状態を示す図であり、図9(c)は、図8のt<t<tにおけるスイッチ素子G11,G21,G12,G22及びリアクトル電流iの状態を示す図である。これらの図に示した回路は、それぞれの時刻における電力変換装置1の等価回路となっている。また、図8及び図9には、emax−emin≦(N/N)Vdcである場合を示している。
リアクトル電流iに誤差が発生するのは、転流中状態Stにおいてリアクトル電流iのゼロクロス(プラスからマイナスへの変化、又は、マイナスからプラスへの変化)が発生する場合である。回生時においては、図5を参照すると理解されるように、電圧vを変化させる際に設けるデッドタイムにおいて、このゼロクロスが発生する。デッドタイムは、キャリア信号Cの1周期の間に2回設けられるが、図8にはこのうち変調率D20に対応するデッドタイムのみを示しており、以下ではこれに着目して説明する。ただし、変調率D21に対応するデッドタイムについても同様である。
まず、この場合における転流元のスイッチ状態Sa(D10<t<D20)では、制御装置4は、v=emax−emin、v=Vdcとなるよう各スイッチ素子を制御する。AC/DCコンバータ30について具体的に言えば、制御装置4は、図9(a)に示すように、スイッチ素子G11,G22をオン、スイッチ素子G12,G21をオフとする。この場合におけるリアクトル電流iは、図9(a)に破線で示したように、系統電源2に流れ込む方向(回生方向)に流れる。
転流中状態St(D20<t<t)に入ると、制御装置4は、v=emax−eminを維持したまま、スイッチ素子G11,G22,G12,G21をすべてオフとする。その結果、リアクトル電流iがスイッチ素子G21,G12それぞれのダイオードを通って流れるので、電圧vは−Vdcに変化する。その結果、リアクトルLの両端に印加される電圧が大きくなるので、図8に示すように、リアクトル電流iは急激に上昇し、0に達する時刻tで流れなくなる。図9(c)は、こうしてリアクトル電流iが流れなくなった状態を示している。また、リアクトル電流iが流れないので、図8に示すように、電圧vは(N/N)(emax−emin)に等しくなる。
その後、転流先のスイッチ状態Sb(t<t<D11)に入ると、制御装置4は、v=emax−eminを維持したまま、スイッチ素子G11,G22をオフ、スイッチ素子G12,G21をオンとする。これにより、図8に示すように、再度リアクトル電流iが流れるようになり、電圧vも−Vdcに戻る。リアクトル電流iは、次のスイッチ素子の切り替えタイミング(変調率D11に対応するタイミング)まで、D20<t<tにおける増加率と同等の増加率で増加していく。
このように、本例においては、電力変換装置1が転流中状態Stである間に、リアクトル電流iが流れなくなる期間が発生する。その結果、図8に示したように、仮にこのような期間が存在しないとした場合(破線で示したもの)に比べて、転流中状態Stが終了する時刻t以降のリアクトル電流iの値が小さくなる。つまり、リアクトル電流iに誤差が発生し、交流入力電流の歪みが発生することになる。
図10は、回生時のデッドタイムにおけるリアクトル電流iの変化の他の一例を示す図である。また、図11(a)は、図10のD10<t<D20におけるスイッチ素子G11,G21,G12,G22及びリアクトル電流iの状態を示す図であり、図11(b)は、図10のD20<t<tにおけるスイッチ素子G11,G21,G12,G22及びリアクトル電流iの状態を示す図であり、図11(c)は、図10のt<t<tにおけるスイッチ素子G11,G21,G12,G22及びリアクトル電流iの状態を示す図である。
図10及び図11はemax−emin>(N/N)Vdcである場合を示しており、その他の点では、図8及び図9と同様である。この例では、emax−emin>(N/N)Vdcであることにより、図10及び図11(c)に示すように、t<t<tにおいても若干のリアクトル電流iが流れる。また、スイッチ素子G11,G22の逆並列ダイオードが導通している状態であることから、この間における電圧vはVdcに等しくなる。
こうしてt<t<tにおいてもリアクトル電流iが流れることにより、図8の例に比べれば、転流中状態Stが終了する時刻t以降のリアクトル電流iの値が大きくなる。しかしながら、仮にこのような期間が存在しないとした場合に比べて、転流中状態Stが終了する時刻t以降のリアクトル電流iの値が小さくなるので、結果として、図8の例と同様にリアクトル電流iに誤差が発生し、交流入力電流の歪みが発生する。
図12は、力行時の転流シーケンスにおけるリアクトル電流iの変化の一例を示す図である。また、図13(a)は、図12のD10<t<tにおける双方向スイッチ素子Sup,Svp,Swp,Sun,Svn,Swn及びリアクトル電流iの状態を示す図であり、図13(b)は、図12のt<t<tにおける双方向スイッチ素子Sup,Svp,Swp,Sun,Svn,Swn及びリアクトル電流iの状態を示す図であり、図14(a)は、図12のt<t<D11における双方向スイッチ素子Sup,Svp,Swp,Sun,Svn,Swn及びリアクトル電流iの状態を示す図であり、図14(b)は、図12のD11<t<tにおける双方向スイッチ素子Sup,Svp,Swp,Sun,Svn,Swn及びリアクトル電流iの状態を示す図であり、図15(a)は、図12のt<t<tにおける双方向スイッチ素子Sup,Svp,Swp,Sun,Svn,Swn及びリアクトル電流iの状態を示す図であり、図15(b)は、図12のt<t<D21における双方向スイッチ素子Sup,Svp,Swp,Sun,Svn,Swn及びリアクトル電流iの状態を示す図である。これらの図に示した回路は、それぞれの時刻における電力変換装置1の等価回路となっている。また、図12〜図15は、系統電源2から供給される三相交流が図2に示した空間IV内にある場合(すなわち、emax=e、emid=e、emin=eである場合)を示しており、以下ではこれに着目して説明する。ただし、系統電源2から供給される三相交流が他の空間にある場合についても同様である。
力行時においては、図4を参照すると理解されるように、電圧vの符号を変化させる際に設ける転流シーケンスにおいてリアクトル電流iのゼロクロスが発生し、それによってリアクトル電流iに歪みが発生する。このような転流シーケンスは、キャリア信号Cの1周期の間に2回設けられるが、図8にはこのうち変調率D11に対応する転流シーケンスのみを示しており、以下ではこれに着目して説明する。ただし、キャリア信号C=0によって示される基準タイミングに対応する転流シーケンスについても同様である。
まず、この場合における転流元のスイッチ状態Sa(D10<t<t)では、制御装置4は、v=e−e、v=Vdcとなるよう各スイッチ素子を制御する。マトリックスコンバータ10について具体的に言えば、制御装置4は、図13(a)に示すように、スイッチ素子Gpu,Gup,Gvn,Gnvをオン、スイッチ素子Gpv,Gvp,Gpw,Gwp,Gnu,Gun,Gnw,Gwnをオフとする。この場合におけるリアクトル電流iは、図13(a)に破線で示したように、スイッチ素子Gpu,Gup,Gvn,Gnvを通って負荷3に流れ込む方向(力行方向)に流れる。
転流中状態St1(t<t<t)に入ると、制御装置4は、v=Vdcを維持したまま、スイッチ素子Gpu,Gvnをオフとする。スイッチ素子Gup,Gnvについては、オンの状態を維持する。その結果、図13(b)に示すように、リアクトル電流iはスイッチ素子Gpu,Gvnそれぞれのダイオードを通って流れるようになる。そのため、リアクトル電流iへの影響は見られない。
続いて転流中状態St2(t<t<D11)に入ると、制御装置4は、v=Vdcを維持したまま、スイッチ素子Gwp,Gnuをオンとする。スイッチ素子Gup,Gnvについては、ここでもオンの状態を維持する。そのため、リアクトル電流iへの影響は見られない。
続いて転流中状態St3(D11<t<t)に入ると、制御装置4は、v=Vdcを維持したまま、スイッチ素子Gup,Gnvをオフとする。こうなると、リアクトル電流iの転流が発生し、図14(b)に示すように、スイッチ素子Gpw,Gwp,Gun,Gnuを通ってリアクトル電流iが流れるようになる。図12に示すように、リアクトル電流iは急激に低下し、0に達する時刻tで流れなくなる。図15(a)は、こうしてリアクトル電流iが流れなくなった状態を示している。また、リアクトル電流iが流れないので、図12に示すように、電圧vは(N/N)Vdcに等しくなる。
その後、転流先のスイッチ状態Sb(t<t<D21)に入ると、制御装置4は、v=Vdcを維持したまま、スイッチ素子Gpw,Gunをオンとする。これにより、図12及び図15(b)に示すように、再度リアクトル電流iが流れるようになり、電圧vもe−eに戻る。リアクトル電流iは、次のスイッチ素子の切り替えタイミング(変調率D21に対応するタイミング)まで、D11<t<tにおける減少率と同等の減少率で減少していく。
このように、本例においては、電力変換装置1が転流中状態St3である間に、リアクトル電流iが流れなくなる期間が発生する。その結果、図12に示したように、仮にこのような期間が存在しないとした場合(破線で示したもの)に比べて、転流中状態St3が終了する時刻t以降のリアクトル電流iの値が大きくなる。つまり、リアクトル電流iに誤差が発生し、交流入力電流の歪みが発生することになる。
以上、転流中状態を設けることによって交流入力電流に歪みが発生する原理について、3つの例を挙げて説明した。次に、この歪みを軽減するための制御装置4の構成について、図16〜図20を参照しながら詳細に説明する。
図16は、制御装置4の機能ブロックを示す略ブロック図である。同図に示すように、制御装置4は機能的に、数値演算部100、変調部101、リアクトル電流算出部102、延長量算出部103、及び制御部104を有して構成される。
数値演算部100は、外部から制御装置4に供給される電力指令値Pと、上述した電圧e,e,e,Vdcの実測値とに基づいて、図4及び図5にも示した操作パラメータd,d(第1及び第2の操作パラメータ)を算出する機能部である。
具体的に説明すると、数値演算部100はまず、電力指令値P及び電圧e,e,eの実測値に基づき、次の式(5)(6)により電流imax,imidの指令値imax ,imid を算出する。
Figure 0006912764
次いで数値演算部100は、式(5)によって表される指令値imax ,imid を上掲した式(2)に電流imax_mv,imid_mvとして代入することにより、電流im_mvの指令値i を算出する。そして、指令値imid ,i を次の式(6)(7)に代入し、これらを操作パラメータd,dの二元連立二次方程式として数値的に解くことにより、操作パラメータd,dを算出する。ただし、式(6)(7)内のfは、上述したキャリア信号Cの周波数である。
Figure 0006912764
変調部101は、数値演算部100が算出した操作パラメータd,dに基づき、変調率D10,D11,D12,D20,D21を算出する機能部である。この算出は、上述した式(3)(4)により実行される。
リアクトル電流算出部102は、キャリア信号Cの周期ごとに、電圧e,e,e,Vdcの実測値と、変調部101によって算出された変調率D10,D11,D12,D20,D21とに基づいて、基準タイミング、変調率D10,D11,D12,D20,D21、及び次の基準タイミングのそれぞれに対応するリアクトル電流の電流値i,iD10,iD11,iD12,iD20,iD21,iを算出する機能部である。具体的には、力行時には次の式(8)〜式(14)によって、回生時には次の式(15)〜式(21)によって、それぞれ各電流値を算出する。
Figure 0006912764
Figure 0006912764
ここで、式(8)〜式(21)中に示した関数func(D)(Dは、基準タイミングからの経過時間)は、次の式(22)で表される。ただし、式(22)内の電流値i2_preは、1つ前の周期における電流iである。
Figure 0006912764
図17は、関数func(D)の説明図である。同図に示すように、関数func(D)は、キャリア信号Cの1周期の開始タイミング(基準タイミング)から終了タイミングまで、一定の減少率(又は増加率)で単調に変化する関数である。1周期の開始タイミングにおける関数func(D)の値はi2_pre−iであり、1周期の終了タイミングにおける関数func(D)の値は0となる。
図17の電流値iL1は、関数func(D)を加算せずに各電流値を算出した場合の電流値iを示しており、電流値iL2は、式(8)〜式(21)のとおりに各電流値を算出した場合の電流値iを示している。電流値iL1を見ると理解されるように、関数func(D)を用いずに、電流値iの1周期平均値を0として各電流値を算出すると、同じ基準タイミングで算出される電流値iと電流値iとが不一致となってしまう場合がある。関数func(D)は、この状況を補正するためのもので、関数func(D)を用いることにより、電流値iL2に示すように、同じ基準タイミングで算出される電流値iと電流値iとが一致するようになる。
図16に戻る。延長量算出部103は、電力変換装置1が転流中状態にある間にリアクトル電流iがゼロクロスするタイミングと、その転流中状態の終了タイミングとに基づいて、制御タイミングの延長量を算出する機能部である。延長量算出部103は、変調部101が算出した変調率D10,D11,D12,D20,D21と、リアクトル電流算出部102が算出した電流値i,iD10,iD11,iD12,iD20,iD21,iとを用い、キャリア信号Cの周期ごとに、この延長量の算出を行う。以下、図18〜図21を参照しながら、延長量算出部103が行う処理について詳細に説明する。
図18及び図19は、延長量算出部103が行う延長量算出処理を示すフロー図である。また、図20は、延長量算出部103が回生時に算出する延長量Dcom1,Dcom2(第1及び第2の延長量)を示す図であり、図21は、延長量算出部103が力行時に算出する延長量Dcom1,Dcom2(第1及び第2の延長量)を示す図である。
ここで、以下の説明では「対象転流中状態」という用語を用いる場合があるが、これは、電力変換装置1がその転流中状態にある間にリアクトル電流iがゼロクロスする転流中状態であり、上述したように、回生時、力行時ともにキャリア信号Cの1周期の間に2つ存在する。図20には、この対象転流中状態を転流中状態St−1,St−2として明示し、図21には、この対象転流中状態を転流中状態St3−1,St3−2として明示している。
図18に示すように、延長量算出部103はまず、転流中状態継続時間dtを取得する(ステップS1)。この転流中状態継続時間dtは、回生時には図6に示した所定時間ddtであり、力行時には図7に示した所定時間dcsである。所定時間ddt,dcsは、制御装置4内の図示しない記憶装置に予め記憶される。
次いで延長量算出部103は、1つ目の対象転流中状態(第1の転流中状態。回生時には転流中状態St−1、力行時には転流中状態St3−1)に関して、前後のリアクトル電流iの値(第1及び第2の電流値)に基づき、実際にゼロクロスが発生するか否かを判定する(ステップS2)。
ステップS2の処理について詳しく説明すると、まず回生時については、電流値iD20(第1の電流値:第1の転流中状態の開始タイミングでリアクトルLを流れる電流の値)及び電流値iD11(第2の電流値:第1の転流中状態が終了した後、第1のノードnと第2のノードnの間の電圧の極性が初めて切り替わるタイミングでリアクトルLを流れる電流の値)のそれぞれと0とを比較する処理となる。これらがiD20<0<iD11の関係を満たす場合に、延長量算出部103は、実際にゼロクロスが発生すると判定し、その他の場合に、実際にはゼロクロスが発生しないと判定する。一方、力行時については、電流値i(第1の電流値:第1の転流中状態の開始タイミングでリアクトルLを流れる電流の値)及び電流値iD20(第2の電流値:第1の転流中状態が終了した後、第3のノードnと第4のノードnの間の電圧の極性が初めて切り替わるタイミングでリアクトルLを流れる電流の値)のそれぞれと0とを比較する処理となる。これらがi<0<iD20の関係を満たす場合に、延長量算出部103は、実際にゼロクロスが発生すると判定し、その他の場合に、実際にはゼロクロスが発生しないと判定する。
ステップS2においてゼロクロスが発生しないと判定した場合(ステップS3の否定判定)の延長量算出部103は、延長量Dcom1に0を設定し(ステップS8)、図19のステップS9に処理を進める。一方、ステップS2においてゼロクロスが発生すると判定した場合(ステップS3の肯定判定)の延長量算出部103は、前後のリアクトル電流iの値、及び、対応する変調率に基づき、ゼロクロス発生タイミングDZERO1(第1のゼロクロス発生タイミング)を算出する(ステップS4)。具体的には、回生時には次の式(23)、力行時には次の式(24)によって、ゼロクロス発生タイミングDZERO1を算出する。
Figure 0006912764
次に延長量算出部103は、ステップS1で取得した転流中状態継続時間dtに基づき、算出したゼロクロス発生タイミングDZERO1が対象転流中状態内のタイミングか否かを判定する(ステップS5)。
ステップS5の処理について詳しく説明すると、まず回生時については、転流中状態St−1の終了タイミングD20+dtと、ゼロクロス発生タイミングDZERO1とを比較する処理となる。これらがD20+dt>DZERO1の関係を満たす場合に、延長量算出部103は、対象転流中状態内のタイミングであると判定し、その他の場合に、対象転流中状態内のタイミングでないと判定する。一方、力行時については、転流中状態St3−1の終了タイミングdtと、ゼロクロス発生タイミングDZERO1とを比較する処理となる。これらがdt>DZERO1の関係を満たす場合に、延長量算出部103は、対象転流中状態内のタイミングであると判定し、その他の場合に、対象転流中状態内のタイミングでないと判定する。
ステップS5において対象転流中状態内のタイミングでないと判定した場合(ステップS6の否定判定)の延長量算出部103は、延長量Dcom1に0を設定し(ステップS8)、図19のステップS9に処理を進める。一方、ステップS5において対象転流中状態内のタイミングであると判定した場合(ステップS6の肯定判定)の延長量算出部103は、転流中状態継続時間dtに基づいて決まる転流中状態の終了タイミングと、ゼロクロス発生タイミングDZERO1とに基づき、延長量Dcom1を算出する。具体的には、回生時には次の式(25)、力行時には次の式(26)によって、延長量Dcom1を算出する。
Figure 0006912764
次に、延長量算出部103はステップS9に移り、2つ目の対象転流中状態(第2の転流中状態。回生時には転流中状態St−2、力行時には転流中状態St3−2)についての処理を開始する。
延長量算出部103はまず、対象転流中状態の前後のリアクトル電流i(第3及び第4の電流値)の値に基づき、実際にゼロクロスが発生するか否かを判定する(ステップS9)。この処理は、まず回生時については、電流値iD21(第3の電流値:第2の転流中状態の開始タイミングでリアクトルLを流れる電流の値)及び電流値i(第4の電流値:第2の転流中状態が終了した後、第1のノードnと第2のノードnの間の電圧の極性が初めて切り替わるタイミングでリアクトルLを流れる電流の値)のそれぞれと0とを比較する処理となる。これらがi<0<iD21の関係を満たす場合に、延長量算出部103は、実際にゼロクロスが発生すると判定し、その他の場合に、実際にはゼロクロスが発生しないと判定する。一方、力行時については、電流値iD11(第3の電流値:第2の転流中状態の開始タイミングでリアクトルLを流れる電流の値)及び電流値iD21(第4の電流値:第2の転流中状態が終了した後、第3のノードnと第4のノードnの間の電圧の極性が初めて切り替わるタイミングでリアクトルLを流れる電流の値)のそれぞれと0とを比較する処理となる。これらがiD21<0<iD11の関係を満たす場合に、延長量算出部103は、実際にゼロクロスが発生すると判定し、その他の場合に、実際にはゼロクロスが発生しないと判定する。
ステップS9においてゼロクロスが発生しないと判定した場合(ステップS10の否定判定)の延長量算出部103は、延長量Dcom2に0を設定し(ステップS15)、処理を終了する。一方、ステップS9においてゼロクロスが発生すると判定した場合(ステップS10の肯定判定)の延長量算出部103は、前後のリアクトル電流iの値、及び、対応する変調率に基づき、ゼロクロス発生タイミングDZERO2(第2のゼロクロス発生タイミング)を算出する(ステップS11)。具体的には、回生時には次の式(S27)、力行時には次の式(28)によって、ゼロクロス発生タイミングDZERO2を算出する。
Figure 0006912764
次に延長量算出部103は、ステップS1で取得した転流中状態継続時間dtに基づき、算出したゼロクロス発生タイミングDZERO2が対象転流中状態内のタイミングか否かを判定する(ステップS12)。具体的には、まず回生時については、転流中状態St−2の終了タイミングD21+dtと、ゼロクロス発生タイミングDZERO2とを比較する。そして、これらがD21+dt>DZERO2の関係を満たす場合に、対象転流中状態内のタイミングであると判定し、その他の場合に、対象転流中状態内のタイミングでないと判定する。一方、力行時については、転流中状態St3−2の終了タイミングD11+dtと、ゼロクロス発生タイミングDZERO2とを比較する。これらがD11+dt>DZERO2の関係を満たす場合に、対象転流中状態内のタイミングであると判定し、その他の場合に、対象転流中状態内のタイミングでないと判定する。
ステップS12において対象転流中状態内のタイミングでないと判定した場合(ステップS13の否定判定)の延長量算出部103は、延長量Dcom2に0を設定し(ステップS15)、処理を終了する。一方、ステップS12において対象転流中状態内のタイミングであると判定した場合(ステップS13の肯定判定)の延長量算出部103は、転流中状態継続時間dtに基づいて決まる転流中状態の終了タイミングと、ゼロクロス発生タイミングDZERO2とに基づき、延長量Dcom2を算出する。具体的には、回生時には次の式(29)、力行時には次の式(30)によって、延長量Dcom2を算出する。
Figure 0006912764
図16に戻る。延長量算出部103は、以上のようにして算出した延長量Dcom1,Dcom2を、転流中状態継続時間dtとともに制御部104に供給する。制御部104は、延長量算出部103から供給されるこれらの情報の他、変調部101が算出した変調率D10,D11,D12,D20,D21と、リアクトル電流算出部102が算出した電流値i,iD10,iD11,iD12,iD20,iD21,iとに基づいて、図1に示したスイッチ素子Gpu,Gup,Gpv,Gvp,Gpw,Gwp,Gnu,Gun,Gnv,Gvn,Gnw,Gwn,G11,G21,G12,G22の状態制御を行う。
具体的に説明すると、制御部104はまず、変調率D10,D11,D12,D20,D21のうち1つ目の対象転流中状態の電流ゼロクロスタイミング以降に到来するものに、延長量Dcom1を加算する処理を行う。この加算処理の対象となる変調率としては、回生時には変調率D11,D12,D21が該当し、力行時には変調率D10,D11,D12,D20,D21のすべてが該当する。
続いて制御部104は、変調率D10,D11,D12,D20,D21のうち2つ目の対象転流中状態の電流ゼロクロスタイミング以降に到来するものに、延長量Dcom2を加算する処理を行う。この加算処理の対象となる変調率としては、力行時には変調率D12,D21が該当する。回生時には、この加算処理の対象となる変調率は存在しない。
これらの加算処理後の変調率を修正変調率D10a,D11a,D12a,D20a,D21aとし、それぞれを数式で表すと、次の式(31)及び式(32)となる。式(31)は回生時、式(32)は力行時に対応している。図20及び図21には、修正変調率D10a,D11a,D12a,D20a,D21aのそれぞれを、加算処理前の変調率D10,D11,D12,D20,D21とともに図示している。
Figure 0006912764
制御部104はさらに、延長量Dcom1,Dcom2に基づいて、キャリア信号Cの最大値AMPを修正する処理を行う。この処理は、キャリア信号Cの1周期をDcom1+Dcom2だけ延長するための処理であり、具体的には、回生時・力行時ともに次の式(33)により修正最大値AMPaが算出される。
Figure 0006912764
以上のようにして修正変調率D10a,D11a,D12a,D20a,D21a及び修正最大値AMPaを求めた制御部104は、その後、修正最大値AMPaに基づいてキャリア信号Cの生成を行い、さらに、このキャリア信号Cが0であるタイミングを基準として、修正変調率D10a,D11a,D12a,D20a,D21aのそれぞれに基づくタイミングで、図1に示したスイッチ素子Gpu,Gup,Gpv,Gvp,Gpw,Gwp,Gnu,Gun,Gnv,Gvn,Gnw,Gwn,G11,G21,G12,G22の状態制御を行う。その結果、図20及び図21に示すように、転流中状態を設けたことによって抑制されたリアクトル電流iの変化分が補償され、転流中状態を設けない場合と実質的に同振幅のリアクトル電流iを得ることが可能になる。
以上説明したように、本実施の形態による制御装置4によれば、算出した延長量Dcom1,Dcom2に基づいて、ゼロクロスに対応する転流中状態(回生時には転流中状態St−1,St−2、力行時には転流中状態St3−1,St3−2)の終了後におけるスイッチ素子Gpu,Gup,Gpv,Gvp,Gpw,Gwp,Gnu,Gun,Gnv,Gvn,Gnw,Gwn,G11,G21,G12,G22の状態制御タイミングを遅延させるので、電力変換装置1がこれらの転流中状態である間に抑制されたリアクトル電流iの変化分を、転流中状態の終了後に取り戻すことができる。したがって、転流中状態を使用しつつも、出力電力誤差や入力電流歪みを低減することが可能になる。
また、本実施の形態によれば、スイッチ素子の状態制御タイミングを遅延させた分だけキャリア信号Cの1周期を延長するので、スイッチ素子の状態制御タイミングの遅延によって他の状態制御タイミングに悪影響を与えることなくリアクトル電流iに新たな誤差が生ずることを防止できる。
以下、電力変換装置1及び制御装置4を用いて実際に実験を行った結果を示しながら、本発明の効果について説明する。以下では、上記実施の形態による制御装置4を用いて実験を行った結果である実施例と、本発明の背景技術による制御装置4を用いて実験を行った結果である比較例とを示す。各実験で用いた各パラメータの値は、以下の表1に示すとおりである。また、スイッチ素子Sup,Svp,Swp,Sun,Svn,Swnとしては、セミクロン社製のSKM150GM12T4Gを用いた。
Figure 0006912764
図22(a)は伝送電力Pの測定結果を示す図であり、図22(b)は入力電流ieuの歪み率(THD:Total Harmonic Distortion)の測定結果を示す図である。両図とも、横軸は電力指令値Pである。また、図23(a)及び図23(b)はそれぞれ、図21(a)に示した動作点A(実施例)における電入力圧e及び入力電流ieuの測定結果を示す図であり、図24(a)及び図24(b)はそれぞれ、図21(a)に示した動作点B(比較例)における入力電圧e及び入力電流ieuの測定結果を示す図である。これらの図の横軸は時間である。
図22(a)を参照すると、比較例では動作領域によっては伝送電力Pに大きな誤差が生じているのに対し、実施例ではそのような誤差がほとんど生じていない。このことは、比較例と比べて、実施例では出力電力誤差が低減されていることを示している。
次に図22(b)を参照すると、マイナスの電力指令値Pに対応する回生時においては、比較例では幅広い動作領域にわたって入力電流ieuの歪み率が大きくなっているのに対し、実施例ではほぼすべての動作領域で入力電流ieuの歪み率が抑制されている。例えば回生定格出力−1000Wの60%に相当する−600Wにおいては、入力電流ieuの歪み率が23.5%から4.0%にまで抑制されている。一方、プラスの電力指令値Pに対応する力行時においては、低出力では実施例の歪み率が大きくなってしまっているものの、力行定格出力1000Wの40%程度以上で動作させた場合の歪み率としては、比較例よりも小さな値が得られている。したがって、実施例によれば、多くの実用的な動作領域で、比較例よりも入力電流の歪みが抑制されると言える。
このことは、図23及び図24に示した実験結果からも確認される。これらの図によれば、回生定格出力−1000Wの60%に相当する−600W(図22(a)に示した動作点A,B)において、比較例では入力電流ieuに大きな歪みが生じているのに対し、実施例では入力電流ieuの歪みが抑制されている。
このように、本実施の形態による制御装置4によって出力電力誤差や入力電流歪みを低減できることは、実験の結果からも確認されている。
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、本発明が、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施され得ることは勿論である。
1 電力変換装置
2 系統電源
3 負荷
4 制御装置
10 三相単相マトリックスコンバータ
20 トランス
20a,20b コイル
30 AC/DCコンバータ
40 保護回路
100 数値演算部
101 変調部
102 リアクトル電流算出部
103 延長量算出部
104 制御部
AMP キャリア信号Cの最大値
AMPa キャリア信号Cの修正最大値
C キャリア信号
C1 キャパシタ
Cf 入力キャパシタ
10,D11,D12,D20,D21 変調率
10a,D11a,D12a,D20a,D21a 修正変調率
com1,Dcom2 延長量
ZERO1,DZERO2 ゼロクロス発生タイミング
pu,Gup,Gpv,Gvp,Gpw,Gwp,Gnu,Gun,Gnv,Gvn,Gnw,Gwn,G11,G21,G12,G22 スイッチ素子
L リアクトル
Lf 交流リアクトル
電力指令値
Rf ダンピング抵抗
Sa 転流元のスイッチ状態
Sb 転流先のスイッチ状態
St,St1〜St3 転流中状態
up,Svp,Swp,Sun,Svn,Swn 双方向スイッチ素子
,d 操作パラメータ
dt,ddt,dcs 転流中状態継続時間
リアクトル電流

Claims (8)

  1. 互いに磁気結合する第1及び第2のコイルを有するトランスと、
    一端が直流電源の一端を構成する第5のノードに接続され、他端が前記第2のコイルの一端を構成する第3のノードに接続された第1の片方向スイッチ素子、一端が前記直流電源の他端を構成する第6のノードに接続され、他端が前記第3のノードに接続された第2の片方向スイッチ素子、一端が前記第5のノードに接続され、他端が前記第2のコイルの他端を構成する第4のノードに接続された第3の片方向スイッチ素子、及び、一端が前記第6のノードに接続され、他端が前記第4のノードに接続された第4の片方向スイッチ素子を有するAC/DCコンバータと、
    一端が三相交流の第1相に対応する第7のノードに接続され、他端が前記第1のコイルの一端を構成する第1のノードに接続された第1の双方向スイッチ素子、一端が前記三相交流の第2相に対応する第8のノードに接続され、他端が前記第1のノードに接続された第2の双方向スイッチ素子、一端が前記三相交流の第3相に対応する第9のノードに接続され、他端が前記第1のノードに接続された第3の双方向スイッチ素子、一端が前記第7のノードに接続され、他端が前記第1のコイルの他端を構成する第2のノードに接続された第4の双方向スイッチ素子、一端が前記第8のノードに接続され、他端が前記第2のノードに接続された第5の双方向スイッチ素子、及び、一端が前記第9のノードに接続され、他端が前記第2のノードに接続された第6の双方向スイッチ素子を有するマトリックスコンバータと、
    前記第1のノードと前記第1のコイルとの間に挿入されたリアクトルと
    を有する電力変換装置が転流元のスイッチ状態から第1の転流中状態を含む1以上の転流中状態を経て転流先のスイッチ状態に遷移することとなるよう前記第1乃至第4の片方向スイッチ素子及び前記第1乃至第6の双方向スイッチ素子の状態制御を行う前記電力変換装置の制御装置であって、
    前記電力変換装置が前記第1の転流中状態にある間に前記リアクトルを流れる電流がゼロクロスするタイミングである第1のゼロクロス発生タイミングと、前記第1の転流中状態の終了タイミングとに基づいて第1の延長量を算出する延長量算出部と、
    前記第1の延長量に基づいて、前記第1の転流中状態の終了後に前記第1乃至第4の片方向スイッチ素子及び前記第1乃至第6の双方向スイッチ素子の状態制御を行うタイミングを遅延させる制御部と
    を備える制御装置。
  2. 電力指令値、前記三相交流の第1相乃至第3相それぞれの電圧値、及び前記直流電源の電圧値に基づいて、第1及び第2の操作パラメータを算出する数値処理部と、
    前記第1及び第2の操作パラメータに基づき、前記第1乃至第4の片方向スイッチ素子及び前記第1乃至第6の双方向スイッチ素子の状態制御を行うタイミングを示す複数の変調率を算出する変調部と、
    前記三相交流の第1相乃至第3相それぞれの電圧値、前記直流電源の電圧値、及び前記複数の変調率に基づいて、前記第1の転流中状態の開始タイミングで前記リアクトルを流れる電流の値である第1の電流値と、前記第1の転流中状態が終了した後、力行時には前記第3のノードと前記第4のノードの間の電圧の極性が初めて切り替わるタイミング、回生時には前記第1のノードと前記第2のノードの間の電圧の極性が初めて切り替わるタイミングで前記リアクトルを流れる電流の値である第2の電流値とを算出するリアクトル電流算出部とをさらに備え、
    前記延長量算出部は、前記第1及び第2の電流値に基づいて前記リアクトルを流れる電流がゼロクロスするか否かを判定し、ゼロクロスすると判定した場合にさらに、前記第1及び第2の電流値及び前記複数の変調率のうちの対応するものに基づいて算出される前記第1のゼロクロス発生タイミングが前記第1の転流中状態内のタイミングか否かを判定し、記第1の転流中状態内のタイミングであると判定した場合に、前記第1の転流中状態の終了タイミングと前記第1のゼロクロス発生タイミングとに基づいて前記第1の延長量を算出し、
    前記制御部は、前記複数の変調率のうち前記第1の転流中状態の終了後に対応するものに前記第1の延長量を加算することにより、前記第1乃至第4の片方向スイッチ素子及び前記第1乃至第6の双方向スイッチ素子の状態制御を行うタイミングを遅延させる
    請求項1に記載の制御装置。
  3. 前記第1の転流中状態は、前記第1乃至第4の片方向スイッチ素子のすべてがオフである状態である
    請求項1又は2に記載の制御装置。
  4. 前記第1の転流中状態は、前記第1及び第6の双方向スイッチ素子がそれぞれ片方向にのみ電流を流し、前記第2乃至第5の双方向スイッチ素子のすべてがオフである状態である
    請求項1又は2に記載の制御装置。
  5. 互いに磁気結合する第1及び第2のコイルを有するトランスと、
    一端が直流電源の一端を構成する第5のノードに接続され、他端が前記第2のコイルの一端を構成する第3のノードに接続された第1の片方向スイッチ素子、一端が前記直流電源の他端を構成する第6のノードに接続され、他端が前記第3のノードに接続された第2の片方向スイッチ素子、一端が前記第5のノードに接続され、他端が前記第2のコイルの他端を構成する第4のノードに接続された第3の片方向スイッチ素子、及び、一端が前記第6のノードに接続され、他端が前記第4のノードに接続された第4の片方向スイッチ素子を有するAC/DCコンバータと、
    一端が三相交流の第1相に対応する第7のノードに接続され、他端が前記第1のコイルの一端を構成する第1のノードに接続された第1の双方向スイッチ素子、一端が前記三相交流の第2相に対応する第8のノードに接続され、他端が前記第1のノードに接続された第2の双方向スイッチ素子、一端が前記三相交流の第3相に対応する第9のノードに接続され、他端が前記第1のノードに接続された第3の双方向スイッチ素子、一端が前記第7のノードに接続され、他端が前記第1のコイルの他端を構成する第2のノードに接続された第4の双方向スイッチ素子、一端が前記第8のノードに接続され、他端が前記第2のノードに接続された第5の双方向スイッチ素子、及び、一端が前記第9のノードに接続され、他端が前記第2のノードに接続された第6の双方向スイッチ素子を有するマトリックスコンバータと、
    前記第1のノードと前記第1のコイルとの間に挿入されたリアクトルと
    を有する電力変換装置が第1の転流元のスイッチ状態から第1の転流中状態を含む1以上の転流中状態を経て第1の転流先のスイッチ状態に遷移し、さらに、第2の転流元のスイッチ状態から第2の転流中状態を含む1以上の転流中状態を経て第2の転流先のスイッチ状態に遷移することとなるよう前記第1乃至第4の片方向スイッチ素子及び前記第1乃至第6の双方向スイッチ素子の状態制御を行う前記電力変換装置の制御装置であって、
    前記電力変換装置が前記第1の転流中状態にある間に前記リアクトルを流れる電流がゼロクロスするタイミングである第1のゼロクロス発生タイミングと、前記第1の転流中状態の終了タイミングとに基づいて第1の延長量を算出するとともに、前記電力変換装置が前記第2の転流中状態にある間に前記リアクトルを流れる電流がゼロクロスするタイミングである第2のゼロクロス発生タイミングと、前記第2の転流中状態の終了タイミングとに基づいて第2の延長量を算出する延長量算出部と、
    前記第1の延長量に基づいて、前記第1の転流中状態の終了後に前記第1乃至第4の片方向スイッチ素子及び前記第1乃至第6の双方向スイッチ素子の状態制御を行うタイミングを遅延させ、前記第2の延長量に基づいて、前記第2の転流中状態の終了後に前記第1乃至第4の片方向スイッチ素子及び前記第1乃至第6の双方向スイッチ素子の状態制御を行うタイミングを遅延させる制御部と
    を備える制御装置。
  6. 電力指令値、前記三相交流の第1相乃至第3相それぞれの電圧値、及び前記直流電源の電圧値に基づいて、第1及び第2の操作パラメータを算出する数値処理部と、
    前記第1及び第2の操作パラメータに基づき、前記第1乃至第4の片方向スイッチ素子及び前記第1乃至第6の双方向スイッチ素子の状態制御を行うタイミングを示す複数の変調率を算出する変調部と、
    前記三相交流の第1相乃至第3相それぞれの電圧値、前記直流電源の電圧値、及び前記複数の変調率に基づいて、前記第1の転流中状態の開始タイミングで前記リアクトルを流れる電流の値である第1の電流値と、前記第1の転流中状態が終了した後、力行時には前記第3のノードと前記第4のノードの間の電圧の極性が初めて切り替わるタイミング、回生時には前記第1のノードと前記第2のノードの間の電圧の極性が初めて切り替わるタイミングで前記リアクトルを流れる電流の値である第2の電流値と、前記第2の転流中状態の開始タイミングで前記リアクトルを流れる電流の値である第3の電流値と、前記第2の転流中状態が終了した後、力行時には前記第3のノードと前記第4のノードの間の電圧の極性が初めて切り替わるタイミング、回生時には前記第1のノードと前記第2のノードの間の電圧の極性が初めて切り替わるタイミングで前記リアクトルを流れる電流の値である第4の電流値とを算出するリアクトル電流算出部とをさらに備え、
    前記延長量算出部は、前記第1及び第2の電流値に基づいて前記リアクトルを流れる電流がゼロクロスするか否かを判定し、ゼロクロスすると判定した場合にさらに、前記第1及び第2の電流値及び前記複数の変調率のうちの対応するものに基づいて算出される前記第1のゼロクロス発生タイミングが前記第1の転流中状態内のタイミングか否かを判定し、記第1の転流中状態内のタイミングであると判定した場合に、前記第1の転流中状態の終了タイミングと前記第1のゼロクロス発生タイミングとに基づいて前記第1の延長量を算出し、
    前記延長量算出部は、前記第3及び第4の電流値に基づいて前記リアクトルを流れる電流がゼロクロスするか否かを判定し、ゼロクロスすると判定した場合にさらに、前記第3及び第4の電流値及び前記複数の変調率のうちの対応するものに基づいて算出される前記第2のゼロクロス発生タイミングが前記第2の転流中状態内のタイミングか否かを判定し、記第2の転流中状態内のタイミングであると判定した場合に、前記第2の転流中状態の終了タイミングと前記第2のゼロクロス発生タイミングとに基づいて前記第2の延長量を算出し、
    前記制御部は、前記複数の変調率のうち前記第1の転流中状態の終了後に対応するものに前記第1の延長量を加算するとともに、前記複数の変調率のうち前記第2の転流中状態の終了後に対応するものに前記第2の延長量を加算することにより、前記第1乃至第4の片方向スイッチ素子及び前記第1乃至第6の双方向スイッチ素子の状態制御を行うタイミングを遅延させる
    請求項5に記載の制御装置。
  7. 前記第1及び第2の転流中状態はそれぞれ、前記第1乃至第4の片方向スイッチ素子のすべてがオフである状態である
    請求項5又は6に記載の制御装置。
  8. 前記第1の転流中状態は、前記第1及び第6の双方向スイッチ素子がそれぞれ片方向にのみ電流を流し、前記第2乃至第5の双方向スイッチ素子のすべてがオフである状態であり、
    前記第2の転流中状態は、前記第3及び第4の双方向スイッチ素子がそれぞれ片方向にのみ電流を流し、前記第1,第2,第5,第6の双方向スイッチ素子のすべてがオフである状態である
    請求項5又は6に記載の制御装置。
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