以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
図1は、本実施形態による空調システム1の構成を示す概略図である。図1では、熱媒体の流れを白抜き矢印で示している。また、図1では、信号の流れを破線の矢印で示している。空調システム1は、電気式熱源機100、熱源機制御部150、ガス式熱源機200、熱源機制御部250、空調機300、電力計410、パルス検出部420、積算電力計430、遠隔サーバ450、温度差導出部500、デマンド制御部600を含んで構成される。
電気式熱源機100には、送水管110および還水管120が接続されている。また、ガス式熱源機200には、送水管112および還水管122が接続されている。また、空調機300には、送水管114および還水管124が接続されている。送水管110、112、114は、配管ヘッダ130に接続されている。還水管120、122、124は、配管ヘッダ132に接続されている。
電気式熱源機100は、例えば、圧縮機の駆動源に電気モータを使用した電気モータヒートポンプチラー(EHPチラー)である。電気式熱源機100は、例えば、屋外に設置される。電気式熱源機100は、還水管120を通って送られた熱媒体と屋外において供給される空気との間で熱交換を行わせることで、熱媒体を冷却または加熱する。そして、電気式熱源機100は、熱交換後の空気を屋外に送出し、熱交換後の熱媒体を送水管110に送出する。送水管110に送出された熱媒体は、送水管110、配管ヘッダ130、送水管114を通って空調機300に供給される。つまり、電気式熱源機100は、電気で動作し、熱媒体を冷却または加熱して空調機300に出力する。熱媒体は、例えば、水であるが、その他の媒体であってもよい。
熱源機制御部150は、電気式熱源機100の動作を制御する。熱源機制御部150は、外部から入力信号を受け付ける入力部を含んで構成される。熱源機制御部150は、電気式熱源機100の運転出力の上限値である上限運転出力を制限させる入力信号が入力されると、電気式熱源機100の上限運転出力をその入力信号が示す上限運転出力に制限させる。
ガス式熱源機200は、例えば、圧縮機の駆動源にガスエンジンを使用したガスヒートポンプチラー(GHPチラー)である。ガス式熱源機200は、例えば、屋外に設置される。ガス式熱源機200は、還水管122を通って送られた熱媒体と屋外において供給される空気との間で熱交換を行わせることで、熱媒体を冷却または加熱する。そして、ガス式熱源機200は、熱交換後の空気を屋外に送出し、熱交換後の熱媒体を送水管112に送出する。送水管112に送出された熱媒体は、送水管112、配管ヘッダ130、送水管114を通って空調機300に供給される。つまり、ガス式熱源機200は、電気式熱源機100とは独立して構成され、主にガスで動作し、熱媒体を冷却または加熱して空調機300に出力する。なお、電気式熱源機100およびガス式熱源機200を、単に熱源機と総称することがある。
熱源機制御部250は、ガス式熱源機200の動作を制御する。熱源機制御部250は、外部から入力信号を受け付ける入力部を含んで構成される。
空調機300は、例えば、屋内に設置される。空調機300は、送水管114を通って送られた熱媒体と屋内において供給される空気との間で熱交換を行い、屋内において供給される空気を冷却または加熱する。そして、空調機300は、熱交換後の空気を屋内に送出し、熱交換後の熱媒体を還水管124に送出する。還水管124に送出された熱媒体は、還水管124、配管ヘッダ132、還水管120、還水管122を通って電気式熱源機100およびガス式熱源機200に供給される。
空調システム1では、送水管114を通る熱媒体の温度が、予め設定される設定温度となるように、電気式熱源機100およびガス式熱源機200の運転制御が行われる。設定温度は、例えば、7℃であるが、この値に限らない。
なお、図1では、電気式熱源機100、ガス式熱源機200、空調機300が1個ずつ設けられていた。しかし、電気式熱源機100、ガス式熱源機200、空調機300は、それぞれ複数個設けられてもよい。その場合、電気式熱源機100、ガス式熱源機200、空調機300に接続される送水管が配管ヘッダ130に接続され、電気式熱源機100、ガス式熱源機200、空調機300に接続される還水管が配管ヘッダ132に接続される。
配管ヘッダ130および配管ヘッダ132は、バルブ140を介して接続されている。例えば、空調機300が複数個設けられる場合などでは、配管ヘッダ130の圧力損失および配管ヘッダ132の圧力損失が大きく変動することがある。このような場合、バルブ140が開かれて配管ヘッダ130の熱媒体を配管ヘッダ132に送出することで、配管ヘッダ130の圧力損失および配管ヘッダ132の圧力損失の調整が行われる。
電力計410は、空調システム1が適用される需要家における設備全体の消費電力の瞬時値を検出する。設備全体の消費電力とは、空調システム1における消費電力だけでなく、照明や電子機器などの需要家において設置されているすべての設備の合計の消費電力のことである。パルス検出部420は、電力計410が検出した消費電力の瞬時値をパルス信号へ変換する。パルス検出部420は、パルス信号を積算電力計430に送信する。
積算電力計430は、パルス信号により示される消費電力の瞬時値を所定期間分だけ積算し、その所定期間の電力量を導出する。所定期間は、例えば、30分であるが、30分に限らず、10分や1時間など任意の期間としてもよい。積算電力計430は、導出した所定期間の電力量をデマンド制御部600に送信する。
遠隔サーバ450は、例えば、需要家から離れた位置に設置されており、デマンド制御部600と通信を行う。遠隔サーバ450は、デマンド制御部600による制御履歴などの各種データを通信によって取得する。また、遠隔サーバ450は、デマンド制御部600の動作を通信によって制御する。
温度差導出部500は、測温部510、信号変換部520、パルス変換部530を含んで構成される。測温部510は、空調機300に接続される送水管114を通る熱媒体の温度を測定する。測温部510は、抵抗素子の抵抗値に基づいて温度の測定を行う測温抵抗体である。なお、測温部510は、測温抵抗体に限らず、熱電対などであってもよい。
信号変換部520は、測温部510の抵抗素子に流れる電流の電流値を検出する。測温部510の抵抗素子の抵抗値は、温度に応じて変化するため、測温部510の抵抗素子の電流値は、送水管114を通る熱媒体について測定された温度を示すものとなる。また、信号変換部520には、予めオフセット値が設定されている。オフセット値は、送水管114を通る熱媒体についての設定温度(例えば、7℃)に相当する電流値に設定される。
信号変換部520は、予め設定されたオフセット値と、測温部510の電流値との差分の絶対値の電流値を示す電流をパルス変換部530に出力する。
例えば、信号変換部520において、0℃を示す電流値を4mA、100℃を示す電流値を20mAに設定したとする。この場合、0℃〜100℃の範囲の温度は、4mA〜20mAの範囲の電流値によって表される。例えば、7℃のときの電流値は5.12mAであり、8℃のときの電流値は5.28mAである。オフセット値は、例えば、7℃に相当する5.12mAに設定される。例えば、測温部510の電流値が、8℃に相当する5.28mAのとき、信号変換部520は、5.12mAと5.28mAとの差分の絶対値である0.16mAの電流値の電流を出力する。0.16mAの電流値は、1℃に相当する。このように、信号変換部520は、送水管114を通る熱媒体についての設定温度と、送水管114を通る熱媒体の測定温度との差分の絶対値である温度差に相当する電流を出力する。
パルス変換部530は、信号変換部520から出力された電流の電流値をデジタルのパルス信号に変換し、変換したパルス信号をデマンド制御部600に出力する。
なお、測温部510が熱電対の場合、測温部510には、測定温度に相当する起電力が生じる。このため、この場合には、信号変換部520は、設定温度に相当する電圧値に予め設定されるオフセット値と、測温部510による測定温度に相当する電圧値との差分の絶対値に相当する電圧を出力してもよい。この場合、信号変換部520から出力される電圧の電圧値が温度差に相当することとなる。そして、パルス変換部530は、信号変換部520から出力された電圧の電圧値をパルス信号に変換してデマンド制御部600に出力してもよい。
また、温度差導出部500は、信号変換部520において温度差に相当する電流を出力していたが、パルス変換部530において温度差を導出してもよい。
デマンド制御部600は、積算電力計430によって導出された電力量の推移に基づいて、将来の電力需要(換言すると、消費電力)を予測する。例えば、デマンド制御部600は、現時点までの30分毎の電力量の推移から、次の30分間の電力量を予測する。デマンド制御部600は、予測した30分間の電力量から、その30分間における消費電力の平均値である平均消費電力を導出する。
また、デマンド制御部600は、需要家の設備全体の電力需要および空調機300における熱需要に応じて、電気式熱源機100およびガス式熱源機200の運転を制御する。また、デマンド制御部600は、電気式熱源機100およびガス式熱源機200から空調機300に供給される熱媒体の温度が予め設定された設定温度となるように、電気式熱源機100およびガス式熱源機200の運転を制御する。
デマンド制御部600は、例えば、導出した現時点後の30分間における平均消費電力を需要家の設備全体の電力需要(消費電力)とみなして電気式熱源機100の運転を制御する。また、デマンド制御部600は、需要家の設備全体の電力需要に応じて、電気式熱源機100の上限運転出力を制限する入力信号を熱源機制御部150に送信する。
また、デマンド制御部600は、温度差導出部500のパルス変換部530から出力されるパルス信号を受信すると、電流値と温度とが関連付けられたテーブルを用いるなどして、受信したパルス信号を温度差に変換する。得られた温度差は、空調機300における熱負荷に対する空調機300への熱の供給量の差分を示す。換言すると、得られた温度差は、空調機300における熱需要に対する電気式熱源機100の運転出力およびガス式熱源機200の運転出力の合計の運転出力の不足分を示す。デマンド制御部600は、得られた温度差に応じてガス式熱源機200の運転を制御する。デマンド制御部600については、後に詳述する。
図2は、需要家における消費電力の推移の一例を示す図である。図2(a)は、第1比較例の空調システムが適用された需要家における消費電力の推移を示す。図2(b)は、第2比較例の空調システムが適用された需要家における消費電力の推移を示す。図2(c)は、本実施形態の空調システム1が適用された需要家における消費電力の推移を示す。図2(a)、図2(b)、図2(c)では、24時間分の消費電力の推移が示されている。
また、図3は、熱源機の運転出力の推移の一例を示す図である。図3(a)は、第1比較例の空調システムによる熱源機の運転出力の推移を示す。図3(b)は、第2比較例の空調システムによる熱源機の運転出力の推移を示す。図3(c)は、本実施形態の空調システム1による熱源機の運転出力の推移を示す。図3(a)、図3(b)、図3(c)では、24時間分の運転出力の推移が示されている。
図2(a)の第1比較例の空調システムでは、ガス式熱源機を備えておらず、電気式熱源機のみによって熱媒体が冷却または加熱されて空調機に出力される。図2(a)において、一点鎖線P11は、需要家における設備全体の消費電力から電気式熱源機(空調システム)の消費電力を除いた消費電力(建物消費電力)を示す。実線P12は、電気式熱源機(空調システム)を含む需要家における設備全体の消費電力を示す。破線P13は、設備全体の消費電力のピーク値を示す。図2(a)では、設備全体の消費電力のピーク値が大きい。
ここで、電気料金は、過去の電気の使用量に基づいて予め設定される基本料金と、電気の使用料に応じて付加される従量料金との合計により決定される。基本料金は、契約電力に電力基本料金単価を乗算して設定される。契約電力は、過去1年間における30分毎の平均使用電力のうちの最大値である。すなわち、設備全体の消費電力のピーク値が大きいほど基本料金が高くなり、結果として電気料金が高くなる。図2(a)の第1比較例の空調システムは、設備全体の消費電力のピーク値が大きいため、電気料金が高くなる。
図3(a)の破線H11は、第1比較例の空調システムによる電気式熱源機の運転出力を示す。第1比較例では、空調機で消費される熱負荷に対応する運転出力で電気式熱源機が運転されるため、空調の対象となる空間を要求される温度に維持することができる。すなわち、第1比較例では、人が快適と感じる指標である快適性が損なわれない。
図2(b)の第2比較例の空調システムも第1比較例の空調システムと同様に、ガス式熱源機を備えていない。図2(b)において、一点鎖線P21は、需要家における設備全体の消費電力から電気式熱源機(空調システム)の消費電力を除いた消費電力(建物消費電力)を示す。実線P22は、電気式熱源機(空調システム)を含む需要家における設備全体の消費電力を示す。破線P23は、設備全体の消費電力のピーク値を示す。実線P24は、需要家において予め設定される消費電力の設定値を示す。
第2比較例の空調システムでは、設備全体の消費電力が設定値(実線P24)を超えないように、電気式熱源機の運転を制限して電気式熱源機による消費電力を抑える制御が行われる。第2比較例の空調システムは、白抜き矢印で示すように、設備全体の消費電力のピーク値を低減することができ、電気料金を抑えることが可能となる。
図3(b)の一点鎖線H21は、第2比較例の空調システムによる電気式熱源機の運転出力を示す。第2比較例の空調システムでは、電気式熱源機の運転が制限されることで、空調機の熱負荷に対して電気式熱源機の運転出力が不足し、空調の対象となる空間を要求される温度に維持することが困難となる。その結果、第2比較例の空調システムでは、快適性が損なわれる。
これら第1比較例および第2比較例に対し、図2(c)の本実施形態の空調システム1では、電気式熱源機100に加え、ガス式熱源機200を備えている。図2(c)において、一点鎖線P31は、需要家における設備全体の消費電力から電気式熱源機100およびガス式熱源機200(空調システム)の消費電力を除いた消費電力(建物消費電力)を示す。二点鎖線P32は、建物消費電力に電気式熱源機100の消費電力を加えた消費電力を示す。実線P33は、建物消費電力に電気式熱源機100の消費電力およびガス式熱源機200(空調システム)の消費電力を加えた消費電力(すなわち、設備全体の消費電力)を示す。破線P34は、設備全体の消費電力のピーク値を示す。実線P35は、需要家において予め設定される消費電力の設定値を示す。なお、図2(c)の破線P36は、図2(a)の実線P12を破線で表わしたものである。
本実施形態の空調システム1では、設備全体の消費電力が設定値(実線P35)を超えないように、電気式熱源機100の運転出力を制限して電気式熱源機100による消費電力を抑える制御が行われる。本実施形態の空調システム1は、白抜き矢印で示すように、設備全体の消費電力のピーク値を低減することができ、電気料金を抑えることが可能となる。
図3(c)において、一点鎖線H31は、電気式熱源機100の運転出力を示し、実線H32は、電気式熱源機100の運転出力とガス式熱源機200の運転出力との合計の運転出力を示す。
本実施形態の空調システム1では、電気式熱源機100の運転出力のみで空調機300の熱負荷を賄うことが可能な場合、ガス式熱源機200の運転が停止される。そして、本実施形態の空調システム1では、電気式熱源機100の運転が制限されることで、空調機300の熱負荷に対して電気式熱源機100の運転出力が不足した場合、ガス式熱源機200の運転が開始される。これにより、本実施形態の空調システム1は、電気式熱源機100の運転出力が抑制されても、電気式熱源機100の運転出力およびガス式熱源機200の運転出力の両方によって空調機300の熱負荷が賄われることとなり、空調の対象となる空間を要求される温度に維持することが可能となる。すなわち、本実施形態の空調システム1では、快適性が損なわれない。
図4は、目標契約電力th0および第1種閾値th1a、th1b、th1cを説明する説明図である。本実施形態の空調システム1では、目標契約電力th0および第1種閾値th1a、th1b、th1cが予め設定される。目標契約電力th0は、契約電力の目標値であり、需要家によって任意に設定される。なお、目標契約電力th0は、図2(c)の設定値(実線P35)に対応する。
第1種閾値th1a、th1b、th1cは、設備全体の消費電力(電気式熱源機100の消費電力)を制限するために用いられる閾値である。
第1種閾値th1aは、目標契約電力th0以下の値に設定される。例えば、第1種閾値th1aは、目標契約電力th0と、ガス式熱源機200が定格出力で運転するときの消費電力との差分に基づいて設定される。
第1種閾値th1bは、第1種閾値th1a以下の値に設定される。例えば、第1種閾値th1bは、第1種閾値th1aを100%とした場合、第1種閾値th1aの90%の値に設定される。
第1種閾値th1cは、第1種閾値th1b以下の値に設定される。例えば、第1種閾値th1cは、第1種閾値th1aを100%とした場合、第1種閾値th1aの80%の値に設定される。
なお、第1種閾値th1a、th1b、th1cの具体的な値は、上記の例に限らない。
また、消費電力が第1種閾値th1c以下の範囲を第1電力デマンドレベルと呼び、消費電力が第1種閾値th1cよりも大きく第1種閾値th1b以下の範囲を第2電力デマンドレベルと呼び、消費電力が第1種閾値th1bよりも大きく第1種閾値th1a以下の範囲を第3電力デマンドレベルと呼び、消費電力が第1種閾値th1aよりも大きい範囲を第4電力デマンドレベルと呼ぶ。
図5は、電気式熱源機100の上限運転出力の制限の一例を説明する説明図である。図5では、第1種閾値th1aが200kWに設定されている。また、第1種閾値th1bは、第1種閾値th1aの90%である180kWに設定されており、第1種閾値th1cは、第1種閾値th1aの80%である160kWに設定されている。
デマンド制御部600は、設備全体の消費電力P(例えば、現時点後の30分間における平均消費電力)が160kW(第1種閾値th1c)以下である第1電力デマンドレベルのとき、電気式熱源機100の上限運転出力を定格出力の100%に制御する。つまり、デマンド制御部600は、電気式熱源機100を定格出力で運転させることが可能である。
デマンド制御部600は、設備全体の消費電力P(例えば、現時点後の30分間における平均消費電力)が160kW(第1種閾値th1c)よりも大きく180kW(第1種閾値th1b)以下である第2電力デマンドレベルのとき、電気式熱源機100の上限運転出力を定格出力の50%に制限する。このとき、デマンド制御部600は、定格出力の50%を示す入力信号を熱源機制御部150に送信する。熱源機制御部150は、この入力信号に応じて、電気式熱源機100の運転出力が定格出力の50%を超えないように電気式熱源機100を制御する。これにより、電気式熱源機100の消費電力が、定格出力の50%に相当する電力まで抑制される。
デマンド制御部600は、設備全体の消費電力P(例えば、現時点後の30分間における平均消費電力)が180kW(第1種閾値th1b)よりも大きく200kW(第1種閾値th1a)以下である第3電力デマンドレベルのとき、電気式熱源機100の上限運転出力を定格出力の30%に制限する。このとき、デマンド制御部600は、定格出力の30%を示す入力信号を熱源機制御部150に送信する。熱源機制御部150は、この入力信号に応じて、電気式熱源機100の運転出力が定格出力の30%を超えないように電気式熱源機100を制御する。これにより、電気式熱源機100の消費電力が、定格出力の30%に相当する電力まで抑制される。
デマンド制御部600は、設備全体の消費電力P(例えば、現時点後の30分間における平均消費電力)が200kW(第1種閾値th1a)よりも大きい第4電力デマンドレベルのとき、電気式熱源機100の上限運転出力を定格出力の0%に制限する。つまり、デマンド制御部600は、電気式熱源機100の運転を停止させる。このとき、デマンド制御部600は、電気式熱源機100の停止を示す入力信号を熱源機制御部150に送信する。熱源機制御部150は、この入力信号に応じて、電気式熱源機100の運転を停止させる。これにより、電気式熱源機100の消費電力がほぼゼロに抑制される。
建物の消費電力が減少するなどして、その後、設備全体の消費電力P(例えば、現時点後の30分間における平均消費電力)が第1種閾値th1c以下になると、電気式熱源機100は、上限運転出力の制限が解除され、再び定格出力での運転が可能となる。
図6は、ガス式熱源機200の運転出力について説明する説明図である。空調機300の熱負荷が電気式熱源機100の運転出力によって賄われる状況では、設定温度とほぼ同等の温度の熱媒体が空調機300に供給されるため、温度差導出部500により測定された測定温度差ΔTは、ほぼゼロとなっている。測定温度差ΔTがほぼゼロのとき、デマンド制御部600は、ガス式熱源機200を停止させ、電気式熱源機100のみによって熱媒体の冷却または加熱を行わせる。
上述のようにして電気式熱源機100の運転出力が制限されると、熱媒体の冷却量または加熱量が低下し、測定温度差ΔTが大きくなっていく。デマンド制御部600は、この測定温度差ΔTに応じてガス式熱源機200の運転出力を制御する。
本実施形態の空調システム1では、第2種閾値th2a、th2b、th2cが設定されている。第2種閾値th2a、th2b、th2cは、ガス式熱源機200の運転出力を制御するために設定された設定温度差である。
第2種閾値th2aは、測定温度差ΔTに対して設定される閾値であって、ガス式熱源機200の運転を開始させるか否かの判定に用いられる閾値である。第2種閾値th2aは、例えば、2℃に設定される。第2種閾値th2bは、第2種閾値th2a以上の値に設定される。第2種閾値th2bは、例えば、3℃に設定される。第2種閾値th2cは、第2種閾値th2b以上の値に設定される。第2種閾値th2cは、例えば、4℃に設定される。
なお、第2種閾値th2a、th2b、th2cの具体的な値は、上記の例に限らない。
また、測定温度差ΔTが第2種閾値th2aよりも小さい範囲を第1熱デマンドレベルと呼び、測定温度差ΔTが第2種閾値th2a以上であり第2種閾値th2bよりも小さい範囲を第2熱デマンドレベルと呼び、測定温度差ΔTが第2種閾値th2b以上であり第2種閾値th2cよりも小さい範囲を第3熱デマンドレベルと呼び、測定温度差ΔTが第2種閾値th2c以上の範囲を第4熱デマンドレベルと呼ぶ。
例えば、デマンド制御部600は、測定温度差ΔTが2℃(第2種閾値th2a)よりも小さい第1熱デマンドレベルのとき、ガス式熱源機200の運転出力を定格出力の0%に制御する。つまり、デマンド制御部600は、ガス式熱源機200の運転を停止させる。このとき、デマンド制御部600は、ガス式熱源機200の停止を示す入力信号を熱源機制御部250に送信する。熱源機制御部250は、この入力信号に応じて、ガス式熱源機200の運転を停止させる。これにより、ガス式熱源機200によっては、熱媒体の冷却または加熱が行われない。また、ガス式熱源機200の消費電力がほぼゼロに維持される。
デマンド制御部600は、測定温度差ΔTが2℃(第2種閾値th2a)以上であり3℃(第2種閾値th2b)よりも小さい第2熱デマンドレベルのとき、ガス式熱源機200の運転出力を定格出力の30%に制御する。このとき、デマンド制御部600は、定格出力の30%を示す入力信号を熱源機制御部250に送信する。熱源機制御部250は、この入力信号に応じて、ガス式熱源機200を定格出力の30%で運転させる。これにより、電気式熱源機100に加え、ガス式熱源機200においても、定格出力の30%に相当する分だけ熱媒体の冷却または加熱が行われる。
熱媒体の冷却または加熱がガス式熱源機200において行われることによって、その後、測定温度差ΔTが2℃(第2種閾値th2a)よりも小さくなると、ガス式熱源機200は、再び停止される。
デマンド制御部600は、測定温度差ΔTが3℃(第2種閾値th2b)以上であり4℃(第2種閾値th2c)よりも小さい第3熱デマンドレベルのとき、ガス式熱源機200の運転出力を定格出力の50%に制御する。このとき、デマンド制御部600は、定格出力50%を示す入力信号を熱源機制御部250に送信する。熱源機制御部250は、この入力信号に応じて、ガス式熱源機200を定格出力の50%で運転させる。これにより、電気式熱源機100に加え、ガス式熱源機200においても、定格出力の50%に相当する分だけ熱媒体の冷却または加熱が行われる。
デマンド制御部600は、測定温度差ΔTが4℃以上の第4熱デマンドレベルのとき、ガス式熱源機200の運転出力を定格出力の100%に制御する。つまり、デマンド制御部600は、ガス式熱源機200を定格出力で運転させる。このとき、デマンド制御部600は、定格出力を示す入力信号を熱源機制御部250に送信する。熱源機制御部250は、この入力信号に応じて、ガス式熱源機200を定格出力で運転させる。これにより、電気式熱源機100に加え、ガス式熱源機200においても、定格出力に相当する分だけ熱媒体の冷却または加熱が行われる。
図7は、デマンド制御部600における電気式熱源機100の運転制御の流れを示すフローチャートである。デマンド制御部600は、設備全体の電力需要が予測されるごとに(例えば、30分ごとに)、図7に示す電気式熱源機100の運転制御を行う。なお、電気式熱源機100の運転制御のタイミングは、この例に限らない。
デマンド制御部600は、設備全体の電力需要を予測し、比較対象の消費電力を導出する(ステップS100)。比較対象の消費電力は、例えば、設備全体における現時点後の30分間における平均消費電力である。
次に、デマンド制御部600は、比較対象の消費電力が第1種閾値th1aよりも大きいか否かを判定する(ステップS110)。比較対象の消費電力が第1種閾値th1aよりも大きい場合(ステップS110におけるYES)、デマンド制御部600は、電気式熱源機100の運転を停止させ(ステップS120)、一連の処理を終了する。
比較対象の消費電力が第1種閾値th1aよりも大きくない、すなわち、比較対象の消費電力が第1種閾値th1a以下である場合(ステップS110におけるNO)、デマンド制御部600は、比較対象の消費電力が第1種閾値th1bよりも大きいか否かを判定する(ステップS130)。比較対象の消費電力が第1種閾値th1bよりも大きい場合(ステップS130におけるYES)、デマンド制御部600は、電気式熱源機100の上限運転出力を定格出力の30%にさせ(ステップS140)、一連の処理を終了する。
比較対象の消費電力が第1種閾値th1bよりも大きくない、すなわち、比較対象の消費電力が第1種閾値th1b以下である場合(ステップS130におけるNO)、デマンド制御部600は、比較対象の消費電力が第1種閾値th1cよりも大きいか否かを判定する(ステップS150)。比較対象の消費電力が第1種閾値th1cよりも大きい場合(ステップS150におけるYES)、デマンド制御部600は、電気式熱源機100の上限運転出力を定格出力の50%にさせ(ステップS160)、一連の処理を終了する。
比較対象の消費電力が第1種閾値th1cよりも大きくない、すなわち、比較対象の消費電力が第1種閾値th1c以下である場合(ステップS150におけるNO)、デマンド制御部600は、電気式熱源機100の上限運転出力を定格出力の100%にさせ(ステップS170)、一連の処理を終了する。
図8は、デマンド制御部600におけるガス式熱源機200の運転制御の流れを示すフローチャートである。デマンド制御部600は、所定時間毎に、図8に示すガス式熱源機200の運転制御を行う。この所定時間は、例えば、1分や10分や30分や1時間など任意に設定される。また、この所定時間は、設備全体の電力需要が予測される時間に同期されてもよい。
デマンド制御部600は、温度差導出部500の出力によって測定温度差ΔTを取得する(ステップS200)。
デマンド制御部600は、測定温度差ΔTが第2種閾値th2aよりも小さいか否かを判定する(ステップS210)。測定温度差ΔTが第2種閾値th2aよりも小さい場合(ステップS210におけるYES)、デマンド制御部600は、ガス式熱源機200の運転を停止させ(ステップS220)、一連の処理を終了する。
測定温度差ΔTが第2種閾値th2aよりも小さくない、すなわち、測定温度差ΔTが第2種閾値th2a以上である場合(ステップS210におけるNO)、デマンド制御部600は、測定温度差ΔTが第2種閾値th2bよりも小さいか否かを判定する(ステップS230)。測定温度差ΔTが第2種閾値th2bよりも小さい場合(ステップS230におけるYES)、デマンド制御部600は、ガス式熱源機200の運転出力を定格出力の30%にさせ(ステップS240)、一連の処理を終了する。
測定温度差ΔTが第2種閾値th2bよりも小さくない、すなわち、測定温度差ΔTが第2種閾値th2b以上である場合(ステップS230におけるNO)、デマンド制御部600は、測定温度差ΔTが第2種閾値th2cよりも小さいか否かを判定する(ステップS250)。測定温度差ΔTが第2種閾値th2cよりも小さい場合(ステップS250におけるYES)、ガス式熱源機200の運転出力を定格出力の50%にさせ(ステップS260)、一連の処理を終了する。
測定温度差ΔTが第2種閾値th2cよりも小さくない、すなわち、測定温度差ΔTが第2種閾値th2c以上である場合(ステップS250におけるNO)、デマンド制御部600は、ガス式熱源機200の運転出力を定格出力の100%にさせ(ステップS270)、一連の処理を終了する。
図9は、空調システムにおける消費電力のピーク値の削減量の一例を示す図である。図9は、フロアの広さが6000m2である事務所に空調システムを適用した例である。また、図9では、その事務所において空調を行った場合の空調負荷(熱負荷)のピーク値であるピーク空調負荷が620kWであるとする。
空調負荷を電気式熱源機のみで賄うオール電気式の空調システムの場合、空調用電力を含む設備全体の消費電力のピーク値は430kWであり、空調用電力を除く建物の消費電力のピーク値は270kWであり、空調のみの消費電力のピーク値は160kWである。なお、160kWの電力を消費して電気式熱源機を動作させて、620kWの空調負荷が賄われる。
一方、空調負荷を電気式熱源機100およびガス式熱源機200の両方で賄う本実施形態の空調システム1の場合、空調用電力を含む設備全体の消費電力のピーク値は310kWであり、空調用電力を除く建物の消費電力のピーク値は270kWであり、空調のみの消費電力のピーク値は40kWである。なお、40kWの電力を消費して電気式熱源機100およびガス式熱源機200を動作させて、620kWの空調負荷が賄われる。また、本実施形態の空調システム1において、空調用電力を含む設備全体の消費電力のピーク値である310kWが、目標契約電力に相当する。
建物の消費電力のピーク値は、空調システムに依らないため、オール電気式の空調システムと本実施形態の空調システム1とで変わらない。
しかし、本実施形態の空調システム1は、オール電気式の空調システムに比べ、空調のみの消費電力のピーク値が120kW削減され、設備全体の消費電力のピーク値が120kW削減される。つまり、本実施形態の空調システム1は、契約電力を、430kWから目標契約電力である310kWまで120kW分だけ低減することができる。このため、本実施形態の空調システム1では、オール電気式の空調システムに比べ、120kWに相当する分だけ基本料金を削減することができ、その結果、削減した基本料金分だけ電気料金を削減することができる。
図10は、電気式熱源機100およびガス式熱源機200の機器容量比の一例を示す図である。図10では、ピーク空調負荷が620kWであるとする。なお、機器容量は、熱源機における運転出力の容量を示す。
オール電気式の空調システムの場合、ピーク空調負荷の120%の空調負荷を賄うことが可能な機器容量の電気式熱源機が設置される。例えば、ピーク空調負荷が620kWの場合、約750kWの機器容量の電気式熱源機が設置される。電気式熱源機の機器容量をピーク空調負荷の120%とすることで、電気式熱源機の機器容量に裕度をもたせている。なお、オール電気式の空調システムの場合、ガス式熱源機が設置されないため、ガス式熱源機の機器容量はピーク空調負荷の0%である。
空調負荷を電気式熱源機100およびガス式熱源機200の両方で賄う本実施形態の空調システム1の場合、ピーク空調負荷の24%の空調負荷を賄うことが可能な機器容量の電気式熱源機100が設置され、ピーク空調負荷の96%の空調負荷を賄うことが可能な機器容量のガス式熱源機200が設置される。例えば、ピーク空調負荷が620kWの場合、約150kWの機器容量の電気式熱源機100が設置され、約600kWの機器容量のガス式熱源機が設置される。そして、電気式熱源機100の機器容量とガス式熱源機の機器容量とを合わせて、ピーク空調負荷の120%の機器容量とされる。
空調システム1は、ガス式熱源機200の機器容量がピーク空調負荷の100%に近い。このため、空調システム1は、電気式熱源機100を停止したとしても、ピーク空調負荷をガス式熱源機200によってほぼ賄うことが可能である。
以上のように、本実施形態による空調システム1では、設備全体の消費電力に基づいて電気式熱源機100の運転が制限され、熱源機の運転出力の不足分に相当する温度差に基づいてガス式熱源機200の運転が制御される。
したがって、本実施形態による空調システム1によれば、消費電力を抑えつつ、空調の対象となる空間を要求される温度に維持することが可能となる。また、本実施形態による空調システム1によれば、設備全体の消費電力のピーク値が抑制されるため、電気料金を低減することができる。その結果、本実施形態による空調システム1によれば、電気料金を抑えつつ、快適性を維持することが可能となる。
また、本実施形態による空調システム1では、測定温度差ΔTが第2種閾値th2aよりも小さい場合、つまり、熱源機の運転出力の不足が無い場合あるいは不足分が小さい場合にはガス式熱源機200が停止され、電気式熱源機100によってのみ熱媒体の冷却または加熱が行われる。一般的に、電気式熱源機100は、ガス式熱源機200に比べ、運転出力に対する投入エネルギーのコストが低い。このため、本実施形態による空調システム1によれば、熱源機の運転出力の不足が無い場合にも電気式熱源機100とガス式熱源機200との両方を運転させる空調システムに比べ、投入エネルギーのコストを抑制することができる。
また、本実施形態による空調システム1の温度差導出部500は、設定温度に相当する電流値または電圧値と、測温部510による測定温度に相当する電流値または電圧値との差分の絶対値によって、熱源機の運転出力の不足分に相当する温度差を導出していた。このため、本実施形態による空調システム1は、熱量計を用いて熱源機の運転出力の不足分を導出する態様に比べ、高価な熱量計を用いることなく熱源機の運転出力の不足分を把握することができ、空調システム1の導入コストが上昇することを抑制することができる。
また、本実施形態による空調システム1では、第1種閾値th1a、th1b、th1cが段階的に複数設けられており、電力需要を示す消費電力が第1種閾値th1a、th1b、th1cを超える毎に電気式熱源機100の運転出力の上限値の制限量が段階的に多くなっていた。このため、本実施形態による空調システム1では、第1種閾値が1個の態様に比べ、設備全体の消費電力を、より効率よく抑制することができる。
また、本実施形態による空調システム1では、第2種閾値th2a、th2b、th2cが段階的に複数設けられており、温度差が第2種閾値th2a、th2b、th2cを超える毎に、ガス式熱源機200の運転出力を段階的に大きくしていた。このため、第2種閾値が1個の態様に比べ、運転出力をより効率よく増加させることができ、熱負荷をより効率よく賄うことが可能となる。
図11は、本実施形態の変形例による空調システム2の構成を示す概略図である。空調システム2は、温度差導出部500に代えて温度差導出部502を有する点において空調システム1と異なる。温度差導出部502は、信号変換部520に代えて信号変換部521および信号変換部522を有し、さらに、測温部512および減算部523を有する点において温度差導出部500と異なる。
測温部512は、空調機300に接続される還水管124を通る熱媒体の温度を測定する。測温部512は、測温部510と同様に測温抵抗体であるが、測温抵抗体に限らず、熱電対などであってもよい。なお、測温部510を第1測温部、測温部510の測定温度を第1測定温度、測温部512を第2測温部、測温部512の測定温度を第2測定温度と呼ぶことがある。
信号変換部521は、測温部510の抵抗素子に流れる電流を検出する。測温部510の抵抗素子の抵抗値は、温度に応じて変化するため、測温部510の抵抗素子の電流値は、送水管114を通る熱媒体について測定された温度を示すものとなる。信号変換部521は、検出した測温部510の抵抗素子の電流値を示す電流を減算部523に出力する。
信号変換部522は、測温部512の抵抗素子に流れる電流を検出する。測温部512の抵抗素子の抵抗値は、温度に応じて変化するため、測温部512の抵抗素子の電流値は、還水管124を通る熱媒体について測定された温度を示すものとなる。信号変換部522は、検出した測温部512の抵抗素子の電流値を示す電流を減算部523に出力する。
減算部523は、測温部510の抵抗素子の電流値と、測温部512の抵抗素子の電流値との差分の絶対値の電流値を導出し、導出した電流値を示す電流をパルス変換部530に出力する。例えば、信号変換部521の出力が7℃に相当する5.12mAであり、信号変換部522の出力が12℃に相当する5.92mAのとき、減算部523は、5.12mAと5.92mAとの差分の絶対値である0.8mAの電流値の電流を出力する。0.8mAの電流値は、5℃に相当する。このように、減算部523は、送水管114を通る熱媒体の測定温度(第1測定温度)と、還水管124を通る熱媒体の測定温度(第2測定温度)との差分の絶対値である温度差に相当する電流を出力する。
パルス変換部530は、減算部523から出力された電流の電流値をデジタルのパルス信号に変換し、変換したパルス信号をデマンド制御部600に出力する。
なお、測温部510、512が熱電対の場合、測温部510、512には、測定温度に相当する起電力が生じる。このため、この場合には、減算部523は、測温部510(第1測温部)による測定温度(第1測定温度)に相当する電圧値と、測温部512(第2測温部)による測定温度(第2測定温度)に相当する電圧値との差分の絶対値によって温度差を示す電圧値を導出してもよい。そして、パルス変換部530は、減算部523によって導出された電圧値をパルス信号に変換してデマンド制御部600に出力してもよい。
デマンド制御部600は、温度差導出部502のパルス変換部530から出力されるパルス信号を受信すると、電流値と温度とが関連付けられたテーブルを用いるなどして、受信したパルス信号を温度差に変換する。デマンド制御部600は、この温度差(測定温度差)が第2種閾値th2aよりも小さいか否かを判定する。第2種閾値th2aは、基準温度差(例えば、5℃)以上の値(例えば、7℃)に設定される。基準温度差は、設定温度の熱媒体が空調機300に供給されているときにおける送水管114の熱媒体の温度と還水管124の熱媒体の温度との温度差である。この場合、基準温度差(5℃)と測定温度差との差分が、熱源機の運転出力の不足分に相当する。
デマンド制御部600は、測定温度差が第2種閾値th2aよりも小さい場合、ガス式熱源機200の運転を停止する。一方、測定温度差が第2種閾値th2aよりも小さくない場合、デマンド制御部600は、ガス式熱源機200の運転出力を定格出力の30%に制御する。また、デマンド制御部600は、測定温度差が第2種閾値th2b(例えば、8℃)よりも小さくない場合、ガス式熱源機200の運転出力を定格出力の50%に制御し、測定温度差が第2種閾値th2c(例えば、9℃)よりも小さくない場合、ガス式熱源機200の運転出力を定格出力に制御する。
なお、第2種閾値th2a、th2b、th2cの具体的な値は、上記の例に限らない。
このように、空調システム2では、熱源機の運転出力の不足分に相当する温度差が、送水管114の熱媒体の測定温度と還水管124の熱媒体の測定温度に基づいて導出される。そして、空調システム2では、熱源機の運転出力の不足分に相当する温度差に基づいてガス式熱源機200の運転が制御される。
したがって、空調システム2によれば、空調システム1と同様に、消費電力を抑えつつ、空調の対象となる空間を要求される温度に維持することが可能となる。また、空調システム2によれば、電気料金を低減することができる。その結果、本実施形態による空調システム2によれば、電気料金を抑えつつ、快適性を維持することが可能となる。
また、空調システム2は、熱量計を用いて電気式熱源機100の運転出力の不足分を導出する態様に比べ、高価な熱量計を用いることなく電気式熱源機100の運転出力の不足分を把握することができ、空調システム2の導入コストが上昇することを抑制することができる。
また、空調システム2は、空調システム1と同様に、投入エネルギーのコストを抑制することができる。また、空調システム2は、空調システム1と同様に、設備全体の消費電力をより効率よく抑制することができ、熱負荷をより効率よく賄うことが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態では、3個の第1種閾値th1a、th1b、th1cが段階的に設定されていた。しかし、第1種閾値の個数は3個に限らず、少なくとも1個以上あればよい。例えば、1個の第1種閾値th1aのみが設定されるとき、デマンド制御部600は、比較対象の消費電力が第1種閾値th1aよりも大きい場合に電気式熱源機100の上限運転出力を所定値(例えば、定格出力の0%)に制限させ、比較対象の消費電力が第1種閾値th1aよりも大きくない場合に電気式熱源機100の上限運転出力を定格出力にさせてもよい。なお、上記変形例の空調システム2においても同様である。
また、上記実施形態では、比較対象の消費電力が第1種閾値th1bよりも大きい場合に電気式熱源機100の上限運転出力を定格出力の30%にさせ、比較対象の消費電力が第1種閾値th1cよりも大きい場合に電気式熱源機100の上限運転出力を定格出力の50%にさせていた。しかし、電気式熱源機100の上限運転出力の制限割合についての具体例は、この例に限らない。第1種閾値が段階的に複数設けられるときには、少なくとも、電力需要を示す消費電力が第1種閾値を超える毎に、電気式熱源機100の運転出力の上限値の制限量を段階的に多くすればよい。なお、上記変形例の空調システム2においても同様である。
また、上記実施形態では、3個の第2種閾値th2a、th2b、th2cが段階的に設けられていた。しかし、第2種閾値の個数は3個に限らず、少なくとも1個以上あればよい。例えば、1個の第2種閾値th2aのみが設定されるとき、デマンド制御部600は、測定温度差ΔTが第2種閾値th2aよりも小さい場合にガス式熱源機200の運転を停止させ、測定温度差ΔTが第2種閾値th2aよりも小さくない場合にガス式熱源機200を運転(例えば、定格出力で運転)させてもよい。なお、上記変形例の空調システム2においても同様である。
また、上記実施形態では、測定温度差ΔTが第2種閾値th2bよりも小さい場合にガス式熱源機200の運転出力を定格出力の30%にさせ、測定温度差ΔTが第2種閾値th2cよりも小さい場合にガス式熱源機200の運転出力を定格出力の50%にさせていた。しかし、ガス式熱源機200の運転出力の割合についての具体例は、この例に限らない。第2種閾値が段階的に複数設けられるときには、少なくとも、測定温度差が第2種閾値を超える毎に、ガス式熱源機200の運転出力を段階的に大きくすればよい。なお、上記変形例の空調システム2においても同様である。
また、上記実施形態では、設備全体における現時点後の30分間における平均消費電力を比較対象の消費電力としていた。しかし、比較対象の消費電力は、この例に限らない。例えば、現時点後の30分間における最大消費電力を比較対象の消費電力としてもよい。また、例えば、設備全体における現時点の消費電力を比較対象の消費電力としてもよい。少なくとも、電力計410によって検出された設備全体の消費電力に基づいて導出される電力需要を示す消費電力を、比較対象の消費電力とすればよい。