JP6912306B2 - 合わせガラス用中間膜及び合わせガラス - Google Patents

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本発明は、合わせガラスを得るために用いられる合わせガラス用中間膜に関する。また、本発明は、上記合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスに関する。
合わせガラスは、一般に、外部衝撃を受けて破損してもガラスの破片の飛散量が少なく、安全性に優れている。このため、上記合わせガラスは、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物等に広く使用されている。上記合わせガラスは、一対のガラス板の間に合わせガラス用中間膜を挟み込むことにより、製造されている。
上記合わせガラス用中間膜としては、1層の構造を有する単層の中間膜と、2層以上の構造を有する多層の中間膜とがある。
下記の特許文献1には、少なくとも2つの接着層の間に遮音層が位置する積層体(中間膜)が開示されている。該積層体を厚さ2mmのガラスで挟んで、温度140℃、圧力1MPaの条件で60分間保持することにより圧着して作製した合わせガラスについて、中央加振法によるダンピング試験により測定される20℃、2000Hzにおける損失係数αは0.2以上である。該合わせガラスを18℃で1ヶ月保持した後の合わせガラスについて、中央加振法によるダンピング試験により測定される20℃、2000Hzにおける損失係数βの損失係数αに対する比率β/αは0.70以上である。上記遮音層は、エラストマーを含んでいてもよい。上記遮音層は、可塑剤を含まない。
下記の特許文献2には、ポリビニルアセタールを含む層と、ポリオレフィンを含む層とが積層された中間膜が開示されている。
特開2016−108225号公報 WO2011/016494A1
特許文献1,2に記載されているように、ポリビニルアセタール樹脂以外の熱可塑性成分を用いた層を備える中間膜が知られている。しかし、この中間膜を用いた合わせガラスでは、遮音性が十分に高くならないことがある。
本発明の目的は、合わせガラスの遮音性を効果的に高めることができる合わせガラス用中間膜を提供することである。また、本発明は、上記合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスを提供することも目的とする。
本発明の広い局面によれば、熱可塑性樹脂と可塑剤とを含む第1の層と、熱可塑性樹脂と可塑剤とを含む第2の層とを備え、前記第1の層の第1の表面側に、前記第2の層が配置されており、前記第2の層中の前記熱可塑性樹脂と前記第1の層中の前記可塑剤との組み合わせは、前記第1の層中の前記可塑剤100重量部に前記第2の層中の前記熱可塑性樹脂8重量部を混合した液にて180℃で完全には溶解しない組み合わせであるか、又は、前記第1の層中の前記可塑剤100重量部に前記第2の層中の前記熱可塑性樹脂8重量部を混合した液にて180℃で曇りが生じずかつ該液を180℃から温度低下させたときに130℃以上で曇りが生じる組み合わせである、合わせガラス用中間膜(以下、中間膜と記載することがある)が提供される。
本発明に係る中間膜のある特定の局面では、前記第1の層中の前記熱可塑性樹脂と前記第2の層中の前記可塑剤との組み合わせは、前記第2の層中の前記可塑剤100重量部に前記第1の層中の前記熱可塑性樹脂8重量部を混合した液にて180℃で完全には溶解しない組み合わせであるか、又は、前記第2の層中の前記可塑剤100重量部に前記第1の層中の前記熱可塑性樹脂8重量部を混合した液にて180℃で曇りが生じずかつ該液を180℃から温度低下させたときに50℃以上で曇りが生じる組み合わせである。
本発明に係る中間膜のある特定の局面では、前記第1の層中の前記熱可塑性樹脂が、熱可塑性エラストマーである。
本発明に係る中間膜のある特定の局面では、前記熱可塑性エラストマーが、脂肪族ポリオレフィンである。
本発明に係る中間膜のある特定の局面では、前記脂肪族ポリオレフィンが、飽和脂肪族ポリオレフィンである。
本発明に係る中間膜のある特定の局面では、前記第1の層中の前記可塑剤が、有機エステル可塑剤以外の可塑剤である。
本発明に係る中間膜のある特定の局面では、前記第1の層中の前記可塑剤が、パラフィンオイルである。
本発明に係る中間膜のある特定の局面では、前記第2の層中の前記熱可塑性樹脂が、ポリビニルアセタール樹脂である。
本発明に係る中間膜のある特定の局面では、前記中間膜は、熱可塑性樹脂と可塑剤とを含む第3の層を備え、前記第1の層の第1の表面側とは反対の第2の表面側に前記第3の層が配置されており、前記第3の層中の前記熱可塑性樹脂と前記第1の層中の前記可塑剤との組み合わせは、前記第1の層中の前記可塑剤100重量部に前記第3の層中の前記熱可塑性樹脂8重量部を混合した液にて180℃で完全には溶解しない組み合わせであるか、又は、前記第1の層中の前記可塑剤100重量部に前記第3の層中の前記熱可塑性樹脂8重量部を混合した液にて180℃で曇りが生じずかつ該液を180℃から温度低下させたときに130℃以上で曇りが生じる組み合わせである。
本発明に係る中間膜のある特定の局面では、前記第1の層中の前記熱可塑性樹脂と前記第3の層中の前記可塑剤との組み合わせは、前記第3の層中の前記可塑剤100重量部に前記第1の層中の前記熱可塑性樹脂8重量部を混合した液にて180℃で完全には溶解しない組み合わせであるか、又は、前記第3の層中の前記可塑剤100重量部に前記第1の層中の前記熱可塑性樹脂8重量部を混合した液にて180℃で曇りが生じずかつ該液を180℃から温度低下させたときに50℃以上で曇りが生じる組み合わせである。
本発明に係る中間膜のある特定の局面では、前記第3の層中の前記熱可塑性樹脂が、ポリビニルアセタール樹脂である。
本発明の広い局面によれば、第1の合わせガラス部材と、第2の合わせガラス部材と、上述した合わせガラス用中間膜とを備え、前記第1の合わせガラス部材と前記第2の合わせガラス部材との間に、前記合わせガラス用中間膜が配置されている、合わせガラスが提供される。
本発明に係る合わせガラス用中間膜は、熱可塑性樹脂と可塑剤とを含む第1の層と、熱可塑性樹脂と可塑剤とを含む第2の層とを備える。本発明に係る合わせガラス用中間膜では、上記第1の層の第1の表面側に、上記第2の層が配置されている。本発明に係る合わせガラス用中間膜では、上記第2の層中の上記熱可塑性樹脂と上記第1の層中の上記可塑剤との組み合わせが、上記第1の層中の上記可塑剤100重量部に上記第2の層中の上記熱可塑性樹脂8重量部を混合した液が特定の性質を示す組み合わせである。本発明に係る合わせガラス用中間膜では、上記の構成が備えられているので、合わせガラスの遮音性を効果的に高めることができる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に示す断面図である。 図2は、図1に示す合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスの一例を模式的に示す断面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
(合わせガラス用中間膜)
本発明に係る合わせガラス用中間膜(以下、中間膜と記載することがある)は、第1の層と、第2の層とを備える。上記第1の層の第1の表面側に、上記第2の層が配置されている。上記第1の層は、熱可塑性樹脂と可塑剤とを含む。上記第1の層は、熱可塑性樹脂層である。上記第2の層は、熱可塑性樹脂と可塑剤とを含む第2の層とを備える。本発明に係る中間膜は、ポリビニルアセタール樹脂以外の熱可塑性樹脂として、熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂層(第1の層)を備える。
本発明に係る中間膜では、上記第2の層中の上記熱可塑性樹脂と上記第1の層中の上記可塑剤との組み合わせが、以下の第1の構成又は以下の第2の構成を満足する組み合わせである。
第1の構成:上記第1の層中の上記可塑剤100重量部に上記第2の層中の上記熱可塑性樹脂8重量部を混合した液にて180℃で完全には溶解しない
第2の構成:上記第1の層中の上記可塑剤100重量部に上記第2の層中の上記熱可塑性樹脂8重量部を混合した液にて180℃で曇りが生じずかつ該液を180℃から温度低下させたときに130℃以上で曇りが生じる
本発明では、上記の構成が備えられているので、ポリビニルアセタール樹脂以外の熱可塑性成分を用いた層を備える中間膜において、該中間膜を備える合わせガラスの遮音性を効果的に高めることができる。
合わせガラスを作製する際には、オートクレーブなどにより加熱処理が行われる。一般的な多層中間膜では、加熱されることによって、層間で可塑剤の移行が起こり、可塑剤の分布が変化する。このため、従来の多層中間膜では、作製直後の合わせガラスの遮音性が低いことがある。
本発明では、可塑剤の移行がおこりにくいため、作製直後であっても、合わせガラスの遮音性を高めることができる。さらに、作製直後から時間が経過したときに、合わせガラスの遮音性の変化を抑えることができる。 上記第1の構成又は上記第2の構成を満足する場合に、上記第2の層中の上記熱可塑性樹脂と上記第1の層中の上記可塑剤との相溶性がかなり低い。このため、例えば、上記第1の層中の上記可塑剤が、上記第2の層に移行し難い。このため、ポリビニルアセタール樹脂以外の熱可塑性成分を用いた層によって、合わせガラスの遮音性の向上効果を十分に発揮することができる。上記中間膜は、上記第1の構成を満足していてもよく、上記第2の構成を満足していてもよい。上記中間膜は、上記第1の構成を満足することが好ましい。
遮音性をより一層高める観点からは、本発明に係る中間膜では、上記第3の層中の上記熱可塑性樹脂と上記第1の層中の上記可塑剤との組み合わせが、以下の第1Aの構成又は以下の第2Aの構成を満足する組み合わせであることが好ましい。この場合には、上記第1の層中の上記可塑剤が、上記第3の層に移行し難くなる結果、遮音性が効果的に高くなる。上記中間膜は、以下の第1Aの構成を満足していてもよく、以下の第2Aの構成を満足していてもよい。上記中間膜は、以下の第1Aの構成を満足することが好ましい。
第1Aの構成:上記第1の層中の上記可塑剤100重量部に上記第3の層中の上記熱可塑性樹脂8重量部を混合した液にて180℃で完全には溶解しない
第2Aの構成:上記第1の層中の上記可塑剤100重量部に上記第3の層中の上記熱可塑性樹脂8重量部を混合した液にて180℃で曇りが生じずかつ該液を180℃から温度低下させたときに130℃以上で曇りが生じる
遮音性をより一層高める観点からは、本発明に係る中間膜では、上記第1の層中の上記熱可塑性樹脂と上記第2の層中の上記可塑剤との組み合わせが、以下の第3の構成又は以下の第4の構成を満足する組み合わせであることが好ましい。この場合には、上記第2の層中の上記可塑剤が、上記第1の層に移行し難くなる結果、遮音性が効果的に高くなる。上記中間膜は、以下の第3の構成を満足していてもよく、以下の第4の構成を満足していてもよい。上記中間膜は、以下の第3の構成を満足することが好ましい。
第3の構成:上記第2の層中の上記可塑剤100重量部に上記第1の層中の上記熱可塑性樹脂8重量部を混合した液にて180℃で完全には溶解しない
第4の構成:上記第2の層中の上記可塑剤100重量部に上記第1の層中の上記熱可塑性樹脂8重量部を混合した液にて180℃で曇りが生じずかつ該液を180℃から温度低下させたときに50℃以上で曇りが生じる
遮音性をより一層高める観点からは、本発明に係る中間膜では、上記第1の層中の上記熱可塑性エラストマーと上記第3の層中の上記可塑剤との組み合わせが、以下の第3Aの構成又は以下の第4Aの構成を満足する組み合わせであることが好ましい。上記第3の層中の上記可塑剤が、上記第1の層に移行し難くなる結果、遮音性が効果的に高くなる。上記中間膜は、以下の第3Aの構成を満足していてもよく、以下の第4Aの構成を満足していてもよい。上記中間膜は、以下の第4Aの構成を満足することが好ましい。
第3Aの構成:上記第3の層中の上記可塑剤100重量部に上記第1の層中の上記熱可塑性樹脂8重量部を混合した液にて180℃で完全に溶解しない
第4Aの構成:上記第3の層中の上記可塑剤100重量部に上記第1の層中の上記熱可塑性樹脂8重量部を混合した液にて180℃で曇りが生じずかつ該液を180℃から温度低下させたときに50℃以上で曇りが生じる
上記第1,1A,3,3Aの構成において、「完全に溶解しない」とは、上記可塑剤100重量部に上記熱可塑性樹脂8重量部を混合した液を180℃に加熱して攪拌しても樹脂が溶け残ることを意味する。
上記第2,2A,4,4Aの構成において、曇りが生じる温度は、曇点である。
遮音性を効果的に高める観点からは、上記第2の構成及び上記第2Aの構成において、曇点は、好ましくは140℃以上、より好ましくは150℃以上である。
遮音性を効果的に高める観点からは、上記第4の構成及び上記第4Aの構成において、曇点は、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上である。
上記曇点は、JIS K2266「原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法」に準拠して測定される曇点である。上記熱可塑性樹脂及び上記可塑剤を用いて測定される曇点は、具体的には、以下のようにして測定される。
可塑剤3.5g(100重量部)と、熱可塑性樹脂0.28g(8重量部)とを用意する。試験管(直径2cm)内で、該可塑剤3.5g(100重量部)と、該熱可塑性樹脂0.28g(8重量部)とを混合する。該可塑剤に該熱可塑性樹脂を混合した液を180℃に加熱する。180℃に加熱した液において、熱可塑性樹脂が完全に溶解していない場合には、上記第1,1A,3,3Aの構成が備えられる。180℃に加熱した液において、熱可塑性樹脂が完全に溶解している場合には、試験管を−20℃の雰囲気下に放置して液の温度を−15℃まで降下させる。上記第2,2A,4,4Aの構成の構成において、上記曇点は、この液に曇りが生じる温度を意味する(第1の曇点の判定方法)。曇点が高いほど、熱可塑性樹脂と可塑剤との相溶性が低いことを表す。
上記液に曇りが生じる温度(曇点)の測定方法としては、例えば、液の外観を目視で観察する方法、液のヘーズをヘーズメーターで測定する方法、並びにあらかじめ曇りに関する複数段階の限度見本を作製しておき、この限度見本と対照して曇りを判定する方法等が挙げられる。液の外観を目視で観察する方法が好ましい。液のヘーズをヘーズメーターで測定する場合には、ヘーズが10%以上となる温度を曇点とする。 なお、曇りが生じる温度をより一層精度よく特定するために、以下の測定方法が用いられてもよい。
可塑剤3.5g(100重量部)と、熱可塑性樹脂0.28g(8重量部)とを用意する。試験管(直径2cm)内で、該可塑剤3.5g(100重量部)と、該熱可塑性樹脂0.28g(8重量部)とを混合する。該可塑剤に該熱可塑性樹脂を混合した液を180℃に加熱する。180℃に加熱した液において、熱可塑性樹脂が完全に溶解していない場合には、上記第1,1A,3,3Aの構成が備えられる。180℃に加熱した液において、熱可塑性樹脂が完全に溶解している場合には、180℃に加熱した液を所定の温度の恒温室内に試験管を1時間放置する。該恒温室の温度を保持して試験管内の液のヘーズをヘーズメーターで測定する。上記第2,2A,4,4Aの構成において、ヘーズが10%以上である恒温室の保管温度の最低値を、曇点とする(第2の曇点の判定方法)。例えば、155℃、150℃及び145℃の恒温室内に試験管をそれぞれ1時間放置した後、該恒温室の温度を保持して試験管内の液のヘーズをヘーズメーターで測定する。この保管温度を変えることで、曇点を具体的に特定することができる。
中間膜を140℃で0.5時間保管した後の第1の層中の熱可塑性樹脂100重量部に対する第1の層中の可塑剤の含有量と、中間膜を140℃で0.5時間保管した後に20℃で1ヶ月保管した後の第1の層中の熱可塑性樹脂100重量部に対する第1の層中の可塑剤の含有量との差を、含有量差(1)とする。含有量差(1)は、好ましくは0重量部以上、好ましくは10重量部以下、より好ましくは7重量部以下である。この場合には、遮音性がより一層高くなる。
中間膜を140℃で0.5時間保管した後の第2の層中の熱可塑性樹脂100重量部に対する第2の層中の可塑剤の含有量と、中間膜を140℃で0.5時間保管した後に20℃で0.5時間保管した後の第2の層中の熱可塑性樹脂100重量部に対する第2の層中の可塑剤の含有量との差を、含有量差(2)とする。上記含有量差(2)は、好ましくは0重量部以上、好ましくは2重量部以下、より好ましくは1重量部以下である。この場合には、遮音性がより一層高くなる。
中間膜を140℃で0.5時間保管した後の第3の層中の熱可塑性樹脂100重量部に対する第3の層中の可塑剤の含有量と、中間膜を140℃で0.5時間保管した後に20℃で0.5時間保管した後の第3の層中の熱可塑性樹脂100重量部に対する第3の層中の可塑剤の含有量との差を、含有量差(3)とする。上記含有量差(3)は、好ましくは0重量部以上、好ましくは2重量部以下、より好ましくは1重量部以下である。この場合には、遮音性がより一層高くなる。
遮音性をより一層層高める観点からは、上記第1の層のガラス転移温度が、−10℃〜10℃の温度領域に存在し、上記第1の層の−10℃〜10℃の温度領域におけるtanδの最大値が1.5以上であることが好ましい。遮音性をより一層効果的に高める観点からは、上記第1の層のtanδの最大値は、好ましくは2.0以上、より好ましくは2.5以上である。
上記ガラス転移温度及びtanδを測定する方法として、得られた中間膜を、室温23±2℃、湿度25±5%の環境下に12時間保管した直後に、TAインスツルメント社製「ARES−G2」を用いて、粘弾性を測定する方法が挙げられる。治具として、直径8mmのパラレルプレートを用い、3℃/分の降温速度で30℃から100℃まで温度を低下させる条件、及び周波数1Hz及び歪み1%の条件で、ガラス転移温度及びtanδを測定することが好ましい。2層以上の構造を有する中間膜に関しては、各層間を剥離して、測定対象の層のガラス転移温度を測定してもよい。
本発明に係る中間膜は、2層以上の構造を有する。本発明に係る中間膜は、2層の構造を有していてもよく、3層以上の構造を有していてもよい。
遮音性及びガラスと中間膜との間の接着性を効果的に高める観点からは、本発明に係る中間膜は、上記第1の層と、上記第1の層の第1の表面側に配置された第2の層と、上記第1の層の上記第1の表面側とは反対の第2の表面側に配置された第3の層とを備えていてもよい。上記第3の層は、熱可塑性樹脂と可塑剤とを含むことが好ましい。
遮音性及びガラスと中間膜との間の接着性を効果的に高める観点からは、上記第1の層は、中間膜における表面層ではないことが好ましく、中間膜における中間層であることが好ましい。但し、上記第1の層は、中間膜における表面層であってもよい。
合わせガラスの透明性を高める観点からは、上記中間膜の可視光線透過率は、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、更に好ましくは85%以上である。
上記可視光線透過率は、分光光度計(日立ハイテク社製「U−4100」)を用いて、JIS R3211(1998)に準拠して、波長380〜780nmにて測定される。
上記中間膜の可視光線透過率は、2枚のクリアガラスの間に中間膜を配置して測定されてもよい。
可視光線透過率を高めるために、上記中間膜及び上記第1の層は、着色剤を含んでいなくてもよく、カーボンブラックを含んでいなくてもよい。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に示す断面図である。
図1に示す中間膜11は、2層以上の構造を有する多層の中間膜である。中間膜11は、合わせガラスを得るために用いられる。中間膜11は、合わせガラス用中間膜である。中間膜11は、第1の層1と、第2の層2と、第3の層3とを備える。第1の層1の第1の表面1a側に、第2の層2が配置されており、積層されている。第1の層1の第1の表面1aとは反対の第2の表面1b側に、第3の層3が配置されており、積層されている。第1の層1は中間層である。第2の層2及び第3の層3はそれぞれ、保護層であり、本実施形態では表面層である。第1の層1は、第2の層2と第3の層3との間に配置されており、挟み込まれている。従って、中間膜11は、第2の層2と第1の層1と第3の層3とがこの順で積層された多層構造(第2の層2/第1の層1/第3の層3)を有する。
中間膜11では、第1の層1が、熱可塑性樹脂と可塑剤とを含む。第2の層2が、熱可塑性樹脂と可塑剤とを含む。第3の層3が、熱可塑性樹脂と可塑剤とを含む。
なお、第2の層2と第1の層1との間、及び、第1の層1と第3の層3との間にはそれぞれ、他の層が配置されていてもよい。第2の層2と第1の層1、及び、第1の層1と第3の層3とはそれぞれ、直接積層されていることが好ましい。他の層として、接着層、及び、ポリエチレンテレフタレート等を含む層が挙げられる。
以下、本発明に係る中間膜を構成する上記第1の層、上記第2の層及び上記第3の層の詳細、並びに、上記第1の層、上記第2の層及び上記第3の層に含まれる各成分の詳細を説明する。
(第1の層中の熱可塑性樹脂)
上記第1の層は、熱可塑性樹脂(以下、熱可塑性樹脂(1)と記載することがある)を含む。上記熱可塑性樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
遮音性を効果的に高める観点からは、上記第1の層中の上記熱可塑性樹脂は、熱可塑性エラストマーであることが好ましい。なお、熱可塑性樹脂とは加熱すると軟化して可塑性を示し、室温まで冷却すると固化する樹脂である。熱可塑性エラストマーとは、熱可塑性樹脂の中でも特に、加熱すると軟化して可塑性を示し、室温(25℃)まで冷却すると固化してゴム弾性を示す樹脂を意味する。 本発明者らは、熱可塑性樹脂を用いた層を備える中間膜において、合わせガラスの遮音性を高めるための検討を行った。この結果、本発明者らは、合わせガラスの遮音性を高めることができる構成を見出した。
また、本発明者らは、ポリビニルアセタール樹脂以外の熱可塑性成分を用いた層を備える中間膜においても、合わせガラスの遮音性を高めるための検討を行った。この結果、本発明者らは、ポリビニルアセタール樹脂以外の熱可塑性成分を用いた層を備える中間膜においても、合わせガラスの遮音性を高めることができる構成を見出した。
上記熱可塑性樹脂(1)としては、脂肪族ポリオレフィン、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂及びポリビニルアルコール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。
上記に例示した熱可塑性樹脂は、樹脂の分子構造や重合度等の調整によって熱可塑性エラストマーとなりうる。上記熱可塑性エラストマーとしては、遮音性を効果的に高める観点から脂肪族ポリオレフィンやスチレンエラストマーが好ましく、脂肪族ポリオレフィンがより好ましい。
上記脂肪族ポリオレフィンは、飽和脂肪族ポリオレフィンであってもよく、不飽和脂肪族ポリオレフィンであってもよい。上記脂肪族ポリオレフィンは、鎖状オレフィンをモノマーとするポリオレフィンであってもよく、環状オレフィンをモノマーとするポリオレフィンであってもよい。中間膜の保存安定性、及び、遮音性を効果的に高める観点からは、上記脂肪族ポリオレフィンは、飽和脂肪族ポリオレフィンであることが好ましい。
上記脂肪族ポリオレフィンの材料としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、trans−2−ブテン、cis−2−ブテン、1−ペンテン、trans−2−ペンテン、cis−2−ペンテン、1−ヘキセン、trans−2−ヘキセン、cis−2−ヘキセン、trans−3−ヘキセン、cis−3−ヘキセン、1−ヘプテン、trans−2−ヘプテン、cis−2−ヘプテン、trans−3−ヘプテン、cis−3−ヘプテン、1−オクテン、trans−2−オクテン、cis−2−オクテン、trans−3−オクテン、cis−3−オクテン、trans−4−オクテン、cis−4−オクテン、1−ノネン、trans−2−ノネン、cis−2−ノネン、trans−3−ノネン、cis−3−ノネン、trans−4−ノネン、cis−4−ノネン、1−デセン、trans−2−デセン、cis−2−デセン、trans−3−デセン、cis−3−デセン、trans−4−デセン、cis−4−デセン、trans−5−デセン、cis−5−デセン、4−メチル−1−ペンテン、及びビニルシクロヘキサン等が挙げられる。
遮音性を効果的に高める観点から、上記脂肪族ポリオレフィンは、側鎖に鎖状の炭化水素基を有することが好ましい。
層間接着力を向上させる観点から、上記脂肪族ポリオレフィンは、変性脂肪族ポリオレフィンであってもよい。上記変性脂肪族ポリオレフィンは、カルボキシル基、無水カルボン酸基、水酸基又はエポキシ基等を有することが好ましい。上記変性脂肪族ポリオレフィンは、これらの基を分子鎖の側鎖に有していてもよく、末端に有していてもよい。
(第2,第3の層中の熱可塑性樹脂)
ガラスと中間膜との間の接着性を効果的に高める観点からは、上記第2の層は、熱可塑性樹脂(以下、熱可塑性樹脂(2)と記載することがある)を含み、第1の層の熱可塑性樹脂以外の熱可塑性樹脂を含むことが好ましく、ポリビニルアセタール樹脂(以下、ポリビニルアセタール樹脂(2)と記載することがある)を含むことがより好ましい。ガラスと中間膜との間の接着性を効果的に高める観点からは、上記第3の層は、熱可塑性樹脂(以下、熱可塑性樹脂(3)と記載することがある)を含むことが好ましく、第1の層の熱可塑性樹脂以外の熱可塑性樹脂を含むことがより好ましく、ポリビニルアセタール樹脂(以下、ポリビニルアセタール樹脂(3)と記載することがある)を含むことが更に好ましい。
上記熱可塑性樹脂(2)は、上記第1の構成及び上記第2の構成を考慮して選択される。
上記熱可塑性樹脂(2),(3)としては、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂及びポリエステル樹脂等が挙げられる。これら以外の熱可塑性樹脂を用いてもよい。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)をアルデヒドによりアセタール化することにより製造できる。上記ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールのアセタール化物であることが好ましい。上記ポリビニルアルコールは、例えば、ポリ酢酸ビニルをけん化することにより得られる。上記ポリビニルアルコールのけん化度は、一般に70〜99.9モル%の範囲内である。
上記ポリビニルアルコール(PVA)の平均重合度は、好ましくは200以上、より好ましくは500以上、より一層好ましくは1500以上、更に好ましくは1600以上、好ましくは5000以下、より好ましくは4000以下、更に好ましくは3500以下、特に好ましくは3000以下である。上記平均重合度が上記下限以上であると、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。上記平均重合度が上記上限以下であると、中間膜の成形が容易になる。
上記ポリビニルアルコールの平均重合度は、JIS K6726「ポリビニルアルコール試験方法」に準拠した方法により求められる。
上記ポリビニルアセタール樹脂に含まれるアセタール基の炭素数は特に限定されない。上記ポリビニルアセタール樹脂を製造する際に用いるアルデヒドは特に限定されない。上記ポリビニルアセタール樹脂におけるアセタール基の炭素数は3〜5であることが好ましく、3又は4であることがより好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂におけるアセタール基の炭素数が3以上であると、中間膜のガラス転移温度が充分に低くなる。
上記アルデヒドは特に限定されない。一般には、炭素数が1〜10のアルデヒドが好適に用いられる。上記炭素数が1〜10のアルデヒドとしては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド及びベンズアルデヒド等が挙げられる。プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド又はn−バレルアルデヒドが好ましく、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド又はイソブチルアルデヒドがより好ましく、n−ブチルアルデヒドが更に好ましい。上記アルデヒドは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率(水酸基量)は、好ましくは15モル%以上、より好ましくは18モル%以上、好ましくは40モル%以下、より好ましくは35モル%以下である。上記水酸基の含有率が上記下限以上であると、中間膜の接着力がより一層高くなる。また、上記水酸基の含有率が上記上限以下であると、中間膜の柔軟性が高くなり、中間膜の取扱いが容易になる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(1)の水酸基の含有率(水酸基量)は、好ましくは17モル%以上、より好ましくは20モル%以上、更に好ましくは22モル%以上、好ましくは28モル%以下、より好ましくは27モル%以下、更に好ましくは25モル%以下、特に好ましくは24モル%以下である。上記水酸基の含有率が上記下限以上であると、中間膜の機械強度がより一層高くなる。特に、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)の水酸基の含有率が20モル%以上であると反応効率が高く生産性に優れ、また28モル%以下であると、合わせガラスの遮音性がより一層高くなる。また、上記水酸基の含有率が上記上限以下であると、中間膜の柔軟性が高くなり、中間膜の取扱いが容易になる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(2)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(3)の水酸基の各含有率は、好ましくは25モル%以上、より好ましくは28モル%以上、より好ましくは30モル%以上、より一層好ましくは31.5モル%以上、更に好ましくは32モル%以上、特に好ましくは33モル%以上、好ましくは38モル%以下、より好ましくは37モル%以下、更に好ましくは36.5モル%以下、特に好ましくは36モル%以下である。上記水酸基の含有率が上記下限以上であると、中間膜の接着力がより一層高くなる。また、上記水酸基の含有率が上記上限以下であると、中間膜の柔軟性が高くなり、中間膜の取扱いが容易になる。
上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率は、水酸基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。上記水酸基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定できる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(2)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(3)の各アセチル化度は、好ましくは0.01モル%以上、より好ましくは0.5モル%以上、好ましくは10モル%以下、より好ましくは2モル%以下である。上記アセチル化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセチル化度が上記上限以下であると、中間膜及び合わせガラスの耐湿性が高くなる。
上記アセチル化度は、アセチル基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。上記アセチル基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定できる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(2)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(3)の各アセタール化度(ポリビニルブチラール樹脂の場合にはブチラール化度)は、好ましくは55モル%以上、より好ましくは60モル%以上、好ましくは75モル%以下、より好ましくは71モル%以下である。上記アセタール化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセタール化度が上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂を製造するために必要な反応時間が短くなる。
上記アセタール化度は、主鎖の全エチレン基量から、水酸基が結合しているエチレン基量と、アセチル基が結合しているエチレン基量とを差し引いた値を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。
なお、上記水酸基の含有率(水酸基量)、アセタール化度(ブチラール化度)及びアセチル化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定された結果から算出することが好ましい。但し、ASTM D1396−92による測定を用いてもよい。ポリビニルアセタール樹脂がポリビニルブチラール樹脂である場合は、上記水酸基の含有率(水酸基量)、上記アセタール化度(ブチラール化度)及び上記アセチル化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定された結果から算出され得る。
(可塑剤)
遮音性を効果的に高める観点から、上記第1の層は、可塑剤(以下、可塑剤(1)と記載することがある)を含む。上記可塑剤(1)は、上記第1の構成及び上記第2の構成を考慮して選択される。上記可塑剤(1)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
遮音性を効果的に高める観点から、上記第2の層は、可塑剤(以下、可塑剤(2)と記載することがある)を含む。遮音性を効果的に高める観点から、上記第3の層は、可塑剤(以下、可塑剤(3)と記載することがある)を含むことが好ましい。これらの層中の可塑剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記可塑剤としては、パラフィンオイル、有機エステル可塑剤、有機リン酸可塑剤等が挙げられる。上記有機エステル可塑剤としては、一塩基性有機酸エステル及び多塩基性有機酸エステル等が挙げられる。上記リン酸可塑剤としては、有機リン酸可塑剤及び有機亜リン酸可塑剤等が挙げられる。上記可塑剤は液状可塑剤であることが好ましい。
上記パラフィンオイルとしては、ナフテン系のプロセスオイル、白色鉱油、ミネラルオイル、パラフィンワックスおよび流動パラフィン等が挙げられる。
上記パラフィンオイルの市販品としては、出光興産社製「ダイアナプロセスオイルPW−90」、出光興産社製「ダイアナプロセスオイルPW−100」及び出光興産社製「ダイアナプロセスオイルPW−32」等が挙げられる。
上記有機エステル可塑剤としては、トリエチレングリコールジ−2−エチルプロパノエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールジ−n−オクタノエート、トリエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルカルビトールアジペート、エチレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,3−プロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,4−ブチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、ジプロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルペンタノエート、テトラエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジカプリレート、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ヘキシルシクロヘキシル、アジピン酸ヘプチルとアジピン酸ノニルとの混合物、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ヘプチルノニル、セバシン酸ジブチル、油変性セバシン酸アルキド、及びリン酸エステルとアジピン酸エステルとの混合物等が挙げられる。これら以外の有機エステル可塑剤を用いてもよい。上述のアジピン酸エステル以外の他のアジピン酸エステルを用いてもよい。
構造式で示した場合に、上記有機エステル可塑剤としては、下記式(11)で表されるジエステル可塑剤が挙げられる。
Figure 0006912306
上記式(11)中、R1及びR2はそれぞれ、炭素数5〜10の有機基を表し、R3は、エチレン基、イソプロピレン基又はn−プロピレン基を表し、pは3〜10の整数を表す。上記式(11)中のR1及びR2はそれぞれ、炭素数6〜10の有機基であることが好ましい。
上記有機リン酸可塑剤としては、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート及びトリイソプロピルホスフェート等が挙げられる。
上記第1の層の熱可塑性樹脂が熱可塑性エラストマーである場合、可塑化効果が低いことがある。上記第1の層の熱可塑性樹脂として熱可塑性エラストマーを用いる場合、上記第1の層中の可塑剤は、有機エステル可塑剤以外の可塑剤であることが好ましい。
遮音性を効果的に高める観点からは、上記第1の層中の可塑剤は、パラフィンオイルであることが好ましい。
ガラスと中間膜との間の接着性を効果的に高める観点からは、上記第2の層中の可塑剤及び上記第3の層中の可塑剤はそれぞれ、有機エステル可塑剤であることが好ましく、上記式(11)で表されるジエステル可塑剤であることがより好ましい。ガラスと中間膜との間の接着性を効果的に高める観点からは、上記第2の層中の可塑剤及び上記第3の層中の可塑剤はそれぞれ、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)又はトリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート(3GH)を含むことが好ましく、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエートを含むことがより好ましい。
遮音性を効果的に高める観点からは、上記第1の層において、上記熱可塑性樹脂(1)100重量部に対する上記可塑剤(1)の含有量(以下、含有量(1)と記載することがある)は、好ましくは10重量部以上、より好ましくは20重量部以上、好ましくは60重量部以下、より好ましくは50重量部以下である。また、上記含有量(1)が上記下限以上であると、遮音性を効果的に高めることができる。上記含有量(1)が上記上限以下であると、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。
上記熱可塑性樹脂(2)100重量部に対する上記可塑剤(2)の含有量を、含有量(2)とする。上記熱可塑性樹脂(3)100重量部に対する上記可塑剤(3)の含有量を、含有量(3)とする。上記含有量(2)及び上記含有量(3)はそれぞれ、好ましくは10重量部以上、より好ましくは15重量部以上、更に好ましくは20重量部以上、特に好ましくは24重量部以上、最も好ましくは25重量部以上、好ましくは45重量部以下、より好ましくは40重量部以下である。上記含有量(2)及び上記含有量(3)が上記下限以上であると、中間膜の柔軟性が高くなり、中間膜の取扱いが容易になる。上記含有量(2)及び上記含有量(3)が上記上限以下であると、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。
(遮熱性化合物)
上記中間膜は、遮熱性化合物を含むことが好ましい。上記第1の層は、遮熱性化合物を含むことが好ましい。上記第2の層は、遮熱性化合物を含むことが好ましい。上記第3の層は、遮熱性化合物を含むことが好ましい。上記遮熱性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記遮熱性化合物は、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物及びアントラシアニン化合物の内の少なくとも1種の成分Xを含むか、又は遮熱粒子を含むことが好ましい。この場合に、上記成分Xと上記遮熱粒子との双方を含んでいてもよい。
成分X:
上記中間膜は、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物及びアントラシアニン化合物の内の少なくとも1種の成分Xを含むことが好ましい。上記第1の層は、上記成分Xを含むことが好ましい。上記第2の層は、上記成分Xを含むことが好ましい。上記第3の層は、上記成分Xを含むことが好ましい。上記成分Xは遮熱性化合物である。上記成分Xは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記成分Xは特に限定されない。成分Xとして、従来公知のフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物及びアントラシアニン化合物を用いることができる。
上記成分Xとしては、フタロシアニン、フタロシアニンの誘導体、ナフタロシアニン、ナフタロシアニンの誘導体、アントラシアニン及びアントラシアニンの誘導体等が挙げられる。上記フタロシアニン化合物及び上記フタロシアニンの誘導体はそれぞれ、フタロシアニン骨格を有することが好ましい。上記ナフタロシアニン化合物及び上記ナフタロシアニンの誘導体はそれぞれ、ナフタロシアニン骨格を有することが好ましい。上記アントラシアニン化合物及び上記アントラシアニンの誘導体はそれぞれ、アントラシアニン骨格を有することが好ましい。
中間膜及び合わせガラスの遮熱性をより一層高くする観点からは、上記成分Xは、フタロシアニン、フタロシアニンの誘導体、ナフタロシアニン及びナフタロシアニンの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、フタロシアニン及びフタロシアニンの誘導体の内の少なくとも1種であることがより好ましい。
遮熱性を効果的に高め、かつ長期間にわたり可視光線透過率をより一層高いレベルで維持する観点からは、上記成分Xは、バナジウム原子又は銅原子を含有することが好ましい。上記成分Xは、バナジウム原子を含有することが好ましく、銅原子を含有することも好ましい。上記成分Xは、バナジウム原子又は銅原子を含有するフタロシアニン及びバナジウム原子又は銅原子を含有するフタロシアニンの誘導体の内の少なくとも1種であることがより好ましい。中間膜及び合わせガラスの遮熱性を更に一層高くする観点からは、上記成分Xは、バナジウム原子に酸素原子が結合した構造単位を有することが好ましい。
上記中間膜100重量%中又は上記成分Xを含む層(第1の層、第2の層又は第3の層)100重量%中、上記成分Xの含有量は、好ましくは0.001重量%以上、より好ましくは0.005重量%以上、更に好ましくは0.01重量%以上、特に好ましくは0.02重量%以上である。上記中間膜100重量%中又は上記成分Xを含む層(第1の層、第2の層又は第3の層)100重量%中、上記成分Xの含有量は、好ましくは0.2重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下、更に好ましくは0.05重量%以下、特に好ましくは0.04重量%以下である。上記成分Xの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、遮熱性が充分に高くなり、かつ可視光線透過率が充分に高くなる。例えば、可視光線透過率を70%以上にすることが可能である。
遮熱粒子:
上記中間膜は、遮熱粒子を含むことが好ましい。上記第1の層は、上記遮熱粒子を含むことが好ましい。上記第2の層は、上記遮熱粒子を含むことが好ましい。上記第3の層は、上記遮熱粒子を含むことが好ましい。上記遮熱粒子は遮熱性化合物である。遮熱粒子の使用により、赤外線(熱線)を効果的に遮断できる。上記遮熱粒子は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
合わせガラスの遮熱性をより一層高める観点からは、上記遮熱粒子は、金属酸化物粒子であることがより好ましい。上記遮熱粒子は、金属の酸化物により形成された粒子(金属酸化物粒子)であることが好ましい。
可視光よりも長い波長780nm以上の赤外線は、紫外線と比較して、エネルギー量が小さい。しかしながら、赤外線は熱的作用が大きく、赤外線が物質に吸収されると熱として放出される。このため、赤外線は一般に熱線と呼ばれている。上記遮熱粒子の使用により、赤外線(熱線)を効果的に遮断できる。なお、遮熱粒子とは、赤外線を吸収可能な粒子を意味する。
上記遮熱粒子の具体例としては、アルミニウムドープ酸化錫粒子、インジウムドープ酸化錫粒子、アンチモンドープ酸化錫粒子(ATO粒子)、ガリウムドープ酸化亜鉛粒子(GZO粒子)、インジウムドープ酸化亜鉛粒子(IZO粒子)、アルミニウムドープ酸化亜鉛粒子(AZO粒子)、ニオブドープ酸化チタン粒子、ナトリウムドープ酸化タングステン粒子、セシウムドープ酸化タングステン粒子、タリウムドープ酸化タングステン粒子、ルビジウムドープ酸化タングステン粒子、錫ドープ酸化インジウム粒子(ITO粒子)、錫ドープ酸化亜鉛粒子、珪素ドープ酸化亜鉛粒子等の金属酸化物粒子や、六ホウ化ランタン(LaB)粒子等が挙げられる。これら以外の遮熱粒子を用いてもよい。熱線の遮蔽機能が高いため、金属酸化物粒子が好ましく、ATO粒子、GZO粒子、IZO粒子、ITO粒子又は酸化タングステン粒子がより好ましく、ITO粒子又は酸化タングステン粒子が特に好ましい。特に、熱線の遮蔽機能が高く、かつ入手が容易であるので、錫ドープ酸化インジウム粒子(ITO粒子)が好ましく、酸化タングステン粒子も好ましい。
中間膜及び合わせガラスの遮熱性をより一層高くする観点からは、酸化タングステン粒子は、金属ドープ酸化タングステン粒子であることが好ましい。上記「酸化タングステン粒子」には、金属ドープ酸化タングステン粒子が含まれる。上記金属ドープ酸化タングステン粒子としては、具体的には、ナトリウムドープ酸化タングステン粒子、セシウムドープ酸化タングステン粒子、タリウムドープ酸化タングステン粒子及びルビジウムドープ酸化タングステン粒子等が挙げられる。
中間膜及び合わせガラスの遮熱性をより一層高くする観点からは、セシウムドープ酸化タングステン粒子が特に好ましい。中間膜及び合わせガラスの遮熱性を更に一層高くする観点からは、該セシウムドープ酸化タングステン粒子は、式:Cs0.33WOで表される酸化タングステン粒子であることが好ましい。
上記遮熱粒子の平均粒子径は好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.02μm以上、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.05μm以下である。平均粒子径が上記下限以上であると、熱線の遮蔽性が充分に高くなる。平均粒子径が上記上限以下であると、遮熱粒子の分散性が高くなる。
上記「平均粒子径」は、体積平均粒子径を示す。平均粒子径は、粒度分布測定装置(日機装社製「UPA−EX150」)等を用いて測定できる。
上記中間膜100重量%中又は上記遮熱粒子を含む層(第1の層、第2の層又は第3の層)100重量%中、上記遮熱粒子の含有量は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、更に好ましくは1重量%以上、特に好ましくは1.5重量%以上である。上記中間膜100重量%中又は上記遮熱粒子を含む層(第1の層、第2の層又は第3の層)100重量%中、上記遮熱粒子の含有量は、好ましくは6重量%以下、より好ましくは5.5重量%以下、更に好ましくは4重量%以下、特に好ましくは3.5重量%以下、最も好ましくは3重量%以下である。上記遮熱粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、遮熱性が充分に高くなり、かつ可視光線透過率が充分に高くなる。
(金属塩)
上記中間膜は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はマグネシウム塩(以下、これらを金属塩Mと記載することがある)を含むことが好ましい。上記第1の層は、上記金属塩Mを含むことが好ましい。上記第2の層は、上記金属塩Mを含むことが好ましい。上記第3の層は、上記金属塩Mを含むことが好ましい。上記金属塩Mの使用により、中間膜とガラス板などの合わせガラス部材との接着性又は中間膜における各層間の接着性を制御することが容易になる。上記金属塩Mは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記金属塩Mは、金属として、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr又はBaを含むことが好ましい。中間膜中に含まれている金属塩は、K塩又はMg塩を含むことが好ましい。
また、上記金属塩Mは、炭素数2〜16の有機酸のアルカリ金属塩、炭素数2〜16の有機酸のアルカリ土類金属塩又は炭素数2〜16の有機酸のマグネシウム塩であることがより好ましく、炭素数2〜16のカルボン酸マグネシウム塩又は炭素数2〜16のカルボン酸カリウム塩であることが更に好ましい。
上記炭素数2〜16のカルボン酸マグネシウム塩及び上記炭素数2〜16のカルボン酸カリウム塩は特に限定されない。これらの例としては、例えば、酢酸マグネシウム、酢酸カリウム、プロピオン酸マグネシウム、プロピオン酸カリウム、2−エチル酪酸マグネシウム、2−エチルブタン酸カリウム、2−エチルヘキサン酸マグネシウム及び2−エチルヘキサン酸カリウム等が挙げられる。
上記金属塩Mを含む中間膜、又は上記金属塩Mを含む層(第1の層、第2の層又は第3の層)におけるMg及びKの含有量の合計は、好ましくは5ppm以上、より好ましくは10ppm以上、更に好ましくは20ppm以上である。上記金属塩Mを含む中間膜、又は上記金属塩Mを含む層(第1の層、第2の層又は第3の層)におけるMg及びKの含有量の合計は、好ましくは300ppm以下、より好ましくは250ppm以下、更に好ましくは200ppm以下である。Mg及びKの含有量の合計が上記下限以上及び上記上限以下であると、中間膜とガラス板との接着性又は中間膜における各層間の接着性をより一層良好に制御できる。
(紫外線遮蔽剤)
上記中間膜は、紫外線遮蔽剤を含むことが好ましい。上記第1の層は、紫外線遮蔽剤を含むことが好ましい。上記第2の層は、紫外線遮蔽剤を含むことが好ましい。上記第3の層は、紫外線遮蔽剤を含むことが好ましい。紫外線遮蔽剤の使用により、中間膜及び合わせガラスが長期間使用されても、可視光線透過率がより一層低下し難くなる。上記紫外線遮蔽剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記紫外線遮蔽剤には、紫外線吸収剤が含まれる。上記紫外線遮蔽剤は、紫外線吸収剤であることが好ましい。
上記紫外線遮蔽剤としては、例えば、金属原子を含む紫外線遮蔽剤、金属酸化物を含む紫外線遮蔽剤、ベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤(ベンゾトリアゾール化合物)、ベンゾフェノン構造を有する紫外線遮蔽剤(ベンゾフェノン化合物)、トリアジン構造を有する紫外線遮蔽剤(トリアジン化合物)、マロン酸エステル構造を有する紫外線遮蔽剤(マロン酸エステル化合物)、シュウ酸アニリド構造を有する紫外線遮蔽剤(シュウ酸アニリド化合物)及びベンゾエート構造を有する紫外線遮蔽剤(ベンゾエート化合物)等が挙げられる。
上記金属原子を含む紫外線遮蔽剤としては、例えば、白金粒子、白金粒子の表面をシリカで被覆した粒子、パラジウム粒子及びパラジウム粒子の表面をシリカで被覆した粒子等が挙げられる。紫外線遮蔽剤は、遮熱粒子ではないことが好ましい。
上記紫外線遮蔽剤は、好ましくはベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤、ベンゾフェノン構造を有する紫外線遮蔽剤、トリアジン構造を有する紫外線遮蔽剤又はベンゾエート構造を有する紫外線遮蔽剤である。上記紫外線遮蔽剤は、より好ましくはベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤又はベンゾフェノン構造を有する紫外線遮蔽剤であり、更に好ましくはベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤である。
上記金属酸化物を含む紫外線遮蔽剤としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン及び酸化セリウム等が挙げられる。さらに、上記金属酸化物を含む紫外線遮蔽剤に関して、表面が被覆されていてもよい。上記金属酸化物を含む紫外線遮蔽剤の表面の被覆材料としては、絶縁性金属酸化物、加水分解性有機ケイ素化合物及びシリコーン化合物等が挙げられる。
上記絶縁性金属酸化物としては、シリカ、アルミナ及びジルコニア等が挙げられる。上記絶縁性金属酸化物は、例えば5.0eV以上のバンドギャップエネルギーを有する。
上記ベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「TinuvinP」)、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin320」)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin326」)、及び2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin328」)等が挙げられる。紫外線を遮蔽する性能に優れることから、上記紫外線遮蔽剤は、ハロゲン原子を含むベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤であることが好ましく、塩素原子を含むベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤であることがより好ましい。
上記ベンゾフェノン構造を有する紫外線遮蔽剤としては、例えば、オクタベンゾン(BASF社製「Chimassorb81」)等が挙げられる。
上記トリアジン構造を有する紫外線遮蔽剤としては、例えば、ADEKA社製「LA−F70」及び2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール(BASF社製「Tinuvin1577FF」)等が挙げられる。
上記マロン酸エステル構造を有する紫外線遮蔽剤としては、2−(p−メトキシベンジリデン)マロン酸ジメチル、テトラエチル−2,2−(1,4−フェニレンジメチリデン)ビスマロネート、2−(p−メトキシベンジリデン)−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル4−ピペリジニル)マロネート等が挙げられる。
上記マロン酸エステル構造を有する紫外線遮蔽剤の市販品としては、Hostavin B−CAP、Hostavin PR−25、Hostavin PR−31(いずれもクラリアント社製)が挙げられる。
上記シュウ酸アニリド構造を有する紫外線遮蔽剤としては、N−(2−エチルフェニル)−N’−(2−エトキシ−5−t−ブチルフェニル)シュウ酸ジアミド、N−(2−エチルフェニル)−N’−(2−エトキシ−フェニル)シュウ酸ジアミド、2−エチル−2’−エトキシ−オキシアニリド(クラリアント社製「SanduvorVSU」)などの窒素原子上に置換されたアリール基などを有するシュウ酸ジアミド類が挙げられる。
上記ベンゾエート構造を有する紫外線遮蔽剤としては、例えば、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート(BASF社製「Tinuvin120」)等が挙げられる。
上記紫外線遮蔽剤を含む層(第1の層、第2の層又は第3の層)100重量%中、上記紫外線遮蔽剤の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.2重量%以上、更に好ましくは0.3重量%以上、特に好ましくは0.5重量%以上である。上記紫外線遮蔽剤を含む層(第1の層、第2の層又は第3の層)100重量%中、上記紫外線遮蔽剤の含有量は、好ましくは2.5重量%以下、より好ましくは2重量%以下、更に好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.8重量%以下である。上記紫外線遮蔽剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、期間経過後の可視光線透過率の低下がより一層抑制される。特に、上記紫外線遮蔽剤を含む層100重量%中、上記紫外線遮蔽剤の含有量が0.2重量%以上であることにより、樹脂膜及びガラス板含有積層体の期間経過後の可視光線透過率の低下を顕著に抑制できる。
(酸化防止剤)
上記中間膜は、酸化防止剤を含むことが好ましい。上記第1の層は、酸化防止剤を含むことが好ましい。上記第2の層は、酸化防止剤を含むことが好ましい。上記第3の層は、酸化防止剤を含むことが好ましい。上記酸化防止剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤等が挙げられる。上記フェノール系酸化防止剤はフェノール骨格を有する酸化防止剤である。上記硫黄系酸化防止剤は硫黄原子を含有する酸化防止剤である。上記リン系酸化防止剤はリン原子を含有する酸化防止剤である。
上記酸化防止剤は、フェノール系酸化防止剤又はリン系酸化防止剤であることが好ましい。
上記フェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェノール)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス(3,3’−t−ブチルフェノール)ブチリックアッシドグリコールエステル及びビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンゼンプロパン酸)エチレンビス(オキシエチレン)等が挙げられる。これらの酸化防止剤の内の1種又は2種以上が好適に用いられる。
上記リン系酸化防止剤としては、トリデシルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリノニルフェニルホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(デシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)エチルエステル亜リン酸、及び2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチル−1−フェニルオキシ)(2−エチルヘキシルオキシ)ホスホラス等が挙げられる。これらの酸化防止剤の内の1種又は2種以上が好適に用いられる。
上記酸化防止剤の市販品としては、例えばBASF社製「IRGANOX 245」、BASF社製「IRGAFOS 168」、BASF社製「IRGAFOS 38」、住友化学工業社製「スミライザーBHT」、堺化学工業社製「H−BHT」、並びにBASF社製「IRGANOX 1010」等が挙げられる。
中間膜及び合わせガラスの高い可視光線透過率を長期間に渡り維持するために、上記中間膜100重量%中又は酸化防止剤を含む層(第1の層、第2の層又は第3の層)100重量%中、上記酸化防止剤の含有量は0.1重量%以上であることが好ましい。また、酸化防止剤の添加効果が飽和するので、上記中間膜100重量%中又は上記酸化防止剤を含む層100重量%中、上記酸化防止剤の含有量は2重量%以下であることが好ましい。
(他の成分)
上記中間膜、上記第1の層、上記第2の層及び上記第3の層はそれぞれ、必要に応じて、他の成分を含んでいてもよい。上記他の成分としては、カップリング剤、分散剤、界面活性剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料、染料、合わせガラス部材と該合わせガラス部材に接する層との接着力調整剤(金属塩を除く)、層間接着力調整剤(金属塩を除く)、耐湿剤、蛍光増白剤及び赤外線吸収剤等が挙げられる。上記他の成分は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
(合わせガラス用中間膜の他の詳細)
上記中間膜の厚みは特に限定されない。実用面の観点、並びに合わせガラスの耐貫通性及び曲げ剛性を充分に高める観点からは、中間膜の厚みは、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.25mm以上、好ましくは3mm以下、より好ましくは1.5mm以下である。中間膜の厚みが上記下限以上であると、合わせガラスの耐貫通性及び曲げ剛性がより一層高くなる。中間膜の厚みが上記上限以下であると、中間膜の透明性がより一層良好になる。
中間膜の厚みをTとする。上記第1の層の厚みは、好ましくは0.035T以上、より好ましくは0.0625T以上、更に好ましくは0.1T以上、好ましくは0.4T以下、より好ましくは0.375T以下、更に好ましくは0.25T以下、特に好ましくは0.15T以下である。上記第1の層の厚みが0.4T以下であると、曲げ剛性がより一層良好になる。
上記第2の層及び上記第3の層の各厚みは、好ましくは0.3T以上、より好ましくは0.3125T以上、更に好ましくは0.375T以上、好ましくは0.97T以下、より好ましくは0.9375T以下、更に好ましくは0.9T以下である。上記第2の層
及び上記第3の層の各厚みは、0.46875T以下であってもよく、0.45T以下であってもよい。また、上記第2の層及び上記第3の層の各厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、合わせガラスの剛性と遮音性がより一層高くなる。
上記第2の層及び上記第3の層の合計の厚みは、好ましくは0.625T以上、より好ましくは0.75T以上、更に好ましくは0.85T以上、好ましくは0.97T以下、より好ましくは0.9375T以下、更に好ましくは0.9T以下である。また、上記第2の層及び上記第3の層の合計の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、合わせガラスの剛性と遮音性がより一層高くなる。
上記中間膜は、厚みが均一な中間膜であってもよく、厚みが変化している中間膜であってもよい。上記中間膜の断面形状は矩形であってもよく、楔形であってもよい。また、中間膜は巻かれてもよく、中間膜は、ロール体とされてもよい。
本発明に係る中間膜の製造方法としては特に限定されない。本発明に係る中間膜の製造方法としては、単層の中間膜の場合に、樹脂組成物を押出機を用いて押出する方法が挙げられる。本発明に係る中間膜の製造方法としては、多層の中間膜の場合に、各層を形成するための各樹脂組成物を用いて各層をそれぞれ形成した後に、例えば、得られた各層を積層する方法、並びに各層を形成するための各樹脂組成物を押出機を用いて共押出することにより、各層を積層する方法等が挙げられる。また、中間膜の各層間の接着性を効果的に高める観点からは、上記第1の層にプラズマ処理やコロナ処理をした後に積層する方法も挙げられる。連続的な生産に適しているため、押出成形する製造方法が好ましい。
上記第2の層と上記第3の層とに、同一のポリビニルアセタール樹脂が含まれていることが好ましく、上記第2の層と上記第3の層とに、同一のポリビニルアセタール樹脂及び同一の可塑剤が含まれていることがより好ましく、上記第2の層と上記第3の層とが同一の樹脂組成物により形成されていることが更に好ましい。この場合には、中間膜の製造効率に優れる。
上記中間膜は、両側の表面の内の少なくとも一方の表面に凹凸形状を有することが好ましい。上記中間膜は、両側の表面に凹凸形状を有することがより好ましい。上記の凹凸形状を形成する方法としては特に限定されず、例えば、リップエンボス法、エンボスロール法、カレンダーロール法、及び異形押出法等が挙げられる。定量的に一定の凹凸模様である多数の凹凸形状のエンボスを形成することができることから、エンボスロール法が好ましい。
(合わせガラス)
図2は、図1に示す合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスの一例を模式的に示す断面図である。
図2に示す合わせガラス31は、第1の合わせガラス部材21と、第2の合わせガラス部材22と、中間膜11とを備える。中間膜11は、第1の合わせガラス部材21と第2の合わせガラス部材22との間に配置されており、挟み込まれている。
中間膜11の第1の表面11aに、第1の合わせガラス部材21が積層されている。中間膜11の第1の表面11aとは反対の第2の表面11bに、第2の合わせガラス部材22が積層されている。第2の層2の外側の表面2aに第1の合わせガラス部材21が積層されている。第3の層3の外側の表面3aに第2の合わせガラス部材22が積層されている。
このように、本発明に係る合わせガラスは、第1の合わせガラス部材と、第2の合わせガラス部材と、中間膜とを備えており、該中間膜が、本発明に係る合わせガラス用中間膜である。本発明に係る合わせガラスでは、上記第1の合わせガラス部材と上記第2の合わせガラス部材との間に、上記中間膜が配置されている。
上記第1の合わせガラス部材は、第1のガラス板であることが好ましい。上記第2の合わせガラス部材は、第2のガラス板であることが好ましい。
上記合わせガラス部材としては、ガラス板及びPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等が挙げられる。合わせガラスには、2枚のガラス板の間に中間膜が挟み込まれている合わせガラスだけでなく、ガラス板とPETフィルム等との間に中間膜が挟み込まれている合わせガラスも含まれる。上記合わせガラスは、ガラス板を備えた積層体であり、少なくとも1枚のガラス板が用いられていることが好ましい。上記第1の合わせガラス部材及び上記第2の合わせガラス部材がそれぞれ、ガラス板又はPETフィルムであり、かつ上記合わせガラスは、上記第1の合わせガラス部材及び上記第2の合わせガラス部材の内の少なくとも一方として、ガラス板を備えることが好ましい。
上記ガラス板としては、無機ガラス及び有機ガラスが挙げられる。上記無機ガラスとしては、フロート板ガラス、熱線吸収板ガラス、熱線反射板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、及び線入り板ガラス等が挙げられる。上記有機ガラスは、無機ガラスに代用される合成樹脂ガラスである。上記有機ガラスとしては、ポリカーボネート板及びポリ(メタ)アクリル樹脂板等が挙げられる。上記ポリ(メタ)アクリル樹脂板としては、ポリメチル(メタ)アクリレート板等が挙げられる。
上記合わせガラス部材の厚みは、好ましくは1mm以上、より好ましくは1.8mm以上、更に好ましくは2mm以上、特に好ましくは2.1mm以上、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。また、上記合わせガラス部材がガラス板である場合に、該ガラス板の厚みは、好ましくは1mm以上、より好ましくは1.8mm以上、更に好ましくは2mm以上、特に好ましくは2.1mm以上、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下、更に好ましくは2.6mm以下である。上記合わせガラス部材がPETフィルムである場合に、該PETフィルムの厚みは、好ましくは0.03mm以上、好ましくは0.5mm以下である。
上記合わせガラスの製造方法は特に限定されない。例えば、上記第1の合わせガラス部材と上記第2の合わせガラス部材との間に、中間膜を挟んで、押圧ロールに通したり、又はゴムバッグに入れて減圧吸引したりして、上記第1の合わせガラス部材と上記第2の合わせガラス部材と中間膜との間に残留する空気を脱気する。その後、約70〜110℃で予備接着して積層体を得る。次に、積層体をオートクレーブに入れたり、又はプレスしたりして、約120〜150℃及び1〜1.5MPaの圧力で圧着する。このようにして、合わせガラスを得ることができる。上記合わせガラスの製造時に、第1の層と第2の層と第3の層とを積層してもよい。
上記中間膜及び上記合わせガラスは、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物等に使用できる。上記中間膜及び上記合わせガラスは、これらの用途以外にも使用できる。上記中間膜及び上記合わせガラスは、車両用又は建築用の中間膜及び合わせガラスであることが好ましく、車両用の中間膜及び合わせガラスであることがより好ましい。上記中間膜及び上記合わせガラスは、自動車のフロントガラス、サイドガラス、リアガラス又はルーフガラス等に使用できる。上記中間膜及び上記合わせガラスは、自動車に好適に用いられる。上記中間膜は、自動車の合わせガラスを得るために用いられる。
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に詳しく説明する。本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1)
中間膜の作製:
脂肪族ポリオレフィン(三井化学社製「アブソートマーEP−1001」;熱可塑性エラストマー)をトルエンに対して25重量%となるように溶解させて、トルエン溶液を得た。トルエン溶液にアブソートマー100重量部に対してパラフィンオイルパラフィンオイル(出光興産社製「ダイアナプロセスオイルPW−32」)35重量部を添加して、均一になるように攪拌した。次に、この溶液をコーターを用いて乾燥後の厚みが50μmとなるように離型処理したPETフィルム上に塗布し、120℃で1時間乾燥させ、樹脂フィルムを得た。得られた厚み50μmの樹脂フィルムを重ね合わせて、厚み100μmの第1の層を得た。
さらに、第1の層の一方の表面にプラズマを照射し、その直後にプラズマ照射面に、厚み350μmの第2の層を貼り合わせた。
第2の層の配合組成:
ポリビニルアセタール樹脂(平均重合度1700、n−ブチルアルデヒドを使用、アセタール化度68.5モル%、水酸基の含有率30.7モル%、アセチル化度0.8モル%)100重量部
トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)35重量部
紫外線遮蔽剤(2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール)を得られる中間膜中で0.2重量%となる量
酸化防止剤(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール)を得られる中間膜中で0.2重量%となる量
次に、第1の層の他方の表面にも同様にプラズマを照射し、厚み350μmの第3の層(第2の層と同様の配合組成)を貼り合わせた。
第2の層(厚み350μm)/第1の層(厚み100μm)/第3の層(厚み350μm)の積層構造を有する中間膜(厚み800μm)を作製した。
合わせガラスの作製:
得られた中間膜を縦30cm×横2.5cmの大きさに切断した。第1の合わせガラス部材及び第2の合わせガラス部材として、2つのガラス板(クリアフロートガラス、厚み2mm、縦30cm×横2.5cm)を用意した。2枚のガラス板の間に、中間膜を挟み込み、積層体を得た。この積層体をゴムバック内に入れ、2.6kPaの真空度で20分間脱気した後、脱気したままオーブン内に移し、更に90℃で30分間保持して真空プレスし、積層体を予備圧着した。オートクレーブ中で135℃及び圧力1.2MPaの条件で、予備圧着された積層体を20分間圧着し、合わせガラスを得た。
(実施例2)
第1の層を形成するための組成物中のパラフィンオイル「ダイアナプロセスオイルPW−32」)の配合量を40重量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、3層の中間膜及び合わせガラスを得た。
(比較例1)
第1の層を形成するための組成物の作製:
以下の成分を配合し、ミキシングロールで充分に混練し、第1の層を形成するための組成物を得た。
ポリビニルアセタール樹脂(平均重合度3050、n−ブチルアルデヒドを使用、アセタール化度63.7モル%、水酸基の含有率24.2モル%、アセチル化度12.1モル%)
トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)60重量部
紫外線遮蔽剤(2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール)を得られる中間膜中で0.2重量%となる量
酸化防止剤(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール)を得られる中間膜中で0.2重量%となる量
第2の層及び第3の層を形成するための組成物の作製:
以下の成分を配合し、ミキシングロールで充分に混練し、第2の層及び第3の層を形成するための組成物を得た。
ポリビニルアセタール樹脂(平均重合度1700、n−ブチルアルデヒドを使用、アセタール化度68.5モル%、水酸基の含有率30.7モル%、アセチル化度0.8モル%)100重量部
トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)39.5重量部
紫外線遮蔽剤(2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール)を得られる中間膜中で0.2重量%となる量
酸化防止剤(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール)を得られる中間膜中で0.2重量%となる量
中間膜の作製:
第1の層を形成するための組成物と、第2の層及び第3の層を形成するための組成物とを、共押出機を用いて共押出しすることにより、第2の層(厚み350μm)/第1の層(厚み100μm)/第3の層(厚み350μm)の積層構造を有する中間膜(厚み800μm)を作製した。
各層を形成するための上記組成物を用い、上記の方法にて中間膜を作製したこと以外は、実施例1と同様にして、合わせガラスを得た。
(評価)
(1)曇りが生じる温度
以下の液No.1と、液No.2とを用意した。
液No.1:第1の層中の可塑剤100重量部に第2の層中の熱可塑性樹脂8重量部を混合した液
液No.2:第2の層中の可塑剤100重量部に第1の層中の熱可塑性樹脂8重量部を混合した液
なお、液No.1は、第1の層中の可塑剤100重量部に第3の層中の熱可塑性樹脂8重量部を混合した液と同じである。液No.2は、第3の層中の可塑剤100重量部に第1の層中の熱可塑性樹脂8重量部を混合した液と同じである。
上記液No.1について、上述した第1の曇点の判定方法及び第2の曇点の判定方法に従って、曇りが生じる温度を判定した。曇りが生じる温度を以下の基準で判定した。
[曇りが生じる温度]
A:180℃で完全には溶解しない
B:180℃で完全に溶解し、180℃で曇りが生じないが、130℃以上で曇りが生じる
C:180℃で完全に溶解し、130℃未満で曇りが生じる
上記液No.2について、上述した第1の曇点の判定方法及び第2の曇点の判定方法に従って、曇りが生じる温度を判定した。曇りが生じる温度を以下の基準で判定した。
[曇りが生じる温度]
A:180℃で完全には溶解しない
B:180℃で完全に溶解し、50℃以上で曇りが生じる
C:180℃で完全に溶解し、50℃未満で曇りが生じる
(2)ガラス転移温度及びtanδ
得られた中間膜を、室温23±2℃、湿度25±5%の環境下に1ヶ月保管した。保管直後に、室温23±2℃の環境下にて、中間膜から第2の層及び第3の層を剥離することで得られた第1の層を、厚みが0.35mmとなるように150℃でプレス成型(加圧しない状態で150℃10分間、加圧した状態で150℃10分間)して樹脂膜を作製した。その後、この樹脂膜について、TAインスツルメント社製「ARES−G2」を用いて、粘弾性を測定した。治具として、直径8mmのパラレルプレートを用い、3℃/分の降温速度で100℃から−50℃まで温度を低下させる条件、及び周波数1Hz及び歪み1%の条件で、ガラス転移温度及びtanδを測定した。
(3)遮音性の安定性
得られた中間膜を幅25mm及び長さ300mmの大きさに切断した。第1の合わせガラス部材及び第2の合わせガラス部材として、2つのガラス板(クリアフロートガラス、幅25mm、長さ300mm及び厚さ2mm)を用意した。2枚のガラス板の間に、中間膜を挟み込み、積層体を得た。この積層体をゴムバック内に入れ、2.6kPaの真空度で20分間脱気した後、脱気したままオーブン内に移し、更に90℃で30分間保持して真空プレスし、積層体を予備圧着した。オートクレーブ中で135℃及び圧力1.2MPaの条件で、予備圧着された積層体を20分間圧着し、合わせガラスを得た。得られた合わせガラスは室温23±2℃、湿度25±5%の環境下で保管した。
得られた合わせガラスを20℃の恒温槽内でダンピング試験用の振動発生機(振研社製「加振機G21−005D」)により加振した。そこから得られた振動特性を機械インピーダンス測定装置(リオン社製「XG−81」)にて増幅し、振動スペクトルをFFTスペクトラムアナライザー(横河ヒューレットパッカード社製「FFTアナライザー HP3582A」)により解析した。
オートクレーブ完了から24時間後の合わせガラスを加振して得られた2次モードの共振周波数をαとする。また、オートクレーブ完了から4週間後の合わせガラスを加振して得られた2次モードの共振周波数をβとする。αからβへの変化が小さいほど経時で安定した遮音性を示すことを意味する。γ=|β−α|を遮音性の安定性を示す指標として、遮音性の安定性を下記の基準で判定した。
[遮音性の安定性判定基準]
○:γが80Hz未満
△:γが80Hz以上100Hz未満
×:γが100Hz以上
(4)遮音性
得られた中間膜を幅500mm及び長さ500mmの大きさに切断した。第1の合わせガラス部材及び第2の合わせガラス部材として、2つのガラス板(クリアフロートガラス、幅500mm、長さ500mm及び厚さ2mm)を用意した。2枚のガラス板の間に、中間膜を挟み込み、積層体を得た。この積層体をゴムバック内に入れ、2.6kPaの真空度で20分間脱気した後、脱気したままオーブン内に移し、更に90℃で30分間保持して真空プレスし、積層体を予備圧着した。オートクレーブ中で135℃及び圧力1.2MPaの条件で、予備圧着された積層体を20分間圧着し、合わせガラスを得た。得られた合わせガラスは室温23±2℃、湿度25±5%の環境下で1ヶ月間保管した。
得られた合わせガラスの音響透過損失をJIS A 1441−1に準拠した方法により測定し、コインシデンス周波数に近い3150Hzの音響透過損失の値から遮音性を下記の基準で判定した。
[遮音性の判定基準]
○:40dB以上
△:35dB以上、40dB未満
×:35dB未満
詳細及び結果を下記の表1に示す。
Figure 0006912306
1…第1の層
1a…第1の表面
1b…第2の表面
2…第2の層
2a…外側の表面
3…第3の層
3a…外側の表面
11…中間膜
11a…第1の表面
11b…第2の表面
21…第1の合わせガラス部材
22…第2の合わせガラス部材
31…合わせガラス

Claims (9)

  1. 熱可塑性樹脂と可塑剤とを含む第1の層と、
    熱可塑性樹脂と可塑剤とを含む第2の層とを備え、
    前記第1の層の第1の表面側に、前記第2の層が配置されており、
    前記第2の層中の前記熱可塑性樹脂と前記第1の層中の前記可塑剤との組み合わせは、前記第1の層中の前記可塑剤100重量部に前記第2の層中の前記熱可塑性樹脂8重量部を混合した液にて180℃で完全には溶解しない組み合わせであるか、又は、前記第1の層中の前記可塑剤100重量部に前記第2の層中の前記熱可塑性樹脂8重量部を混合した液にて180℃で曇りが生じずかつ該液を180℃から温度低下させたときに130℃以上で曇りが生じる組み合わせであり、
    前記第1の層中の前記熱可塑性樹脂が、側鎖に鎖状の炭化水素基を有する脂肪族ポリオレフィンであり、
    前記第2の層中の前記熱可塑性樹脂が、ポリビニルアセタール樹脂を含む、合わせガラス用中間膜。
  2. 前記第1の層中の前記熱可塑性樹脂と前記第2の層中の前記可塑剤との組み合わせは、前記第2の層中の前記可塑剤100重量部に前記第1の層中の前記熱可塑性樹脂8重量部を混合した液にて180℃で完全には溶解しない組み合わせであるか、又は、前記第2の層中の前記可塑剤100重量部に前記第1の層中の前記熱可塑性樹脂8重量部を混合した液にて180℃で曇りが生じずかつ該液を180℃から温度低下させたときに50℃以上で曇りが生じる組み合わせである、請求項1に記載の合わせガラス用中間膜。
  3. 前記脂肪族ポリオレフィンが、飽和脂肪族ポリオレフィンである、請求項1又は2に記載の合わせガラス用中間膜。
  4. 前記第1の層中の前記可塑剤が、有機エステル可塑剤以外の可塑剤である、請求項1〜のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
  5. 前記第1の層中の前記可塑剤が、パラフィンオイルである、請求項1〜のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
  6. 熱可塑性樹脂と可塑剤とを含む第3の層を備え、
    前記第1の層の第1の表面側とは反対の第2の表面側に前記第3の層が配置されており、
    前記第3の層中の前記熱可塑性樹脂と前記第1の層中の前記可塑剤との組み合わせは、前記第1の層中の前記可塑剤100重量部に前記第3の層中の前記熱可塑性樹脂8重量部を混合した液にて180℃で完全には溶解しない組み合わせであるか、又は、前記第1の層中の前記可塑剤100重量部に前記第3の層中の前記熱可塑性樹脂8重量部を混合した液にて180℃で曇りが生じずかつ該液を180℃から温度低下させたときに130℃以上で曇りが生じる組み合わせである、請求項1〜のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
  7. 前記第1の層中の前記熱可塑性樹脂と前記第3の層中の前記可塑剤との組み合わせは、前記第3の層中の前記可塑剤100重量部に前記第1の層中の前記熱可塑性樹脂8重量部を混合した液にて180℃で完全には溶解しない組み合わせであるか、又は、前記第3の層中の前記可塑剤100重量部に前記第1の層中の前記熱可塑性樹脂8重量部を混合した液にて180℃で曇りが生じずかつ該液を180℃から温度低下させたときに50℃以上で曇りが生じる組み合わせである、請求項に記載の合わせガラス用中間膜。
  8. 前記第3の層中の前記熱可塑性樹脂が、ポリビニルアセタール樹脂である、請求項に記載の合わせガラス用中間膜。
  9. 第1の合わせガラス部材と、
    第2の合わせガラス部材と、
    請求項1〜のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜とを備え、
    前記第1の合わせガラス部材と前記第2の合わせガラス部材との間に、前記合わせガラス用中間膜が配置されている、合わせガラス。
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