JP6911161B2 - 操船支援装置及び船外機 - Google Patents

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Description

本発明は、船舶の操船を支援する操船支援装置とこれを備える船外機に関する。
特許文献1には、船体の後部に取り付けられた船外機と、船体の前後にそれぞれ設けられて船体を左右に移動させるためのスラスタと、を備える船舶が開示されている。この船舶では、ステアリングホイールの操作により、船外機の操作とスラスタの操作とを行うことが可能となっている。
日本国特開2016−74250号公報
特許文献1に記載されているように、ステアリングホイールのような1つの操舵機構を操作することで複数の転舵機構(船外機及びスラスタ)を操作する場合には、操舵機構の操作状態だけを考慮してスラスタの出力を決定すると、船舶の航行状態によっては正確な回頭ができなくなったり、不必要に回頭がなされてしまったりする可能性がある。
特許文献1は、船外機のスラスタの出力をどのように制御すべきかについて考慮していない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、1つの操舵機構を操作して船舶の回頭を行う場合に、回頭を安定且つ正確に行うことを可能にする操船支援装置と、これを備える船外機を提供することを目的とする。
本発明の操船支援装置は、船舶の船尾に取り付けられ、転舵角が可変な第一の推進装置と、前記船舶に取り付けられ、前記船舶が左右へ移動するための推進力を生成する第二の推進装置と、前記第一の推進装置の転舵角及び前記第二の推進装置の出力を変更するための操舵機構と、を有する前記船舶の操縦を支援する操船支援装置であって、前記操舵機構の操作に応じて、前記第一の推進装置の転舵角と前記第二の推進装置の出力の少なくとも一方を制御する制御部と、前記第一の推進装置に含まれるプロペラの回転速度を検出する回転速度検出部と、前記操舵機構の操作によって指定される前記転舵角と前記回転速度とに基づいて前記船舶の回転動力を求める回転動力算出部と、を備え、前記制御部は、前記回転動力に基づいて、前記第二の推進装置の出力を制御するものである。
本発明の船外機は、前記操船支援装置を備えるものである。
本発明によれば、1つの操舵機構を操作して船舶の回頭を行う場合に、回頭を安定且つ正確に行うことを可能にすることができる。
本発明の操船支援装置の一実施形態であるECU(Electronic Control Unit)を含む船舶の外観構成を示す模式図である。 図1に示す船舶のハードウェアの要部構成を示すブロック図である。 図2に示すECUの機能ブロックを示す図である。 ステアリング装置が操作されたときの図3に示すECUの動作を説明するためのフローチャートである。 ステアリング装置が操作されたときの図3に示すECUの動作の変形例を説明するためのフローチャートである。 図3に示すECUの機能ブロックの変形例を示す図である。 ステアリング装置が操作されたときの図6に示すECUの動作を説明するためのフローチャートである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の操船支援装置の一実施形態であるECU(Electronic Control Unit)21を含む船舶100の外観構成を示す模式図である。
船舶100は、船体10と、船体10の船尾10aに取り付けられた転舵角が可変な第一の推進装置を構成する船外機20と、船体10の船首に取り付けられ、船体10が左右へ移動するための推進力を生成する第二の推進装置を構成するスラスタ40と、船体10に設けられたGPS(Global Positioning System)受信機31、シフト・スロットル操作装置34、及び操舵機構を構成するステアリング装置35と、を備える。
GPS受信機31は、GPS衛星から信号を受信し、受信した信号をECU21に送信する。
スラスタ40は、図示省略のスラスタ用モータと、このスラスタ用モータからの動力によって回転する図示省略のプロペラと、を備える。スラスタ40のスラスタ用モータはECU21によって制御される。
船外機20は、ECU21と、図示省略の内燃機関と、この内燃機関からの動力によって回転するプロペラ27と、スロットル用モータ23と、転舵用モータ24と、シフト用モータ26と、を備える。
スロットル用モータ23は、内燃機関のスロットルバルブを開閉駆動するためのアクチュエータである。
転舵用モータ24は、船外機20を鉛直軸周りに回転させて船体10の船首と船尾10aを結ぶ方向に対する船外機20の向きを変える転舵機構を駆動するためのアクチュエータである。
シフト用モータ26は、プロペラ27の回転方向を正逆で切り替えるシフト機構を駆動するためのアクチュエータである。
ECU21と、GPS受信機31、シフト・スロットル操作装置34、及びステアリング装置35と、は、有線通信又は無線通信によって通信可能に構成される。
ECU21と、GPS受信機31、シフト・スロットル操作装置34、及びステアリング装置35とは、例えばNMEA(NationalMarine Electronics Association。米国船舶用電子機器協会)で規格された通信方式(例えばNMEA2000。具体的にはCAN(Controller Area Network))で接続される。
シフト・スロットル操作装置34は、操縦席近傍に配置されたリモートコントロールボックス340の内部に回転自在に支持された図示省略の回転軸と、この回転軸に取り付けられ初期位置から前後方向に揺動操作自在なシフト・スロットルレバー34aと、リモートコントロールボックス340の内部に配置された図示省略のレバー位置センサと、により構成される。
レバー位置センサは、操船者によるシフト・スロットルレバー34aの操作位置(シフト・スロットル操作装置34の回転軸の回転角)を検出し、その操作位置に応じた信号を出力する。レバー位置センサから出力された信号はECU21に送信される。
この回転角は、シフト・スロットルレバー34aが初期位置にある状態が例えば0度とされ、シフト・スロットルレバー34aが初期位置よりも前方向に倒された状態では例えば90度まで変化し、シフト・スロットルレバー34aが初期位置よりも後方向に倒された状態では例えば−90度まで変化する。
シフト・スロットル操作装置34の回転軸の回転角の絶対値と、船外機20の内燃機関のスロットルバルブ開度とは対応付けて管理されている。
ECU21は、シフト・スロットル操作装置34の回転軸の回転角に応じた信号を受けると、スロットルバルブ開度がこの回転角の絶対値に対応した値となるようにスロットル用モータ23を制御する。シフト・スロットル操作装置34の回転軸の回転角の絶対値が大きいほど、スロットルバルブ開度は大きく制御され、プロペラ27の回転数は大きくなる。
シフト・スロットル操作装置34の回転軸の回転角の符号(シフト・スロットルレバー34aの回転方向)と、プロペラ27の回転方向とは対応付けて管理されている。
例えば、符号がプラスの回転角にはプロペラ27の回転方向として正方向が対応づけられ、符号がマイナスの回転角にはプロペラ27の回転方向として逆方向が対応づけられている。プロペラ27が正方向に回転することで船体10は前進し、プロペラ27が逆方向に回転することで船体10は後進する。
ECU21は、シフト・スロットル操作装置34の回転軸の回転角に応じた信号を受けると、プロペラ27の回転方向がこの回転軸の回転方向に対応した状態となるようにシフト用モータ26を制御する。なお、シフト・スロットルレバー34aが初期位置にされると、船外機20に含まれるシフト機構のギアがニュートラルの状態となり、プロペラ27の駆動は行われない状態になる。
ステアリング装置35は、シャフトを回転軸として回転自在に構成されたステアリングホイール35aと、このシャフト近傍に設けられステアリングホイール35aの操舵角を検出して操舵角に応じた信号を出力する図示省略の操舵角センサと、により構成されている。操舵角センサから出力される操舵角に応じた信号は、ECU21に送信される。
ステアリングホイール35aの操舵角と、船外機20の鉛直軸周りの回転角度(転舵角)とは対応付けて管理されている。ECU21は、ステアリングホイール35aの操舵角に応じた信号を受けると、船外機20の転舵角がこの操舵角に対応した値となるように転舵用モータ24を制御する。
図2は、図1に示す船舶100のハードウェアの要部構成を示すブロック図である。
船外機20は、ECU21、スロットル用モータ23、転舵用モータ24、及びシフト用モータ26を備える。船外機20は、図2には示されていないが、内燃機関、転舵機構、シフト機構、及びプロペラ27(図1参照)等を更に備える。
ECU21は、プログラムを実行して処理を行う各種のプロセッサと、RAM(Ramdom Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)を含む。ROMには、船体10を回頭させるために必要な船舶100の回転動力(以下、必要回転動力という)が予め記憶されている。この必要回転動力は、船体10のサイズ等によって決まる値である。
上記の各種のプロセッサとしては、プログラムを実行して各種処理を行う汎用的なプロセッサであるCPU(Central Prosessing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
これら各種のプロセッサの構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
ECU21のプロセッサは、各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせ又はCPUとFPGAの組み合わせ)で構成されてもよい。
図3は、図2に示すECU21の機能ブロックを示す図である。
ECU21は、内蔵するROMに格納されたプログラムをプロセッサが実行して船外機20及び船舶100の各種ハードウェアと協働することにより、回転速度検出部21A、回転動力算出部21B、及び制御部21Cとして機能する。
プロペラ回転速度検出部21Aは、船外機20に含まれるプロペラ27の回転速度を検出する。
プロペラ回転速度検出部21Aは、プロペラ27のシャフトに取り付けられた回転数を検出するセンサから転送されてくるプロペラ27の回転数の情報に基づいて、プロペラ27の回転速度を算出する。
回転動力算出部21Bは、ステアリング装置35の操作によって指定される船外機20の転舵角と、プロペラ回転速度検出部21Aにより算出された回転速度と、に基づいて、船舶100の回転動力を求める。
具体的には、回転動力算出部21Bは、プロペラ27の回転速度をVとし、αをプロペラ27によって決まるプロペラ27固有の定数とし、ステアリング装置35の操作によって指定される船外機20の転舵角をθとした場合に、以下の式(1)によって、船舶100の回転動力Fを求める。
F=V×α×sinθ (1)
式(1)における“V×α”は、船体10が回頭しようとする力に相当する。回転速度Vが大きい、すなわち、船舶100が加速している状況では、船外機20は曲がりたい方向に水を強く押し出すことになる。このため、船体10が回頭しようとする力は大きくなる。
一方、回転速度Vが小さい、すなわち、船舶100が減速している状況では、船外機20による曲がりたい方向への水の押し出しが少なくなる。このため、船体10が回頭しようとする力は小さくなる。したがって、船舶100が減速しているときには、式(1)で求まる回転動力Fが上述した必要回転動力に達しない可能性がある。
制御部21Cは、ステアリング装置35の操作に応じて、船外機20の転舵角とスラスタ40の出力の少なくとも一方を制御する。
具体的には、制御部21Cは、ステアリング装置35が操作されて所定の転舵角に指定された場合には、この転舵角とその操作がなされた時点でのプロペラ27の回転速度とから回転動力算出部21Bにより算出された回転動力Fと、ROMに記憶されている必要回転動力とを比較する。
制御部21Cは、回転動力Fが必要回転動力以上となっている場合には、スラスタ40を作動させずとも、船体10を回頭させることができると判断し、指定された転舵角となるように転舵用モータ24を制御して、船外機20の転舵角を制御する。つまり、制御部21Cは、回転動力Fが必要回転動力以上となっている場合には、スラスタ40を作動させず、停止させたままに制御する。
一方、制御部21Cは、回転動力Fが必要回転動力未満となっており、船体10を回頭させるための回転動力が不足している状態においては、この不足分を、スラスタ40を作動させることで補う。
つまり、制御部21Cは、回転動力Fが必要回転動力未満の場合には、船外機20の転舵用モータ24を制御して船外機20の転舵角を制御し、更に、スラスタ用モータを制御してスラスタ40を作動させてスラスタ40の推進力を制御する。このとき、スラスタ40の推進力が、必要回転動力から回転動力Fを減算して得られる回転動力以上となるように、スラスタ用モータが制御される。
図4は、ステアリング装置35が操作されたときのECU21の動作を説明するためのフローチャートである。
ステアリング装置35が操作されると、ECU21の回転動力算出部21Bは、ステアリング装置35の操舵角を取得する(ステップS1)。
次に、ECU21のプロペラ回転速度検出部21Aは、プロペラ27の回転速度を検出する(ステップS2)。
次に、ECU21の回転動力算出部21Bは、ステップS1にて取得した操舵角に対応する転舵角と、ステップS2にて算出された回転速度とから、式(1)の演算により、船舶100の回転動力Fを算出する(ステップS3)。
次に、ECU21の制御部21Cは、ステップS3にて算出された回転動力Fと必要回転動力を比較し、回転動力Fが必要回転動力以上となる場合(ステップS4:NO)には、ステップS1にて取得された操舵角に対応する転舵角となるように、転舵用モータ24を制御する(ステップS5)。
一方、ECU21の制御部21Cは、回転動力Fが必要回転動力未満となって回転動力が不足している場合(ステップS4:YES)には、ステップS1にて取得された操舵角に対応する転舵角となるように、転舵用モータ24を制御する(ステップS6)。更に、制御部21Cは、回転動力Fと必要回転動力の差に応じて、スラスタ40のスラスタ用モータを制御する(ステップS7)。
具体的には、ステップS7において、ECU21の制御部21Cは、回転動力Fと必要回転動力の差が大きいほど、スラスタ用モータの回転数を上げて、スラスタ40の出力(推進力)を高くする。
以上のように、船外機20によれば、プロペラ27の回転速度に基づいてスラスタ40の推進力が制御される。このため、船舶100の航行状態に応じた正確且つ安定した回頭を行うことができる。
例えば、船舶100が加速中(プロペラ27の回転速度が速い)の状況においてはスラスタ40が作動されないことで、船体10が必要以上に回頭してしまうのを防ぐことができる。一方、船舶100が減速中(プロペラ27の回転速度が遅い)の状況においてはスラスタ40が作動されて回転動力が補われることで、船体10を意図した方向に回頭させることができる。また、転覆の危険が伴うブローチング状態においても、図4の制御を行うことで回頭が可能となり、船舶100の転覆を防ぐことができる。
以上の説明では、スラスタ40が船体10の船首に予め組み付けられたものとしている。しかし、スラスタ40は、例えば船首から吊り下げて用いられるタイプを採用してもよい。このタイプを採用する場合には、ECU21の制御部21Cが、ステップS7においてスラスタ40を制御する際に、ステアリング装置35の操舵角に対応させてスラスタ40の向きを変える。このようにすることで、船体10の回頭をより安定して行うことが可能となる。
図5は、ステアリング装置35が操作されたときのECU21の動作の変形例を説明するためのフローチャートである。
図5に示すフローチャートは、図4のフローチャートに対しステップS11とステップS12とステップS13が追加されたものである。図5において図4と同じ処理には同一符号を付して説明を省略する。
ステアリング装置35が操作されると、ECU21の制御部21Cは、シフト・スロットル操作装置34の操作位置から、船外機20のギヤがニュートラルの状態にあるか否かを判定する(ステップS11)。
船外機20のギヤがニュートラルの状態ではない場合(ステップS11:NO)には、前述したステップS1以降の処理が行われる。
船外機20のギヤがニュートラルの状態であった場合(ステップS11:YES)には、ECU21の制御部21Cは、ステアリング装置35の操舵角を取得する(ステップS12)。
そして、ECU21の制御部21Cは、この操舵角に対応した転舵角となるように、スラスタ用モータを駆動して、スラスタ40の推進力を制御する(ステップS13)。
ステアリング装置35によって指定される転舵角とスラスタ40の推進力とは予め対応付けて管理されている。ECU21の制御部21Cは、この管理している情報にしたがって、スラスタ40の推進力を制御する。
以上のように、船外機20がニュートラルの状態にある場合には、スラスタ40のみによって船体10の回頭を行うことができる。このため、船舶100の接岸時や方向転換時などを容易に行うことができる。
図6は、図3に示すECU21の機能ブロックの変形例を示す図である。
図6に示す変形例のECU21は、内蔵するROMに格納されたプログラムをプロセッサが実行して船外機20及び船舶100の各種ハードウェアと協働することにより、プロペラ回転速度検出部21A、回転動力算出部21B、制御部21C、速度検出部21D、及び操舵角速度検出部21Eとして機能する。
プロペラ回転速度検出部21Aは、図3と同じ構成である。
速度検出部21Dは、図2のGPS受信機31から送られてくる受信信号に基づいて、船舶100の航行速度を検出する。
操舵角速度検出部21Eは、ステアリング装置35に含まれる操舵角センサの情報に基づいて、ステアリング装置35が操作されたときにおけるステアリングホイール35aの操舵角の角速度を検出する。
制御部21Cは、船舶100が高速航行中に急ハンドルを切られた場合、つまり、船舶100の航行速度が予め決められた第一閾値以上の状態にて、ステアリングホイール35aが予め決められた第二閾値以上の角速度で操作された場合には、船外機20の転舵角を所定値に制御する。この所定値は、船舶100の転覆を防ぐことができる程度に十分に小さな値が予め設定される。
回転動力算出部21Bは、図3に示す回転動力算出部21Bの機能に加えて、上記の所定値に転舵角が制御された場合には、プロペラ回転速度検出部21Aにより検出された回転速度と、上記の所定値とに基づいて、船舶100の回転動力(以下、制限時回転動力という)を求める機能を持つ。
制御部21Cは、必要回転動力と回転動力算出部21Bにより算出された制限時回転動力との差に基づいて、スラスタ40の出力を制御する。
図7は、ステアリング装置35が操作されたときの図6に示すECU21の動作を説明するためのフローチャートである。
図7に示すフローチャートは、図4に示すフローチャートに、ステップS30、ステップS31、ステップS32、ステップS33、ステップS34、ステップS35、及びステップS36が追加されたものである。図7において図4と同じ処理には同一符号を付して説明を省略する。
ステアリング装置35が操作されると、ECU21の操舵角速度検出部21Eは、ステアリング装置35に含まれる操舵角センサの検出情報に基づいて、操舵角の角速度を算出する(ステップS30)。
次に、ECU21の制御部21Cは、ステップS30にて算出された角速度が第一閾値th1以上であるか否かを判定する(ステップS31)。
ステップS30にて算出された角速度が第一閾値th1未満であった場合(ステップS31:NO)には、前述したステップS1以降の処理が行われる。
ステップS30にて算出された角速度が第一閾値th1以上であった場合(ステップS31:YES)には、ECU21の速度検出部21Dにより船舶100の航行速度が検出される(ステップS32)。
ステップS32の後、ECU21の制御部21Cは、ステップS32にて検出された航行速度が第二閾値th2以上であるか否かを判定する(ステップS33)。
ステップS33の判定がNOの場合には、ステップS1以降の処理が行われる。
ステップS33の判定がYESの場合には、ECU21の制御部21Cは、転舵用モータ24を制御して船外機20の転舵角を上記の所定値に制御する(ステップS34)。この所定値は、例えば、ステアリング装置35の操作によって指定された操舵角よりも小さい値が設定される。
次に、ECU21のプロペラ回転速度検出部21Aは、プロペラ27の回転速度を検出する(ステップS35)。
次に、ECU21の回転動力算出部21Bは、ステップS34にて制御された転舵角の上記所定値と、ステップS35にて検出された回転速度とから、式(1)の演算により、船舶100の制限時回転動力を算出する(ステップS36)。
次に、ECU21の制御部21Cは、ステップS36にて算出された制限時回転動力を必要回転動力から減算して不足分の回転動力を算出し、この不足分の回転動力が得られるように、スラスタ40の出力を制御する(ステップS37)。
具体的には、ステップS37において、ECU21の制御部21Cは、ステップS36にて算出された制限時回転動力と必要回転動力の差が大きいほど、スラスタ用モータの回転数を上げて、スラスタ40の出力(推進力)を高くする。
なお、図7に示すフローチャートにおいて、ステップS32及びステップS33をステップS30の前に行い、ステップS33の判定がYESとなったときにステップS30以降の処理が行われるようにしてもよい。この場合には、ステップS31の判定がYESとなった場合にステップS34以降の処理が行われる。
以上のように、図6に示すECU21によれば、船舶100が高速航行中に急ハンドルが切られた場合であっても、転舵角が所定値に制限されるため、船舶100の転覆を防ぐことができる。また、転舵角が制限されたことによって不足する回転動力がスラスタ40の出力によって補われる。このため、船体10の回頭を意図したとおりに安定して行うことができる。
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が可能である。
例えば、ここまで説明してきた船舶100において、GPS受信機31は船外機20に内蔵されていてもよい。また、シフト・スロットル操作装置34及びステアリング装置35を船外機20が有する構成であってもよい。また、図3又は図6に示すECU21の各ブロックの機能を、船体10に搭載されている船外機20以外のプロセッサや、船体10に設置されるコンピュータのプロセッサ等によって実現させてもよい。
また、船舶100は、第一の推進装置として船外機20を有しているが、船外機20が船内機に置き換えられた構成であってもよい。また、船外機20又は船内機は、ガソリン等の燃料によって動作するものに限らず、電動モータによってプロペラを回転させて推進力を得るものであってもよい。
以上説明してきたように、本明細書には以下の事項が開示されている。
(1)
船舶(例えば上述した実施形態における船舶100)の船尾(例えば上述した実施形態における船尾10a)に取り付けられ、転舵角が可変な第一の推進装置(例えば上述した実施形態における船外機20)と、前記船舶に取り付けられ、前記船舶が左右へ移動するための推進力を生成する第二の推進装置(例えば上述した実施形態におけるスラスタ40)と、前記第一の推進装置の転舵角及び前記第二の推進装置の出力を変更するための操舵機構(例えば上述した実施形態におけるステアリング装置35)と、を有する前記船舶の操縦を支援する操船支援装置(例えば上述した実施形態におけるECU21)であって、
前記操舵機構の操作に応じて、前記第一の推進装置の転舵角と前記第二の推進装置の出力の少なくとも一方を制御する制御部(例えば上述した実施形態における制御部21C)と、
前記第一の推進装置に含まれるプロペラの回転速度を検出する回転速度検出部(例えば上述した実施形態における回転速度検出部21A)と、
前記操舵機構の操作によって指定される前記転舵角と前記回転速度とに基づいて前記船舶の回転動力を求める回転動力算出部(例えば上述した実施形態における回転動力算出部21B)と、を備え、
前記制御部は、前記回転動力に基づいて、前記第二の推進装置の出力を制御する操船支援装置。
(1)によれば、第一の推進装置の転舵角とプロペラの回転速度とに基づいて求められた回転動力に基づいて第二の推進装置の出力が制御される。このため、船舶の航行状況によらずに、正確且つ安定した回頭動作を実現することができる。
(2)
(1)記載の操船支援装置であって、
前記制御部は、前記船舶を回頭させるために必要な必要回転動力と前記回転動力との差に基づいて、前記第二の推進装置の出力を制御する操船支援装置。
(2)によれば、必要回転動力と回転動力との差に基づいて、第二の推進装置の出力が制御されるため、回転動力が足りなくなる航行状況においても、正確且つ安定した回頭動作を実現することができる。
(3)
(2)記載の操船支援装置であって、
前記制御部は、前記必要回転動力よりも前記回転動力が小さくなっている状態にて、前記差が大きいほど、前記第二の推進装置の出力を高くする操船支援装置。
(3)によれば、必要回転動力と回転動力との差が大きいほど第二の推進装置の出力が高く制御されるため、回転動力が足りなくなる航行状況においても、正確且つ安定した回頭動作を実現することができる。
(4)
(1)〜(3)のいずれか1つに記載の操船支援装置であって、
前記制御部は、前記第一の推進装置のギアがニュートラルの状態にて前記操舵機構が操作された場合には、前記第二の推進装置の出力のみを制御して前記船舶を回頭させる操船支援装置。
(4)によれば、ギアがニュートラルの状態においては第二の推進装置のみで回頭が可能となるため、例えば船舶の接岸時や方向転換時等の操作が容易となる。
(5)
(1)〜(4)のいずれか1つに記載の操船支援装置であって、
前記制御部は、前記船舶の航行速度が第一閾値以上の状態にて前記操舵機構が第二閾値以上の角速度で操作された場合には、前記第一の推進装置の転舵角を所定値に制御し、
前記回転動力算出部は、前記回転速度と前記所定値とに基づいて前記船舶の第二の回転動力を求め、
更に、前記制御部は、前記船舶を回頭させるために必要な必要回転動力と前記第二の回転動力との差に基づいて、前記第二の推進装置の出力を制御する操船支援装置。
(5)によれば、高速で船舶が航行している状態にて操舵機構が急激に操作された場合には、転舵角が所定値に制御されるため、船舶の転覆を防ぐことができる。また、転舵角が制御された分の回転動力が第二の推進装置の出力によって補われるため、回頭動作を安定して行うことができる。
(6)
(5)記載の操船支援装置であって、
前記制御部は、前記必要回転動力と前記第二の回転動力との前記差が大きいほど、前記第二の推進装置の出力を高くする操船支援装置。
(6)によれば、必要回転動力と第二の回転動力との差が大きいほど、第二の推進装置の出力が高くなるため、船舶の回頭をスムーズに行うことができる。
(7)
(1)〜(6)のいずれか1つに記載の操船支援装置を備える船外機。
(7)によれば、船外機が操船支援装置を有するため、船舶の改造等が不要となり、船舶の製造コストの増大を防ぐことができる。また、操船支援装置を別途用意する必要がないため、システム導入を容易に行うことができる。
100 船舶
10 船体
10a 船尾
20 船外機
21 ECU
21A プロペラ回転速度検出部
21B 回転動力算出部
21C 制御部
21D 速度検出部
21E 操舵角速度検出部
23 スロットル用モータ
24 転舵用モータ
26 シフト用モータ
27 プロペラ
31 GPS受信機
34 シフト・スロットル操作装置
34a シフト・スロットルレバー
340 リモートコントロールボックス
35 ステアリング装置
35a ステアリングホイール
40 スラスタ

Claims (7)

  1. 船舶の船尾に取り付けられ、転舵角が可変な第一の推進装置と、前記船舶に取り付けられ、前記船舶が左右へ移動するための推進力を生成する第二の推進装置と、前記第一の推進装置の転舵角及び前記第二の推進装置の出力を変更するための操舵機構と、を有する前記船舶の操縦を支援する操船支援装置であって、
    前記操舵機構の操作に応じて、前記第一の推進装置の転舵角と前記第二の推進装置の出力の少なくとも一方を制御する制御部と、
    前記第一の推進装置に含まれるプロペラの回転速度を検出する回転速度検出部と、
    前記操舵機構の操作によって指定される前記転舵角と前記回転速度とに基づいて前記船舶の回転動力を求める回転動力算出部と、を備え、
    前記制御部は、前記回転動力に基づいて、前記第二の推進装置の出力を制御する操船支援装置。
  2. 請求項1記載の操船支援装置であって、
    前記制御部は、前記船舶を回頭させるために必要な必要回転動力と前記回転動力との差に基づいて、前記第二の推進装置の出力を制御する操船支援装置。
  3. 請求項2記載の操船支援装置であって、
    前記制御部は、前記必要回転動力よりも前記回転動力が小さくなっている状態にて、前記差が大きいほど、前記第二の推進装置の出力を高くする操船支援装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載の操船支援装置であって、
    前記制御部は、前記第一の推進装置のギアがニュートラルの状態にて前記操舵機構が操作された場合には、前記第二の推進装置の出力のみを制御して前記船舶を回頭させる操船支援装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載の操船支援装置であって、
    前記制御部は、前記船舶の航行速度が第一閾値以上の状態にて前記操舵機構が第二閾値以上の角速度で操作された場合には、前記第一の推進装置の転舵角を所定値に制御し、
    前記回転動力算出部は、前記回転速度と前記所定値とに基づいて前記船舶の第二の回転動力を求め、
    更に、前記制御部は、前記船舶を回頭させるために必要な必要回転動力と前記第二の回転動力との差に基づいて、前記第二の推進装置の出力を制御する操船支援装置。
  6. 請求項5記載の操船支援装置であって、
    前記制御部は、前記必要回転動力と前記第二の回転動力との前記差が大きいほど、前記第二の推進装置の出力を高くする操船支援装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項記載の操船支援装置を備える船外機。
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