JP6910186B2 - 銅又は銅合金用表面処理剤、並びに、表面処理銅又は銅合金及びその製造方法 - Google Patents

銅又は銅合金用表面処理剤、並びに、表面処理銅又は銅合金及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、銅又は銅合金用表面処理剤、並びに、該表面処理剤によって形成された黒色皮膜を有する表面処理銅又は銅合金及びその製造方法に関する。
銅や銅合金上に黒色皮膜を形成させる表面処理剤として、従来、多硫化ナトリウムを含む表面処理剤が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平3−2382号公報
しかしながら、特許文献1に記載されているような表面処理剤を用いて銅又は銅合金上に形成された黒色皮膜には、「透け(金属素地が露出している部分)」があることから、照明光による「てかり」が生じる場合や、形成された黒色皮膜の黒みが不充分な場合がある。
そこで、本発明は、「てかりが少ない」(以下、低い反射率とも称する)、かつ、「黒みが充分な」(以下、高い黒色度とも称する)黒色皮膜を形成できる銅又は銅合金用表面処理剤、並びに、該表面処理剤によって形成された黒色皮膜を有する表面処理銅又は銅合金及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ニッケル塩及びコバルト塩から選択される1種以上の金属塩(成分A)と、チオ硫酸塩(成分B)と、エチレンアミン基を1個以上有するアミン化合物(成分C)と、を含有する銅又は銅合金用表面処理剤が、低い反射率かつ高い黒色度の黒色皮膜を形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明者は、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
(1) ニッケル塩及びコバルト塩から選択される1種以上の金属塩(成分A)と、
チオ硫酸塩(成分B)と、
エチレンアミン基(−CHCHNH)を1個以上有するアミン化合物(成分C)と、を含有する、銅又は銅合金用表面処理剤。
(2) 前記成分A中の金属イオンの総質量(MA)と、前記成分Cのアミン化合物の総質量(MC)と、の比(質量比=MA/MC)が、0.45〜28.25である、(1)に記載の銅又は銅合金用表面処理剤。
(3) 前記成分A中の金属イオンの総質量(MA)と、前記成分B中のチオ硫酸イオンの総質量(MB)と、の比(質量比=MA/MB)が、0.22〜2.26である、(1)又は(2)に記載の銅又は銅合金用表面処理剤。
(4) さらに、亜硫酸塩(成分D)を含有する、(1)〜(3)のいずれか1つに記載の銅又は銅合金用表面処理剤。
(5) (1)〜(4)のいずれか1つに記載の銅又は銅合金用表面処理剤由来の黒色皮膜を有する、表面処理銅又は銅合金。
(6) 銅又は銅合金と、前記銅又は銅合金上に配置された黒色皮膜と、を有する表面処理銅又は銅合金の製造方法であって、
(1)〜(4)のいずれか1つに記載の銅又は銅合金用表面処理剤と、前記銅又は銅合金と、を接触させた後、前記銅又は銅合金を水洗し、さらに乾燥する、表面処理銅又は銅合金の製造方法。
(7) 浸漬法及び/又はスプレー法により、前記銅又は銅合金用表面処理剤と、前記銅又は銅合金と、を接触させる、(6)に記載の表面処理銅又は銅合金の製造方法。
本発明によれば、低い反射率かつ高い黒色度の黒色皮膜を形成できる銅又は銅合金用表面処理剤、並びに、該表面処理剤によって形成された黒色皮膜を有する表面処理銅又は銅合金及びその製造方法を提供できる。
以下、本発明に係る銅又は銅合金用表面処理剤(以下、単に「表面処理剤」とも称する)、並びに、表面処理銅又は銅合金及びその製造方法について詳細に説明する。
なお、本発明において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
[表面処理剤]
本発明に係る表面処理剤は、使用時には水溶液の態様であり、そのまま用いる無希釈原液(ストレートタイプ)と、使用時に水で希釈する高濃度タイプと、が本発明の表面処理剤の概念に包含される。以下では、無希釈原液(ストレートタイプ)の表面処理剤を例に挙げて説明する。
表面処理剤は、ニッケル塩及びコバルト塩から選択される1種以上の金属塩(成分A)と、チオ硫酸塩(成分B)と、エチレンアミン基(−CHCHNH)を1個以上有するアミン化合物(成分C)と、を含有するものであれば、特に制限されるものはなく、公知の表面処理剤用添加剤を含むものであってもよい。
ただし、環境対策(排水規制)の観点から、硝酸イオン(NO3 )を含まない表面処理剤が好ましい。また、フッ化物イオン(F)を含まない表面処理剤が好ましい。
なお、本願明細書において、「含まない」とは、表面処理剤中の痕跡量程度の含有は排除しない主旨であるが、全く含まれていないことが好ましい。
本発明の表面処理剤によれば、銅又は銅合金(以下、「基材」又は「被処理物」ともいう。)上に低い反射率かつ高い黒色度の黒色皮膜を形成できる。この理由の詳細は未だ明らかになっていない部分もあるが、概ね以下の理由によるものと推測される。
まず、表面処理剤と基材とを接触させると、成分B由来のチオ硫酸イオンの第一銅イオンへのキレート作用によって、基材表面での銅のエッチングが促進され、次いで表面処理剤中の成分A由来の金属イオン(ニッケルイオン及び/又はコバルトイオン)が基材上に還元析出する他、成分B由来のチオ硫酸イオンが還元され、成分A由来の金属イオンの硫化物が析出する。
このとき、チオ硫酸イオンによる基材(銅又は銅合金)のエッチングにより、基材の表面が微細に粗面化する。そのため、基材の表面上に形成された黒色皮膜は、その表面が基材の粗面化した表面に対応する微細な凹凸を備える。その結果、低い反射率の黒色皮膜を形成して、てかりが少なくなると推測される。
また、エッチングにより粗面化した基材上に析出した微細な粒子は、金属及び/又はこの金属の硫化物を含み、黒色〜暗灰色を呈する粒子であって、黒色皮膜を構成する。成分C(アミン化合物)は、表面処理剤において、成分A由来の金属イオンとキレートを形成している。そのため、金属イオンが当該キレート状態から還元析出する際には、粒子の粒子径が小さくなり、エッチングにより粗面化した基材表面上に小粒径の粒子が多数生成するため、黒色度の高い黒色皮膜を形成できると考えられる。
以下、各成分について説明する。
<成分A>
成分Aは、ニッケル塩及びコバルト塩から選択される1種以上の金属塩である。
この金属塩としては、これを構成する金属原子がニッケル又はコバルトであれば特に限定されないが、例えば、ニッケル及びコバルトの硫酸塩、硝酸塩、塩化物、炭酸塩及び水酸化物等が挙げられる。これらの金属塩の中でも、環境対策(排水処理)の観点から、ニッケル及びコバルトの硫酸塩、塩化物、炭酸塩及び水酸化物が好ましく、経済的観点から、ニッケル及びコバルトの硫酸塩がより好ましい。なお、成分Aは、1種用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
表面処理剤中の成分Aの含有量(濃度)は、特に限定されないが、ニッケルイオン(Ni2+)及びコバルトイオン(Co2+)の金属イオン濃度として、5〜100g/Lが好ましく、10〜80g/Lがより好ましく、10〜50g/Lがより一層好ましく、18〜40g/Lがさらに好ましく、18〜35g/Lが特に好ましく、20〜30g/Lが最も好ましい。上記金属イオン濃度が上記範囲内にあると、より低い反射率、かつ、より高い黒色度の黒色皮膜を形成できる。なお、金属イオン濃度は原子吸光光度法又はICP発光分光法にて測定可能である。
なお、成分Aとして2種以上の金属塩を用いる場合には、金属イオンの総量が上記範囲内であることが好ましい。
<成分B>
成分Bは、チオ硫酸塩である。
チオ硫酸塩としては、特に限定されないが、例えば、チオ硫酸のナトリウム塩及びカリウム塩等のアルカリ金属塩、チオ硫酸のカルシウム塩及びマグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、ならびに、チオ硫酸のアンモニウム塩等が挙げられる。なお、成分Bは、1種用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
表面処理剤中の成分Bの含有量(濃度)は、特に限定されないが、チオ硫酸イオン(S 2−)の濃度として、8〜85g/Lが好ましく、10〜80g/Lがより好ましく、15〜80g/Lがさらに好ましく、20〜80g/Lが特に好ましい。チオ硫酸イオンの濃度が上記範囲内にあると、より低い反射率、かつ、より高い黒色度の黒色皮膜を形成できる。なお、チオ硫酸イオン濃度はヨウ素滴定法により測定可能である。
なお、成分Bとして2種以上のチオ硫酸塩を用いる場合には、チオ硫酸イオンの総量が上記範囲内であることが好ましい。
<成分C>
成分Cは、エチレンアミン基(−CHCHNH)を1個以上有するアミン化合物である。アミン化合物中でのエチレンアミン基の数は特に限定されないが、1〜5個の場合が多く、1〜3個が好ましく、1〜2個がより好ましい。
このアミン化合物としては、特に限定されないが、例えば、モノエタノールアミン及びエチレンジアミン等のエチレンアミン基を1個有するアミン化合物、ジエチレントリアミン及びトリエチレンテトラミン等のエチレンアミン基を2個有するアミン化合物、トリス(2−アミノエチル)アミン等のエチレンアミン基を3個有するアミン化合物等が挙げられ、経済的観点から、エチレンアミン基を1個又は2個有するアミン化合物が好ましい。なお、成分Cは、1種用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
表面処理剤中の成分C(アミン化合物)の含有量(濃度)は、特に限定されないが、0.5〜55.0g/Lが好ましく、1.0〜45.0g/Lがより好ましく、1.0〜20.0g/Lがより一層好ましく、3.5〜15.0g/Lがさらに好ましく、4.5〜15.0g/Lが特に好ましく、5.1〜10.0g/Lがより特に好ましく、6.0〜8.0g/Lが最も好ましい。アミン化合物の濃度が上記範囲内にあると、より低い反射率、かつ、より高い黒色度の黒色皮膜を形成できる。なお、上記アミン化合物の濃度は、燃焼式全窒素測定法によって測定可能である。
なお、成分Cとして2種以上のアミン化合物を用いる場合には、アミン化合物の総量が上記範囲内であることが好ましい。
<MA/MB>
MA/MBとは、成分A中の金属イオンの総質量(MA)と、成分B中のチオ硫酸イオンの総質量(MB)と、の比(質量比=MA/MB)である。
MA/MBは、特に限定されないが、0.22〜2.26が好ましく、0.28〜1.13がより好ましい。MA/MBが0.28〜1.13の範囲内にあると、より低い反射率の黒色皮膜を形成できる。
<MA/MC>
MA/MCとは、成分A中の金属イオンの総質量(MA)と、成分Cのアミン化合物の総質量(MC)と、の比(質量比=MA/MC)である。
MA/MCは、特に限定されないが、0.45〜28.25が好ましく、1.13〜22.6がより好ましく、1.51〜6.46がより一層好ましく、1.51〜5.02がさらに好ましく、2.26〜4.43が特に好ましく、2.83〜3.77が最も好ましい。MA/MCが1.13〜22.6の範囲内にあると、より高い黒色度の黒色皮膜を形成できる。
MA/MCが1.13以上であると、相対的に、成分A由来の金属イオンに対する成分Cのアミン化合物の数量が少なくなる。つまり、アミン化合物の金属イオンに対するキレート効果が相対的に小さくなり、成分A由来の金属イオンが不安定になる(析出しやすくなる)ため、基材(銅又は銅合金)の表面を、小粒径の金属粒子が被覆し、より高い黒色度の黒色皮膜を形成しやすくなる。また、MA/MCが22.6以下であると、相対的に、成分A由来の金属イオンに対する成分Cのアミン化合物の数量が多くなる。つまり、アミン化合物の金属イオンに対するキレート効果が相対的に大きくなり、金属イオンが小粒径化するため、基材上に、より小粒径の金属粒子が析出し、より高い黒色度の黒色皮膜を形成しやすくなる。
<成分D>
本発明の表面処理剤は、亜硫酸塩(成分D)をさらに含有することが好ましい。亜硫酸塩は、表面処理剤中でのチオ硫酸イオンの分解反応(例えば、チオ硫酸イオンの分解生成物である硫黄が金属イオンと硫化物を作って黒色スラッジを発生させる)を抑制できるので、表面処理剤の液安定性が向上することを見出した。
亜硫酸塩としては、特に限定されないが、例えば、亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸カリウム等のアルカリ金属塩、亜硫酸マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、亜硫酸アンモニウム等が挙げられる。これらの中でも、亜硫酸ナトリウムが好ましい。なお、成分Dは、1種用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
表面処理剤中の成分Dの含有量(濃度)は、特に限定されないが、亜硫酸イオン(SO 2−)の濃度として、0.3g/L以上が好ましく、0.3〜12g/Lがより好ましく、0.3〜6.0g/Lがさらに好ましく、0.3〜5.0g/Lが特に好ましく、0.5〜3.0g/Lが最も好ましい。亜硫酸イオン濃度が、0.3g/L以上であると、表面処理剤中でのチオ硫酸イオンの分解を効果的に抑制でき、表面処理剤の液安定性がより向上する。なお、亜硫酸イオン濃度はイオンクロマトグラフィーにより測定可能である。
なお、成分Dとして2種以上の亜硫酸塩を用いる場合には、亜硫酸イオンの総量が上記範囲内であることが好ましい。
<水>
本発明の表面処理剤は、水を含有することが好ましい。水は、上述した各成分を溶解させる及び/又は分散させるための溶媒である。水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水又は超純水のようなイオン性不純物を極力除去したものを使用できる。
<pH>
表面処理剤のpHは、特に限定されないが、5.5〜7.5が好ましい。pHが5.5以上となると、アミン化合物のキレート作用が安定的に発揮されるため、また、チオ硫酸イオンの分解が抑止されるようになるため、より低い反射率かつ高い黒色度の黒色皮膜を形成できる。また、pHが7.5以下であると、アミン化合物のキレート作用が強く働くようになるため、より低い反射率かつ高い黒色度の黒色皮膜を形成できる。なお、pHは温度補正機能付きpHメーター(液温25℃)にて測定される。
表面処理剤のpHは、酸又はアルカリの添加により調整できる。酸及びアルカリとしては、特に限定されないが、例えば、硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸、酢酸等の酸、及び、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水等のアルカリが挙げられる。これらの中でも、硫酸又は水酸化ナトリウムが好ましい。酸又はアルカリは、1種用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[表面処理銅又は銅合金の製造方法]
本発明の表面処理銅又は銅合金の製造方法は、上述した銅又は銅合金用表面処理剤(表面処理剤)と、銅又は銅合金と、を接触させた後、上記銅又は銅合金を水洗し、さらに乾燥するものである。これにより、銅又は銅合金と、上記銅又は銅合金上に配置された黒色皮膜と、を有する表面処理銅又は銅合金が得られる。
本発明の表面処理銅又は銅合金の製造方法によって得られる表面処理銅又は銅合金は、上述した表面処理剤を用いて製造されるので、低い反射率かつ高い黒色度の黒色皮膜を有する。
<接触>
表面処理剤と銅又は銅合金との接触は、これに限定されないが、例えば、浸漬法、スプレー法等により実施できる。この場合、単純に基材(銅又は銅合金)と表面処理剤とを接触させる浸漬法及び/又はスプレー法が好ましいが、超音波、電解、ロール絞り等の手段を併用してもよい。また、表面処理前に、基材の脱脂、基材の酸洗、及び、基材とマット液と接触させる前処理の少なくとも1つを実施することで安定した表面処理を行うことができる。
上記浸漬法は、例えば、表面処理剤が貯留された処理タンク中に基材(銅又は銅合金)を浸漬させる方法である。処理タンクは、表面処理剤を循環させるための公知の循環機構を備えていてもよい。この場合、表面処理剤は、表面処理の実施時に循環させて用いられる。
処理タンクに貯留された表面処理剤の循環量は、特に限定されず、設備の仕様及び基材の大きさや形状によって、任意に循環量を変更できる。
なかでも、上記循環量としては、例えば、1時間当たり処理タンク容量の1〜100倍が好ましく、1時間当たり処理タンク容量の3〜10倍がより好ましい。
スプレー法は、表面処理剤を吐出可能なノズルを備えた公知のスプレー装置を用いて、基材(銅又は銅合金)に対して表面処理剤を噴霧する方法である。
スプレー法におけるスプレー圧は、特に限定されないが、例えば、管内圧力で10〜300kPaが好ましく、50〜200kPaがより好ましい。
<表面処理剤の温度>
銅又は銅合金と接触する際の表面処理剤の温度(以下、「処理温度」ともいう。)は、特に限定されないが、10〜40℃が好ましく、15〜35℃がより好ましく、20〜30℃がさらに好ましい。処理温度が、10℃以上であると、チオ硫酸イオンの銅又は銅合金へのエッチング及び基材への微粒子の析出が促進され、より低い反射率かつより高い黒色度の黒色皮膜が形成でき、処理温度が40℃以下であると、チオ硫酸イオンの分解が抑制され、より低い反射率かつより高い黒色度の黒色皮膜を形成できる。
<接触時間>
表面処理剤と銅又は銅合金との接触時間は、特に限定されないが、120〜600秒が好ましく、150〜500秒がより好ましく、200〜400秒がさらに好ましい。接触時間が120秒以上であると、チオ硫酸イオンの銅へのエッチング及び基材への微粒子の析出が充分行われ、より低い反射率かつより高い黒色度の黒色皮膜を形成でき、接触時間が600秒以下であると、チオ硫酸イオンの銅へのエッチングが過剰に行われず、より低い反射率かつより高い黒色度の黒色皮膜を形成できる。
なお、表面処理剤と銅又は銅合金との接触時間とは、具体的には、接触開始から後述する水洗処理までの時間を指す。
<水洗及び乾燥>
水洗及び乾燥は、上述した表面処理剤と銅又は銅合金との接触後に実施される。
水洗方法は、特に限定されず、シャワー水洗、水中への浸漬等が挙げられる。
乾燥は、上記水洗の後に実施される。乾燥方法は、特に限定されず、自然乾燥でもよいし、公知の加熱装置(オーブン等)を用いて行ってもよい。
乾燥温度は、特に限定されないが、例えば、40〜160℃が好ましく、60〜140℃がより好ましく、80〜120℃が特に好ましい。また、乾燥時間は、特に限定されないが、例えば、0.5〜10分が好ましく、1〜5分がより好ましい。
[表面処理銅又は銅合金]
本発明の表面処理銅又は銅合金は、上述した表面処理剤由来の黒色皮膜を有する。すなわち、本発明の表面処理銅または銅合金は、銅又は銅合金と、上記銅又は銅合金上に上記表面処理剤を用いて形成された黒色皮膜と、を有する。本発明の表面処理銅又は銅合金が有する黒色皮膜は、上述した表面処理剤を用いて形成されるので、低い反射率かつ高い黒色度である。
本発明の表面処理銅又は銅合金は、上述した表面処理銅又は銅合金の製造方法によって得られる。
<銅又は銅合金>
本発明の表面処理銅又は銅合金が有する銅又は銅合金は、表面処理剤の処理対象物としての基材(被処理物)である。
基材は、銅板又は銅合金板等、銅又は銅合金そのもので構成されていてもよいし、他の材料の表面に銅又は銅合金が蒸着等により形成されたものであってもよい。
銅合金としては、これに限定されないが、例えば、真鍮等が挙げられる。
<黒色皮膜>
本発明の表面処理銅又は銅合金が有する黒色皮膜は、上記銅又は銅合金の表面に上述した表面処理剤を用いて形成される。
黒色皮膜の付着量は、特に限定されないが、25〜500mg/cmが好ましく、50〜200mg/cmがより好ましい。黒色皮膜の付着量が上記範囲内にあると、黒色皮膜がより低い反射率かつより高い黒色度となる。
以下、具体的な実施例を挙げて本発明を説明する。なお、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
<表面処理基材の製造>
表面処理基材の製造方法を説明する。はじめに被処理物(基材)と前処理液とを接触させることで表面に付着している汚れを事前に除去した(前処理)。その後、純水洗を行って前処理液を完全に洗い流した。
次に、後述する処理条件において、被処理物と表面処理剤とを接触させた後、被処理物の純水洗を行い、さらに乾燥することで、被処理物と、被処理物上に形成された黒色皮膜と、を有する表面処理基材を作製した。
ここで、被処理物と表面処理剤との接触は、被処理物を揺動しながら浸漬法により行った。
以下に表面処理基材の製造に使用した材料及び処理条件の詳細を説明する。
<被処理物>
被処理物として下記の試験片を用いた。被処理物表面には事前に酸化や汚れ防止のために保護フィルムが貼られている。このフィルムを剥がして被処理物とした。
M1:銅板(C1020P、JIS H 3100:2000)
M2:真鍮板(C2801P、JIS H 3100:2000)
<前処理液>
前処理液としてアルカリ脱脂剤のファインクリーナーE6400(日本パーカライジング株式会社製)を用いた。前処理は、上記アルカリ脱脂剤を濃度20g/Lに調整し、温度を60℃とした溶液に、被処理物を120秒間浸漬して、実施した
<表面処理剤>
表面処理剤に使用する成分A〜Dをそれぞれ表1〜表4に示す。また、表面処理剤の組成及び濃度を表5に示す。
表面処理剤の作製手順は、次の通りである。まず、成分Aの金属塩を純水に溶解させ、金属塩水溶液を作製した。次に、成分Aの金属塩以外の成分、すなわち成分Bのチオ硫酸塩、成分Cの所定のアミン化合物、そして、必要に応じて、成分Dの亜硫酸塩を溶解させた混合水溶液を作製した。最終的な表面処理剤が表5に記載されたものとなるように、この両者を混合させた。その際、表面処理剤のpHが表5の値になるように、水酸化ナトリウム又は硫酸を少量添加することによって微調整した。
Figure 0006910186
Figure 0006910186
Figure 0006910186
Figure 0006910186
<処理条件>
上記表面処理剤を表5に示した処理条件(表面処理剤の温度、接触時間)により、被処理物と表面処理剤とを接触させた。
<乾燥条件>
乾燥条件は、120℃のオーブンに入れてから5分間とした。被処理物と表面処理剤との接触後の被処理物全面を乾燥させるために、被処理物同士が接触しないように、オーブン内で吊り下げ又は立て掛けながら乾燥を行った。
<評価>
上記表面処理剤について、表面処理剤の液安定性を評価した。また、これらの表面処理剤を用いて形成された表面処理基材について、黒色皮膜の反射率(黒色皮膜のてかり度)、黒色皮膜の黒色度(黒色皮膜の黒み)を評価した。以下に評価基準を示す。
<黒色皮膜の反射率>
表面処理基材の全光線反射率(以下、単に「R」とも称する)を測定して、黒色皮膜の反射率を評価した。全光線反射率は株式会社村上色彩技術研究所製 HR-100を用いて測定した。評価基準は以下の通りである。なお、△以上の評価であると、表面処理剤として使用可能と判断した。
〇:R≦20
△:20<R≦25
×:25<R
<黒色皮膜の黒色度>
表面処理基材の色味を測定して、黒色皮膜の黒色度を評価した。色味は、日本電色工業株式会社製の色差計ZE−2000を用いて測定した。△以上の評価であると、表面処理剤として使用可能と判断した。なお、L及びaは、CIE 1976 (L,a,b)色空間によって定義される値である。
◎++: L<12、かつ、−3<a<3
◎+ : L<12、かつ、−5<a<5(但し、◎++を除く)
◎ : 12≦L<15、かつ、−3<a<3
〇 : 12≦L<15、かつ、−5<a<5(但し、◎を除く)
△○: 15≦L<20、かつ、−3<a<3
△ : 15≦L<20、かつ、−5<a<5(但し、△○を除く)
× : L≧20及び/又は−5≧a及び/又はa≧5
<表面処理剤の液安定性>
表面処理剤の液安定性は、目視による外観評価で行った。評価基準は以下の通りである。なお、△以上の評価であると、表面処理剤として使用可能と判断した。
◎:表面処理剤の調製直後、25℃・4日保管後及び25℃・7日保管後でも沈殿は認められなかった。
〇:表面処理剤の調製直後及び25℃・4日保管後は沈殿が認められなかったが、25℃・7日保管後で沈殿が認められた。
△:表面処理剤の調製直後には沈殿は認められなかったが、25℃・4日保管後、及び、25℃・7日保管後に沈殿が認められた
×:表面処理剤の調製直後、25℃・4日保管後及び25℃・7日保管後でも沈殿が認められた。
<評価結果>
以上の評価試験の結果を表5に示す。なお、表5中の「MA/MB」及び「MA/MC」の詳細は、上述した通りである。
Figure 0006910186
Figure 0006910186
Figure 0006910186
表5の評価結果に示す通り、実施例の各表面処理剤を用いて、銅又は銅合金上に形成された黒色皮膜はいずれも、低い反射率かつ高い黒色度を備えていた。
実施例1〜13の対比によれば、表面処理剤におけるMA/MCが1.13〜22.6の範囲内にあることで(実施例2〜12)、より高い黒色度の黒色皮膜が形成できることがわかった。
実施例21〜24及び実施例34〜39の対比により、MA/MBが0.28〜1.13の範囲内にあると(実施例22〜24、実施例35〜39)、より低い反射率の黒色皮膜を形成できることがわかった。
実施例25〜29の対比によれば、表面処理剤が成分D(亜硫酸塩)を含有することで(実施例26〜29)、表面処理剤の液安定性に優れることがわかった。
実施例30〜33によれば、表面処理剤のpHが5.5〜7.5の範囲にあることで、より低い反射率かつより高い黒色度の黒色皮膜を形成できることがわかった。
実施例1〜13と、実施例40〜52と、実施例53〜65と、の対比によれば、表面処理剤に使用する成分A〜成分Cの種類を変更しても、各評価結果が同様の傾向にあることがわかった。
実施例7と実施例66との対比、実施例46と実施例67との対比、実施例59と実施例68との対比、によれば、被処理物として銅合金を用いた場合であっても(実施例66〜68)、被処理物として銅を用いた場合と同様の評価結果になることがわかった。
実施例7と、実施例69〜70と、の対比によれば、成分Bの種類を変更しても、各評価結果が同様になることがわかった。
実施例7と、実施例71〜73と、の対比によれば、成分Cの種類を変更しても、各評価結果が同様になることがわかった。
実施例74〜75の評価結果から、処理温度が10〜40℃の範囲内にあれば、高い黒色度かつ低い反射率の黒色皮膜が形成できることが示された。
実施例76〜77の評価結果から、処理時間が120〜600秒の範囲内にあれば、高い黒色度かつ低い反射率の黒色皮膜が形成できることが示された。
一方、表5の評価結果に示す通り、比較例1の表面処理剤は、成分A(ニッケル塩及び/又はコバルト塩)を含有しないため、これを用いて形成された黒色皮膜は、高い反射率及び低い黒色度であった。
また、比較例2の表面処理剤は、成分B(チオ硫酸塩)を含有しないため、これを用いて形成された黒色皮膜は、高い反射率及び低い黒色度であった。
また、比較例3の表面処理剤は、成分C(エチレンアミン基を1個以上有するアミン化合物)を含有しないため、これを用いて形成された黒色皮膜は、高い反射率及び低い黒色度であった。

Claims (6)

  1. ニッケル塩及びコバルト塩から選択される1種以上の金属塩(成分A)と、
    チオ硫酸塩(成分B)と、
    エチレンアミン基(−CHCHNH)を1個以上有するアミン化合物(成分C)と、を含有
    前記成分A中の金属イオンの総質量(MA)と、前記成分Cのアミン化合物の総質量(MC)と、の比(質量比=MA/MC)が、0.45〜28.25である、銅又は銅合金用表面処理剤。
  2. 前記成分A中の金属イオンの総質量(MA)と、前記成分B中のチオ硫酸イオンの総質量(MB)と、の比(質量比=MA/MB)が、0.22〜2.26である、請求項1に記載の銅又は銅合金用表面処理剤。
  3. さらに、亜硫酸塩(成分D)を含有する、請求項1または2に記載の銅又は銅合金用表面処理剤。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の銅又は銅合金用表面処理剤由来の黒色皮膜を有する、表面処理銅又は銅合金。
  5. 銅又は銅合金と、前記銅又は銅合金上に配置された黒色皮膜と、を有する表面処理銅又は銅合金の製造方法であって、
    請求項1〜のいずれか1項に記載の銅又は銅合金用表面処理剤と、前記銅又は銅合金と、を接触させた後、前記銅又は銅合金を水洗し、さらに乾燥する、表面処理銅又は銅合金の製造方法。
  6. 浸漬法及び/又はスプレー法により、前記銅又は銅合金用表面処理剤と、前記銅又は銅合金と、を接触させる、請求項に記載の表面処理銅又は銅合金の製造方法。
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