以下、添付の図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の実施の形態を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
まず、図1を参照して、本発明の実施の一形態であるカラーレーザープリンタの全体構成及び動作について説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。モノクロプリンタや、その他のプリンタ、複写機、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置にも本発明の構成を適用可能である。
図1に示すように、カラーレーザープリンタの装置本体(画像形成装置本体)100には、画像形成ユニットとしての4つのプロセスユニット1Y,1M,1C,1Bkが着脱可能に装着されている。各プロセスユニット1Y,1M,1C,1Bkは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の異なる色のトナー(現像剤)を収容している以外は同様の構成となっている。
具体的には、各プロセスユニット1Y,1M,1C,1Bkは、潜像担持体としてのドラム状の感光体2と、感光体2の表面を帯電させる帯電ローラ3等を備えた帯電装置と、感光体2上の潜像にトナーを供給する現像装置4と、感光体2の表面をクリーニングするためのクリーニングブレード5等を備えたクリーニング装置などで構成されている。なお、図1では、イエローのプロセスユニット1Yが備える感光体2、帯電ローラ3、現像装置4、クリーニングブレード5のみに符号を付しており、その他のプロセスユニット1M,1C,1Bkにおいては符号を省略している。また、本実施形態では、現像剤としてトナーから成る一成分現像剤を用いている。ただし、現像剤は、これに限らず、トナーとキャリアから成る二成分現像剤であってもよい。
各プロセスユニット1Y,1M,1C,1Bkが有する4つの現像装置4の上方には、それぞれ、各現像装置4に補給するためのトナーを収容した現像剤収容器としてのトナーカートリッジ50が配設されている。
また、各トナーカートリッジ50の下方付近には、各プロセスユニット1Y,1M,1C,1Bkの感光体2の表面を露光する露光装置6が配設されている。露光装置6は、光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラー等を有し、画像データに基づいて各感光体2の表面へレーザー光を照射するようになっている。
また、装置本体100の上部には、支点110を中心に回動することにより上下方向に開閉可能な上部カバー109、および、支点117を中心に回動することにより上下方向に開閉可能な内部カバー116が設けられている。
上記各プロセスユニット1Y,1M,1C,1Bkの下方には、転写装置7が配設されている。転写装置7は、転写体としての無端状のベルトから構成される中間転写ベルト8を有する。中間転写ベルト8は、駆動ローラ9と従動ローラ10に張架されており、駆動ローラ9が図の反時計回りに回転することによって、中間転写ベルト8は図の矢印に示す方向に周回走行(回転)するように構成されている。
4つの感光体2に対向した位置に、一次転写手段としての4つの一次転写ローラ11が配設されている。各一次転写ローラ11はそれぞれの位置で中間転写ベルト8の内周面を押圧しており、中間転写ベルト8の押圧された部分と各感光体2とが接触する箇所に一次転写ニップが形成されている。各一次転写ローラ11は、電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が一次転写ローラ11に印加されるようになっている。
また、駆動ローラ9に対向した位置に、二次転写手段としての二次転写ローラ12が配設されている。この二次転写ローラ12は中間転写ベルト8の外周面を押圧しており、二次転写ローラ12と中間転写ベルト8とが接触する箇所に二次転写ニップが形成されている。二次転写ローラ12は、一次転写ローラ11と同様に、電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が二次転写ローラ12に印加されるようになっている。
また、中間転写ベルト8の図の右端側の外周面には、中間転写ベルト8の表面をクリーニングするベルトクリーニング装置13が配設されている。このベルトクリーニング装置13から伸びた廃トナー移送ホースは、転写装置7の下方に配設された廃トナー収容器14の入り口部に接続されている。
装置本体100の下部には、記録媒体としての用紙Pを収容する給紙カセット15が配設されている。給紙カセット15には、収容されている用紙Pを送り出す給紙ローラ16が設けてある。一方、装置本体100の上部には、記録媒体を外部へ排出するための一対の排紙ローラ17が配設されている。また、排紙ローラ17によって排出された記録媒体をストックするための排紙トレイ18が、上部カバー109に設けられている。
装置本体100内には、用紙Pを給紙カセット15から二次転写ニップを通って排紙トレイ18へ搬送するための搬送路Rが配設されている。搬送路Rにおいて、二次転写ローラ12の位置よりも記録媒体搬送方向上流側には、搬送タイミングを計って記録媒体を二次転写ニップへ搬送する搬送手段としての一対のレジストローラ19が配設されている。また、二次転写ローラ12の位置よりも記録媒体搬送方向下流側には、定着装置20が配設されている。
上記画像形成装置は以下のように動作する。
作像動作が開始されると、各プロセスユニット1Y,1M,1C,1Bkの感光体2が図1の時計回りに回転駆動され、帯電ローラ3によって各感光体2の表面が所定の極性に一様に帯電される。画像読取装置によって読み取られた原稿の画像情報に基づいて、露光装置6から各感光体2の帯電面にレーザー光が照射されて、各感光体2の表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体2に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように感光体2上に形成された静電潜像に、各現像装置4によってトナーが供給されることにより、静電潜像はトナー画像として顕像化(可視像化)される。
続いて、中間転写ベルト8を張架する駆動ローラ9が回転駆動し、中間転写ベルト8を図の矢印の方向に周回走行させる。また、各一次転写ローラ11に、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧又は定電流制御された電圧が印加されることによって、各一次転写ローラ11と各感光体2との間の一次転写ニップにおいて転写電界が形成される。そして、各感光体2上の各色のトナー画像が、上記一次転写ニップにおいて形成された転写電界によって、中間転写ベルト8上に順次重ね合わせて転写される。かくして中間転写ベルト8はその表面にフルカラーのトナー画像を担持する。また、中間転写ベルト8に転写しきれなかった各感光体2上のトナーは、クリーニングブレード5によって除去される。
一方、給紙カセット15では、給紙ローラ16が回転することにより、収容されている用紙Pが搬送路Rへ送り出される。搬送路Rへ送り出された用紙Pは、レジストローラ19によってタイミングを計られて、二次転写ローラ12と中間転写ベルト8との間の二次転写ニップに送られる。このとき二次転写ローラ12には、中間転写ベルト8上のトナー画像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加されており、これにより、二次転写ニップに転写電界が形成されている。そして、二次転写ニップに形成された転写電界によって、中間転写ベルト8上のトナー画像が用紙P上に一括して転写される。また、転写後の中間転写ベルト8上に残留するトナーは、ベルトクリーニング装置13によって除去され、除去されたトナーは、廃トナー収容器14へ搬送され回収される。
その後、トナー画像が転写された用紙Pは、定着装置20へと搬送され、定着装置20において用紙P上のトナー画像が当該用紙Pに定着される。そして、用紙Pは、一対の排紙ローラ17によって装置外に排出され、排紙トレイ18上にストックされる。
次に、トナーカートリッジ50等の装置本体100に対する着脱構造について、図1〜図3を用いて説明する。
図1に示すように、内部カバー116は、装置本体100に対して支点117を中心に回動することにより上下方向に開閉可能に取り付けられている。内部カバー116上には、各色のトナーを収容したトナーカートリッジ50が装着可能となっている。トナーカートリッジ50は、図2に示すように、上部カバー109を開いた状態で着脱可能となる。
各色のプロセスユニット1Y,1M,1C,1Bkは、内部カバー116の内側(下方)に収容されている。従って、プロセスユニット1Y,1M,1C,1Bkを着脱するには、図3に示すように、上部カバー109と内部カバー116の両方を開いた状態にする。また、各感光体2を露光する複数の露光装置6(LEDユニット)は、内部カバー116の下面に揺動可能に取り付けられている。これにより、各露光装置6は、内部カバー116の開閉動作に連動して、ガイド手段によってプロセスユニット1Y,1M,1C,1Bkとの干渉を回避しながら、感光体2に近接した位置とそこから上方に待避した位置との間で移動する。
上記のように構成することで、内部カバー116を開くことにより、トナーカートリッジ50を装着したままプロセスユニットの上方から待避させることができるので、トナーカートリッジ50を取り外さなくても、プロセスユニットを着脱することができる。これにより、プロセスユニットの交換作業時における操作性が向上すると共に、その時のトナーカートリッジ50から装置100内へのトナー飛散のリスクを抑えることができる。
以上の説明は、記録媒体にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つのプロセスユニット1Y,1M,1C,1Bkのいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つのプロセスユニットを使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
図4に示すように、現像装置4は、トナーを収容する現像ハウジング40と、トナーを担持する現像剤担持体としての現像ローラ41と、現像ローラ41にトナーを供給する現像剤供給部材としての供給ローラ42と、現像ローラ41上に担持されたトナー量を規制する規制部材としての現像ブレード43と、トナーを搬送する2つの搬送スクリュー44,45とを有する。
現像ハウジング40の内部は、連通口48aを有する隔壁48によって、図の上側の第1の領域E1と、図の下側の第2の領域E2とに分割されている。連通口48aは、隔壁48の両端部(図4の紙面に直交する方向の手前側と奥側)にそれぞれ設けられている。すなわち、第1の領域E1と第2の領域E2は、2つの連通口48aを形成した箇所で互いに連通している。
第1の領域E1内には、一方の搬送スクリュー44が配置されている。第2の領域E2内には、他方の搬送スクリュー45と、供給ローラ42が設けられている。また、第2の領域E2の感光体2と対向する開口部には、現像ローラ41及び現像ブレード43が設けてある。
2つの搬送スクリュー44,45は、それぞれ回転軸440,450の外周に螺旋状の羽根441,451を設けて形成されている。各搬送スクリュー44,45が回転すると、それぞれの軸方向にトナーを搬送するようになっているが、ここでは、各搬送スクリュー44,45によるトナー搬送方向は互いに逆方向となっている。
現像ローラ41は、金属製の芯金と、その芯金の外周に配設された導電性ゴムで構成されている。本実施形態では、芯金の外径をφ6、導電性ゴムの外周をφ12、ゴム硬度Hs75に設定している。また、導電性ゴムは、体積抵抗値を約105〜107Ω程度に調整されている。導電性ゴムとしては、例えば、導電性ウレタンゴムやシリコーンゴム等を使用可能である。現像ローラ41は、図4において反時計回りの方向に回転し、表面に保持したトナーを現像ブレード43及び感光体2との対向位置へと搬送する。
供給ローラ42には、一般に、スポンジローラなどが用いられる。スポンジローラとしては、金属製の芯金の外周に、カーボンを混合して半導電化させた発泡ポリウレタンを付着したものが適当である。本実施形態では、芯金の外径をφ6、スポンジ部分の外径をφ12に設定している。供給ローラ42は、現像ローラ41に対して当接している。供給ローラ42と現像ローラ41とが当接して形成されるニップ部は、通常約1mm〜3mm程度に設定されている。本実施形態では、ニップを2mmとしている。また、供給ローラ42は、現像ローラ41に対してカウンター方向(図4において反時計回り)に回転することで、現像ハウジング40内のトナーを現像ローラ41の表層まで効率よく供給できるようにしている。さらに、本実施形態では、現像ローラ41と供給ローラ42の回転数比を1に設定することで、良好なトナー供給機能を確保している。
上記現像ブレード43は、例えば、厚さ0.1mm程度のSUSなどの金属板で構成される。現像ブレード43は、その先端側で現像ローラ41の表面に当接している。現像ブレード43による現像ローラ41上のトナー量の制御は、現像特性を安定させ良好な画質を得るために非常に重要なパラメータである。そのため、通常の製品においては現像ローラ41に対する現像ブレード43の当接圧は20〜60N/m程度、ニップ部の位置は現像ブレード43の先端から0.5±0.5mm程度に厳しく管理されている。また、これらのパラメータは、使用するトナー、現像ローラ、供給ローラなどの特性に合わせて適宜決定される。本実施形態では、現像ブレード43を厚さ0.1mmのSUS材で構成し、当接圧45N/m、ニップ部の位置を現像ブレード43の先端から0.2mm、現像ブレード43の支持端部から自由端(先端)までの長さ(自由長)を14mmに設定することで、現像ローラ41上に安定したトナーの薄層を形成できるようにしている。
図4を参照しつつ、現像装置4における現像動作について説明する。
作像動作開始の指示があり、現像ローラ41と供給ローラ42が回転を開始すると、供給ローラ42によって現像ローラ41の表面にトナーが供給され担持される。現像ローラ41上に担持されたトナーは、現像ローラ41と現像ブレード43とのニップ部を通過することにより、トナー層の厚さが規制されると同時に摩擦荷電させられる。そして、現像ローラ41上のトナーが感光体2との対向位置(現像領域)に搬送されると、トナーが感光体2上の静電潜像へ静電的に転移してトナー画像が形成される。
トナーカートリッジ50は、トナーを収容するトナー収容部51を内部に有する容器本体70を具備する。容器本体70には、トナーカートリッジ50の枠体としてのケース円筒状部65と、トナー収容部51内のトナーを外部へ排出する排出口52と、排出口52を開閉可能なシャッタ60と、ケース円筒状部65とシャッタ60との間に設けられたシール部材66と、トナー収容部51内のトナーを排出口52へ搬送する搬送部材としての搬送スクリュー53と、トナー収容部51内のトナーを撹拌する撹拌部材としてのアジテータ54等が設けられる。排出口52はトナー収容部51の下部に設けられている。また、現像ハウジング40には、トナーカートリッジ50が装着された状態で、排出口52と連通する供給口49が設けられる。
搬送スクリュー53は、回転軸530の外周に、螺旋状の羽根531を設けて形成されている。アジテータ54は、搬送スクリュー53の回転軸530と平行に配設された回転軸540に、平面状の変形可能な羽根541を設けて形成されている。アジテータ54の羽根541は、例えば、PETフィルム等から成る可撓性の材料で構成される。また、図4に示すように、トナー収容部51の底面を、羽根541の回転軌道に沿った円弧状に形成することで、羽根541によって移動されずにトナー収容部51内に残ってしまうトナー量を減らすことができる。
なお、本実施形態では、装置本体100に対し、トナーカートリッジ50を単独で着脱可能に構成しているが、この構成に限定されることはない。例えば、トナーカートリッジ50を現像装置4および感光体2等と一体的に構成し、プロセスユニットとして交換可能にしてもよい。あるいは、トナーカートリッジ50を現像装置4と一体的に構成し、現像ユニットとして交換することもできる。
続いて、現像装置へのトナー補給動作について説明する。
トナー量検知機構により、現像ハウジング40内のトナー量が基準量以下になったことが検知されると、トナーカートリッジ50内の搬送スクリュー53およびアジテータ54が回転を開始する。搬送スクリュー53の回転によってトナーが排出口52へ向かって搬送され、排出口52から現像ハウジング40の第1の領域E1内にトナーが補給される。また、アジテータ54の回転によって、トナーカートリッジ50内のトナーが撹拌され、さらに搬送スクリュー53の回転領域に移送される。そして、搬送スクリュー53によってトナーが搬送され、排出口52および供給口49を介して、現像ハウジング40の領域E1にトナーが補給される。現像ハウジング40内のトナー量が所定の基準値よりも多くなると、搬送スクリュー53とアジテータ54の回転駆動が停止してトナー補給が終了する。
一方、図5に示すように、現像ハウジング40では、トナーの補給があると、第1の領域E1内に設けられた搬送スクリュー44と、第2の領域E2に設けられた搬送スクリュー45が回転し、各領域E1,E2でトナーが互いに反対方向に搬送される。
各搬送スクリュー44,45によって各領域E1,E2の搬送方向下流端まで搬送されたトナーは、隔壁48の両端部に形成された各連通口48aを通って、他方の領域内(領域E1から領域E2、又は領域E2から領域E1)に送り込まれる。そして、他方の領域内に送り込まれたトナーは、それぞれの領域内で搬送スクリュー44,45によって搬送され、上記とは反対側の連通口48aを通って元の領域内に戻される。この動作を繰り返し行うことにより、トナーが第1の領域E1と第2の領域E2との間で循環し、補給された新しいトナーと現像ハウジング40内にあるトナーとが混ざり合うので、トナーの状態(トナー中の新しいトナーの割合)を均一にし、色ムラや地汚れ等の不具合の発生を防止することができる。
搬送スクリュー44,45によるトナーの搬送速度は、スクリューのピッチと回転速度に比例して大きくなる。また、スクリュー1回転あたりのトナー搬送量は、スクリュー径に比例して大きくなる。このように、スクリューのピッチや回転量、スクリュー径を変更することにより、トナー搬送速度や搬送量を調整することができる。
図6に、トナーカートリッジ50から上ケースとギヤカバーを取り外した状態の斜視図を示す。
図6に示すように、トナーカートリッジ50の容器本体の内部空間には、トナーや、搬送スクリュー53及びアジテータ54が収容されている。符号62,63,64は、上記ギヤカバー57内に収容される複数のギヤである。これらのギヤのうち、符号62は搬送駆動ギヤであり、符号63は攪拌駆動ギヤである。トナーカートリッジ50内のトナーは、搬送スクリュー53によって、トナーカートリッジ50の一端側(図6の矢印Aの側)から他端側(図6の矢印Bの側)へ搬送される。
両ギヤ62,63は、搬送スクリュー53およびアジテータ54の各回転軸に取り付けられている。また、符号64で示すギヤは、搬送駆動ギヤ62及び撹拌駆動ギヤ63と噛み合って回転トルクを伝達するトルク伝達ギヤである。
トナーカートリッジ50を装置本体100に装着すると、搬送駆動ギヤ62が本体側駆動ギヤと噛み合う。この状態で、本体側駆動ギヤを回転駆動させると、搬送駆動ギヤ62、トルク伝達ギヤ64及び撹拌駆動ギヤ63がそれぞれ図6の矢印で示す方向に回転し、搬送スクリュー53とアジテータ54とが回転する。
図7に示すように、トナーカートリッジ50の他端側(矢印Bの側)には、ケース円筒状部65が設けられる。ケース円筒状部65の内周面側には、搬送スクリュー53が挿通される。トナー収容部51に収容されたトナーは、搬送スクリュー53によって矢印C方向へ搬送され、ケース円筒状部65内へ送られる。そして、ケース円筒状部65の下方に設けられた排出口52から現像ハウジング40(図4参照)へトナーが供給される。また、ケース円筒状部65の上部で、図7と異なる断面の位置には、トナー収容部51へトナーを戻すことのできる戻し口が設けられている。
図8(a)に示すように、ケース円筒状部65の内周面側には、シャッタ60およびシール部材66が設けられる。
シャッタ60は、シャッタ円筒状部60aと、シャッタ円筒状部60aの周方向に間隔を置いて複数設けられた突起部60b等を有する。また、シャッタ円筒状部60aは、周方向の一部に開口部60cを有する。
シャッタ円筒状部60aは、排出口52を開閉する部分であり、ケース円筒状部65に対して開閉移動(回転移動)可能に保持される。
突起部60bは、シャッタ円筒状部60aの表面からケース円筒状部65の側に突出して設けられ、ケース円筒状部65の内周面に当接する。このように、突起部60bがケース円筒状部65の内周面に当接することで、シャッタ円筒状部60aの外周面とケース円筒状部65の内周面との間隔を、突起部60bの高さに規定することができる。
シャッタ60の周方向において、複数設けられた突起部60bのうち、排出口52の両側には、排出口52に隣接する第一の突起部60b1と第二の突起部60b2とがそれぞれ設けられる。そしてシール部材66は、シャッタ60の周方向において、突起部60b1,60b2に挟まれた部分に設けられる。
本実施形態では、シール部材66は、可撓性のスポンジにより構成され、シャッタ円筒状部60aの外周面に貼設される。シール部材66は、ケース円筒状部65とシャッタ円筒状部60aとに挟まれて圧縮されることにより、ケース円筒状部65とシャッタ円筒状部60aとの間を隙間なく埋めることができ、良好なシール性を発揮することができる。また、シール部材66は、シャッタ円筒状部60aの開口部60cに対応する位置に、開口部66aを有する。
図8(a)に示すように、トナーカートリッジ50から現像ハウジング40へのトナーの補給を行わない場合には、シール部材66が排出口52の面全体を覆うようにして設けられることで、排出口52を閉鎖している(以下、排出口52を閉鎖するシャッタ60の上記位置を、シャッタ60の閉鎖位置と呼ぶ)。
一方、図8(b)に示すように、トナーカートリッジ50が装置本体に装着され、トナーカートリッジ50から現像ハウジング40へのトナーの補給が行われる場合には、シャッタ60が回転してシャッタ60の開口部60c(およびシール部材66の開口部66a)が排出口52に連通する位置まで移動し、排出口52が開放される(以下、排出口52が開放されるシャッタ60の上記位置を、シャッタ60の開放位置と呼ぶ)。
図9に示すように、各突起部60bは、シャッタ60の長手方向にわたって設けられる。また、シール部材66は、排出口52に対向する側であるシャッタ60の長手方向一方側の一部にのみ設けられている。シャッタ60の開口部60cおよびシール部材66の開口部66aは、排出口52よりも一回り大きく設けられる。シャッタ60が開放位置に配置された状態で、シール部材66は、排出口52の全周を囲うようにして周設される。
シャッタ60の長手方向一端側には、レバー部67が設けられる。レバー部67を操作することにより、シャッタ60をケース円筒状部65に対して回転させることができ、シャッタ60の閉鎖位置と開放位置とを往復させることができる。
図10(a)は、ギヤカバーを外した状態のトナーカートリッジ50を、容器本体70の他端側から見た図で、排出口52の閉鎖状態(図8a参照)を示している。
図10(a)に示すように、容器本体70のアジテータ54が設けられた側の側壁には爪部68が固設される。そして、付勢部材としてのバネ69が、その一端側が爪部68に連結され、他端側がシャッタ60のレバー部67に連結されて設けられる。レバー部67は、装置本体100(図1参照)に設けられた移動部材113に当接する。
バネ69は、その一端側が爪部68に連結されることにより、その位置が容器本体70に対して固定されている。そして、バネ69は、その他端側に連結されるレバー部67を爪部68の側に付勢している。レバー部67は、バネ69によって付勢されて移動部材113に当接し、この位置に位置決めされている。
そして、排出口52を閉鎖状態から解放状態に移行する際には、装置本体に設けられたソレノイド等の駆動機構により、移動部材113に矢印D1方向の駆動力が付与される。これにより、移動部材113は、バネ69の付勢力や、ケース円筒状部65(図8a参照)とシール部材66等との間に生じる摩擦力に抗して、レバー部67を矢印D1方向へ押圧しながら移動する。そして、図10(b)に示すように、レバー部67の移動によりシャッタ60が回転してシャッタ60が閉鎖位置へ移動し、排出口52が開放状態になる(図8b参照)。
そして、トナーカートリッジ50から現像ハウジングへのトナーの補給が完了した際には、駆動機構によって移動部材113を再び図10(a)の位置まで移動させる。これにより、移動部材113からレバー部67への押圧力が一時的に解除され、レバー部67がバネ69の付勢力によって再び図10(a)の位置まで移動する。以上により、排出口52が再び閉鎖状態になる。このように、トナーの補給時以外には、排出口52を閉鎖することにより、排出口52からのトナー漏れを防止することができる。
ここで、本発明と異なるトナーカートリッジの構成について図11および図12を用いて説明する。そして、上記トナーカートリッジとの比較により、本発明の上記実施形態の構成が有する効果について説明する。以下の説明では、本発明の上記実施形態と異なる点を中心に説明する。
図11に示すように、トナーカートリッジ50’のシャッタ160には突起部が設けられておらず、開口部160cの部分を除くシャッタ円筒状部160aの外周面全周に、シール部材166が設けられる。そして、図12に示すように、シール部材166は、シャッタ160の長手方向両端を除く広範囲に設けられる。このように、図11および図12のトナーカートリッジでは、シール部材166が、シャッタ160の広範囲に貼設される。
ところで、前述した本実施形態の構成のように、移動部材113の押圧力とバネ69の付勢力によってレバー部67を図10(a)の左右方向に移動させてシャッタ60を開閉する構成では、手動で開閉する場合と比較して、その開閉力に制限が大きい。従って、シャッタ60を開閉移動するために必要な力(以下、シャッタ60の操作力と呼ぶ)をできる限り小さくし、シャッタ60を容易に回転可能とすることが重要になる。
しかし、図11に示すトナーカートリッジ50’のように、シール部材166とケース円筒状部65とが広範囲で接触する構成では、シャッタ160の回転動作時に、シール部材166とケース円筒状部65の間に生じる摩擦力が大きくなり、シャッタ160の操作力が大きくなってしまう。
さらに上記のトナーカートリッジ50’の構成では、シール部材166の厚みを大きく設定する必要があり、これによってシャッタ160の操作力が大きくなってしまう。
つまり、上記構成では、シャッタ160は、シール部材166を介してケース円筒状部65に接触し、ケース円筒状部65に回転可能に保持されている。このような構成では、シャッタ160がケース円筒状部65に対して位置決めされていないため、シャッタ160とケース円筒状部65との隙間の幅は、その寸法誤差が大きくなってしまう。また、スポンジにより円筒状に形成されるシール部材166は、その周方向において厚みのバラつきが大きくなりやすいため、シール部材166自身の厚み寸法にも誤差が生じやすい。以上のことから、ケース円筒状部65とシャッタ160との隙間を確実にシールし、トナー漏れを防止するためには、シール部材166の厚みを、上記のバラつきや寸法誤差を考慮して、上記隙間に対して大きめに設定する必要がある。
しかし、このようにシール部材166の厚みを大きく設定すると、シャッタ160とケース円筒状部65との隙間の幅が小さい部分や、シール部材166の厚みが誤差により大きくなった部分では、シャッタ160とケース円筒状部65との隙間に対してシール部材166の厚みが相対的に大きくなってしまう。そして、このような部分では、シール部材166が小さい隙間に圧縮されて設けられることになり、シール部材166のケース円筒状部65に対する反発力(弾性変形したシール部材166の弾性復帰力)が大きくなってしまう。これにより、シール部材166とケース円筒状部65との間に生じる摩擦力が大きくなり、シャッタ160の操作力が大きくなってしまう。
以上のように、シール部材の厚みを大きくするほど、シール部材が、シャッタとケース円筒状部との間を隙間なく埋めることができ、トナーのシール性を向上させることができるが、一方で、シャッタの操作力が大きくなってしまう。このように、トナーカートリッジにおいて、シャッタ部分におけるシール性と回転動作性とはトレードオフの関係にあり、その両立が難しいという課題があった。
そこで本実施形態では、図8(a)に示すように、シャッタ60のシャッタ円筒状部60aに、ケース円筒状部65に当接する突起部60bが設けられる。ケース円筒状部65に対して突出する突起部60bをケース円筒状部65に当接させることで、シャッタ60とケース円筒状部65の隙間を精度良く規定することができ、その寸法誤差を小さくすることができる。このため、シール部材66の厚みを、前述した図11等の構成よりも小さくすることができる。従って、シール部材66からケース円筒状部65への反発力を減少させ、ケース円筒状部65とシール部材66の摺動性を改善することができるので、トナーのシール性を損なうことなく、シャッタ60の回転動作性を向上させることができる。
また、部分的に突出した突起部60bでケース円筒状部65に当接させることにより、ケース円筒状部65に当接するシャッタ60の面積を最小限に留めることができる。このため、ケース円筒状部65とシャッタ60との間に生じる摩擦力をできるだけ小さくすることができる。特に、シャッタ60の製造過程においても、突起部60bの部分の寸法公差を厳しく設定すれば、ケース円筒状部65とシャッタ円筒状部60aの隙間の幅寸法を精度良く規定することができるので、シャッタ60の成形が容易になり、その品質も安定する。
さらに本実施形態では、ケース円筒状部65およびシャッタ60を共に樹脂材料により形成しており、両者の摺動性は、スポンジからなるシール部材66とケース円筒状部65との摺動性よりも良好である。従って、図11のトナーカートリッジ50’のように、シール部材166とケース円筒状部65のみが接触し、両者が摺動する構成と比較すると、本実施形態では、シャッタ60の周方向の一部において、突起部60bがケース円筒状部65と摺動する構成であるため、シャッタ60の開閉移動時に発生する摩擦力をより低減することができる。
また、本実施形態では、シール部材66をシャッタ60の周方向と長手方向の一部領域にのみ設ける構成とした。具体的には、図8(a)に示すように、シャッタ60の周方向において、シール部材66を排出口52の両側にのみ設けた。また、図9に示すように、シャッタ60の長手方向において、シール部材66を、排出口52が設けられる側(長手方向の一方側)にのみ設けた。このように、シール部材66を排出口52の周辺にのみ設けることで、シャッタ60からのトナー漏れを防止するために最低限必要な部分にだけシール部材66を設けることができ、シャッタ部分におけるトナーのシール性を確保すると共に、シール部材66とケース円筒状部65とが接触する面積を減少させてシャッタ60の回転動作性を向上させることができる。
上記のように、シール部材66は、その面積が小さいほどシャッタ60の回転動作性を向上させることができるため、そのシール性等の機能を考慮して、最小限の範囲に設けることが好ましい。そこで、シール部材66の各部について、必要な寸法について説明する。
図13(a)および図13(b)は、それぞれ図8(a)および図8(b)のシャッタ部分の拡大図である。
図13(b)に示すように、シャッタ60が開放位置に配置された状態で、シール部材66は、シャッタ60の開閉移動方向(シャッタ60の周方向)の一方側に配置される一方側部66b1と、他方側に配置される他方側部66b2を有する。
図13(a)に示すように、シャッタ60が閉鎖位置に配置された状態で、一方側部66b1は、排出口52に対向し、排出口52を覆う(閉鎖する)部分である。このため、その外周面側の周長E1は、排出口52の内周面側の周長E3よりも長く設ける必要がある。さらに、一方側部66b1の周長E1が排出口52の周長E3と同程度の長さであると、排出口52の閉鎖時に、一方側部66b1の端部が排出口52の側壁52aに接触してめくれ、この部分がシャッタ60から剥離してしまう虞がある。このため、一方側部66b1は、排出口52よりも、さらにその両側に延在する構成であることが好ましい。この端部のめくれや、シール部材66の寸法誤差、回転位置の誤差等を考慮して、本実施形態では、一方側部66b1の周長E1を、排出口52の周長E3よりも4mm程度大きく設ける。そして、シャッタ60が閉鎖位置において、一方側部66b1が排出口52の周方向両端よりも、さらに両側へ約2mmずつ延在する配置とした。
また、他方側部66b2は、一方側部66b1のように排出口52との関係でその寸法を規定する必要はないが、トナーのシール性やケース円筒状部65との摺動によるめくれ防止を考慮して、最低限の幅で設ける必要がある。
以上のことを考慮して、シール部材66の周方向の長さが規定される。上記のように、一方側部66b1は、排出口52を閉鎖する必要があるため、その外周面の周長E1は、他方側部66b2の周長E2よりもその長さが大きく設定される。
以上のように、本実施形態の構成では、シャッタ60の開閉移動時に生じる摩擦力を減少させて、シャッタ60の回転動作性を向上させると共に、シャッタ60におけるトナーの良好なシール性を実現することができる。
以下、本発明の他の実施形態について説明する。なお、上記の実施形態と共通する構成については、適宜、その記載を省略し、各実施形態の特徴部分を中心に説明する。
図14に示すように、本実施形態では、前述したシール部材66を第一のシール部材66とすると、追加のシール部材である第二のシール部材71を設けた。第二のシール部材71は、シャッタ60の長手方向の他方側(排出口52に対向する部分と反対側)に、シャッタ60の各突起部60bの間を埋めるようにして複数設けられる。言い換えると、シャッタ60の長手方向の他方側の一部に、シャッタ60とケース円筒状部65の隙間の全周を埋めるようにして第二のシール部材71が設けられる。
本実施形態では、仮にシャッタ60の開口部60cからトナーが漏れ出し、シール部材66を越えてシャッタ60の長手方向他方側へ流れ出した場合でも、長手方向他方側の一部において、上記隙間の全周をシールする第二のシール部材71により、シャッタ60の外側へトナーが流出することを防止できる。これにより、トナーのシール性をより高めることができる。
また、図15に示すように、シャッタ60の長手方向他端側において、突起部60bを一部省略し、この部分に第二のシール部材71を設けてもよい。この場合、単一の第二のシール部材71が、シャッタ60の外周面全周を覆うようにして設けられる。本実施形態では、単一のシール部材71を周方向に連続して設けることができる。このため、当該部分において、シャッタ60の周方向に、第二のシール部材71と突起部60bとの隙間が生じず、トナーの流出をより確実に防止することができる。また、単一のシール部材によりシャッタ60の全周を覆うことができるので、貼り付けが容易になり、トナーカートリッジ50の組立作業性が向上する。
また、シャッタ60の突起部60bが異なる方向に形成された実施形態についても説明する。
図16および図17に示すように、本実施形態では、シャッタ60の突起部60bは、シャッタ60の周方向に延在して設けられる。突起部60bは、シャッタ60の長手方向に複数設けられる。
また、シール部材66は、シャッタ60の長手方向において、第一の突起部60b1と第二の突起部60b2との間に設けられると共に、シャッタ60の周方向において、排出口52の両側にのみ設けられる。突起部60bにより、ケース円筒状部65とシャッタ60の隙間の長さを精度良く設定できる点は、前述した実施形態と同様である。
本実施形態では、突起部60bがシャッタ60の全周にわたって隙間なく設けられることにより、排出口52からシャッタ60の長手方向に流れ出すトナーを、突起部60bによって堰き止めることができる。このため、トナーのシール性をより向上させることができる。本実施形態では、突起部60bはシャッタ60の周方向全周を覆うようにして環状に設けられるが、トナーのシール性に支障がなければ、その一部を削除することもできる。
また、図18に示すように、第一のシール部材66とは別に、突起部60b2,60b3の間に、第二のシール部材71を設けることもできる。第二のシール部材71は、シャッタ60に周設され、ケース円筒状部65(図16参照)とシャッタ円筒状部60aの隙間をその全周に亘って埋める。本実施形態では、仮に、トナーが突起部60b2を越えてシャッタ60の長手方向に流れ出した場合でも、第二のシール部材71によりトナーの流出を防止することができ、トナーのシール性をより向上させることができる。
さらに、図19に示すように、シール部材66の長手方向端部側に、シャッタ60の全周を覆うようにして設けられた周回部66cを設けてもよい。この場合、図18の構成と比較して、シール部材を一体化できるため、シール部材をシャッタ60に貼り付ける作業が容易になる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
以上の実施形態では、シャッタ60に突起部60bを設けることにより、シャッタ60をケース円筒状部65に当接させ、両者の隙間の幅を精度良く設定する構成について説明した。しかし、本発明はこれに限らず、ケース円筒状部65の側に突起部が設けてあってもよい。例えば図20に示すように、ケース円筒状部65は、その周方向に一定の間隔を置いて、シャッタ60の長手方向にわたって設けられた複数の突起部65aを有する。この突起部65aにより、シャッタ60とケース円筒状部65との隙間の幅を精度良く規定することができる。また、シール部材66は、図9で示した実施形態と同様に、シャッタ60の周方向において、排出口52の両側にのみ設けられ、シャッタ60の長手方向において、長手方向一方側の一部にのみ設けられる。
また、上記の説明では、シャッタ60の長手方向に延在する突起部65aを、シャッタ60の周方向に間隔を置いて複数設ける構成とした。しかし、図17で示したシャッタ60の突起部60bのように、ケース円筒状部65に、シャッタ60の周方向に延在する突起部65aを、シャッタ60の長手方向に複数設けた構成であってもよい。
本発明に係る画像形成装置は、図1に示すカラー画像形成装置に限らず、モノクロ画像形成装置や、複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等であってもよい。
記録媒体としては、用紙P(普通紙)の他、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ、OHPシート、プラスチックフィルム、プリプレグ、銅箔等が含まれる。