JP6906489B2 - ケミカルセンサキット及び分析方法 - Google Patents

ケミカルセンサキット及び分析方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6906489B2
JP6906489B2 JP2018172386A JP2018172386A JP6906489B2 JP 6906489 B2 JP6906489 B2 JP 6906489B2 JP 2018172386 A JP2018172386 A JP 2018172386A JP 2018172386 A JP2018172386 A JP 2018172386A JP 6906489 B2 JP6906489 B2 JP 6906489B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
channel
trap
substance
fluorescent dye
chemical sensor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018172386A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020046196A (ja
Inventor
杉崎 吉昭
吉昭 杉崎
厚伸 磯林
厚伸 磯林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP2018172386A priority Critical patent/JP6906489B2/ja
Priority to US16/352,431 priority patent/US11346783B2/en
Publication of JP2020046196A publication Critical patent/JP2020046196A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6906489B2 publication Critical patent/JP6906489B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N21/00Investigating or analysing materials by the use of optical means, i.e. using sub-millimetre waves, infrared, visible or ultraviolet light
    • G01N21/62Systems in which the material investigated is excited whereby it emits light or causes a change in wavelength of the incident light
    • G01N21/63Systems in which the material investigated is excited whereby it emits light or causes a change in wavelength of the incident light optically excited
    • G01N21/64Fluorescence; Phosphorescence
    • G01N21/6428Measuring fluorescence of fluorescent products of reactions or of fluorochrome labelled reactive substances, e.g. measuring quenching effects, using measuring "optrodes"
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/53Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
    • G01N33/536Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor with immune complex formed in liquid phase
    • G01N33/542Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor with immune complex formed in liquid phase with steric inhibition or signal modification, e.g. fluorescent quenching
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N21/00Investigating or analysing materials by the use of optical means, i.e. using sub-millimetre waves, infrared, visible or ultraviolet light
    • G01N21/62Systems in which the material investigated is excited whereby it emits light or causes a change in wavelength of the incident light
    • G01N21/63Systems in which the material investigated is excited whereby it emits light or causes a change in wavelength of the incident light optically excited
    • G01N21/64Fluorescence; Phosphorescence
    • G01N21/6428Measuring fluorescence of fluorescent products of reactions or of fluorochrome labelled reactive substances, e.g. measuring quenching effects, using measuring "optrodes"
    • G01N2021/6432Quenching
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N21/00Investigating or analysing materials by the use of optical means, i.e. using sub-millimetre waves, infrared, visible or ultraviolet light
    • G01N21/62Systems in which the material investigated is excited whereby it emits light or causes a change in wavelength of the incident light
    • G01N21/63Systems in which the material investigated is excited whereby it emits light or causes a change in wavelength of the incident light optically excited
    • G01N21/64Fluorescence; Phosphorescence
    • G01N21/6428Measuring fluorescence of fluorescent products of reactions or of fluorochrome labelled reactive substances, e.g. measuring quenching effects, using measuring "optrodes"
    • G01N2021/6439Measuring fluorescence of fluorescent products of reactions or of fluorochrome labelled reactive substances, e.g. measuring quenching effects, using measuring "optrodes" with indicators, stains, dyes, tags, labels, marks

Description

本発明の実施形態は、ケミカルセンサキット及び分析方法に関する。
グラフェンやカーボンナノチューブは、蛍光のクエンチャーとして機能することが知られている。即ち、グラフェンやカーボンナノチューブの近傍で蛍光色素が励起されると、励起されたエネルギーが蛍光共鳴エネルギー移動(Fluorescence resonance energy transfer:FRET)によりグラフェンやカーボンナノチューブに移動する。グラフェンやカーボンナノチューブは蛍光特性を持たないため、移動したエネルギーは蛍光に変換されない。従って、蛍光色素の蛍光は消光又は減光されることとなる。
この性質を利用して生物学的物質を分析する方法が非特許文献1に開示されている。この方法においては、蛍光色素修飾したアプタマーを固定したグラフェン膜を用いる。
標的物質が存在しない条件下では、アプタマーのπ結合とグラフェンのπ結合との間の相互作用により、アプタマーがグラフェン膜表面に張り付いている。それによって、グラフェン膜と蛍光色素との間でFRETが生じ、蛍光は消光あるいは減光している。標的物質が存在する条件下では、標的物質がアプタマーに結合することによりπ結合同士の相互作用が解消されてアプタマーが立ち上がる。その結果、蛍光色素がグラフェン膜から遠ざかることによりFRETが解消され、蛍光が増加する。この蛍光の増加を顕微鏡で観察することによって、標的物質の存在を検出する。
Yuko Ueno, "On-chip Graphene Biosensor", NTT Technical Review
本発明が解決しようとする課題は、試料中に含まれる夾雑物及び試料のpHによる影響を受けにくく、正確に標的物質を検出又は定量できるケミカルセンサキット及び分析方法を提供することである。
実施形態に従うケミカルセンサキットは、基板と、基板の表面に配置された、六角形の結晶格子を形成する炭素原子を含むチャネルとを有し、チャネルに第1の物質が固定されているケミカルセンサと、蛍光色素で標識された第2の物質を含む試薬とを含み、第1の物質及び第2の物質は、いずれか一方が試料中の標的物質と特異的に結合する捕捉体であり、他方が捕捉体と結合能を有し、捕捉体への結合において標的物質と競合する競合物質である。あるいは、第1の物質及び第2の物質が、ともに標的物質と特異的に結合する捕捉体であり、第1の物質と第2の物質が、標的物質の異なる箇所に結合する。
図1は、実施形態のケミカルセンサの一例を示す平面図及び断面図である。 図2は、実施形態のチャネルの一例を示す模式図である。 図3は、実施形態のチャネルへの捕捉体の結合方法の一例を示す式である。 図4は、実施形態のチャネルの一例を示す模式図である。 図5は、実施形態のケミカルセンサの一例を示す平面図である。 図6は、実施形態のケミカルセンサの一例を示す平面図及び断面図である。 図7は、実施形態のケミカルセンサの一例を示す断面図である。 図8は、実施形態の分析方法の一例を示すフローチャートである。 図9は、実施形態のケミカルセンサの使用時の様子を示す拡大図である。 図10は、V−Isd間の関係を示すグラフである。 図11は、酸化シリコンの拡大図を示す図である。 図12は、実施形態のケミカルセンサの使用時の様子を示す拡大図である。 図13は、実施形態のケミカルセンサの使用時の様子を示す拡大図である。 図14は、V−Isd間の関係を示すグラフである。 図15は、V−Isd間の関係を示すグラフである。 図16は、Isdの変化量と標的物質の存在量との関係の一例を示すグラフである。 図17は、蛍光色素の蛍光強度と時間との関係の一例を示すグラフである。 図18は、実施形態の分析方法の一例を示すフローチャートである。 図19は、実施形態の分析方法の一例を示す断面図である。 図20は、実施形態の分析方法の一例を示すフローチャートである。 図21は、実施形態のケミカルセンサの使用時の様子を示す拡大図である。 図22は、実施形態のケミカルセンサの使用時の様子を示す拡大図である。 図23は、実施形態のケミカルセンサの使用時の様子を示す拡大図である。 図24は、実施形態の分析方法の一例を示すフローチャートである。 図25は、実施形態の分析方法の一例を示すフローチャートである。 図26は、Isdの変化量と標的物質の存在量との関係の一例を示すグラフである。 図27は、実施形態のケミカルセンサの使用時の様子を示す拡大図である。 図28は、実施形態の分析方法の一例を示すフローチャートである。
以下に、図面を参照しながら種々の実施形態について説明する。各図は実施形態とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術を参酌して適宜、設計変更することができる。
実施形態に従うケミカルセンサキットは、試料中の標的物質を検出するためのキットであり、ケミカルセンサと試薬とを含む。ケミカルセンサは、基板と、基板の表面に配置された、六角形の結晶格子を形成する炭素原子を含むチャネルとを含み、チャネルに第1の物質が固定されている。試薬は、蛍光色素で標識された第2の物質を含む。
第1の実施形態において、前記第1の物質は標的物質と特異的に結合する捕捉体であり、前記第2の物質は捕捉体と結合能を有し、捕捉体への結合について標的物質と競合する競合物質である。第2の実施形態において、第2の物質は標的物質と特異的に結合する捕捉体であり、第1の物質は捕捉体と結合能を有し、捕捉体への結合について標的物質と競合する競合物質である。第3の実施形態において、第1の物質は前記標的物質と特異的に結合する第1の捕捉体であり、第2の物質は前記標的物質と特異的に結合する第2の捕捉体である。
以下に、第1〜3の実施形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
1.ケミカルセンサキット
第1の実施形態のケミカルセンサキットはケミカルセンサと試薬を含む。
(1)ケミカルセンサ
図1の(a)は、実施形態のケミカルセンサの一例を示す平面図である。図1の(b)は、図1の(a)のケミカルセンサ1をB−B’に沿って切断した断面図である。ケミカルセンサ1は、少なくとも一方の表面が絶縁性を有する基板2と、基板2の絶縁性の表面に配置されたチャネル3と、チャネル3の基板2と反対側の表面に固定された捕捉体4と、チャネル3の一方の端5に接続するソース電極6と、チャネル3の他方の端7に接続するドレイン電極8と、ソース電極6及びドレイン電極8に接続される直流電源(図示せず)と、絶縁材料からなる壁部9とを備える。壁部9は、露出したチャネル3の周縁を囲み、かつソース電極及びドレイン電極の外周面を覆うように、基板2及びチャネル3の表面から立設されている。壁部9によって、チャネル3を底部とする試料収容部10が形成されている。以下、基板2、チャネル3、捕捉体4、ソース電極6、ドレイン電極8を含む1つの単位を「ケミカルセンサ素子」とも称する。
以下、各構成について詳細に説明する。
基板2は、例えば、矩形の板状である。基板2は、例えば、チャネル3側の表面に絶縁体を備える。絶縁体は、例えば、酸化シリコン、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、高分子材料、又は有機分子の自己組織化膜などである。他の層は、例えば、シリコン、ガラス、セラミックス、高分子材料又は金属などである。詳しくは後述するが、基板2は、チャネル3側に配置された絶縁体膜と、ゲート電極として機能する導体の層とを備えてもよい。この場合、絶縁体の厚さは、絶縁性を損なわない範囲で出来る限り薄い方がよく、例えば数nm程度とすることが好ましい。このような高品質の薄膜は、例えばALD(Atomic Layer Deposition)法によって形成することが可能である。
基板2の大きさは、限定されるものではないが、例えば、0.5〜10mm×0.5〜10mm×0.05〜1mm(幅×長さ×厚さ)とすることができる。
チャネル3は、基板2の絶縁性の表面上に配置される。チャネル3は、sp結合による六角形の結晶格子を形成する炭素原子の集合体である。図1の例において、チャネル3は、炭素原子1個分の厚さを有する単層のグラフェンの膜である。グラフェン膜は、複数層で設けられてもよい。チャネル3の大きさは、限定されるものではないが、例えば、0.1〜500μm×0.1〜500μm(幅×長さ)とすることができる。実用的には10〜100μm×10〜100μmであれば製造が容易である。
チャネル3の基板2と反対側の面には、捕捉体4が固定されている。捕捉体4は、標的物質と特異的に結合する物質である。捕捉体4は、例えば、抗体又はパラトープ部を含む抗原結合フラグメント(例えば、Fab、F(ab’)、F(ab’)、Fv、scFvなど)、或いは、核酸(DNA、RNAなど)、人工核酸(LNAなど)、アプタマー、ペプチド鎖(ペプチドアプタマーなど)、レクチン、PIポリアミド、受容体タンパク質もしくはその断片、若しくは特定の物質に結合する化合物(フェニルボロン酸など)、特定の物質を包接する化合物(シクロデキストリンなど)などである。
詳しくは後述するが、捕捉体4は、後述する競合物質に結合された蛍光色素と、チャネル3との間のFoerster距離よりも短いものであることが好ましい。例えば、捕捉体4は、アプタマー、ペプチド鎖、又は抗原結合フラグメントなどの比較的短い分子であることが好ましい。
捕捉体4の種類は、標的物質の種類に依存して選択される。例えば、標的物質が核酸である場合、捕捉体4は、当該核酸の塩基配列と相補的な配列を含む一本鎖核酸、二本鎖DNAの塩基対配列を認識して副溝に結合するPIポリアミドなどであることが好ましい。標的物質がタンパク質や化合物である場合、捕捉体4は、アプタマー、ペプチド鎖、抗原結合フラグメント、又は、受容体タンパク質もしくはその断片などであることが好ましい。標的物質が糖鎖である場合、捕捉体4は、レクチン又は、フェニルボロン酸などであることが好ましい。標的物質が抗原である場合、捕捉体4は、当該抗原に対応する抗体又は抗原結合フラグメントであってもよい。標的物質がリガンド分子である場合、捕捉体4は当該リガンド分子に結合する受容体タンパク質又はその断片であってもよい。標的物質がウイルスや細胞外小胞である場合、捕捉体4は、当該ウイルスや細胞外小胞の表面マーカに結合する抗体又はその断片であってもよい。標的物質が疎水性の低分子化合物である場合、捕捉体4は、当該標的物質を包接可能な内径を持ったαシクロデキストリン、βシクロデキストリン、γシクロデキストリン、あるいはそれらの誘導体のいずれかであってもよい。
捕捉体4のチャネル3への固定方法について図2〜4を用いて説明する。図2及び図4は、グラフェン膜であるチャネル3を拡大した模式図である。白い丸は、炭素原子を示している。炭素原子間の線は、炭素原子同士の共役二重結合を示している。
図2に示すように、グラフェン膜(チャネル3)は、開口11を有してもよい。開口11の直径は、例えば、10nm以下であり、好ましくは3nm以下である。このような小さな開口11は、高密度に多数設けることができる。このようなグラフェン膜を用いる場合、捕捉体4は、例えば、開口11の縁に存在する炭素原子12aに化学結合を介して固定することができる。固定は、例えば、炭素原子12aに結合している水素原子を官能基に置換して、当該官能基と捕捉体4の末端を必要に応じて化学修飾し、当該官能基と捕捉体4とを互いに結合させることによって行うことができる。化学修飾は、例えば、限定されるものではないが、ヒドロキシ基、カルボキシ基、メルカプト基、アミノ基、アルデヒド基、マレイミド基、アルキン、アジド基、ヒスチジン基、Ni−NTA及びビオチンなどの置換基による置換である。
例えば、図3に示すように、末端の水素原子をアンモニアプラズマ処理などによりNH基で置換し、当該NH基をグルタルアルデヒドでイミン化し、末端をNH基修飾した捕捉体4と結合させてもよい。
捕捉体4は、チャネル3の、試料収容部10の底部に露出した何れかの端に存在する炭素原子に、上記の方法により固定してもよい。
或いは、図4に示すように、捕捉体4をグラフェン膜(チャネル3)の中程の炭素原子12bに固定してもよい。その場合、炭素原子12bを酸化することにより修飾基を生成し、当該修飾基に捕捉体4を結合させてもよい。修飾基は、例えば、ヒドロキシ基又はカルボキシル基などである。或いは、グラフェンシートの製造工程において形成された結晶欠陥箇所に捕捉体4を結合させてもよい。例えば、結晶欠陥を持ったグラフェンに対して、アンモニアプラズマ処理などを行うと、sp結合に対して結合エネルギーが小さい結晶欠陥箇所が−NH修飾されるため、当該−NH基を起点に捕捉体4を結合させることが出来る。或いは、捕捉体4の末端を例えばピレニル基で修飾し、ピレニル基のπ電子とグラフェンのπ電子との相互作用によりグラフェン表面に吸着させてもよい。
捕捉体4は、チャネル3に複数固定されることが好ましく、その数はできるだけ多い方が好ましい。捕捉体4は、例えば、チャネル3表面全体に均一に分散して固定されることが好ましい。捕捉体4の高密度で均一な固定は、前記いずれの方法でも実現可能であるが、開口11を用いる方法であれば、半導体リソグラフィ技術を用いて密度と分布を制御することができる。また、開口11の端部の水素原子を置換する方法と、グラフェンシートの結晶欠陥を選択的に化学修飾する方法と、ピレニル基を用いて吸着させる方法の場合、グラフェンの共役二重結合を壊さずに捕捉体4を固定できるため、グラフェンの電気特性、特にキャリア移動度を損なわないという利点がある。
ソース電極6は、チャネル3の一方の端5に接続するように基板2上に配置されている。ドレイン電極8は、チャネル3の他方の端7に接続するように基板2上に配置されている。ソース電極及びドレイン電極の材料は、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、クロム(Cr)又はアルミニウム(Al)等の金属、或いは、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウムスズ(ITO),IGZO、導電性高分子などの導電性物質である。
壁部9の絶縁材料として、例えば、アクリル樹脂、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリジメチルシロキサン、フッ素樹脂などの高分子物質、又は、酸化シリコン、窒化ケイ素、酸化アルミニウムなどの無機絶縁膜、あるいは有機分子の自己組織化膜などを用いることができる。試料収容部10は、分析されるべき試料を収容する容器であり、液密に構成される。
チャネル3の捕捉体4が固定される表面をブロッキング剤で被覆してもよい。ブロッキング剤は、親水性の部分を有し、当該親水性部分がチャネル3と反対側に向けて配置されていることが好ましい。ブロッキング剤は、例えば、リン脂質又はポリエチレングリコール(PEG)である。例えば、チャネル3表面をPEGで覆う方法として、PEGの末端にピレニル基のような多環芳香族を結合させ、多環芳香族のπ結合とグラフェンのπ結合の相互作用で両者を結合させる方法を用いてもよい。
このようなブロッキング剤を備えることにより、疎水性の夾雑物が疎水性を示すチャネル3の表面に結合することを防止することができる。或いは、ブロッキング剤は、後述する競合物質がチャネル3に非特異的に結合することを防止する物質であってもよい。
更なる実施形態において、ソース電極及びドレイン電極は、それぞれ2つ配置されてもよい。そのような例を図5に示す。当該ケミカルセンサ1は、第1のソース電極6a及び第2のソース電極6b、並びに第1のドレイン電極8a及び第2のドレイン電極8bを備える。各電極から出る端子15は、チャネル3と接続している。このケミカルセンサ1によれば、4端子法を用いて検出することができるため、更に精度よくソース電極及びドレイン電極間の電流(以下、「ソース・ドレイン間電流」と称する)を検出することができる。すなわち、第2のソース電極6bと第2のドレイン電極8bの間に大電流を印加した上で、第1のソース電極6aと第1のドレイン電極8aとの間の電位差を計測することができる。
更なる実施形態において、チャネル3は、カーボンナノチューブであってもよい。そのような例を図6に示す。図6においては、壁部9を省略している。カーボンナノチューブのチャネル3’は、円筒形状を有する。チャネル3’は、単層又は複数層であってもよい。その長手方向の一方の端5’はソース電極6に、他方の端7’はドレイン電極8に接続している。
カーボンナノチューブを用いる場合、例えば、チャネル3’の外側の表面に捕捉体4が固定される。捕捉体4の固定は、例えば、図3〜4で説明した方法を用いることができる。チャネル3’の外側表面に上記のようなブロッキング剤を被覆してもよい。
ケミカルセンサ1の製造方法について説明する。
基板2の形成は、半導体プロセスなどの公知の何れかの方法により製造することができる。
チャネル3は、例えば、グラファイトからの転写法、CVD(chemical vapor deposition)法、ボトムアップ成長法などを用いて、基板2上へ直接形成することも出来るし、あるいは、一旦別の基板2に同様の工法で形成した後、基板2へ転写して形成することもできる。開口11を備えるチャネル3は、フォトリソグラフィによって形成することができる。例えば、フォトレジストによって、チャネル3の外周と開口11とを選択的に露出させた後、酸素プラズマによって当該露出部分のグラフェンを除去する。その後、必要に応じて、水素プラズマ処理を行うことによって、パターニングされたグラフェン端部が、図2に示すように、六角形の結晶格子がジグザグに露出するような形状にトリミングされる。このトリミング処理は自己整合的になされるため、前記フォトレジストおよび酸素プラズマによる開口11のパターニングの形状は、例えば丸であっても構わない。ここで、基板2上に形成されたチャネル3の結晶方位の角度は、制御することが困難であり、また、開口11の六角形の方向は、開口11の内側端部をジグザグ型に制御した場合、チャネル3の結晶方位に依存して決まってしまう。従って、基板2上での開口11の六角形の方向は制御することが困難であるが、前記水素プラズマ処理による自己整合的なトリミングを行えば、結晶方位的に適正な方向に六角形の開口が形成されることになる。すなわち、製造者はチャネル3の結晶方位を予め知ることがなくても、自己整合的に最適な方位を向いた開口11を形成することができる。なお、開口11の大きさが10nm以下の場合、フォトレジストによる微細加工が困難であるが、ブロックコポリマを用いた自己組織化リソグラフィを用いれば形成することができる。
ソース電極6、ドレイン電極8及び壁部9は、半導体プロセスなどの公知の何れかの方法により製造することができる。
チャネル3への捕捉体4の固定は、捕捉体4以外の部材を所望の構成に形成した後に、上記図2〜4に記載の何れかの方法で行うことができる。
ケミカルセンサ1の使用時の様子を図7に示す。使用時、チャネル3上、即ち試料収容部10内には、試薬溶液14あるいは試料及び試薬の混合物溶液14で満たされている。この例においては、ソース電極6及びドレイン電極8は直流電源30と接続され、電源30からソース・ドレイン電圧(Vsd)を印加すると、ソース電極6からチャネル3を介してドレイン電極8にソース・ドレイン電流(Isd)が流れるように構成される。各部材をつなぐ回路が基板2内に形成されてもよい。
更なる実施形態において、1つの試料収容部10の中に複数のケミカルセンサ素子を搭載させることもできる。或いは、1つの基板2上に、それぞれが試料収容部10を備える複数のケミカルセンサ素子を搭載することもできる。
(2)試薬
試薬は、蛍光色素で標識された競合物質を含む。
競合物質は、捕捉体4と結合能を有する。それによって、標的物質と競合物質とは、捕捉体4への結合に対して競合する。競合物質は、例えば、捕捉体4の、標的物質が結合する部位に結合する物質である。例えば、競合物質は、標的物質の捕捉体4への結合部位と同じ立体構造を有する。競合物質は、そのアフィニティーが標的物質よりもわずかに弱いものを選択し、標的物質が捕捉体4に対して優位に結合するようにしてもよい。その場合、標的物質が微量あるいは希薄であっても捕捉体4と確実に結合できるため、微量・低濃度の標的物質に対する検出感度が高くなる。
標的物質、競合物質及び捕捉体の組み合わせの例は、例えば、分子量1000Da以下の低分子化合物である標的物質と当該標的物質に対する抗体の抗原結合断片である捕捉体と当該抗原結合断片のパラトープ部に結合する競合物質、或いは電荷を持たない中性の標的物質と当該標的物質に結合能を有するアプタマーである捕捉体と当該アプタマーに結合能を有する競合物質である。
試薬に含まれる競合物質の量は、標的物質が含まれ得る分析されるべき試料の量、種類又は状態にしたがって選択される。例えば、試薬中における競合物質の量は、捕捉体が競合物質と結合できる量に比べて、十分に大きいことが好ましい。また、捕捉体と競合物質の解離定数に対して、十分に高濃度であることが好ましい。
競合物質は、蛍光色素で標識されている。標識とは、蛍光色素が競合物質に結合していることをいう。蛍光色素は、例えば、グラフェンとの間でFRET(Fluorescence resonance energy transfer:蛍光共鳴エネルギー移動)を起こす物質である。蛍光色素は、例えば、fluorescein、rhodamine、Cy dye、Alexa(登録商標) Fluorなどを用いることができる。
蛍光色素は、詳しくは後述するが、時間分解FRET(TR−FRET)に用いることができる蛍光色素であることが好ましい。そのような蛍光色素は、例えば、蛍光寿命が10nsec以上である物質であることが好ましい。そのような蛍光色素は、例えば、ランタノイド錯体、例えば、ユーロピウム錯体(Eu(β―NTA))、或いは量子ドットなどである。
蛍光色素は、競合物質の捕捉体4への結合に影響を与えない部位に結合していることが好ましい。蛍光色素を競合物質に結合させる方法は、公知の何れかの方法によって行うことができる。例えば、FITC(Fluorescein isothiocyanate)は、下記に示すように、蛍光色素fluoresceinの末端にイソチオシアネート基(−N=C=S)が修飾されており、1級アミンと反応して、チオ尿素結合を形成する。
Figure 0006906489
従って、競合物質のエピトープ以外の箇所に1級アミンがあれば、あるいは競合物質のエピトープ以外の箇所を1級アミンで修飾すれば、同部で蛍光色素が結合できる。
試薬は、溶媒に含ませた状態であってもよい。溶媒は、例えば、蒸留水、滅菌水、生理食塩水、緩衝液、又はイオン液体などである。試薬は、例えば、プラスチック、ガラスなどからなる容器に収容されていてもよい。
ケミカルセンサキットは、チャネル3に蛍光色素の励起光を照射するための光源を備えてもよい。光源は、例えば、LED光源又はレーザ光源などである。光源は、例えば、ケミカルセンサと一体として構成されてもよい。その場合、光源はそれから発せられる励起光をチャネル3に照射できるように配置される。
2.分析方法
以下に、図8を用いて実施形態のケミカルセンサを用いた分析方法について説明する。図8は、第1の実施形態の分析方法の一例を示す概略フローである。
分析方法は、試料中の標的物質を検出する方法であって、以下の工程を含む。
(S1)第1の実施形態のケミカルセンサ、蛍光色素で標識された競合物質及び蛍光色素の励起光をチャネルに照射するための光源を用意する工程、
(S2)競合物質を含む溶液を試料収容部に滴下し、競合物質をチャネルに接触させる工程、
(S3)前記ソース電極とドレイン電極との間に直流電圧を印加して、ソース・ドレイン間電流を計測する工程、
(S4)光源から蛍光色素の励起光をチャネルに照射し、蛍光色素を励起し、捕捉体に結合した競合物質を標識する蛍光色素の励起エネルギーをチャネルに移動する工程、
(S5)ソース・ドレイン電極間の電流を計測する工程、
(S6)標的物質を含む溶液を試料収容部に滴下するか、あるいは標的物質を含むガスで試料収容部を暴露し、試料をチャネルに接触させる工程、
(S7)前記ソース電極とドレイン電極との間に直流電圧を印加して、ソース・ドレイン間電流を計測する工程、
(S8)光源から蛍光色素の励起光をチャネルに照射し、蛍光色素を励起し、捕捉体に結合した競合物質を標識する蛍光色素の励起エネルギーをチャネルに移動する工程、
(S9)ソース・ドレイン電極間電流を計測する工程、及び
(S10)前記計測の結果に基づき、試料中の標的物質の有無又は量を決定する工程。
以下、上記各工程を実行することにより標的物質が検出又は定量される原理について説明する。
まず、工程(S2)において競合物質をチャネルに接触させた時の各構成成分の挙動を、図9を用いて説明する。図9(a)は、チャネル3の拡大図である。競合物質は、捕捉体4に比べて十分に多い量としているため、ほぼ全ての捕捉体4に競合物質17が結合する。図中では、捕捉体4に結合した競合物質の符号を17bと表記し、競合物質17bに標識されている蛍光色素の符号を18bと表記する。また、捕捉体4に結合していない余剰の競合物質の符号を17aと表記し、競合物質17aに標識されている蛍光色素の符号を18aと表記する。
次に、工程(S3)において、ソース・ドレイン電極間に電圧を印加し、後述するFRETが生じていない状態での、ソース・ドレイン間電流を計測する。
次に、工程(S4)において、光源から蛍光色素18の励起光をチャネルに照射する。図9(b)は、励起光を照射した状態における競合物質17aおよび17b、捕捉体4及びチャネル3を示す模式図である。励起光の照射により、競合物質17a、17bを標識する蛍光色素18a、18bが励起される。捕捉体4と結合していない競合物質17aを標識する蛍光色素18aはチャネル3から離れているため、チャネル3との間でFRETは起こらず、蛍光19が生じる。一方、捕捉体4と結合している競合物質17bにおいては、それを標識する蛍光色素18bがチャネル3と近づいているため、蛍光色素18bの励起エネルギーがチャネル3へと移動するエネルギー移動(FRET、図中の矢印)が起こる。FRETが起こると、励起した電子が蛍光色素18bからチャネル3に注入され、蛍光色素18bの蛍光が消光又は減光する。FRETによりチャネル3に電子が注入されると、ソース・ドレイン間電流が変化する。
励起光の照射は、例えば、少なくとも数psec行われればよい。
工程(S5)において、FRETが発生した際のソース・ドレイン間電流を計測する。
図10(a)は、ゲート電圧(V)に対するソース・ドレイン間電流(Isd)の関係の一例を示すグラフである。このグラフは、例えば、V変化させながら、Isdを計測することにより得ることができる。実線は、励起光照射前のFRETが起こっていない状態(工程(S3)の状態)の関係を示している。破線は、励起光の照射により、FRETが起こった後(工程(S5)の状態)の関係を示している。
グラフェンは、両極特性を有しているため、電子がキャリアである状態と空孔がキャリアである状態がある。したがって、VとIsdとの関係は、図10(a)に示すようにV字の形を示す。即ち、Isdが最も低くなる電荷中性点を中心として、Vをマイナスに印加した場合はホール(正孔)がキャリアとなってIsdが立ち上がり、Vをプラスに印加した場合は電子がキャリアとなってIsdは立ち上がる。
また、グラフェンは周囲の物質から電荷が注入されることにより電荷中性点が0Vからシフトしていることが多い。例えばグラフェン下地(即ち、基板2の絶縁体)として酸化シリコンを用いた場合、図11に示すように酸化シリコンの末端にあるSi−O−Hの先端にある水素原子が正電荷にチャージしているため、ここから正電荷がグラフェンへ注入されて電荷中性点がプラス側にシフトする。
上記のようなFRETが起こることによって、励起した電子が蛍光色素18bからチャネル3注入されると、電荷中性点が見掛け上、図10(a)の破線で示すようにV軸のマイナス側にシフトする。あるいは、図10(b)の破線で示すようにグラフの傾きが緩くなる。ゲート電極を用いない図1のケミカルセンサの場合、ソース・ドレイン間電流は、例えば、ゲート電圧=0Vとして検出される。ゲート電圧=0Vの場合、上記シフトにより、ソース・ドレイン間電流は減少する。従って、工程(S3)で計測したソース・ドレイン間電流と、工程(S5)で計測したソース・ドレイン間電流の差を求めることにより、全ての捕捉体4の位置でFRETが発生した場合のエネルギー移動に相当する特性変化を知ることが出来る。
次に工程(S6)において、標的物質を含む試料をチャネルに接触させる。接触は、試料が液体の場合、例えば、試料を試料収容部に滴下することにより行うことができる。或いは標的物質がガス成分であり、試料が気体である場合、例えば、試料収容部に予め溶液を収容しておき、気体の試料で試料収容部を暴露し、試料収容部上の溶液への溶解を介して、試料をチャネルに接触させてもよい。図12は、標的物質16をチャネル3に接触させて、捕捉体4との結合を競合物質17と競合させた状態を示す拡大模式図である。標的物質16が少ない、あるいは低濃度の場合、図12(a)に示すようにごく一部の捕捉体4において競合物質17bとの結合が置き換わり、標的物質16が捕捉体4と結合する。一方、標的物質16が多い、あるいは高濃度の場合、図12(b)に示すように、多くの捕捉体4において競合物質17bとの結合が置き換わり、標的物質16が捕捉体4と結合する。すなわち、捕捉体4に結合する標的物質16及び競合物質17の数の割合は、試料収容部に収容される混合物内における標的物質16及び競合物質17の存在量の割合に比例する。ここで、競合物質17の量は工程(S2)で供給してから一定であるため、捕捉体4に結合する標的物質16及び競合物質17の数の割合は、競合物質17の数、あるいは濃度に応じて決定される。
次に工程(S7)において、ソース・ドレイン電極間に電圧を印加し、FRETが生じていない状態での、ソース・ドレイン間電流を計測する。FRETが生じていない状態でのソース・ドレイン間電流は、工程(S3)で一度測定しているが、工程(S3)の際とは、チャネル3に接触している試料収容部の溶液の組成が変化しているため、その影響による変化を補正するために計測する。
次に工程(S8)において、光源から蛍光色素18の励起光をチャネルに照射する。図13は、光源20から励起光を照射した状態における標的物質16、競合物質17、捕捉体4及びチャネル3を示す模式図である。励起光の照射により、競合物質17a、17bをそれぞれ標識する蛍光色素18a、18bが励起され、捕捉体4と結合している競合物質17bにおいては、それを標識する蛍光色素18bがチャネル3との間でFRETによるエネルギー移動を起こす。一方、標的物質16は蛍光標識されていないため、捕捉体4と結合している相手が標的物質16に置き換わった部分においては、FRETは発生しない。標的物質16が少ないまたは希薄な場合(図13(a))に比べて、標的物質16が多いまたは高濃度の場合(図13(b))の方が、FRETによるエネルギー移動量が小さくなる。
上記のように標的物質16と競合物質17との捕捉体4に対する競合により、工程(S7)における計測に対してFRETの大きさが変化した状態を、工程(S9)において、ソース・ドレイン間電流として計測する。図14は、この際のゲート電圧(V)に対するソース・ドレイン間電流(Isd)の関係の一例を示すグラフである。標的物質16が少ない、あるいは希薄な場合には、図14(a)に示すように、工程(S7)で計測したFRETが生じていないV−Isd特性に対して、工程(S9)で計測したFRETが生じたV−Isd特性は大きくマイナス側にシフトする。一方、標的物質16が多い、あるいは高濃度の場合、図14(b)に示すようにFRET有無でのV−Isd特性のシフトは小さくなる。
あるいは、工程(S5)において、V−Isd特性の変化が、図10(b)に示すように傾きも変化するような挙動を示した場合には、図15に示すように、標的物質16の量に応じて、傾きの変化量が変化する。すわなち、標的物質16が少ない、あるいは希薄な場合、図15(a)に示すようにV−Isd特性の傾きの変化が大きく、対して、標的物質16が多い、あるいは高濃度の場合、図15(b)に示すように傾きの変化は小さくなる。
ゲート電極を用いない図1のケミカルセンサの場合、これらの挙動は、ゲート電圧=0Vにおけるソース・ドレイン間電流の変化として算出できる。
工程(S10)において、上記計測の結果に基づき、標的物質の有無又は量を決定する。
sdの変化量と、試料中の標的物質の存在量との関係の一例を図16に示す。Isdの変化量は、例えば、標的物質の量が多い程小さくなる。ここで、標的物質が存在しなかった場合のIsdの変化量は、工程(S3)と工程(S5)で計測したIsdの差分(変化量)から決定することができる。工程(S7)と工程(S9)で計測したIsdの差分(変化量)が、前記工程(S3)と工程(S5)の差分と一致した場合、あるいは有意な違いが認められなかった場合には、「標的物質が試料中に存在しない、あるいは検出限界以下しか存在しない」と決定できる。一方、工程(S7)と(S9)で計測したIsdの差分が、工程(S3)と工程(S5)で計測したIsdの差分よりも有意に小さかった場合には、「標的物質が試料中に存在する」と決定することができる。
或いは、Isdの変化量から標的物質の量を決定してもよい。例えば、標的物質の量の決定は、検量線を用いて行われてもよい。そのような決定は次の工程によって行うことができる:標的物質の存在量が既知であり、その存在量が異なる複数の標準試料を用いて、標的物質の存在量に対するIsdの変化量の検量線を作成し、この検量線と、分析するべき試料を用いた測定結果とを比較する。それによって、試料中の標的物質の存在量を算出することができる。
以上に説明した分析方法によれば、標的物質16の存在量に応じた数の競合物質17が捕捉体4に結合し、捕捉体4に結合した競合物質17において蛍光色素18がFRETを起こすことで、Isdが変化する。それによって、正確に標的物質16の検出又は定量することができる。
したがって、例えば、試料に未知の夾雑物が存在し、それがチャネル3の表面に結合又は吸着している場合であっても、夾雑物が蛍光物質でない限りFRETは発生しないため、FRET有無に依存するIsdの変化量には影響を与えず、検出結果が偽陰性又は偽陽性となることが防止される。そのため、正確に標的物質の検出及び定量することができる。また、仮に夾雑物が自家蛍光を持っていたとしても、試料を事前に蛍光観察することによってその存在を検出し、工程(S10)を行う際に考慮に入れることができる。
また、試料中に未知の夾雑物が混入している可能性がある場合、従来技術では夾雑物の影響を回避するためのブロッキング剤の選択は極めて困難で、かつ未知であるがゆえに事前の検証が不可能なため、原理的に信頼性を欠くものであった。対して、実施形態のケミカルセンサ及び分析方法によれば、捕捉体4に結合していない競合物質17aと蛍光色素18aがチャネル3へ非特異吸着することだけを回避すればよいので、ブロッキング剤の選定は容易で、かつ事前に効果を検証することが可能である。
更に、実施形態のケミカルセンサ及び分析方法は、励起光照射した場合(工程(S4))としない場合(工程(S6))でのIsdの変化量を指標としている。そのため、分析中に何れかの理由によって、試料の組成やpHが変動してしまった場合でも、その時点での励起光なしのIsdを基準として計測するため、その影響を排除することができる。したがって、標的物質を正確に検出又は定量することができる。
更に、実施形態のケミカルセンサ及び分析方法は、蛍光標識した競合物質を用いたFRETによるIsdを指標とするため、従来の方法では検出が困難であった無電荷の物質又は低分子化合物も検出することができる。
加えて、実施形態のケミカルセンサ及び分析方法は、Isdを指標とするため、ケミカルセンサを含む分析装置を小型化することができる。加えて、顕微鏡による観察を行う必要がなく電気的に分析をすることができるので、分析の場所を問わずに標的物質を検出することができる。例えば、顕微鏡を備えない施設、家庭内、外出先などでの検出が可能である。
上記工程(S3)〜工程(S5)は必要に応じて行われればよく、行わなくてもよい。例えば、上述したように、工程(S5)の測定結果と工程(S9)の測定結果とを比較することによって、特に標的物質が存在しない場合に、より正確に分析を行うことができる。また、分析を同じ条件で複数回繰り返して行う場合、2回目以降これらの工程を省略し、前の分析における(S8)で計測された結果を使用することもできる。或いは、予め得られた知見から工程(S8)の結果を推定してそれを用いて工程(S10)を行ってもよい。
上記分析方法に用いる捕捉体4の大きさは、以下のことを考慮して選択することが好ましい。蛍光色素18bのエネルギーがFRETで移動する割合(FRET効率)は、Foersterの式として知られる下式(I)で表わされ、蛍光色素18b及びチャネル3の距離の6乗に略反比例する:
E=1/(1+(r/R)・・・・・・・・(I)
E:FRET効率 r:ドナーとアクセプタ間の距離
:Foerster距離(E=50%の時のドナーとアクセプタ間距離)。
したがって、チャネル3の捕捉体4が固定されている部分から捕捉体4の標的物質16又は競合物質17bが結合する部位までの距離Lは、Foerster距離よりも短いことが好ましい。故に、捕捉体4の大きさもそれを考慮して選択されることが好ましい。Foerster距離は例えば、3〜10nmであり、蛍光タンパク質の場合には5nm程度である。
上記分析方法に用いられる試料は、その中の標的物質を含み得る分析対象である。試料は、例えば、液体である。あるいは気体である。試料は、例えば、生物学的材料、環境由来の材料、食物若しくは飲料由来の材料、工業由来の材料、人工的に作製された調整物又はこれらの何れかの組み合わせ、あるいはこれらからは発生する匂い成分又は他の揮発性成分などであり得る。
或いは、試料は、上記材料を調製した調製物であってもよい。調整物は、例えば、上記の何れかの材料を本実施形態に従う試料として使用するために、例えば、細切、ホモジナイズ、溶解、懸濁、希釈、濃縮、精製、気化及び抽出などの公知の何れかの前処理を行ったものであってもよい。
生物学的試料は、例えば、動物、植物又は微生物由来ものである。生物学的試料は、例えば、血液、血清、血漿、血球、尿、便、汗、唾液、口腔内粘膜、喀痰、リンパ液、髄液、涙液、母乳、羊水、精液、組織、バイオプシー、培養細胞、植物細胞、植物抽出物、呼気などの生体物質或いはそれらの混合物などである。
環境由来の材料である試料は、土壌、河川水、海水、空気或いはそれらの混合物などである。
標的物質とは、例えば、試料の由来となる生物、材料又は環境などの、性質、状態及び/又はそれらの変化などの指標となる物質である。性質及び状態とは、例えば、試料が生物学的試料である場合、その由来となる生物の健康状態である。健康状態とは、例えば、生物における疾患の有無、特性、重症度、経過及び/又は医薬品に対する効果若しくは副作用などである。或いは、生物が感染している、又は試料に含まれるウイルス又は微生物の種類などである。
標的物質は、例えば、核酸、タンパク質、内分泌物、細胞、血球、ウイルス、微生物、有機化合物、無機化合物又は低分子化合物、例えば、匂い成分、揮発性有機化学物質などである。
上記分析方法において、工程(S2)及び工程(S6)における競合物質及び試料のチャネル3への接触は、例えば、蛍光標識した競合物質及び試料を上記の試料収容部10に収容することである。例えば、収容は、ピペット、インクジェット、ディスペンサなどによる滴下により行われてもよい。あるいは工程(S3)における試料のチャネル3への接触は、例えば試料を含むガスに試料収容部上の液体を暴露させることであってもよい。例えば、試料を含むガスを吹き付けてもよいし、試料を含むガス雰囲気中に実施形態のケミカルセンサを放置してもよい。
上記分析方法において、工程(S2)〜(S10)は、例えば、当該各工程を自動で行う装置によって行ってもよい。そのような装置は、例えば、光源を含む照明ユニットと、ケミカルセンサやソース・ドレイン電極間に直流電圧を印加する電源と、Isdの検出を行う測定ユニットと、制御部とを含む。制御部は、照明ユニット及び測定ユニットと電気的に接続され、各ユニットの挙動を制御し、測定ユニットにおける検出結果から標的物質の有無又は量を決定する。工程(S10)は、プログラムを有するコンピュータによって自動で行ってもよい。
更なる実施形態において、分析方法は、時間分解FRET(TR−FRET)を用いて行ってもよい。TR−FRETを用いることよって、通常の蛍光寿命の自家蛍光を有する夾雑物によるFRETを効率的に除去することができる。以下TR−FRETを用いる分析方法について説明する。
TR−FRETを用いる場合、蛍光色素として蛍光寿命が10nsec以上である物質を用いる。そのような蛍光色素として、例えば、ランタノイド錯体、例えば、ユーロピウム錯体、或いは量子ドットなどを用いることが好ましい。例えば、ユーロピウム錯体の蛍光寿命は500msecほどであり、量子ドットの蛍光寿命は20nsecほどである。一方、一般的な有機蛍光色素は数ns程度の蛍光寿命であり、例えば前述のFITCの蛍光寿命は4.5ns程度である。
図17に、蛍光寿命が10nsec以上である蛍光色素(以下、「蛍光寿命が長い蛍光色素」とも称する)及び通常の有機物分子の蛍光色素の強度と時間との関係を示す。励起光照射を行うと両者とも蛍光を生じるが、励起光照射を停止した後、数nsecほどで通常の蛍光色素からの蛍光は消光する。一方で蛍光寿命が長い蛍光色素は、10nsec以降も蛍光を生じることが可能である。
TR−FRETを用いる分析方法は、図18に示す次の工程を含む。
(S1)第1の実施形態のケミカルセンサ、蛍光色素で標識された競合物質及び蛍光色素の励起光をチャネルに照射するための光源を用意する工程、
(S2)競合物質を含む溶液を試料収容部に滴下し、チャネルに接触させる工程、
(S3)ソース・ドレイン電極間に直流電圧を印加して、ソース・ドレイン間の電流を計測する工程、
(S4)光源から蛍光色素の励起光をチャネルに照射し、蛍光色素を励起し、捕捉体に結合した競合物質を標識する蛍光色素の励起エネルギーをチャネルに移動する工程、
(S4−2)照射を停止する工程、
(S5)前記(S4−2)を行った所定時間経過後に、ソース・ドレイン電極間の電流を計測する工程、
(S6)標的物質を含む溶液を試料収容部に滴下するか、あるいは標的物質を含むガスで試料収容部を暴露することにより、試料をチャネルに接触させる工程、
(S7)ソース電極とドレイン電極との間に直流電圧を印加して、ソース・ドレイン間電流を計測する工程、
(S8)光源から蛍光色素の励起光をチャネルに照射し、蛍光色素を励起し、捕捉体に結合した競合物質を標識する蛍光色素の励起エネルギーをチャネルに移動する工程、
(S8−2)照射を停止する工程
(S9)前記(S8−2)を行った所定時間経過後に、ソース・ドレイン電極間の電流を計測する工程、及び
(S10)前記計測の結果に基づき、試料中の標的物質の有無又は量を決定する工程。
工程(S1)〜(S4)及び工程(S6)〜(S8)は、前記図8の実施形態における工程(S1)〜(S4)及び工程(S6)〜(S8)と同じ方法で行うことができる。
この実施形態の分析方法においては、例えば、工程(S4)及び工程(S8)における励起光の照射を行った後に、工程(S4−2)及び工程(S8−2)において励起光の照射を停止し、その後所定時間待機後に工程(S5)及び工程(S9)を行う。蛍光色素としてランタノイド錯体を用いる場合には、待機時間を例えば200〜600μsecとすることができ、また蛍光色素として量子ドットを用いた場合には、待機時間を例えば10〜20nsecとすることができる。それによって、工程(S5)及び(S9)における計測を行う時点で、夾雑物の非特異吸着があったとしても、当該夾雑物に由来する自家蛍光は消光しているため、標識である蛍光色素だけに由来したFRETによるIsdの変化を測定することができる。
励起光消光後の蛍光強度の減衰と時間の関係は、蛍光色素が決まれば一義的に決まるため、励起光消光後のソース・ドレイン電流測定までの待機時間を決めておけば、前記図8の実施形態の場合と同様に、標的物質の存在量を求めることが出来る。すなわち、捕捉体との結合に対する競合物質と標的物質との競合状態を、励起光照射前と励起光照射・消光・所定時間経過後のソース・ドレイン電流変化量から求めることが出来る。
このようなケミカルセンサキット及び分析方法によれば、更に夾雑物による影響を受けにくく、正確に標的物質を検出又は定量することができる。すなわち、夾雑物がチャネル3に非特異吸着していたとしても、夾雑物が奇跡的にランタノイド錯体や量子ドットでない限り、その影響は表れない。また、仮に上記のような蛍光物質が夾雑物として混入していたとしても、事前に試料を蛍光観察すればその混入を検出することが出来る。
更なる実施形態において、分析方法は、ゲート電極を用いて行ってもよい。そのような分析方法に用いられるケミカルセンサは、使用時、例えば、ケミカルセンサと一体又は別体のゲート電極とともにグラフェン電界効果型トランジスタ(グラフェンFET)構造を形成するように構成されてもよい。
ゲート電極を用いる分析方法に用いられるケミカルセンサ1の使用時の様子の一例を図19に示す。この例においては、ケミカルセンサ1は図1に示すものである。例えば、ゲート電極13は、図19の(a)に示すように、チャネル3上の溶液14、すなわち試薬溶液あるいは試料と試薬の混合物溶液と接触するように配置される。ゲート電極は、電源31と接続され、溶液14を介してゲート電圧Vをチャネル3に印加するように構成される。ソース電極6とドレイン電極8は電源32と接続され、当該電源からソース・ドレイン電圧(Vsd)をかけると、ソース電極6からチャネル3を介してドレイン電極8にソース・ドレイン電流Isdが流れるように構成される。ゲート電極13は、ケミカルセンサ1と一体として構成されてもよいし、別体として構成されてもよい。
或いは、ゲート電極13は、バックゲート形式で配置されてもよい。この場合、例えば、図19の(b)に示すように基板2はチャネル側の表面に設けられた絶縁膜2aと導体2bとを含む構成とすることが好ましい。絶縁膜2aの厚さは、絶縁性を損なわない範囲で出来る限り薄い方がよく、例えば数nm程度とすることが好ましい。ここでは導体2bがゲート電極13として機能する。この構造においては、ゲート電圧Vは、絶縁膜2aを介してチャネル3に印加される。例えば、これらの部材をつなぐ回路が基板2内に形成されてもよい。
ケミカルセンサキットは、ケミカルセンサ1と一体又は別体のゲート電極13を含んでもよい。
ゲート電極を用いる分析方法においては、工程(S3)(S5)(S7)(S9)において、一定のゲート電圧を印加してもよいし、0Vに固定してもよいし、あるいは複数のゲート電圧を印加して測定しても構わない。
ゲート電圧(V)を印加することにより、V−Isd特性が直線性の高い部分を使って、Isdの計測を行うことが可能となる。あるいは、複数のゲート電圧を印加してIsdを測定することにより、V−Isd特性の電圧シフト量や傾きの情報を得ることができるため、計測結果の解釈および演算処理をより的確に行うことができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態に従うケミカルセンサキットにおいては、第1の実施形態のケミカルセンサキットの捕捉体の代わりに標識されていない競合物質がチャネルに固定されており、試薬は、競合物質の代わりに蛍光色素で標識された捕捉体を含む。この例において、捕捉体及び競合物質は、配置が異なること以外は、第1の実施形態と同様のものを用いることができる。また、それ以外の構成は、第1の実施形態に従うケミカルセンサと同様であってよい。
第2の実施形態に従う分析方法を図20に示す。基本的な流れは、図8に示す第一の実施形態の場合と同様であるが、競合物質と捕捉体とが入れ替わっている。
第2の実施形態のケミカルセンサキットを用いた分析方法における、蛍光標識した捕捉体と試料と競合物質との挙動を示す、図9、11、12に対応する図を、図21〜23に示す。図21は、蛍光標識した捕捉体をチャネル3に接触させた際の、チャネル3の拡大図である。図21(a)に示すように、蛍光色素18で標識された捕捉体4が、チャネル3に固定された競合物質17のほぼ全てに結合している。図21(b)に示すように、ここに蛍光色素18の励起光を照射すると、チャネル3に固定された競合物質17に結合した捕捉体4の蛍光色素18から蛍光19が生じ、チャネル3にFRETによるエネルギー移動が発生する。
図22に、工程(S16)においてチャネル上に標的物質16を含む試料が添加された状態を示す。標的物質16が少ない、あるいは希薄な場合、図22(a)に示すように競合物質17に結合した捕捉体4のごく一部を、標的物質16が競合的に奪い取って結合する。一方、標的物質16が多い、あるいは高濃度の場合、図22(b)に示すように、競合物質17から捕捉体4を奪い取る割合が増加する。競合物質17から捕捉体4を奪い取る割合は、図23に示すように捕捉体4に結合した蛍光色素18の励起光を照射することにより、試料中の標的物質16の存在量の差をチャネル3へのFRET(図中矢印)によるエネルギー移動量の差として計測できる。
sdの検出及び標的物質の有無又は量の決定は、第1の実施形態と同じ方法で行うことができる。
以上の構成から、第2の実施形態に従うケミカルセンサキット及び分析方法によれば、試料中に含まれる夾雑物及び試料の組成やpHの変動による影響を受けにくく、正確に標的物質を検出又は定量することができる。
第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、蛍光色素18を蛍光寿命の10nsec以上の蛍光色素とすることによって、TR−FRETを用いることができる。その場合、分析方法は、図18に示す第1の実施形態の場合と同様であるが、競合物質と捕捉体とが入れ替わっている(図24)。その場合、夾雑物由来のエネルギー移動が検出されることを防止することができ、ブロッキング剤の選定が容易になり、更に正確に標的物質を検出又は定量することができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態のケミカルセンサキットにおいては、第1の実施形態の競合物質の代わりに第2の捕捉体を用いる。即ち、第3の実施形態のケミカルセンサキットは、チャネルに第1の捕捉体が固定されており、試薬には、蛍光色素で標識された、標的物質と特異的に結合する第2の捕捉体が含まれる。それ以外の構成は、第1の実施形態に従うケミカルセンサと同様であってよい。
第2の捕捉体は、標的物質の、第1の捕捉体が結合する部位と異なる部位と結合する。第1の捕捉体及び第2の捕捉体は、上記の何れかの捕捉体を用いることができる。例えば、第1の捕捉体が一次抗体、第2の捕捉体が二次抗体であってもよい。
第3の実施形態に従う分析方法を、図25に示す。第3の実施形態においては、第1及び第2の実施形態と異なり、標的物質が存在しなければFRETが発生しないため、試料を提供する前に試薬だけでFRETの計測をする必要はない。従って、工程としては以下のようになる。
まず工程(S21)において、ケミカルセンサと試薬と光源を用意する。
次に工程(S26)において、試薬と試料をともに試料収容部に提供し、チャネルに接触させる。ここで試薬と試料のいずれもが溶液の場合には、順次滴下あるいは混合して滴下することが出来る。また試料がガス形態の場合には、試薬溶液を滴下した試料収容部に、標的ガスを含むガスを暴露させることができる。
次に工程(S27)において、ソース・ドレイン電極間に電圧を印加して、ソース・ドレイン間電流を計測する。
次に工程(S28)において、試薬の第二の捕捉体に結合した蛍光色素の励起光を照射する。この際、試料中に標的物質が存在すると、チャネル3に固定された第一の捕捉体に対して、標的物質を介して、第二の捕捉体がサンドイッチ状に結合するため、第二の捕捉体に標識された蛍光色素からチャネル3へのFRETが発生する。
次に工程(S29)において、FRETが発生した状態におけるソース・ドレイン電流を計測する。
次に工程(S30)において、試料中における標的物質の有無または濃度を決定する。
第3の実施形態の分析方法において、試料及び蛍光標識した第2の捕捉体をチャネル3に接触させた時の各構成成分の挙動を図26を用いて説明する。図23の(a)、(b)は、チャネル3の拡大図である。試料及び蛍光標識した第2の捕捉体をチャネル3に接触させることにより、チャネル3に固定された第1の捕捉体4に試料に含まれる標的物質16が結合し、標的物質16に第2の捕捉体21が結合する。
標的物質16の存在量が少ない場合(図26の(a))、それに応じて標的物質16に結合する第2の捕捉体の量も少なくなるため、FRET(図中の矢印)を起こす蛍光色素18が少ない。逆の場合(図26の(b))は、FRETを起こす蛍光色素18が多くなる。したがって、標的物質16が多い程、Isdの変化が大きくなる。
図27に、標的物質の存在量とFRETによるソース・ドレイン電流(Isd)の変化量の関係を示す。FRETによるIsdの変化量は、工程S27で計測したIsdと工程S29で計測したIsdの差分により求めることが出来る。工程S27とS29のIsdが同じ、あるいは有意な差が認められない場合には、「標的物質が試料に存在しない、あるいは検出限界以下しか存在しない」と決定することができる。また、工程S27とS29のIsdが有意に異なっていた場合には、「標的物質が試料に存在する」と決定できる。
或いは、Isdの変化量から標的物質の量を決定してもよい。例えば、標的物質の量の決定は、検量線を作成して行ってもよい。
以上の構成から、第3の実施形態に従うケミカルセンサキット及び分析方法によれば、試料中に含まれる夾雑物及び試料の組成やpHの変動による影響を受けにくく、ブロッキング剤の選定が容易で、正確に標的物質の検出又は定量することができる。
また、第3の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、蛍光色素18を蛍光寿命の10nsec以上の蛍光色素とすることによって、TR−FRETを用いることができる。その場合の分析方法を、図28に示す。工程(S28)の後、工程(S29)の前に励起光の照射を停止する工程(S28−2)を含む。その場合、夾雑物由来のエネルギー移動が検出されることを防止することができ、更に正確に標的物質を検出又は定量することができる。
1…ケミカルセンサ、2…基板、3…チャネル、4…捕捉体、5…端、
6…ソース電極、7…端、8…ドレイン電極
16…標的物質、17…競合物質、18…蛍光色素、19…蛍光、
21…第2の捕捉体

Claims (23)

  1. 基板と、前記基板の表面に配置された、六角形の結晶格子を形成する炭素原子を含むチャネルと、前記チャネルの一方の端に接続するソース電極と、前記チャネルの他方の端に接続するドレイン電極とを有し、前記チャネルに第1の物質が固定されているケミカルセンサと、
    蛍光色素で標識された第2の物質を含む試薬と
    を含み、
    前記第1の物質及び前記第2の物質は、いずれか一方が試料中の標的物質と特異的に結合する捕捉体であり、他方が前記捕捉体と結合能を有し、前記捕捉体への結合において前記標的物質と競合する競合物質である
    ケミカルセンサキット。
  2. 基板と、前記基板の表面に配置された、六角形の結晶格子を形成する炭素原子を含むチャネルと、前記チャネルの一方の端に接続するソース電極と、前記チャネルの他方の端に接続するドレイン電極とを有し、前記チャネルに第1の物質が固定されているケミカルセンサと、
    蛍光色素で標識された第2の物質を含む試薬と
    を含み、
    第1の物質が、試料中の標的物質と特異的に結合する第1の捕捉体であり、
    第2の物質が、前記標的物質と特異的に結合する第2の捕捉体であり、
    前記第2の捕捉体は、前記標的物質の、前記第1の捕捉体が結合する部位と異なる部位と結合する
    ケミカルセンサキット。
  3. 前記チャネルは、グラフェン又はカーボンナノチューブである請求項1又は2に記載のケミカルセンサキット。
  4. 前記チャネルは、開口を有するグラフェンである請求項1又は2に記載のケミカルセンサキット。
  5. 前記第1の物質は、前記チャネルの前記開口の縁に存在する炭素原子に化学結合される請求項4に記載のケミカルセンサキット。
  6. 前記第1の物質は、イミン基を介して前記チャネルに結合される請求項3〜5の何れか1項に記載のケミカルセンサキット。
  7. 前記蛍光色素は、蛍光寿命が10nsec以上である請求項1〜6の何れか1項に記載のケミカルセンサキット。
  8. 前記蛍光色素は、ユーロピウム錯体又は量子ドットである請求項7に記載のケミカルセンサキット。
  9. 前記捕捉体は、抗体、抗原結合フラグメント、オリゴペプチド又はアプタマーである請求項1〜8の何れか1項に記載のケミカルセンサキット。
  10. 前記チャネルの前記第1の物質が固定されている面がブロッキング剤で被覆されている請求項1〜9の何れか1項に記載のケミカルセンサキット。
  11. (i)基板と、前記基板の表面に配置された、六角形の結晶格子を形成する炭素原子を含むチャネルとを有し、前記チャネルに試料中の標的物質と特異的に結合する捕捉体が固定されているケミカルセンサと、
    蛍光色素で標識された、前記捕捉体と結合能を有し、前記捕捉体への結合において前記標的物質と競合する競合物質と
    を用意する工程、
    (ii)前記競合物質を前記チャネルに接触させる工程、
    (iii)前記試料を前記チャネルに接触させる工程、
    (iv)前記チャネルに直流電圧を印加して、前記チャネルに流れる電流を計測する第1計測工程、
    (v)前記蛍光色素の励起光を前記チャネルに照射し、前記蛍光色素を励起し、前記捕捉体に結合した前記競合物質を標識する前記蛍光色素の励起エネルギーを前記チャネルに移動する工程、
    (vi)前記チャネルに直流電圧を印加して、前記チャネルに流れる電流を計測する第2計測工程、及び
    (vii)前記第1計測工程及び第2計測工程の結果に基づき、前記標的物質の有無又は量を決定する工程
    を含む分析方法。
  12. 前記工程(ii)および(iii)の間に、
    (ii−1)前記チャネルに直流電圧を印加して、前記チャネルに流れる電流を計測する第3計測工程、
    (ii−2)前記蛍光色素の励起光を前記チャネルに照射し、前記蛍光色素を励起し、前記捕捉体に結合した前記競合物質を標識する前記蛍光色素の励起エネルギーを前記チャネルに移動する工程、および
    (ii−3)前記チャネルに直流電圧を印加して、前記チャネルに流れる電流を計測する第4計測工程、
    を更に含む請求項11に記載の分析方法。
  13. (i)蛍光色素で標識された、試料中の標的物質と特異的に結合する捕捉体と、
    基板と、前記基板の表面に配置された、六角形の結晶格子を形成する炭素原子を含むチャネルとを有し、前記チャネルに、前記捕捉体と結合能を有し、前記捕捉体への結合において前記標的物質と競合する競合物質が固定されているケミカルセンサと
    を用意する工程、
    (ii)前記捕捉体を前記チャネルに接触させる工程、
    (iii)前記試料を前記チャネルに接触させる工程、
    (iv)前記チャネルに直流電圧を印加して、前記チャネルに流れる電流を計測する第1計測工程、
    (v)前記蛍光色素の励起光を前記チャネルに照射し、前記蛍光色素を励起し、前記競合物質に結合した前記捕捉体を標識する前記蛍光色素の励起エネルギーを前記チャネルに移動する工程、
    (vi)前記チャネルに直流電圧を印加して、前記チャネルに流れる電流を計測する第2計測工程、及び
    (vii)前記第1計測工程及び第2計測工程の結果に基づき、前記標的物質の有無又は量を決定する工程
    を含む分析方法。
  14. 前記工程(ii)および(iii)の間に、
    (ii−1)前記チャネルに直流電圧を印加して、前記チャネルに流れる電流を計測する第3計測工程、
    (ii−2)前記蛍光色素の励起光を前記チャネルに照射し、前記蛍光色素を励起し、前記競合物質に結合した前記捕捉体を標識する前記蛍光色素の励起エネルギーを前記チャネルに移動する工程、および
    (ii−3)前記チャネルに直流電圧を印加して、前記チャネルに流れる電流を計測する第4計測工程
    を更に含む請求項13に記載の分析方法。
  15. (i)基板と、前記基板の表面に配置された、六角形の結晶格子を形成する炭素原子を含むチャネルとを有し、前記チャネルに、標的物質と特異的に結合する第1の捕捉体が固定されているケミカルセンサと、
    蛍光色素で標識された、前記標的物質と特異的に結合する第2の捕捉体と
    を用意する工程、
    (ii)前記第2の捕捉体を前記チャネルに接触させる工程、
    (iii)試料を前記チャネルに接触させる工程、
    (iv)前記チャネルに直流電圧を印加して、前記チャネルに流れる電流を計測する第1計測工程、
    (v)前記蛍光色素の励起光を前記チャネルに照射し、前記蛍光色素を励起し、前記第1の捕捉体に前記標的物質とともに結合した前記第2の捕捉体を標識する前記蛍光色素の励起エネルギーを前記チャネルに移動する工程、
    (vi)前記チャネルに直流電圧を印加して、前記チャネルに流れる電流を計測する第2計測工程、及び
    (vii)前記第1計測工程及び第2計測工程の結果に基づき、前記試料中の前記標的物質の有無又は量を決定する工程
    を含む分析方法。
  16. 前記工程(v)の後、かつ前記工程(vi)の前に、(v−1)前記励起光の照射を停止する工程を更に含み、前記工程(v−1)の後、所定時間待機してから前記工程(vi)を行う
    請求項11、13、15の何れか1項に記載の方法。
  17. 前記工程(v)の後、かつ前記工程(vi)の前に、(v−1)前記励起光の照射を停止する工程を更に含み、前記工程(v−1)の後、所定時間待機してから前記工程(vi)を行い、
    前記工程(ii−2)の後、かつ前記工程(ii−3)の前に、(ii−2−1)前記励起光の照射を停止する工程を更に含み、前記工程(ii−2−1)の後、所定時間待機してから前記工程(ii−3)を行う、
    請求項12または14に記載の方法。
  18. 前記工程(i)における前記ケミカルセンサは、前記チャネルに前記捕捉体が固定される前に、前記チャネル上にフォトレジストが選択的に形成され、酸素プラズマ処理によって前記チャネルの前記フォトレジストから露出した部分が除去されることで、前記チャネルに開口が形成されている請求項11〜17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 前記工程(i)における前記ケミカルセンサは、前記チャネルに前記捕捉体が固定される前に、前記チャネルが水素プラズマ処理されている請求項11〜17のいずれか1項に記載の方法。
  20. 前記工程(i)における前記ケミカルセンサは、前記チャネルに前記捕捉体が固定される前に、前記チャネルがアンモニアプラズマ処理されている請求項11〜17に記載の方法。
  21. 前記工程(i)における前記ケミカルセンサは、前記チャネルに前記捕捉体が固定される前に、前記開口が形成された前記チャネルが水素プラズマ処理されている請求項18に記載の方法。
  22. 前記工程(i)における前記ケミカルセンサは、前記チャネルに前記捕捉体が固定される前に、前記開口が形成された前記チャネルがアンモニアプラズマ処理されている請求項18に記載の方法。
  23. 前記工程(i)における前記ケミカルセンサは、前記チャネルに前記捕捉体が固定される前に、前記水素プラズマ処理後の前記チャネルがアンモニアプラズマ処理されている請求項19又は21に記載の方法。
JP2018172386A 2018-09-14 2018-09-14 ケミカルセンサキット及び分析方法 Active JP6906489B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018172386A JP6906489B2 (ja) 2018-09-14 2018-09-14 ケミカルセンサキット及び分析方法
US16/352,431 US11346783B2 (en) 2018-09-14 2019-03-13 Chemical sensor kit and analysis method

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018172386A JP6906489B2 (ja) 2018-09-14 2018-09-14 ケミカルセンサキット及び分析方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020046196A JP2020046196A (ja) 2020-03-26
JP6906489B2 true JP6906489B2 (ja) 2021-07-21

Family

ID=69772134

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018172386A Active JP6906489B2 (ja) 2018-09-14 2018-09-14 ケミカルセンサキット及び分析方法

Country Status (2)

Country Link
US (1) US11346783B2 (ja)
JP (1) JP6906489B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7379304B2 (ja) * 2020-09-17 2023-11-14 株式会社東芝 センサ素子、センサ装置、センサシステム及び検出方法
JP7467378B2 (ja) 2021-03-18 2024-04-15 株式会社東芝 ケミカルセンサ、標的物質の検出方法及び検出装置

Family Cites Families (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007516843A (ja) * 2003-10-20 2007-06-28 ザ・レジェンツ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・カリフォルニア 分子相互作用を検出するためのナノスケール変換システム
GB0805608D0 (en) * 2008-03-28 2008-04-30 Sec Dep For Environment Food & Detection method
EP2274613B1 (en) * 2008-04-02 2014-06-04 Abbott Point Of Care, Inc. Method for serologic agglutination assays performed in a thin film fluid sample
CN102665918A (zh) * 2009-09-18 2012-09-12 米尼法布(澳大利亚)股份有限公司 仪器化吸量管
US9676621B2 (en) * 2011-02-18 2017-06-13 Uwm Research Foundation, Inc. Graphene-based field-effect transistor biosensors
JP5462219B2 (ja) 2011-05-25 2014-04-02 株式会社日立製作所 グラフェンセンサ、該センサを利用した物質種分析装置および該センサを利用した物質種検知方法
JP5877741B2 (ja) * 2012-03-16 2016-03-08 株式会社日立製作所 細胞数モニタリング方法
JP6083731B2 (ja) * 2012-09-11 2017-02-22 国立大学法人埼玉大学 Fret型バイオプローブ及びfret計測方法
BR112016011084B8 (pt) 2013-11-17 2021-11-09 Quantum Si Incorporated Dispositivo integrado para analisar uma pluralidade de amostras em paralelo, métodos de análise desta pluralidade de amostras, para a fabricação de uma cavidade de amostra e estrutura ótica alinhada à referida cavidade, de sequenciamento de uma molécula de ácido nucleico e de formação de uma fonte de excitação de escala nano alinhada, e instrumento portátil
EP2998737B1 (en) 2014-09-18 2021-04-21 Nokia Technologies Oy An apparatus and method for controllably populating a channel with charge carriers using quantum dots attached to the channel and Resonance Energy Transfer.
US20170341077A1 (en) * 2016-05-31 2017-11-30 University Of Guelph Microfluidic biosensor for allergen detection
JP2018163146A (ja) 2017-03-24 2018-10-18 株式会社東芝 センサ
US20180275084A1 (en) 2017-03-24 2018-09-27 Kabushiki Kaisha Toshiba Sensor
JP2019041626A (ja) * 2017-08-30 2019-03-22 株式会社東芝 センサ、試薬、プローブ分子の製造方法、センサの製造方法、ポリマー分子の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020046196A (ja) 2020-03-26
US11346783B2 (en) 2022-05-31
US20200088641A1 (en) 2020-03-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10667750B2 (en) Method and system for sensing by modified nanostructure
US20100032653A1 (en) Carbon Nanotube Electric Field Effect Transistor and Process for Producing the Same
DE102009026814A1 (de) Nanopartikel zum Nachweisen von Biomaterialien und Biosensor unter Verwendung des Nanopartikels
US20140231274A1 (en) Single molecule detection method and single molecule detection apparatus for biological molecule, and disease marker testing apparatus
JP6906489B2 (ja) ケミカルセンサキット及び分析方法
US20190062818A1 (en) Sensor, reagent, method for manufacturing probe molecule, and method for manufacturing polymer molecule
JP4230430B2 (ja) 被検体評価装置および被検体評価方法
DE102009031658A1 (de) Markerfreier Sensor
Sessi et al. Multisite dopamine sensing with femtomolar resolution using a CMOS enabled aptasensor chip
US8314357B2 (en) Joule heated nanowire biosensors
US8568966B2 (en) Method and apparatus for producing a molecular film with an adjusted density
KR101048478B1 (ko) 극미량 시료 검출용 바이오센서 및 그 제조방법
KR101288921B1 (ko) 자기 조립 펩타이드를 이용한 단일벽 탄소나노튜브 전계 효과 트랜지스터의 기능화 방법, 이에 의하여 제조된 단일벽 탄소나노튜브 전계 효과 트랜지스터를 포함하는 트리메틸아민 검출 센서 및 이를 이용한 해산물 신선도 측정 방법
US8318098B2 (en) Method and apparatus for detecting an analyte
KR102031194B1 (ko) 베타-아밀로이드의 농도를 측정하는 방법
US20230091126A1 (en) Receptor-based biosensors
JP7379304B2 (ja) センサ素子、センサ装置、センサシステム及び検出方法
US9541561B2 (en) Method for diagnosing Alzheimer's disease using biomaterial
Lee et al. Silicon nanowires for high-sensitivity crp detection
Handziuk Low-noise cost-efficient nanowire structures for biosensing applications
Zhang Cardiac biomarker and nanowire sensor arrays
Puttananjegowda et al. Polymers for Biosensing Applications in Viral Detection and Diagnosis
Terral et al. Graphene field-effect transistors for sensing ion-channel coupled receptors: towards biohybrid nanoelectronics for chemical detection
Ishikawa Applications of one-dimensional structured nanomaterials as biosensors and transparent electronics
Dots Book Chapter

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200316

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20201225

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210302

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210428

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210601

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210629

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6906489

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151