JP2018163146A - センサ - Google Patents
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Abstract
【課題】検出対象を高感度に検出できるセンサを提供する。
【解決手段】センサは、ジグザグエッジとアームチェアエッジのいずれかを支配的にもつ開口が形成されたグラフェン膜と、前記グラフェン膜に電気的に接触し、検出対象との相互作用による前記グラフェン膜の電気的特性の変化を読み出すための少なくとも2つの電極と、を備えている。
【選択図】図1
【解決手段】センサは、ジグザグエッジとアームチェアエッジのいずれかを支配的にもつ開口が形成されたグラフェン膜と、前記グラフェン膜に電気的に接触し、検出対象との相互作用による前記グラフェン膜の電気的特性の変化を読み出すための少なくとも2つの電極と、を備えている。
【選択図】図1
Description
実施形態は、センサに関する。
グラフェン膜は、その表面での原子、分子の結合や吸着あるいは近接に対して大きな電気特性変化(高い感度)を示す。このようなグラフェン膜は、イオンセンサ、酵素センサ、DNAセンサ、抗原・抗体センサ、タンパク質センサ、呼気センサ、ガスセンサなどとして、特に医用分野への応用が期待されている。
実施形態は、検出対象を高感度に検出できるセンサを提供する。
実施形態によれば、センサは、ジグザグエッジとアームチェアエッジのいずれかを支配的にもつ開口が形成されたグラフェン膜と、前記グラフェン膜に電気的に接触し、検出対象との相互作用による前記グラフェン膜の電気的特性の変化を読み出すための少なくとも2つの電極と、を備えている。
以下、図面を参照し、実施形態について説明する。なお、各図面中、同じ要素には同じ符号を付している。
図1(a)は、実施形態のセンサ1の模式図である。
実施形態のセンサ1は、下地10と、下地10の上に設けられたグラフェン膜21と、少なくとも2つの電極(第1電極51と第2電極52)とを有する。
センサ1は、例えば、FET(field effect transistor)構造を有する。または、センサ1でホイートストンブリッジ回路を形成してもよい。
下地10は、基板11と、基板11上に設けられた下地膜12とを有する。その下地膜12上にグラフェン膜21が設けられている。または、下地膜12を設けずに、基板11の表面にグラフェン膜21を設けてもよい。また、基板11には、図示せぬ回路やトランジスタが形成されていてもよい。
基板11の材料として、例えば、シリコン、酸化シリコン、ガラス、高分子材料を用いることができる。下地膜12は、例えばシリコン酸化膜のような絶縁膜である。また、下地膜12に、グラフェン膜21を形成するための化学的触媒の機能をもたせることもできる。
下地膜12上またはグラフェン膜21上に、第1電極51と第2電極52が設けられている。第1電極51および第2電極52の材料は、例えば金属材料である。第1電極51および第2電極52の一方はドレイン電極として機能し、他方はソース電極として機能する。
第1電極51と第2電極52との間にグラフェン膜21が設けられている。第1電極51および第2電極52は、グラフェン膜21に電気的に接触している。グラフェン膜21を通じて、第1電極51と第2電極52との間に電流が流れることができる。
図2(a)は、グラフェン膜21と電極51、52の平面レイアウトの一例を模式的に示す平面図である。
図2(b)は、センサ1の模式断面図である。図2(b)において、第1電極51および第2電極52の図示は省略している。
図3は、グラフェン膜21の格子構造図である。図3における白丸が炭素原子を表す。
図2(b)は、センサ1の模式断面図である。図2(b)において、第1電極51および第2電極52の図示は省略している。
図3は、グラフェン膜21の格子構造図である。図3における白丸が炭素原子を表す。
グラフェン膜21は、炭素原子のsp2結合によって形成された蜂の巣状の結晶格子で構成されている。グラフェン膜21の厚さは、炭素原子1個分の厚さに限らず、炭素原子2個以上の厚さであってもよい。
グラフェン膜21の六方対称性に基づき、グラフェン膜21のエッジは、ジグザグエッジとアームチェアエッジをもつことができる。グラフェン膜21のジグザグエッジは、トランスポリアセチレンと同様の炭素骨格をもつ。グラフェン膜21のアームチェアエッジは、シスポリアセチレンと同様の炭素骨格をもつ。
図11(a)はグラフェン膜21のジグザグエッジZEを説明するための模式図であり、図11(b)はグラフェン膜21のアームチェアエッジAEを説明するための模式図である。
ジグザグエッジZEの炭素を終端する水素をZZ−Hで表し、アームチェアエッジAEの炭素を終端する水素をAC−Hで表す。
グラフェン膜21のエッジにおいて終端できるすべての炭素を水素で終端した場合、ジグザグエッジZEにおいては、水素結合をもつ炭素と水素結合をもたない炭素が1原子ずつ交互にエッジの延在方向に並んでいる。アームチェアエッジAEにおいては、水素結合をもつ炭素と水素結合をもたない炭素が2原子ずつ交互にエッジの延在方向に並んでいる。
グラフェン膜は、その蜂の巣構造という構造的特異性から、2つの独立した副格子が現れる。
図12(a)は、グラフェン膜のジグザグエッジZEにおける2つの副格子の配置図である。図12(b)は、グラフェン膜のアームチェアエッジAEにおける2つの副格子の配置図である。図12(a)および(b)において、黒丸および白丸はおのおの独立した副格子を表す。
ジグザグエッジZEでは、エッジの平行線上に2つの副格子のうちどちらか片方しか現れない。アームチェアエッジAEでは、エッジの平行線上に2つの副格子が交互に現れる。
実施形態によれば、図2(a)、図2(b)、および図3に示すように、グラフェン膜21に開口22が形成されている。図2(b)に示すように、開口22は、下地膜12を底にもつ有底の開口である。第1電極51と第2電極52との間の領域において、グラフェン膜21に少なくとも1つの開口22が形成されている。
開口22の輪郭を形成するエッジに、ジグザグエッジとアームチェアエッジのいずれかが支配的に現れている。開口22の概形は多角形であり、例えば六角形である。その多角形(六角形)の辺に対応する部分にジグザグエッジまたはアームチェアエッジが支配的に現れている。
図7および図9はジグザグエッジを支配的にもつ開口22の例を示し、図8および図10はアームチェアエッジを支配的にもつ開口22の例を示す。
ジグザグエッジを支配的にもつ開口22では、ジグザグエッジを構成する炭素の数が、アームチェアエッジを構成する炭素の数よりも多い。逆に、アームチェアエッジを支配的にもつ開口22では、アームチェアエッジを構成する炭素の数が、ジグザグエッジを構成する炭素の数よりも多い。
また、開口22を近似した多角形におけるジグザグエッジが支配的に現れた辺(ジグザグエッジに制御された辺)は、ジグザグエッジの炭素を終端した水素ZZ−Hが3つ以上ジグザグエッジの延在方向に連続して並んだ部分をもつ。
開口22を近似した多角形におけるアームチェアエッジが支配的に現れた辺(アームチェアエッジに制御された辺)は、アームチェアエッジの炭素を終端した水素AC−Hが3つ以上アームチェアエッジの延在方向に連続して並んだ部分をもつ。
図7に示す例では、六角形の6つの辺がジグザグエッジで形成され、辺と辺との間(コーナー)にアームチェアエッジが形成されている。ジグザグエッジを構成する炭素の数(またはジグザグエッジに終端した水素ZZ−Hの数)は、アームチェアエッジを構成する炭素の数(またはアームチェアエッジに終端した水素AC−Hの数)よりも多い。
図8に示す例では、六角形の6つの辺がアームチェアエッジで形成され、辺と辺との間(コーナー)にジグザグエッジが形成されている。アームチェアエッジを構成する炭素の数(またはアームチェアエッジに終端した水素AC−Hの数)は、ジグザグエッジを構成する炭素の数(またはジグザグエッジに終端した水素ZZ−Hの数)よりも多い。
図9に示す開口22はジグザグエッジのみをもち、図10に示す開口22はアームチェアエッジのみをもつ。
辺にはジグザグエッジとアームチェアエッジが混在していてもよい。その辺においてジグザグエッジを構成する炭素の数がアームチェアエッジを構成する炭素の数よりも多ければ、ジグザグエッジが支配的に現れた辺(ジグザグエッジに制御された辺)と言える。逆に、アームチェアエッジを構成する炭素の数がジグザグエッジを構成する炭素の数よりも多ければ、アームチェアエッジが支配的に現れた辺(アームチェアエッジに制御された辺)と言える。
図3に示すように、開口22のエッジにプローブ分子31が結合されている。プローブ分子31は、共有結合によってグラフェン膜21と結合している。または、プローブ分子31は、ファンデルワールス力によってグラフェン膜21と物理吸着している。この場合、プローブ分子31はグラフェン膜21のエッジに限らず、図1(a)に示すようにグラフェン膜21の表面に吸着していても構わない。または、プローブ分子31の末端に多環芳香族が形成され、プローブ分子31とグラフェン膜21とが芳香族環どうしの親和性で吸着している。この場合も、プローブ分子31はグラフェン膜21のエッジに限らず、グラフェン膜21の表面に吸着していても構わない。
グラフェン膜21のエッジは水素で終端されている。例えば、開口22のエッジの末端の水素がプローブ分子31の末端に置換され、プローブ分子31が開口22のエッジの炭素と共有結合している。開口22のエッジの炭素原子はsp2結合を保っている。
プローブ分子31は、特定の物質(検出対象)を選択的に認識する特性をもつ。プローブ分子31は、例えば、抗体、抗体の抗原認識部だけを切り出したフラグメント抗体、核酸、人工核酸、アプタマー、ペプチドアプタマー、酵素、補酵素、蛍光色素、PeT(Photoinduced electron Transfer)法に代表される電子移動型の蛍光プローブにおけるドナー構造およびフェニルボロン酸を含む化合物の少なくとも1つを含む。例えば、PeTに用いられる分子としては、DMAX、HPF(hydroxyphenyl fluorescein)、APF(aminophenyl fluorescein)などがあげられる。
グラフェン膜21はエッジ付近に特有の電子状態をもち得る。そして、プローブ分子31と検出対象との会合、解離、または反応により、その電子状態が変化しやすい。このようなグラフェン膜21の電気的特性の変化を第1電極51と第2電極52で読み出すことで、特定の検出対象を高感度でセンスすることができる。
グラフェン膜21において、ジグザグエッジの終端水素と炭素との間の結合エネルギーは、sp3結合の炭素と水素の間の結合エネルギーより低く、アームチェアエッジの終端水素と炭素との間の結合エネルギーは、ジグザグエッジの終端水素と炭素との間の結合エネルギーより低い。したがって、アームチェアエッジはジグザグエッジよりも反応性が高く、アームチェアエッジの終端水素はプローブ分子31に置換しやすい。
このエッジの反応性の違いを利用して、図3は、例えば開口22のアームチェアエッジにプローブ分子31が選択的に結合した例を示す。
図3は、概略六角形に近似される1つの開口22の6つの角にぞれぞれアームチェアエッジが現れた例を表す。このような六角形の開口22では、開口22のサイズに関わらず、6つの角または6つの辺に、6つの特定のエッジを支配的に出現させることができる。
そして、例えばエッジの反応性の違いを利用して、1つの開口22における6つのアームチェアエッジに6つのプローブ分子31を結合させることができる。
ここで、6つの角のアームチェアエッジには、それぞれ2つの隣接する終端水素(図7のAC−H)が存在するが、例えばプローブ分子31同士の立体障害などの効果によって、各角部にひとつだけのプローブ分子31を結合させることができる。また図では各角に、2つの隣接する終端水素の対を1つ含む1周期のアームチェアエッジが形成されているが、これが例えば2周期あるいは3周期連続して形成された場合においても、同様にプローブ分子31同士の立体障害の効果によって、角部にひとつだけのプローブ分子31を結合することができる。もちろん、意図的に各角に2つのプローブ分子31を結合させるような分子設計をすることも可能である。
このように、1つの開口22に現れる反応サイト(アームチェアエッジまたはジグザグエッジ)の数や密度を制御することで、プローブ分子31の数や密度を制御できる。さらにグラフェン膜21に形成する開口22の数や密度を制御すれば、プローブ分子31の数や密度を制御でき、デバイス間でのセンサ特性を任意に制御したり、デバイス間でセンサ特性を均一にすることが可能となる。
開口22は、例えば、水素(H2)を含むガスを用いたプラズマエッチングで形成することができる。例えば、水素ラジカルによるエッチング作用が支配的になるようにエッチング条件を制御することで、安定形状の概略六角形の開口22を形成しやすくなる。
開口22の形状は六角形に限らない。また、アームチェアエッジのみで形成される開口、またはジグザグエッジのみで形成される開口も形成し得る。
グラフェン膜21に開口22を形成してエッジを出現させる方法は、グラフェン膜21の結晶方位などの影響を受けずに、エッチング加工時のプロセス条件によって所望のエッジを形成することが可能である。これは、グラフェン膜21の最外周端部では実現困難な特徴である。
最外周端部のエッジ構造は、グラフェン結晶方位の傾きによって、ジグザグとアームチェアが混在してしまうため、結晶方位を厳密に制御しないとエッジ構造を制御できない。
例えば図13のようにグラフェン膜21の結晶方位が全く傾いていない場合には最外周端部のエッジ形状はジグザグ形状になるが、実際には結晶方位を制御することが難しく、図14のように傾いてしまう。この場合、最外周端部はジグザグエッジやアームチェアエッジの直線と平行にならないため、これらが混在したものとなってしまう。
ここで図14の最外周端部のエッジ形状は制御できていないが、実施形態によれば、グラフェン膜21はエッジ制御された開口22のエッジが多く存在するため、実質的に最外周端部のエッジの影響を小さくすることができる。このようにして、所望のエッジ伝導効果(エッジ形状効果)をもつグラフェン膜を形成しやすいという特徴がある。
以上説明したようなエッジの反応性の違いを利用して、異なる種類の機能性分子を、その数や密度を制御して開口22のエッジに吸着させることも可能である。
図4は、例えば、開口22のアームチェアエッジにプローブ分子31が結合していて、ジグザグエッジに非特異的吸着をブロックする分子(ブロッキング剤)32が結合した例を示す。
ブロック分子32は、プローブ分子31が会合する標的物質(分子、イオン、ウイルス、微生物など)とは異なる種類の物質(分子、イオン、ウイルス、微生物など)がグラフェンエッジへ吸着することをブロックする。このような構造は、ノイズ(非検出対象の検出)を減らして、特定の検出対象を高感度で検出することを可能にする。ジグザグエッジにプローブ分子31を結合させ、アームチェアエッジにブロック分子32を結合させてもよい。
図5は、アームチェアエッジに第1のプローブ分子33が結合し、ジグザグエッジに、第1のプローブ分子33とは異なる種類の第2のプローブ分子34が結合した例を示す。
ここで、例えば第2のプローブ分子34に酵素を用いて、第1のプローブ分子33が、当該酵素による反応生成物と会合するようにすることができる。この場合、当該酵素で反応する以前には、認識が難しいような物質であっても、検出することが可能となる。
あるいは、第2のプローブ分子34が、例えば免疫細胞の特定の受容体と結合する物質(例えばリガンド)の構造を有している場合、免疫細胞が受容体へのリガンドの結合を認識してサイトカイン等の内分泌物質を放出する。ここで第1のプローブ分子33がこの放出された内分泌物質と会合するようになっていれば、特定の受容体が発現した免疫細胞が存在するかどうかを検出することが出来る。
また、開口22のサイズと、プローブ分子の大きさを制御することで、開口22のエッジの反応性の違いを利用せずに、1つの開口22に対するプローブ分子の数や密度の制御が可能になる。
例えば、プローブ分子を開口22のサイズよりも大きくすると、プローブ分子同士の立体障害によって、複数のプローブ分子がひとつの開口22に結合できなくなるため、プローブ分子の形成サイト(アームチェアエッジまたはジグザグエッジ)の数にかかわらず、図6(a)に示すように1つの開口22に1つのプローブ分子35だけを結合、あるいは2つ以下のプローブ分子35を結合させることが可能となる。
図6(a)に示すプローブ分子35は、開口22のエッジに結合したアンカー部35aと、検出対象と会合または反応するヘッド部35bとを有する。
図6(b)は、グラフェン膜21の表面に、保護膜(表面コート膜)13が形成された例の模式断面図である。
保護膜13は、グラフェン膜21における開口22を除く表面を覆っている。このような保護膜13は、グラフェン膜21におけるプローブ分子31以外の部分への検出対象の吸着や近接を防ぐ。また、保護膜13は、グラフェン膜21の表面にセンシング雰囲気中の分子、イオン、ウイルス、微生物などの夾雑物が吸着や近接してグラフェン膜21の電気特性が変化するのを防ぐ。さらに、保護膜13は、グラフェン膜21の剥がれを防ぎ、測定ノイズの低減を実現する。
保護膜13は、例えば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜などの絶縁膜、窒化ホウ素(BN)などの層状化合物の膜、または、タンパク質などの吸着を抑制する有機物の膜である。
実施形態によれば、グラフェン膜21の表面がコートされても、開口22の側壁(エッジ)にプローブ分子31を結合させることができる。
図15(a)は、グラフェン膜21の端部に保護膜13を形成した例を示す。グラフェン膜21の端部のエッジが保護膜13で覆われている。保護膜13はグラフェン膜21の端部へのプローブ分子の結合を防ぐ。開口22のエッジは保護膜13で覆われず、プローブ分子の結合が可能となっている。開口22の大きさや数によってプローブ分子の数を制御することができる。
図15(b)に示す例では、開口22の近傍およびグラフェン膜21の端部を除く、グラフェン膜21の表面に保護膜13が形成されている。開口22の近傍の炭素原子は保護膜13で覆われずに露出している。
保護膜13は、グラフェン膜21の表面でのプローブ分子や検出対象の非選択的な吸着や残渣を防止する。また、保護膜13の厚さを例えば10nm以上にして、検出対象の接近によるグラフェン膜21の特性変化を防ぐようにしてもよい。
図16に示すように、開口22の近傍を除くグラフェン膜21の表面および端部を保護膜13で覆ってもよい。
グラフェン膜21のエッジ付近の電子状態は周りの環境変化に対してセンシティブなので、グラフェン膜21にプローブ分子を形成しなくても、例えば開口22のエッジと検出対象との相互作用によりグラフェン膜21の電気的特性を変化させることができる。
検出対象に合わせて適切なプローブ分子を使うと、特定の検出対象に対するより高い感度が得られる。
あるいは、開口22のエッジに結合するプローブ分子とは異なる種類のプローブ分子をグラフェン膜21の表面に吸着させてもよい。例えば、グラフェン膜21の表面とファンデルワールス力で吸着する、例えばピレニル基を末端に持ったプローブ分子を、グラフェン膜21の表面に吸着させても構わない。
また、プローブ分子31を、グラフェン膜21における開口22のエッジ以外のエッジに結合させることもできる。
次に、図1(a)に示す実施形態のセンサ1の製造方法について説明する。
図17(a)に示すように、例えばn+型シリコンの基板11上に、放電を防ぐための絶縁膜(下地膜)12を形成する。基板11が絶縁体の場合は絶縁膜12の形成を省略してもよい。
その絶縁膜(下地膜)12上にグラフェン膜21を形成する。例えば、グラファイトからの転写法、CVD(chemical vapor deposition)法、ボトムアップ成長法などによりグラフェン膜21を形成する。転写法の場合、プリント技術などで開口パターンを形成したグラフェン膜21を下地膜12に貼り合わせてもよい。
グラフェン膜21には、例えば、前述したように、アルゴンと水素を含むガスを用いたプラズマエッチングにより、図17(b)に示すように開口22が形成される。
または、下地膜12をあらかじめパターニングしておいて、そのパターニングされた下地膜12上に例えばCVD法などで開口22をもつグラフェン膜21を形成してもよい。または、例えば高分子合成に代表されるボトムアップ法を用いて開口22があいたグラフェン膜21を形成することも可能である。
グラフェン膜21を形成した後、図18に示すように第1電極51および第2電極52を形成する。
その後、センサの用途によっては、図1(b)に示すセンサ3ように、グラフェン膜21上に液体57を溜めるウェル56を形成してもよい。ウェル56は、例えば絶縁膜の側壁55をグラフェン膜21を取り囲むように形成して作ることができる。側壁55の形成は、リソグラフィでパターン加工しても構わないし、貼り合せても構わない。
また、ウェルの代わりに流路を形成しても構わない。流路の形成は犠牲層で流路内部構造を形成した後、犠牲層の周りに絶縁膜を形成し、犠牲層を除去することによって形成することが出来る。または、別の基板上に前もって形成した流路部品を貼り合わせて形成してもよい。
グラフェン膜21に開口22を形成した後のいずれかのタイミングで、その開口22のエッジにプローブ分子31を結合させる。
グラフェン膜21に開口22を形成するエッチング条件などで、開口22の概形を六角形などの多角形にすることができ、さらにその多角形の辺をジグザグエッジまたはアームチェアエッジのいずれかに制御することができる。このような辺がジグザグエッジまたはアームチェアエッジに制御された多角形の角においては、辺とは異なった電子の状態密度となっている。
図19は、他の実施形態のセンサ2の模式断面図である。
センサ2は、センサ素子25と、センサ素子25上に設けられた液状物60と、薄膜71aとを有する。
センサ素子25は、表面電荷(電子状態)の変化を電気的に検出する。例えば、センサ素子25は、前述した実施形態におけるグラフェン膜21を用いたFETである。または、センサ素子25は、半導体FET上に感応膜が形成されたIS(ion sensitive)−FETである。
液状物60は、センサ素子25の表面に接触し、例えばドーム状に設けられている。液状物60は、特定の物質を選択的に認識する特性を持ったプローブ分子と、水とを含む。
薄膜71aは液状物60を覆っている。薄膜71aには複数の貫通孔71cが形成されている。貫通孔71cの一方の端(下端)は液状物60に通じ、他方の端(上端)は薄膜71aの上面側の雰囲気に通じている。
貫通孔71cの直径は、例えば、10nm以下であり、さらには3nm以下である。このような多数の微細貫通孔71cは、例えば自己組織化材料の相分離を利用して形成することができる。
センサ素子25のグラフェン膜(または感応膜)は、基板(または下地)11上に形成されている。例えば、複数のグラフェン膜(または感応膜)が、基板11上にアレイ状に配置されている。そして、複数の液状物60が、複数のグラフェン膜(または感応膜)上にアレイ状に配置されている。
プローブ分子は、液中で標的物質(検出対象)に基質特異的に会合する。このようなプローブ分子としては、例えば、抗体、アプタマー、ペプチドアプタマー、フェニルボロン酸などが挙げられる。プローブ分子は、あるいは、液中で標的物質を基質特異的に認識して化学反応を促進する。このようなプローブ分子としては、例えば、酵素、補酵素、抗体酵素、リボザイムなどが挙げられる。
ここで、基質特異的とは、標的となる分子に対して選択的に作用する性質のことであり、上記に示したような生体由来材料あるいはその人工合成物がしばしば保有する特性である。
ここではプローブ分子として酵素を用いて説明する。酵素は生体由来のタンパク質からなる触媒分子であり、特定の化学物質を基質特異的に認識して、特定の化学反応を選択的に促進する特性を持っている。元来、生物が物質を分解や消化する際に使われる材料であるため、液中で上記触媒作用を発現する性質を持っている。
次に、図19に示すセンサ2の製造法について説明する。
図21(a)に示すように、基板11上にセンサ素子25を形成する。そして、そのセンサ素子25上に液状物60を形成する。
例えば、酵素を、水を含む高粘度液体中に取り込ませ液状物60を形成する。ここで高粘度液体としては、例えばアガロースのような多糖類が水を保有したものや、ゼラチンのようなタンパク質が水を保有したものを用いることができる。
あるいは、高粘度液体として下記分子式で表される界面活性剤が水を保有したものを用いることが出来る。
陰イオン界面活性剤:CH3-(-CH2-)x-CH2-O-(-C2H4-O-)y-CH2-COOH
陽イオン界面活性剤:CH3-(-CH2-)x-CH2-O-(-C2H4-O-)y-CH2-CO-NH-C3H6-NH2
陰イオン界面活性剤:CH3-(-CH2-)x-CH2-O-(-C2H4-O-)y-CH2-COOH
陽イオン界面活性剤:CH3-(-CH2-)x-CH2-O-(-C2H4-O-)y-CH2-CO-NH-C3H6-NH2
上記陰イオン界面活性剤と陽イオン界面活性剤を酵素と水と共に混合すると、図20に示すように、酵素61の周りを界面活性剤62のカルボン酸基と1級アミノ基が取り囲み、界面活性剤62のPEG(polyethylene glycol)鎖部が水63を保持し、その先の疎水性アルキル鎖同士が静電相互作用で凝集したジェル状の高濃度タンパク質凝集体を形成する。
このようにして得られた高粘度な液体(液状物)60は、液滴として形状を維持する能力を持つため、図21(b)に示すように、基板11上のセンサ素子25上に塗布(供給)することができる。例えば、インクジェット法、ディスペンサ法、あるいはスクリーン印刷法により、液状物60を基板11上の所望の位置に局所的に塗布することができる。
その高粘度液状物60が塗布された基板11の表面に、図22(a)に示すように、例えば自己組織化材料71を塗布する。高粘度液状物60はセンサ素子25に対してそれほど強く固着しているわけではない。そのため、自己組織化材料71の塗布法としては、スピンコート法のような遠心力がかかる方法よりは、例えばスリットコータ―法などが好ましい。
自己組織化材料71は、例えば、互いに非相溶である親水性と疎水性の2つのポリマーが結合したブロックコポリマーである。その2つのポリマーの分子鎖長比を制御することによって、図22(b)に示すように、相71aと相71bを含む例えばシリンダー構造にミクロ相分離することができる。
一方の相(例えばシリンダー構造の円柱)71bを選択的にエッチングすることで、図23(a)に示すように、残った相で形成される薄膜71aに多数の微細な貫通孔71cがあいた構造を形成することができる。残された相に例えば光硬化性樹脂としての機能を持たせておけば、薄膜71aを化学的に安定な形態にすることができる。
自己組織化材料71のシリンダー構造の円柱を形成する側のポリマーの分子量を十分小さく、具体的にはオリゴマーと呼ばれる繰り返し炭素数で100個以下の分子量にまで小さくすることにより、その円柱がエッチングで除去された後に、直径が数nm、より具体的には3nm以下の極めて小さな貫通孔71cを形成することができる。
そのような微細貫通孔71cよりも大きな酵素は、貫通孔71cを通過することができない。一方、揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds:以下略してVOC)と呼ばれるほとんどの低分子化合物の分子サイズは貫通孔71cよりも小さく、そのようなVOCは貫通孔71cを容易に通過することができる。
例えば、リゾチームという酵素の分子量は14500Daであり、そのリゾチームの大きさは4.5nm×3.0nm×3.0nm程度である。その他の殆どの酵素はリゾチームよりもはるかに大きい。
一方、VOCとしては、例えば、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒド、有害物質のベンゼン、PCB(polychlorinated biphenyl)、DDT(dichlorodiphenyltrichloroethane)、強い薬物依存性を示すモルヒネ、コカインなどが挙げられる。ホルムアルデヒドの大きさはおよそ0.3nm、ベンゼンの大きさはおよそ0.6nm、PCBの大きさはおよそ1.3nm、DDTの大きさはおよそ1.2nm、モルヒネの大きさはおよそ0.9nm、コカインの大きさはおよそ1.3nm程度である。
さらに、前述の界面活性剤62を用いた図20に示すタンパク質凝集体であれば、水63も界面活性剤62によって保有されているため、貫通孔71cから漏れ出てくることがない。
高粘度液状物60中に取り込まれている酵素61が、特定のVOCに対して触媒反応を促進させるものである場合、標的となるVOCが存在する雰囲気中に本センサ2がさらされると、上記貫通孔71cを通って高粘度液状物60に入ってきたVOCが液状物60中の酵素61によって反応し、液状物60中に反応生成物が形成される。
通常、酵素61による反応生成物は酵素61の周囲に分散してしまうため、その生成をセンシングすることが困難である。しかし、本実施形態のような小さな空間に閉じ込められた系(液状物60)においては、反応生成物の濃度が著しく上昇するため、その下部に形成されたセンサ素子25によって、反応生成物の生成、すなわち標的となるVOCの存在を高感度に電気信号として読み取ることが可能となる。反応生成物が、センサ素子25のグラフェン膜(または感応膜)の電気的特性を変化させる。
図23(b)は、高粘度液状物60が塗布されていない部分に形成された薄膜71a上に補強膜(またはアンカー膜)81が形成された構造を示す。このような構造は、基板11に対する薄膜71aの接着強度を高める。例えば、フォトレジストのパターニングで補強膜81を選択的に形成することができる。
または、図24(a)〜(c)に示すように、レジスト82のリフトオフを利用して、補強膜81を選択的に残すことができる。
図24(a)に示すように、レジスト82を、高粘度液状物60が塗布された部分の上に形成する。次に、図24(b)に示すように、例えば低温スパッタ法で補強膜81をレジスト82の上面、および高粘度液状物60が塗布されていない部分に成膜する。その後、レジスト82をリフトオフ(剥離)すると、図24(c)に示すように、高粘度液状物60が塗布されていない部分に選択的に補強膜81を残すことができる。センサ素子25上の液状物60は貫通孔71cを介して検出対象雰囲気に通じている。
第1の酵素を含む液状物60が塗布された部分と、第1の酵素とは異なる種類の第2の酵素を含む液状物60が塗布された部分とを同じ基板11上に形成することもできる。このような構造は、複数種類の標的物質を検出することができる。
複数種類の酵素は、同じ1つの高粘度液状物60中に取り込んでもよい。このような構造は、連続する化学反応を促進させることを可能にし、例えば、一段目の化学反応の反応生成物がセンサ素子25で検出しにくいようなものであった場合であっても、二段目の化学反応の反応生成物を検出することが出来る。
自己組織化材料71の相分離で形成された貫通孔71cは、カビの大きさよりも小さいため、カビが貫通孔71cから液状物60に侵入しない。酵素を濡れた環境で用いているにも関わらず、センサ2にカビが発生しない。カビが下地に根をはる際に伸長する菌糸の太さは0.5μm以上100μm以下である。この目的に特化するのであれば、貫通孔71cの直径は500nm以下であればよい。
数nmの微細な貫通孔71cである場合には、外部から酵素が入ってこない。そのため、液状物60に含まれる酵素とは異なる種類の酵素が液状物60内に入ってこない。これは、標的でない物質の反応促進により得られた、検出対象ではない反応生成物の検出を防ぐ。さらに液状物60中のプローブ分子を分解するような酵素が入ってくることも避けられる。
上記説明ではプローブ分子として酵素を例に説明したが、プローブ分子として例えばアプタマーを用いて血液等の体液を検査する場合に、外部から酵素が入ってこないという特徴は非常に有効である。
核酸を骨格にもつアプタマーは、生体内に存在する核酸分解酵素であるヌクレアーゼによって分解されやすく、アプタマーを体液の検査に用いることはこれまでは困難であった。
本実施形態によれば、ヌクレアーゼは微細貫通孔71cを通過できないため、アプタマーをヌクレアーゼから保護することができ、実施形態のセンサ2を十分な信頼度を持って体液検査に適用することが可能となる。
センサ素子25の電荷検出膜(グラフェン膜など)に対して、リンカーを介してアプタマーを固定することができる。電荷を帯電したアプタマーが標的分子を捕獲することによって生じた立体形状の変化や、標的分子自体が持つ電荷をセンサ素子25で電気的に読み取り、標的分子(検出対象)を検出することができる。
アプタマーの骨格の核酸における鎖の太さは1.9nmである。従って遊離したアプタマーは貫通孔71cを通り抜け得るが、上記のようにアプタマーをセンサ素子25に固定しておけば、アプタマーの液状物60中からの離脱を回避できる。
図25(a)に示すように、薄膜71aを固定する補強膜(またはアンカー膜)81を、高粘度液状物60から少し離して形成しておけば、図25(b)に示すように、センサデバイス上を適切な液体85で覆って高粘度液状物60が希釈された際に、液状物60中の酵素や、液状物60中に溶け込んできたVOCがより自由に移動できるようになる。この場合においても、貫通孔71cは酵素を通さない。
以上説明した実施形態のセンサ2によれば、VOCのような低分子化合物を酵素で反応させて得られた反応生成物を高感度に検出することができる。
酵素は液中で活性を示す。そのような酵素を含む液状物60を用いながらも、センサデバイスの表面は乾いた状態を保持でき、例えばカビの発生を防ぐことができる。さらに、液状物60が水を吸着する特性を持っている場合には、酵素の乾燥を抑制することができる。
また、酵素を化学結合させることなく、電荷検出膜(グラフェン膜など)に固定することができるため、化学結合による酵素の立体構造変化が生じない。これは、酵素活性(触媒作用)への悪影響を防ぐことができる。
また、貫通孔71cを通じて外部から別のプローブ分子が液状物60中に入ってくることがないため、意図しない結合や反応をセンサ素子25が検出してしまうこともない。また、外部から別の種類の酵素が入ってくることもないため、液状物60中に取り込んだプローブ分子が分解されてしまうこともない。
プローブ分子としては、補酵素を酵素と組み合わせて用いることも可能である。また、プローブ分子は、抗体酵素やリボザイムであっても構わない。抗体酵素の分子サイズは10nm強である。このような抗体酵素、さらに分子サイズが巨大な酵素をプロー分子として用いる場合、貫通孔71cの直径は10nm以下であればよい。
プローブ分子として、抗体、アプタマー、ペプチドアプタマーを用いることもできる。これらのプローブ分子は、標的の化学反応を進めるわけではなく、プローブ分子に結合した標的がもつ電荷をセンサ素子で読み取る。または、標的に結合することによって電荷を持ったプローブ分子の立体構造が変化したことをセンサ素子25で読み取る。
センサ素子(電荷検出センサ)25直上の液相には厚さ数nm程度の電気二重層が形成され得る。その電気二重層よりもセンサ素子25から遠い領域での電荷移動は電気二重層で遮蔽されてしまい、センサ素子25で読み取ることが困難になり得る。
図26は、抗体の一例としてIgG抗体の模式図である。
アプタマーやペプチドアプタマーは適切な設計であれば十分小さいが、抗体の場合、最も小さいIgG抗体であっても10nm以上20nm以下程度の大きさを持っている。そのため、標的分子捕獲部分(抗原接合部位)Fabが上記電気二重層の外側になってしまい、その電荷を検出できない。
そこで、図27に示すようにIgG抗体の先端にある標的分子認識部Fab’を切り出し、図28に示すように下地(基板)11に固定することによって、電気二重層よりもセンサ素子に近い領域で標的分子の捕獲をすることができる。
図27に示すように、例えば、ペプシンでIgG抗体のFc部を切断し、アガロースでFc部を除去し、メルカプトメタノールで標的分子認識部Fab’へ分解することができる。そして、図28に示すように、マレイミドを介して標的分子認識部Fab’を下地(基板)11に固定させることができる。標的分子認識部Fab’のチオール基がマレイミドと結合する。
本実施形態のような液中で作用する酵素を乾いた表面で扱うことができ、カビがはえないという特性は、有害ガスを除去するデバイスとして用いることもできる。
図29(a)は、そのような有害物質分解デバイス3の模式断面図である。
基板11上に液状物60が形成され、その液状物60を覆うように薄膜71aが形成されている。液状物60を覆う薄膜71aには貫通孔71cが形成されている。
このような有害物質分解デバイス3は、センサとしての機能は必ずしも必要ではないため、センサ素子はなくてもよい。大面積デバイスを安価に製造するため、下地(基板)11は、液状物60および薄膜71aを支持するシートや板でよい。
ここで高粘度液状物60中に取り込む酵素として、例えばアルデヒド酸化酵素であるホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼを、補酵素であるニコチンアミドアデニンジヌクレオチドとともに取り込んでおけば、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドを酸化してギ酸に変化させることができる。さらにギ酸デヒドロゲナーゼも取り込んでおけば、ギ酸から二酸化炭素へ変化させることができる。
このようなデバイス3を壁紙の一部として、あるいは室内の任意の箇所に配置しておけば、ホルムアルデヒドが除去された室内環境が得られる。また、センサ素子(電荷検出センサ)を搭載すれば、このデバイス3自身がホルムアルデヒドを分解して室内のホルムアルデヒド残量が下がった様子(空気清浄度)を直接計測することができる。また、この場合には、ギ酸デヒドロゲナーゼを加えずに、二酸化炭素よりも酸性度の強いギ酸の状態で電荷検出センサで検出することも可能である。
なお、図29(b)のように酵素を含む高粘度液状物60を貫通孔71cが形成された薄膜71aで被覆した球体を作成し、それを室内壁の塗料に含ませたり、あるいは壁紙の印刷中に取り込んだりすることも可能である。この用途の場合、デバイス形状は必ずしも球体である必要もなく、図29(c)のような半球状であっても構わない。
実施形態によれば、プローブ分子は、多環芳香族をもつ。
実施形態によれば、プローブ分子は、抗体、抗体の抗原認識部だけを切り出したフラグメント抗体、核酸、人工核酸、アプタマー、ペプチドアプタマー、酵素、補酵素、蛍光色素、PeT(Photoinduced electron Transfer)法に代表される電子移動型の蛍光プローブにおけるドナー構造およびフェニルボロン酸を含む化合物の少なくとも1つを含む。
実施形態によれば、開口のエッジの炭素はsp2結合している。
実施形態によれば、センサは、開口の近傍を除くグラフェン膜の表面を覆う保護膜を備えている。
実施形態によれば、プローブ分子は、抗体、アプタマー、ペプチドアプタマー、酵素、補酵素、抗体酵素、およびリボザイムの少なくとも1つを含む。
実施形態によれば、液状物は、多糖類、タンパク質、および界面活性剤の少なくとも1つを含む高粘度液体である。
実施形態によれば、液状物は、アルデヒド酸化酵素を含む。
実施形態によれば、貫通孔の直径が10nm以下である。
実施形態によれば、貫通孔の直径が3nm以下である。
実施形態によれば、センサ素子は、半導体FET(field effect transistor)上に感応膜が形成されたIS(ion sensitive)−FETである。
図1(a)に示すセンサ1、または図1(b)に示すセンサ3において、基板11とグラフェン膜21との間にゲート電極(バックゲート)を設けることができる。
図30は、例えば図1(b)に示すセンサ3にゲート電極BGを設けたセンサ3’の模式断面図である。下地の図示は省略する。
ゲート電極BGは、グラフェン膜21の下に設けられている。グラフェン膜21とゲート電極BGとの間にゲート絶縁膜15が設けられている。また、絶縁膜14が、第1電極51の表面および第2電極52の表面を覆っている。
図30に示すセンサ3’は、ソース電極としての第1電極51、ドレイン電極としての第2電極52、ゲート電極BG、ゲート絶縁膜15、およびチャネルとしてのグラフェン膜21を有するFET構造を有する。また、溶液57に電位を与える参照電極を設けてもよい。
図31(a)〜図32(b)は、センサ3’におけるId−Vg特性の一例を示すグラフである。Idはグラフェン膜21を通じて電極51と電極52との間を流れる電流値を表し、Vgはゲート電極BGのゲート電圧を表す。
例えば、検出対象の測定前に、第1電極51と第2電極52間に一定電圧を印加し、ゲート電極BGのゲート電圧Vgを増減し、電流値Idを測定する。その後、検出対象の測定中に同様の操作を行う。検出対象測定前のId−Vg特性を実線で表し、検出対象測定後のId−Vg特性を破線で表す。
測定前後のId−Vg特性の変化から、ゲート電極BG以外からグラフェン膜21に注入されたキャリア量、すなわちそのキャリアの注入源である検出対象の数を算出することができる。さらに、プローブ分子の検出対象に対する結合能を加味して、検出対象物の密度や濃度を算出することも可能である。
例えば、図31(a)に示すように、測定前後における、電流値Idが最小となるゲート電圧Vgの変化ΔVgを検出対象の検出評価に用いることができる。
または、図31(b)に示すように、測定前後における、Vg=0のときのIdの変化ΔIdを検出対象の検出評価に用いることができる。この場合、ゲート電圧Vgによる、液体57の加水分解や素子破壊を回避することができる。また、測定時間を短縮でき、消費電力を抑えることができる。
または、図32(a)に示す例のように、事前にIdのVg依存を取得しておくことも可能である。測定前に、Vg=0のときのIdと、Vg=0近傍の2点のVgでIdを計測して得られるΔId/ΔVgを記憶する。検出対象の測定時は、Vg=0のときのIdと、測定前の上記記憶データとから、測定後のId−Vg特性を取得することができる。測定時はVg=0のときのIdを計測するだけなので、素子破壊を回避し、測定時間を短縮でき、電力消費を抑えることができる。
図32(b)に示す例では、測定前に、Idの最小値Id_minと、ΔId/ΔVgを記憶する。検出対象の測定時は、Id_minを流したときのゲート電圧Vgを計測するだけなので、測定時間を短縮でき、電力消費を抑えることができる。
検出対象以外からのキャリア注入によるノイズを除去する目的で、温度センサ、pHセンサのようなセンサ素子を、前述した実施形態のセンサとともに下地上に混載することができる。また、図33に示すようなリファレンス素子4を、前述した図30に示すセンサ3’とともに下地上に混載することができる。このような別のセンサ素子を用いて、外環境(温度、湿度、pH、液層極性など)の影響を排除できる。
図33のリファレンス素子4においては、グラフェン膜21にプローブ分子が結合しておらず、ウェル56内におけるグラフェン膜21の表面が保護膜13で覆われている。
また、同じウェル56内に、グラフェン膜21にプローブ分子が結合した領域(検出対象捕獲領域)と、グラフェン膜21が保護膜13で覆われた領域(リファレンス領域)とを混在させることもできる。
図34は、センサ3’とリファレンス素子4のそれぞれにおける、検出対象測定前後のId−Vgシフトを表す図である。
検出対象の捕獲およびpH変動に伴う、センサ3’のId−Vgシフトは、(IiX-Ii)/(Iw-Ie)×Vaで評価することができる。
pH変動に伴うリファレンス素子4のId−Vgシフトは、(IiRX-IiR)/(IwR-IeR)×Vaで評価することができる。
そして、pH変動の影響を排除した検出対象の捕獲に伴うId−Vgシフトは、(IiX-Ii)/(Iw-Ie)−(IiRX-IiR)/(IwR-IeR)で評価することができる。
図35は、センサ3’のIdの変化(実線)と、リファレンス素子4のIdの変化(破線)を表す模式図である。横軸は時間軸を表す。
イニシャル状態においては、素子自体のばらつきによる差dが、センサ3’とリファレンス素子4との間にある。
グラフェン膜21にプローブ分子を固定するためにウェル56に反応溶媒を供給すると、その反応溶媒のpHに応答して、センサ3’とリファレンス素子4のそれぞれのIdがイニシャル状態からシフトする。さらに、プローブ分子が固定されるセンサ3’においては、そのプローブ分子の固定に伴ってIdがシフトする。
そして、検出対象を測定するために、ウェル56に検体液を供給すると、その検体液のpHに応答して、センサ3’とリファレンス素子4のそれぞれのIdがシフトする。さらに、センサ3’においては、プローブ分子に検出対象が捕獲されることに伴ってIdがシフトする。
センサ3’においてpHによるIdシフトの影響は、リファレンス素子4との差分によって補正することができる。
グラフェンを用いたセンサにおいて、ディラク点近傍の電子輸送特性を利用すると高感度に検出対象を検出することができる。一方で、測定雰囲気や検出対象の濃度などによってディラク点がシフトしてしまい、ディラク点近傍までゲート電圧をかけると絶縁膜が破壊する懸念がある。また、自由電子が十分に存在する領域では、検出対象の濃度に対する電気特性変化率が低くなり、検出対象の濃度に対する分解能が下がってしまうことが懸念される。
そこで、以下に示す実施形態では、グラフェン膜21の近傍に、グラフェン膜21中のキャリア量を制御するキャリア制御層を設けている。
図36は、グラフェン膜を用いたセンサにおいてキャリア制御層を設けた構造の模式断面図である。
基板11上に下地膜12が設けられ、下地膜12上にグラフェン膜21が設けられている。グラフェン膜21は、電極50に接している。
キャリア制御層41〜45が下地膜12の表面に設けられ、グラフェン膜21はキャリア制御層41〜45に接している。キャリア制御層41〜45は、グラフェン膜21の近傍例えば5nm程度(デバイ長相当分)の範囲内に設けられている。
キャリア制御層41〜45は、グラフェン膜21へのキャリア注入量が異なる複数の領域41〜45を有する。例えば、領域42は領域41よりもグラフェン膜21へのキャリア注入量が多く、領域43は領域42よりもグラフェン膜21へのキャリア注入量が多く、領域44は領域43よりもグラフェン膜21へのキャリア注入量が多く、領域45は領域44よりもグラフェン膜21へのキャリア注入量が多い。
図36において一対の電極50の間の領域を1つの素子とすると、図36には6つの素子が示される。その6つの素子のうち、左から3番目の素子には、キャリア制御層が設けられていない。
図37(a)は、図36に示すセンサにおける検出対象の測定前(実線)のId−Vg特性と、測定後(破線)のId−Vg特性を表す。
図36の6つの素子のキャリア量(チャージ量)に応じてId軸がシフトする。最も左のId軸は、図36において領域41をもつ素子に対応する。左から2番目のId軸は、図36において領域42をもつ素子に対応する。左から3番目のId軸は、図36においてキャリア制御層をもたない素子(左から3番目の素子)に対応する。左から4番目のId軸は、図36において領域43をもつ素子に対応する。左から5番目のId軸は、図36において領域44をもつ素子に対応する。最も右のId軸は、図36において領域45をもつ素子に対応する。
キャリア制御層がない素子(図37(a)において左から3番目のId軸)の場合、高いゲート電圧Vgをかけないとディラク点が評価できないが、例えば領域44をもつ素子(右から2番目のId軸)で評価をすれば、低いゲート電圧VgでもIdの変化率は大きい。キャリア量(チャージ量)の異なる複数の素子の中から、測定に使用する素子を適切に選択することで、周りの環境や検出対象濃度に左右されずに高感度検出が可能となる。
図37(b)は、検出対象の濃度の相違によるId−Vg特性を表している。例えば、検出対象の濃度が0%、1%、2%、3%のId−Vg特性を表す。また、図37(a)と同様、最も左のId軸は、図36において領域41をもつ素子に対応する。左から2番目のId軸は、図36において領域42をもつ素子に対応する。左から3番目のId軸は、図36においてキャリア制御層をもたない素子(左から3番目の素子)に対応する。左から4番目のId軸は、図36において領域43をもつ素子に対応する。左から5番目のId軸は、図36において領域44をもつ素子に対応する。最も右のId軸は、図36において領域45をもつ素子に対応する。
検出対象の濃度に応じて評価する素子を選択することで、幅広い濃度にわたって検出対象を高感度に測定できる。
下地膜12は例えば絶縁膜であり、その下地膜12の表面に例えばイオン注入法によりドーパントを注入することでキャリア制御層41〜45を形成することができる。キャリア制御層41〜45を形成した後、下地膜12上にグラフェン膜21を形成する。正孔を供給するドーパントしてボロン(B)を用いることができ、電子を供給するドーパントとしてリン(P)、ヒ素(As)を用いることができる。
または、SiO2膜などの下地膜12の表面に対する-OH終端処理や、Si-O-Si終端処理により、下地膜12の表面にキャリア制御層41〜45を形成することができる。
または、キャリア制御層41〜45として有機分子膜を用いることができる。例えば構造の異なる複数の分子膜を用いることで、グラフェン膜21へのキャリア注入量が異なる複数の領域41〜45を形成することができる。または、異なる密度をもつ、SAM(Self-Assembled Monolayer)のような表面単分子修飾で、グラフェン膜21へのキャリア注入量が異なる複数の領域41〜45を形成することができる。
前述した実施形態におけるグラフェン膜21を用いたセンサにおいて、グラフェン膜21の表面に超分子を設けることができる。
図38は、グラフェン膜21の表面に設けられた超分子100の模式斜視図である。
超分子100は、複数の分子が、非共有結合的な分子間相互作用で秩序だって集合した集合体であり、グラフェン膜21の表面に2次元配置されている。超分子100は、例えば、塗布法、蒸着法、スプレー法などによって、グラフェン膜21の表面に形成することができる。
超分子100を構成する分子として、例えば、Dehydrobenzo[12]annulene(DBA)-OC系の分子が挙げられる。DBA-OC系の超分子は、van der Waals interdigitationによって、グラフェン膜21の表面に自己整合形成することができる。
図39は、例えば、DBA-OC10の分子構造を表す図である。DBA-OC10は、OC10H21基を有する。
図38に示すように、超分子100の一部に、前述したようなプローブ分子31が結合している。超分子100によって、プローブ分子31の位置や密度が制御される。
例えばDBA-OC系の超分子100のOC結合の長さ(Cの数)を制御することで、複数のプローブ分子31の高密度形成が容易となる。これは、検出対象の捕獲確率を上げ、高感度分析を可能とする。
超分子100は、プローブ分子31が結合する第1の分子と、プローブ分子31が結合せず、第1の分子とは異なる種類の第2の分子との少なくとも2種類の分子を含むことができる。
プローブ分子のサイズによっては、プローブ分子の高密度配置はプローブ分子を不活性にする場合があり得る。このような場合、超分子100における上記第1の分子と第2の分子との割合を制御することでプローブ分子31の密度を制御し、プローブ分子31の活性を保ちつつ高密度配置による高感度検出が可能になる。
また、図40に示すように、プローブ分子は、第1のプローブ分子31と、第1のプローブ分子31とは異なる種類の第2のプローブ分子33とを含み、超分子100は、第1のプローブ分子31と結合する第1の分子と、第2のプローブ分子33と結合し、第1の分子とは異なる種類の第2の分子とを含むことができる。
超分子100における上記第1の分子と第2の分子との割合を制御することで、種類の異なる第1のプローブ分子31と第2のプローブ分子33との割合を制御することができる。
また、図41に示すように、超分子100は、プローブ分子31と結合する第1の分子と、ノイズ源ブロック分子(ブロック膜)32と結合し、第1の分子とは異なる種類の第2の分子とを含むことができる。
ノイズ源ブロック分子32は、プローブ分子31による検出対象とは異なる種類の物質(ノイズ源)の超分子100やグラフェン膜21への近接をブロックする分子であり、例えば疑似脂質系分子を用いることができる。
また、図42に示すように、超分子100を構成する分子間の隙間にプローブ分子34を配置することもできる。プローブ分子34は、超分子100の隙間を介して、グラフェン膜21に結合している。超分子100によって、グラフェン膜21に結合するプローブ分子34の位置や密度を制御することができる。
また、図43に示すように、超分子100の隙間にプローブ分子34を配置し、超分子100にはノイズ源ブロック分子32を配置することもできる。
また、図44に示すように、超分子100を構成する一部の分子の長さを変えて、超分子100内においてプローブ分子34を形成できる箇所を制御し、プローブ分子34の密度を制御することができる。
次に、図45(a)〜図46(c)を参照して、グラフェン膜21を用いた実施形態のセンサの具体的な使用方法の一例を説明する。
図45(a)に示す使用開始時の状態において、グラフェン膜21には、グラフェン膜21にプローブ分子を固定させるためのリンカー39が結合されている。リンカー39は例えば直鎖状の分子であり、リンカー39の先端には例えばマレイミド基が修飾されている。
次に、図45(b)に示すように、ブロッキング剤32を分散させた溶液91をグラフェン膜21上に供給する。ブロッキング剤32は、例えばリン脂質膜である。グラフェンは強い疎水性をもつため、リン脂質膜が速やかにグラフェン膜21の表面で自己組織化する。
グラフェン膜21の表面がブロッキング剤32で被覆された後、溶液91中に浮遊する余剰のブロッキング剤32を洗浄する。
次に、ブロッキング剤32の被覆状態(被覆率)をモニタする。例えば、第1電極(ソース電極)51と第2電極(ドレイン電極)52を同電位にして、それら電極51、52と、溶液91に接する上部電極54との電位差からブロッキング剤(リン脂質膜)32の抵抗を測定する。例えばリン脂質膜が正常に被覆されるとギガオーム級の高抵抗を示し、被覆欠陥があるとメガオーム級の抵抗を示す。
次に、図46(a)に示すように、プローブ分子31を分散させた溶液92をグラフェン膜21上に供給する。例えば、リンカー39の先端がマレイミド基で修飾され、プローブ分子31の末端がチオール基で修飾されている場合には、マレイミドとチオールの付加反応によりリンカー39にプローブ分子31が結合し、グラフェン膜21の表面近傍にプローブ分子31が固定される。
グラフェン膜21に固定されるプローブ分子31が増えていく様子は、グラフェンFETの電気特性によって、モニタすることができる。プローブ分子31が持つ電荷がグラフェン膜21に影響を与えてフェルミレベルがシフトするため、第1電極51と第2電極52間の電流(ソース・ドレイン間電流)が変化する。すべてのリンカー39にプローブ分子31が固定されると、ソース・ドレイン間電流の変化が飽和する。
次に、図46(b)に示すように、溶液92中に浮遊する余剰のプローブ分子31を洗浄する。その後、図46(c)に示すように、検体液93をグラフェン膜21上に供給し、ソース・ドレイン間電流を測定する。
検体液93中に標的とする分子(検出対象)200が存在した場合には、標的分子200はプローブ分子31に捕獲され、グラフェン膜21の表面近傍に固定されるため、標的分子200の電荷の影響でソース・ドレイン間電流が変動する。これにより、検体液93中の標的分子200の有無を検出することが可能である。
また、標的分子200の濃度が高いほど、プローブ分子31に捕獲される確率が高まるため、ソース・ドレイン間電流の変動が急峻となる。これにより、検体液93中の標的分子200の濃度を検出することが可能である。
プローブ分子を使って検体液中の標的分子の濃度を分析する技術としては、ELIZA(Enzyme-Linked Immuno Sorbent Assay)と呼ばれる方法が知られている。このELIZAに対して、グラフェンセンサを用いた上記方式では、工程フローを短縮できる。また、各工程の評価(ブロッキング剤の品質やプローブ分子の結合状態)をモニタすることが可能となるため、オペレータによる差が出にくく、再現性も高くなる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1,2,3,3’…センサ、10…下地、11…基板、12…下地膜、13…保護膜、21…グラフェン膜、22…開口、25…センサ素子、31,33,34,35…プローブ分子、32…ブロック分子、41〜45…キャリア制御層、60…液状物、61…酵素、71a…薄膜、71c…貫通孔、100…超分子
Claims (21)
- ジグザグエッジとアームチェアエッジのいずれかを支配的にもつ開口が形成されたグラフェン膜と、
前記グラフェン膜に電気的に接触し、検出対象との相互作用による前記グラフェン膜の電気的特性の変化を読み出すための少なくとも2つの電極と、
を備えたセンサ。 - 前記開口の概形は多角形であり、
前記多角形の辺に対応する部分に前記ジグザグエッジまたは前記アームチェアエッジが支配的に現れている請求項1記載のセンサ。 - 前記開口の概形は六角形である請求項2記載のセンサ。
- 前記グラフェン膜に吸着または結合したプローブ分子をさらに備えた請求項1〜3のいずれか1つに記載のセンサ。
- 少なくとも1つの開口が形成されたグラフェン膜と、
前記開口のエッジに結合したプローブ分子と、
前記グラフェン膜に電気的に接触し、前記プローブ分子と検出対象との会合、解離、または反応が生じた際の前記グラフェン膜の電気的特性の変化を読み出すための少なくとも2つの電極と、
を備え、
1つの前記開口には2つ以下の前記プローブ分子が結合しているセンサ。 - 前記グラフェン膜の表面に、前記開口のエッジに結合したプローブ分子とは異なる種類のプローブ分子が吸着または結合している請求項5記載のセンサ。
- 前記開口は、ジグザグエッジとアームチェアエッジの少なくともいずれかをもつ請求項5記載のセンサ。
- 前記プローブ分子は、前記開口の前記ジグザグエッジと前記アームチェアエッジのいずれか一方に結合している請求項4または7に記載のセンサ。
- 前記プローブ分子は、前記ジグザグエッジまたは前記アームチェアエッジに共有結合している請求項8記載のセンサ。
- 前記ジグザグエッジと前記アームチェアエッジの他方には、前記プローブ分子の結合をブロックするブロック分子が結合している請求項8記載のセンサ。
- 前記ジグザグエッジと前記アームチェアエッジのそれぞれに異なる種類のプローブ分子が結合している請求項4または7に記載のセンサ。
- 前記グラフェン膜の端部を覆う保護膜をさらに備えた請求項1〜11のいずれか1つに記載のセンサ。
- 表面電荷の変化を電気的に検出するセンサ素子と、
前記センサ素子の表面に接触して前記センサ素子上に設けられた液状物であって、特定の物質を選択的に認識する特性を持ったプローブ分子と水とを含む液状物と、
前記液状物を覆い、複数の貫通孔を有する薄膜と、
を備えたセンサ。 - 前記センサ素子は、グラフェン膜を含む請求項13記載のセンサ。
- 前記グラフェン膜の近傍に設けられ、前記グラフェン膜中のキャリア量を制御するキャリア制御層をさらに備えた請求項1〜12のいずれか1つに記載のセンサ。
- 前記キャリア制御層は、前記グラフェン膜へのキャリア注入量が異なる複数の領域を有する請求項15記載のセンサ。
- 前記グラフェン膜は下地膜上に設けられ、
前記下地膜に前記キャリア制御層が設けられている請求項15または16に記載のセンサ。 - グラフェン膜と、
前記グラフェン膜の表面に設けられた超分子と、
前記グラフェン膜および前記超分子の少なくとも一方に結合したプローブ分子と、
前記グラフェン膜に電気的に接触し、前記プローブ分子と検出対象との会合、解離、または反応が生じた際の前記グラフェン膜の電気的特性の変化を読み出すための少なくとも2つの電極と、
を備えたセンサ。 - 前記超分子は、
前記プローブ分子と結合する第1の分子と、
前記プローブ分子が結合せず、前記第1の分子とは異なる種類の第2の分子と、
を含む請求項18記載のセンサ。 - 前記プローブ分子は、
第1のプローブ分子と、
前記第1のプローブ分子とは異なる種類の第2のプローブ分子と、
を含み、
前記超分子は、
前記第1のプローブ分子と結合する第1の分子と、
前記第2のプローブ分子と結合し、前記第1の分子とは異なる種類の第2の分子と、
を含む請求項18記載のセンサ。 - 前記超分子は、
前記プローブ分子と結合する第1の分子と、
ノイズ源ブロック分子と結合し、前記第1の分子とは異なる種類の第2の分子と、
を含む請求項18記載のセンサ。
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