JP6904202B2 - キルンベコ発生検知システム及びキルンベコ発生検知方法 - Google Patents

キルンベコ発生検知システム及びキルンベコ発生検知方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6904202B2
JP6904202B2 JP2017187071A JP2017187071A JP6904202B2 JP 6904202 B2 JP6904202 B2 JP 6904202B2 JP 2017187071 A JP2017187071 A JP 2017187071A JP 2017187071 A JP2017187071 A JP 2017187071A JP 6904202 B2 JP6904202 B2 JP 6904202B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
kiln
beko
temperature
difference
areas
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017187071A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019060785A (ja
Inventor
宗人 原田
宗人 原田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Mining Co Ltd filed Critical Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority to JP2017187071A priority Critical patent/JP6904202B2/ja
Publication of JP2019060785A publication Critical patent/JP2019060785A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6904202B2 publication Critical patent/JP6904202B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Materials Using Thermal Means (AREA)
  • Muffle Furnaces And Rotary Kilns (AREA)

Description

本発明は、ロータリーキルンの内壁における付着物(ベコ)の発生を検知するキルンベコ発生検知システム及び検知方法に関する。
ロータリーキルン(以下、単に「キルン」ともいう)は、工業的に大量の原料を均一に高温熱処理するプロセスにおいて重要な役割を果たす設備であり、例えばセメント工業では殆どロータリーキルンを使用してセメントの焼成を行っている。このほか窯業、非鉄、鉄鋼、化学工業におけるプロセスや廃棄物焼却の処理等、あらゆる分野でロータリーキルンが使用されている。
ところが、ロータリーキルンを用いた操業において問題となる事項の一つとして、キルン内壁を構成するレンガに、いわゆる「ベコ」(以下、「キルンベコ」ともいう)と呼ばれる装入原料の付着物が発生する点が挙げられる。ベコは、時間が経つにつれて大きくなるため、そのベコ自体がキルン内に装入される原料の移動の妨げとなってしまう。
そのため、定期的にロータリーキルンの操業を停止してベコを取り除く作業を行う必要がある。また、キルン内壁に付着したベコが大きくなればなるほど、取り除くための作業時間が長くなり、作業コストも高くなるため、さらに操業を停止させる時間も長くなる。
例えば、特許文献1には、ロータリーキルンにおけるベコ付着を抑制する方法として、装入物に炭素質液体や固体を添加する方法が開示されている。また、特許文献2には、付着したベコを除去するための羽根を備える構造体を挿入してベコを抑制する技術が開示されている。また、特許文献3には、乾燥させたフェロニッケル鉱石を塊鉱と粉鉱とに分別し、それらをペレットにしてロータリーキルンに装入することで、ベコ発生を防ぐ技術が開示されている。
しかしながら、このようなロータリーキルン内のベコは、いつ発生したものであるのか、キルン内のどこで発生しているか等について明確に把握できておらず、ロータリーキルンの操業を停止させた後に、作業者がキルン排出側に設けた点検口から覗き込んだり、炉内カメラを使用する等して、定期的に確認するしか方法がなかった。このことから、キルン排出側の近傍のみしかベコ発生を正確に把握できないことも多く、例えばキルンの中央付近におけるベコ発生を正確に確認することは困難であった。また、このようにベコの発生時期や発生場所を正確に把握できないことにより、ベコの除去作業にも時間がかかってしまい、その結果作業時間が長期化して、操業効率を低下させる原因にもなっていた。
特開昭53−30903号公報 特開昭53−30904号公報 特開昭53−45603号公報
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、ロータリーキルン内におけるベコの発生タイミングや発生場所を的確に把握することを可能にするキルンベコ発生検知システム及び検知方法を提供することを目的とする。
(1)本発明の第1の発明は、ロータリーキルンの内壁における付着物(ベコ)の発生を検知するキルンベコ発生検知システムであって、前記ロータリーキルンを軸方向に沿って所定の長さの連続する複数のエリアに分け、該エリアごとに該エリア内のキルン外表面の温度を経時的に測定するサーモカメラ部と、前記サーモカメラ部により測定された前記エリア内におけるキルン外表面の最低温度を経時的に計測する計測部と、前記計測部により前記複数のエリアのそれぞれにおいて経時的に計測された最低温度に基づき、隣り合うエリア同士の該最低温度の差分を算出し、該差分の温度値が所定の設定値以上であるか否かを判定する制御部と、を備える、キルンベコ発生検知システムである。
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記制御部は、前記最低温度の差分の温度値が所定の設定値以上であると判定した場合、該最低温度を示す2つのエリアのうちの最低温度が低いエリアにおいてベコが発生していると判断する、キルンベコ発生検知システムである。
(3)本発明の第3の発明は、第1又は2の発明において、前記制御部は、前記最低温度の差分の温度値が所定の設定値以上であると判定した場合、該差分の温度値が所定の設定値以上となった時点をベコが発生し始めた時点であると判断する、キルンベコ発生検知システムである。
(4)本発明の第4の発明は、第1乃至第3のいずれかの発明において、前記制御部での判定結果に基づいてベコの発生を報知する警報部をさらに備える、キルンベコ発生検知システムである。
(5)本発明の第5の発明は、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記計測部にて計測した前記エリアにおけるキルン外表面の最低温度を経時的に表示する表示部をさらに備える、キルンベコ発生検知システムである。
(6)本発明の第6の発明は、第5の発明において、前記表示部はさらに、前記制御部にて算出した、前記最低温度の差分の温度値を経時的に表示する、キルンベコ発生検知システムである。
(7)本発明の第7の発明は、第1乃至第6のいずれかの発明において、前記複数のエリアは、前記ロータリーキルンの炉前側の所定箇所から炉尻側に向かって、軸方向に2mの長さで連続して設定されている、キルンベコ発生検知システムである。
(8)本発明の第8の発明は、第1乃至第7のいずれかの発明において、前記差分の温度値に関する前記所定の設定値は35度である、キルンベコ発生検知システムである。
(9)本発明の第9の発明は、ロータリーキルンの内壁における付着物(ベコ)の発生を検知するキルンベコ発生検知方法であって、前記ロータリーキルンを軸方向に沿って所定の長さの連続する複数のエリアに分け、該複数のエリアごとに該エリア内のキルン外表面の温度を測定し、測定された前記エリア内におけるキルン外表面の最低温度を経時的に計測し、前記複数のエリアのそれぞれにおいて経時的に計測された最低温度に基づき、隣り合うエリア同士の該最低温度の差分を算出し、該差分の温度値が所定の設定値以上であるか否かを判定する、キルンベコ発生検知方法である。
本発明によれば、ロータリーキルン内におけるベコの発生タイミングや発生場所を的確に把握することを可能にするキルンベコ発生検知システム及び検知方法を提供することができる。
キルンベコ発生検知システムの構成を示すブロック図である。 (A)は、ロータリーキルンの外表面の所定の4つのエリアのそれぞれにおける最低温度の8時間に亘る計測結果を示すグラフ図であり、(B)は、(A)と対応する時間における、隣り合うエリア同士の最低温度の差分の温度値をそれぞれ算出した結果を示すグラフ図である。 (A)は、ロータリーキルンの外表面の所定の4つのエリアのそれぞれにおける最低温度の8時間に亘る計測結果を示すグラフ図であり、(B)は、(A)と対応する時間における、隣り合うエリア同士の最低温度の差分の温度値をそれぞれ算出した結果を示すグラフ図である。 (A)は、ロータリーキルンの外表面の所定の4つのエリアのそれぞれにおける最低温度の8時間に亘る計測結果を示すグラフ図であり、(B)は、(A)と対応する時間における、隣り合うエリア同士の最低温度の差分の温度値をそれぞれ算出した結果を示すグラフ図である。 (A)は、ロータリーキルンの外表面の所定の4つのエリアのそれぞれにおける最低温度の8時間に亘る計測結果を示すグラフ図であり、(B)は、(A)と対応する時間における、隣り合うエリア同士の最低温度の差分の温度値をそれぞれ算出した結果を示すグラフ図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
≪1.キルンベコ発生検知システム≫
本実施の形態に係るキルンベコ発生検知システムは、ロータリーキルンの内壁における付着物(ベコ)の発生を検知するシステムである。
ロータリーキルンは、例えば、内径が4.0m〜5.0m、全長(軸方向の長さ)が90m〜110m程度の回転炉であり、原料装入物を、装入端(炉尻)から装入し、下方に緩やかに傾斜した排出端(炉前)に向かって移動させながら加熱する。ロータリーキルンの炉前には、バーナーが設けられており、そのバーナーによる加熱によって装入物が加熱される。このようなロータリーキルンにおいては、操業に伴って、原料装入物がバーナーの加熱により熔融してしまうと、耐火煉瓦等により構成される炉壁(内壁)に、いわゆる「ベコ」と呼ばれる付着物になることがある。キルンベコ発生検知システムは、ロータリーキルンの内壁のいずれかの場所におけるベコの発生を検知するものである。
ここで、ロータリーキルンの所定の箇所の内壁でベコが発生した場合、バーナーにより加熱されているロータリーキルンの内部の温度の外表面への伝達は、ロータリーキルンの場所によって相違が生じる。すなわち、内壁にベコが生じると、ベコを含めた外表面までの炉壁の厚みが増加するため、ベコが発生していない状態(正常操業時の状態)と比べると外表面の温度が低くなる。
そのことから、本発明者は、操業中のロータリーキルンの外表面の温度に着目し、ロータリーキルンの外表面を複数の領域(エリア)に分け、各エリアにおける温度を測定した。その結果、ベコが発生していない正常操業時においては、各エリアの温度傾向は、最高温度、最低温度、平均温度のそれぞれで一定の傾向があることが分かった。そして、ベコがロータリーキルンの軸方向の所定の箇所で発生したときの温度データを収集し、正常操業時の温度データと比較すると、ベコが発生したときの外表面温度における最低温度の値が極端に低くなっていることを見出した。また、ベコの発生時点から時間が経るに従って、正常操業時のデータとの最低温度の温度差が広がっていくことを見出した。
具体的に、図1は、本実施の形態に係るキルンベコ発生検知システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、キルンベコ発生検知システム1は、ロータリーキルン2の外表面の温度を測定するサーモカメラ部11と、キルン2の外表面の温度を経時的に計測する計測部12と、計測部12により計測された温度に基づきベコの発生を判定する制御部13と、を備える。
また、キルンベコ発生検知システム1は、制御部13での判定結果に基づいてベコの発生を報知する警報部14と、計測部12により経時的に計測された温度等を表示する表示部15と、を備える。
なお、上述したロータリーキルンのサイズは、あくまでも一例であり、いずれの大きさのキルンであっても、本実施の形態に係るキルンベコ発生検知システムを適用できる。
[サーモカメラ部]
サーモカメラ部11は、撮像対象であるロータリーキルン2の外表面から放射される赤外線を分析して温度を測定する。サーモカメラ部11は、公知の赤外線サーモグラフィにより構成することができ、キルン2の外表面の温度を熱分布として認識可能にする。
キルンベコ発生検知システム1においては、ロータリーキルン2を軸方向に沿って所定に長さの連続する複数のエリアに分ける。そして、サーモカメラ部11では、設定された複数のエリアごとにそのエリア内のキルン外表面2Sの温度をそれぞれ測定する。
具体的に、図1では、ロータリーキルン2の炉前2F側の所定の箇所から炉尻2R側に向かって、外表面2Sを10のエリア(A1〜A10)に分けてエリア設定した例を示している。この例では、最も炉前2F側にあるエリアA1が炉前の端部から4.5〜6.5mの範囲領域に、エリアA2が炉前の端部から7.0〜9.0mの範囲領域に、エリアA3が炉前の端部から9.0〜11.0mの範囲領域に、以降エリア10まで、それぞれが軸方向に2mの長さ範囲の領域エリアとして連続して設定されている。なお、それぞれのエリア領域の長さは2mに限られず、ロータリーキルン2の全長やサーモカメラ部11の撮像範囲等に応じて適宜調整することが好ましい。
サーモカメラ部11は、ロータリーキルン2の操業中において、キルン外表面2Sにて設定した複数のエリアA1〜A10のそれぞれの温度を経時的に測定し、測定温度に関する情報を計測部12に送信する。なお、サーモカメラ部11は、上述したように、経時的に外表面2Sの温度を測定していることから、ロータリーキルン2の操業期間中においては常時計測部12に測定温度情報が送信され、時間連続的な温度測定値が収集される。
[計測部]
計測部12は、サーモカメラ部11と電気的に接続されており、サーモカメラ部11により測定された、キルン外表面2SのそれぞれのエリアA1〜A10内での測定温度情報を受信し、その測定温度情報に基づいてエリアA1〜A10ごとにおいての最低温度を経時的に計測する。
ロータリーキルン2の外表面2Sにて設定されたエリアA1〜A10は、少なくとも軸方向に所定の長さ(例えば2m)の領域を持ったものである。そのことから、計測部12では、サーモカメラ部11により測定された各エリアA1〜A10の熱分布(温度分布)の情報に基づいて、経時的に、エリアA1〜A10ごとの最低温度、最高温度、平均温度を計測することができる。
上述のように本発明者の検討により、ロータリーキルン2の軸方向の所定の箇所における内壁にベコが発生すると、ベコが発生していない正常操業時と比べて、その箇所(エリア)におけるキルン外表面2Sの最低温度が顕著に変化することが見出された。そこで、キルンベコ発生検知システム1では、計測部12にてエリアA1〜A10ごとの最低温度を計測し、後述する制御部13にてその最低温度の値に基づきベコの発生を判定する。
[制御部]
制御部13は、計測部12と電気的に接続されており、計測部12により複数のエリアA1〜A10のそれぞれにおいて経時的に計測された最低温度に関する情報を常時受信し、その最低温度の値に基づいてロータリーキルン2内のベコの発生を判定する。具体的には、複数のエリアA1〜A10のそれぞれにおいて経時的に計測された最低温度に基づいて、所定の隣り合うエリア同士での最低温度の差分を常時算出し、その差分の温度値が所定の設定値以上であるか否かを判定する。
そして、最低温度の差分の温度値が設定値以上であると判定した場合、ロータリーキルン2におけるベコの発生箇所やベコの発生タイミングを判断する。
ここで、ロータリーキルン2の軸方向の所定の箇所の内壁にベコが発生している場合、その箇所に相当する外表面2Sのエリア(例えばエリアA7)と、そのエリアと隣り合うエリア(例えばエリアS6)とのそれぞれにおける最低温度には違いが生じる。このことから、隣り合うエリア同士において計測された最低温度を比較することによって、ベコの発生を的確に検知することができる。また、このようにロータリーキルン2の外表面2Sを複数のエリアA1〜A10で区分けして隣り合うエリア同士で比較することで、温度差が生じた場合に、より最低温度が低い方のエリアにおいてベコが発生していると判断することができ、ベコの発生箇所を明確に把握することができる。
このように、制御部13では、最低温度の差分の温度値が所定の設定値以上であると判定した場合、その最低温度を示す2つのエリアのうちの最低温度が低いエリアにおいてベコが発生していると判断する。
また、単にそれぞれのエリアの最低温度(温度の絶対値)の高低ではなく、その隣り合うエリア同士の最低温度の「差分」を算出し、その差分の温度値が設定値以上であるか否かを判定することを特徴としている。これにより、通常屋外に設置されるロータリーキルン2において降雨等により外表面温度が低下したときでも、差分の温度値と所定の設定値との比較から判定することで、安定的にベコの発生を判断することができる。さらに、ロータリーキルン2の内部及び外表面2Sの温度は、炉前に設けられたバーナーの火炎の到達距離等に応じて、それぞれの場所ごとによって異なることから、所定のエリアの最低温度の高低で判断するのではなく、隣り合うエリア同士の最低温度の差分に基づいて判断することで、的確にベコの発生を把握することができる。
さらに、所定の設定値を基準として最低温度の差分の値を判定していることから、ベコの発生タイミング(いつの時点でベコが発生したか)について判断することができる。つまり、経時的に算出される差分の温度値と基準である設定値とを比較し、その差分の温度値が設定値以上になったか否かの簡易かつ明確な方法により、その設定値以上となった時点をベコの発生開始時点と判断することができる。
このように、制御部13では、最低温度の差分の温度値が所定の設定値以上であると判定した場合、その差分の温度値が所定の設定値以上となった時点をベコが発生し始めた時点であると判断する。
所定の設定値は、特に限定されず、ロータリーキルン2内の加熱温度等に応じて適宜設定することが好ましいが、例えば35度程度にすることができる。つまり、制御部13は、所定の設定値として予め「35度」と設定し、隣り合うエリア同士の最低温度の差分の温度値が35度以上であるか否かを判定する。そして、差分の温度値が35度以上であれば、ベコが発生していると判断する。
[警報部]
警報部14は、制御部13での判定結果に基づいてベコの発生を報知する。すなわち、警報部14は、制御部13において所定の隣り合うエリア同士の最低温度の差分の温度値が設定値以上であると判定したとき、その判定情報を受信して、ロータリーキルン2においてベコが発生していることを報知する。
警報部14における具体的な報知手段としては、特に限定されず、例えば、サイレンを発するようにしてもよく、後述する表示部15に表示するようにしてもよい。
また、警報部14では、制御部13において最低温度の差分の温度値が所定の設定値以上であると判定し、特定のエリアにおいてベコが発生していると判断された場合には、例えば表示部15にロータリーキルン2の概観を示して、設定した複数のエリアA1〜A10におけるベコ発生エリアを明示する(例えば、表示部15に表示したエリア領域を点滅、変色させる等)ようにすることもできる。さらに、制御部13において最低温度の差分の温度値が所定の設定値以上であると判定し、ベコが発生し始めた時点が判断された場合には、例えば表示部15にベコ発生エリアを明示するとともに、ベコ発生時刻やベコ発生からの経過時間を明示するようにすることもできる。
[表示部]
表示部15は、例えばモニター等により構成され、種々の情報を電子的に明示する。
具体的に、表示部15は、計測部12と電気的に接続されており、計測部12にて経時的に計測されているそれぞれのエリアA1〜A10におけるキルン外表面2Sの最低温度を表示する。計測部12からは経時的な温度情報が送信されることから、表示部15ではその受信情報に基づいて、経時的な最低温度に関する情報が表示される。詳しくは後述するが、図2(A)〜図5(A)は、表示部15により、エリアA5〜A8における8時間に亘る最低温度を示したときの例である。
また、表示部15は、制御部13と電気的に接続されており、制御部13にて算出した、隣り合うエリア同士の最低温度の差分の温度値を経時的に表示する。計測部12から経時的な最低温度に関する情報を受信する制御部13においても、経時的に所定の隣り合うエリア同士の最低温度の差分が算出されることから、その常時算出される差分の温度値が表示部15に送信され、表示部15では経時的なその差分の温度値が表示される。詳しくは後述するが、図2(B)〜図5(B)は、表示部15により、エリアA5〜A8における8時間に亘る最低温度の差分の値(差分の温度値)を示したときの例である。
なお、上述したように、表示部15においては、制御部13及び警報部14からの情報に基づいて、ロータリーキルン2内にベコが発生したことを報知する報知情報を表示するようにしてもよい。報知情報としては、ベコが発生したことを知らせる注意情報や、ベコが発生したエリア情報、ベコが発生した時刻情報、ベコ発生時からの経過時間情報等が挙げられる。
≪2.キルンベコ発生検知の方法の具体例≫
次に、上述したキルンベコ発生検知システム1を用いたベコ発生検知の方法の具体例を示してキルンベコ発生検知方法について説明する。
本実施の形態に係る方法においては、先ず、ロータリーキルン2を軸方向に沿って所定の長さの連続する複数のエリアA1〜A10に分け、その複数のエリアA1〜A10ごとにエリア内のキルン外表面2Sの温度を測定する。次に、測定されたエリア内におけるキルン外表面2Sの最低温度を経時的に計測する。そして、複数のエリアA1〜A10のそれぞれにおいて経時的に計測された最低温度に基づき、隣り合うエリア同士の最低温度の差分を算出し、その差分の温度値が所定の設定値以上であるか否かを判定する。
ここで、図2(A)は、ロータリーキルン2のキルン外表面2Sを軸方向に沿って2mずつの長さの領域で連続的に10のエリア(エリアA1〜A10)に分けたときの、エリアA5、エリアA6、エリアA7、エリアA8のそれぞれにおける最低温度の8時間に亘る計測結果を示すグラフ図である。また、図2(B)は、図2(A)と対応する時間における、隣り合うエリアA5とエリアA6との最低温度の差分の温度値、隣り合うエリアA6とエリアA7との最低温度の差分の温度値、隣り合うエリアA7とエリアA8との最低温度の差分の温度値、をそれぞれ算出した結果を示すグラフ図である。
また、図3(A)は、同じエリアA5〜A8のそれぞれにおける最低温度の別の日の8時間に亘る計測結果を示すグラフ図であり、図3(B)は、図3(A)と対応する時間における、隣り合うエリア同士の最低温度の差分の温度値をそれぞれ算出した結果を示すグラフ図である。
この図2、図3に示す最低温度の計測結果は、ロータリーキルン2内にベコが発生していない通常操業時におけるデータである。図2(A)、図3(A)に示すように、同じエリアA5〜A8であっても、それぞれの時間において、計測される最低温度が異なることが分かる。一方で、ベコが発生していない通常操業時では、隣り合うエリア同士の最低温度の差分の温度値に大きな変化はなく、概ね35度以内の温度に留まっている。
これに対し、図4は、ロータリーキルン2内にベコが発生しているときにおけるデータである。(A)は、エリアA5、エリアA6、エリアA7、エリアA8のそれぞれにおける最低温度の8時間に亘る計測結果を示すグラフ図であり、(B)は、対応する時間における、隣り合うエリア同士の最低温度の差分の温度値をそれぞれ算出した結果を示すグラフ図である。そして特に、図4(B)のグラフから分かるように、隣り合うエリアA6とエリアA7との最低温度の差分の温度値が40度近くになっている。これは、図2や図3に示した、同じエリア(エリアA6とエリアA7)における最低温度の差分の温度値よりも明らかに大きくなっている。
例えば、所定の設定値を35度と設定したとき、隣り合うエリアA6とエリアA7との最低温度の差分の温度値が40度を超えていることから、図4(A)に基づき、より最低温度が低いエリアA7において少なくともベコが発生していると判断することができる。
また同様に、図5は、ロータリーキルン2内にベコが発生しているときにおけるデータである。(A)は、エリアA5、エリアA6、エリアA7、エリアA8のそれぞれにおける最低温度の8時間に亘る計測結果を示すグラフ図であり、(B)は、対応する時間における、隣り合うエリア同士の最低温度の差分の温度値をそれぞれ算出した結果を示すグラフ図である。そして特に、図5(B)のグラフから分かるように、隣り合うエリアA6とエリアA7との最低温度の差分の温度値が40度近くになっている。また、隣り合うエリアA5とエリアA6との最低温度の差分の温度値についても、8時間の時間経過において1.5時間を経たあたりから、その差分の温度値が35度を超えるようになっている。
このことから、図5(A)に基づき、より最低温度が低いエリアA7、エリアA6において少なくともベコが発生していると判断することができる。さらに、隣り合うエリアA5とエリアA6との最低温度の差分の温度値が、1.5時間経過時点で35度を超えるようになったことから、エリアA6におけるベコ発生の開始時点は、その1.5時間経過時点であると判断することができる。
なお、それぞれのエリアA5〜A8における最低温度の計測はキルンベコ発生検知システム1における計測部12にて行われ、最低温度の差分の温度値の算出は制御部13にて行われる。また、その図2〜図5に示したような表示は、キルンベコ発生検知システム1における表示部15にて行われる。ここで、図2(A)〜図5(A)において、縦軸方向に幅を持った帯状の最低温度のグラフとなるのは、1秒周期で測定されるサーモカメラ部11の測定結果に基づいて計測部12にて最低温度を計測したことから、1秒ごとの累積の最低温度となるため幅を持った帯状に表示されることによる。
以上のように、本実施の形態においては、キルンベコ発生検知システム1を用いて、ロータリーキルンを軸方向に沿って所定の長さの連続する複数のエリアに分け、その複数のエリアごとにエリア内のキルン外表面の温度を測定し、測定されたエリア内におけるキルン外表面の最低温度を経時的に計測し、複数のエリアのそれぞれにおいて経時的に計測された最低温度に基づき、隣り合うエリア同士の最低温度の差分を算出し、その差分の温度値が所定の設定値以上であるか否かを判定する。そして、最低温度の差分の温度値が所定の設定値以上であると判定した場合、その最低温度を示す2つのエリアのうちの最低温度が低いエリアにおいてベコが発生していると判断する。また、最低温度の差分の温度値が所定の設定値以上であると判定した場合、その差分の温度値が所定の設定値以上となった時点をベコが発生し始めた時点であると判断する。
このような方法によれば、ロータリーキルン2内におけるベコの発生タイミングや、発生場所を的確に把握することができる。これにより、従来のように作業者が点検口から覗き込んだり、炉内カメラを使用する等して定期的に確認することなく、ベコの発生状況を的確に把握することができ、ベコを除去するためにロータリーキルン2の操業を停止する時間を短縮させることができる。
さらに、事前にベコの発生場所を含めた発生状況を的確に把握することができるため、ベコを除去するための最適な方法やベコの発生を抑制し得るロータリーキルン2の操業方法を適宜選択することができる。例えば、炉前2F付近にベコ発生が確認できれば、その炉前2Fに設けられた点検口から除去作業を行うことができ、また、作業に要する時間やコストを予測することができる。また、例えば、炉尻2R側にベコ発生が確認できれば、以後の操業において炉前2Fからのバーナーの火炎の到達位置を変更するといった操業の変更を行うことができる。
1 キルンベコ発生検知システム
2 ロータリーキルン
2S キルン外表面
2F 炉前
2R 炉尻
11 サーモカメラ部
12 計測部
13 制御部
14 警報部
15 表示部

Claims (9)

  1. ロータリーキルンの内壁における付着物(ベコ)の発生を検知するキルンベコ発生検知システムであって、
    前記ロータリーキルンを軸方向に沿って所定の長さの連続する複数のエリアに分け、該エリアごとに該エリア内のキルン外表面の温度を経時的に測定するサーモカメラ部と、
    前記サーモカメラ部により測定された前記エリア内におけるキルン外表面の最低温度を経時的に計測する計測部と、
    前記計測部により前記複数のエリアのそれぞれにおいて経時的に計測された最低温度に基づき、隣り合うエリア同士の該最低温度の差分を算出し、該差分の温度値が所定の設定値以上であるか否かを判定する制御部と、を備える
    キルンベコ発生検知システム。
  2. 前記制御部は、前記最低温度の差分の温度値が所定の設定値以上であると判定した場合、該最低温度を示す2つのエリアのうちの最低温度が低いエリアにおいてベコが発生していると判断する
    請求項1に記載のキルンベコ発生検知システム。
  3. 前記制御部は、前記最低温度の差分の温度値が所定の設定値以上であると判定した場合、該差分の温度値が所定の設定値以上となった時点をベコが発生し始めた時点であると判断する
    請求項1又は2に記載のキルンベコ発生検知システム。
  4. 前記制御部での判定結果に基づいてベコの発生を報知する警報部をさらに備える
    請求項1乃至3のいずれかに記載のキルンベコ発生検知システム。
  5. 前記計測部にて計測した前記エリアにおけるキルン外表面の最低温度を経時的に表示する表示部をさらに備える
    請求項1乃至4のいずれかに記載のキルンベコ発生検知システム。
  6. 前記表示部はさらに、前記制御部にて算出した、前記最低温度の差分の温度値を経時的に表示する
    請求項5に記載のキルンベコ発生検知システム。
  7. 前記複数のエリアは、前記ロータリーキルンの炉前側の所定箇所から炉尻側に向かって、軸方向に2mの長さで連続して設定されている
    請求項1乃至6のいずれかに記載のキルンベコ発生検知システム。
  8. 前記差分の温度値に関する前記所定の設定値は35度である
    請求項1乃至7のいずれかに記載のキルンベコ発生検知システム。
  9. ロータリーキルンの内壁における付着物(ベコ)の発生を検知するキルンベコ発生検知方法であって、
    前記ロータリーキルンを軸方向に沿って所定の長さの連続する複数のエリアに分け、該複数のエリアごとに該エリア内のキルン外表面の温度を測定し、
    測定された前記エリア内におけるキルン外表面の最低温度を経時的に計測し、
    前記複数のエリアのそれぞれにおいて経時的に計測された最低温度に基づき、隣り合うエリア同士の該最低温度の差分を算出し、該差分の温度値が所定の設定値以上であるか否かを判定する
    キルンベコ発生検知方法。
JP2017187071A 2017-09-27 2017-09-27 キルンベコ発生検知システム及びキルンベコ発生検知方法 Active JP6904202B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017187071A JP6904202B2 (ja) 2017-09-27 2017-09-27 キルンベコ発生検知システム及びキルンベコ発生検知方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017187071A JP6904202B2 (ja) 2017-09-27 2017-09-27 キルンベコ発生検知システム及びキルンベコ発生検知方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019060785A JP2019060785A (ja) 2019-04-18
JP6904202B2 true JP6904202B2 (ja) 2021-07-14

Family

ID=66177246

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017187071A Active JP6904202B2 (ja) 2017-09-27 2017-09-27 キルンベコ発生検知システム及びキルンベコ発生検知方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6904202B2 (ja)

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0212044A (ja) * 1988-06-30 1990-01-17 Nkk Corp 赤外線カメラによる欠陥部の検出方法
JPH09310834A (ja) * 1996-05-24 1997-12-02 Mitsubishi Heavy Ind Ltd ロータリーキルンの燃焼制御方法
JP3947609B2 (ja) * 1998-02-16 2007-07-25 太平洋セメント株式会社 ロータリーキルンの操業制御方法及び装置
JP5235308B2 (ja) * 2007-01-25 2013-07-10 三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社 外熱式ロータリーキルン

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019060785A (ja) 2019-04-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7565416B2 (ja) 特に溶融金属用の冶金容器の耐火物ライニングの状態を決定するための方法
US9139377B2 (en) Method and control and tracking system of the charge of material transported by a continuous supply conveyor of a metallurgical furnace, particularly an electric furnace for the production of steel
WO1999017106A1 (en) Method for monitoring the wear and extending the life of blast furnace refractory lining
JP2008115408A (ja) 溶解装置
JP6904202B2 (ja) キルンベコ発生検知システム及びキルンベコ発生検知方法
JP6165656B2 (ja) 炉内耐火物の寿命予測方法
JP2008145141A (ja) 高炉の炉内状況推定方法
KR101412403B1 (ko) 고로의 장입물 강하 판단 방법
JP4157951B2 (ja) 高炉炉口部の装入物分布制御方法
JP5906945B2 (ja) 取鍋の漏鋼防止方法
JP2008116066A (ja) 電気炉の操業方法
JP5599358B2 (ja) 溶鋼鍋の管理方法
JP6466827B2 (ja) 還元鉄の製造装置
JP2020066759A (ja) 高炉操業方法
JP2021131222A (ja) 投原管詰まりの検知方法、投原管詰まりの解消方法、及び、熔融設備
JP6981028B2 (ja) 炉内温度計測方法及び炉内監視システム
JP2008223121A (ja) 高炉シャフト上部炉壁面の補修方法
CN106312032B (zh) 在线钢包安全残厚标示方法
RU2395773C1 (ru) Способ контроля и управления процессом восстановления обмазки на футеровке вращающейся обжиговой печи
JP2005326070A (ja) 原料焼成装置
JP2016085202A (ja) 耐火物の寿命予測方法
CN117146588A (zh) 感应炉和感应炉的状态获取方法
JPH03223658A (ja) 耐火物の表面状況監視方法および耐火物の補修時期判定装置
JP2008223120A (ja) 高炉シャフト上部の炉壁面状態評価方法
JP2002038210A (ja) 高炉炉壁付着物厚み測定装置及び高炉の操業方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200522

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210514

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210525

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210607

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6904202

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150