JP6903324B2 - 水素製造用触媒、その製造方法、および、それを用いた水素製造装置 - Google Patents

水素製造用触媒、その製造方法、および、それを用いた水素製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、水素製造用触媒、その製造方法、および、それを用いた水素製造装置に関する。
燃料電池の燃料となる水素は、水蒸気改質反応により、例えば、メタンガスを高温で水蒸気と反応させることで製造される。近年では、燃料電池自動車の普及に向けて、小型の水素製造装置の開発がなされており、これに併せて、低い温度領域でも高い触媒活性を示す水素製造用触媒が求められている。
金属フォームに代表される多孔質金属は、高熱伝導性、ガス流体の高透過性、高比表面積、機械的耐衝撃性、耐久性、耐熱性等の特徴を有し、種々の分野で研究されている。このような多孔質金属は、ペレット型の触媒に比べて、圧力損失が小さく、透過性と伝熱性とに優れるため、触媒への応用が期待されている。
多孔質金属を用いた水素製造用触媒が開発されている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1は、板状の金属多孔体にルテニウムまたはルテニウムを含有する合金からなる触媒物質を担持させた水蒸気改質触媒を開示する。しかしながら、ルテニウムは高価な金属であるため、より安価に触媒を提供できることが望ましい。
特開2002−028490号公報
本発明の課題は、1173K以下の温度領域においても高い触媒活性を有する水素製造用触媒、その製造方法およびそれを用いた水素製造装置を提供することである。
本はの水素製造用触媒は、多孔質金属と、前記多孔質金属の表面に担持された金属粒子からなる金属活性層とを備え、前記金属粒子は、少なくとも、Ni、Rh、Pt、Pd、Ir、FeおよびCoからなる群から少なくとも1つ選択される元素を含み、これにより上記課題を解決する。
前記元素は、Niであってもよい。
前記金属粒子は、Re、Mn、Mo、W、Cr、Ta、Hf、Os、Sn、Zn、La、Ce、Mg、Al、SiおよびCuからなる群から少なくとも1つ選択されるさらなる元素を含んでもよい。
前記さらなる元素は、Reであってもよい。
前記金属粒子は、前記元素と前記さらなる元素とからなる合金であり、前記元素は、1wt%以上100wt%未満の範囲で含有され、前記さらなる元素は、0wt%より多く99wt%以下の範囲で含有されてもよい。
前記元素は、30wt%以上95wt%以下の範囲で含有され、前記さらなる元素は、5wt%以上70wt%以下の範囲で含有されてもよい。
前記多孔質金属は、ニッケル、ニッケル基合金、ステンレスおよび鉄基合金からなる群から選択される材料を主成分としてもよい。
前記多孔質金属は、ニッケルまたはニッケル基合金であってもよい。
前記多孔質金属は、金属フォームまたは金属スポンジであってもよい。
前記金属粒子は、1nm以上500nm以下の範囲の粒径を有してもよい。
前記金属粒子は、10nm以上150nm以下の範囲の粒径を有してもよい。
本発明による上述の水素製造用触媒の製造方法は、多孔質金属の表面に金属の強酸塩粉末層を形成するステップであって、前記金属は、Ni、Rh、Pt、Pd、Ir、FeおよびCoからなる群から少なくとも1つ選択される元素を含む、ステップと、前記強酸塩粉末層を熱分解することで、前記金属の酸化物粒子層を形成するステップと、前記酸化物粒子層を還元することで、金属粒子からなる金属活性層を形成するステップとを包含し、これにより上記課題を解決する。
前記金属の強塩酸粉末層を形成するステップは、前記金属の強酸塩水溶液を用いてもよい。
前記金属の酸化物粒子層の形成に続き、前記金属とは異なるさらなる金属の強酸塩粉末層を形成ステップであって、前記さらなる金属は、Re、Mn、Mo、W、Cr、Ta、Hf、Os、Sn、Zn、La、Ce、Mg、Al、SiおよびCuからなる群から少なくとも1つ選択されるさらなる元素を含む、ステップと、前記さらなる金属の強酸塩粉末層を熱分解することで、前記さらなる金属の酸化物粒子層を形成するステップとをさらに包含してもよい。
前記多孔質金属は、Ni、Rh、Pt、Pd、Ir、FeおよびCoからなる群から少なくとも1つ選択される元素を主成分とし、前記金属の強塩酸粉末層を形成するステップは、前記多孔質金属の表面を酸処理してもよい。
前記多孔質金属は、ニッケルまたはニッケル基合金であってもよい。
前記酸処理は、硝酸、塩酸および硫酸からなる群から選択される強酸を用いてもよい。
本発明による水素製造装置は、炭化水素化合物を含有する水素原料と、水蒸気を含有するガスとを供給する供給部と、前記供給部から供給された前記水素原料と前記ガスとを反応させて水蒸気改質反応を生じる触媒部とを備え、前記触媒部は、上述の水素製造用触媒を含有し、これにより上記課題を解決する。
本発明の水素製造用触媒は、多孔質金属と、その表面に担持された金属粒子からなる活性層とを備え、金属粒子は、少なくとも、Ni、Rh、Pt、Pd、Ir、FeおよびCoからなる群から少なくとも1つ選択される元素を含む。これにより、比表面積が増大し、1173K以下の低温領域においても高い触媒活性を示すことができる。特に金属粒子として貴金属以外、例えば、Niを選択すれば、コストを低減することもできる。さらに、上記金属元素のほか、下記元素、Re,Mn,Mo,W,Cr,Ta,Hf,Os,Sn,Zn,La,Ce,Mg,Al,Si,Cuから1以上選択され、2元素以上をさらに含んでもよい。本発明の製造方法によれば、上述したように特別な装置や技術を用いることなく、本発明の水素製造用触媒を製造できる。また、本発明の水素製造用触媒は、少量にて高い触媒活性を示すことができるので、水素製造装置を小型化できる。
本発明の水素製造用触媒を模式的に示す図 本発明の水素製造用触媒の製造工程を示すフローチャート 本発明の水素製造用触媒の製造工程を示す別のフローチャート 本発明の水素製造装置を模式的に示す図 金属活性層を形成する前の純NiフォームのSEM像を示す図 酸化ニッケルを担持した純NiフォームのSEM像を示す図 酸化ニッケルおよび酸化レニウムを担持した純NiフォームのSEM像を示す図 金属活性層を形成する前のNiCrAl合金フォームのSEM像を示す図 酸化ニッケルおよび酸化レニウムを担持したNiCrAl合金フォームのSEM像を示す図 実施例/比較例2〜4の試料の触媒特性(メタン転化率)を示す図 実施例/比較例2〜4の試料の触媒特性(水素生成速度)を示す図
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。なお、同様の要素には同様の番号を付し、その説明を省略する。
(実施の形態1)
実施の形態1では、本発明の水素製造用触媒とその製造方法とについて説明する。
図1は、本発明の水素製造用触媒を模式的に示す図である。
本発明の水素製造用触媒100は、多孔質金属110と、多孔質金属110の表面に担持された金属粒子120からなる金属活性層130とを備える。ここで、金属粒子120は、少なくとも、Ni、Rh、Pt、Pd、Ir、FeおよびCoからなる群から少なくとも1つ選択される元素(以降ではわかりやすさのため、第1の元素と称する)を含む。これらの金属粒子120からなる金属活性層130を備えることにより、水蒸気改質反応により水素を製造する触媒として機能する。さらに、金属活性層130が金属粒子120からなるため、多孔質金属110の比表面積をさらに増大させることができるので、1173K以下の低温での触媒性能を向上させることができる。
多孔質金属110は、金属フォーム(発泡金属)あるいは金属スポンジと称される任意の多孔質金属が採用されるが、例示的には、100μm〜5mmのサイズの空孔を有する多孔質金属である。好ましくは、空孔のサイズは、300μm以上600μm以下の範囲である。この範囲であれば、金属活性層130による触媒活性が向上し得る。多孔質金属110は、その製造方法によってオープンセル型、クローズドセル型、ロータス型等種々の細孔パターンを有するが、触媒への利用を考慮すれば、水素原料ガスおよび水蒸気/酸素との接触率や高透過性からオープンセル型が望ましい。
多孔質金属110は、特に材料に制限はないが、例示的には、純ニッケル、ニッケル基合金、ステンレス、鉄基合金などを主成分とする。なお、本明細書において主成分とは、多孔質金属110中の含有量が50wt%以上100wt%以下の範囲を意図する。特に、純ニッケル、ニッケル基合金は、それ自身が触媒として機能し得るので、さらに高い触媒活性が得られる。なお、純ニッケルまたはニッケル基合金において、多孔質金属110の触媒効果を期待する場合には、Niの含有量が50wt%以上であることが望ましい。
金属粒子120は、上述したように、少なくとも上述の第1の元素を含むが、中でも、Niが好ましい。この元素であれば、1173K以下の温度領域における触媒活性を向上できる。
金属粒子120は、Re、Mn、Mo、W、Cr、Ta、Hf、Os、Sn、Zn、La、Ce、Mg、Al、SiおよびCuからなる群から少なくとも1つ選択されるさらなる元素(以降ではわかりやすさのため、第2の元素と称する)を含んでもよい。これにより、1173K以下の温度領域における触媒活性をさらに向上できる。中でも、触媒活性を長時間維持するため、第2の元素はReが好ましい。
金属粒子120が、2以上の元素を含む場合、それらが合金化していもよい。これにより単独の元素による触媒活性に加えて、さらなる触媒活性が期待できる。合金化は、第1の元素の中から複数の元素による合金であってもよいし、第1の元素と第2の元素とによる合金であってもよい。例えば、金属粒子110が、第1の元素であるNiと、第2の元素であるReとからなる場合、その一部または全部がNiとReとの合金であってもよい。特に、NiReの合金は、1173K以下の温度領域における触媒活性を向上でき、耐熱性に優れた水素製造用触媒を提供できる。
金属粒子120が、第1の元素と第2の元素との合金である場合、その組成は、第1の元素が1wt%以上100wt%未満の範囲であり、第2の元素が0wt%より多く99wt%以下の範囲であることが好ましい。これにより、合金による触媒活性の効果を得ることができる。さらに好ましくは、第1の元素が30wt%以上95wt%未満の範囲であり、第2の元素が5wt%より多く70wt%以下の範囲である。これにより、1173K以下の温度領域においても合金による高い触媒活性が得られる。なお好ましくは、第1の元素が90wt%以上95wt%未満の範囲であり、第2の元素が5wt%より多く10wt%以下の範囲である。
本明細書において、金属粒子120は、粒径が1μm以下である金属粒子を意図するが、好ましくは、1nm以上500nm以下の範囲の粒径を有する。これにより、比表面積が増大する。さらに好ましくは、金属粒子120は、10nm以上150nm以下の範囲の粒径を有する。この範囲であれば、多孔質金属110の比表面積を増大させることができるので、1173K以下の低温での触媒性能が向上し得る。さらに好ましくは、金属粒子120は、50nm以上150nm以下の範囲の粒径を有する。本明細書において、粒径は、電子顕微鏡写真に基づいて算出される。
本発明の水素製造用触媒100は、金属粒子120からなる金属活性層130を有するため高い比表面積を有するが、例示的には、5m/g以上20m/g以下の範囲のBET比表面積を有する。この範囲であれば、高い触媒活性が得られる。
図1では、金属活性層130は、金属粒子120の単一層のように示すが、あくまでも模式図であって、金属粒子120が重なっていてもよいことは言うまでもない。
次に、本発明の水素製造用触媒100の例示的な製造工程を説明する。
図2は、本発明の水素製造用触媒の製造工程を示すフローチャートである。
ステップS210:多孔質金属の表面に金属の強酸塩粉末層を形成する。金属は、少なくとも、Ni、Rh、Pt、Pd、Ir、FeおよびCoからなる群から少なくとも1つ選択される元素(第1の元素)を含む。ここで、多孔質金属は、上述したとおりであり、金属フォーム(発泡金属)あるいは金属スポンジと称される任意の多孔質金属が採用されるが、市販の多孔質金属を使用してもよいし、調製してもよい。例えば、1)空孔を形成するためのスペース材料を利用した精密鋳造法や粉末冶金法を用いて、オープンセル型の金属フォームを調製してもよいし、2)溶融金属中にガスを吹き込み、ガス発生助剤を添加する方法、あるいは、3)粉末金属とガス発生助剤を混合成形して加熱発泡する方法を用いてクローズドセル型の金属フォームを調製してもよいし、4)溶融金属の一方向凝固法によって蓮根状に一方向に伸びた空孔を有するロータス型ポーラス金属を調製してもよい。多孔質金属は、金属の強酸塩粉末層を形成する前にアセトン、エタノール等中で超音波洗浄されるとよい。
第1の元素の強酸塩粉末層は、第1の元素の強酸塩またはその水和物からなるが、例示的には、第1の元素の強酸塩は、第1の元素の硝酸塩、硫酸塩、塩素酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、過臭素酸塩、メタ過ヨウ素酸塩、チオシアン酸塩等あるが、中でも、反応効率の観点から、第1の元素の硝酸塩、硫酸塩、塩素酸塩およびこれらの水和物が好ましい。
第1の元素の強酸塩粉末層の形成は、(A)第1の元素の強酸塩水溶液を用いるか、または、(B)酸を用いた酸処理すればよい。
(A)まず、第1の元素の強酸塩水溶液を用いて第1の元素の強酸塩粉末層を形成する場合を説明する。第1の元素の強酸塩水溶液(例えば第1の元素がNiであれば硝酸ニッケル(II)六水和物水溶液)中に多孔質金属を浸漬させ、多孔質金属の空孔および表面に第1の元素の強塩酸水溶液を被覆する。なお、被覆する量は、多孔質金属の重量に対して1wt%以上20wt%以下の範囲が好ましい。
次いで、第1の元素の強酸塩水溶液で被覆された多孔質金属を乾燥し、余剰の溶媒等を除去すれば、第1の元素の強酸塩またはその水和物からなる強酸塩粉末層が担持された多孔質金属が得られる。乾燥は室温等で24時間放置してもよいが、二段階で乾燥することにより、確実に溶媒を除去できる。二段階の乾燥は、40℃〜80℃の温度範囲で3時間〜10時間、80℃〜150℃の温度範囲で3時間〜10時間行えばよい。なお、必要に応じて、第1の元素の強酸塩水溶液への浸漬および乾燥を繰り返し、第1の元素の強酸塩粉末層の量を調製してもよい。
(B)次に、酸を用いた酸処理により第1の元素の強酸塩粉末層を形成する場合を説明する。酸処理は、多孔質金属が第1の元素(Ni、Rh、Pt、Pd、Ir、FeおよびCoからなる群から少なくとも1つ選択される元素)と同じ材料を主成分とする場合に適用できる。酸処理には、硝塩、硫酸、塩素酸、臭素酸、ヨウ素酸、過臭素酸、メタ過ヨウ素酸、過マンガン酸、チオシアン酸等を採用できるが、中でも、反応効率の観点から、硝酸、硫酸および塩酸からなる群から選択される強酸が好ましい。これらの強酸(5%〜20%溶液)中に多孔質金属を浸漬させ、多孔質金属と強酸とを反応させる。
例えば、多孔質金属がNiを主成分とし、第1の元素がNiであり、強酸が硝酸である場合、浸漬によって、次式の反応が進み、第1の元素の強塩酸水溶液として硝酸ニッケル層が、多孔質金属の表面および空孔に形成される。ここで、硝酸ニッケルは水に易溶であるため、余剰の溶媒を伴う。
Ni+2HNO→Ni(NO+H ・・・(1)
次いで、第1の元素の強酸塩水溶液で被覆された多孔質金属を乾燥し、余剰の溶媒等を除去すれば、第1の元素の強酸塩またはその水和物からなる強酸塩粉末層が担持された多孔質金属が得られる。乾燥は、上述の乾燥と同様に行えばよい。
ステップS220:ステップS210で得られた第1の元素の強塩酸粉末層を熱分解し、第1の元素の酸化物粒子層を形成する。例えば、第1の元素の強塩酸粉末層が硝酸ニッケルおよびその水和物からなる場合、第1の元素の酸化物粒子層は酸化ニッケルからなる。具体的には、第1の元素の強塩酸粉末層が担持された多孔質金属を、空気中、加熱・焼結すればよい。加熱・焼結条件は、強塩酸粉末層が分解されれば特に制限はないが、例示的には、空気中、400℃以上600℃以下の温度範囲で5時間以上12時間以下の時間である。これにより、1nm以上500nm以下の範囲の粒径を有する第1の元素の酸化物粒子からなる酸化物粒子層が得られる。
ステップS230:ステップS220で得られた第1の元素の酸化物粒子層を還元し、第1の元素からなる金属活性層を形成する。例えば、第1の元素の酸化物粒子層が酸化ニッケルからなる場合、第1の元素の金属活性層はニッケル金属粒子からなる。具体的には、第1の元素の酸化物粒子層が担持された多孔質金属を、還元雰囲気中、加熱すればよい。加熱条件は、酸化物粒子層が還元されれば特に制限はないが、例示的には、水素、窒素、希ガス等の還元雰囲気中、400℃以上600℃以下の温度範囲で少なくとも1時間以上である。加熱時間の上限は特に設定しないが、10時間以上行ってもそれ以上変化はないことから、10時間を上限としてもよい。ここでも、ステップS220で得られた粒径を維持するため、1nm以上500nm以下の範囲の粒径を有する第1の元素の金属活性層が得られる。このようにして、図1を参照して説明した、多孔質金属と、多孔質金属の表面に担持された金属粒子からなる金属活性層(少なくとも、Ni、Rh、Pt、Pd、Ir、FeおよびCoからなる群から少なくとも1つ選択される元素を含む)とを備えた水素製造用触媒が得られる。
図3は、本発明の水素製造用触媒の製造工程を示す別のフローチャートである。
ステップS210およびS220は、図2を参照して説明したステップS210およびS220と同じであるため説明を省略する。
ステップS310:ステップS220で得られた第1の元素の酸化物粒子層が担持された多孔質金属において、第1の元素の酸化物粒子層上にさらなる金属の強酸塩粉末層を形成する。さらなる金属は、Re、Mn、Mo、W、Cr、Ta、Hf、Os、Sn、Zn、La、Ce、Mg、Al、SiおよびCuからなる群から少なくとも1つ選択されるさらなる元素(第2の元素)を含む。
第2の元素の強酸塩粉末層は、第2の元素の強酸塩またはその水和物からなるが、例示的には、第2の元素の強酸塩は、第2の元素の硝酸塩、硫酸塩、塩素酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、過臭素酸塩、メタ過ヨウ素酸塩、過マンガン酸塩、チオシアン酸塩、過レニウム酸塩等あるが、中でも、反応効率の観点から、硝酸塩、硫酸塩、塩素酸塩およびこれらの水和物が好ましい。
第2の元素の強酸塩粉末層は、第2の元素の強酸塩水溶液を用いて形成される。具体的には、第2の元素の強酸塩水溶液(例えば第2の元素がReであれば過レニウム酸アンモニウム水溶液)中に多孔質金属を浸漬させ、第1の元素の酸化物粒子層を被覆する。なお、被覆する量は、多孔質金属の重量に対して0.5wt%以上10wt%以下の範囲が好ましい。これにより、後述する還元処理によって、第1の元素と第2の元素との合金化が進み、触媒活性を向上できる。
次いで、第2の元素の強酸塩水溶液で被覆された第1の元素の酸化物粒子層を有する多孔質金属を乾燥し、余剰の溶媒等を除去すれば、第2の元素の強酸塩またはその水和物からなる強酸塩粉末層が担持された多孔質金属が得られる。乾燥は室温等で24時間放置してもよいが、二段階で乾燥することにより、確実に溶媒を除去できる。二段階の乾燥は、40℃〜80℃の温度範囲で3時間〜10時間、80℃〜150℃の温度範囲で3時間〜10時間行えばよい。なお、必要に応じて、第2の元素の強酸塩水溶液への浸漬および乾燥を繰り返し、第2の元素の強酸塩粉末層の量を調製してもよい。
ステップS320:ステップS310で得られた第2の元素の強塩酸粉末層を熱分解し、第2の元素の酸化物粒子層を形成する。これにより、第1の元素の酸化物粒子層および第2の元素の酸化物粒子層が担持された多孔質金属が得られる。なお、熱分解の条件は、図2のステップS220と同様である。
ステップS330:ステップS320で得られた第1の元素の酸化物粒子層および第2の元素の酸化物粒子層を還元し、第1の元素および第2の元素からなる金属活性層を形成する。なお、還元の条件は、図2のステップS230と同様である。このようにして、図1を参照して説明した、多孔質金属と、多孔質金属の表面に担持された金属粒子(Ni、Rh、Pt、Pd、Ir、FeおよびCoからなる群から少なくとも1つ選択される元素(第1の元素)、および、Re、Mn、Mo、W、Cr、Ta、Hf、Os、Sn、Zn、La、Ce、Mg、Al、SiおよびCuからなる群から少なくとも1つ選択されるさらなる元素(第2の元素)を含み、その一部または全部が合金化されている)からなる金属活性層とを備えた水素製造用触媒が得られる。例えば、第1の元素がNiであり、第2の元素がReである場合、金属活性層はNiとReとの合金を含有する金属粒子を含むので、Ni単体に比べて1173K以下の低温においても高い触媒活性を長時間維持できる。
なお、ステップS310およびS320を先に行い、次いでステップS210およびS220を行い、ステップS330を行ってもよい。
(実施の形態2)
実施の形態2では、実施の形態1で説明した本発明の水素製造用触媒を用いた水素製造装置について説明する。
図4は、本発明の水素製造装置を模式的に示す図である。
本発明の水素製造装置400は、典型的には、固定床流通式触媒反応装置である。水素製造装置400は、供給部101と、触媒反応部102とを備えるが、以下に説明する構成に限定されない。
供給部101は、炭化水素化合物を含有する水素原料と、酸素および/または水蒸気を含有するガスとを触媒反応部102に供給する。供給部101は、例示的には、蒸発器103と、水収容部104は、ポンプ105と、重量秤106とを備えてもよい。
水収容部104は、水蒸気の原料となる水を収容する。水収容部104には重量秤106が備えられており、水の量を計量することができる。これにより、蒸発器103に供給される水の供給量を把握できる。なお、供給部101は、重量秤106を有さなくてもよい。
水収容部104は、ポンプ105を介して、蒸発器103に接続される。ポンプ105は、水収容部104から送られてきた水を蒸発器103に圧送する。
蒸発器103は、水を水蒸気に変換し、ボンベ(図示せず)から供給されたガスと、水蒸気とを含む混合気体を触媒反応部102に供給する。ボンベから供給されるガスの成分は、少なくとも炭化水素化合物を含有する水素原料(図4では、メタン、窒素、水素を示す)であり、水素原料中の各成分の供給量は適宜調整可能である。
触媒反応部102は、反応管107と、水素製造用触媒10と、電気炉109と、石英ウール108とを有する。水素製造用触媒10は、実施の形態1で説明した水素製造用触媒100と同じであるため、説明を省略する。触媒反応部102は、ガスクロマトグラフ410と、コールドトラップ111と、フローメータ112とを有していてもよい。これらは水素製造装置100の外部構成として設けられていてもよい。
反応管107は、内部が空洞の円筒形状を有している。反応管107は、図4に示すように、円筒形状の中心軸方向を上下方向として配置されている。反応管107の上部は、供給部101に接続されている。反応管107は、供給部101より供給された混合気体を内部に流通させる。
水素製造用触媒10は、反応管107の内部に配置され、水素を生成する反応を促進する。石英ウール108は、反応管107の内部に配置された水素製造用触媒10の上下に配置され、水素製造用触媒10を固定する。電気炉109は、電熱ヒータを有し、所定の反応温度に調整する。
ガスクロマトグラフ410は、反応管107の下部に接続される。ガスクロマトグラフ410は、反応管107から排出された排出ガスの組成を測定する。コールドトラップ111は、ガスクロマトグラフ410に接続される。コールドトラップ111は、反応管107からガスクロマトグラフ410を介して排出された排出ガス中の水蒸気を除去する。
フローメータ112は、コールドトラップ111に接続される。フローメータ112は、反応管107からガスクロマトグラフ410、コールドトラップ111を介して排出された排出ガスの流量を測定する。
次に、本発明の水素製造装置100の動作を説明する。
まず、触媒反応部102に水素が導入されることで、水素製造用触媒10は還元処理される。この工程は適宜省略されてもよい。反応管107は、電気炉109により所定の反応温度に調整される。
次に、キャリアガスとして窒素等の不活性ガスと共に、メタン等の炭化水素化合物を含有する水素原料および水蒸気が反応管107に供給される。ここではわかりやすさのために、炭化水素化合物はメタンとして説明する。これにより、式(2)に示す水蒸気改質反応により水素が生成される。
CH+HO→CO+3H ・・・(2)
また、水蒸気改質反応と同時に、式(3)に示すシフト反応が進行する。
CO+HO→CO+H ・・・(3)
以上の反応により、反応管107から水素が排出される。水素は、COやCOの生成物、残留メタン、残留水蒸気等を含む排出ガスとともに排出される。
メタンは、水蒸気改質反応により水素を生成可能な水素原料であれば、これに限定されない。例えば、炭化水素化合物は、エタンやプロパンであってもよい。
上記水素原料と反応する水蒸気は、蒸発器103で水が気化されることにより生成され、反応管107に導入されているが、水蒸気を供給する方法はこれに限定されない。例えば、水蒸気は、液体状態の水を反応管に直接供給することにより生成されてもよい。
本発明の水素製造装置によれば、1173K以下の温度範囲においてとりわけ触媒活性の高い水素製造用触媒を採用するので、少量の水素製造用触媒であっても実用可能な水素を製造できる。その結果、水素製造装置全体の小型化を達成できる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明の実施の形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の範囲に限定されるものではない。
[実施例1]
実施例1では、多孔質金属としてオープンセル型の純Niフォーム(空孔径:200〜600μm、BET比表面積:0.048m/g)に、金属活性層としてNi粒子を担持した水素製造用触媒を製造した。金属活性層を形成する前の純Niフォームを走査型電子顕微鏡で観察した。観察結果を図5に示す。
図5は、金属活性層を形成する前の純NiフォームのSEM像を示す図である。
図5(A)によれば、純Niフォームはオープンセル型の多孔質金属であり、空孔径は約450μmであることが分かった。図5(B)によれば、その表面は極めてなめらかであることを確認した。
純Niフォーム(直径8mm、厚さ2〜3mm)を、室温下で、硝酸ニッケル(II)六水和物の水溶液(濃度50%)に浸漬し、硝酸ニッケル(II)六水和物水溶液で被覆した。このとき、純Niフォームに対するNiの被覆量は、10wt%であった。次に、硝酸ニッケル(II)六水和物水溶液で被覆した純Niフォームを、60℃で6時間、次いで、120℃で6時間乾燥させ、余剰の溶媒を除去し、硝酸ニッケル(II)六水和物で被覆した純Niフォームとした(図2のステップS210)。次に、これを電気箱型炉にセットし、空気中、500℃で6〜8時間焼結させ、硝酸ニッケル(II)六水和物を酸化ニッケルにした(図2のステップS220)。このようにして得られた酸化ニッケルを担持した純NiフォームをSEMで観察した。観察結果を図6に示す。
図6は、酸化ニッケルを担持した純NiフォームのSEM像を示す図である。
図6(A)によれば、酸化ニッケル担持後も純Niフォームの空孔は維持されていることを確認した。また、図6(B)によれば、その表面は滑らかではなくでこぼこしていた。図6(C)によれば、表面には粒子が位置しており、その粒径は、50nm以上150nm以下の範囲であった。なお、SEMに付属のエネルギー分散型X線分析(EDS)により、粒子が酸素とNiとから構成されており、酸化ニッケルであることを確認した。
次に、酸化ニッケルを担持した純Niフォームを、電気管状炉にセットし、水素雰囲気中、430℃で1時間還元し、酸化ニッケルをNiにした(図2のステップS230)。なお、このようにして得られたNi粒子を担持した純ニッケルフォームをSEMで観察したところ、図6のSEM像と同様の様態であり、還元によっても粒子サイズに大きな変化は見られなかった。また、EDSにより粒子がNi単体であることを確認した。
Ni粒子を担持した純NiフォームのBET比表面積を測定したところ、6.77m/gであり、Ni粒子を担持しない純Niフォームのそれに比べて、約140倍比表面積が増大した。
次に、Ni粒子を担持した純Niフォームのメタン水蒸気改質反応による触媒特性を、図4に示す水素製造装置400を用いて測定した。703Kで、水素と窒素とを混合させたガスにより1時間の還元処理を行い、表1に示す条件で水蒸気改質反応を行った。
Figure 0006903324
反応温度を773Kから1173Kまで100K刻みで昇温し、各温度におけるメタン転化率および水素生成速度を算出した。メタン転化率および水素生成速度は、反応管107におけるメタン水蒸気改質反応後、ガスクロマトグラフ110及びフローメータ112により、水素、残留メタン等を含む排出ガスの組成及び流量から測定された。ガスクロマトグラフ410およびフローメータ112により測定された値から、式(4)によりメタン転化率を求めた。
メタン転化率〔%〕=100×(供給メタン−残留メタン)/供給メタン・・・(4)
ここで、メタン転化率とは、水蒸気改質反応中に供給したメタン量に対する水素の生成に寄与したメタン量の割合をいう。求めたメタン転化率から触媒特性を評価した。結果を表3に示す。
[実施例2]
実施例2では、金属活性層としてNiとReとを含有する粒子を担持させた以外は、実施例1と同様であった。実施例1と同様の手順にて、純Niフォームを硝酸ニッケル(II)六水和物水溶液で被覆(Ni換算で純Niフォームに対する被覆量は、10wt%)し、これを乾燥・焼結し、酸化ニッケルで被覆した純Niフォームを得た(図3のステップS210およびS220)。次に、過レニウム酸アンモニウム水溶液(濃度5%)に、酸化ニッケルで被覆した純Niフォームを浸漬し、過レニウム酸アンモニウム水溶液で被覆した。ここで、純Niフォームに対するReの被覆量は、2wt%であった。過レニウム酸アンモニウム水溶液で被覆した純Niフォームを、60℃で6時間、次いで、120℃で6時間乾燥させ、余剰の溶媒を除去し、酸化ニッケル上に過レニウム酸アンモニウムを被覆した純ニッケルフォームを得た(図3のステップS310)。
これを電気箱型炉にセットし、空気中、500℃で6〜8時間焼結させ、過レニウム酸アンモニウムを酸化レニウムにした(図3のステップS320)。このようにして得られた酸化ニッケルおよび酸化レニウムを担持した純NiフォームをSEMで観察した。観察結果を図7に示す。
図7は、酸化ニッケルおよび酸化レニウムを担持した純NiフォームのSEM像を示す図である。
図7(A)によれば、酸化ニッケルおよび酸化レニウム担持後も純Niォームの空孔は維持されていることを確認した。また、図7(B)によれば、その表面は滑らかではなくでこぼこしていた。図7(C)によれば、表面には粒子が位置しており、その粒径は、50nm以上150nm以下の範囲であった。なお、SEMに付属のエネルギー分散型X線分析(EDS)により、粒子が酸素とNiとReとから構成されており、酸化ニッケルおよび酸化レニウムであることを確認した。
次に、酸化ニッケルおよび酸化レニウムを担持した純Niフォームを、電気管状炉にセットし、水素雰囲気中、430℃で1時間還元し、酸化ニッケルおよび酸化レニウムをNiとReとの合金にした(図3のステップS330)。なお、このようにして得られたNiとReとの合金粒子を担持した純NiフォームをSEMで観察したところ、図7のSEM像と同様の様態であり、還元によっても粒子サイズに大きな変化は見られなかった。また、EDSにより粒子がNiとReとの合金であり、Niの含有量が91wt%であり、Reの含有量が9wt%であることを確認した。
NiとReとの合金粒子を担持した純NiフォームのBET比表面積を測定したところ、8.87m/gであり、ニッケル粒子を担持しない純ニッケルフォームのそれに比べて、約185倍比表面積が増大した。
実施例1と同様に、NiとReとの合金粒子を担持した純Niフォームのメタン水蒸気改質反応による触媒特性を測定した。結果を図8、図9および表3に示す。
[実施例3]
実施例3では、多孔質金属として、NiCrAl合金フォーム(組成:60〜80Ni10〜20Cr5〜15Al、空孔径:200〜600μm、BET比表面積:0.025m/g)を用いた以外は、実施例2と同様であった。金属活性層を形成する前のNiCrAl合金フォーム、および、酸化ニッケルおよび酸化レニウムを担持したNirAl合金フォームをSEMで観察した。観察結果を図8および図9に示す。
図8は、金属活性層を形成する前のNiCrAl合金フォームのSEM像を示す図である。
図8(A)によれば、NiCrAl合金フォームはオープンセル型の多孔質金属であり、空孔径は約200〜600μmの範囲に分布していることが分かった。図8(B)によれば、その表面は極めてなめらかであることを確認した。
図9は、酸化ニッケルおよび酸化レニウムを担持したNiCrAl合金フォームのSEM像を示す図である。
図9(A)によれば、酸化ニッケルおよび酸化レニウム担持後もNiCrAl合金フォームの空孔は維持されていることを確認した。また、図9(B)によれば、その表面は滑らかではなくでこぼこしていた。図9(C)によれば、表面には粒子が位置しており、その粒径は、50nm以上150nm以下の範囲であった。なお、SEMに付属のエネルギー分散型X線分析(EDS)により、粒子が酸素とNiとReとから構成されており、酸化ニッケルおよび酸化レニウムであることを確認した。なお、水素雰囲気中での還元処理後に得られたNiとReとの合金粒子を担持したNiCrAlフォームをSEMで観察したところ、図9のSEM像と同様の様態であり、還元によっても粒子サイズに大きな変化は見られなかった。また、EDSにより粒子がNiとReとの合金であり、NiおよびReの含有量は、実施例2と同様であることを確認した。
実施例1と同様にして、NiとReとの合金粒子を担持したNiCrAl合金フォームのBET比表面積を測定したところ、2.91m/gであり、ニッケル粒子を担持しないNiCrAl合金フォームのそれに比べて、約116倍比表面積が増大した。
実施例1と同様にして、NiとReとの合金粒子を担持したNiCrAl合金フォームのメタン水蒸気改質反応による触媒特性を測定した。結果を表3に示す。
[比較例4]
比較例4は、金属活性層を設けていない純Niフォームを用い、実施例1と同様にメタン水蒸気改質反応による触媒特性を測定した。結果を表3に示す。
以上の実施例/比較例1〜4の試料を簡単のため表2に示し、結果を説明する。さらに、触媒特性の結果を表3および図10〜図11に示し、詳述する。
Figure 0006903324
Figure 0006903324
表3の実施例1〜3の試料と比較例4の試料とを比較すると、実施例1〜3の試料はいずれも、773K以上1023K以下の低温領域において触媒活性を示すことが分かった。このことから、実施例1〜3の試料等の所定の金属粒子からなる金属活性層を担持した多孔質金属は、水素製造用触媒として機能することが示された。
さらに、実施例1の試料と、実施例2の試料とを比較すると、実施例2の試料の触媒活性は、測定した全温度領域において、実施例1の試料のそれよりも顕著に向上した。このことから、金属活性層は、少なくとも、上述した第1元素と第2元素との合金粒子を含有することが好ましいことが示された。
図10は、実施例/比較例2〜4の試料の触媒特性(メタン転化率)を示す図である。
図11は、実施例/比較例2〜4の試料の触媒特性(水素生成速度)を示す図である。
図10および図11によれば、実施例2〜3の試料の触媒活性は、比較例4の試料のそれに比べて、1173K以下の全温度領域において、顕著に向上したことが分かった。また、図10には、(4)式に基づいて算出されるメタン平衡転化率を点線で示すが、実施例2および3の試料の触媒活性は、メタン平衡転化率に極めて近く理想的であることが分かった。実施例2および実施例3の試料は、いずれも同様の触媒活性を示すことから、金属活性層を担持する多孔質金属の材料に制限がないことが示された。
本発明の水素製造用触媒は、とりわけ1173K以下の低温領域において高い触媒活性を示し、車両用燃料電池、携帯電話用燃料電池、携帯PC用燃料電池、家庭用定置型燃料電池、水素ステーション等へ水素燃料を供給する水素製造装置に適用される。
100 水素製造用触媒
110 多孔質金属
120 金属粒子
130 金属活性層
400 水素製造装置
101 供給部
102 触媒反応部
103 蒸発器
104 水収容部
105 ポンプ
106 重量秤
107 反応管
108 石英ウール
109 電気炉
111 コールドトラップ
112 フローメータ
410 ガスクロマトグラフ

Claims (17)

  1. 多孔質金属と、
    前記多孔質金属の表面に担持された金属粒子からなる金属活性層と
    を備えた、炭化水素化合物の水蒸気改質を利用した水素製造用触媒であって、
    前記金属粒子は、NiとReとの合金である、水素製造用触媒。
  2. 前記Niは、1wt%以上100wt%未満の範囲で含有され、
    前記Reは、0wt%より多く99wt%以下の範囲で含有される、請求項に記載の水素製造用触媒。
  3. 前記Niは、30wt%以上95wt%以下の範囲で含有され、
    前記Reは、5wt%以上70wt%以下の範囲で含有される、請求項に記載の水素製造用触媒。
  4. 前記Niは、90wt%以上95wt%未満の範囲で含有され、
    前記Reは、5wt%より多く10wt%以下の範囲で含有される、請求項3に記載の水素製造用触媒。
  5. 5m /g以上20m /g以下の範囲のBET比表面積を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の水素製造用触媒。
  6. 5m /g以上8.87m /g以下の範囲のBET比表面積を有する、請求項5に記載の水素製造用触媒。
  7. 前記多孔質金属は、ニッケル、ニッケル基合金、ステンレスおよび鉄基合金からなる群から選択される材料を主成分とする、請求項1〜6のいずれかに記載の水素製造用触媒。
  8. 前記多孔質金属は、ニッケルまたはニッケル基合金である、請求項7に記載の水素製造用触媒。
  9. 前記多孔質金属は、金属フォームまたは金属スポンジである、請求項1〜8のいずれかに記載の水素製造用触媒。
  10. 前記金属粒子は、1nm以上500nm以下の範囲の粒径を有する、請求項1から9のいずれかに記載の水素製造用触媒。
  11. 前記金属粒子は、10nm以上150nm以下の範囲の粒径を有する、請求項10に記載の水素製造用触媒。
  12. 多孔質金属の表面に金属の強酸塩粉末層を形成するステップであって、前記金属は、Niである、ステップと、
    前記強酸塩粉末層を熱分解することで、前記金属の酸化物粒子層を形成するステップと、
    前記金属の酸化物粒子層の形成に続き、前記金属とは異なるさらなる金属の強酸塩粉末層を形成ステップであって、前記さらなる金属は、Reである、ステップと、
    前記さらなる金属の強酸塩粉末層を熱分解することで、前記さらなる金属の酸化物粒子層を形成するステップと
    前記酸化物粒子層を還元することで、金属粒子からなる金属活性層を形成するステップと
    を包含する、請求項1に記載の炭化水素化合物の水蒸気改質を利用した水素製造用触媒の製造方法。
  13. 前記金属の強塩酸粉末層を形成するステップは、前記金属の強酸塩水溶液を用いる、請求項12に記載の方法。
  14. 前記多孔質金属は、Niを主成分とし、
    前記金属の強塩酸粉末層を形成するステップは、前記多孔質金属の表面を酸処理する、請求項1に記載の方法。
  15. 前記多孔質金属は、ニッケルまたはニッケル基合金である、請求項14に記載の方法。
  16. 前記酸処理は、硝酸、塩酸および硫酸からなる群から選択される強酸を用いる、請求項14または15に記載の方法。
  17. 炭化水素化合物を含有する水素原料と、水蒸気を含有するガスとを供給する供給部と、
    前記供給部から供給された前記水素原料と前記ガスとを反応させて水蒸気改質反応を生じる触媒部と
    を備え、
    前記触媒部は、請求項1から11のいずれか一つに記載の水素製造用触媒を含有する、炭化水素化合物の水蒸気改質を利用した水素製造装置。
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